JP6878779B2 - 液体を吐出する装置、及び液体を吐出する方法 - Google Patents

液体を吐出する装置、及び液体を吐出する方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体を吐出する装置、及び液体を吐出する方法に関する。
液体を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)におけるノズル板には、液体を吐出する液体吐出面側表面に撥液膜が設けられている。
前記撥液膜としては、例えば、テトラフルオロエチレンとパーフルオロジメチルジオキソールの共重合体樹脂(テフロン(登録商標)AF、デュポン社製)を使用すること(例えば、特許文献1参照)、前記撥液膜の成膜方法として、例えば、浸漬法、転写法、スプレー塗布法、スピンコート法、ワイヤーバー塗布法、熱蒸着法、メニスカス・コーティング法などによること、前記撥液膜を成膜後にガラス転移点(Tg)以上の温度で加熱(ベーク)することが知られている。
一方、前記液体吐出ヘッドから吐出される液体の一つとしてインクがあり、その吐出方法としてインクジェット記録方式が適用される。
前記インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単であり、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点がある。このため、前記インクジェット記録方式は、パーソナルからオフィス用途、商業印刷や工業印刷の分野へと広がりつつある。
しかし、前記インクジェット記録方式は、水性顔料インクを用いて商業印刷又は出版印刷用コート紙に記録すると、インクの吸収が間に合わずビーディング(濃度ムラ)が発生してしまうという問題がある。前記ビーディングの防止対策として、インク中に疎水性溶剤等の浸透剤や界面活性剤を添加してインクの表面張力を低下させ、水を記録媒体中に浸透させることにより乾燥を速める方法が試みられている。
本発明は、乾燥性に優れた低表面張力の液体を安定に吐出できる液体を吐出する装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の液体を吐出する装置は、液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置であって、
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し、
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下である。
本発明によると、乾燥性に優れた低表面張力の液体を安定に吐出できる液体を吐出する装置を提供することができる。
図1は、本発明の液体を吐出する装置におけるノズル板の一例を示す平面説明図である。 図2は、本発明の液体を吐出する装置におけるノズル板の1つのノズル部分の拡大断面説明図である。 図3は、撥液膜の膜厚の説明に供するノズル孔部分の平面説明図である。 図4は、ノズル板の製造方法の一例の説明に供する説明図である。 図5は、真空蒸着の説明に供する説明図である。 図6Aは、ベーク前の状態を示す撥液膜のSEM写真である。 図6Bは、ベーク前の状態を示す撥液膜のSEM写真である。 図7Aは、ベーク後の状態を示す撥液膜のSEM写真である。 図7Bは、ベーク後の状態を示す撥液膜のSEM写真である。 図8は、本発明の液体を吐出する装置における液体吐出ヘッドの一例を示す外観斜視説明図である。 図8のA−A線に沿うノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。 図8のB−B線に沿うノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。 図11は、本発明の液体を吐出する装置の一例を示す要部平面説明図である。 図12は、本発明の液体を吐出する装置の他の一例を示す要部側面説明図である。 図13は、本発明の液体を吐出する装置における液体吐出ユニットの一例を示す要部平面説明図である。 図14は、本発明の液体を吐出する装置における液体吐出ユニットの他の一例を示す正面説明図である。
(液体を吐出する装置及び液体を吐出する方法)
本発明の液体を吐出する装置は、液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置であって、
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し、
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下である。
本発明の液体の吐出する方法は、液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置を用いて液体を吐出する方法であって、
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し,
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下である。
本発明の液体を吐出する装置、及び本発明の液体を吐出する方法は、従来の乾燥性に優れた表面張力の低い液体では、ノズル孔中でのメニスカスを形成する力が弱く、ノズル孔の汚れ等によりメニスカスが破壊されやすいため、液体吐出ヘッドで液体を吐出させる場合に噴射曲がりが生じてしまうという知見に基づくものである。
<ノズル板>
前記ノズル板は、ノズル基材と、前記ノズル基材上に撥液膜とを有し、シランカップリング剤層を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の層を有する。
−ノズル基材−
前記ノズル基材には、ノズル孔が設けられており、その数、形状、大きさ、材質、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基材は、前記ノズル孔から液体が吐出される液体吐出側の面と、前記液体吐出側の面とは反対側に位置する液室接合面とを有する。
前記撥液膜は、前記ノズル基材の前記液体吐出側の面に形成されている。
前記ノズル基材の平面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方形、正方形、菱形、円形、楕円形などが挙げられる。また、前記ノズル基材の断面形状としては、例えば、平板状、プレート状などが挙げられる。
前記ノズル基材の大きさとしては、特に制限はなく、前記ノズル板の大きさに応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、Al、Bi、Cr、InSn、ITO、Nb、Nb、NiCr、Si、SiO、Sn、Ta、Ti、W、ZAO(ZnO+Al)、Znなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、防錆性の点から、ステンレス鋼が好ましい。
前記ステンレス鋼としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ノズル基材の少なくとも液体吐出側の面は、前記撥液膜と前記ノズル基材との密着性を向上させる点から、酸素プラズマ処理を行って水酸基を導入してもよい。
−ノズル孔−
前記ノズル孔としては、その数、配列、間隔、開口形状、開口の大きさ、開口の断面形状などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル孔の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数の前記ノズル孔が、前記ノズル基材の長さ方向に沿って等間隔に並んで配列されている態様などが挙げられる。
前記ノズル孔の配列は、吐出する液体の種類に応じて適宜選定することができるが、1列〜複数列が好ましく、1列〜4列がより好ましい。
前記1列当たりの前記ノズル孔の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、10個以上10,000個以下が好ましく、50個以上500個以下がより好ましい。
隣接する前記ノズル孔の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、21μm以上169μm以下が好ましい。
前記ノズル孔の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。これらの中でも、液体の液滴を吐出する点から、円形が好ましい。
−撥液膜−
前記撥液膜は、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜である。前記撥液膜が、前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むことにより、表面自由エネルギーが非常に小さくなり、乾燥性に優れた表面張力の低い液体であっても濡れ難い状態を維持でき、安定に吐出できるので好ましい。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂は、非晶質なフッ素樹脂を用いることが好ましい。前記非晶質なフッ素樹脂は、膜強度、基材への密着性、膜の均一性等が優れているため本発明の効果をより一層発揮することができる。
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有していることが、低表面張力の液体におけるメニスカスの保持の点から必要である。
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有していることは、例えば、TOF−SIMS(ALVAC−PHI社製、PHI nanoTOF IITM)で前記ノズル板の液体吐出面及びその裏面から観察することにより確認することができる。
また、前記ノズル板の液体吐出面と反対側にテープを貼り付けずに前記撥水膜の蒸着時を行うと、撥水膜がノズル板裏面のノズル孔近傍に蒸着していることが観察されることから、ノズル内壁面にも前記撥水膜を有していることが推察できる。
前記撥液膜が、前記ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有することが、撥液膜のノズル側のエッジが、周囲の撥水膜よりも低い位置にくるので、ワイパー部材が撥水膜のエッジに干渉しにくくなることで、ワイパー部材が撥液膜のエッジに引っ掛かることを低減・防止し,撥水膜のエッジの劣化を低減させる点から好ましい。
前記斜面領域を有していることは、例えば、イオンポリッシュによりノズル断面を出し、SEM観察することにより確認することができる。
−−含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位−−
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位としては、例えば、米国特許第3,418,302号明細書、米国特許第3,978,030号明細書、特開昭63−238111号公報、特開昭63−238115号公報、特開平1−131214号公報、特開平1−131215号公報等に記載されている構造単位などが好適に用いられる。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位は、静的表面張力が25mN/m以下の液体に対する滑落性のよい膜が得られ,ノズル表面のクリーニング性が向上する点から、エーテル結合を有することが好ましい。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位としては、以下に示すようなヘテロ環状構造を有する構造単位が代表的である。ただし、これらに限定されるものではない。
[一般式(i)]
Figure 0006878779
[一般式(ii)]
Figure 0006878779
ただし、前記一般式(i)及び(ii)中、Rf、Rf、及びRfは、それぞれフッ素含有アルキル基を示す。
[構造式(i)]
Figure 0006878779
[構造式(ii)]
Figure 0006878779
[構造式(iii)]
Figure 0006878779
[構造式(iv)]
Figure 0006878779
[構造式(v)]
Figure 0006878779
[構造式(vi)]
Figure 0006878779
更に、基材との密着性の向上、ガラス転移点(Tg)、及び溶剤への溶解性をコントロールするためには主鎖中に、下記一般式(iii)で表される構造単位を導入してもよく、これらの構造単位は、以下の構造式(vii)から構造式(ix)で表される構造単位からなるモノマーと共重合することにより導入することができる。
[一般式(iii)]
Figure 0006878779
ただし、前記一般式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを示す。ただし、前記Rfはフッ素含有アルキル基である。
Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、Rf、又はRfを示す。ただし、前記Rfは酸、エステル、アルコール、アミン、アミド等の官能機を末端に有する含フッ素有機置換基であり、前記Rfは含フッ素アルキル基、又は含フッ素エーテル基である。
[構造式(vii)]
Figure 0006878779
[構造式(viii)]
Figure 0006878779
[構造式(ix)]
Figure 0006878779
以上示したような特定な化学構造を持ち、撥液膜に適しているものとしては、例えば、商品名:サイトップCTX−105(旭硝子株式会社製)、商品名:サイトップCTX−805(旭硝子株式会社製)、商品名:テフロン(登録商標)AF1600、商品名:AF2400(デュポン社製)などが挙げられる。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂による撥液膜形成方法としては、例えば、フッ素系溶媒を用いたスピンコート、ロールコート、ディッピング等の塗布、印刷、又は真空蒸着等の方法などが挙げられる。
前記フッ素系溶媒としては、前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を溶解することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーフルオロベンゼン、“商品名:アフルード”(商品名:旭硝子株式会社製のフッ素系溶剤)、“フロリナートFC−75”(商品名:3M社製のパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を含んだ液体)等の含フッ素溶剤が好適である。これらは、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、混合溶媒の場合、炭化水素系、塩化炭化水素、フッ塩化炭化水素、アルコール、又はその他の有機溶剤も併用できる。
溶液濃度は0.01質量%以上50質量%以下が好ましく、0.01質量%以上20質量%以下がより好ましい。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂の熱処理条件(温度)は、溶媒の沸点及び前記フッ素樹脂のガラス転移点及び基材の耐熱温度によって決定される。即ち、溶媒の沸点及び前記フッ素樹脂のガラス転移点より高く、基材の耐熱温度より低い温度を選べばよい。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂のガラス転移点(Tg)は、その構造によって異なる。例えば、前記構造式(iv)から前記構造式(vi)の構造のものは、50℃以上110℃以下のものが多いため、熱処理条件は、温度は120℃以上170℃以下、時間は30分間〜2時間が好ましい。
前記フッ素樹脂は、下記構造式(x)で表される構造単位を含むことが好ましい。
[構造式(x)]
Figure 0006878779
主鎖中に前記一般式(ii)の構造単位と、前記構造式(x)で表される構造単位を有するフッ素樹脂は“テフロン(登録商標)AF”という商標名でデュポン社より販売されている。
前記テフロン(登録商標)AFは、その共重合比を変えることによりさまざまなガラス転移点(Tg)を有することができる。即ち、PDD[パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)]成分の比率が高くなるにつれて、ガラス転移点(Tg)は上昇する。その成分比により80℃以上330℃以下ぐらいまで存在し、市販されているのは160℃(商品名:テフロン(登録商標)AF1600、デュポン社製)と240℃(商品名:テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)である。例えば、160℃のものの熱処理温度は、基材の耐熱温度も考え、165℃以上180℃以下が好ましい。
前記撥液膜の液体吐出面側の表面の平均膜厚は、1μm以上3μm以下が好ましい。
前記ノズル基材に設けた凹凸が撥液膜を構成するフッ素樹脂層表面に影響することなく平滑な表面を得るためには、1μm以上の平均膜厚を有することが好ましく、また、ノズルの形状やノズル径を維持する観点からは薄い方が好ましい。前記撥液膜の平均膜厚を1μm以上3μm以下の範囲とすると、ワイピング耐久性の観点からも、ノズルの形状の観点からも好ましい。前記平均膜厚は、例えば、断面SEM観察により測定することができる。
前記撥液膜(フッ素樹脂層)の算術平均粗さRaは、1.0nm以下であることが好ましい。前記平均粗さRaが1.0nm以下であると、ノズル面は極めて平滑になり、ワイピングによる拭き残しが少なくなり、耐摩耗性も優れる。
前記算術平均粗さRaは、以下のように定義される。長さLの区間において粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、抜き取られた部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取る。粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、下記数式(1)によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
Figure 0006878779
前記算術平均粗さRaの測定は、原子間力顕微鏡(ブルカー・エイエックス社製、Dimension Icon)のフォース・タッピングモード(空気中)によって行うことができる。カンチレバーは低バネ定数シリコンカンチレバー(オリンパス株式会社製、OMCL−AC240TS−C3)を使用し、測定長さは10μmとする。
前記撥液膜には、ノズルの外周部分において、ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面が形成された斜面領域がある。なお、斜面領域の斜面は、断面形状で直線状に斜めになっていてもよく、あるいは、曲線状に斜めになっていてもよい。
なお、前記撥液膜の斜面領域を除く斜面領域以外の領域は膜厚がほぼ一定で平坦である。
このように、前記撥液膜に、ノズルの外周部分において、ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域があることで、撥液膜のノズル側のエッジが、周囲の撥液膜よりも低い位置にくるので、ワイパー部材が撥液膜のエッジに干渉しにくくなることで、ワイパー部材が撥液膜のエッジに引っ掛かることを低減乃至防止できる。これにより、撥液膜の耐久性を向上することができる。
前記撥液膜内の下地との界面における前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂の数平均分子量cと、膜最表面における前記フッ素樹脂の数平均分子量dとの間に、c<d、の関係があることが好ましい。
即ち、分子量が相対的に低いと、高温環境において、分子運動性が活発になるため下地との結合状態が良好となる。一方、分子量が高いと、払拭部材と直接接触する膜最表面において物理的磨耗に対する耐久性が向上する。
前記撥液膜の深さ方向における数平均分子量の大小は、温度を徐々に上げることで、低分子量のものから優先的に蒸発するため、樹脂蒸着時の温度をコントロールすることで達成可能である。
なお、前記撥液膜におけるフッ素樹脂の平均分子量は、GPCにより測定することができる。測定結果は、c=240,000、d=290,000であった。
−シランカップリング剤層−
前記ノズル基材と前記撥液層との間には、シランカップリング剤を含有するシランカップリング剤層を有することが好ましい。
前記シランカップリング剤としては、アミノ基を有するカップリング剤が好ましく、特に、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。具体的には、KBE−903(信越化学工業株式会社製)、A1100(モメンティブパフォーマンスマテリアル社製)などが挙げられる。
前記シランカップリング剤層の形成は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法などが挙げられる。
前記アミノ基を有するカップリング剤は、フッ素樹脂の分子中におけるヘテロ環のエーテル部とアミノ基の親和性がよいことから、アミノ基をもつシランカップリング剤をシリカ層の上に一層設けることでフッ素樹脂の定着性が大きく向上する。
ここで、本発明で用いられるノズル板について、図1及び図2を参照して説明する。図1はノズル板の平面説明図、図2は1つのノズル部分の拡大断面説明図である。
ノズル板1は、液体を吐出するノズル11となる孔(以下、「ノズル孔」と称することもある)21が形成されたノズル基材20と、ノズル基材20の表面に形成された中間層30と、液体吐出面側表面に形成された撥液膜40とを有している。
ノズル基材20は、例えば、金属製平板状部材である。ノズル基材20としてのステンレス鋼の金属製平板状部材を使用しているが、これに限るものではない。
中間層30は、下地層となる例えば、SiO層、シランカップリング剤の層などの1又は複数の層で構成している。
撥液膜40は、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂(以下、「フッ素樹脂層」ともいう。)を含有する膜である。
撥液膜40には、ノズル11の外周部分において、ノズル11のエッジ11a側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面41aが形成された斜面領域41がある。なお、斜面領域41の斜面41aは、断面形状で直線状に斜めになっていてもよく、あるいは、曲線状に斜めなっていてもよい。
なお、撥液膜40の斜面領域41を除く斜面領域以外の領域42は膜厚がほぼ一定で平坦である。
このように、撥液膜40に、ノズル11の外周部分において、ノズル11のエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域41があることで、撥液膜40のノズル11側のエッジが、周囲の撥液膜40よりも低い位置にくるので、ワイパー部材が撥液膜40のエッジに干渉しにくくなることで、ワイパー部材が撥液膜40のエッジに引っ掛かることを低減・防止できる。
ノズル板1は、ノズル基材20のノズル孔21の内壁面にも中間層30を形成し、ノズル11の内壁面に撥液膜40を形成している。
ここで、ノズル11の内壁面(ノズル基材20のノズル孔21の壁面に相当する。)の撥液膜40bの膜厚t2は、撥液膜40aの領域42の膜厚t1の1/10以下(t2/t1<0.1)とすることが好ましい。
ノズル11の内壁面における撥液膜40aの膜厚t2は、膜厚が厚くなるとノズル径のバラつきが多くなるので、安定した吐出を実現させるためには薄いほうが好ましい。一方、液体吐出面側における撥液膜40aの膜厚t1は一般的に厚いほど耐久性が向上する。
これら相反する膜厚を有する撥液膜40は、例えば、気相法を用いて成膜することで得られる。
なお、膜厚の測定はイオンポリッシュによりノズル断面を出し、SEM観察することで測定可能である。
このノズル11の内壁面の撥液膜40bの膜厚t2と撥液膜40aの領域42の膜厚t1との関係について評価した。なお、t2/t1の比率が0.1を超えるものは、撥液膜をディップ工法で成膜し、その後、ノズル内に送風することでノズル内に流入したディップ液を飛ばし開口させた状態で乾燥させることでサンプルを得た。
この結果、噴射曲がりの有無は、t2/t1<0.05:無し、t2/t1<0.10:無し、t2/t1≧0.3:有り、となった。このことから、t2/t1<0.10であれば噴射曲りを低減ないし防止できる。
撥液膜40の液体吐出面側の表面の平均膜厚は、1μm以上3μm以下が好ましい。
ここで、撥液膜の膜厚について図3も参照して説明する。図3は同説明に供するノズル孔部分の平面説明図である。
図3に示すように、ノズル11のエッジ11aからエッジ11aの法線上にノズル中心11oとは反対方向に5μm離れた円周CC上における20点で膜厚を測定し、下記数式(2)で求める膜厚の母集団の相加平均を平均膜厚mとする。
Figure 0006878779
そして、下記数式(3)で得られる量を分散と定義し、この分散の正の平方根σを、母集団(膜厚)の標準偏差とする。
Figure 0006878779
ここで、変動係数である「膜厚標準偏差σ/平均膜厚m」が小さいほど、膜厚に対する膜厚ばらつきが小さく平坦であることを意味する。
円周CC上における平均膜厚aは、円周CCを等間隔に直径10μmのスポット径でエリプソメータにより測定した。
このσ/mを変えたときのワイピング後の表面の液体拭き残しの有無を評価したところ、σ/m=0.03:無し、σ/m=0.06:無し、σ/m=0.09:無しであったが、σ/m=0.12:有り、σ/m=0.15:有りとなった。液体の拭き残しがない場合には、吐出される液体の噴射曲がりが発生しない。
したがって、σ/m<0.1、とすることで、噴射曲りを低減できる。
また、中間層30は、撥液膜40の下地となる層がアミノ基を有するシランカップリング剤層であることが好ましい。
これにより、アミノ基と撥液膜材料が相互作用することで高い密着性が得られる。
次に、前記ノズル板の製造方法の一例について図4を参照して説明する。図4は同説明に供する説明図である。
図4(a)の基材準備工程では、ノズル基材20となる金属製平板状部材に対して鏡面研磨工程、洗浄工程の前工程を行う。
なお、ノズル基材20は、例えば、長さ30mm、幅15mm、厚み0.05mmの金属製平板状部材にプレス加工でノズル孔21を開口したものである。
金属製平板状部材としては、鉄基合金の代表例としてのステンレス鋼を使用できる。「ステンレス鋼」とはJIS G0203:2000の番号4201に記載されるように、Cr含有量が10.5質量%以上の鋼であり、種々の鋼種を使用できる。
鋼種として、オーステナイト系であれば、Cr:10.5質量%〜35質量%、好ましくは、11質量%〜30質量%、Ni:5質量%〜30質量%、フェライト系であれば、Cr:10.5質量%〜35質量%、好ましくは15質量%〜30質量%の鋼種を採用することができる。例えば、JIS G4305:2005や、JIS G4312−1991に規定される鋼種を例示することができる。あるいは、これらの規格鋼種などをベースとして他の合金元素を添加し、各種特性の改善を図ったステンレス鋼も使用できる。
ニッケル基合金としては、Cr:12質量%〜27質量%、Fe:5質量%〜18質量%を含有する高耐食性Ni−Cr−Fe合金を使用できる。この種の合金は「インコネル合金」として知られている。
そして、金属製平板状部材に、吐出面と反対側からパンチによる孔開け加工を行い、孔開け加工により生じるバリは、研磨又は化学的なエッチングにより除去する。
次いで、図4(b)の中間層形成工程では、中間層として、ノズル基材20の表面にスパッタ法などでSiO膜31を成膜し、液体吐出面側と反対側の面にテープ60を貼り付けた後、SiO膜31の表面にシランカップリング剤層32を成膜して形成する。
ここで、シランカップリング剤としては、アミノ基を有するカップリング剤が好ましく、特に、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。具体的には、KBE−903(信越化学工業株式会社製)、A1100(モメンティブパフォーマンスマテリアル)などが挙げられる。シランカップリング剤層32の形成は、ディッピング法、スピンコート法、又はスプレー法などいずれの方法を用いてもよい。
アミノ基を有するカップリング剤は、フッ素樹脂の分子中におけるヘテロ環のエーテル部とアミノ基の親和性がよいことから、アミノ基をもつシランカップリング剤をシリカ層の上に一層設けることでフッ素樹脂の定着性が大きく向上する。
その後、図4(c)に示す撥液膜の成膜工程を行い、蒸着工法によって、ノズル基材20上に、撥液材料を蒸着して成膜する。このとき、撥液膜はノズル基材20上であるシランカップリング剤層32の表面(中間層の表面)に成膜される
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂は、1.5×10−3Pa以上8.0×10−3Pa以下の高真空下で、350℃以上420℃以下に加熱し、蒸着膜の厚みが蒸着源に対向したノズル基材20上の厚みが1μm以上3μm以下になるまで真空蒸着する。真空蒸着は、例えば、図5に示すように、真空槽500内に、蒸着源501とノズル基材20とを対向配置して行う。
その後、図4(d)に示すように、アニーリング(加熱処理)による平坦化工程を行う。
ノズル基材20を特に加熱せず、成り行きの温度で蒸着することで得られた膜を、フッ素樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度でベークする(アニーリング)加熱処理を行う。
ベークは、対流式乾燥炉、循環送風式乾燥炉、フラッシュアニール装置、ハロゲンランプヒータ、真空乾燥機など、いずれの方法でもよいが、窒素雰囲気下で実施するのが好ましい。ベーク温度は、ガラス転移点(Tg)より20℃〜30℃高い温度が好ましく、例えばガラス転移点(Tg)が160℃(テフロン(登録商標)AF1600)の場合は、およそ180℃での加熱が好ましい。
フッ素樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度でベーク(アニール)することにより、緻密で、表面が平滑で、ノズル11へ近づくに従って膜厚が薄くなる斜面領域を有する撥液膜40としてのフッ素樹脂膜となる。
例えば、ベーク前は、図6A及び図6Bに示すように、膜内部には細孔600が存在し、膜表面は純水に対する接触角が114°、Ra=8nmであるのに対して、ベーク後は、図7A及び図7Bに示すように、膜内部には空洞がなくなり、膜表面は純水に対する接触角が129°、Raは1nm以下となる。
また、フッ素樹脂膜の表面は、ノズル11のエッジ11aから40nmの範囲内でテーパ形状(斜面形状)となり、40nmの周囲より外側では平坦な面となった。
なお、蒸着工程(図4(c))の後に加熱処理を行うのではなく、蒸着工程中に加熱処理(アニール)を行ってもよい。ノズル基材20を加熱しながらフッ素樹脂を蒸着することで、フッ素樹脂のガラス転移点(Tg)に達しない温度での加熱処理でも、フッ素樹脂の表面を平滑にすることができる。
次に、撥液膜の成膜方法について説明する。
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を使用し、蒸着によりノズル基材に成膜した撥液膜は、液相法(例えば、ディッピング)で得られる撥液膜と異なり、最表面が微小な凹凸状態になることが判明した。また、上述したように、膜内部には細孔が存在する。
そのため、界面活性剤が添加されている液体、有機溶剤からなる液体のように表面張力が低い液体の場合には、ノズル面に設けたフッ素樹脂本来の撥液性を確保できない。
そこで、上記実施形態では、蒸着後、若しくは、蒸着中に撥液膜を加熱することにより、撥液膜を流動させることで、膜の表面を平滑化し、膜内部の細孔が無くなるようにしている。
そのため、蒸着後に撥液膜を加熱する場合には、上記フッ素樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度で加熱処理している。他方、ガラス転移点(Tg)より大幅に高い温度での加熱は、気相法で得られた高い寸法精度の膜形状を溶融し壊してしまうことから、ガラス転移点(Tg)より20℃〜30℃高い温度で、成膜後の撥液膜を加熱処理することが好ましい。
また、蒸着工程中に加熱処理を行う場合は、ノズル基材20を加熱しながらフッ素樹脂を蒸着する。これにより、ノズル基材20に成膜された直後の撥液膜を加熱することになるので、ガラス転移点(Tg)に達しない温度での加熱処理とすることができる。この場合、ノズル基材や中間層に用いる材料を、耐熱性が比較的低い材料も選択することができる。
撥液膜のノズル孔への侵入率は、下記数式(4)で表される。なお、本発明において、ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有する場合とは、下記数式(4)で表される侵入率が20%以上100%以下である場合と定義する。
[数式(4)]
Figure 0006878779
蒸着法を用いることで、均一かつ所望の厚み以下の撥液膜をノズル内壁に後処理の必要が無く得ることができる。
ディップ法やスピンコート法では撥液膜でノズル孔を塞いでしまうため,ノズル孔部を貫通させるための後処理が必要となる。
<液体>
乾燥性に優れた表面張力の低い液体は,ノズル孔中でのメニスカスを形成する力が弱く,ノズル孔の汚れ等によりメニスカスが破壊されやすいため,液体吐出ヘッドで吐出させようとした場合に噴射曲がりを起こすことがある。
ノズル内壁に撥液膜材料を有する場合,ノズル孔中で液体はぬれ広がりにくく,メニスカスをよく保つことができる。
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力は、25mN/m以上32mN/m以下である。前記動的表面張力が、32mN/m以下であることにより、着滴後の濡れ性が高まり、乾燥性が向上する。また、前記動的表面張力が、25mN/m以上であることにより、吐出中のメニスカスが破壊されにくくなる。
前記動的表面張力は、例えば、ポータブル表面張力計(英弘精機株式会社製、SITA DynoTester)により測定することができる。測定条件は、温度:25℃、bublelifetime:15msecである。
前記液体としては、前記液体を吐出する装置で吐出可能な液体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インク、光重合性インク、処理液、定着処理液、レジスト、パターン形成材料、DNA試料、細胞分散液、造形液などが挙げられる。これらの中でも、インクが特に好ましい。
<<インク>>
前記吐出される液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである場合について、以下に説明する。ただし、前記液体はその他の添加物を含んでいてもよい。
<<<有機溶剤>>>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<<<水>>>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<<<色材>>>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂株式会社製RT−100(ノニオン界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
前記分散剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<<<樹脂>>>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、トータルHSP値が20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下である樹脂粒子が好ましい。この理由として、前記トータルHSP値が20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下の場合、ノズル内のメニスカスが乾燥しやすい状態で放置された後でも、本発明における撥液膜に対して樹脂粒子の固着が抑制された。このことは一定時間キャッピングされずに放置されたヘッドにおいても、正常に吐出できることを意味する。
前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよいが、トータルHSP値は20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下の市販品としては、例えば、三井化学株式会社製タケラックWS−4000、W−6010、W−6110、W−6061、W−5661、W−6010などが挙げられる。
前記HSP値とはハンセンの溶解度パラメーターを示し、物質の溶解性を表す指標である。前記HSP値は、溶剤ハンドブック(発行:株式会社講談社サイエンティフィック)などにおいて採用されているヒルデブランドのSP値とはその思想が異なり、溶解性を多次元(典型的には、3次元)のベクトルで表す。このベクトルは、代表的には、分散項、極性項、水素結合項で表すことができ、この分散項はファンデルワールス力、極性項はダイポール・モーメント、水素結合項は水、アルコールなどによる作用を反映している。トータルHSP値は、上記三つのベクトル和である。HSP値は、HSPiPなどの、ソフトウエアにより算出することが可能である。
前記樹脂粒子のトータルHSP値は、実験的に求めた溶解性から算出することができる。前記HSP値が既知である十数種類の溶媒を用いて、樹脂の膨潤試験を行う。膨潤試験の方法は、例えば、テフロン(登録商標)容器に樹脂粒子が分散した樹脂エマルジョン液を流し込み、50℃で3時間乾燥させて作製する、1cm角、厚み2mmの樹脂片を、溶媒に1時間浸漬した際の質量の増加率を評価するものである。そうして溶媒ごとの溶解性を求めた結果を、HSPiPなどの、ソフトウエアに入力することで目的の樹脂のHSP値を算出できる。
前記樹脂粒子のガラス転移点(Tg)は、−30℃以上30℃以下であることが好ましい。この理由として、30℃以下であることで、室温での成膜が可能であり、紙面上で速やかに成膜されるためブロッキングを予防できる。更に、ガラス転移点(Tg)が低い樹脂では、ノズル内壁に固着しやすくメニスカスの破壊の原因になりうるという課題があったが、本発明ではノズル内壁まで撥液膜を有しているため、−30℃以上であれば、撥液膜にも固着せずにメニスカスを形成できる。
前記樹脂粒子のガラス転移点(Tg)は、例えば、高感度示差走査熱量計(株式会社リガク製、Thermo plus EVO2 DSC8231)により測定することができる。具体的には、装置内に基準試料と測定試料を入れて、−70℃から140℃まで、10℃/minで昇温させた際の2つの試料の温度差から、熱エネルギーの変化を定量的に測定してTgを特定する方法である。
<<<添加剤>>>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン化合物を含むことが好ましい。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物を界面活性剤として用いることにより、インク吐出ヘッドのノズル板の撥液膜に濡れ難いインクとなり、インクのノズル付着による吐出不良を防ぎ、吐出安定性が向上する。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物としては、着色剤の種類や前記有機溶剤の組合せによって分散安定性を損なわず、動的表面張力が低く、浸透性、及びレベリング性の点から、下記一般式(III)から(VI)で表される化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
[一般式(III)]
Figure 0006878779
ただし、前記一般式(III)中、mは、0〜23の整数を示し、nは、1〜10の整数を示す。aは、1〜23の整数を示し、bは、0〜23の整数を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
[一般式(IV)]
Figure 0006878779
ただし、前記一般式(IV)中、mは、1〜8の整数を示し、c及びdは、1〜10の整数を示す。R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
[一般式(V)]
Figure 0006878779
ただし、前記一般式(V)中、eは、1〜8の整数を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
[一般式(VI)]
Figure 0006878779
ただし、前記一般式(VI)中、fは、1〜8の整数を示す。Rは、下記一般式(VI−1)で表されるポリエーテル基を表す。
[一般式(VI−1)]
Figure 0006878779
ただし、前記一般式(VI−1)中、gは、0〜23の整数を示し、hは、0〜23の整数を示し、g及びhが同時に0となることはない。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
前記一般式(III)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[構造式(VI)]
Figure 0006878779
[構造式(VII)]
Figure 0006878779
[構造式(VIII)]
Figure 0006878779
[構造式(IX)]
Figure 0006878779
[構造式(X)]
Figure 0006878779
[構造式(XI)]
Figure 0006878779
[構造式(XII)]
Figure 0006878779
[構造式(XIII)]
Figure 0006878779
前記一般式(IV)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[構造式(XIV)]
Figure 0006878779
前記一般式(V)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[構造式(XV)]
Figure 0006878779
前記一般式(VI)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[構造式(XVI)]
Figure 0006878779
[構造式(XVII)]
Figure 0006878779
[構造式(XVIII)]
Figure 0006878779
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第5101598号公報、特許第5032325号公報、特許第5661229号公報などの記載を参照することができる。
具体的には、(A)ポリエーテルと、(B)オルガノハイドロジェンシロキサンとを、ヒドロシリル化反応させることにより合成することができる。
前記(A)成分のポリエーテルは、−(C2nO)−(ただし、式中、nは2〜4である)によって表されるポリオキシアルキレンコポリマーを示す。
前記ポリオキシアルキレンコポリマー単位は、好ましくは、オキシエチレン単位−(CO)−、オキシプロピレン単位−(CO)−、オキシブチレン単位−(CO)−、又はそれらの混合単位を含むことができる。前記オキシアルキレン単位は、どのようなやり方で配置されていてもよく、ブロック又はランダムコポリマー構造のいずれかを形成できるが、好ましくはランダムコポリマー基を形成する。より好ましくは前記ポリオキシアルキレンは、オキシエチレン単位(CO)及びオキシプロピレン単位(CO)の両方をランダムコポリマー中に含む。
前記(B)成分のオルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つの、ケイ素に結合した水素(SiH)を含むオルガノポリシロキサンである。前記オルガノポリシロキサンとしては、例えば、(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、(SiO)(ただし、式中、Rは独立して有機基又は炭化水素基である)のシロキシ単位の任意の数あるいは組み合わせなどが挙げられる。
前記オルガノポリシロキサンの(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)のRがメチル基である場合は、前記シロキシ単位は、それぞれM、D、及びT単位として示され、一方、(SiO)シロキシ単位はQ単位として示される。
前記オルガノハイドロジェンシロキサンは類似した構造をもっているが、シロキシ単位上に存在する少なくとも1つのSiHを有する。
前記オルガノハイドロジェンシロキサン中のメチル系シロキシ単位は、「M」シロキシ単位(RHSiO0.5)、「D」シロキシ単位(RHSiO)、「T」シロキシ単位(HSiO1.5)を含むものとして表すことができる。
前記オルガノハイドロジェンシロキサンは、少なくとも1つのシロキシ単位がSiHを含むことを条件として、任意の数のM、M、D、D、T、T、又はQシロキシ単位を含むことができる。
前記(A)成分及び前記(B)成分は、ヒドロシリル化反応によって反応させる。前記ヒドロシリル化反応は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヒドロシリル化触媒を添加して行うことが好ましい。
前記ヒドロシリル化触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、もしくはイリジウム金属、又はそれらの有機金属化合物、あるいはそれらの組み合わせなどが挙げられる。
前記ヒドロシリル化触媒の含有量は、前記(A)成分及び前記(B)成分の重量を基準にして、0.1ppm以上1,000ppm以下が好ましく、1ppm以上100ppm以下がより好ましい。
前記ヒドロシリル化反応は、希釈なし、あるいは溶媒の存在下で行うことができるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn−プロパノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレン);脂肪族炭化水素(例えば、ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン);グリコールエーテル(例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、又はエチレングリコールn−ブチルエーテル)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、又はメチレンクロライド、クロロホルム)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、揮発油、ミネラルスピリット、又はナフサなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヒドロシリル化反応に用いられる前記(A)成分及び前記(B)成分の量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができ、前記(A)成分中の全不飽和基と、前記(B)成分のSiH含有量とのモル比で表される。前記オルガノハイドロジェンシロキサンのSiHモル量に対して、20モル%以下のポリエーテル不飽和基量を用いて行うことが好ましく、10モル%以下のポリエーテル不飽和基量を用いて行うことがより好ましい。
前記ヒドロシリル化反応は、特に制限はなく、公知の任意のバッチ法、半連続法、又は連続法において行うことができ、例えば、プラグフロー反応器を用いた連続法で行うことができる。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の市販品としては、例えば、71ADDITIVE、74ADDITIVE、57ADDITIVE、8029ADDITIVE、8054ADDITIVE、8211ADDITIVE、8019ADDITIVE、8526ADDITIVE、FZ−2123、FZ−2191(いずれも、TORAY ダウ・コーニング株式会社製);TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4460(いずれも、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製);シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG008、シルフェイスSJM003(いずれも、日信化学工業株式会社製);TEGO Wet KL245、TEGO Wet 250、TEGO Wet 260、TEGO Wet 265、TEGO Wet 270、TEGO Wet 280(いずれも、エボニック社製);BYK−345,BYK−347,BYK−348,BYK−375,BYK−377(いずれも、ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、TEGO Wet 270(エボニック社製)、シルフェイスSAG503A(日信化学工業株式会社製)が好ましい。
前記界面活性剤としては、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物以外にも、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール又はアセチレンアルコール系界面活性剤などを併用してもよい。
−消泡剤−
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
−防腐防黴剤−
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
−防錆剤−
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
−pH調整剤−
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
前記インクの固形分含有量としては,1質量%以上13質量%以下が好ましい。
前記固形分含有量が、13質量%以下であることでノズル孔への固着が発生しにくくなり、良好な吐出性が得られる。
前記インクの固形分の平均粒子径としては、累積50%粒子径(D50)で、80nm以上200nm以下が好ましい。
前記累積50%粒子径(D50)が80nm以上であることで,印刷対象表面上に粒子が残りやすくなり、濃度ムラは低減される。また、前記累積50%粒子径が、200nm以下であることで、固形分によるノズル詰まりが発生しにくくなる。
前記インクの固形分の平均粒子径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、前記粘度は、例えば、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である
前記インク中の水分が蒸発すると、インク中の固形分含有量の増加等により増粘することがある。増粘率が高いと増粘インクによりノズル孔が詰まりやすくなり、吐出異常の原因となる。
良好な吐出を維持するには,30質量%の水分が蒸発した時に,下記数式(5)で表される粘度増加率は、600%以下が好ましく、400%以下がより好ましい。
Figure 0006878779
前記インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<<記録媒体>>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
<液体吐出ヘッド>
本発明の液体を吐出する装置は、前記ノズル板を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する液体吐出ヘッドを備えている。
<<その他の部材>>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加圧室、刺激発生手段などが挙げられる。
−加圧室−
前記加圧室は、前記ノズル板に設けられた複数の前記ノズル孔に個別に対応して配置され、前記ノズル孔と連通する複数の個別流路であり、液体流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室などと称することもある。
−刺激発生手段−
前記刺激発生手段は、液体に印加する刺激を発生する手段である。
前記刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。前記刺激発生手段としては、具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記刺激が「熱」の場合、前記液体吐出ヘッド内の液体に対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、例えば、サーマルヘッド等を用いて付与する。前記熱エネルギーにより前記液体に気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記ノズル板の前記ノズル孔から前記液体を液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
前記刺激が「圧力」の場合、例えば、前記液体吐出ヘッド内の液体流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。それにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル孔から前記液体を液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加して液体を飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
ここで、本発明で用いられる液体吐出ヘッドの一例について、図8から図10を参照して説明する。図8は同ヘッドの外観斜視説明図、図9は図8のA−A線に沿うノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図、図10は図8のB−B線に沿うノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。
前記液体吐出ヘッドは、本発明に係るノズル板101と、流路板102と、壁面部材としての振動板部材103とを積層接合している。そして、振動板部材103を変位させる圧電アクチュエータ111と、共通流路部材としてのフレーム部材120とを備えている。
ノズル板101、流路板102及び振動板部材103によって、液滴を吐出する複数のノズル104が通じる個別流路105を形成している。個別流路105は、ノズル104側を下流側とするとき、下流側からノズル104が通じる個別液室106と、個別液室106に液体を供給する流体抵抗部107と、流体抵抗部107に通じる液導入部108とで構成される。
そして、フレーム部材120の共通流路としての共通液室110から振動板部材103に形成した導入口部(供給口)109を通じて、個別流路105に液体が導入され、液導入部108、流体抵抗部107を経て個別液室106に液体が供給される。なお、導入口部109にはフィルタが設けられてもよい。
ここで、ノズル板101は、上述した本発明で用いられるノズル板であって、液滴吐出側面には撥液膜が設けられているものである。
流路板102は、SUS基板をエッチングして、個別液室106、流体抵抗部107、液導入部108などの個別流路105を形成する貫通部を形成している。
振動板部材103は、流路板102の個別液室106の壁面を形成する壁面部材である。この振動板部材103は3層構造とし、流路板102側を1層目とするとき、1層目で個別液室106に対応する部分に変形可能な振動領域(振動板)130を形成している。
この振動板部材103は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造したものを用いている。これに限らず、その他の金属部材、樹脂部材、樹脂層と金属層の積層部材などを用いることができる。
そして、この振動板部材103の個別液室106とは反対側に、振動板部材103の振動領域130を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ111を配置している。
この圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に接着剤接合した複数の積層型圧電部材112を有し、圧電部材112にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材112に対して所要数の圧電柱112A、112Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
圧電部材112の圧電柱112A、112Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電柱を駆動圧電柱(駆動柱)112A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電柱を非駆動圧電柱(非駆動柱)112Bとして区別している。
そして、駆動柱112Aを振動板部材103の振動領域130に形成した島状の厚肉部である凸部130aに接合している。また、非駆動柱112Bを振動板部材103の厚肉部である凸部130bに接合している。
この圧電部材112は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、駆動柱112Aの外部電極に駆動信号を与えるための可撓性を有するフレキシブル配線基板としてのFPC15が接続されている。
フレーム部材120は、例えば、エポキシ系樹脂或いは熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイト等で射出成形により形成し、図示しないヘッドタンクや液体カートリッジから液体が供給される共通液室110が形成されている。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動柱112Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって駆動柱112Aが収縮し、振動板部材103の振動領域130が下降して個別液室106の容積が膨張することで、個別液室106内に液体が流入する。
その後、駆動柱112Aに印加する電圧を上げて駆動柱112Aを積層方向に伸長させ、振動板部材103の振動領域130をノズル104方向に変形させて個別液室106の容積を収縮させることにより、個別液室106内の液体が加圧され、ノズル104から液滴が吐出(噴射)される。
そして、駆動柱112Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材103の振動領域130が初期位置に復元し、個別液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室110から個別液室6内に液体が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
このように、この液体吐出ヘッドは本発明で用いられるノズル板を備えているので、滴吐出特性のバラツキの少ない安定した滴吐出を行うことができる。
次に、本発明の液体を吐出する装置の一例について図11及び図12を参照して説明する。図11は同装置の要部平面説明図、図12は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明で用いられるノズル板を含む液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。
液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパー部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、本発明で用いられる液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明の液体を吐出する装置における液体吐出ユニットの一例について図13を参照して説明する。図13は同ユニットの要部平面説明図である。
前記液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、前記液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本本発明の液体を吐出する装置における液体吐出ユニットの他の一例について図14を参照して説明する。図14は同ユニットの正面説明図である。
前記液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本発明において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
前記「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、前記「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、前記「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
前記「液体が付着可能もの」とは液体が一時的にでも付着可能なものを意味する。前記「液体が付着するもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、前記「液体を吐出する装置」には、特に限定しない限り、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
また、前記「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
前記「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、前記「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、前記液体吐出ユニットとして、図12で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、前記液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、前記液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図13で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、前記液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、前記液体吐出ユニットとして、図14で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、前記「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<ノズル板の作製>
−ノズル基材の作製−
長さ30mm、幅15mm、厚み0.05mmのSUS316Lからなる金属製平板状部材に対し、液体吐出面と反対側からパンチによって孔開け加工を行った。孔開け加工に用いたパンチは、円筒状の先端部分を長さ10μm、直径20μmとした。なお、液体吐出面側に生じたバリは研磨により除去した。
これにより、図2に示す液体吐出面側の円筒状部分21aの直径が20μm、液体吐出面と反対側の面の円錐台形状部分21bの開口の直径が40μm、円筒状部分21aの高さが10μmのノズル孔21を384個形成したノズル基材20を得た。
次いで、中間層30として、ノズル基材20の表面にスパッタ法でSiO膜31を成膜し、液体吐出面側と反対側の面にテープ60を貼り付けた後、SiO膜31の表面にシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、KBE−903(信越化学工業株式会社製))の層32をスピンコート法で成膜して形成した。
−撥液膜の形成−
ノズル基材20の液体吐出面側に、テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)を、1.5×10−3Pa〜8.0×10−3Paの高真空下で、350℃〜420℃に加熱し、蒸着膜の平均厚みが蒸着源に対向した部分で1μm〜3μm程度になるまで真空蒸着した。
得られた蒸着膜は、フッ素樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度(320℃)で5分間〜60分間ベークすることにより、緻密で表面が平滑な撥液膜40となるフッ素樹脂膜を形成した。
前記撥液膜の前記液体吐出面側表面の平均膜厚は、2.0μmであった。なお、前記平均膜厚は、断面SEM観察(日本電子株式会社製、JSM−7001F)により測定した。
得られたノズル板は、図2に示すように、ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有しており、ノズル基材20のノズル孔21の内壁面にも撥液膜40を形成していた。
ここで、ノズル11の内壁面(ノズル基材20のノズル孔21の壁面に相当する。)の撥液膜40bの膜厚t2は、撥液膜40aの領域42の膜厚t1の1/10以下(t2/t1≦0.1)であった。
<インクの調製>
−顔料分散体の調製−
カーボンブラック(NIPEX 160、オリオンエンジニアドカーボン社製)20質量部、及び分散剤(RT−100、竹本油脂株式会社製)5質量部に、イオン交換水75質量部を加えて、合計100質量部となるようにし、30分間磁気攪拌子で攪拌した。得られた混合物をボールミル(株式会社アサヒ理化製作所製、メディア:直径2mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速100rpmで24時間分散した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、顔料分散体(固形分25質量%)を得た。
−インクの作製−
表2に示す1,2−プロパンジオール32質量%、前記顔料分散体20質量%、界面活性剤(TEGO WET270、ポリエーテル変性シロキサンポリマー、Evonik Industries社製)2質量%、樹脂(ポリカーボネート系樹脂(タケラックW6110、三井化学株式会社製)3質量%、及び合計が100質量%となるようにイオン交換水を残量添加し、混合攪拌した後、平均孔径0.2μmのポリプロピレンフィルターで濾過して、インクを作製した。
なお,表2中の顔料と分散樹脂は所定の分量が含まれるように前記顔料分散体を混合した。
インクの固形分は、混合した各材料の固形分の質量%を合算した値である。材料の固形分の比率は製品に記載の値である。
(実施例2〜11及び比較例4〜5)
<ノズル板の作製、及びインクの調製>
実施例1において、表1に示すように、撥液膜材料、製造方法、及びベーク温度を変化させてノズル板を作製し、表1に示す顔料分散体の分散時間とし、表2に示すインク組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜11及び比較例4〜5のノズル板及びインクを作製した。
(比較例1)
<ノズル板の作製>
テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)2質量部、及びフッ素系溶剤(FC−75、住友3M株式会社製)98質量部を混合溶解し、樹脂溶液を作製した。
予め、超音波で洗浄した長さ30mm、幅15mm、厚み0.05mmのポリイミドフィルム(ユーピレックス(登録商標)S、宇部興産株式会社製)の表面に対し、上記樹脂溶液をスピンコート法により、1st・5,000rpm/5秒間、2nd・1,500rpm/20秒間の条件で塗布し、30分間自然乾燥後、320℃でベークすることにより、撥液膜を形成した。
前記ポリイミドフィルムの裏面から、KrFエキシマレーザーにより、液体吐出面側の円筒状部分21aの直径が20μmノズル孔を384個形成したノズル板を作製した。
<インクの調製>
実施例1と同じインクを用いた。
(比較例2)
<ノズル板の作製>
含フッ素アクリレートエステル重合体溶液(オプツールDSX原液、ダイキン工業株式会社製)をロータリーポンプにより10−1Paまで減圧し、その状態で室温(25℃)から徐々に約450℃まで昇温させることで、蒸着膜の厚みが蒸着源に対向した部分で20nm程度になるまでSiO膜が成膜されたノズル基材20に対して蒸着し、蒸着膜を形成した。
得られた蒸着膜を、70℃で10分間ベークすることにより、緻密で表面が平滑な撥液膜となるフッ素樹脂膜を形成し、ノズル板を作製した。
<インクの調製>
実施例1と同じインクを用いた。
(比較例3)
<ノズル板の作製>
比較例1と同じノズル板を用いた。
<インクの調製>
表2に示すインク組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のインクを調製した。
Figure 0006878779
−t2/t1≦0.1の評価基準−
○:ノズルの内壁面の撥液膜の膜厚t2が、撥液膜の領域の膜厚t1の1/10以下(t2/t1≦0.1)である。
×:ノズルの内壁面の撥液膜の膜厚t2が、撥液膜の領域の膜厚t1の1/10を超えている。
−撥液膜材料−
・AF2400:テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)
・AF1600:テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(商品名、テフロン(登録商標)AF2400、AF1600、デュポン社製)
・オプツールDSX:含フッ素アクリレートエステル重合体溶液、ダイキン工業株式会社製
Figure 0006878779
*表2中の略号等の詳細は以下の通りである。
・有機溶剤:1,2−PD:1,2−プロパンジオール
・顔料:NIPEX 160:オリオンエンジニアドカーボン社製
・分散剤:RT−100:竹本油脂株式会社製
・界面活性剤:TEGO WET270:ポリエーテル変性シロキサンポリマー、Evonik Industries社製
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂(タケラックW6110、三井化学株式会社製)
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂(タケラックW6061、三井化学株式会社製)
・ポリエーテル系ウレタン樹脂(タケラックW5661、三井化学株式会社製)
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂(タケラックW6010、三井化学株式会社製)
・アクリルシリコーン樹脂(サイマックUS480、東亜合成株式会社製)
前記樹脂のトータルHSP値、及びガラス転移点(Tg)を以下のようにして測定した。結果を表3に示した。
<トータルHSP値>
前記樹脂のトータルHSP値は、実験的に求めた溶解性から算出した。前記HSP値が既知である十数種類の溶媒を用いて、樹脂の膨潤試験を行った。膨潤試験の方法は、テフロン(登録商標)容器に樹脂粒子が分散した樹脂エマルジョン液を流し込み、50℃で3時間乾燥させて作製した、1cm角、厚み2mmの樹脂片を、溶媒に1時間浸漬した際の質量の増加率を評価した。そうして溶媒ごとの溶解性を求めた結果を、ソフトウエア(HSPiP)に入力することで目的の樹脂のトータルHSP値を算出した。
<ガラス転移点(Tg)>
前記樹脂のガラス転移点(Tg)は、高感度示差走査熱量計(株式会社リガク製、Thermo plus EVO2 DSC8231)を用いて測定した。
Figure 0006878779
次に、作製した実施例及び比較例の各インクについて、以下のようにして、諸物性を測定した。結果を表4に示した。
<動的表面張力>
各インクの動的表面張力は、ポータブル表面張力計(英弘精機株式会社製、SITA DynoTester)を用いて、温度:25℃、bublelifetime:15msecの条件で測定した。
<累積50%粒子径(D50)>
各インクの固形分の累積50%粒子径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した。
<粘度増加率>
下記数式(5)から、各インクの30質量%水分蒸発時の粘度増加率を求めた。
粘度は、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE−550L)を用い、測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、粘度に合わせて回転数0.1rpm単位で任意調整し、3分間で測定した。
Figure 0006878779
Figure 0006878779
次に、表1及び表2に示す実施例及び比較例のように調合したインクとノズル板を備える液体吐出ヘッドとを、液体を吐出する装置としてのインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G515)に搭載して、以下に示すようにして。諸特性の評価を行った。結果を表5に示した。
<ビーディング>
記録媒体として王子製紙株式会社製OKトップコート+(坪量104.7g/m)を用い、印字モードをプリンタ添付のドライバで「光沢紙−きれい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用し、黒色ベタ画像を印字し、黒色ベタ画像の濃度ムラ(ビーディング)を目視観察し、下記評価基準により判定した。なお、黒色ベタ画像は目視では非常に見難いので、光学顕微鏡で40倍に拡大して観察した。
[評価基準]
A:全くなし
B:僅かにあり
C:実用の範囲内
D:実用の範囲外
<吐出安定性>
前記インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G515)を用いて、3万回のクリーニングを実施した後の状態(耐久試験後)で、それぞれノズルチェックパターンを印刷し、印刷されたノズルチェックパターンを目視観察して噴射曲がりの有無から、下記基準にしたがって、吐出安定性を評価した。
[評価基準]
A:初期状態と同等の良好な吐出安定性を有している
B:Cよりも良好な吐出安定性を有している
C:実用上問題ない程度の噴射曲がり
D:実用に耐えない
<回復性>
前記インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G515)を用いて、インクを充填したヘッドを、キャッピングせずに30分間放置した。その後、ノズルチェックパターンを印刷した際に、全ノズルから正常に吐出されるまでに必要なクリーニング回数を求め、下記基準により回復性を評価した。
[評価基準]
A:クリーニングなし(0回)で正常に全ノズルから吐出
B:1回のクリーニングにより正常に全ノズルから吐出
C:2回のクリーニングにより正常に全ノズルから吐出
D:3回以上のクリーニングでも回復しない
<耐ブロッキング性>
上記ビーディングと同じ記録方法にて、計2枚の印刷物を作成し、得られた画像を重ね合わせ、5kg/cmの圧力をかけて24時間放置した後、印刷物同士の張り付き具合と画像の転写の様子を観察し、下記基準で評価した。
[評価基準]
A:印刷物同士の張り付きがなく、画像の転写もない
B:印刷物同士の張り付きはあるが、画像の転写はない
C:印刷物同士の張り付きがあり、画像の転写もある
Figure 0006878779
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置であって、
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し、
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下であることを特徴とする液体を吐出する装置である。
<2> 前記フッ素樹脂が、更に、下記構造式(x)で表される構造単位を含む前記<1>に記載の液体を吐出する装置である。
[構造式(x)]
Figure 0006878779
<3> 前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位が、エーテル結合を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<4> 前記撥液膜が、前記ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<5> 前記液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである前記<1>から<4>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<6> 前記インクの30質量%水分蒸発時の粘度増加率が400%以下であり、かつ固形分含有量が1質量%以上13質量%以下である前記<5>に記載の液体を吐出する装置である。
<7> 前記インクの固形分の累積50%粒子径(D50)が、80nm以上200nm以下である前記<5>から<6>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<8> 前記ノズルの内壁面の前記撥液膜の膜厚t2が、前記斜面領域以外の領域の膜厚t1の1/10以下であるノズル板を有する前記<4>から<7>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<9> 前記撥液膜内の下地との界面における前記フッ素樹脂の数平均分子量cと、前記撥液膜最表面における前記フッ素樹脂の数平均分子量dとが、次式、c<d、を満たす前記<1>から<8>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<10> 前記ノズル基材と前記撥液膜が、シランカップリング剤層を介して密着している前記<1>から<9>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<11> 前記シランカップリング剤層が、アミノ基を有するシランカップリング剤層である前記<10>に記載の液体を吐出する装置である。
<12> 前記撥液膜の前記液体吐出面側表面の平均膜厚が、1μm以上3μm以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<13> 前記液体が、樹脂粒子を含有する前記<5>から<12>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<14> 前記樹脂粒子のトータルHSP値が、20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下である前記<13>に記載の液体を吐出する装置である。
<15> 前記樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が、−30℃以上30℃以下である前記<13>から<14>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<16> 前記液体が界面活性剤を含有し、前記界面活性剤がポリエーテル変性シロキサン化合物である前記<5>から<15>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<17> 液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置を用いて液体を吐出する方法であって、
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し,
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下であることを特徴とする液体を吐出する方法である。
<18> 前記フッ素樹脂が、更に、下記構造式(x)で表される構造単位を含む前記<17>に記載の液体を吐出する方法である。
[構造式(x)]
Figure 0006878779
<19> 前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位が、エーテル結合を有する前記<17>から<18>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<20> 前記撥液膜が、前記ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有する前記<17>から<19>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<21> 前記液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである前記<17>から<20>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<22>前記インクの30質量%水分蒸発時の粘度増加率が400%以下であり、かつ固形分含有量が1質量%以上13質量%以下である前記<21>に記載の液体を吐出する方法である。
<23> 前記インクの固形分の累積50%粒子径(D50)が、80nm以上200nm以下である前記<21>から<22>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<24> 前記ノズルの内壁面の前記撥液膜の膜厚t2が、前記斜面領域以外の領域の膜厚t1の1/10以下であるノズル板を有する前記<20>から<23>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<25> 前記撥液膜内の下地との界面における前記フッ素樹脂の数平均分子量cと、前記撥液膜最表面における前記フッ素樹脂の数平均分子量dとが、次式、c<d、を満たす前記<17>から<24>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<26> 前記ノズル基材と前記撥液膜が、シランカップリング剤層を介して密着している前記<17>から<25>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<27> 前記シランカップリング剤層が、アミノ基を有するシランカップリング剤層である前記<26>に記載の液体を吐出する方法である。
<28> 前記撥液膜の前記液体吐出面側表面の平均膜厚が、1μm以上3μm以下である前記<17>から<27>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<29> 前記液体が、樹脂粒子を含有する前記<21>から<28>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<30> 前記樹脂粒子のトータルHSP値が、20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下である前記<29>に記載の液体を吐出する方法である。
<31> 前記樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が、−30℃以上30℃以下である前記<29>から<31>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<32> 前記液体が界面活性剤を含有し、前記界面活性剤がポリエーテル変性シロキサン化合物である前記<21>から<31>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
前記<1>から<16>のいずれかに記載の液体を吐出する装置、及び前記<17>から<32>のいずれかに記載の液体を吐出する方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 ノズル板
11 ノズル
20 ノズル基材
21 ノズル孔
30 中間層
40 撥液膜
101 ノズル板
102 流路板
103 振動板部材
104 ノズル
106 個別液室
110 共通液室
112 圧電部材
120 フレーム部材
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
特開2008−188911号公報

Claims (18)

  1. 液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置であって、
    前記撥液膜が蒸着膜であり、
    前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
    前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し、
    前記ノズルの前記内壁面に形成された前記撥液膜の、下記数式(4)で表される侵入率が20%以上であり、
    前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下であることを特徴とする液体を吐出する装置。
    [数式(4)]
    Figure 0006878779
  2. 前記フッ素樹脂が、更に、下記構造式(x)で表される構造単位を含む請求項1に記載の液体を吐出する装置。
    [構造式(x)]
    Figure 0006878779
  3. 前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位が、エーテル結合を有する請求項1から2のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  4. 前記撥液膜が、前記ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有する請求項1から3のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  5. 前記液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである請求項1から4のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  6. 前記インクの30質量%水分蒸発時の粘度増加率が400%以下であり、かつ固形分含有量が1質量%以上13質量%以下である請求項5に記載の液体を吐出する装置。
  7. 前記インクの固形分の累積50%粒子径(D50)が、80nm以上200nm以下である請求項5から6のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  8. 前記ノズルの内壁面の前記撥液膜の膜厚t2が、前記斜面領域以外の領域の膜厚t1の1/10以下であるノズル板を有する請求項4から7のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  9. 前記撥液膜内の下地との界面における前記フッ素樹脂の数平均分子量cと、前記撥液膜最表面における前記フッ素樹脂の数平均分子量dとが、次式、c<d、を満たす請求項1から8のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  10. 前記ノズル基材と前記撥液膜が、シランカップリング剤層を介して密着している請求項1から9のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  11. 前記シランカップリング剤層が、アミノ基を有するシランカップリング剤層である請求項10に記載の液体を吐出する装置。
  12. 前記撥液膜の前記液体吐出面側表面の平均膜厚が、1μm以上3μm以下である請求項1から11のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  13. 前記液体が、樹脂粒子を含有する請求項5から12のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  14. 前記樹脂粒子のトータルHSP値が、20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下である請求項13に記載の液体を吐出する装置。
  15. 前記樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が、−30℃以上30℃以下である請求項13から14のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  16. 前記液体が界面活性剤を含有し、前記界面活性剤がポリエーテル変性シロキサン化合物である請求項5から15のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  17. 前記数式(4)で表される侵入率が20%以上100%以下である請求項1から16のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  18. 液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置を用いて液体を吐出する方法であって、
    前記撥液膜が蒸着膜であり、
    前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
    前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し、
    前記ノズルの前記内壁面に形成された前記撥液膜の、下記数式(4)で表される侵入率が20%以上であり、
    前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下であることを特徴とする液体を吐出する方法。
    [数式(4)]
    Figure 0006878779
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