JP6879094B2 - 車体構造 - Google Patents

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本発明は、車体構造に関する。
下記特許文献1には、電動車両のバッテリ搭載構造が開示されている。この車両には、車室の車両下方側にバッテリユニットが設けられている。バッテリユニットは、車幅方向の端部がそれぞれ車体部材に結合されていると共に、車両前方側の端部がフロントサスペンションメンバに固定されている。これにより、バッテリユニットを利用して車体ねじり剛性が向上される。
特開2012−91635号公報
ところで、近年では、電動車両の航続距離を伸ばすことが求められており、これに対応するため、バッテリユニットを大型化する必要がある。この大型化に際して、車室への影響を少なくするために、バッテリユニットを車両前後方向に拡大することが考えられるが、バッテリユニットを車両前後方向に拡大させると、パワーユニットとバッテリユニットとの距離が近くなるため、車両衝突時に衝突荷重を受けて変位するパワーユニットがバッテリユニットに当接してバッテリユニットが損傷する可能性がある。上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、車両衝突時のバッテリユニットの損傷を抑制することができる車体構造を得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る車体構造は、車両前部及び車両後部の少なくとも一方に設けられたパワーユニットと、前記パワーユニットに対して車両前後方向内側に設けられたバッテリユニットと、前記パワーユニットが搭載されたサスペンションメンバと、前記サスペンションメンバの車両上方側において略車両前後方向に延設され、当該サスペンションメンバを支持すると共に、車両側面視にて、前記パワーユニットの車両上方側に前記サスペンションメンバには設けられていない変形起点部が形成され、車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際に前記変形起点部を起点として車両上方側へ凸状に変形して前記パワーユニットにおける前記バッテリユニット側を中心に当該パワーユニットを前記サスペンションメンバと共に車両下方側へ回転させるサイドメンバと、を有している。
請求項1に記載の発明では、車両前部及び車両後部の少なくとも一方に設けられたパワーユニットと、パワーユニットに対して車両前後方向内側に設けられたバッテリユニットと、パワーユニットが搭載されたサスペンションメンバと、を備えている。当該サスペンションメンバの車両上方側には、略車両前後方向に延設されたサイドメンバが設けられており、サスペンションメンバは当該サイドメンバによって支持されている。
ここで、サイドメンバには、サスペンションメンバには設けられていない変形起点部が設けられている。変形起点部は、車両側面視にてサイドメンバにおけるパワーユニットの車両上方側に形成されると共に、サイドメンバの車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際に車両上方側へ凸状に変形する。当該サイドメンバの変形に伴って、パワーユニットにおけるバッテリユニット側を中心に当該パワーユニットがサスペンションメンバと共に車両下方側へ回転する。これにより、衝突荷重を受けてパワーユニットがバッテリユニット側へ変位してバッテリユニットに当接するのを抑制できると共に、サイドメンバの変形量を確保して衝突荷重を吸収することができる。このため、車体構造を簡素化することができる。
請求項2に記載の発明に係る車体構造は、請求項1記載の発明において、前記サイドメンバにおける前記変形起点部より車両前後方向内側には、他の部位よりも曲げ剛性が高められた高剛性部が設けられている。
請求項2に記載の発明によれば、サイドメンバにおける変形起点部より車両前後方向内側には、他の部位より曲げ剛性が高められた高剛性部が設けられている。したがって、サイドメンバの車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された場合、変形起点部に応力が集中するため、より確実に変形起点部を中心としてサイドメンバを変形させることができる。
請求項3に記載の発明に係る車体構造は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記変形起点部は、前記サイドメンバの車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際に前記サイドメンバの車両前後方向外側の端部を車両下方側へ変位させるよう構成されている。
請求項3に記載の発明によれば、変形起点部は、サイドメンバの車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際にサイドメンバの車両前後方向外側の端部を車両下方側へ変位させるように構成されている。したがって、サイドメンバに取り付けられたパワーユニットは、車両側面視にてより確実に車両下方側へ回転するように変位するため、パワーユニットがバッテリユニットに当接するのをより確実に抑制することができる。
請求項4に記載の発明に係る車体構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記パワーユニットは、前記サスペンションメンバを介して前記サイドメンバに取り付けられていると共に、前記パワーユニットの車両前後方向内側の端部が前記サスペンションメンバにおける前記変形起点部より車両前後方向内側部に配置された部位に固定されている。
請求項4に記載の発明によれば、パワーユニットは、サスペンションメンバを介してサイドメンバに取り付けられていると共に、パワーユニットの車両前後方向内側の端部がサスペンションメンバにおける変形起点部より車両前後方向内側に配置された部位に固定されている。したがって、サイドメンバの車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された場合、サイドメンバの変位によってサスペンションメンバ及びパワーユニットが変位されるが、この際、パワーユニットにおけるバッテリユニットに最も近接している車両前後方向内側の端部を略中心としてパワーユニットを車両下方側へ回転するように変位させることができる。つまり、パワーユニットの車両前後方向内側の端部が、バッテリユニット側へ略車両前後方向に沿って変位するのを抑制することができる。このため、パワーユニットとバッテリユニットとが当接するのをより一層抑制することができる。
請求項1記載の本発明に係る車体構造は、車両衝突時のバッテリユニットの損傷を抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係る車体構造は、車両衝突時のバッテリユニットの損傷をより抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項3記載の本発明に係る車体構造は、車両衝突時のバッテリユニットの損傷をさらに抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項4記載の本発明に係る車体構造は、より確実に車両衝突時のバッテリユニットの損傷を抑制することができるという優れた効果を有する。
一実施形態に係る車体構造を示す概略断面図である。 図1におけるZ部を拡大して示す拡大断面図である。 一実施形態に係る車体構造におけるパワーユニットを示す斜視図である。
以下、図1〜図3を用いて、本発明に係る車体構造の一実施形態について説明する。なお、図1〜図3において示される矢印FRは車両前後方向前側、矢印OUTは車両幅方向外側、矢印UPは車両上下方向上側をそれぞれ示す。
図1に示されるように、車体構造10が適用された車両12は、後述するバッテリユニット14から電力の供給を受けて駆動するパワーユニットとしての電動機(モータユニット16)により走行する電気自動車であり、フロアパネル18を備えている。フロアパネル18に対して車両幅方向外側の両サイドには、図示しないロッカ(「サイドシル」ともいう。)が車両前後方向を長手方向として左右一対に配置されている。ロッカの上部には、フロアパネル18の車両幅方向の端末部が一例としてスポット溶接によって接合されている。
車両床下、すなわちフロアパネル18の車両下方側及び左右一対のロッカの間には、バッテリユニット14が設けられている。バッテリユニット14は、前端部20がダッシュパネル22に対応した位置に配置されていると共に、後端部24が後述するサスペンションメンバ26の近傍に配置された略矩形箱状に形成されている。
左右一対のロッカの後端部には、高剛性部としての結合部材27を介してサイドメンバとしてのリヤサイドメンバ28がそれぞれ結合されている。結合部材27は、一例として鋳造により成形された金属製とされており、車両前方側の端部にロッカの後端部が結合されていると共に車両後方側の端部にリヤサイドメンバ28の前端部が結合されている。
左右一対のリヤサイドメンバ28は、略車両前後方向に沿って長尺状に形成されており、左右一対のリヤタイヤ30の間に位置するリヤサイドメンバ前部28Aと、当該リヤサイドメンバ前部28Aの後端部から車両後方側へ延びるリヤサイドメンバ後部28Bとを有している。リヤサイドメンバ前部28Aは、リヤタイヤ30を内部に収める図示しないリヤホイルハウスに結合されている。
リヤサイドメンバ後部28Bは、車両後部の床面を構成する図示しないリヤフロアパネルの車幅方向両側部に対して車両上方側に配置されかつリヤフロアパネルの上面に結合されている。
図2に示されるように、リヤサイドメンバ28におけるリヤサイドメンバ前部28Aとリヤサイドメンバ後部28Bとの間には、変形起点部29が形成されている。この変形起点部29は、リヤサイドメンバ28におけるモータユニット16に対応した位置、すなわち図中の破線に示すようにリヤサイドメンバ28におけるモータユニット16の車両前後方向略中央部と車両前後方向にて同一の部位に形成されている。また、リヤサイドメンバ28は、リヤサイドメンバ前部28Aとリヤサイドメンバ後部28Bの車両前方側の一部が、車両上方側に向かって凸状に湾曲した形状に形成されており、変形起点部29は、このリヤサイドメンバ28の湾曲形状における頂点部近傍に配置されている。
左右一対のリヤサイドメンバ28の車両下方側かつ左右一対のリヤタイヤ30の間には、サスペンションメンバ26が配置されている。サスペンションメンバ26は、図3に示されるように、サスペンションメンバ26における変形起点部29より車両前後方向内側部に配置された部位として車両幅方向に延在されたフロントクロスメンバ32と、フロントクロスメンバ32の車両幅方向両端部から車両後方側へ延在された左右一対のサイドレール33と、左右一対のサイドレール33の後端部同士を連結するリヤクロスメンバ34とで、車両上方から見て中央に空間Sを有する略矩形状に形成されている。このサスペンションメンバ26は、リヤサイドメンバ28に吊り下げられた状態で支持されるようになっており、左右のリヤタイヤ30を懸架するサスペンション、サスペンションアーム及びスタビライザ(何れも図示省略)等が取り付けられている。なお、図2に示されるように、フロントクロスメンバ32の下端面36は、バッテリユニット14の下端面38と略同一面上に配置されている。
サスペンションメンバ26の空間Sには、モータユニット16が配置されている。このモータユニット16は、左右一対のサイドレール33の間に位置すると共に、車両前方側端部(車両前後方向内側の端部)16Aがサスペンションメンバ26のフロントクロスメンバ32の上面にサスペンションメンバ26の車両上方側から弾性部材で構成されかつ略車両上下方向を軸方向とする略円筒状の支持マウント35を介して左右一対に取り付けられている。また、モータユニット16は、リヤクロスメンバ34の側面に車両前方側からブラケット及び弾性部材で構成された支持マウント(いずれも不図示)を介して取り付けられている。モータユニット16は、図示しない出力軸を介して左右一対のリヤタイヤ30を回転可能としている。以上の構成により、モータユニット16は、サスペンションメンバ26を介してリヤサイドメンバ28に取り付けられている。
(第1実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態では、図2に示されるように、車両前部及び車両後部の少なくとも一方に設けられたモータユニット16と、モータユニット16に対して車両前後方向内側に設けられたバッテリユニット14とを有している。モータユニット16は、略車両前後方向に延設されたリヤサイドメンバ28に取り付けられており、このリヤサイドメンバ28には、変形起点部29が設けられている。変形起点部29は、車両側面視にてリヤサイドメンバ28におけるモータユニット16に対応した部位かつリヤサイドメンバ28の湾曲形状における頂点部近傍に形成されている。このため、変形起点部29は、リヤサイドメンバ28の車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際に、車両上方側へ凸状に変形する(図中太線の二点鎖線参照)。したがって、リヤサイドメンバ28に取り付けられたモータユニット16は、リヤサイドメンバ28の車両上方側への凸状の変形に伴って車両後方側端部が変形起点部29を中心に車両側面視にて車両下方側へ回転するように変位する(図中細線の二点鎖線参照)。これにより、衝突荷重を受けてモータユニット16がバッテリユニット14側へ変位してバッテリユニット14に当接するのを抑制できると共に、リヤサイドメンバ28の変形量を確保して衝突荷重を吸収することができる。このため、モータユニット16がバッテリユニット14側へ変位しないように剛性を高める目的で部材を追加する必要がないため、車体構造を簡素化することができる。これにより、車両衝突時のバッテリユニット14の損傷を抑制することができる。
また、リヤサイドメンバ28における変形起点部29より車両前後方向内側には、一例として鋳造により成形された金属により構成されることで他の部位より曲げ剛性が高められた結合部材27が設けられている。したがって、リヤサイドメンバ28の車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された場合、変形起点部29に応力が集中するため、より確実に変形起点部29を中心としてリヤサイドメンバ28を変形させることができる。これにより、車両衝突時のバッテリユニット14の損傷をより抑制することができる。
さらに、変形起点部29は、リヤサイドメンバ28の湾曲形状における頂点部近傍に配置されているため、リヤサイドメンバ28の車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際にリヤサイドメンバ28の車両前後方向外側の端部を車両下方側へ変位させる(図中太線の二点鎖線参照)。したがって、リヤサイドメンバ28に取り付けられたモータユニット16は、車両側面視にてより確実に車両下方側へ回転するように変位するため、モータユニット16がバッテリユニット14に当接するのをより確実に抑制することができる。これにより、車両衝突時のバッテリユニット14の損傷をさらに抑制することができる。
さらにまた、モータユニット16は、車両前後方向内側の端部16Aがリヤサイドメンバ28における変形起点部29より車両前後方向内側に配置されているサスペンションメンバ26のフロントクロスメンバ32に固定されている。したがって、リヤサイドメンバ28の車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された場合、モータユニット16におけるバッテリユニット14に最も近接している車両前後方向内側の端部16Aを略中心としてモータユニット16を車両下方側へ回転するように変位させることができる。つまり、モータユニット16の車両前後方向内側の端部16Aが、バッテリユニット14側へ略車両前後方向に沿って変位するのを抑制することができる。このため、モータユニット16とバッテリユニット14とが当接するのをより一層抑制することができる。これにより、より確実に車両衝突時のバッテリユニット14の損傷を抑制することができる。
なお、上述した実施形態では、車両12の車両後部、すなわち左右一対のリヤタイヤ30の間にモータユニット16が設けられた構成とされているが、これに限らず、車両前部(一例として図1に示される左右一対のフロントタイヤ68の間)に設けられるサイドメンバとしてのフロントサイドメンバ(不図示)にモータユニット16を取り付けて、このサイドメンバにおけるモータユニット16に対応した位置に変形起点部29を設けた構成としてもよい。
また、結合部材27は,鋳造により成形された金属に限らず、ハイテン材等の変形し難い材料にて構成されていてもよい。
さらに、変形起点部29は、リヤサイドメンバ28の一部に形成されている車両上方側に向かって凸状に湾曲した部位の頂点部近傍に配置されている。これにより、リヤサイドメンバ28の車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際に変形起点部29がリヤサイドメンバ28の車両前後方向外側の端部を車両下方側へ変位させる構成とされているが、これに限らず、変形起点部29においてリヤサイドメンバ28の車両上方側と車両下方側との板厚をそれぞれ変化させることで、上記衝突荷重が入力された際に変形起点部29がリヤサイドメンバ28の車両前後方向外側の端部を車両下方側へ変位させる構成としてもよい。また、変形起点部29においてリヤサイドメンバ28に切り欠き等の応力集中部位を形成することで、上記衝突荷重が入力された際に変形起点部29がリヤサイドメンバ28の車両前後方向外側の端部を車両下方側へ変位させる構成としてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
10 車体構造
14 バッテリユニット
16 モータユニット(パワーユニット)
16A 端部(パワーユニットの車両前後方向内側の端部)
27 結合部材(高剛性部)
28 リヤサイドメンバ(サイドメンバ)
29 変形起点部

Claims (4)

  1. 車両前部及び車両後部の少なくとも一方に設けられたパワーユニットと、
    前記パワーユニットに対して車両前後方向内側に設けられたバッテリユニットと、
    前記パワーユニットが搭載されたサスペンションメンバと、
    前記サスペンションメンバの車両上方側において略車両前後方向に延設され、当該サスペンションメンバを支持すると共に、車両側面視にて、前記パワーユニットの車両上方側に前記サスペンションメンバには設けられていない変形起点部が形成され、車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際に前記変形起点部を起点として車両上方側へ凸状に変形して前記パワーユニットにおける前記バッテリユニット側を中心に当該パワーユニットを前記サスペンションメンバと共に車両下方側へ回転させるサイドメンバと、
    を有する車体構造。
  2. 前記サイドメンバにおける前記変形起点部より車両前後方向内側には、他の部位よりも曲げ剛性が高められた高剛性部が設けられている、
    請求項1記載の車体構造。
  3. 前記変形起点部は、前記サイドメンバの車両前後方向外側から車両前後方向内側へ衝突荷重が入力された際に前記サイドメンバの車両前後方向外側の端部を車両下方側へ変位させるよう構成されている、
    請求項1又は請求項2記載の車体構造。
  4. 前記パワーユニットは、前記サスペンションメンバを介して前記サイドメンバに取り付けられていると共に、前記パワーユニットの車両前後方向内側の端部が前記サスペンションメンバにおける、前記変形起点部より車両前後方向内側部に配置された部位に固定されている、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車体構造。
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