JP6878779B2 - 液体を吐出する装置、及び液体を吐出する方法 - Google Patents
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Description
前記インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単であり、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点がある。このため、前記インクジェット記録方式は、パーソナルからオフィス用途、商業印刷や工業印刷の分野へと広がりつつある。
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し、
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下である。
本発明の液体を吐出する装置は、液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置であって、
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し、
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下である。
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し,
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下である。
前記ノズル板は、ノズル基材と、前記ノズル基材上に撥液膜とを有し、シランカップリング剤層を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の層を有する。
前記ノズル基材には、ノズル孔が設けられており、その数、形状、大きさ、材質、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基材は、前記ノズル孔から液体が吐出される液体吐出側の面と、前記液体吐出側の面とは反対側に位置する液室接合面とを有する。
前記撥液膜は、前記ノズル基材の前記液体吐出側の面に形成されている。
前記ノズル基材の大きさとしては、特に制限はなく、前記ノズル板の大きさに応じて適宜選択することができる。
前記ノズル孔としては、その数、配列、間隔、開口形状、開口の大きさ、開口の断面形状などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル孔の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数の前記ノズル孔が、前記ノズル基材の長さ方向に沿って等間隔に並んで配列されている態様などが挙げられる。
前記ノズル孔の配列は、吐出する液体の種類に応じて適宜選定することができるが、1列〜複数列が好ましく、1列〜4列がより好ましい。
前記1列当たりの前記ノズル孔の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、10個以上10,000個以下が好ましく、50個以上500個以下がより好ましい。
隣接する前記ノズル孔の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、21μm以上169μm以下が好ましい。
前記ノズル孔の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。これらの中でも、液体の液滴を吐出する点から、円形が好ましい。
前記撥液膜は、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜である。前記撥液膜が、前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むことにより、表面自由エネルギーが非常に小さくなり、乾燥性に優れた表面張力の低い液体であっても濡れ難い状態を維持でき、安定に吐出できるので好ましい。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂は、非晶質なフッ素樹脂を用いることが好ましい。前記非晶質なフッ素樹脂は、膜強度、基材への密着性、膜の均一性等が優れているため本発明の効果をより一層発揮することができる。
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有していることは、例えば、TOF−SIMS(ALVAC−PHI社製、PHI nanoTOF IITM)で前記ノズル板の液体吐出面及びその裏面から観察することにより確認することができる。
また、前記ノズル板の液体吐出面と反対側にテープを貼り付けずに前記撥水膜の蒸着時を行うと、撥水膜がノズル板裏面のノズル孔近傍に蒸着していることが観察されることから、ノズル内壁面にも前記撥水膜を有していることが推察できる。
前記撥液膜が、前記ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有することが、撥液膜のノズル側のエッジが、周囲の撥水膜よりも低い位置にくるので、ワイパー部材が撥水膜のエッジに干渉しにくくなることで、ワイパー部材が撥液膜のエッジに引っ掛かることを低減・防止し,撥水膜のエッジの劣化を低減させる点から好ましい。
前記斜面領域を有していることは、例えば、イオンポリッシュによりノズル断面を出し、SEM観察することにより確認することができる。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位としては、例えば、米国特許第3,418,302号明細書、米国特許第3,978,030号明細書、特開昭63−238111号公報、特開昭63−238115号公報、特開平1−131214号公報、特開平1−131215号公報等に記載されている構造単位などが好適に用いられる。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位は、静的表面張力が25mN/m以下の液体に対する滑落性のよい膜が得られ,ノズル表面のクリーニング性が向上する点から、エーテル結合を有することが好ましい。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位としては、以下に示すようなヘテロ環状構造を有する構造単位が代表的である。ただし、これらに限定されるものではない。
Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、Rf5、又はRf6を示す。ただし、前記Rf5は酸、エステル、アルコール、アミン、アミド等の官能機を末端に有する含フッ素有機置換基であり、前記Rf6は含フッ素アルキル基、又は含フッ素エーテル基である。
前記フッ素系溶媒としては、前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を溶解することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーフルオロベンゼン、“商品名:アフルード”(商品名:旭硝子株式会社製のフッ素系溶剤)、“フロリナートFC−75”(商品名:3M社製のパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を含んだ液体)等の含フッ素溶剤が好適である。これらは、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、混合溶媒の場合、炭化水素系、塩化炭化水素、フッ塩化炭化水素、アルコール、又はその他の有機溶剤も併用できる。
溶液濃度は0.01質量%以上50質量%以下が好ましく、0.01質量%以上20質量%以下がより好ましい。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂の熱処理条件(温度)は、溶媒の沸点及び前記フッ素樹脂のガラス転移点及び基材の耐熱温度によって決定される。即ち、溶媒の沸点及び前記フッ素樹脂のガラス転移点より高く、基材の耐熱温度より低い温度を選べばよい。
前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂のガラス転移点(Tg)は、その構造によって異なる。例えば、前記構造式(iv)から前記構造式(vi)の構造のものは、50℃以上110℃以下のものが多いため、熱処理条件は、温度は120℃以上170℃以下、時間は30分間〜2時間が好ましい。
前記ノズル基材に設けた凹凸が撥液膜を構成するフッ素樹脂層表面に影響することなく平滑な表面を得るためには、1μm以上の平均膜厚を有することが好ましく、また、ノズルの形状やノズル径を維持する観点からは薄い方が好ましい。前記撥液膜の平均膜厚を1μm以上3μm以下の範囲とすると、ワイピング耐久性の観点からも、ノズルの形状の観点からも好ましい。前記平均膜厚は、例えば、断面SEM観察により測定することができる。
なお、前記撥液膜の斜面領域を除く斜面領域以外の領域は膜厚がほぼ一定で平坦である。
即ち、分子量が相対的に低いと、高温環境において、分子運動性が活発になるため下地との結合状態が良好となる。一方、分子量が高いと、払拭部材と直接接触する膜最表面において物理的磨耗に対する耐久性が向上する。
なお、前記撥液膜におけるフッ素樹脂の平均分子量は、GPCにより測定することができる。測定結果は、c=240,000、d=290,000であった。
前記ノズル基材と前記撥液層との間には、シランカップリング剤を含有するシランカップリング剤層を有することが好ましい。
前記シランカップリング剤としては、アミノ基を有するカップリング剤が好ましく、特に、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。具体的には、KBE−903(信越化学工業株式会社製)、A1100(モメンティブパフォーマンスマテリアル社製)などが挙げられる。
前記シランカップリング剤層の形成は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法などが挙げられる。
ここで、ノズル11の内壁面(ノズル基材20のノズル孔21の壁面に相当する。)の撥液膜40bの膜厚t2は、撥液膜40aの領域42の膜厚t1の1/10以下(t2/t1<0.1)とすることが好ましい。
なお、膜厚の測定はイオンポリッシュによりノズル断面を出し、SEM観察することで測定可能である。
ここで、撥液膜の膜厚について図3も参照して説明する。図3は同説明に供するノズル孔部分の平面説明図である。
このσ/mを変えたときのワイピング後の表面の液体拭き残しの有無を評価したところ、σ/m=0.03:無し、σ/m=0.06:無し、σ/m=0.09:無しであったが、σ/m=0.12:有り、σ/m=0.15:有りとなった。液体の拭き残しがない場合には、吐出される液体の噴射曲がりが発生しない。
したがって、σ/m<0.1、とすることで、噴射曲りを低減できる。
これにより、アミノ基と撥液膜材料が相互作用することで高い密着性が得られる。
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を使用し、蒸着によりノズル基材に成膜した撥液膜は、液相法(例えば、ディッピング)で得られる撥液膜と異なり、最表面が微小な凹凸状態になることが判明した。また、上述したように、膜内部には細孔が存在する。
撥液膜のノズル孔への侵入率は、下記数式(4)で表される。なお、本発明において、ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有する場合とは、下記数式(4)で表される侵入率が20%以上100%以下である場合と定義する。
ディップ法やスピンコート法では撥液膜でノズル孔を塞いでしまうため,ノズル孔部を貫通させるための後処理が必要となる。
乾燥性に優れた表面張力の低い液体は,ノズル孔中でのメニスカスを形成する力が弱く,ノズル孔の汚れ等によりメニスカスが破壊されやすいため,液体吐出ヘッドで吐出させようとした場合に噴射曲がりを起こすことがある。
ノズル内壁に撥液膜材料を有する場合,ノズル孔中で液体はぬれ広がりにくく,メニスカスをよく保つことができる。
前記動的表面張力は、例えば、ポータブル表面張力計(英弘精機株式会社製、SITA DynoTester)により測定することができる。測定条件は、温度:25℃、bublelifetime:15msecである。
前記吐出される液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである場合について、以下に説明する。ただし、前記液体はその他の添加物を含んでいてもよい。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂株式会社製RT−100(ノニオン界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
前記分散剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、トータルHSP値が20[(J/cm3)0.5]以上24.9[(J/cm3)0.5]以下である樹脂粒子が好ましい。この理由として、前記トータルHSP値が20[(J/cm3)0.5]以上24.9[(J/cm3)0.5]以下の場合、ノズル内のメニスカスが乾燥しやすい状態で放置された後でも、本発明における撥液膜に対して樹脂粒子の固着が抑制された。このことは一定時間キャッピングされずに放置されたヘッドにおいても、正常に吐出できることを意味する。
前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよいが、トータルHSP値は20[(J/cm3)0.5]以上24.9[(J/cm3)0.5]以下の市販品としては、例えば、三井化学株式会社製タケラックWS−4000、W−6010、W−6110、W−6061、W−5661、W−6010などが挙げられる。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
前記界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン化合物を含むことが好ましい。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物を界面活性剤として用いることにより、インク吐出ヘッドのノズル板の撥液膜に濡れ難いインクとなり、インクのノズル付着による吐出不良を防ぎ、吐出安定性が向上する。
具体的には、(A)ポリエーテルと、(B)オルガノハイドロジェンシロキサンとを、ヒドロシリル化反応させることにより合成することができる。
前記(A)成分のポリエーテルは、−(CnH2nO)−(ただし、式中、nは2〜4である)によって表されるポリオキシアルキレンコポリマーを示す。
前記ポリオキシアルキレンコポリマー単位は、好ましくは、オキシエチレン単位−(C2H4O)−、オキシプロピレン単位−(C3H6O)−、オキシブチレン単位−(C4H8O)−、又はそれらの混合単位を含むことができる。前記オキシアルキレン単位は、どのようなやり方で配置されていてもよく、ブロック又はランダムコポリマー構造のいずれかを形成できるが、好ましくはランダムコポリマー基を形成する。より好ましくは前記ポリオキシアルキレンは、オキシエチレン単位(C2H4O)及びオキシプロピレン単位(C3H6O)の両方をランダムコポリマー中に含む。
前記オルガノポリシロキサンの(R3SiO0.5)、(R2SiO)、(RSiO1.5)のRがメチル基である場合は、前記シロキシ単位は、それぞれM、D、及びT単位として示され、一方、(SiO2)シロキシ単位はQ単位として示される。
前記オルガノハイドロジェンシロキサンは類似した構造をもっているが、シロキシ単位上に存在する少なくとも1つのSiHを有する。
前記オルガノハイドロジェンシロキサン中のメチル系シロキシ単位は、「MH」シロキシ単位(R2HSiO0.5)、「DH」シロキシ単位(RHSiO)、「TH」シロキシ単位(HSiO1.5)を含むものとして表すことができる。
前記オルガノハイドロジェンシロキサンは、少なくとも1つのシロキシ単位がSiHを含むことを条件として、任意の数のM、MH、D、DH、T、TH、又はQシロキシ単位を含むことができる。
前記ヒドロシリル化触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、もしくはイリジウム金属、又はそれらの有機金属化合物、あるいはそれらの組み合わせなどが挙げられる。
前記ヒドロシリル化触媒の含有量は、前記(A)成分及び前記(B)成分の重量を基準にして、0.1ppm以上1,000ppm以下が好ましく、1ppm以上100ppm以下がより好ましい。
前記溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn−プロパノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレン);脂肪族炭化水素(例えば、ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン);グリコールエーテル(例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、又はエチレングリコールn−ブチルエーテル)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、又はメチレンクロライド、クロロホルム)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、揮発油、ミネラルスピリット、又はナフサなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヒドロシリル化反応は、特に制限はなく、公知の任意のバッチ法、半連続法、又は連続法において行うことができ、例えば、プラグフロー反応器を用いた連続法で行うことができる。
これらの中でも、TEGO Wet 270(エボニック社製)、シルフェイスSAG503A(日信化学工業株式会社製)が好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
前記固形分含有量が、13質量%以下であることでノズル孔への固着が発生しにくくなり、良好な吐出性が得られる。
前記累積50%粒子径(D50)が80nm以上であることで,印刷対象表面上に粒子が残りやすくなり、濃度ムラは低減される。また、前記累積50%粒子径が、200nm以下であることで、固形分によるノズル詰まりが発生しにくくなる。
前記インクの固形分の平均粒子径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
良好な吐出を維持するには,30質量%の水分が蒸発した時に,下記数式(5)で表される粘度増加率は、600%以下が好ましく、400%以下がより好ましい。
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
本発明の液体を吐出する装置は、前記ノズル板を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する液体吐出ヘッドを備えている。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加圧室、刺激発生手段などが挙げられる。
前記加圧室は、前記ノズル板に設けられた複数の前記ノズル孔に個別に対応して配置され、前記ノズル孔と連通する複数の個別流路であり、液体流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室などと称することもある。
前記刺激発生手段は、液体に印加する刺激を発生する手段である。
前記刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。前記刺激発生手段としては、具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記刺激が「圧力」の場合、例えば、前記液体吐出ヘッド内の液体流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。それにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル孔から前記液体を液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加して液体を飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
<ノズル板の作製>
−ノズル基材の作製−
長さ30mm、幅15mm、厚み0.05mmのSUS316Lからなる金属製平板状部材に対し、液体吐出面と反対側からパンチによって孔開け加工を行った。孔開け加工に用いたパンチは、円筒状の先端部分を長さ10μm、直径20μmとした。なお、液体吐出面側に生じたバリは研磨により除去した。
これにより、図2に示す液体吐出面側の円筒状部分21aの直径が20μm、液体吐出面と反対側の面の円錐台形状部分21bの開口の直径が40μm、円筒状部分21aの高さが10μmのノズル孔21を384個形成したノズル基材20を得た。
ノズル基材20の液体吐出面側に、テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)を、1.5×10−3Pa〜8.0×10−3Paの高真空下で、350℃〜420℃に加熱し、蒸着膜の平均厚みが蒸着源に対向した部分で1μm〜3μm程度になるまで真空蒸着した。
得られた蒸着膜は、フッ素樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度(320℃)で5分間〜60分間ベークすることにより、緻密で表面が平滑な撥液膜40となるフッ素樹脂膜を形成した。
前記撥液膜の前記液体吐出面側表面の平均膜厚は、2.0μmであった。なお、前記平均膜厚は、断面SEM観察(日本電子株式会社製、JSM−7001F)により測定した。
得られたノズル板は、図2に示すように、ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有しており、ノズル基材20のノズル孔21の内壁面にも撥液膜40を形成していた。
ここで、ノズル11の内壁面(ノズル基材20のノズル孔21の壁面に相当する。)の撥液膜40bの膜厚t2は、撥液膜40aの領域42の膜厚t1の1/10以下(t2/t1≦0.1)であった。
−顔料分散体の調製−
カーボンブラック(NIPEX 160、オリオンエンジニアドカーボン社製)20質量部、及び分散剤(RT−100、竹本油脂株式会社製)5質量部に、イオン交換水75質量部を加えて、合計100質量部となるようにし、30分間磁気攪拌子で攪拌した。得られた混合物をボールミル(株式会社アサヒ理化製作所製、メディア:直径2mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速100rpmで24時間分散した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、顔料分散体(固形分25質量%)を得た。
表2に示す1,2−プロパンジオール32質量%、前記顔料分散体20質量%、界面活性剤(TEGO WET270、ポリエーテル変性シロキサンポリマー、Evonik Industries社製)2質量%、樹脂(ポリカーボネート系樹脂(タケラックW6110、三井化学株式会社製)3質量%、及び合計が100質量%となるようにイオン交換水を残量添加し、混合攪拌した後、平均孔径0.2μmのポリプロピレンフィルターで濾過して、インクを作製した。
なお,表2中の顔料と分散樹脂は所定の分量が含まれるように前記顔料分散体を混合した。
インクの固形分は、混合した各材料の固形分の質量%を合算した値である。材料の固形分の比率は製品に記載の値である。
<ノズル板の作製、及びインクの調製>
実施例1において、表1に示すように、撥液膜材料、製造方法、及びベーク温度を変化させてノズル板を作製し、表1に示す顔料分散体の分散時間とし、表2に示すインク組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜11及び比較例4〜5のノズル板及びインクを作製した。
<ノズル板の作製>
テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)2質量部、及びフッ素系溶剤(FC−75、住友3M株式会社製)98質量部を混合溶解し、樹脂溶液を作製した。
予め、超音波で洗浄した長さ30mm、幅15mm、厚み0.05mmのポリイミドフィルム(ユーピレックス(登録商標)S、宇部興産株式会社製)の表面に対し、上記樹脂溶液をスピンコート法により、1st・5,000rpm/5秒間、2nd・1,500rpm/20秒間の条件で塗布し、30分間自然乾燥後、320℃でベークすることにより、撥液膜を形成した。
前記ポリイミドフィルムの裏面から、KrFエキシマレーザーにより、液体吐出面側の円筒状部分21aの直径が20μmノズル孔を384個形成したノズル板を作製した。
実施例1と同じインクを用いた。
<ノズル板の作製>
含フッ素アクリレートエステル重合体溶液(オプツールDSX原液、ダイキン工業株式会社製)をロータリーポンプにより10−1Paまで減圧し、その状態で室温(25℃)から徐々に約450℃まで昇温させることで、蒸着膜の厚みが蒸着源に対向した部分で20nm程度になるまでSiO2膜が成膜されたノズル基材20に対して蒸着し、蒸着膜を形成した。
得られた蒸着膜を、70℃で10分間ベークすることにより、緻密で表面が平滑な撥液膜となるフッ素樹脂膜を形成し、ノズル板を作製した。
実施例1と同じインクを用いた。
<ノズル板の作製>
比較例1と同じノズル板を用いた。
表2に示すインク組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のインクを調製した。
○:ノズルの内壁面の撥液膜の膜厚t2が、撥液膜の領域の膜厚t1の1/10以下(t2/t1≦0.1)である。
×:ノズルの内壁面の撥液膜の膜厚t2が、撥液膜の領域の膜厚t1の1/10を超えている。
・AF2400:テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)
・AF1600:テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(商品名、テフロン(登録商標)AF2400、AF1600、デュポン社製)
・オプツールDSX:含フッ素アクリレートエステル重合体溶液、ダイキン工業株式会社製
・有機溶剤:1,2−PD:1,2−プロパンジオール
・顔料:NIPEX 160:オリオンエンジニアドカーボン社製
・分散剤:RT−100:竹本油脂株式会社製
・界面活性剤:TEGO WET270:ポリエーテル変性シロキサンポリマー、Evonik Industries社製
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂(タケラックW6110、三井化学株式会社製)
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂(タケラックW6061、三井化学株式会社製)
・ポリエーテル系ウレタン樹脂(タケラックW5661、三井化学株式会社製)
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂(タケラックW6010、三井化学株式会社製)
・アクリルシリコーン樹脂(サイマックUS480、東亜合成株式会社製)
前記樹脂のトータルHSP値は、実験的に求めた溶解性から算出した。前記HSP値が既知である十数種類の溶媒を用いて、樹脂の膨潤試験を行った。膨潤試験の方法は、テフロン(登録商標)容器に樹脂粒子が分散した樹脂エマルジョン液を流し込み、50℃で3時間乾燥させて作製した、1cm角、厚み2mmの樹脂片を、溶媒に1時間浸漬した際の質量の増加率を評価した。そうして溶媒ごとの溶解性を求めた結果を、ソフトウエア(HSPiP)に入力することで目的の樹脂のトータルHSP値を算出した。
前記樹脂のガラス転移点(Tg)は、高感度示差走査熱量計(株式会社リガク製、Thermo plus EVO2 DSC8231)を用いて測定した。
各インクの動的表面張力は、ポータブル表面張力計(英弘精機株式会社製、SITA DynoTester)を用いて、温度:25℃、bublelifetime:15msecの条件で測定した。
各インクの固形分の累積50%粒子径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した。
下記数式(5)から、各インクの30質量%水分蒸発時の粘度増加率を求めた。
粘度は、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE−550L)を用い、測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、粘度に合わせて回転数0.1rpm単位で任意調整し、3分間で測定した。
記録媒体として王子製紙株式会社製OKトップコート+(坪量104.7g/m2)を用い、印字モードをプリンタ添付のドライバで「光沢紙−きれい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用し、黒色ベタ画像を印字し、黒色ベタ画像の濃度ムラ(ビーディング)を目視観察し、下記評価基準により判定した。なお、黒色ベタ画像は目視では非常に見難いので、光学顕微鏡で40倍に拡大して観察した。
[評価基準]
A:全くなし
B:僅かにあり
C:実用の範囲内
D:実用の範囲外
前記インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G515)を用いて、3万回のクリーニングを実施した後の状態(耐久試験後)で、それぞれノズルチェックパターンを印刷し、印刷されたノズルチェックパターンを目視観察して噴射曲がりの有無から、下記基準にしたがって、吐出安定性を評価した。
[評価基準]
A:初期状態と同等の良好な吐出安定性を有している
B:Cよりも良好な吐出安定性を有している
C:実用上問題ない程度の噴射曲がり
D:実用に耐えない
前記インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G515)を用いて、インクを充填したヘッドを、キャッピングせずに30分間放置した。その後、ノズルチェックパターンを印刷した際に、全ノズルから正常に吐出されるまでに必要なクリーニング回数を求め、下記基準により回復性を評価した。
[評価基準]
A:クリーニングなし(0回)で正常に全ノズルから吐出
B:1回のクリーニングにより正常に全ノズルから吐出
C:2回のクリーニングにより正常に全ノズルから吐出
D:3回以上のクリーニングでも回復しない
上記ビーディングと同じ記録方法にて、計2枚の印刷物を作成し、得られた画像を重ね合わせ、5kg/cm2の圧力をかけて24時間放置した後、印刷物同士の張り付き具合と画像の転写の様子を観察し、下記基準で評価した。
[評価基準]
A:印刷物同士の張り付きがなく、画像の転写もない
B:印刷物同士の張り付きはあるが、画像の転写はない
C:印刷物同士の張り付きがあり、画像の転写もある
<1> 液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置であって、
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し、
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下であることを特徴とする液体を吐出する装置である。
<2> 前記フッ素樹脂が、更に、下記構造式(x)で表される構造単位を含む前記<1>に記載の液体を吐出する装置である。
[構造式(x)]
<4> 前記撥液膜が、前記ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<5> 前記液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである前記<1>から<4>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<6> 前記インクの30質量%水分蒸発時の粘度増加率が400%以下であり、かつ固形分含有量が1質量%以上13質量%以下である前記<5>に記載の液体を吐出する装置である。
<7> 前記インクの固形分の累積50%粒子径(D50)が、80nm以上200nm以下である前記<5>から<6>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<8> 前記ノズルの内壁面の前記撥液膜の膜厚t2が、前記斜面領域以外の領域の膜厚t1の1/10以下であるノズル板を有する前記<4>から<7>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<9> 前記撥液膜内の下地との界面における前記フッ素樹脂の数平均分子量cと、前記撥液膜最表面における前記フッ素樹脂の数平均分子量dとが、次式、c<d、を満たす前記<1>から<8>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<10> 前記ノズル基材と前記撥液膜が、シランカップリング剤層を介して密着している前記<1>から<9>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<11> 前記シランカップリング剤層が、アミノ基を有するシランカップリング剤層である前記<10>に記載の液体を吐出する装置である。
<12> 前記撥液膜の前記液体吐出面側表面の平均膜厚が、1μm以上3μm以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<13> 前記液体が、樹脂粒子を含有する前記<5>から<12>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<14> 前記樹脂粒子のトータルHSP値が、20[(J/cm3)0.5]以上24.9[(J/cm3)0.5]以下である前記<13>に記載の液体を吐出する装置である。
<15> 前記樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が、−30℃以上30℃以下である前記<13>から<14>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<16> 前記液体が界面活性剤を含有し、前記界面活性剤がポリエーテル変性シロキサン化合物である前記<5>から<15>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
<17> 液体を吐出するノズルを有し、少なくとも液体吐出面側表面に、ノズル基材と撥液膜とを有するノズル板を備えた液体を吐出する装置を用いて液体を吐出する方法であって、
前記撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜であり、
前記ノズルの内壁面にも前記撥液膜を有し,
前記液体の25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力が、25mN/m以上32mN/m以下であることを特徴とする液体を吐出する方法である。
<18> 前記フッ素樹脂が、更に、下記構造式(x)で表される構造単位を含む前記<17>に記載の液体を吐出する方法である。
[構造式(x)]
<20> 前記撥液膜が、前記ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有する前記<17>から<19>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<21> 前記液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである前記<17>から<20>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<22>前記インクの30質量%水分蒸発時の粘度増加率が400%以下であり、かつ固形分含有量が1質量%以上13質量%以下である前記<21>に記載の液体を吐出する方法である。
<23> 前記インクの固形分の累積50%粒子径(D50)が、80nm以上200nm以下である前記<21>から<22>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<24> 前記ノズルの内壁面の前記撥液膜の膜厚t2が、前記斜面領域以外の領域の膜厚t1の1/10以下であるノズル板を有する前記<20>から<23>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<25> 前記撥液膜内の下地との界面における前記フッ素樹脂の数平均分子量cと、前記撥液膜最表面における前記フッ素樹脂の数平均分子量dとが、次式、c<d、を満たす前記<17>から<24>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<26> 前記ノズル基材と前記撥液膜が、シランカップリング剤層を介して密着している前記<17>から<25>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<27> 前記シランカップリング剤層が、アミノ基を有するシランカップリング剤層である前記<26>に記載の液体を吐出する方法である。
<28> 前記撥液膜の前記液体吐出面側表面の平均膜厚が、1μm以上3μm以下である前記<17>から<27>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<29> 前記液体が、樹脂粒子を含有する前記<21>から<28>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<30> 前記樹脂粒子のトータルHSP値が、20[(J/cm3)0.5]以上24.9[(J/cm3)0.5]以下である前記<29>に記載の液体を吐出する方法である。
<31> 前記樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が、−30℃以上30℃以下である前記<29>から<31>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
<32> 前記液体が界面活性剤を含有し、前記界面活性剤がポリエーテル変性シロキサン化合物である前記<21>から<31>のいずれかに記載の液体を吐出する方法である。
11 ノズル
20 ノズル基材
21 ノズル孔
30 中間層
40 撥液膜
101 ノズル板
102 流路板
103 振動板部材
104 ノズル
106 個別液室
110 共通液室
112 圧電部材
120 フレーム部材
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
Claims (18)
- 前記含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位が、エーテル結合を有する請求項1から2のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記撥液膜が、前記ノズルの外周部分において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有する請求項1から3のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである請求項1から4のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記インクの30質量%水分蒸発時の粘度増加率が400%以下であり、かつ固形分含有量が1質量%以上13質量%以下である請求項5に記載の液体を吐出する装置。
- 前記インクの固形分の累積50%粒子径(D50)が、80nm以上200nm以下である請求項5から6のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記ノズルの内壁面の前記撥液膜の膜厚t2が、前記斜面領域以外の領域の膜厚t1の1/10以下であるノズル板を有する請求項4から7のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記撥液膜内の下地との界面における前記フッ素樹脂の数平均分子量cと、前記撥液膜最表面における前記フッ素樹脂の数平均分子量dとが、次式、c<d、を満たす請求項1から8のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記ノズル基材と前記撥液膜が、シランカップリング剤層を介して密着している請求項1から9のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記シランカップリング剤層が、アミノ基を有するシランカップリング剤層である請求項10に記載の液体を吐出する装置。
- 前記撥液膜の前記液体吐出面側表面の平均膜厚が、1μm以上3μm以下である請求項1から11のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記液体が、樹脂粒子を含有する請求項5から12のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記樹脂粒子のトータルHSP値が、20[(J/cm3)0.5]以上24.9[(J/cm3)0.5]以下である請求項13に記載の液体を吐出する装置。
- 前記樹脂粒子のガラス転移点(Tg)が、−30℃以上30℃以下である請求項13から14のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記液体が界面活性剤を含有し、前記界面活性剤がポリエーテル変性シロキサン化合物である請求項5から15のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
- 前記数式(4)で表される侵入率が20%以上100%以下である請求項1から16のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
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