JP2022158815A - 印刷方法、印刷装置 - Google Patents

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直人 志村
Naoto Shimura
悠哉 廣川
Yuya Hirokawa
祐介 小飯塚
Yusuke Koiizuka
孝幸 清水
Takayuki Shimizu
逸郎 佐々木
Itsuro Sasaki
舜介 堀江
Shunsuke Horie
希 寺井
Nozomi Terai
健太 萩原
Kenta Hagiwara
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Abstract

【課題】浸透性の被印刷物であっても高い画像品質を有し、かつ、吐出安定性に優れた印刷方法の提供。【解決手段】インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥工程と、前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥工程を有し、前記第一の乾燥工程の加熱温度T1(℃)、及び前記第二の乾燥工程の加熱温度T2(℃)が不等式(1)を満たし、0(℃)≦T2-T1≦90(℃)・・・不等式(1)前記インクが、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤Bを含み、前記有機溶剤Aの含有量が30質量%以下であり、前記有機溶剤Bの含有量が1質量%以上3質量%以下であり、前記樹脂の含有量が、前記インクに対して、5質量%以上15質量%以下である印刷方法。【選択図】なし

Description

本発明は、印刷方法及び印刷装置に関する。
インクジェット印刷方法は、容易にカラー画像の記録が可能であり、しかもランニングコストが低いなどの理由から、近年、急速に普及してきている。印刷に用いる被印刷物は多岐にわたり、その中には普通紙、光沢紙などの紙類の他に、編み物、織物、不織布等、繊維からなる布及び生地も含まれる(例えば、特許文献1参照)。
このような被印刷物の多くは浸透性の被印刷物であるが、浸透性の被印刷物に印刷した場合、インクに含まれる色材が被印刷物内部まで浸透し発色性が得られにくいという問題がある。
浸透性の被印刷物に対して発色性を向上する方法として、インクの高粘度化が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、浸透性の被印刷物であっても高い画像品質を有し、かつ、吐出安定性に優れた印刷方法を提供することを目的とする。
この課題を解決するための手段としての本発明の印刷方法は、
インクを被印刷物に吐出する吐出工程と、
前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥工程と、
前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥工程と、を有し、
前記第一の乾燥工程の加熱温度T1(℃)、及び前記第二の乾燥工程の加熱温度T2(℃)が不等式(1)を満たし、
0(℃)≦T2-T1≦90(℃)・・・不等式(1)
前記インクが、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、
前記有機溶剤Aの含有量が、30質量%以下であり、
前記有機溶剤Bの含有量が、1質量%以上3質量%以下であり、
前記樹脂の含有量が、前記インクに対して、5質量%以上15質量%以下であり、
前記インクの25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記インクの36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であることを特徴とする。
本発明によると、浸透性の被印刷物であっても高い画像品質を有し、かつ、吐出安定性に優れた印刷方法を提供することができる。
図1は、本発明の印刷装置の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の印刷装置におけるメインタンクを模式的に示す斜視図である。 図3は、本発明の印刷装置の構成の一例を示す概略図である。
(印刷方法)
本発明の印刷方法は、インクを被印刷物に吐出する吐出工程と、前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥工程と、前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥工程と、を有し、前記第一の乾燥手段の加熱温度T1(℃)、及び前記第二の乾燥手段の加熱温度T2(℃)が不等式(1)を満たす。
0(℃)≦T2-T1≦90(℃)・・・不等式(1)
また、本発明の印刷方法におけるインクは、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、
前記有機溶剤Aの含有量が、30質量%以下であり、
前記有機溶剤Bの含有量が、1質量%以上3質量%以下であり、
前記樹脂の含有量が、5質量%以上15質量%以下であり、
前記インクの25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記インクの36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下である。
先行技術文献2(特開2005-144966号公報)の方法では、インクを高粘度化しているため、ノズル面でのインクの固着が発生しやすくなり、吐出安定性の低下や、インクを被印刷物に印刷した後の乾燥性の低下が起こるという問題がある。更に、インクが被印刷物上に残りやすくなるために、耐擦過性が低いという問題がある。
本発明の印刷方法は、従来のインク、及びインクを使った印刷装置では達成できなかった浸透性の被印刷物に対する高い画像品質と吐出安定性を、インクとシステムの最適な組み合わせによって実現するという知見に基づくものである。
本発明の印刷方法は、インクを被印刷物に吐出する吐出工程と、前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥工程と、前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥工程と、を有し、更に必要に応じてその他の工程を有する。
本発明の印刷方法では、第一の乾燥工程の加熱温度T1(℃)、及び前記第二の乾燥工程の加熱温度T2(℃)が不等式(1)を満たす。前記T2-T1が0℃以上であると、インクを被印刷物に吐出した後の乾燥性に優れる。前記T2-T1が90℃以下であると、吐出後のインクのにじみを抑えられるため画像品質が良好となる。
0(℃)≦T2-T1≦90(℃)・・・不等式(1)
<吐出工程>
前記吐出工程は、吐出手段によって、インクを被印刷物に吐出する工程である。
前記吐出手段としては、インクを被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルであり、前記ノズルとしては、例えば、吐出ヘッドなどが挙げられる。
<第一の乾燥工程>
前記第一の乾燥工程は、第一の乾燥手段によって、前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる工程である。
前記第一の乾燥工程における加熱温度(T1)としては、20℃以上70℃以下が好ましい。前記加熱温度(T1)が20℃以上であると、インクを被印刷物に吐出した後の乾燥性に優れる。前記加熱温度(T1)が70℃以下であると、吐出安定性に優れる。また、前記被印刷物が皮革である場合は、元々の風合いを維持することができる。
前記加熱温度(T1)とは、前記第一の乾燥手段の温度のことである。
前記第一の乾燥手段の加熱時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インクの吐出量、印刷装置の性能に応じて調整することができる。
前記第一の乾燥手段としては、前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面から加熱ができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温風ヒータ、赤外線ヒータなどが挙げられる。
前記第一の乾燥工程としては、後述する第二の乾燥工程の前に行えば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記吐出手段と同時に行うこともでき、前記吐出手段の後に行うこともできる。
<第二の乾燥工程>
前記第二の乾燥手段は、前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる手段である。
前記第二の乾燥手段としては、前記被印刷物の前記インクが吐出されている面から加熱ができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温風ヒータ、赤外線ヒータなどが挙げられる。
前記第二の乾燥工程における加熱温度(T2)としては、前記不等式(1)を満たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、35℃以上90℃以下が好ましい。
前記加熱温度(T2)とは、前記第二の乾燥手段の温度のことである。
前記第二の乾燥手段の加熱時間としては、1分間以上15分間以下が好ましい。前記加熱時間が1分間以上であると、乾燥性に優れる。前記加熱時間が15分間以下であると、前記被印刷物が皮革である場合に、元々の風合いを維持することができる。
<インク>
本発明におけるインクとしては、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、色材を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記インクの25℃における粘度としては、8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下である。前記粘度が8.0mPa・s以上であると、被印刷物にインクが着弾した後の浸透性が抑制され、浸透性の被印刷物上での発色性が向上する。前記粘度が11.0mPa・s以下であると、吐出安定性が向上する。前記インクの25℃における粘度としては、9.0mPa・s以上11.0mPa・s以下でもよい。
前記インクの36℃における粘度としては、5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下である。前記粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であると、環境の温度が変化した場合でも、前記インクの粘度の変化を抑えることができ、吐出安定性が向上する。前記インクの36℃における粘度としては、6.5mPa・s以上11.0mPa・s以下でもよい。
前記粘度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用して測定することができる。
前記粘度の測定条件としては、25℃、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間の条件で測定可能である。
前記インクの25℃における表面張力としては、被印刷物上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
前記インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7以上12以下が好ましく、8以上11以下がより好ましい。
-有機溶剤A-
前記有機溶剤Aとしては、沸点が250℃未満の有機溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性の有機溶剤を用いることができる。前記沸点とは、標準圧力101.3kPaにおける初期沸点のことである。
前記水溶性の有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオールなどが挙げられる。これらの中でも、吐出安定性の観点から、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,3-ブタンジオールが好ましい。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、などが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
前記アミド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
前記有機溶剤Aの含有量としては、前記インクに対して、30質量%以下であり、25質量%以下が好ましい。前記含有量が30質量%以下であると、前記インクの乾燥性が向上する。
-有機溶剤B-
前記有機溶剤Bとしては、沸点が250℃以上の有機溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン(沸点:290℃)、ペンタエリトリオール(沸点:276℃)、トリエチレングリコール(沸点:285℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:278℃)、トリプロピレングリコール(沸点:273℃)などが挙げられる。前記沸点とは、標準圧力101.3kPaにおける初期沸点のことである。
前記インクが、沸点250℃以上の有機溶剤Bを含むことで、前記インクがノズル面付近に固着しにくくなるため、インクの吐出安定性に優れる。
前記有機溶剤Bの含有量としては、前記インクに対して、1質量%以上3質量%以下であり、1.5質量%以上2.5質量%以下が好ましい。前記含有量が1質量%以上であると、前記インクがノズル面付近に固着しにくくなるため、インクの吐出安定性に優れる。3質量%以下であると、インクを被印刷物に吐出した後の乾燥性に優れる。
-樹脂-
前記樹脂としては、前記インクを調製する作業の容易性や分散性の観点から、水性の樹脂粒子の状態が好ましい。
前記樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、酢酸ビニル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ブタジエン系樹脂粒子、スチレン-ブタジエン系樹脂粒子、塩化ビニル系樹脂粒子、アクリルスチレン系樹脂粒子、アクリルシリコーン系樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、印刷物の耐擦過性をより高いものにする点から、ウレタン樹脂粒子が好ましい。
前記ウレタン樹脂粒子は、ウレタン樹脂粒子を構成するウレタン樹脂であり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、及びポリエステル系ウレタン樹脂が好ましい。前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂及び前記ポリエステル系ウレタン樹脂としては、印刷物の耐擦過性に優れる点から、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有することが好ましい。
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、カーボネート基の高い凝集力により耐水性、及び耐擦過性に優れているため、屋外用途のような過酷な環境において使用される印刷物に適したインクを得ることができる。
前記ポリエステル系ウレタン樹脂は、ポリオール部分に芳香環等を有した剛直な構造を導入しやすく、高い硬度と高いガラス転移温度を有し、耐熱性及び耐摩耗性に優れているため、摩擦などの負荷がかかりやすい環境において使用される印刷物に適したインクを得ることができる。
前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記樹脂粒子の市販品としては、例えば、商品名:ユーコートUX-485(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)、商品名:ユーコートUWS-145(ポリエステル系ウレタン樹脂粒子)、商品名:パーマリンUA-368T(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)、商品名:パーマリンUA-200(ポリエーテル系ウレタン樹脂粒子)(以上、三洋化成工業株式会社製)、商品名:タケラックW6110(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)、タケラックWS4000(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)、タケラックW6061(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)(以上、三井化学株式会社製)、商品名:ボンコート5454(スチレン-アクリル系樹脂粒子、DIC株式会社製)、商品名:SAE-1014(スチレン-アクリル系樹脂粒子、日本ゼオン株式会社製)、商品名:サイビノールSK-200(アクリル系樹脂粒子、サイデン化学株式会社製)、商品名:プライマルAC-22、商品名:AC-61(アクリル系樹脂粒子、以上、ローム・アンド・ハース社製)、商品名:ボンコート4001(アクリル系樹脂粒子、DIC株式会社製)、商品名:NANOCRYL(アクリル系樹脂粒子、トーヨーケム株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子としては、水性媒体中に分散されるにあたり、分散剤を利用した強制乳化型のものを用いることもでき、塗膜に分散剤が残り強度を下げることを防止する点から、分子構造中にアニオン性基を有する自己乳化型の樹脂粒子が好ましい。
前記自己乳化型の樹脂粒子のアニオン性基の酸価としては、水分散性、耐擦過性及び耐薬品性の点から、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/mg以上50mgKOH/mg以下がより好ましい。
前記アニオン性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基などが挙げられる。これらの中でも、良好な水分散安定性を維持できる点から、一部又は全部が塩基性化合物等によって中和された、カルボキシレート基及びスルホネート基が好ましい。
前記アニオン性基を有する樹脂粒子の水分散体を製造する方法としては、水分散体にアニオン性基の中和に使用できる塩基性化合物を添加する方法が挙げられる。
前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記強制乳化型の樹脂粒子を用いて水分散体を製造する方法としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの界面活性剤を用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐水性の点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましい。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩が好ましい。
前記界面活性剤の含有量としては、前記樹脂に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上30質量%以下であると、好適に樹脂が造膜し、付着性や耐水性に優れたインクが得られ、印刷物のブロッキングを防ぐことができる。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機溶剤と前記樹脂粒子の表面の接触部位が増加することで強靭な樹脂の連続被膜を形成できる点で、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記樹脂の含有量としては、前記インクに対して、5質量%以上15質量%以下であり、8質量%以上13質量%以下が好ましい。前記含有量が5質量%以上であると、インクの粘度が高くなり、浸透性の被印刷物にインクを塗布した場合でも高い発色性と耐擦過性を有する。前記含有量が、15質量%以下であると、吐出ヘッドのノズル面に前記インクが固着しにくくなるためインクの吐出安定性に優れる。
前記樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)としては、0℃以下が好ましい。前記インクが、ガラス転移温度0℃以下の樹脂粒子を1種以上含むことで、被印刷物上におけるインクの造膜性が向上し、耐擦過性に優れる。
前記樹脂粒子のガラス転移温度としては、例えば、示差走査型熱量分析(DSC)、示差熱分析(DTA)などにより測定することができる。
前記樹脂粒子の含有量としては、前記樹脂に対して、30質量%以上70質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。前記含有量が30質量%以上であると、印刷物上でインクの造膜性が向上し前記インク膜の強度が増すため印刷物の耐擦過性に優れる。前記含有量が70質量%以下であると、吐出ヘッドのノズル面でのインク膜が抑制されて吐出信頼性に優れる。
-色材-
前記色材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料、染料などが挙げられる。
前記顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
前記顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
前記無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
前記有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
前記顔料の具体例としては、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、酸性染料、直接染料、反応性染料、塩基性染料などが使用可能であり、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
前記色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、前記インクに対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
前記顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。インクの貯蔵安定性、吐出信頼性の観点から樹脂被覆顔料が好ましい。
前記分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物などが挙げられる。前記分散剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ノニオン界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、竹本油脂社製RT-100を用いることができる。
前記顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合して顔料分散体を得ることが可能である。また、顔料、水、分散剤等を混合して顔料分散体としたものに、水、有機溶剤等の材料を混合してインクを製造することが可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合及び分散し、粒径を調整して得られる。
前記顔料分散体における顔料の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分散安定性及び吐出安定性に優れ、画像濃度などの画像品質が高くなる点から、20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。
前記顔料の粒径としては、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性と優れた画像濃度の点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤、添加剤などが挙げられる。
--シリコーン系界面活性剤--
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等の変性基を有するシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基等の変性基を有するポリエーテル変性シリコーン界面活性剤などが挙げられる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記化学式1で表すポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
Figure 2022158815000001
(化学式1)
(化学式1において、mは0~10の整数、nは1~5の整数、aは0~20の整数、bは0~20の整数を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表し、R’は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表す)
前記ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンは、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に有する。
前記変性基を有するシリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、SAG503A、SAG002、SAG005、KF-618、KF-642、KF-643等の信越化学工業社製の界面活性剤、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX等の日本エマルジョン社製の界面活性剤、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164等の東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の界面活性剤、BYK-33、BYK-387等のビックケミー社製の界面活性剤、TSF4440、TSF4452、TSF4453等の東芝シリコン社製の界面活性剤、TEGO Twin4000 等のEvonic社製の界面活性剤などが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤のHLB値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、発色性の観点から、8.0以上11.5以下が好ましく、9.0以上11.5以下がより好ましい。
前記HLB値としては、グリフィン法により算出することができる。
前記シリコーン系界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、発色性及び吐出安定性の観点から、インク全量に対して0.5質量%以上1.5質量%以下が好ましく、0.7質量%以上1.3質量%以下がより好ましい。
--添加剤--
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
前記水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
前記消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
前記防腐防黴剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
前記防錆剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
(印刷装置)
本発明の印刷装置としては、沸点250℃未満の有機溶剤Aを30質量%以下、沸点250℃以上の有機溶剤Bを1質量%以上3質量%以下、及び樹脂を5質量%以上15質量%以下を含み、25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であって、被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下と減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であるインクを収容するインク収容手段と、
前記インクを前記被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルを備えた吐出手段と、
前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥手段と、
前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥手段と、を有し、更に必要に応じて、インク収容手段、刺激発生手段、払拭手段などのその他の手段を有する。
<吐出手段>
前記吐出手段は、インクを被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルであり、前記ノズルとしては、例えば、吐出ヘッドなどが挙げられる。
前記吐出ヘッドは、ノズル基板と、前記ノズル基板の表面に撥インク膜とを有することが好ましく、撥インク膜を設けたノズル基板の表面がノズル面である。
前記ノズル基板には、ノズル孔が設けられており、その数、形状、大きさ、材質、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基板は、前記ノズル孔からインクが吐出されるインク吐出側の面と、前記インク吐出側の面とは反対側に位置する液室接合面とを有する。
前記ノズル基板の平面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方形、正方形、菱形、円形、楕円形などが挙げられる。また、前記ノズル基板の断面形状としては、例えば、平板状、プレート状などが挙げられる。
前記ノズル基板の大きさとしては、特に制限はなく、前記ノズルプレートの大きさに応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基板の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、Al、Bi、Cr、InSn、ITO、Nb、Nb、NiCr、Si、SiO、Sn、Ta、Ti、W、ZAO(ZnO+Al)、Znなどが挙げられる。 これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、防錆性の点から、ステンレス鋼が好ましい。
前記ステンレス鋼としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ノズル基板の少なくともインク吐出側の面は、前記撥インク膜と前記ノズル基板との密着性を向上させる点から、酸素プラズマ処理を行って水酸基を導入してもよい。
前記ノズル孔としては、その数、配列、間隔、開口形状、開口の大きさ、開口の断面形状などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル孔の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数の前記ノズル孔が、前記ノズル基板の長さ方向に沿って等間隔に並んで配列されている態様などが挙げられる。
前記ノズル孔の配列は、吐出するインクの種類に応じて適宜選定することができるが、1列~複数列が好ましく、1列~4列がより好ましい。
前記1列当たりの前記ノズル孔の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10個以上10,000個以下が好ましく、50個以上500個以下がより好ましい。隣接する前記ノズル孔の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、21μm以上169μm以下が好ましい。
前記ノズル孔の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。これらの中でも、インクの液滴を吐出する点から、円形が好ましい。
前記撥インク膜は、前記ノズル基板の前記インク吐出側の面に形成されている。
前記撥インク膜は、前記インクが撥水できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、含フッ素アクリレートエステル重合体、又は主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体を含むことが好ましい。前記撥インク膜が、前記含フッ素アクリレートエステル重合体、又は主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体を含むことにより、表面自由エネルギーが非常に小さくなり、本発明で用いる表面張力の低いインクであっても濡れ難い状態を維持できるので好ましい。
<第一の乾燥手段>
前記第一の乾燥手段は、前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる手段である。
前記第一の乾燥手段としては、前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面から加熱ができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温風ヒータ、赤外線ヒータなどが挙げられる。
前記第一の乾燥手段による加熱温度(T1)としては、20℃以上70℃以下が好ましい。前記加熱温度(T1)が20℃以上であると、インクを被印刷物に吐出した後の乾燥性に優れる。前記加熱温度(T1)が70℃以下であると、吐出安定性に優れる。また、前記被印刷物が皮革である場合は、元々の風合いを維持することができる。
前記加熱温度(T1)とは、前記第一の乾燥手段の温度のことである。
<第二の乾燥手段>
前記第二の乾燥手段は、前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる手段である。
前記第二の乾燥手段としては、前記被印刷物の前記インクが吐出されている面から加熱ができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温風ヒータ、赤外線ヒータなどが挙げられる。
前記第二の乾燥手段による加熱温度(T2)としては、前記不等式(1)を満たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、35℃以上90℃以下が好ましい。
前記加熱温度(T2)とは、前記第二の乾燥手段の温度のことである。
<インク収容手段>
前記インク収容手段としては、前記インクを収容する部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インク充填容器、インクタンクなどが挙げられる。
前記インク充填容器としては、前記インクを容器中に充填してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが挙げられる。
前記インクタンクとしては、メインタンク、サブタンクなどが挙げられる。
<刺激発生手段>
前記刺激発生手段は、インクに印加する刺激を発生する手段である。
前記刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好ましい。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子等の圧電アクチュエータ、振動発生装置、超音波発振器、ライト、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記刺激が「熱」の場合は、前記インク吐出ヘッド内のインクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、サーマルヘッド等を用いて付与する。前記熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記ノズルプレートの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させることができる。
前記刺激が「圧力」の場合は、例えば、前記インク吐出ヘッド内のインク流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。これにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記インク吐出ヘッドの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させることができる。これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加してインクを飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
<払拭手段>
本発明の印刷方法では、インクの吐出に伴ってノズル面にインク滴が付着するなどにより、ノズル面への汚れの付着が生じる場合、払拭手段を用いてノズル面を払拭することで、ノズル面に付着した汚れを払拭することができる払拭手段を備えることができる。
前記払拭手段の払拭部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイパーブレード、不織布などが挙げられる。払拭部材として不織布を用いる場合、払拭時に、払拭部材に対して洗浄液を付与することで、払拭の効率を向上することができる。
図1から図3を用いて、本発明の印刷装置の一例及び印刷方法について説明する。
図1は、本発明の印刷装置の一例を模式的に示す斜視図であり、図1に示す印刷装置は、シリアル型の印刷装置である。図2は、本発明の印刷装置におけるメインタンクを模式的に示す斜視図である。
前記印刷装置は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(それぞれ、410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えば、アルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。
前記インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
図3は、印刷装置1の構成を示す模式図である。
前記印刷装置1は、シリアル型の印刷装置である。図3に示すように、印刷装置1は、所要の画像を印字する画像形成部2と、乾燥装置3と、ロールメディア収納部4と、搬送機構5と、を備える。
前記ロールメディア収納部4は、ロールメディア(記録用メディア)40を収納する。なお、ロールメディア収納部4は、幅方向のサイズが異なる記録用メディア40を収納可能である。
前記記録用メディア40は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PVC(塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の非浸透性のメディア、布や合成紙等の浸透性メディア、ポリエステル素材等の壁紙メディアなどが挙げられる。
前記搬送機構5は、ロール・ツー・ロール方式の搬送手段を構成する。搬送機構5は、一対のニップローラ51と、一対の従動ローラ52と、巻き取りローラ53とを記録用メディア40の搬送経路54上に備えている。
前記ニップローラ51は、画像形成部2の手前側(搬送方向Aの上流側)に設けられている。ニップローラ51は、モータの駆動に伴って回転することで挟み込んだ記録用メディア40を画像形成部2に向けて搬送する。
前記巻き取りローラ53は、モータMの駆動に伴って回転することにより印字後の記録用メディア40を巻き取る。
前記従動ローラ52は、記録用メディア40の搬送に従動して回転する。
前記搬送機構5は、搬送速度を検出するためのホイールエンコーダを備えている。
前記搬送機構5は、目標値とホイールエンコーダ55からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づくモータの制御により、搬送速度を制御される。
前記ロールメディア収納部4に収納された記録用メディア40は、従動ローラ52を介して、ニップローラ51の回転によって画像形成部2へと搬送される。
前記画像形成部2に到達した記録用メディア40は、画像形成部2によって所要の画像を印字され、印字後の記録用メディア40は、巻き取りローラ53の回転により巻き取られる。
前記画像形成部2は、キャリッジ21を備えている。
前記キャリッジ21は、ガイドロッド(ガイドレール)22によって摺動可能に保持されている。
キャリッジ21は、モータMの駆動に伴って記録用メディア40の搬送方向Aと直交する方向(主走査方向)にガイドロッド(ガイドレール)22上を移動する。具体的には、キャリッジ21は、主走査方向の移動可能領域である主走査領域のうち、搬送機構5により搬送される記録用メディア40に対して画像形成部2により印字可能な記録領域内を往復移動する。
前記キャリッジ21は、液滴を吐出する吐出口であるノズル孔を複数配列した記録ヘッド20を搭載している。なお、前記記録ヘッド20は、記録ヘッド20にインクを供給するタンクを一体的に備えている。ただし、記録ヘッド20は、タンクを一体的に備えているものに限らず、タンクを別体で備えるものであってもよい。
前記記録ヘッド20は、液体吐出ユニットとして機能するものであって、プロセスカラーの記録液であるブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する。ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)は、画像形成用のインクである。
前記画像形成部2は、記録ヘッド20における印字の際に、記録ヘッド20の下方で記録用メディア40を支持するプラテン23を備えている。
前記画像形成部2は、キャリッジ21の主走査方向に沿ってキャリッジ21の主走査位置を検知するためのエンコーダシートを備えている。また、キャリッジ21は、エンコーダを備えている。
前記画像形成部2は、キャリッジ21のエンコーダによってエンコーダシートを読み取ることにより、キャリッジ21の主走査位置を検知する。
前記キャリッジ21は、キャリッジ21の移動に従って記録用メディア40の端部を光学的に検知するセンサ24を備えている。このセンサ24による検知信号は、記録用メディア40の端部の主走査方向の位置と記録用メディア40の幅との算出に用いられる。
前記乾燥装置3は、プリヒータ30と、第一乾燥工程に用いる第一乾燥手段であるプラテンヒータ31と、第二の乾燥工程に用いる第二の乾燥手段である乾燥ヒータ32と、温風ファン33とを備えている。ここで、乾燥ヒータ32と、温風ファン33は、いずれか一方を用いても良く、両方を併用しても良い。プリヒータ30とプラテンヒータ31と乾燥ヒータ32は、例えばセラミックやニクロム線を用いた電熱ヒータである。
前記プリヒータ30は、画像形成部2に対して記録用メディア40の搬送方向Aの上流に設けられている。プリヒータ30は、搬送機構5により搬送される記録用メディア40を予備的に加熱する。
前記プラテンヒータ31は、プラテン23に配設されている。プラテンヒータ31は、記録ヘッド20のノズル孔から噴射されるインク滴を着弾させる記録用メディア40を加熱する。
前記乾燥ヒータ32は、画像形成部2に対して記録用メディア40の搬送方向Aの下流に設けられている。乾燥ヒータ32は、画像形成部2により印刷した記録用メディア40を引き続き加熱し、着弾したインク滴の乾燥を促す。
前記温風ファン33は、乾燥ヒータ32(画像形成部2)に対して記録用メディア40の搬送方向Aの下流に設けられている。温風ファン33は、インクが着弾した記録用メディア40の記録面(インクが吐出されている面)に対して温風を吹き付ける。
前記温風ファン33は、記録用メディア40の記録面のインクに対して直接温風を当てることにより、記録用メディア40の記録面周辺の雰囲気の湿度を下げ、完全に乾燥させる。
前記乾燥装置3を搭載することにより、印刷装置1は、記録用メディア40として、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリルフィルムなどのインクが染み込まない非浸透性のメディアを採用することができる。
なお、前記キャリッジ21が記録用メディア40の幅に往復移動しながら記録ヘッド20からインクを吐出して画像を形成する印刷装置1では、キャリッジ動作が往路のときにのみインクを吐出して画像を形成する片方向印字と、キャリッジ動作が往路と復路の両方でインクを吐出して画像を形成する双方向印字がある。印刷装置1では、印字速度の点で有利な双方向印字が主に用いられる。なお、ここでは、キャリッジ21が主走査方向に移動しながら記録ヘッド20からインクを吐出する動作は、1スキャンとする。
印刷装置1の制御構成については、例えば、特開2017-105193号公報の記載を参照することができる。
<被印刷物>
被印刷物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙などの紙類の被印刷物、Tシャツ等の衣料用の布、ファブリック等の布類などが挙げられる。
本発明の印刷方法は、浸透性の被印刷物であっても高い発色性を有し、かつ、吐出安定性、乾燥性、及び耐擦過性に優れる。
本発明において布類の被印刷物とは、例えば、編み物、織物、不織布等、繊維からなる布及び生地などが挙げられる。
前記布類の被印刷物の用いる材質はパルプ、綿、麻などに由来するセルロース繊維、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ビニロン系樹脂、ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ベンゾエート系樹脂、ポリクラール、及びフェノール系樹脂などを繊維状にした合成繊維、絹や羊毛などの天然繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、及びリヨセル繊維などを含む再生繊維、アセテート繊維、トリアセテート繊維、及びプロミックス繊維などの半合成繊維、金属繊維、ガラス繊維、並びに、岩石繊維などの無機繊維を含んでもよい。これら繊維を単独で用いて良いし、複数種を併用して用いることができる。
また、前記布類の被印刷物は、前記セルロース繊維又は天然繊維、と、前記合成繊維を混紡して得られた繊維を材質として用いることもできる。
前記被印刷物の浸透性は、前記インクを前記被印刷物の上に吐出されたインクの容積の変化から定義できる。具体的には、被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下である被印刷物を浸透性被印刷物として扱う。
前記被印刷物の浸透性の評価に用いている前記接触角計としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Dmo-5-1(協和界面科学社製)を用いて測定することができる。測定の際には、シリンジニードルを装着したシリンジから2.5μlの前記インクを押し出し、液滴法により前記被印刷物上に前記インクを吐出して容積の変化を測定する。前記シリンジニードルは測定の再現性の向上のためにテフロン(登録商標)製のシリンジニードルを用いることが好ましい。
前記被印刷物上に前記インクを乗せた後のある時間における前記インクの容積は以下の式より算出することができる。
Figure 2022158815000002
上記式において、V(t)は、ある時間における前記被印刷物上の前記インクの体積(単位:μl)、R(t)は、ある時間における前記被印刷物上の前記インク液滴の半径(単位:mm)、θ(t)は、ある時間における前記被印刷物上の前記インク液滴の接触角(単位:ラジアン)である。前記R(t)、及び前記θ(t)は、接触角計を評価可能である。本発明においては、前記θ(t)は、θ/2法を用いて求めた値を用いることとする。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」であり、「%」は、評価基準中のものを除き、「質量%」である。
<ブラック顔料分散体の製造例>
フラスコ内に、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12g、ポリエチレングリコールメタクリレート4g、スチレンマクロマー4g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108g、ポリエチレングリコールメタクリレート36g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60g、スチレンマクロマー36g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を、2.5hかけてフラスコ内に滴下した。その後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
次に、65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、さらに1時間熟成して反応を行った。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、固形分濃度50%のポリマー溶液Aを800g得た。
次いで、ポリマー溶液Aを28g、カーボンブラック(Cabot Corporation社製、Black Pearls 1000)42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及び水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルで混練してペーストを得た。
得られたペーストを純水200gに入れて充分に攪拌した後、エバポレータでメチルエチルケトンを除去し、平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過した後、固形分濃度が20%になるように水分量を調整し、固形分濃度20%のブラック顔料分散体を得た。
<シアン顔料分散体の製造例>
前記ブラック顔料分散体の調製において、カーボンブラックの代わりにピグメントブルー15:4(SENSIENT社製SMART Cyan 3154BA)を使用した以外は、ブラック顔料分散体の製造例と同様にして固形分濃度20%のシアン顔料分散体を得た。
<マゼンタ顔料分散体の製造例>
前記ブラック顔料分散体の調製において、カーボンブラックの代わりにピグメントレッド122(Sun Chemical社製Pigment Red 122)を使用した以外は、ブラック顔料分散体の製造例と同様にして固形分濃度20%のマゼンタ顔料分散体を得た。
<イエロー顔料分散体の製造例>
前記ブラック顔料分散体の調製において、カーボンブラックの代わりにピグメントイエロー74(ENSIENT社製SMART Yellow 3074BA)を使用した以外は、ブラック顔料分散体の製造例と同様にして固形分濃度20%のイエロー顔料分散体を得た。
<ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例1>
温度計、窒素ガス導入管、撹拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(商品名:ポリライトOD-X-2251、DIC株式会社製、平均分子量2,000)124.4g、2,2-ジメチロールプロピオン酸9.7g、イソホロンジイソシアネート29.8g、有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1gを、DMTDL(ジブチルスズジラウレート)0.06gを触媒として使用し反応させた。前記反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7gを供給し、更に反応を継続した。前記反応物の平均分子量が20,000から60,000の範囲に達した時点で、メタノール1.4gを投入し前記反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を13.4g加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和し、次いで、水715.3gを加え十分に撹拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分濃度が30質量%のポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン1を得た。得られたポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン1について、ガラス転移温度を測定したところ、74℃であった。また、体積平均粒径は69nmであった。
<ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例2>
撹拌機、温度計、窒素シール管(窒素導入管)、及び冷却器の付いた容量2Lの反応器に、メチルエチルケトンを100g、ポリエステルポリオール(1)(イソフタル酸/アジピン酸=6/4(モル比)とエチレングリコール/ネオペンチルグリコール=1/9(モル比)とから得られたポリエステルポリオール(数平均分子量=2,000、平均官能基数:2)を345g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)を9.92g仕込み、60℃にて均一に混合した。
その後、トリエチレングリコールジイソシアネート(TEGDI)を45.1g、ジオクチルチンジラウレート(DOTDL)を0.08g仕込み、72℃で3時間反応させて、ポリウレタン溶液を得た。得られたポリウレタン溶液に、イソフタル酸(IPA)を80g、メチルエチルケトン(MEK)を220g、TEA(トリエチルアミン)を3.74g、水596g仕込んで転相させた後、ロータリーエバポレーターにてMEKとIPAを除去して、ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン2を得た。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整した。得られたポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン2について、ガラス転移温度を測定したところ、-5℃であった。また、体積平均粒径は88nmであった。
<ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例1>
温度計、窒素ガス導入管、撹拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(商品名:PTMG1000、三菱化学株式会社製、平均分子量:1,000)100.2g、2,2-ジメチロールプロピオン酸15.7g、イソホロンジイソシアネート48.0g、有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1gを、DMTDL(ジブチルスズジラウレート)0.06gを触媒として使用し反応させた。前記反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7gを供給し、更に反応を継続した。前記反応物の平均分子量が20,000から60,000の範囲に達した時点で、メタノール1.4gを投入し前記反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を13.4g加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和し、次いで、水715.3gを加え十分に撹拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分濃度が30質量%のポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られたポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンについて、ガラス転移温度を測定したところ、43℃であった。また、体積平均粒径は121nmであった。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例1>
撹拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200))1,500g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN-メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート1,223g(5.5モル)、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌下、水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有するポリカーボネートウレタン樹脂エマルジョン1を得た。得られたポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン1について、ガラス転移温度を測定したところ、83℃であった。また、体積平均粒径は71nmであった。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例2>
撹拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200))1,500g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN-メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g(5.5モル)、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌下、水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有するポリカーボネートウレタン樹脂エマルジョン2を得た。得られたポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン2について、ガラス転移温度を測定したところ、55℃であった。また、体積平均粒径は55nmであった。
<アクリル樹脂エマルジョンの合成例1>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g、及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン365g、ブチルアクリレート545g、及びメタクリル酸10gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整し、アクリル樹脂エマルジョン1を得た。得られたアクリル樹脂エマルジョン1について、ガラス転移温度を測定したところ、86℃であった。また、体積平均粒径は158nmであった。
<アクリル樹脂エマルジョンの合成例2>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g、及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。
内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリル酸-2-エチルヘキシル568及びにメタクリル酸メチル447gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整し、アクリル樹脂エマルジョン2を得た。得られたアクリル樹脂エマルジョン2について、ガラス転移温度を測定したところ、-21℃であった。また、体積平均粒径は152nmであった。
<ガラス転移温度の測定>
樹脂粒子のガラス転移温度は、DSCシステムQ-2000(TAインスツルメント社製)を用いて測定した。具体的には、樹脂粒子分散液を70℃のオーブンで12時間以上加熱乾燥させ、固形分5mgをアルミニウム製の試料容器に入れて装置にセットし、窒素気流下にて以下の測定条件(1)~(4)にて測定を行った。2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてガラス転移温度を求めた。結果を下記表1及び表2に示した。なお、下記表1及び表2におけるガラス転移温度の各数字の単位は「℃」である。
(1)-70℃まで冷却後5分保持
(2)10℃/minで120℃まで昇温
(3)-70℃まで冷却後5分保持
(4)10℃/minで120℃まで昇温
<体積平均粒径測定>
体積平均粒径については、日機装株式会社製のマイクロトラックUPA-150を用い、測定サンプル中の樹脂粒子濃度(質量濃度)が0.01質量%になるように純水で希釈したサンプルを用いて測定した。
<インクAの調製例>
下記のインク処方を、全量で100質量部になるようにイオン交換水を加え、混合撹拌し、平均孔径5μmのフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)で濾過して、インクAを作製した。
[インク処方]
・上記ブラック顔料分散体:20質量部
・ポリエステル系ウレタン樹脂1(体積平均粒径:69nm):4質量部
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン3(三井化学株式会社製、商品名:タケラックW6110、体積平均粒径:41nm):5質量部
・SAG503A(日信化学工業社製、シリコーン界面活性剤、HLB値:11):1質量部
・1,3-プロパンジオール(Dupont社製):3質量部
・3-メチル-1,3-ブタンジオール(商品名:イソプレングリコール、株式会社クラレ製):25質量部
・グリセリン(阪本薬品工業株式会社製):2質量部
・プロキセルLV(アビシア社製、防腐防黴剤):0.1質量部
・イオン交換水:残量(合計:100質量部)
<インクB~インクPの調製例>
インクAの調製例において、表1及び表2に記載のインク処方に変更した以外は、インクAの調製例と同様にして、インクB~インクPを調製した。なお、表1及び表2中の樹脂の含有量は固形分量である。
表1及び表2において、各成分の詳細な内容については、以下のとおりである。
・1,2-プロパンジオール(商品名:プロピレングリコール、株式会社ADEKA製)
・1,4-ブタンジオール(東京化成工業株式会社製)
・2,3-ブタンジオール(東京化成工業株式会社製)
・1,5-ペンタンジオール(東京化成工業株式会社製)
・3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(商品名:ソルフィット、株式会社クラレ製)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(東京化成工業株式会社製)
・SAG002(日信化学工業社製、シリコ-ン系界面活性剤、HLB値:12)
・SAG005(日信化学工業社製、シリコ-ン系界面活性剤、HLB値:7)
・TEGO Twin4000 (Evonic社製、シリコ-ン系界面活性剤)
・FS-300(Dupont社製、フッ素系界面活性剤)
・シアン顔料分散体
・マゼンタ顔料分散体
・イエロー顔料分散体
・ポリエステル系ウレタン樹脂2
・ポリエーテル系ウレタン樹脂
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂1
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂2
・アクリル樹脂エマルジョン1
・アクリル樹脂エマルジョン2
<インクの粘度測定>
インクの粘度測定には、粘度計(RE80L、東機産業株式会社製)を使用し、以下の条件で粘度を測定した。各インクの粘度の測定結果は表1及び表2に示す。
[測定条件]
コーンローター:標準コーンローター(1°34’×R24)
サンプル液量:1.2mL
回転数:50rpm
測定時間:3min
温度:25℃、36℃
<実施例1>
印刷物の作製にはRi100(株式会社リコー製)に搭載したインクタンクにインクAを充填し、HP社製 Light Fabric (ポリエステル製織物)に印字を行った。印字条件として、被印刷物:Tシャツ、はやいモードで、100%階調のカラーベタ画像を印刷しながら、シリコンラバーヒーターを用いて55.0℃で加熱を行った。(第一の乾燥工程)その後、前記被印刷物のインクが吐出されている面を、熱風乾燥ユニットを用いて加熱温度100.0℃、3分間で加熱した(第二の乾燥工程)。
<実施例2~13及び比較例1~6>
実施例1において、インクAを、表3及び表5に示すようにインクB~インクPに変更した以外は、実施例1と同様の方法で印字を行った。
<被印刷物上のインクが0.1μlになるまでの時間の測定方法>
実施例1~13及び比較例1~6のインクと被印刷物の組み合わせで、インクを被印刷物上に乗せたときに0.1μlになるまでの時間を、以下の条件で測定した。測定結果は表1及び表2に示す。
[測定条件]
評価装置:Dmo-5-1(協和界面科学社製)
測定法:液滴法
シリンジニードル:テフロン(登録商標)製ニードル(内径:0.37μm)
温度:25℃
測定間隔:0.1sec
インクの滴下体積:2.5μl
接触角の解析方法:θ/2法
被印刷物:HP社製 Light Fabric
実施例1~13及び比較例1~6において、「にじみ」、「乾燥性」及び「吐出安定性」を評価した。結果を表3から表5に示す。
<にじみ>
実施例1~13及び比較例1~6において、ブラック顔料分散体を含有するものはシアン顔料分散体に置き換えたインク、シアン顔料分散体を含有するものはマゼンタ顔料分散体に置き換えたインク、マゼンタ顔料分散体を含有するものはイエロー顔料分散体に置き換えたインク、イエロー顔料分散体を含有するものはブラック顔料分散体に置き換えたインクを用意し、置き換えたインクと置き換える前のインクA~Pを印刷し得られた画像の色境界部のにじみについて、目視により評価した。評価としては、B以上が実用可能である。
[評価基準]
A: 色境界の滲みがまったく無い
B: 5ヶ所以下にて色のわずかな滲みが見られる
C: 10ヶ所以下にて色のわずかな滲みが見られる
D: 激しい滲みが見られ、画像品位を落としている
<乾燥性>
前記インクジェットプリンターを用いて、付着量1.5g/mでベタ印字を行った。印字後、100℃の乾燥機に入れ、乾燥時間を振って印刷物を取り出しベタ部分に触れた時に転写が起こるかを確認した。転写が起きなくなるまでの乾燥時間から、以下の評価基準に基づいて乾燥性を評価した。評価としては、C以上が実用可能である。
[評価基準]
A:乾燥時間が15secより短い時間で転写しなくなる
B:乾燥時間が15sec以上30secより短い時間で転写しなくなる
C:乾燥時間が30sec以上45secより短い時間で転写しなくなる
D:乾燥時間が45sec以上でも転写がなくならない
<吐出安定性>
被印刷物に15cm×20cmのベタ画像を出力後、前記インクジェットプリンターに搭載されているノズル抜けを判別できるチャートを印刷してノズル抜け数を確認した。全ノズル数に対するノズル抜け数の比率から下記評価基準に基づいて吐出安定性を評価した。評価としては、B以上が実用可能である。
[評価基準]
A:5%未満
B:5%以上10%未満
C:10%以上15%未満
D:15%以上
Figure 2022158815000003
Figure 2022158815000004
Figure 2022158815000005
Figure 2022158815000006
Figure 2022158815000007
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> インクを被印刷物に吐出する吐出工程と、
前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥工程と、
前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥工程と、を有し、
前記第一の乾燥工程の加熱温度T1(℃)、及び前記第二の乾燥工程の加熱温度T2(℃)が不等式(1)を満たし、
0(℃)≦T2-T1≦90(℃)・・・不等式(1)
前記インクが、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、
前記有機溶剤Aの含有量が、前記インクに対して、30質量%以下であり、
前記有機溶剤Bの含有量が、前記インクに対して、1質量%以上3質量%以下であり、
前記樹脂の含有量が、前記インクに対して、5質量%以上15質量%以下であり、
前記インクの25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記インクの36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であることを特徴とする印刷方法である。
<2> 前記T1(℃)が、20℃以上70℃以下である、前記<1>に記載の印刷方法である。
<3> 前記第二の乾燥工程において、温風ヒーター、及び赤外線(IR)ヒーターの少なくともいずれかによって、前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の印刷方法である。
<4> 前記樹脂が、ガラス転移温度が0℃以下の樹脂粒子を1種以上含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載の印刷方法である。
<5> 前記樹脂粒子が、ウレタン樹脂粒子である、前記<4>に記載の印刷方法である。
<6> 前記樹脂粒子の含有量が、前記樹脂に対して30質量%以上70質量%以下である、前記<4>から<5>のいずれかに記載の印刷方法である。
<7> 前記有機溶剤Bが、グリセリンである、前記<1>から<6>のいずれかに記載の印刷方法である。
<8> 前記インクが、シリコーン系界面活性剤を含む、前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷方法である。
<9> 前記シリコーン系界面活性剤が、下記化学式1で表すポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンである、前記<8>に記載の印刷方法である。
Figure 2022158815000008
(化学式1)
(化学式1において、mは0~10の整数、nは1~5の整数、aは0~20の整数、bは0~20の整数を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表し、R’は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表す)
<10> 前記シリコーン系界面活性剤のグリフィン法により算出したHLB値が、8.0以上11.5以下である、前記<9>に記載の印刷方法である。
<11> 前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、0.5質量%以上1.5質量%以下である、前記<8>から<10>のいずれかに記載の印刷方法である。
<12> 沸点250℃未満の有機溶剤Aを30質量%以下、沸点250℃以上の有機溶剤Bを1質量%以上3質量%以下、及び樹脂を5質量%以上15質量%以下を含み、25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であって、被印刷物上に吐出された容積2.5μLのインクの液滴が、容積0.1μL以下と減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下である前記インクを収容するインク収容手段と、
前記インクを前記被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルを備えた吐出手段と、
前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥手段と、
前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥手段と、を有し、
前記第一の乾燥手段の加熱温度T1(℃)、及び前記第二の乾燥手段の加熱温度T2(℃)が不等式(1)を満たすことを特徴とする印刷装置である。
0(℃)≦T2-T1≦90(℃)・・・不等式(1)
前記<1>から<11>のいずれかに記載の印刷方法、及び前記<12>に記載の印刷装置は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2019-163380号公報 特開2005-144966号公報
1 印刷装置
20 記録ヘッド
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k ブラック(K)のメインタンク
410c シアン(C)のメインタンク
410m マゼンタ(M)のメインタンク
410y イエロー(Y)のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ

Claims (12)

  1. インクを被印刷物に吐出する吐出工程と、
    前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥工程と、
    前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥工程と、を有し、
    前記第一の乾燥工程の加熱温度T1(℃)、及び前記第二の乾燥工程の加熱温度T2(℃)が不等式(1)を満たし、
    0(℃)≦T2-T1≦90(℃)・・・不等式(1)
    前記インクが、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、
    前記有機溶剤Aの含有量が、前記インクに対して、30質量%以下であり、
    前記有機溶剤Bの含有量が、前記インクに対して、1質量%以上3質量%以下であり、
    前記樹脂の含有量が、前記インクに対して、5質量%以上15質量%以下であり、
    前記インクの25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
    前記インクの36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
    前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であることを特徴とする印刷方法。
  2. 前記T1(℃)が、20℃以上70℃以下である、請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記第二の乾燥工程において、温風ヒーター、及び赤外線(IR)ヒーターの少なくともいずれかによって、前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱する、請求項1から2のいずれかに記載の印刷方法。
  4. 前記樹脂が、ガラス転移温度が0℃以下の樹脂粒子を1種以上含む、請求項1から3のいずれかに記載の印刷方法。
  5. 前記樹脂粒子が、ウレタン樹脂粒子である、請求項4に記載の印刷方法。
  6. 前記樹脂粒子の含有量が、前記樹脂に対して30質量%以上70質量%以下である、請求項4から5のいずれかに記載の印刷方法。
  7. 前記有機溶剤Bが、グリセリンである、請求項1から6のいずれかに記載の印刷方法。
  8. 前記インクが、シリコーン系界面活性剤を含む、請求項1から7のいずれかに記載の印刷方法。
  9. 前記シリコーン系界面活性剤が、下記化学式1で表すポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンである、請求項8に記載の印刷方法。
    Figure 2022158815000009
    (化学式1)
    (化学式1において、mは0~10の整数、nは1~5の整数、aは0~20の整数、bは0~20の整数を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表し、R’は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表す)
  10. 前記シリコーン系界面活性剤のグリフィン法により算出したHLB値が、8.0以上11.5以下である、請求項9に記載の印刷方法。
  11. 前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、0.5質量%以上1.5質量%以下である、請求項8から10のいずれかに記載の印刷方法。
  12. 沸点250℃未満の有機溶剤Aを30質量%以下、沸点250℃以上の有機溶剤Bを1質量%以上3質量%以下、及び樹脂を5質量%以上15質量%以下を含み、25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であって、被印刷物上に吐出された容積2.5μLのインクの液滴が、容積0.1μL以下と減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下である前記インクを収容するインク収容手段と、
    前記インクを前記被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルを備えた吐出手段と、
    前記被印刷物の前記インクが吐出されていない面を加熱して、前記インクを乾燥させる第一の乾燥手段と、
    前記被印刷物の前記インクが吐出されている面を加熱して、前記インクを乾燥させる第二の乾燥手段と、を有し、
    前記第一の乾燥手段の加熱温度T1(℃)、及び前記第二の乾燥手段の加熱温度T2(℃)が不等式(1)を満たすことを特徴とする印刷装置。
    0(℃)≦T2-T1≦90(℃)・・・不等式(1)

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