JP5737119B2 - 車体構造 - Google Patents

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Description

本発明は、パワープラントとパワープラントの前方に設けられたバッテリを有する車体構造に関する。
従来、電気自動車において、電動モータなどのパワープラントを電気自動車の車体に搭載するために、電動モータと、この電動モータに電圧を給配電するコントロールユニットとを、搭載フレームとセンターメンバとを用いて車体に搭載する搭載構造が知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
特開平8−310252号公報
ところで、電気自動車には、モータに電力を供給するバッテリを内蔵したバッテリケースが搭載されており、重量物であり、かつ大型であるため、車両の中央付近の床下に設けることが好ましい。そのため、バッテリを内蔵したバッテリケースと、モータを含むパワープラントが車体前後方向に並んで配置される場合がある。このような配置を有する電気自動車では、例えば他の車両が後方から衝突して、車両後方から車体に荷重が入力された場合においても、パワープラントとバッテリ電池とが互いに衝突することを抑制する必要がある。
本発明は、電気自動車の後方が衝突した場合であっても、パワープラントの前方に設けられたバッテリとパワープラントとが激しく衝突する事態を防ぐことができる車体構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の車体構造は、パワープラントを車体に取り付ける取付部材と、前記パワープラントの前方に設けられたバッテリと、前記車体の前後方向に延びる第1の骨格部材と、前記第1の骨格部材の一端に設けられて前記一端の下端よりも下方に延びる第2の骨格部材と、前記下端よりも可能の部分の前記第2の骨格部材において前記パワープラントよりも後方に設けられて前記取付部材側に突出し、前記第2の骨格部材の前記下側の部分が前記第1の骨格部材の前記下端を回転中心にして前記第1の骨格部材の他端側に向かって回転したときに前記取付部材に接触する位置に配置される突部とを備える。
請求項2に記載の車体構造では、請求項1の記載において、前記突部は、前記取付部材に接触する接触面を備える。前記接触面は、平面であって前記ブラケットに接触するときの姿勢は、前記前後方向に垂直な平面になる姿勢である。
請求項3に記載の車体構造では、請求項1または請求項2の記載において、前記第1の骨格部材は、サイドメンバである。前記第2の骨格部材は、車幅方向に延びるバンパビームである。
本発明によれば、車体例えばバンパビームの内側に突部を設け、衝突時に入力された荷重の大きさによって突部が取付部材を破断させることにより、衝突初期のクラッシャブルレングスを確保し、パワープラントへの初期入力を低減させ、パワープラントの下方へのロールを抑制し、パワープラントの周囲例えばバッテリケース及びバッテリセルへの衝突を緩和させることができる。
本発明の一実施形態に係る車体構造を備える電気自動車を示す斜視図。 図1に示された電気自動車の車体の一部を示す斜視図。 図2に示される車体を、車体の外において第2のサイドメンバ側から車幅方向内側に向かって見た状態を示す側面図。 図3に示すバンパビームを示す斜視図。 図2に示すパワープラントユニットを示す斜視図。 図5に示すリアブラケットを示す斜視図。 図4に示すF7−F7線に沿って示すバンパビームの断面図。 電気自動車の後端に前方に向かって荷重が入力された状態を、図3と同様に示す側面図。 図8に示される範囲F9を示す斜視図。 リアブラケットの中間部が破壊された状態を、図3と同様に示す側面図。 リアブラケットの中間部が破壊された状態を、図3と同様に示す側面図。
本発明の一実施形態に係る車両(車体構造)を、図1〜11を用いて説明する。なお、図面における電気自動車10の車両前後方向Lと、車両上下方向Vと、車幅方向Wとを定義する。電気自動車10が、平面上に載置されたときに、この平面に垂直な方向を車両上下方向Vとする。そして、この平面において電気自動車10が置かれる側から平面に向かう方向を下方向とし、反対方向を上方向とする。電気自動車10が重力の作用する方向に垂直な平面上に置かれたとき、重力の作用する方向が下方向となる。以下、車両前後方向Lを車両前後方向、車両上下方向Vを車両上下方向、車幅方向Wを車幅方向と記載する。
図1は、車両の一例である、電気自動車10を示す斜視図である。図1に示すように、電気自動車10は、車体11と、一対の前輪12と、一対の後輪13とを備えている。また中央近傍の床下にはバッテリ20及びパワープラントユニット30が設けられている。
図2は、車体11の一部を示している。図2に示すように、車体11は、骨格部14と、骨格部14に取り付けられる、バッテリ20とパワープラントユニット30とを備えている。なお骨格部とは、車体の骨格となる部分である。
本実施例において、電気自動車10はH型フレームを有する構造である。このため、骨格部14は、車長方向に延在し車体の一部を構成する第1,2のサイドメンバ15,16と、車幅方向に延在し車体の一部を構成する複数のクロスメンバと、バンパビーム40とを備えている。
図3は、図2に示される車体11の一部である骨格部14とバッテリ20とパワープラント31とを、車体11の外において第2のサイドメンバ16側から車幅方向内側に向かって見た状態を示す側面図である。なお、図3では、バッテリ20と、パワープラントユニット30と、後述されるリアブラケット50とは、互いの車両前後方向の位置関係が明確になるように、その外枠が示されている。
図2,3に示すように、第1,2のサイドメンバ15,16は、前側部15a,16aと、車両前後方向に沿って中央に位置する中央部15b,16bと、後側部15c,16cとを備えている。
前側部15a,16aは、前輪12及び後輪13の中心軸と概ね同じ高さで水平に延在する。中央部15b,16bは、前側部15a,16aと後側部15c,16cを接続し、後方に進むにつれて斜め上方に延在している。後側部15c,16cは、中央部15b,16bの後端から後方に向かって延在し、前側部15a,16aよりも高い位置で車両前後方向に水平に延びている。
複数のクロスメンバとして、第1〜5のクロスメンバ17a,17b,17c,17d,17eを備えている。第1〜5のクロスメンバ17a〜17eは、各々、車幅方向に延在し、一端部が一方の第1のサイドメンバ15に固定され、他端部が第2のサイドメンバ16に固定され、第1〜5のクロスメンバ17a〜17eは、車体前方から順番に配置されており、各々、車両前後方向に離間して配置されている。
バンパビーム40は、本発明で言う第2の骨格部材の一例であり、第1,2のサイドメンバ15,16の後端に固定されている。バンパビーム40は、車幅方向に延びており、車幅方向に沿って中央に位置する中央部41が車幅方向両端部よりも下方に突出するように湾曲する形状である。なお、バンパビーム40は、車幅方向の中間位置を境に車幅方向Wに対称な形状であるとともに、車幅方向に垂直な断面が中空形状である。
バンパビーム40の一端部42は、取付ブラケット44を介して、第1のサイドメンバ15の後端に固定されている。バンパビーム40の他端部43は、取付ブラケット44を介して、第2のサイドメンバ16の後端に固定されている。両取付ブラケット44の形状は、同じである。取付ブラケット44は、図3に示されている。
両取付ブラケット44は、両端部42,43に設けられる取付板45に固定される。このように、バンパビーム40は、取付板45と取付ブラケット44とを介して第1,2のサイドメンバ15,16の後端に固定されている。
図4は、バンパビーム40を示す斜視図である。図4に示すように、取付板45は、上下方向に延びる板形状である。図3に示すように、バンパビーム40が車体11に取り付けられた状態では、取付板45の上端は、第1,2のサイドメンバ15,16の後端の上縁と、上下方向に同じ位置である。取付板45の下端は、第1,2のサイドメンバ15,16の後端の下縁よりも下方に位置している。
バンパビーム40の中央部41は、第1,2のサイドメンバ15,16の後端の下端よりも下方に位置している。図3には、リアバンパ18の一部を2点鎖線で示している。第1,2のサイドメンバ15,16の後端とリアバンパ18とは、車両前後方向に重なる。
なお、バンパビーム40には、車両前後方向前方側に向かって突出する突部60が形成されている。突部60については、後に説明する。
バッテリ20は、複数のバッテリセル21と、複数のバッテリセル21を内蔵するバッテリケース22とを備えている。複数のバッテリセル21の一部を、図3に示している。バッテリ20は、図示しないブラケットを介して第1,2のサイドメンバ15,16の中央部15b,16bに固定されている。より具体的には、図3に示すように、バッテリ20は、第1,2のサイドメンバ15,16の前側部15a,16aから中央部15b,16bの範囲に、下方から固定されている。
パワープラントユニット30は、第1,2のサイドメンバ15,16において、バッテリ20よりも車両前後方向後方に配置されている。図5は、パワープラントユニット30を示す斜視図である。図3に示すように、パワープラントユニット30は、パワープラント31と、パワープラントマウントメンバ32と、フロントブラケット33と、リアブラケット50とを備えている。
電気自動車10は、走行に必要な動力を発生する動力発生装置としてモータ35を備える構造である。モータ35は、電動モータである。このため、電気自動車10においては、パワープラント31は、モータ35と、モータ35の出力軸の回転数を変速する減速機36とで構成されている。モータ35と減速機36とは、互いに一体になるように組み付けられており、1つのユニットとなっている。
パワープラント31は、パワープラントマウントメンバ32を介して骨格部14に固定される。パワープラントマウントメンバ32を、上方から下方に向かって見る平面形状は、前方に向かって開口する略U字形状である。パワープラントマウントメンバ32において両前端部37,38には、フロントブラケット33が車幅方向両端で保持されるフロントブラケット固定部37a,38aが形成され、またパワープラントユニット30よりも後方でリアブラケット固定部32aを介して骨格部14に固定されている。リアブラケット固定部32bは、パワープラントマウントメンバ32上に溶接され、ボルト32cによりに骨格部14に固定されている。
フロントブラケット33は、車幅方向に延びる形状である。フロントブラケット33の両端部の各々には、防振材としてのゴム製のフロントインシュレータ33aが設けられ、ボルト33bによって、パワープラントマウントメンバ32のフロントブラケット固定部38a,39aに固定されている。
さらにパワープラント31(モータ35及び減速機36)の前端部は、ボルト31bによって、フロントブラケット33に固定されている。これら2つのボルト31bは、互いに車幅方向に離間して配置されている。
また、パワープラントマウントメンバ32の後端部39の下方には、リアブラケット50が固定されるリアブラケット固定部39aが形成されている。
図6は、リアブラケット50を示す斜視図である。リアブラケット50は、パワープラント31とパワープラントマウントメンバ32の後端部39との間に配置されたアルミニウム製のブラケットであり、本発明で言う取付部材の一例である。リアブラケット50は、一方向に延びるとともに、この延びる方向を横切る方向に突出するように湾曲する形状である。リアブラケット50は、板状であり、板厚方向に貫通する複数の貫通孔51が形成されている。リアブラケット50の一端部は、板厚方向に見る側面形状が円であり、内側が板厚方向に貫通する形状である。この一端部の内側には、防振材としてのゴム製のリアインシュレータ52が設けられている。
リアブラケット50が取り付けられた状態では、リアブラケット50は、車両前後方向に延びるとともに、上方に突出するように湾曲する形状である。そして、リアインシュレータ52を備えた側の端部が後端部となる。なお板厚方向は車幅方向に平行になる。
図5に示すように、リアブラケット50の後端部55は、ボルト53によって、パワープラントマウントメンバ32のリアブラケット固定部39aに固定される。ボルト53は、リアインシュレータ52の中心を通って車幅方向に延び、固定されている。リアブラケット50の後端部55、つまり、側面形状が円となる部分の周面は、車幅方向に平行である。
パワープラント31は、モータ35と減速機36との境界部に、後方に延びるフランジ部36aが設けられている。図6に示すように、リアブラケット50の前端部、つまりリアインシュレータ52が設けられる端部に対して反対側の端部には、ボルトがはまる貫通孔58が、3つ形成されている。リアブラケット50の前端部56は、3つのボルトによってフランジ部36aに固定される。
図3に示すように、パワープラント31においてリアブラケット50の前端部56が固定される部位である、ボルトが通る貫通孔58のうちもっとも下端に位置する貫通孔58中心の位置P1は、車幅方向Wにパワープラント31を見たときにパワープラント31の上下方向の中心Cよりも上側の部位である。
そして、パワープラントマウントメンバ32においてリアブラケットと50の後端部55を固定部39aに固定するボルト53の軸線の位置P2は、P1よりも上方に位置する。このように、リアブラケット50において、パワープラントマウントメンバ32に固定される部分と、パワープラント31に固定される部分とは、車両前後方向に離間する。
パワープラント31は、フロントブラケット33とリアブラケット50、クロスサポートメンバ34上に溶接した図示しない数箇所のブラケットとを介して、パワープラントマウントメンバ32に固定されている。
つぎに、パワープラントマウントメンバ32を骨格部14に固定する固定構造を説明する。本実施形態では、一例として、パワープラントマウントメンバ32の一方の前端部38は、ボルト38cによって第1のサイドメンバ15に下方から固定されている。他方の前端部37は、ボルト37cによって第2のサイドメンバ16に下方から固定されている。パワープラントマウントメンバ32の後端部39は、パワープラントマウントメンバ32上に溶接されたリアブラケット固定部32bから上方へ突出したボルト39cによって第5のクロスメンバ17e(骨格部14)に固定されている。
図3に示すように、パワープラントユニット30が骨格部14に固定されたとき、パワープラントユニット30は、バッテリケース22に接触しない。パワープラント31とバッテリケース22との間には、隙間Sが設けられている。
また、リアブラケット50は、一定の荷重により破断するように設定されている。ここで言う破断とは、パワープラント31がリアブラケット50を介してパワープラントマウントメンバ32へ支持がされなくなる状態である。
リアブラケット50に、例えば後方から荷重が入力された場合、この荷重がリアブラケット50を破断するに十分な荷重であると、リアブラケット50は粉々となり、パワープラント31とパワープラントマウントメンバ32の後端部39のリアブラケット固定部39aとの間に介装されない状態となる。そのため、後方が衝突した場合であっても、パワープラント31の前方に設けられたバッテリケース22とパワープラント31とが激しく衝突することを防ぎ、その上で衝突によるバッテリの電解液漏れなどを防ぐことができる。
つぎに、突部60について説明する。図4に示すように、突部60は、バンパビーム40の内面において車幅方向中央部に固定されている。なお、内面とは、バンパビーム40が第1,2のサイドメンバ15,16に固定されたときの前面であり、パワープラント31に向かう面である。
図7は、図4に示すF7−F7線に沿って示すバンパビーム40の断面図である。図7は、バンパビーム40を、バンパビーム40が第1,2のサイドメンバ15,16に取り付けられたときの車両前後方向に沿って切断した断面を示している。
図7に示すように、突部60は、本実施形態では、板部材を折り曲げて、バンパビーム40に取り付けられたときに三角形状になる形状に形成され、接触面61を有している。接触面61は、後方からの衝突など電気自動車10の後端に後方から前方に向かう方向に荷重が入力されることによってバンパビーム40が前方に向かって変位したときに、リアブラケット50に接触する面である。接触面61は、車幅方向に平行な面である。
接触面61について、具体的に説明する。図2に示すように、骨格部14と、骨格部14に固定されたパワープラントユニット30とを上方から下方に向かって見たとき、リアブラケット50と突部60とは、車両前後方向で一直線状に位置して設けられている。なお、上方から見た状態であるので、リアブラケット50と突部60との上下方向の位置関係は考慮していない。
図8は、電気自動車10の後端に前方に向かって荷重が入力された状態を示す側面図である。電気自動車10は、図3と同様に示されている。図8に示すように、他車5からバンパビーム40に後方から前方に向かって荷重が入力されると、バンパビーム40において、本実施形態では、両端部42,43の一部と、バンパビーム40の中央部41とは、第1,2のサイドメンバ15,16の下端縁よりも下方に位置しているため、第1,2のサイドメンバ15,16の後端110,120の下端縁111,121より下側の部分が、前方に向かって変位する。
第1のサイドメンバ15の後端110下端縁111は、本実施形態では一例として車幅方向に平行に延びている。このため、下端縁111は、車幅方向にいずれの位置であっても車両上下方向で同じ位置である。第2のサイドメンバ16の後端120の下端縁121は、本実施形態では車幅方向に平行に延びている。このため、下端縁121は、車幅方向にいずれの位置であっても車両上下方向に同じ位置である。第1のサイドメンバ15の後端110の下端縁111と第2のサイドメンバ16の後端120の下端縁121とは、車両上下方向に同じ位置である。そして、下端縁111と下端縁121とは、車両前後方向において同じ位置である。言い換えると、下端縁111と下端縁121とは、互いに車幅方向にて平行であるとともに、車幅方向に同一直線上に位置するので、車幅方向で見る場合、重なることとなる。
バンパビーム40において第1,2のサイドメンバ15,16の後端110,120の下端縁111,121よりも下側の部分の前方への変位として、バンパビーム40が第1,2のサイドメンバ15,16の後端110,120の下端縁111,121を回転中心として回転することによって、バンパビーム40において下端縁111,121よりも下側の部分が前方に変位する場合がある。この場合は、取付ブラケット44が変形する。
または、バンパビーム40において第1,2のサイドメンバ15,16の下端縁111,121と対向する部位を折り目として折り曲げられることによってバンパビーム40において第1,2のサイドメンバ15,16の下端縁111,121よりも下側の部分が前方に変位する場合がある。
上記した変位の2つの例であっても、バンパビーム40において第1,2のサイドメンバ15,16の下端縁111,121より下側の部分の前方への変位は、同じである。上記2つの変位の例は、本発明で言う、下側の部分が第1の骨格部材の下端を回転中心にして骨格部材の他端側に向かって回転することの例である。
接触面61は、平面であり、バンパビーム40が変形する前であると車幅方向に平行であるとともに前下方を向いている。バンパビーム40が第1,2のサイドメンバ15,16の下端縁111,121を回転中心として回転するなどしてバンパビーム40において下端縁111,121よりも下側の部分が前方に変位すると、接触面61は、リアブラケット50の後端部55、つまり側面形状が円となる部分の周面に接触する。
図8は、バンパビーム40において第1,2のサイドメンバ15,16の後端110,120の下端縁111,121よりも下側の部分が変形して前方に変位した後、接触面61がリアブラケット50の後端部に接触した状態を示している。
図9は、図8に示される範囲F9を示す斜視図である。図9は、リアブラケット50の後端部55に突部60が衝突した状態を示す斜視図である。図9に示すように、リアブラケット50に接触した接触面61は、車幅方向と上下方向とに平行な平面となる。つまり、車両前後方向に垂直な姿勢である。このため、バンパビーム40が変形する前の接触面61の姿勢は、接触面61がリアブラケット50の後端部55に接触したときに、車両前後方向に垂直な平面となる姿勢である。
このように、荷重が入力される前の突部60の接触面61の姿勢は、荷重が入力されることによって上記した変形や回転などに起因する変位をした後に図9に示すようにリアブラケット50に衝突するように想定して決定される。なお、この変位は、実験などによって求められ、適宜設定することができる。
本実施形態では、電気自動車10が第1,2のサイドメンバ15,16とバンパビーム40とを備える構造であるため、変位として、上記の回転と折り曲げが想定された。このため、接触面61の姿勢は、この変位に基づいて決定されている。
つぎに、電気自動車10の後端に他車5が衝突した場合の、突部60とリアブラケット50との挙動を説明する。このときリアバンパ18に入力される荷重は、突部60がリアブラケット50に衝突するまでバンパビーム40を回転する大きさを有している。
まず、電気自動車10の後端に衝突する他車5を説明する。図8には、他車5の前端部6を2点鎖線で図示している。なお、図8では、バンパビーム40において第1,2のサイドメンバ15,16の下端縁111、121よりも下側の部分の変位をわかりやすくするために、リアバンパ18は省略する。
他車5が自車である電気自動車10の後端に前方に向かって衝突すると、他車5のフロントバンパ7が電気自動車10のリアバンパに接触する。そして、他車5は、電気自動車10のリアバンパを変形させて、さらに進む。そのため、電気自動車10では、バンパビーム40が前方に押圧されることとなる。
この結果、バンパビーム40は、第1,2のサイドメンバ15,16の後端110,120の下端縁111,121を回転の中心として回転する。この結果、バンパビーム40において下端縁111,121よりも下側の部分が前方に変位する。他車5がさらに進むと、それに伴いバンパビーム40は、さらに回転する。この結果、接触面61がリアブラケット50の後端部55に衝突する。
突部60は、初期状態においてリアブラケット側に向かって突出している。なお、初期状態とは、バンパビーム40が変形する前である。またリアブラケット側とは、突部60に対してリアブラケット50が位置する側である。本実施形態では、リアブラケット50は、突部60に対して車両前方方向に位置している。そのため、突部60は前方に突出している。なお、突出するとは、突部60が形成される周囲に対して突出することであり、バンパビーム40の前面は、初期状態において、一例として、車両前後方向に垂直な平面である。
突部60がリアブラケット側に突出することによって、初期状態の位置にある突部60とリアブラケット50との距離は、初期状態にあるバンパビーム40とリアブラケット50との距離に対して、短くなる。このため、他車5が電気自動車10に後方から衝突してから、突部60がリアブラケット50に衝突するまでの時間が短くすることができる。
突部60がリアブラケット50に衝突するまでの時間が短くできることによって、他車5から入力される荷重が、電気自動車10のリアバンパ18などの外壁部や骨格部14で吸収される前に、突部60はリアブラケット50に衝突する。
つまり、電気自動車10に入力された荷重は、吸収される程度が小さく抑えられた状態で突部60をリアブラケット50に衝突させる。このため、初期位置からリアブラケット50に衝突する位置までの突部60の変位の加速度は、大きくなる。
図8は、接触面61がリアブラケット50の後端部55に衝突した瞬間の状態を、図3と同様に車幅方向に見た状態を示している。上記したように、接触面61は、突部60が前方に移動してリアブラケット50に衝突する際に、前後方向Lに垂直な平面となる姿勢でリアブラケット50に衝突するように、初期位置の姿勢が適宜設定されている。
突部60がリアブラケット50に衝突することによって、突部60を介してリアブラケット50に荷重が伝達される。突部60は、接触面61が前後方向Lに垂直な姿勢でリアブラケット50に衝突することによって、突部60を前方に移動した荷重は、突部60を介して効率よくリアブラケット50に伝達される。このとき、リアブラケット50に伝達される荷重がリアブラケット50を破壊するに充分な大きさを有していると、リアブラケット50は破壊される。
上記したように、リアブラケット50は、車幅方向に見た形状が上方に突出するように湾曲する形状である。さらに、リアブラケット50においてパワープラント31に固定される前端部56と、パワープラントマウントメンバ32に固定される後端部55とは、上下方向に離間している。
このため、リアブラケット50の後端部55に前方に向かう荷重が入力されると、図8に示すように、リアブラケット50の上側部分は車両前後方向に引っ張られ、リアブラケット50の下側部分は車両前後方向に圧縮される。
また、上記したように、突部60は、加速度が大きい状態を保ったまま、リアブラケット50に衝突するため、リアブラケット50は、初期位置に対して動くことなくまたは動いても変位量を小さく抑えたまま、中間部57が破壊されることとなる。
図10は、リアブラケット50の中間部57が破壊された状態を、図3と同様に車幅方向に沿って見た状態を示している。リアブラケット50は、破壊されると粉粉になるように形成されている。このため、図10に示すように、破壊されたリアブラケット50の複数の貫通孔51が設けられている中間部57は粉粉となる。リアブラケット50の中間部57が粉粉になることによって、パワープラント31のリアブラケット50によるパワープラントマウントメンバ32に対する支持が解除される。
リアブラケット50によるパワープラントマウントメンバ32に対する支持が解除されると、パワープラント31には、図10に示すように、フロントブラケット33を回転中心とするモーメントが作用する。なお、パワープラント31が回転しようとする方向を矢印Dで示している。この結果、パワープラント31は、フロントブラケット33を回転中心として、回転する。図11は、リアブラケット50の中間部57が破壊された後の状態の一例を、図10と同様に示している。図11に示すように、リアブラケット50が粉粉になることによって、パワープラント31の回転変位がスムーズに行われる。
パワープラント31の重心より上部に取り付けてあるリアブラケットの破断が遅い場合、支持されたリアブラケットからの入力により衝突初期からパワープラント31が加速され下側にロールし、バッテリ20への入力が増える原因となってしまう。しかし、本実施例のように構成される電気自動車10では、バンパビーム40に突部60が形成され、衝突後にリアブラケット50を早期破断させることで、リアブラケット50による支持が解除され、他車5が電気自動車10の後方に衝突した場合であっても、パワープラント31への初期入力を低減させ、空間(クラッシャブルレングス)を確保し、ロールを抑制し、パワープラント31とバッテリ20との衝突を緩和させることができ、パワープラント31の前方に設けられたバッテリケース22とパワープラント31とが激しく衝突することを防ぎ、さらに衝突によるバッテリの電解液漏れなどを防ぐことができる。
また、突部60がリアブラケット50に衝突する際、接触面61は、車両前後方向に垂直な平面となる。このため、他車5が後方から衝突するなどして電気自動車10に入力される荷重は、効率よくリアブラケット50に伝達される。このため、リアブラケット50をより一層早期に破壊することができる。
また、リアブラケット50は、車体11に取り付けられた状態で上方に突出するように湾曲する形状であることによって、リアブラケット50の上側部分には引っ張り荷重が入力され、リアブラケット50の下側部分には圧縮荷重が入力される。
このため、リアブラケット50の中間部57には応力が集中するので、リアブラケット50を破壊しやすくなる。このように、リアブラケット50が、リアブラケット50の延びる方向に交差する方向に突出するように湾曲することによって、リアブラケット50の破壊を促進するとことができる。他の例としては、リアブラケット50は、下方に向かって突出するように湾曲する形状であってもよい。
また、リアブラケット50において車体側に固定される部分である後端部55と、リアブラケット50においてパワープラント側に取り付けられる前端部56とは、上下方向に離間している。このため中間部57は、破壊されやすくなる。
また、リアブラケット50の中間部57には、複数の貫通孔51が形成されているので、破壊されやすくなる。
なお、図3,8,10,11では、第2のサイドメンバ16とバンパビーム40との関係が示されているが、上記したように第1,2のサイドメンバ15,16とは同じ形状である。このため、骨格部14とバンパビーム40とバッテリ20とパワープラントユニット30とを第1のサイドメンバ15側から見たものは、図3,8,10,11と同じであり、図中の第2のサイドメンバ16に係る符号を第1のサイドメンバ15の対応する符号に変更したものと同じである。
発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]パワープラントを車体に取り付ける取付部材と、前記パワープラントの前方に設けられたバッテリと、前記車体において前記パワープラントよりも後方に設けられて前記取付部材側に突出する突部と、を具備することを特徴とする車体構造。
[2]前記車体は、前記車体の前後方向に延びる第1の骨格部材と、前記第1の骨格部材の一端に設けられて前記一端の下端よりも下方に延び、前記突部が設けられる第2の骨格部材と、を具備し、前記突部は、前記第2の骨格部材において前記下端よりも下側の部分であって前記下側の部分が前記下端を回転中心にして前記骨格部材の他端側に向かって回転したときに、前記取付部材に接触する位置に配置されることを特徴とする[1]に記載の車体構造。
[3]前記突部は、前記取付部材に接触する接触面を具備し、前記接触面は、平面であって前記ブラケットに接触するときの姿勢は、前記前後方向に垂直な平面になる姿勢であることを特徴とする[2]に記載の車体構造。
[4]前記第1の骨格部材は、サイドメンバであり、前記第2の骨格部材は、車幅方向に延びるバンパビームであることを特徴とする[2]または[3]に記載の車体構造。
10…電気自動車(車両)、15…第1のサイドメンバ(第1の骨格部材)、16…第2のサイドメンバ(第1の骨格部材)、31…パワープラント、40…バンパビーム(第2の骨格部材)、50…リアブラケット(取付部材)、60…突部、61…接触面。

Claims (3)

  1. パワープラントを車体に取り付ける取付部材と、
    前記パワープラントの前方に設けられたバッテリと、
    前記車体の前後方向に延びる第1の骨格部材と、
    前記第1の骨格部材の一端に設けられて前記一端の下端よりも下方に延びる第2の骨格部材と、
    前記下端よりも下側の部分の前記第2の骨格部材において前記パワープラントよりも後方に設けられて前記取付部材側に突出し、前記第2の骨格部材の前記下側の部分が前記第1の骨格部材の前記下端を回転中心にして前記第1の骨格部材の他端側に向かって回転したときに前記取付部材に接触する位置に配置される突部と
    を具備することを特徴とする車体構造。
  2. 前記突部は、前記取付部材に接触する接触面を具備し、
    前記接触面は、平面であって前記取付部材に接触するときの姿勢は、前記前後方向に垂直な平面になる姿勢である
    ことを特徴とする請求項1に記載の車体構造。
  3. 前記第1の骨格部材は、サイドメンバであり、
    前記第2の骨格部材は、車幅方向に延びるバンパビームである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体構造。
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