JP2022155519A - 印刷方法、及び印刷装置 - Google Patents

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Yuya Hirokawa
祐介 小飯塚
Yusuke Koiizuka
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Takayuki Shimizu
逸郎 佐々木
Itsuro Sasaki
舜介 堀江
Shunsuke Horie
希 寺井
Nozomi Terai
健太 萩原
Kenta Hagiwara
直人 志村
Naoto Shimura
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Abstract

【課題】浸透性の被印刷物であっても高い発色性を有し、かつ、吐出安定性、乾燥性、及び耐擦過性に優れた印刷方法の提供。【解決手段】キャップ装着手段によってノズル面がカバーされた吐出ヘッドを用い、前記吐出ヘッドからインクを被印刷物に吐出して画像を形成し、前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記キャップ装着手段によってノズル面がカバーされる印刷方法であって、前記インクが、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、前記有機溶剤Aの含有量が、30質量%以下であり、前記有機溶剤Bの含有量が、1質量%以上3質量%以下であり、前記樹脂の含有量が、5質量%以上15質量%以下であり、特定温度において特定の粘度を有し、前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下である印刷方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、印刷方法及び印刷装置に関する。
インクジェット印刷方法は、容易にカラー画像の記録が可能であり、しかもランニングコストが低いなどの理由から、近年、急速に普及してきている。印刷に用いる被印刷物は多岐にわたり、その中には普通紙、光沢紙などの紙類の他に、編み物、織物、不織布等、繊維からなる布及び生地も含まれる(例えば、特許文献1参照)。
このような被印刷物の多くは浸透性の被印刷物であるが、浸透性の被印刷物に印刷した場合、インクに含まれる色材が被印刷物内部まで浸透し発色性が得られにくいという問題がある。
浸透性の被印刷物に対して発色性を向上する方法として、インクの高粘度化が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、浸透性の被印刷物であっても高い発色性を有し、かつ、吐出安定性、乾燥性、及び耐擦過性に優れた印刷方法を提供することを目的とする。
この課題を解決するための手段としての本発明の印刷方法は、
キャップ装着手段によってノズル面がカバーされた吐出ヘッドを用い、前記吐出ヘッドからインクを被印刷物に吐出して画像を形成し、前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記キャップ装着手段によってノズル面がカバーされる印刷方法であって、
前記インクが、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、
前記有機溶剤Aの含有量が、30質量%以下であり、
前記有機溶剤Bの含有量が、1質量%以上3質量%以下であり、
前記樹脂の含有量が、5質量%以上15質量%以下であり、
前記インクの25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記インクの36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であることを特徴とする。
本発明によると、浸透性の被印刷物であっても高い発色性を有し、かつ、吐出安定性、乾燥性、及び耐擦過性に優れた印刷方法を提供することができる。
図1は、本発明の印刷装置の一例を模式的に示す概略図である。 図2は、本発明の印刷装置における吐出ヘッドの一例である記録ヘッドを模式的に示す概略図である。 図3は、本発明の印刷装置における払拭手段を有する払拭ユニットの一例を模式的に示す概略図である。
(印刷方法、及び印刷装置)
本発明の印刷方法は、キャップ装着手段によってノズル面がカバーされた吐出ヘッドを用い、前記吐出ヘッドからインクを被印刷物に吐出して画像を形成し、前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記キャップ装着手段によってノズル面がカバーされる印刷方法である。
また、本発明の印刷方法におけるインクは、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、
前記有機溶剤Aの含有量が、30質量%以下であり、
前記有機溶剤Bの含有量が、1質量%以上3質量%以下であり、
前記樹脂の含有量が、5質量%以上15質量%以下であり、
前記インクの25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記インクの36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下である。
特許文献2(特開2005-144966号公報)の方法では、インクを高粘度化しているため、ノズル面でのインクの固着が発生しやすくなり、吐出安定性の低下や、インクを被印刷物に印刷した後の乾燥性の低下が起こるという問題がある。更に、インクが被印刷物上に残りやすくなるために、耐擦過性が低いという問題がある。
本発明の印刷方法は、従来のインク、及びインクを使った印刷装置では達成できなかった浸透性の被印刷物に対する高い発色性、吐出安定性、乾燥性、耐擦過性を、インクとシステムの最適な組み合わせによって実現するという知見に基づくものである。
本発明の印刷方法は、キャップ装着手段によってノズル面がカバーされた吐出ヘッドを用い、前記吐出ヘッドからインクを被印刷物に吐出して画像を形成し、前記インクの吐出の終了後前記キャップ装着手段によってノズル面がカバーされる。
前記インクの吐出の終了後、前記キャップ装着手段によってノズル面がカバーされるまでの時間としては、5.0分間以内であり、3.0分間以内が好ましい。前記時間が5.0分間以内であると、吐出ヘッドのノズル面における前記インクの膜化が抑制されて吐出安定性に優れる。ここで、本発明におけるインクの吐出には、メンテナンス目的で実施するインクの吐出も含まれる。また、停電や印刷装置の故障などの予期せずに起こる事象によって、前記時間が5.0分間以上続いた場合には、インクを洗浄液に置換し、ヘッド内部とノズル面を清掃することにより正常な状態に復旧することができる。
また、本発明の印刷方法は、印刷装置に搭載されている標準のクリーニング操作の終了後前記キャップ装着手段によってノズル面がカバーされることが好ましい。
本発明の印刷方法に用いられる吐出ヘッドは、キャップ装着手段によってノズル面がカバーされる。これにより、前記インクに含まれる溶媒の蒸発を防ぎ、ノズル面付近のインクの増粘又は固着を防止することができるため、インクの吐出安定性に優れる。
前記キャップ装着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノズル面を高い密閉性を保って覆うことができる保湿用キャップ、ノズルから増粘したインクを吸引して排出することができる吸引用キャップ、前記保湿用キャップ及び前記吸引用キャップの役割を兼ね備えたキャップなどが挙げられる。
前記キャップ装着手段による前記ノズル面のカバー方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷装置中で前記吐出ヘッドが自動でキャップ位置まで駆動し、前記吐出ヘッド又は前記キャップ装着手段が自動で昇降することによりカバーする方法でもよいし、手動で前記吐出ヘッドに前記キャップ装着手段を取り付ける方法でもよい。
前記キャップ装着手段の制御方法としては、印刷装置が自動で前記ノズル面がカバーされていない時間を検知して、必要に応じてキャッピング操作、メンテナンス吐出操作、ノズル面清掃操作のいずれかを自動で行う方法と、手動で前記ノズル面がカバーされていない時間を計測して、必要に応じてキャッピング操作、メンテナンス吐出操作、ノズル面清掃操作のいずれかを手動で行う方法とのいずれかの方法を用いることができる。
<インク>
本発明におけるインクとしては、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記インクの25℃における粘度としては、8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下である。前記粘度が8.0mPa・s以上であると、被印刷物にインクが着弾した後の浸透性が抑制され、浸透性の被印刷物上での発色性が向上する。前記粘度が11.0mPa・s以下であると、吐出安定性が向上する。前記インクの25℃における粘度としては、9.0mPa・s以上11.0mPa・s以下でもよい。
前記インクの36℃における粘度としては、5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下である。前記粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であると、環境の温度が変化した場合でも、前記インクの粘度の変化を抑えることができ、吐出安定性が向上する。前記インクの36℃における粘度としては、6.5mPa・s以上11.0mPa・s以下でもよい。
前記粘度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用して測定することができる。
前記粘度の測定条件としては、25℃、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間の条件で測定可能である。
前記インクを100℃で乾燥して得られるインク膜の25℃における貯蔵弾性率G1としては、1.0×10Pa以上3.0×10Pa以下が好ましく、5.0×10Pa以上1.0×10Pa以下がより好ましい。前記貯蔵弾性率G1が1.0×10Pa以上であると、前記インクの造膜性が高くなりすぎるのを防止でき吐出ヘッドのノズル面における前記インクの固着が抑制されて吐出安定性に優れる。前記貯蔵弾性率G1が3.0×10Pa以下であると、印刷物上のインク膜が硬く脆くなってしまうことを抑制でき耐擦過性に優れる。
前記貯蔵弾性率G1としては、以下の条件で測定することができる。
まず、前記インクを100℃設定の熱風循環式恒温槽にて48時間乾燥させて得られた膜厚約0.3mmのインク膜を、長さ約30mm、幅約10mmの大きさに切り出す。次に、冷凍機付ARES-G2(TA Instruments社製)を用いて測定を行う。サンプル固定用治具としてトーション固体クランプを用いて、20℃にてサンプルを装置にセットした後、2gのAuto tensionをかけた状態で-60℃まで冷却する。-60℃に到達してから10分間後、以下の測定条件にて貯蔵弾性率を測定する。
[測定条件]
・測定モード:temperature sweep
・測定温度範囲:-60℃~100℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
・初期歪:0.1%
・Auto tension:2g
前記インクを100℃で乾燥して得られるインク膜の50℃における貯蔵弾性率G2としては、1.0×10Pa以上3.0×10Pa以下が好ましく、5.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることがより好ましい。
前記貯蔵弾性率G2としては、前記貯蔵弾性率G1と同様の方法で測定することができる。
前記25℃における貯蔵弾性率G1と前記貯蔵弾性率G2の比率(G1/G2)としては、10.0以下が好ましく、8.0以下がより好ましい。前記比率が10.0以下であると、吐出ヘッドの周囲の環境温度が変動した場合においてもインク造膜性に変化が少なく、温度の急激な上昇などによるインクの固着が起こりにくくなり、吐出安定性に優れる。
前記貯蔵弾性率G1及び貯蔵弾性率G2は、インク中の前記樹脂の熱特性により調整することができる。前記樹脂の熱特性は、前記樹脂の重量平均分子量、平均重合度、ガラス転移温度、及び架橋構造の導入等によって制御でき、これらの調整によって前記数値範囲内とすることができる。具体的には、前記インク中に単独の樹脂を含み、前記単独の樹脂の特性により調整することもできるし、前記インク中に異なる特性を持つ複数の樹脂を含み、それぞれの樹脂の特性及び混合比率により調整することもできるが、調整の容易性や他の品質の向上の観点から、前記インク中に異なる特性を持つ複数の樹脂を含み調整を行うことが好ましい。
前記複数の樹脂を含む調整では、吐出安定性、耐擦過性の観点から、0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂と、50℃以上のガラス転移温度を有する樹脂を併用し、それらの混合比率を調整する方法が好ましい。
前記インクの25℃における表面張力としては、被印刷物上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
前記インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7以上12以下が好ましく、8以上11以下がより好ましい。
-有機溶剤A-
前記有機溶剤Aとしては、沸点が250℃未満の有機溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性の有機溶剤を用いることができる。前記沸点とは、標準圧力101.3kPaにおける初期沸点のことである。
前記水溶性の有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオールなどが挙げられる。これらの中でも、吐出安定性の観点から、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,3-ブタンジオールが好ましい。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
前記アミド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
前記有機溶剤Aの含有量としては、前記インクに対して、30質量%以下であり、25質量%以下が好ましい。前記含有量が30質量%以下であると、前記インクの乾燥性が向上する。
-有機溶剤B-
前記有機溶剤Bとしては、沸点が250℃以上の有機溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン(沸点:290℃)、ペンタエリトリオール(沸点:276℃)、トリエチレングリコール(沸点:285℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:278℃)、トリプロピレングリコール(沸点:273℃)などが挙げられる。前記沸点とは、標準圧力101.3kPaにおける初期沸点のことである。
前記インクが、沸点250℃以上の有機溶剤Bを含むことで、前記インクがノズル面付近に固着しにくくなるため、インクの吐出安定性に優れる。
前記有機溶剤Bの含有量としては、前記インクに対して、1質量%以上3質量%以下であり、1.5質量%以上2.5質量%以下が好ましい。前記含有量が1質量%以上であると、前記インクがノズル面付近に固着しにくくなるため、インクの吐出安定性に優れる。3質量%以下であると、インクを被印刷物に吐出した後の乾燥性に優れる。
-樹脂-
前記樹脂としては、前記インクを調製する作業の容易性や分散性の観点から、水性の樹脂粒子を含むことが好ましい。
前記樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、酢酸ビニル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、ブタジエン樹脂粒子、スチレン-ブタジエン樹脂粒子、塩化ビニル樹脂粒子、アクリルスチレン樹脂粒子、アクリルシリコーン樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、印刷物の耐擦過性が高い点から、ウレタン樹脂粒子が好ましい。
前記ウレタン樹脂粒子としては、ウレタン樹脂粒子を構成するウレタン樹脂であり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、及びポリエステル系ウレタン樹脂が好ましい。前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂及び前記ポリエステル系ウレタン樹脂としては、印刷物の耐擦過性に優れる点から、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有することが好ましい。
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、カーボネート基の高い凝集力により耐水性、及び耐擦過性に優れているため、屋外用途のような過酷な環境において使用される印刷物に適したインクを得ることができる。
前記ポリエステル系ウレタン樹脂は、ポリオール部分に芳香環等を有した剛直な構造を導入しやすく、高い硬度と高いガラス転移温度を有し、耐熱性及び耐摩耗性に優れているため、摩擦などの負荷がかかりやすい環境において使用される印刷物に適したインクを得ることができる。
前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記樹脂粒子の市販品としては、例えば、商品名:ユーコートUX-485(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)、商品名:ユーコートUWS-145(ポリエステル系ウレタン樹脂粒子)、商品名:パーマリンUA-368T(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)、商品名:パーマリンUA-200(ポリエーテル系ウレタン樹脂粒子)(以上、三洋化成工業株式会社製)、商品名:タケラックW6110(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)、タケラックWS4000(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)、タケラックW6061(ポリカーボネートウレタン樹脂粒子)(以上、三井化学株式会社製)、商品名:ボンコート5454(スチレン-アクリル系樹脂粒子、DIC株式会社製)、商品名:SAE-1014(スチレン-アクリル系樹脂粒子、日本ゼオン株式会社製)、商品名:サイビノールSK-200(アクリル系樹脂粒子、サイデン化学株式会社製)、商品名:プライマルAC-22、商品名:AC-61(アクリル系樹脂粒子、以上、ローム・アンド・ハース社製)、商品名:ボンコート4001(アクリル系樹脂粒子、DIC株式会社製)、商品名:NANOCRYL(アクリル系樹脂粒子、トーヨーケム株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子としては、水性媒体中に分散されるにあたり、分散剤を利用した強制乳化型のものを用いることもでき、塗膜に分散剤が残り強度を下げることを防止する点から、分子構造中にアニオン性基を有する自己乳化型の樹脂粒子が好ましい。
前記自己乳化型の樹脂粒子のアニオン性基の酸価としては、水分散性、耐擦過性及び耐薬品性の点から、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下がより好ましい。
前記アニオン性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基などが挙げられる。これらの中でも、良好な水分散安定性を維持できる点から、一部又は全部が塩基性化合物等によって中和された、カルボキシレート基及びスルホネート基が好ましい。
前記アニオン性基を有する樹脂粒子の水分散体を製造する方法としては、水分散体にアニオン性基の中和に使用できる塩基性化合物を添加する方法が挙げられる。
前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記強制乳化型の樹脂粒子を用いて水分散体を製造する方法としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの界面活性剤を用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐水性の点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましい。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩が好ましい。
前記界面活性剤の含有量としては、樹脂全量に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上30質量%以下であると、好適に樹脂が造膜し、付着性や耐水性に優れたインクが得られ、印刷物のブロッキングを防ぐことができる。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機溶剤と前記樹脂粒子の表面の接触部位が増加することで強靭な樹脂の連続被膜を形成できる点で、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)としては、0℃以下が好ましい。前記インクが、ガラス転移温度0℃以下の樹脂粒子を1種以上含むことで、被印刷物上におけるインクの造膜性が向上し、耐擦過性に優れる。
前記樹脂粒子のガラス転移温度としては、例えば、示差走査型熱量分析(DSC)、示差熱分析(DTA)などにより測定することができる。
前記樹脂粒子の含有量としては、前記樹脂に対して、30質量%以上70質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。前記含有量が30質量%以上であると、印刷物上でインクの造膜性が向上し前記インク膜の強度が増すため印刷物の耐擦過性に優れる。前記含有量が70質量%以下であると、吐出ヘッドのノズル面でのインク膜が抑制されて吐出信頼性に優れる。
前記樹脂の含有量としては、前記インクに対して、5質量%以上15質量%以下であり、8質量%以上13質量%以下が好ましい。前記含有量が5質量%以上であると、インクの粘度が高くなり、浸透性の被印刷物にインクを塗布した場合でも高い発色性と耐擦過性を有する。前記含有量が、15質量%以下であると、吐出ヘッドのノズル面に前記インクが固着しにくくなるためインクの吐出安定性に優れる。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
--シリコーン系界面活性剤--
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等の変性基を有するシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基等の変性基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記化学式1で表すポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
Figure 2022155519000001
(化学式1)
(化学式1において、mは0~10の整数、nは1~5の整数、aは0~20の整数、bは0~20の整数を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表し、R’は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表す)
前記ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンは、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に有する。
前記変性基を有するシリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、SAG503A、SAG002、SAG005、KF-618、KF-642、KF-643等の信越化学工業社製の界面活性剤、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX等の日本エマルジョン社製の界面活性剤、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164等の東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の界面活性剤、BYK-33、BYK-387等のビックケミー社製の界面活性剤、TSF4440、TSF4452、TSF4453等の東芝シリコン社製の界面活性剤、TEGO Twin4000 等のEvonic社製の界面活性剤などが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤のHLB値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、発色性の観点から、8.0以上11.5以下が好ましく、9.0以上11.5以下がより好ましい。
前記HLB値としては、グリフィン法により算出することができる。
前記シリコーン系界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、発色性及び吐出安定性の観点から、インク全量に対して0.5質量%以上1.5質量%以下が好ましく、0.7質量%以上1.3質量%以下がより好ましい。
(印刷装置)
本発明の印刷装置としては、沸点250℃未満の有機溶剤Aを30質量%以下、沸点250℃以上の有機溶剤Bを1質量%以上3質量%以下、及び樹脂を5質量%以上15質量%以下を含み、25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であって、被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下と減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であるインクを収容するインク収容手段と、
前記インクを前記被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルを備えた吐出手段と、
前記吐出口からの前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記ノズル面にキャップを装着させるキャップ装着手段と、を有し、更に必要に応じて、刺激発生手段、払拭手段などのその他の手段を有する。
<吐出手段>
前記吐出手段は、インクを被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルであり、前記ノズルとしては、例えば、吐出ヘッドなどが挙げられる。
前記吐出ヘッドは、ノズル基板と、前記ノズル基板の表面に撥インク膜とを有することが好ましく、撥インク膜を設けたノズル基板の表面がノズル面である。
前記ノズル基板には、ノズル孔が設けられており、その数、形状、大きさ、材質、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基板は、前記ノズル孔からインクが吐出されるインク吐出側の面と、前記インク吐出側の面とは反対側に位置する液室接合面とを有する。
前記ノズル基板の平面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方形、正方形、菱形、円形、楕円形などが挙げられる。また、前記ノズル基板の断面形状としては、例えば、平板状、プレート状などが挙げられる。
前記ノズル基板の大きさとしては、特に制限はなく、前記ノズルプレートの大きさに応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基板の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、Al、Bi、Cr、InSn、ITO、Nb、Nb、NiCr、Si、SiO、Sn、Ta、Ti、W、ZAO(ZnO+Al)、Znなどが挙げられる。 これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、防錆性の点から、ステンレス鋼が好ましい。
前記ステンレス鋼としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ノズル基板の少なくともインク吐出側の面は、前記撥インク膜と前記ノズル基板との密着性を向上させる点から、酸素プラズマ処理を行って水酸基を導入してもよい。
前記ノズル孔としては、その数、配列、間隔、開口形状、開口の大きさ、開口の断面形状などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル孔の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数の前記ノズル孔が、前記ノズル基板の長さ方向に沿って等間隔に並んで配列されている態様などが挙げられる。
前記ノズル孔の配列は、吐出するインクの種類に応じて適宜選定することができるが、1列~複数列が好ましく、1列~4列がより好ましい。
前記1列当たりの前記ノズル孔の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、10個以上10,000個以下が好ましく、50個以上500個以下がより好ましい。隣接する前記ノズル孔の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、21μm以上169μm以下が好ましい。
前記ノズル孔の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。これらの中でも、インクの液滴を吐出する点から、円形が好ましい。
前記撥インク膜は、前記ノズル基板の前記インク吐出側の面に形成されている。
前記撥インク膜は、前記インクが撥水できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、含フッ素アクリレートエステル重合体、又は主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体を含むことが好ましい。前記撥インク膜が、前記含フッ素アクリレートエステル重合体、又は主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体を含むことにより、表面自由エネルギーが非常に小さくなり、本発明で用いる表面張力の低いインクであっても濡れ難い状態を維持できるので好ましい。
<インク収容手段>
前記インク収容手段としては、前記インクを収容する部材であれば特に制限はなく、例えば、インク充填容器、インクタンクなどが挙げられる。
前記インク充填容器としては、前記インクを容器中に充填してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが挙げられる。
前記インクタンクとしては、メインタンク、サブタンクなどが挙げられる。
<キャップ装着手段>
吐出口からの前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記ノズル面にキャップを装着させる手段である。
前記キャップ装着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノズル面を高い密閉性を保って覆うことができる保湿用キャップ、ノズルから増粘したインクを吸引して排出することができる吸引用キャップ、前記保湿用キャップ及び前記吸引用キャップの役割を兼ね備えたキャップなどが挙げられる。
前記キャップ装着手段による前記ノズル面のカバー方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷装置中で前記吐出ヘッドが自動でキャップ位置まで駆動し、前記吐出ヘッド又は前記キャップ装着手段が自動で昇降することによりカバーする方法でもよいし、手動で前記吐出ヘッドに前記キャップ装着手段を取り付ける方法でもよい。
前記キャップ装着手段の制御方法としては、印刷装置が自動で前記ノズル面がカバーされていない時間を検知して、必要に応じてキャッピング操作、メンテナンス吐出操作、ノズル面清掃操作のいずれかを自動で行う方法と、手動で前記ノズル面がカバーされていない時間を計測して、必要に応じてキャッピング操作、メンテナンス吐出操作、ノズル面清掃操作のいずれかを手動で行う方法とのいずれかの方法を用いることができる。
<刺激発生手段>
前記刺激発生手段は、インクに印加する刺激を発生する手段である。
前記刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好ましい。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子等の圧電アクチュエータ、振動発生装置、超音波発振器、ライト、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記刺激が「熱」の場合は、前記インク吐出ヘッド内のインクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、サーマルヘッド等を用いて付与する。前記熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記ノズルプレートの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させることができる。
前記刺激が「圧力」の場合は、例えば、前記インク吐出ヘッド内のインク流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。これにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記インク吐出ヘッドの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させることができる。これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加してインクを飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
<払拭手段>
本発明の印刷方法では、インクの吐出に伴ってノズル面にインク滴が付着するなどにより、ノズル面への汚れの付着が生じる場合、払拭手段を用いてノズル面を払拭することで、ノズル面に付着した汚れを払拭することができる払拭手段を備えることができる。
前記払拭手段の払拭部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイパーブレード、不織布などが挙げられる。払拭部材として不織布を用いる場合、払拭時に、払拭部材に対して洗浄液を付与することで、払拭の効率を向上することができる。
図1から図3を用いて、本発明の印刷装置の一例及び印刷方法について説明する。
図1に示す印刷装置は、本発明の印刷装置の一例を模式的に示す概略図であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
図1に示す印刷装置は、シリアル型の印刷装置である。前記印刷装置は、左右の側板に横架した主ガイド部材1及び従ガイド部材でキャリッジ3を移動可能に保持している。そして、キャリッジ3は、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7との間に架け渡したタイミングベルト8を介して主走査方向(キャリッジ移動方向)に往復移動する。
前記キャリッジ3には、吐出ヘッドの一例である記録ヘッド4a、4b(区別しないときは「記録ヘッド4」と称する)を搭載している。
前記記録ヘッド4は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)等の各色のインク滴を吐出することができる。また、前記記録ヘッド4は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
図2は、本発明の印刷装置における吐出ヘッドの一例である記録ヘッドを模式的に示す概略図である。図2に示すように、記録ヘッド4は、ノズル面41に、複数のノズル4nを配列した2つのノズル列Na、Nbを有する。記録ヘッド4を構成する吐出ヘッドとしては、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータなどが挙げられる。また、ノズル面41は、ノズル面41の近傍においてインクの固着を防ぐことができる点から、表面に撥インク膜を有することが好ましい。
前記記録ヘッド4aとしては、例えば、一方のノズル列Naがブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbがシアン(C)の液滴を吐出することができ、記録ヘッド4bとしては、例えば、一方のノズル列Naがマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列Nbがイエロー(Y)の液滴を吐出することができる。
図1に示す印刷装置は、記録媒体の一例としての用紙10を搬送するために、用紙を静電吸着して記録ヘッド4に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。
前記搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されている。そして、前記搬送ベルト12は、副走査モータ16によって、タイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動され、副走査方向に周回移動する。前記搬送ベルト12は、周回移動しながら帯電ローラによって帯電(電荷付与)される。
キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材20a、ノズル面を払拭する機構20b、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出受けなどで構成されている。ノズル面を払拭する機構20bは、本発明の液体吐出装置における払拭手段の一例である。
搬送ベルト12と維持回復機構20との間の記録領域外であって、記録ヘッド4に対向可能な領域には、吐出検知ユニット100が配置されている。一方、キャリッジ3には、吐出検知ユニット100の電極板を清掃する清掃ユニット200が設けられている。
本発明の印刷装置は、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール23を張装している。
前記キャリッジ3にはエンコーダスケール23のパターンを読み取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24が設けられている。これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ3の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)を構成している。
前記搬送ローラ13の軸にはコードホイール25が取り付けられており、このコードホイール25に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26も設けられている。これらのコードホイール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)が構成されている。
このように構成された印刷装置において、用紙10が帯電された搬送ベルト12上に給紙されることで吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙10が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録する。そして、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙10の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙10を排紙トレイに排紙する。
記録ヘッド4のクリーニングを行う場合は、印字(記録)待機中にキャリッジ3を維持回復機構20に移動させ、維持回復機構20により清掃を実施する。また、記録ヘッド4は移動せず、維持回復機構20が移動してヘッドを清掃するようにしてもよい。
図3は、本発明に用いることができる払拭手段を有する払拭ユニットの一例の概略図である。
払拭ユニットは、洗浄液付与手段である洗浄液滴下装置430と、払拭手段とを有する。
前記払拭手段としては、払拭部材の一例であるシート状払拭部材320と、シート状払拭部材320を送り出す送り出しローラ410と、送り出されたシート状払拭部材320に洗浄液を付与する洗浄液付与工程を実行する洗浄液付与手段の一例である洗浄液滴下装置430と、洗浄液を付与されたシート状払拭部材320をノズル面に押し当てる押し当て手段の一例である押し当てローラ400と、払拭に使われたシート状払拭部材320を回収する巻き取りローラ420と、を有する。なお、払拭手段は、シート状払拭部材320の他に、ノズル面を払拭するゴムブレード等を備えていてもよい。前記払拭手段がゴムブレード等を備えている場合は、シート状払拭部材320にゴムブレード等を当接させる機構を設けて、シート状払拭部材320にゴムブレード等のクリーニング機能を持たせてもよい。
前記洗浄液は、途中に洗浄液を供給するポンプを設けられた洗浄液供給チューブを介し、洗浄液を収容する洗浄液収容容器から供給される。
前記押し当てローラ400は、バネを用いて、クリーニング部とノズル面の距離を調整することで、押し当て力を調整することができる。
前記押し当て手段としては、ローラに限らず、固定された樹脂やゴムの部材であってもよい。
シート状払拭部材320としては、例えば、図3に示すようなロール状に巻き取られた状態、折り畳んで収納されている状態などの状態で収納されるが、小型化の観点から、ロール状に巻き取られた状態で収納されていることが好ましい。
洗浄液付与手段としては、洗浄液滴下装置430以外の手段であってもよく、例えば、洗浄液をローラで付与する洗浄液付与ローラ、洗浄液をスプレーで付与する洗浄液付与スプレーなどが挙げられる。
本実施形態では、払拭工程の一例として、払拭手段の一例であるシート状払拭部材320に洗浄液を一定量塗布した後、シート状払拭部材320がノズル面41に押し当てられながら、維持回復機構20bと記録ヘッド4が相対的に移動することでノズル面41に付着した異物500を払拭する工程が実行される。
ノズル面41に付着する異物500としては、ノズルからインクを吐出した際に発生するミストインクや、クリーニング等でノズルからインクを吸引したときに付着するインク、ミストインクやキャップ部材に付着したインクがノズル面で乾燥した固着インク、被印刷物から発生する紙粉などが挙げられる。
本実施形態では、洗浄液を含有しない払拭部材320に対して洗浄液が付与された後で異物500の払拭が行われるが、予め洗浄液を含む払拭部材320を用いることで洗浄液付与手段を用いない構成としてもよい。また、洗浄液が付与される場所は、払拭部材320以外であってもよく、ノズル面41に直接付与されてもよい。即ち、ノズル面41に付与される洗浄液とは、結果的にノズル面41に付与される全ての態様の洗浄液を意味し、例えば、ノズル面41に直接的に付与される洗浄液、洗浄液を含む払拭部材320を介してノズル面41に間接的に付与される洗浄液などが挙げられるが、洗浄液を含む払拭部材320を介してノズル面41に間接的に付与される洗浄液であることが好ましい。
また、長時間の待機状態により、ノズル面41でインクが乾燥して固着していると想定される場合は、洗浄液を含んだ払拭部材320でノズル面41を複数回払拭することで取り除くことができる構成であることが好ましい。なお、払拭工程は、洗浄液を用いずにノズル面を払拭する工程であってもよい。
<被印刷物>
被印刷物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙などの紙類の被印刷物、Tシャツ等の衣料用の布、ファブリック等の布類などが挙げられる。
本発明の印刷方法は、浸透性の被印刷物であっても高い発色性を有し、かつ、吐出安定性、乾燥性、及び耐擦過性に優れる。
本発明において布類の被印刷物とは、例えば、編み物、織物、不織布等、繊維からなる布及び生地などが挙げられる。
前記布類の被印刷物の用いる材質はパルプ、綿、麻などに由来するセルロース繊維、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ビニロン系樹脂、ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ベンゾエート系樹脂、ポリクラール、及びフェノール系樹脂などを繊維状にした合成繊維、絹や羊毛などの天然繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、及びリヨセル繊維などを含む再生繊維、アセテート繊維、トリアセテート繊維、及びプロミックス繊維などの半合成繊維、金属繊維、ガラス繊維、並びに、岩石繊維などの無機繊維を含んでもよい。これら繊維を単独で用いても良いし、複数種を併用して用いてもよい。
また、前記布類の被印刷物は、前記セルロース繊維又は天然繊維と、前記合成繊維を混紡して得られた繊維を材質として用いることもできる。
前記被印刷物の浸透性は、前記インクを前記被印刷物の上に吐出されたインクの容積の変化から定義できる。具体的には、被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下である被印刷物を浸透性被印刷物として扱う。
前記被印刷物の浸透性の評価に用いている前記接触角計としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Dmo-5-1(協和界面科学社製)を用いて測定することができる。測定の際には、シリンジニードルを装着したシリンジから2.5μlの前記インクを押し出し、液滴法により前記被印刷物上に前記インクを吐出して容積の変化を測定する。前記シリンジニードルは測定の再現性の向上のためにテフロン(登録商標)製のシリンジニードルを用いることが好ましい。
前記被印刷物上に前記インクを乗せた後のある時間における前記インクの容積は以下の式より算出することができる。
Figure 2022155519000002
上記式において、V(t)は、ある時間における前記被印刷物上の前記インクの体積(単位:μl)、R(t)は、ある時間における前記被印刷物上の前記インク液滴の半径(単位:mm)、θ(t)は、ある時間における前記被印刷物上の前記インク液滴の接触角(単位:ラジアン)である。前記R(t)、及び前記θ(t)は、接触角計を評価可能である。本発明においては、前記θ(t)は、θ/2法を用いて求めた値を用いることとする。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」であり、「%」は、評価基準中のものを除き、「質量%」である。
<ブラック顔料分散体の製造例>
フラスコ内に、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12g、ポリエチレングリコールメタクリレート4g、スチレンマクロマー4g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108g、ポリエチレングリコールメタクリレート36g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60g、スチレンマクロマー36g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を、2.5hかけてフラスコ内に滴下した。その後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
次に、65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、さらに1時間熟成して反応を行った。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、固形分濃度50%のポリマー溶液Aを800g得た。
次いで、ポリマー溶液Aを28g、カーボンブラック(Cabot Corporation社製、Black Pearls 1000)42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及び水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルで混練してペーストを得た。
得られたペーストを純水200gに入れて充分に攪拌した後、エバポレータでメチルエチルケトンを除去し、平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過した後、固形分濃度が20%になるように水分量を調整し、固形分濃度20%のブラック顔料分散体を得た。
<シアン顔料分散体の製造例>
前記ブラック顔料分散体の調製において、カーボンブラックの代わりにピグメントブルー15:4(SENSIENT社製SMART Cyan 3154BA)を使用した以外は、ブラック顔料分散体の製造例と同様にして固形分濃度20%のシアン顔料分散体を得た。
<マゼンタ顔料分散体の製造例>
前記ブラック顔料分散体の調製において、カーボンブラックの代わりにピグメントレッド122(Sun Chemical社製Pigment Red 122)を使用した以外は、ブラック顔料分散体の製造例と同様にして固形分濃度20%のマゼンタ顔料分散体を得た。
<イエロー顔料分散体の製造例>
前記ブラック顔料分散体の調製において、カーボンブラックの代わりにピグメントイエロー74(ENSIENT社製SMART Yellow 3074BA)を使用した以外は、ブラック顔料分散体の製造例と同様にして固形分濃度20%のイエロー顔料分散体を得た。
<ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例1>
温度計、窒素ガス導入管、撹拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(商品名:ポリライトOD-X-2251、DIC株式会社製、平均分子量2,000)124.4g、2,2-ジメチロールプロピオン酸9.7g、イソホロンジイソシアネート29.8g、有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1gを、DMTDL(ジブチルスズジラウレート)0.06gを触媒として使用し反応させた。前記反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7gを供給し、更に反応を継続した。前記反応物の平均分子量が20,000から60,000の範囲に達した時点で、メタノール1.4gを投入し前記反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を13.4g加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和し、次いで、水715.3gを加え十分に撹拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分濃度が30質量%のポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン1を得た。得られたポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン1について、ガラス転移温度を測定したところ、74℃であった。また、体積平均粒径は69nmであった。
<ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例2>
撹拌機、温度計、窒素シール管(窒素導入管)、及び冷却器の付いた容量2Lの反応容器に、メチルエチルケトンを100g、ポリエステルポリオール(1)(イソフタル酸/アジピン酸=6/4(モル比)とエチレングリコール/ネオペンチルグリコール=1/9(モル比)とから得られたポリエステルポリオール(数平均分子量=2,000、平均官能基数:2)を345g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)を9.92g仕込み、60℃にて均一に混合した。
その後、トリエチレングリコールジイソシアネート(TEGDI)を45.1g、ジオクチルチンジラウレート(DOTDL)を0.08g仕込み、72℃で3時間反応させて、ポリウレタン溶液を得た。得られたポリウレタン溶液に、イソフタル酸(IPA)を80g、メチルエチルケトン(MEK)を220g、TEA(トリエチルアミン)を3.74g、水596g仕込んで転相させた後、ロータリーエバポレーターにてMEKとIPAを除去して、ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン2を得た。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整した。得られたポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョン2について、ガラス転移温度を測定したところ、-5℃であった。また、体積平均粒径は88nmであった。
<ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例1>
温度計、窒素ガス導入管、撹拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(商品名:PTMG1000、三菱化学株式会社製、平均分子量:1,000)100.2g、2,2-ジメチロールプロピオン酸15.7g、イソホロンジイソシアネート48.0g、有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1gを、DMTDL(ジブチルスズジラウレート)0.06gを触媒として使用し反応させた。前記反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7gを供給し、更に反応を継続した。前記反応物の平均分子量が20,000から60,000の範囲に達した時点で、メタノール1.4gを投入し前記反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を13.4g加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和し、次いで、水715.3gを加え十分に撹拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分濃度が30質量%のポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンを得た。得られたポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンについて、ガラス転移温度を測定したところ、43℃であった。また、体積平均粒径は121nmであった。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例1>
撹拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200))1,500g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN-メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート1,223g(5.5モル)、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌下、水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有するポリカーボネートウレタン樹脂エマルジョン1を得た。得られたポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン1について、ガラス転移温度を測定したところ、83℃であった。また、体積平均粒径は71nmであった。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの合成例2>
撹拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200))1,500g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN-メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g(5.5モル)、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌下、水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有するポリカーボネートウレタン樹脂エマルジョン2を得た。得られたポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン2について、ガラス転移温度を測定したところ、55℃であった。また、体積平均粒径は55nmであった。
<アクリル樹脂エマルジョンの合成例1>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g、及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン365g、ブチルアクリレート545g、及びメタクリル酸10gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整し、アクリル樹脂エマルジョン1を得た。得られたアクリル樹脂エマルジョン1について、ガラス転移温度を測定したところ、86℃であった。また、体積平均粒径は158nmであった。
<アクリル樹脂エマルジョンの合成例2>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g、及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。
内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリル酸-2ーエチルヘキシル568及びにメタクリル酸メチル447gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整し、アクリル樹脂エマルジョン2を得た。得られたアクリル樹脂エマルジョン2について、ガラス転移温度を測定したところ、-21℃であった。また、体積平均粒径は152nmであった。
<ガラス転移温度の測定>
樹脂粒子のガラス転移温度は、DSCシステムQ-2000(TAインスツルメント社製)を用いて測定した。具体的には、樹脂粒子分散液を70℃のオーブンで12時間以上加熱乾燥させ、固形分5mgをアルミニウム製の試料容器に入れて装置にセットし、窒素気流下にて以下の測定条件(1)~(4)にて測定を行った。2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてガラス転移温度を求めた。結果を下記表1及び表2に示した。なお、下記表1及び表2におけるガラス転移温度の各数字の単位は「℃」である。
(1)-70℃まで冷却後5分保持
(2)10℃/minで120℃まで昇温
(3)-70℃まで冷却後5分保持
(4)10℃/minで120℃まで昇温
<体積平均粒径測定>
体積平均粒径については、日機装株式会社製のマイクロトラックUPA-150を用い、測定サンプル中の樹脂粒子濃度(質量濃度)が0.01質量%になるように純水で希釈したサンプルを用いて測定した。
<インクAの調製例>
下記のインク処方を、全量で100質量部になるようにイオン交換水を加え、混合撹拌し、平均孔径5μmのフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)で濾過して、インクAを作製した。
[インク処方]
・上記ブラック顔料分散体:20質量部
・ポリエステル系ウレタン樹脂1(体積平均粒径:69nm):4質量部
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョン3(三井化学株式会社製、商品名:タケラックW6110、体積平均粒径:41nm):5質量部
・SAG503A(日信化学工業社製、シリコーン系界面活性剤、HLB値:11):1質量部
・1,3-プロパンジオール(Dupont社製):3質量部
・3-メチルー1,3-ブタンジオール(商品名:イソプレングリコール、株式会社クラレ製):25質量部
・グリセリン(阪本薬品工業株式会社製):2質量部
・プロキセルLV(アビシア社製、防腐防黴剤):0.1質量部
・イオン交換水:残量(合計:100質量部)
<インクB~インクTの調製例>
インクAの調製例において、表1及び表2に記載のインク処方に変更した以外は、インクAの調製例と同様にして、インクB~インクTを調製した。なお、表1及び表2中の樹脂の含有量は固形分量である。
表1及び表2において、各成分の詳細な内容については、以下のとおりである。
・1,2-プロパンジオール(商品名:プロピレングリコール、株式会社ADEKA製)
・1,4-ブタンジオール(東京化成工業株式会社製)
・2,3-ブタンジオール(東京化成工業株式会社製)
・1,5-ペンタンジオール(東京化成工業株式会社製)
・3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(商品名:ソルフィット、株式会社クラレ製)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(東京化成工業株式会社製)
・SAG002(日信化学工業社製、シリコーン系界面活性剤、HLB値:12)
・SAG005(日信化学工業社製、シリコーン系界面活性剤、HLB値:7)
・TEGO Twin4000 (Evonic社製、シリコーン系界面活性剤)
・FS-300(Dupont社製、フッ素系界面活性剤)
・シアン顔料分散体
・マゼンタ顔料分散体
・イエロー顔料分散体
・ポリエステル系ウレタン樹脂2
・ポリエーテル系ウレタン樹脂
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂1
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂2
・アクリル樹脂エマルジョン1
・アクリル樹脂エマルジョン2
<インクの粘度測定>
インクの粘度測定には、粘度計(RE80L、東機産業株式会社製)を使用し、以下の条件で粘度を測定した。各インクの粘度測定結果は表3及び表4に示す。
[測定条件]
コーンローター:標準コーンローター(1°34’×R24)
サンプル液量:1.2mL
回転数:50rpm
測定時間:3min
温度:25℃、36℃
<実施例1>
印刷物の作製にはIPSiO GXe5500機(株式会社リコー製)を、布状の被印刷物を印刷できるように、かつ、キャップ装着手段によってノズル面をカバーできる時間を調製できるように改造したインクジェットプリンターを用いた。
前記インクジェットプリンターに搭載したインクタンクにインクAを充填し、HP社製 Light Fabric (ポリエステル製織物)に印字を行った。発色性、耐擦過性、乾燥性の評価には、前記インクジェットプリンターに搭載されている標準のクリーニング操作を行った後、デキャップ時間を設けずに直ぐに印字を実施した。吐出安定性の評価では、前記インクジェットプリンターに搭載されている標準のクリーニング操作を行った後、5.0分間後に前記キャップ装着手段によってノズル面をカバーし、その後、ノズル面のカバーを外して印字を実施した。
<実施例2~15及び比較例1~6>
実施例1において、インクAを、表3及び表4に示すようにインクB~インクTに変更した以外は、実施例1と同様の方法で印字を行った。
<比較例5>
実施例1において、標準のクリーニング操作を行った後、10.0分間後に前記キャップ装着手段によってノズル面をカバーした以外は、実施例1と同様の方法で印字を行った。
<被印刷物上のインクが0.1μlになるまでの時間の測定方法>
実施例1~15及び比較例1~6のインクと被印刷物の組み合わせで、インクを被印刷物上に乗せたときに0.1μlになるまでの時間を、以下の条件で測定した。測定結果は表3及び表4に示す。
[測定条件]
評価装置:Dmo-5-1(協和界面科学社製)
測定方法:液滴法
シリンジニードル:テフロン(登録商標)製ニードル(内径:0.37μm)
温度:25℃
測定間隔:0.1sec
インクの滴下体積:2.5μl
接触角の解析方法:θ/2法
被印刷物:HP社製 Light Fabric
実施例1~15及び比較例1~6において、「発色性」、「耐擦過性」、「乾燥性」、及び「吐出安定性」を評価した。結果を表3から表6に示す。
<発色性>
前記インクジェットプリンターを用いて、付着量1.5g/mでベタ印字を行った。印字後、100℃の乾燥機で3min乾燥を行った。得られた印字物のベタ部分のODをeXact Scan(X-Rite製)で測定した。測定結果より、以下の評価基準に基づいて、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの発色性をそれぞれ評価した。評価としては、C以上が実用可能である。
[ブラックの評価基準]
A:ODが1.30以上
B:ODが1.20以上1.30未満
C:ODが1.10以上1.20未満
D:ODが1.10未満
[シアンの評価基準]
A:ODが1.10以上
B:ODが1.00以上1.10未満
C:ODが0.90以上1.00未満
D:ODが0.90未満
[マゼンタの評価基準]
A:ODが1.10以上
B:ODが1.00以上1.10未満
C:ODが0.90以上1.00未満
D:ODが0.90未満
[イエローの評価基準]
A:ODが1.00以上
B:ODが0.90以上1.00未満
C:ODが0.80以上0.90未満
D:ODが0.80未満
<耐擦過性>
前記インクジェットプリンターを用いて、付着量1.5g/mでベタ印字を行った。印字後、100℃の乾燥機で3min乾燥を行った。得られたベタ画像を日本工業規格(JIS)JIS L0849に準拠し学振型摩擦堅牢度試験機を用いて摩擦堅牢性試験(乾摩擦)を行い、綿布への転写ODを測色し、以下の評価基準に基づいて判断した。評価としては、C以上が実用可能である。
[評価基準]
A:試験後の綿布の転写ODが0.10未満
B:試験後の綿布の転写ODが0.10以上0.20未満
C:試験後の綿布の転写ODが0.20以上0.30未満
D:試験後の綿布の転写ODが0.30以上
<乾燥性>
前記インクジェットプリンターを用いて、付着量1.5g/mでベタ印字を行った。印字後、100℃の乾燥機に入れ、乾燥時間を振って印刷物を取り出しベタ部分に触れた時に転写が起こるかを確認した。転写が起きなくなるまでの乾燥時間から、以下の評価基準に基づいて乾燥性を評価した。評価としては、C以上が実用可能である。
[評価基準]
A:乾燥時間が15secより短い時間で転写しなくなる
B:乾燥時間が15sec以上30secより短い時間で転写しなくなる
C:乾燥時間が30sec以上45secより短い時間で転写しなくなる
D:乾燥時間が45sec以上でも転写がなくならない
<吐出安定性>
湿度RH50%、温度36℃の環境下に、前記インクジェットプリンターのノズル面をキャップ装着手段によってカバーした状態で1時間以上置いた後、前記インクジェットプリンターに搭載されている標準のクリーニング操作を行ってからデキャップ操作(ノズル面からキャップ装着手段を外す)を行った。所定の時間、デキャップを行った後で、ノズル抜けを判別できるチャートを印刷してノズル抜け数を確認した。全ノズル数に対するノズル抜け数の比率から、以下の評価基準に基づいて吐出安定性を評価した。評価としては、C以上が実用可能である。
[評価基準]
A:3%未満
B:3%以上6%未満
C:6%以上12%未満
D:12%以上
Figure 2022155519000003
Figure 2022155519000004
Figure 2022155519000005
Figure 2022155519000006
Figure 2022155519000007
Figure 2022155519000008
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> キャップ装着手段によってノズル面がカバーされた吐出ヘッドを用い、前記吐出ヘッドからインクを被印刷物に吐出して画像を形成し、前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記キャップ装着手段によってノズル面がカバーされる印刷方法であって、
前記インクが、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、
前記有機溶剤Aの含有量が、前記インクに対して、30質量%以下であり、
前記有機溶剤Bの含有量が、前記インクに対して、1質量%以上3質量%以下であり、
前記樹脂の含有量が、前記インクに対して、5質量%以上15質量%以下であり、
前記インクの25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記インクの36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であることを特徴とする印刷方法である。
<2> 前記インクを100℃で乾燥して得られるインク膜の25℃における貯蔵弾性率G1が、1.0×10Pa以上3.0×10Pa以下である、前記<1>に記載の印刷方法である。
<3> 前記貯蔵弾性率G1と、前記インクを100℃で乾燥して得られるインク膜の50℃における貯蔵弾性率G2との比率(G1/G2)が10以下である、前記<2>のに記載の印刷方法である。
<4> 前記樹脂が、ガラス転移温度が0℃以下の樹脂粒子を1種以上含む、前記<1>から<3>のいずれかに記載の印刷方法である。
<5> 前記樹脂粒子が、ウレタン樹脂粒子である、前記<4>に記載の印刷方法である。
<6> 前記樹脂粒子の含有量が、前記樹脂に対して30質量%以上70質量%以下である、前記<4>から<5>のいずれかに記載の印刷方法である。
<7> 前記有機溶剤Bが、グリセリンである、前記<1>から<6>のいずれかに記載の印刷方法である。
<8> 前記インクが、シリコーン系界面活性剤を含む、前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷方法である。
<9> 前記シリコーン系界面活性剤が、下記化学式1で表すポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンである、前記<8>に記載の印刷方法である。
Figure 2022155519000009
(化学式1)
(化学式1において、mは0~10の整数、nは1~5の整数、aは0~20の整数、bは0~20の整数を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表し、R’は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表す)
<10> 前記シリコーン系界面活性剤のグリフィン法により算出したHLB値が、8.0以上11.5以下である、前記<9>に記載の印刷方法である。
<11> 前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、前記インクに対して、0.5質量%以上1.5質量%以下である、前記<8>から<10>のいずれかに記載の印刷方法である。
<12> 沸点250℃未満の有機溶剤Aを30質量%以下、沸点250℃以上の有機溶剤Bを1質量%以上3質量%以下、及び樹脂を5質量%以上15質量%以下を含み、25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であって、被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下と減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であるインクを収容するインク収容手段と、
前記インクを前記被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルを備えた吐出手段と、
前記吐出口からの前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記ノズル面にキャップを装着させるキャップ装着手段と、を有することを特徴とする印刷装置である。
前記<1>から<11>のいずれかに記載の印刷方法、及び前記<12>に記載の印刷装置は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2019-163380号公報 特開2005-144966号公報
1 主ガイド部材
3 キャリッジ
4、4a、4b 記録ヘッド
4n ノズル
5 主走査モータ
6 駆動プーリ
7 従動プーリ
8 タイミングベルト
10 用紙
12 搬送ベルト
13 搬送ローラ
14 テンションローラ
16 副走査モータ
17 タイミングベルト
18 タイミングプーリ
20 維持回復機構
21 空吐出受け
20a キャップ部材
20b ノズル面を払拭する機構
23 エンコーダスケール
24 エンコーダセンサ
25 コードホイール
26 エンコーダセンサ
41 ノズル面
4n ノズル
Na、Nb ノズル列
100 吐出検知ユニット
320 払拭部材
400 押し当てローラ
410 送り出しローラ
420 巻き取りローラ
430 洗浄液滴下装置
500 異物

Claims (12)

  1. キャップ装着手段によってノズル面がカバーされた吐出ヘッドを用い、前記吐出ヘッドからインクを被印刷物に吐出して画像を形成し、前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記キャップ装着手段によってノズル面がカバーされる印刷方法であって、
    前記インクが、沸点250℃未満の有機溶剤A、沸点250℃以上の有機溶剤B、及び樹脂を含み、
    前記有機溶剤Aの含有量が、前記インクに対して、30質量%以下であり、
    前記有機溶剤Bの含有量が、前記インクに対して、1質量%以上3質量%以下であり、
    前記樹脂の含有量が、前記インクに対して、5質量%以上15質量%以下であり、
    前記インクの25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
    前記インクの36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、
    前記被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下に減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であることを特徴とする印刷方法。
  2. 前記インクを100℃で乾燥して得られるインク膜の25℃における貯蔵弾性率G1が、1.0×10Pa以上3.0×10Pa以下である、請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記貯蔵弾性率G1と、前記インクを100℃で乾燥して得られるインク膜の50℃における貯蔵弾性率G2との比率(G1/G2)が10以下である、請求項2に記載の印刷方法。
  4. 前記樹脂が、ガラス転移温度が0℃以下の樹脂粒子を1種以上含む、請求項1から3のいずれかに記載の印刷方法。
  5. 前記樹脂粒子が、ウレタン樹脂粒子である、請求項4に記載の印刷方法。
  6. 前記樹脂粒子の含有量が、前記樹脂に対して30質量%以上70質量%以下である、請求項4から5のいずれかに記載の印刷方法。
  7. 前記有機溶剤Bが、グリセリンである、請求項1から6のいずれかに記載の印刷方法。
  8. 前記インクが、シリコーン系界面活性剤を含む、請求項1から7のいずれかに記載の印刷方法。
  9. 前記シリコーン系界面活性剤が、下記化学式1で表すポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンである、請求項8に記載の印刷方法。
    Figure 2022155519000010
    (化学式1)
    (化学式1において、mは0~10の整数、nは1~5の整数、aは0~20の整数、bは0~20の整数を表し、Rは炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表し、R’は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、及びアルキレン基のいずれかを表す)
  10. 前記シリコーン系界面活性剤のグリフィン法により算出したHLB値が、8.0以上11.5以下である、請求項9に記載の印刷方法。
  11. 前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、前記インクに対して、0.5質量%以上1.5質量%以下である、請求項8から10のいずれかに記載の印刷方法。
  12. 沸点250℃未満の有機溶剤Aを30質量%以下、沸点250℃以上の有機溶剤Bを1質量%以上3質量%以下、及び樹脂を5質量%以上15質量%以下を含み、25℃における粘度が8.0mPa・s以上11.0mPa・s以下であり、36℃における粘度が5.5mPa・s以上11.0mPa・s以下であって、被印刷物上に吐出された容積2.5μLの前記インクの液滴が、容積0.1μL以下と減容するまでの時間が、25℃で10.0秒間以下であるインクを収容するインク収容手段と、
    前記インクを前記被印刷物に向けて吐出する吐出口をノズル面に有するノズルを備えた吐出手段と、
    前記吐出口からの前記インクの吐出の終了後5.0分間以内に前記ノズル面にキャップを装着させるキャップ装着手段と、を有することを特徴とする印刷装置。

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