以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
最初に、本発明の実施形態の画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の部分垂直断面正面図の一例である。なお、図中の矢印付き二点鎖線はシート材の搬送経路及び搬送方向を示す。
画像形成装置1は、図1に示すように所謂タンデム型のカラー複写機であり、原稿の画像を読み取る画像読取部2と、読み取った画像を用紙等のシート材に印刷する印刷部3と、印刷条件の入力や稼働状況の表示を行うための操作部4と、主制御部5とを備える。
画像読取部2は不図示のプラテンガラスの上面に載置された原稿の画像を不図示のスキャナを移動して読み取る公知のものである。原稿の画像は赤(R)、緑(G)、青(B)の三色に色分解され、不図示のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーで電気信号に変換される。これにより、画像読取部2は赤(R)、緑(G)、青(B)の色別の画像データを得る。
画像読取部2が得た色別の画像データは主制御部5において各種処理が行われ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換されて主制御部5の不図示のメモリーに格納される。メモリーに格納された再現色別の画像データは位置ずれ補正のための処理を受けた後、像担持体である感光体ドラム21に対する光走査を行うためにシート材の搬送と同期して走査ラインごとに読み出される。
印刷部3は電子写真方式によって画像を形成し、その画像をシート材に転写する。印刷部3は中間転写体を無端状のベルトとして形成した中間転写ベルト11を備える。中間転写ベルト11は駆動ローラ12、テンションローラ13及び従動ローラ14に巻き掛けられる。中間転写ベルト11には、テンションローラ13が不図示のバネによって図1における上方に付勢されることにより張力が与えられる。中間転写ベルト11は駆動ローラ12によって図1における反時計回りに回転移動する。
駆動ローラ12は中間転写ベルト11を挟んで対向する二次転写ローラ15を圧して接触する。従動ローラ14の箇所では、中間転写ベルト11を挟んで従動ローラ14に対向するように設けられた中間転写クリーニング部16が中間転写ベルト11の外周面に接触する。中間転写クリーニング部16は中間転写ベルト11の外周面に形成されたトナー像がシート材Sに転写された後、中間転写ベルト11の外周面に残留したトナーなどの付着物を除去してクリーニングする。
中間転写ベルト11の下方にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色に対応する画像形成部20Y、20M、20C、20Kが設けられる。なおこの説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「Y」、「M」、「C」、「K」の識別記号の記載を省略して、例えば「画像形成部20」と総称することがある。4台の画像形成部20は中間転写ベルト11の回転方向に沿って、回転方向の上流側から下流側に向けて一列にして配置される。4台の画像形成部20は構成がすべて同じであり、図1における時計回りに回転する感光体ドラム21を中心としてその周囲に帯電部、露光部、現像部、ドラムクリーニング部及び一次転写ローラを備える。
画像形成部20の下方には露光装置である走査光学装置23が配置される。走査光学装置23は4台の画像形成部20に対して1台で対応し、4個の感光体ドラム21各々に個別に対応した不図示の4つの半導体レーザ等の光源を有する。走査光学装置23は4つの半導体レーザを各再現色の画像階調データに応じて変調して、各再現色に対応するレーザ光を4個の感光体ドラム21に対して個別に出射する。
中間転写ベルト11の上方には、4台の各再現色の画像形成部20に対応するトナーボトル31及びトナーホッパー32が設けられる。現像部及びトナーホッパー32に対しては各々の内部のトナーの残量を検出する不図示の残量検出部が設けられる。また、現像部とトナーホッパー32との間及びトナーホッパー32とトナーボトル31との間には各々不図示のトナーの補給装置が設けられる。残量検出部によって現像部の内部のトナーの残量の低下が検出されると、補給装置がトナーホッパー32から現像部にトナーを補給するように駆動する。さらに、残量検出部によってトナーホッパー32の内部のトナーの残量の低下が検出されると、補給装置がトナーボトル31からトナーホッパー32にトナーを補給するように駆動する。トナーボトル31は装置本体に対して着脱可能に設けられ、適宜新しいものと交換することができる。
走査光学装置23の下方には、内部に用紙等のシート材Sを複数積載して収容するシート材給送装置40が設けられる。シート材給送装置40の内部に収容されたシート材Sは給送部50によってその最上のシート材Sから順に1枚ずつシート材搬送路Qに送り出される。シート材給送装置40からシート材搬送路Qに送り出されたシート材Sはレジストローラ対94の箇所に到達する。そして、レジストローラ対94がシート材Sの斜め送りを矯正(スキュー補正)しつつ中間転写ベルト11の回転と同期をとって、中間転写ベルト11と二次転写ローラ15との接触部(二次転写ニップ部)に向けてシート材Sを送り出す。
画像形成部20では走査光学装置23から照射されたレーザ光によって感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像部によってトナー像として可視像化される。感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像は感光体ドラム21が中間転写ベルト11を挟んで一次転写ローラと対向する箇所において中間転写ベルト11の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト11の回転とともに所定のタイミングで各画像形成部20のトナー像が順次中間転写ベルト11に転写されることにより、中間転写ベルト11の外周面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト11の外周面に一次転写されたカラートナー像はレジストローラ対94により同期をとって送られてきたシート材Sに、中間転写ベルト11と二次転写ローラ15とが接触して形成される二次転写ニップ部にて転写される。
二次転写ニップ部の上方には定着部95が備えられる。二次転写ニップ部にて未定着トナー像が転写されたシート材Sは定着部95へと送られて加熱ローラ及び加圧ローラに挟まれ、トナー像が加熱、加圧されてシート材Sに定着される。定着部95を通過したシート材Sは中間転写ベルト11の上方に設けられたシート材排出部96に排出される。
操作部4は画像読取部2の正面側に設けられる。操作部4は、例えばユーザーによる印刷に使用するシート材Sの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定の入力や、ファクシミリ送信におけるファックス番号や送信者名などの設定の入力を受け付ける。また、操作部4は、例えば装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示部4wに表示することによって、それらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
また、画像形成装置1にはその全体の動作制御のため、不図示のCPUや画像処理部、その他の図示しない電子部品で構成された主制御部5が設けられる。主制御部5は中央演算処理装置であるCPUと画像処理部とを利用し、メモリーに記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部2や印刷部3などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作、印刷動作を実現する。
続いて、画像形成装置1のシート材給送装置40の構成について、図2〜図5を用いて説明する。図2及び図3はシート材給送装置40の上面図及び垂直断面正面図である。図4はシート材給送装置40のカセットの部分拡大斜視図である。図5はシート材給送装置40のカセット(引き出し時)の部分拡大垂直断面正面図である。なお、図3は図2に描画したIII−III線における垂直断面図であり、後述する後端規制部材の周辺の描画を省略した。また、図2の下側がシート材給送装置40の正面側であり、図2の上側がシート材給送装置40の背面側である。また、図3の上下方向がシート材給送装置40の上下方向であり、図3の左右方向がシート材給送装置40の左右方向である。
シート材給送装置40は、図2及び図3に示すように筐体部41(図1に図示)及びカセット42を備える。カセット42はその内部に印刷前のカットペーパー等のシート材を積載して収容するシート材収容部である。カセット42は上面が開口した平たい箱状に形成され、その上面方向からシート材を積載して収容する。なお、シート材は後に詳述する供給部50の動作によってカセット42に対して図2及び図3における右方に向かって送り出される。
カセット42は筐体部41との間に前後方向に延びる形態で設けられた不図示のガイド部に沿って、筐体部41に対して水平にスライドさせることができる。カセット42はその前後方向に引き出す、或いは押し込むことにより筐体部41に対して引き出し、収納が可能である。
カセット42の内底面には押上板43が配置される。シート材は押上板43の上に載置され、積み上げられる。押上板43はそのシート材給送方向の上流端、すなわち図2において左方の端部に設けられた前後方向に延びる支軸43aでカセット42の内底面に支持される。押上板43は支軸43aを中心とし、そのシート材給送方向の下流端(右方の端部)を自由端として垂直面内で揺動可能であって、上面に積載されるシート材の積載量に応じてシート材の給送方向の傾斜角度が変化する。支軸43aは押上板43の正面側と背面側との2箇所に設けられる。
押上板43のシート材給送方向下流部の下方にはカセット42の内底面との間、押上板43の正面側及びカセット42の外底面には、後に詳述する押上板変位機構80が配置される(図14及び図15参照)。カセット42が筐体部41に収納されると、押上板変位機構80が作動し、押上板43のシート材給送方向下流部が上昇する。カセット42が筐体部41から引き出されると、押上板変位機構80が作動し、押上板43はカセット42の内底面に倒伏する。このようにして、押上板変位機構80は押上板43の姿勢を変更させる。
カセット42のシート材給送方向下流部の上方には筐体部41に給送部50が配置される。給送部50はカセット42の内部に収容されたシート材をカセット42の外部へと送り出す。給送部50は、図3に示す給送ローラ52及び捌きローラ53を備える。
給送ローラ52は押上板43のシート材給送方向下流部の上方に配置される。押上板43の上に積載されたシート材のシート材給送下流部が押上板43により押し上げられると、シート材の最上層が下方から給送ローラ52を圧して接触する。カセット42のシート材Sは給送ローラ52によってカセット42の外部へと送り出される。
給送ローラ52はその表面の下部がシート材給送装置40からその外部へと延びるシート材搬送路Q(図1に図示)に突出するように設けられる。給送ローラ52は不図示のモーターに連結され、回転される。
捌きローラ53はシート材搬送路Qを挟んで給送ローラ52の下方に配置される。捌きローラ53は不図示の付勢部材の作用により給送ローラ52を圧して接触する。捌きローラ53と給送ローラ52とが接触して形成されるニップ部にシート材が挿通される。捌きローラ53はモーターに連結されず、給送ローラ52と接触することによって給送ローラ52の回転に従って回転する。
捌きローラ53はその軸部に例えばトルクリミッター(不図示)が設けられる。捌きローラ53と給送ローラ52とが接触して形成されるニップ部にシート材が存在しないときやシート材が1枚だけ進入したときには、捌きローラ53にはトルクリミッターの設定トルク以上のトルクが掛かり、捌きローラ53は給送ローラ52に従ってシート材を送り出す方向に回転する。一方、当該ニップ部にシート材が重なって複数枚進入したときには、捌きローラ53に掛かるトルクはトルクリミッターの設定トルク未満となり、捌きローラ53は回転を停止する。これにより、重なった下側のシート材が送り出されることがないので、シート材が重なって送られてしまう重送という問題が起こるのを防止できる。
カセット42の内部の、押上板43の上に積載されるシート材の給送方向と交差する方向の両端部、すなわちシート材の正面側と背面側にはサイド規制板45が配置される。サイド規制板45はシート材給送方向と交差する方向に移動が可能であって、シート材の束の正面側の端面と背面側の端面とに接触させることができる。これにより、サイド規制板45はシート材の給送方向と交差する方向の位置を規制する。
カセット42の内部の、押上板43の上に積載されるシート材の給送方向の上流側には後端規制部材60が配置される。後端規制部材60はシート材の給送方向と交差する方向の中央部に1個設けられる。後端規制部材60はシート材給送方向に沿って平行に移動が可能であって、シート材の束の給送方向上流側の端面(後端)に接触させることができる。これにより、後端規制部材60はシート材の給送方向上流端の位置を規制する。
続いて、後端規制部材60とその周辺の構造について、図2、図4及び図5に加えて図6〜図8を用いて説明する。図6はカセット42(引き出し時)の部分拡大底面図である。図7及び図8はカセット42(収納時)の部分拡大垂直断面正面図及び部分拡大底面図である。
後端規制部材60は、図4及び図5に示すように外形が正面から見てL字形状を成す部材であり、垂直部60a及び水平部60bを備える。なお、垂直部60a及び水平部60bは厳密に垂直、水平を成していなくても良い。
垂直部60aはカセット42の内底面から上方に向かって略垂直を成すように形成される。水平部60bは垂直部60aの下部からカセット42の内底面に沿って、シート材の給送方向下流側に向かって略水平を成すように形成される。水平部60bはカセット42の内底面に設けられたガイドレール71に嵌合する。ガイドレール71はシート材の給送方向に沿って平行に延びる。後端規制部材60はガイドレール71を介してシート材給送方向に沿って平行に移動が可能である。
後端規制部材60は後端変位部材61及び後端接触部材62を備える。後端変位部材61及び後端接触部材62は各々、シート材の給送方向と交差する方向且つ略垂直に延びる板状を成す。後端変位部材61及び後端接触部材62は各々、上端に設けられたシート材の給送方向と交差する方向に略水平に延びる支軸部61a、62aを介して垂直部60aの上部に支持される。後端変位部材61及び後端接触部材62は各々、支軸部61a、62aの軸線回りに回転可能であり、それらの下側部分がシート材の給送方向に沿って揺動する。なお、図5に示すように、後端変位部材61の支軸部61aと後端接触部材62の支軸部62aとは異なる箇所に設けられる。また、後端変位部材61の下部は引張コイルバネ(第3付勢部材)67によって変位可能領域のシート材給送方向上流側に常に付勢されている。
後端変位部材61及び後端接触部材62はともに下端部が、水平部60bの水平方向の内側を上下方向に貫通する開口部60cの内側に挿入される。後端接触部材62の下端部は水平部60bの底面から下方に突出しないが、後端変位部材61の下端部61bは水平部60bの底面から下方に突出する。
後端接触部材62は後端変位部材61とシート材の給送方向上流端との間に介在し、シート材の給送方向上流端に直接接触する。後端接触部材62は後端変位部材61のシート材給送方向の変位とともにシート材給送方向に変位する。
カセット42の外底部にはスライド部材72が設けられる。スライド部材72はガイドレール71のシート材の給送方向と交差する方向の中央部に対応する位置に配置される。スライド部材72はカセット42の底面に沿う比較的細長い板状を成し、ガイドレール71が延びる方向、すなわちシート材の給送方向に沿って平行に延びる。
スライド部材72はその上部が、ガイドレール71の底部に設けられて上下方向に貫通してシート材の給送方向に沿って平行に延びる開口溝71aに嵌合し、その上面がカセット42の内部に臨む。スライド部材72は開口溝71aが延びる方向、すなわちシート材の給送方向に沿って平行にスライドが可能である。
スライド部材72は開口溝71aに嵌合して上面がカセット42の内部に臨む領域に係合部72aを備える。係合部72aは例えば矩形を成す長穴として形成され、シート材の給送方向のサイズの種類に対応した複数がシート材の給送方向に沿って並べて配置される。図5及び図7に示すように係合部72aには後端規制部材60の水平部60bの底面から下方に突出する後端変位部材61の下端部61bが係合する。
図5及び図6に示すようにカセット42の外底部であって、スライド部材72よりも下方には第1レバー部材73が設けられる。第1レバー部材73はカセット42の底面に沿う板状を成し、外形が下方から見て略L字形状を成す。第1レバー部材73はその一端に設けられた略垂直に延びる支軸部73aを介してカセット42の外底面に支持される。支軸部73aはカセット42のシート材の給送方向と交差する方向の中央部よりも背面側(図6における下側)に設けられ、第1レバー部材73は支軸部73aから正面側(図6における上側)に向かって延びる。第1レバー部材73は支軸部73aの軸線回りに回転可能である。
第1レバー部材73は支軸部73aの軸線を中心とした径方向外側に配置された第1付勢部材74によって支軸部73aの軸線回りに回転する方向に付勢される。第1付勢部材74は例えば圧縮コイルばねで構成されてシート材の給送方向に沿って平行に延び、カセット42の底部と第1付勢部材74との間に配置される。これにより、カセット42が筐体部41から引き出された状態にある場合、図5及び図6に示すように第1レバー部材73はその一部がカセット42のシート材の給送方向の上流側の外壁面42aよりも外側に突出する。
第1レバー部材73の他の一端(自由端)とスライド部材72とが連結片75及び第2付勢部材76を介して連結される。連結片75及び第2付勢部材76はスライド部材72の下方に配置され、スライド部材72と同様に、シート材の給送方向に沿って平行に移動可能にして設けられる。第2付勢部材76は例えば圧縮コイルばねで構成され、その軸線がシート材の給送方向に沿って平行に延びるように連結片75とスライド部材72との間に配置され、シート材の給送方向に沿って弾性力が作用する。
カセット42が筐体部41に収納された場合、第1レバー部材73が筐体部41の内壁に接触し、図7及び図8に示すように第1レバー部材73は第1付勢部材74の付勢力に抗してその全体がカセット42のシート材の給送方向の上流側の外壁面42aよりも内側に引っ込む。これにより、第1レバー部材73がシート材の給送方向の下流側に向かって連結片75を押し、さらに連結片75が第2付勢部材76を押す。そして、第2付勢部材76がその付勢力でスライド部材72をシート材の給送方向の下流側に向かってスライドさせる。スライド部材72はシート材の給送方向下流側にスライドすることで係合部72aに下端部61bが係合する後端変位部材61をシート材の給送方向下流側に変位させる(図7参照)。
カセット42が筐体部41から引き出された場合、第1レバー部材73の筐体部41の内壁との接触が解除され、図5及び図6に示すように第1レバー部材73は第1付勢部材74の付勢力によってその一部がカセット42のシート材の給送方向の上流側の外壁面42aよりも外側に突出する。これにより、第1レバー部材73がシート材の給送方向の上流側に向かって連結片75を引っ張り、さらに連結片75がスライド部材72をシート材の給送方向の上流側に向かってスライドさせる。スライド部材72はシート材の給送方向上流側にスライドすることで係合部72aに下端部61bが係合する後端変位部材61をシート材の給送方向上流側に変位させる(図5参照)。
なお、カセット42の筐体部41への収納とともに、スライド部材72がシート材の給送方向下流側にスライドして後端変位部材61をシート材の給送方向下流側に変位させる構造であれば、他の形態を用いても良い。すなわち、例えば第1レバー部材73、連結片75及び第2付勢部材76を廃し、カセット42が筐体部41から引き出された状態にある場合に、スライド部材72の一部がカセット42のシート材の給送方向の上流側の外壁面42aよりも外側に突出する形態にしても良い。この場合、第1付勢部材74が直接スライド部材72をシート材の給送方向上流側に付勢することになる。
この構成によれば、カセット42の筐体部41への収納とともに、カセット42に設けられたスライド部材72がシート材の給送方向下流側にスライドして後端変位部材61をシート材の給送方向下流側に変位させる。スライド部材72は第1付勢部材74でシート材の給送方向上流側に付勢されるので、カセット42を筐体部41に収納していないとき、すなわちカセット42の筐体部41からの引き出しとともに後端変位部材61のシート材の給送方向下流側への変位が解除される。上記のように、後端変位部材61をシート材の給送方向に変位させ、且つ後端変位部材61のシート材の給送方向への変位の有無を切り替えるためのスライド部材72及び第1付勢部材74を後端規制部材60の外部に設けることができる。すなわち、後端規制部材60を比較的小型にして形成することが可能になる。したがって、給送によるカセット42の内部のシート材の減少とともにシート材の姿勢が変わることに対応して安定した給送を実現することが可能な、小型化が図られたシート材給送装置40及び画像形成装置1を提供することができる。
また、第1レバー部材73を備えることで、カセット42の形態等に応じてスライド部材72のシート材の給送方向のスライド量を自在に調整することができる。これにより、後端変位部材61のシート材の給送方向への変位量を好適に設定することが可能になる。
また、第2付勢部材76を備えることで、カセット42が筐体部41に収納された状態にある場合に、第2付勢部材76の弾性力を利用して後端変位部材61を自在にシート材の給送方向に変位させることができる。これにより、カセット42の内部のシート材の量に応じて後端変位部材61のシート材の給送方向への変位量を好適に設定することが可能になる。
なお、スライド部材72はカセット42の外底部に配置されるので、スライド部材72によるカセット42の占有領域を低減させることができる。これにより、シート材給送装置40を小型化させる作用を高めることが可能である。
また、後端規制部材60はスライド部材72によって変位される後端変位部材61とは別個の後端接触部材62を備え、後端接触部材62がシート材の給送方向の上流端に接触する。これにより、スライド部材72の変位の影響がシート材に直接伝わらないようにすることができ、シート材の位置を安定させることが可能である。
続いて、後端規制部材60の詳細な構造について、図9〜図13を用いて説明する。図9及び図10は後端規制部材60(ロック時)の垂直断面側面図及び垂直断面正面図である。図11及び図12は後端規制部材60(ロック解除時)の垂直断面側面図及び垂直断面正面図である。図13はカセット42(後端規制部材60のロック解除時)の部分拡大垂直断面正面図である。
後端規制部材60は後端変位部材61及び後端接触部材62に加えて、図9及び図10に示すようにロック解除レバー63、上下動リンク64及びロック部材65を備える。ロック解除レバー63、上下動リンク64及びロック部材65はともに後端規制部材60の垂直部60aに設けられる。
ロック解除レバー63はシート材の給送方向と交差する方向に延びる長手状を成し、垂直部60aの上部であって、後端変位部材61の支軸部61aの近傍に配置される。ロック解除レバー63はシート材の給送方向と交差する方向の一端側の一部が、垂直部60aの正面側の側壁に設けられた窓部60dから外部に露出し、他の部分が後端規制部材60に内蔵される。ロック解除レバー63はシート材の給送方向と交差する方向に移動可能にして垂直部60aに設けられ、ロックばね66によってその一部が窓部60dから外部に露出する方向に向かって付勢される。
上下動リンク64は上下方向に延びる棒状を成し、垂直部60aの内部の上下方向の略中央部であって、シート材の給送方向と交差する方向の略中央部に配置される。上下動リンク64は上端にカムフォロワ64aを備え、下端に軸部64bを備える。カムフォロワ64a及び軸部64bはともにシート材の給送方向に沿って延びるピン状を成す。カムフォロワ64aはロック解除レバー63に設けられたカム部63aに係合する。軸部64bには2個のロック部材65が連結される。
ロック解除レバー63のカム部63aはロック解除レバー63の移動方向、すなわちシート材の給送方向と交差する方向に沿って延び、且つ上下方向に屈曲する。これにより、ロック解除レバー63を移動させると、カムフォロワ64aを介してカム部63aに係合する上下動リンク64が上下方向に移動する。ロック解除レバー63の一部が垂直部60aの外部に露出する状態において上下動リンク64は上下方向の移動範囲の下側に位置し(図9参照)、ロック解除レバー63を垂直部60aの内部に向けて押し込むと上下動リンク64は上方に移動する(図11参照)。ロック解除レバー63と上下動リンク64とが本発明の第2リンク機構を構成する。
ロック部材65はシート材の給送方向から見て略L字形状を成し、垂直部60aの内部の下部に配置される。ロック部材65は2個が、シート材の給送方向と交差する方向に並べて設けられる。2個のロック部材65は互いに、略L字形状に屈曲する方向の内側が対向するように配置される。2個のロック部材65はともに、略L字形状の屈曲部に設けられてシート材の給送方向に延びる支軸部65aを介して垂直部60aに支持される。ロック部材65は支軸部65aの軸線回りに回転可能であり、その姿勢が変位する。
2個のロック部材65は各々、上側の一端が上下動リンク64の軸部64bに連結され、下側の一端に爪部65bを備える。爪部65bは後端規制部材60の底部近傍に位置する。爪部65bは後端規制部材60のシート材の給送方向と交差する方向の両端側壁、すなわち正面側及び背面側の側壁に対して出没する。後端規制部材60の正面側及び背面側の側壁から突出した爪部65bは、図4に示すようにガイドレール71の側壁に設けられた係合溝(固定係合部)71bに係合する。係合溝71bは、後端変位部材61の下端部61bと係合するスライド部材72の係合部72aと同様に、シート材の給送方向のサイズの種類に対応した複数がシート材の給送方向に沿って並べて配置される。
後端規制部材60のロック解除レバー63を操作していない場合、図9及び図10に示すようにロック解除レバー63はロックばね66の付勢力の作用によりその一部が後端規制部材60の正面側の側壁の窓部60dから外部に露出する。上下動リンク64はカム部63a及びカムフォロワ64aの作用により上下方向の移動範囲の下側に位置する。上下動リンク64がその移動範囲の下側に位置すると、2個のロック部材65は各々、爪部65bが後端規制部材60の正面側及び背面側の側壁から突出する姿勢を維持する。これにより、爪部65bがガイドレール71の係合溝71bに係合し、後端規制部材60が固定される。すなわち、後端規制部材60をガイドレール71に沿って移動させることができない。
後端規制部材60を移動させる場合、図11及び図12に示すように、後端規制部材60のロック解除レバー63が、ロックばね66の付勢力に抗してシート材の給送方向と交差する方向に沿って垂直部60aの内部に押し込まれる。
ロック解除レバー63は、その上部に2箇所の傾斜面63bを備える。ロック解除レバー63をシート材の給送方向と交差する方向に沿って垂直部60aの内部に押し込む方向に移動させると、2箇所の傾斜面63bが、垂直部60aの内部で後端変位部材61の支軸部61aと支軸部61aの一方の端部から垂下する当接部61cとにそれぞれ下方から接触する。さらに、ロック解除レバー63を垂直部60aの内部に向けて押し込むと、図11及び図12に示すように後端変位部材61の支軸部61aと当接部61cとがロック解除レバー63の上側に乗り上げ、後端変位部材61が上方に変位する。これにより、図12及び図13に示すように、後端変位部材61の下端部61bとスライド部材72の係合部72aとの係合がまず解除される。そして、後端変位部材61の下部は、引張コイルバネ67によって変位可能領域のシート材給送方向最上流側に位置するようになる。なお、ロック解除レバー63の傾斜面63bと後端変位部材61の支軸部61aと当接部61cとが本発明の第1リンク機構を構成する。
次いで、上下動リンク64がカム部63a及びカムフォロワ64aの作用により上方に移動する。上下動リンク64が上方に移動すると、2個のロック部材65は各々、支軸部65aの軸線回りに回転してその姿勢を変更し、爪部65bを後端規制部材60の内部に収納する。これにより、爪部65bとガイドレール71の係合溝71bとの係合が解除され、後端規制部材60のロックが解除される。
このようにロック解除レバー63を操作することにより、後端変位部材61の下端部61bとスライド部材72の係合部72aとの係合が解除された後、爪部65bとガイドレール71の係合溝71bとの係合が解除される。これによって後端規制部材60はガイドレール71に沿って移動可能となる。
次に、後端規制部材60を、用紙サイズに対応した所定位置まで移動させた後に固定する場合、ロック解除レバー63に加えていた力を解除する。すると、ロック解除レバー63は、図9及び図10に示すように、ロックばね66の付勢力の作用により、後端規制部材60の正面側の側壁の窓部60dから外部に露出する方向に移動する。このとき、まず、上下動リンク64がカム部63a及びカムフォロワ64aの作用により上方から下方に移動する。上下動リンク64が下方に移動することで、2個のロック部材65は各々、支軸部65aの軸線回りに回転して、爪部65bが後端規制部材60の正面側及び背面側の側壁から突出し、ガイドレール71に設けられた用紙サイズに対応した係合溝71bに係合して後端規制部材60がまず固定される。
そして、ロック解除レバー63が後端規制部材60の窓部60dから外部に露出する方向にさらに移動すると、ロック解除レバー63の上側に乗り上げていた後端変位部材61の支軸部61aと当接部61cとが、ロック解除レバー63の2箇所の傾斜面63bに沿って下方に移動する。後端変位部材61の支軸部61aと当接部61cとが下方に移動することで、図10及び図13に示すように、後端変位部材61の下端部61bとスライド部材72の係合部72aとが係合する。このとき、後端変位部材61の下端部61bは、引張コイルバネ67によって変位可能領域のシート材給送方向最上流側に必ず位置しているので、後端変位部材61の下端部61bとスライド部材72の係合部72aとの係合が円滑になされるようになる。後端変位部材61の下端部61bとスライド部材72の係合部72aとが係合することで、スライド部材72のシート材給送方向下流側へのスライドによって後端変位部材61も同方向へ変位可能となる。
このように、ロック解除レバー63の操作によって、ロック部材65とガイドレール71の係合溝71bとの係合及び係合解除、及び後端変位部材61のスライド部材72の係合部72aとの係合及び係合解除が可能となり、後端規制部材60を容易に移動させることができる。これにより、多種多様なサイズ、形状のシート材に対応して安定したシート材の給送を実現することが可能になる。また、後端規制部材60をカセット42に固定する場合は、ロック部材65の爪部65bが、後端規制部材60のガイドレール71に設けられた係合溝71bに係合して後端規制部材60が固定された後、後端変位部材61の下端部61bがスライド部材72の係合部72aに係合するので、後端変位部材61の下端部61bは、所望の用紙サイズに対応した係合部72aに確実に係合されるようになる。なお、ロック部材65とガイドレール71の係合溝71bとの係合及び係合解除、及び後端変位部材61のスライド部材72の係合部72aとの係合及び係合解除のタイミングは、ロック解除レバー63の傾斜面63bの形成位置やカム部63aの形状などによって調整することができる。
続いて、押上板変位機構80とその周辺の詳細な構造について、図14〜図17を用いて説明する。図14及び図15はカセット42(引き出し時)の部分平面図及び部分正面図である。図16及び図17はカセット42(収納時)の部分平面図及び部分正面図である。なお、図14〜図17では上面が開口した平たい箱状を成すカセット42自体の描画を省略している。
カセット42は、図14及び図15に示すように押上板43の姿勢を変更させるための押上板変位機構80と、押上板変位機構80を動作させるための第2レバー部材77とを備える。押上板変位機構80は直動リンク81、第1回動リンク82、押し上げばね83、第2回動リンク84及び押し上げレバー85を備える。
第2レバー部材77はカセット42の外底部であって、第1レバー部材73よりも下方に設けられる。第2レバー部材77はカセット42の底面に沿う板状を成し、シート材の給送方向と交差する方向に沿って延びる。第2レバー部材77はその一端に設けられた略垂直に延びる支軸部77aを介してカセット42の外底面に支持される。支軸部77aはカセット42のシート材の給送方向と交差する方向の中央部よりも背面側に設けられ、第2レバー部材77は支軸部77aから正面側に向かって延びる。第2レバー部材77は支軸部77aの軸線回りに回転可能である。
直動リンク81はカセット42の底部であって、シート材の給送方向と交差する方向の中央部よりも正面側に設けられる。直動リンク81はカセット42の底面に沿う長手状を成し、シート材の給送方向に沿って平行に延びる。直動リンク81は不図示のガイド材に案内され、シート材の給送方向に沿って平行に移動が可能である。直動リンク81のシート材の給送方向の上流端には第2レバー部材77の正面側の端部が連結され、シート材の給送方向の下流端には第1回動リンク82の下端が連結される。
第1回動リンク82は直動リンク81のシート材の給送方向の下流端に対応する領域であって、押上板43のシート材の給送方向の略上流側部分の正面側に設けられる。第1回動リンク82は略上下方向に延びる長手状を成す。第1回動リンク82は上下方向の略中央部に設けられた略水平にシート材の給送方向と交差する方向に延びる支軸部82aを介してカセット42に支持される。第1回動リンク82は支軸部82aの軸線回りに、正面から見て時計回り、或いは反時計回りに回転可能である(図15参照)。第1回動リンク82の下端には直動リンク81のシート材の給送方向の下流端が連結され、上端には押し上げばね83のシート材の給送方向の上流端が連結される。
押し上げばね83は例えば引張コイルばねから成り、第1回動リンク82の上端に対応する領域からシート材の給送方向の下流側に向かって延びる。押し上げばね83のシート材の給送方向の上流端には第1回動リンク82の上端が連結され、シート材の給送方向の下流端には第2回動リンク84の上端が連結される。押し上げばね83は第1回動リンク82の上端と第2回動リンク84の上端との間で引っ張りによる弾性力を作用させる。
押し上げばね83は第1回動リンク82及び直動リンク81を介して第2レバー部材77を支軸部77aの軸線回りに回転させる方向に付勢する。これにより、カセット42が筐体部41から引き出された状態にある場合、第2レバー部材77はその一部がカセット42のシート材の給送方向の上流側の外壁面42a(図14〜図17では不図示)よりも外側に突出する。
第2回動リンク84は押し上げばね83のシート材の給送方向の下流端に対応する領域であって、押上板43のシート材の給送方向の略中央部の正面側に設けられる。第2回動リンク84は略上下方向に延びる長手状を成す。第2回動リンク84は下端に設けられた略水平にシート材の給送方向と交差する方向に延びる支軸部84aを介してカセット42に支持される。第2回動リンク84は支軸部84aの軸線回りに、正面から見て時計回り、或いは反時計回りに回転可能である(図15参照)。第2回動リンク84の自由端である上端には押し上げばね83のシート材の給送方向の下流端が連結される。
なお、第2回動リンク84の支軸部84aは、図14に示すように押上板43の正面側から背面側まで比較的長くシート材の給送方向と交差する方向に延びる。
押し上げレバー85は押上板43のシート材の給送方向の下流側部分の下方であって、押上板43のシート材の給送方向と交差する方向の中央部に設けられる。押し上げレバー85は上面が押上板43の下面に略対向する板状を成し、シート材の給送方向の上流端の、シート材の給送方向と交差する方向に沿って延びる一辺の部分が第2回動リンク84の支軸部84aに取り付けられる。押し上げレバー85は支軸部84aの径方向外側、且つシート材の給送方向の下流側に向かって延びる。押し上げレバー85はシート材の給送方向の下流端が押上板43の下面に接触する。
カセット42が筐体部41に収納された場合、第2レバー部材77が筐体部41の内壁に接触し、図16及び図17に示すように第2レバー部材77はその全体がカセット42のシート材の給送方向の上流側の外壁面42aよりも内側に引っ込む。これにより、第2レバー部材77がシート材の給送方向の下流側に向かって直動リンク81を押し、さらに直動リンク81が第1回動リンク82を正面から見て反時計回りに回転させる。そして、押し上げばね83がその付勢力で第2回動リンク84を正面から見て反時計回りに回転させる。第2回動リンク84の回転とともに支軸部84aも正面から見て反時計回りに回転することで押し上げレバー85が押上板43の下方から押上板43のシート材の給送方向の下流側部分を押し上げる。これにより、押上板43の上面に積載されたシート材の最上層が給送ローラ52の周面に接触する所定の給送位置に到達する。
カセット42が筐体部41から引き出された場合、第2レバー部材77の筐体部41の内壁との接触が解除され、図14及び図15に示すように第2レバー部材77は押し上げばね83の付勢力によってその一部がカセット42のシート材の給送方向の上流側の外壁面42aよりも外側に突出する。これにより、第2レバー部材77がシート材の給送方向の上流側に向かって直動リンク81を引っ張り、さらに直動リンク81が第1回動リンク82を正面から見て時計回りに回転させる。押し上げばね83を介して第2回動リンク84も正面から見て時計回りに回転する。そして、押し上げレバー85のカセット42の内底面への倒伏とともに押上板43もカセット42の内底面に倒伏する。
このように、第2レバー部材77がカセット42の筐体部41への収納とともに筐体部41に接触して押上板変位機構80を動作させ、押上板43を押し上げるように姿勢変更させるので、自動的にシート材の最上層を所定の給送位置まで移動させることができる。
また、第2レバー部材77の支軸部77aの軸線は第1レバー部材73の支軸部73aの軸線と一致する。図14に示すように、これら支軸部77a及び支軸部73aはカセット42のシート材の給送方向と交差する方向の中央部よりも背面側に設けられ、第2レバー部材77及び第1レバー部材73はそれら支軸部から正面側に向かって延びる。シート材の給送方向と交差する方向の長さに関して、第2レバー部材77は第1レバー部材73よりも長い。これにより、カセット42を筐体部41に収納するとき、第1レバー部材73は第2レバー部材77よりも前にその回転変位を完了する。すなわち、押上板43の押し上げが完了する前に、スライド部材72が後端変位部材61をシート材の給送方向下流側に変位させる。
したがって、押上板43の上面に積載されたシート材の最上層が給送ローラ52の周面に接触するよりも前に、後端変位部材61がシート材の給送方向の下流側に向かって変位する。すなわち、シート材の給送方向の上流端(後端)の位置が好適に規制された後に、シート材の最上層が所定の給送位置に到達する。その結果、より一層安定したシート材の給送を実現することが可能である。
なお、第1レバー部材73及び第2レバー部材77を同一部材として構成しても良い。しかしながら、上記実施形態のように第1レバー部材73と第2レバー部材77とを別部材とすることで、シート材の最上層が給送ローラ52の周面に接触するタイミングと、後端変位部材61がシート材の給送方向の下流側に向かって変位するタイミングとの各々の制御を容易に行うことができ、それらタイミングを好適に設定することが可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のシート材給送装置について図18及び図19を用いて説明する。図18は、後端規制部材(固定時)の断面斜視図であり、図19は後端規制部材(固定解除時)の断面斜視図である。なお、この実施形態の基本的な構成は先に説明した第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素については前と同じ名称、同じ符号を付してその詳細な説明は省略する場合がある。
図18に示すように、舌片状のツマミ部(第1操作レバー)61dが、後端変位部材61の支軸部61aに軸方向に対して垂直方向に接続され、後端規制部材60の垂直部60aの上面に形成された窓部60eからツマミ部61dの先端部が露出している。後端変位部材61の支軸部61aの一方端(図18では右側端)は、第2操作レバーとしてのロック解除レバー63の垂直壁部63cに当接し、ロック解除レバー63の垂直部60aへの進入を阻止している。
後端規制部材60を移動させる場合は、垂直部60aの上面の窓部60eから露出しているツマミ部61dを摘んで上方に引き上げる。すると、前記実施形態の図12で示したと同様に、後端変位部材61が上方に変位して、後端変位部材61の下端部61bとスライド部材72の係合部72aとの係合がまず解除される。そして、後端変位部材61の下部は、引張コイルバネ67によって変位可能領域のシート材給送方向最上流側に位置するようになる。また同時に、後端変位部材61の支軸部61aとロック解除レバー63の垂直壁部63cとの当接が解除され、ロック解除レバー63の垂直部60a内への押し込みが可能となる。
ツマミ部61dを上方に引き上げた状態で、ロック解除レバー63をロックばね66の付勢力に抗して垂直部60aの内部に向けて押し込むと、上下動リンク64がカム部63a及びカムフォロワ64aの作用により上方に移動する。図19に示すように、上下動リンク64が上方に移動すると、2個のロック部材65は各々、支軸部65aの軸線回りに回転してその姿勢を変更し、爪部65b(図18に図示)を後端規制部材60の内部に収納する。これにより、爪部65bとガイドレール71の係合溝71bとの係合が解除され、後端規制部材60のロックが解除される。このとき、後端変位部材61の軸支部61aは、ロック解除レバー63の上側に乗り上げた状態となり、ツマミ部61dを上方に持ち上げる力を加えなくても、ツマミ部61dは上方に引き上げられた状態を維持する。このようにして、ツマミ部61d及びロック解除レバー63を操作することにより、後端変位部材61の下端部61bとスライド部材72の係合部72aとの係合が解除された後、爪部65bとガイドレール71の係合溝71bとの係合が解除されて、後端規制部材60はガイドレール71に沿って移動可能となる。
次いで、後端規制部材60を、用紙サイズに対応した所定位置まで移動させた後に固定する場合、ロック解除レバー63に加えていた力を解除する。すると、ロック解除レバー63は、ロックばね66の付勢力の作用により、後端規制部材60の正面側の側壁の窓部60dから外部に露出する方向に移動する。このとき、まず、上下動リンク64がカム部63a及びカムフォロワ64aの作用により上方から下方に移動する。上下動リンク64が下方に移動することで、2個のロック部材65は各々、支軸部65aの軸線回りに回転して、爪部65bが後端規制部材60の正面側及び背面側の側壁から突出し、ガイドレール71に設けられた用紙サイズに対応した係合溝71bに係合して後端規制部材60がまず固定される。
そして、ロック解除レバー63が後端規制部材60の窓部60dから外部に露出する方向にさらに移動すると、ロック解除レバー63の上側に乗り上げていた後端変位部材61の支軸部61aが、垂直壁部63cのところで自重によって下方に移動する。後端変位部材61の支軸部61aが下方に移動することで、後端変位部材61の下端部61bとスライド部材72の係合部72aとが係合する。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、複数の実施形態を組み合わせて実施することができる。
例えば、上記実施形態では画像形成装置1が中間転写ベルト11を用いて複数色の画像を順次重ねて形成する所謂タンデム型のカラー印刷用画像形成装置であるが、このような機種に限定されるわけではなく、タンデム型ではないカラー印刷用画像形成装置やモノクロ印刷用の画像形成装置であっても構わない。