JP2023127117A - インクジェット記録用インク、インクジェット印刷方法、及インクジェット印刷装置 - Google Patents

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崇詞 玉井
Takashi Tamai
慎 長谷川
Shin Hasegawa
通彦 南場
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Abstract

【課題】液だれを発生させずに印刷することができ、かつ吐出安定性に優れるインクジェット記録用インクを提供すること。【解決手段】色材、樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクジェット記録用インクであって、前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)が0.1Pa以上であり、下記式(1)で算出される前記インクジェット記録用インクの蒸発率(b)が14.5%≦(b)≦85.0%であり、かつ、1.45≦(a)×(b)≦8.5が成立するインクジェット記録用インクである。蒸発率(b)(%)=(X-Y)/X×100 ・・・ 式(1)前記式(1)において、「X」は前記インクジェット記録用インクの初期質量(g)を表し、「Y」は前記インクジェット記録用インクを25℃、相対湿度20%の環境下で1時間放置後の質量(g)を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インク、インクジェット印刷方法、及インクジェット印刷装置に関する。
インクジェット印刷方法は、微細なノズルから少量のインク液滴を飛翔させて紙等の記録媒体に付着させて文字や画像を記録する方法であり、低騒音、プロセスが簡便、かつカラー化が容易であることから家庭用プリンタとして広く普及している。近年、インクジェット印刷方法は、可変印刷や幅広いメディア対応が可能といった利点から、商用印刷としても拡大している。商用印刷においては、多種多様な紙に対して印刷を行っており、その紙は大きく分けて普通紙とコート紙とに分けられる。また紙以外にもフィルムや金属に直接印刷することも増えてきており、必要とされる機能も紙とは異なっている。特に金属に対しては、密着性、インクの液だれ(画像乾燥性)、耐擦過性、耐光性、にじみ、ビーディング、吐出安定性などの要求される全ての特性を満足することは非常に難しく、用途に応じて優先される特徴によりインクが選択される。
これまでに、吐出安定性と、ブリーディング及びビーディングの発生の抑制とを両立させるために、難水溶性のアルカンジオールと、樹脂と、色材と、を含み、表面張力及び蒸発時のチキソトロピーインデックスを特定の範囲とするインクジェット記録用インクが提案されている(特許文献1参照)。
本発明は、液だれを発生させずに印刷することができ、かつ吐出安定性に優れるインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクジェット記録用インクは、色材、樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクジェット記録用インクであって、前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)が0.1Pa以上であり、下記式(1)で算出される前記インクジェット記録用インクの蒸発率(b)が14.5%≦(b)≦85.0%であり、かつ、1.45≦(a)×(b)≦8.5が成立することを特徴とする。
蒸発率(b)(%)=(X-Y)/X×100 ・・・ 式(1)
前記式(1)において、「X」は前記インクジェット記録用インクの初期質量(g)を表し、「Y」は前記インクジェット記録用インクを25℃、相対湿度20%の環境下で1時間放置後の質量(g)を表す。
本発明によれば、液だれを発生させずに印刷することができ、かつ吐出安定性に優れるインクジェット記録用インクを提供することができる。
図1は、本発明のインクジェット印刷方法を実施するインクジェット印刷装置の一例を示す図である。 図2は、図1のインクジェット印刷装置のメインタンクの一例を示す斜視説明図である。 図3は、本発明のインクジェット印刷装置に用いられる吐出ヘッドの一例を示す分解斜視図である。 図4は、本発明のインクジェット印刷装置に用いられる吐出ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。 図5は、本発明のインクジェット印刷装置に用いられる吐出ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図である。 図6は、本発明のインクジェット印刷装置に用いられる吐出ヘッドのノズルプレートの平面説明図である。 図7は、図6に示したノズルプレートの断面説明図である。 図8は、ノズルプレートにおける1つのノズル部分の拡大断面説明図である。 図9は、実施例及び比較例の書出し曲がりの評価における評価基準「A」の場合の一例を示す図である。 図10は、実施例及び比較例の書出し曲がりの評価における評価基準「D」の場合の一例を示す図である。
(インクジェット記録用インク)
本発明のインクジェット記録用インクは、色材、樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、更に必要に応じて、添加剤等のその他の成分を含有する。
前記インクジェット記録用インクは、貯蔵弾性率(a)が0.1Pa以上であり、下記式(1)で算出される前記インクジェット記録用インクの蒸発率(b)が14.5%≦(b)≦85.0%であり、かつ、1.45≦(a)×(b)≦8.5が成立する。
蒸発率(b)(%)=(X-Y)/X×100 ・・・ 式(1)
前記式(1)において、「X」は前記インクジェット記録用インクの初期質量(g)を表し、「Y」は前記インクジェット記録用インクを25℃、相対湿度20%の環境下で1時間放置後の質量(g)を表す。
従来、金属等の非浸透性基材に対しては、密着性、インクの液だれ(画像乾燥性)、耐擦過性、耐光性、にじみ、ビーディング、吐出安定性などの要求される全ての特性を満足することは非常に難しく、用途に応じて優先される特徴によりインクが選択されていた。このような課題を解決するために、基材表面にインクによる画像が形成された際に、該インクを定着させるための材料を予め塗工したり、表面を加熱したりといった方法が提案されている。しかし、これらの提案は、コストや作業工数、作業設備などが必要であることから作業工数や費用の点から広く普及するには至っていない。
また、産業分野では、民生用印刷に比べ、高い生産性が求められる。しかし、金属等の非浸透性基材では、紙とは異なり浸透しないため、インクの乾燥には該インクの蒸発のみが寄与する。インクの乾燥が遅い場合、インクが動いてしまい画像に影響を与えるという問題があった。そのため、インクの乾燥性を高める必要があるが、インクの乾燥性を高めることと、吐出安定性とはトレードオフの関係となってしまうという問題があった。
前記特許文献1(特開2015-11079号公報)に記載のインクジェット記録用インクは、吐出安定性と、ブリーディング及びビーディングの発生の抑制とを両立させることができるものである。確かにこの方法では、一般のプリンタに対しては効果があると考えられるが、組み上がった自動車の車体や、既に組み付けられて立っている基材のような、印刷面が重力方向に対して略水平方向である対象物に対して印刷を行うと、印刷面において液だれが発生してしまうため、画像が成立する印刷ができるとは言い難い。
そこで、本発明者らは、鋭意検討を行い、インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率及び蒸発率を特定の範囲とすることにより、印刷面が重力方向に対して略水平方向である場合であっても、インクジェット記録用インクの適度な粘性と蒸発による体積減少により液だれを発生させずに印刷することができ、かつインクジェット記録用インクの初期の粘度を低く抑えることで流体としての抵抗を低くし、インクジェット記録用インクが蒸発しても増粘しにくいため、吐出ヘッドにおけるノズルで該インクジェット記録用インクが詰まりにくく、吐出安定性にも優れることを見出した。
前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)は、0.1Pa以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.15Pa以上が好ましい。前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)の上限値としても、特に制限はないが、吐出する際の吐出圧において、メニスカスを突破しやすくする点から、0.5Pa以下が好ましく、0.35Pa以下がより好ましく、0.27Pa以下が更に好ましい。前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)の下限値と上限値とは適宜組み合わせることができるが、0.1Pa以上0.5Pa以下が好ましく、0.15Pa以上0.35Pa以下がより好ましく、0.15Pa以上0.27Pa以下が更に好ましい。前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)が0.1Pa未満であると、前記インクジェット記録用インクの着弾時に該インクジェット記録用インク自体の粘性が低くなるため、印刷面が重力方向に対して略水平方向である場合に、粘度によらず自重ですぐに垂れてしまう。
本発明において、前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)[Pa]は、以下の測定条件で測定した値を示す。
[測定条件]
・ 装置:レオメータ(MCR-301、Anton Paar製)
・ 測定周波数:2Hz
・ 測定温度:25℃
・ 変位:0.01%~100%
前記インクジェット記録用インクの蒸発率(b)は、14.5%≦(b)≦85.0%であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液だれの発生の抑制及び吐出安定性の両立の点から、14.5%≦(b)≦30.0%が好ましく、14.5%≦(b)≦20.0%がより好ましい。前記インクジェット記録用インクの蒸発率(b)が、14.5%未満であると、液だれが発生し、85.0%超であると、吐出ヘッドにおけるノズルで前記インクジェット記録用インクが固着し、ノズル詰まりが発生する。
本発明において、前記インクジェット記録用インクの蒸発率(b)は、前記式(1)で算出される値を示し、具体的には、実施例に記載の方法で算出することができる。
前記インクジェット記録用インクは、蒸発により粘度が上昇したり、該インクジェット記録用インクの粘性が高くなりすぎたりすると吐出できなくなり、また、前記インクジェット記録用インクの粘性が低すぎると液だれが発生する。そのため、前記貯蔵弾性率(a)と前記蒸発率(b)とのバランスが非常に重要となる。そこで、前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)と蒸発率(b)とが、1.45≦(a)×(b)≦8.5を満たすことが必要であり、1.5≦(a)×(b)≦8.0を満たすことが好ましく、1.5≦(a)×(b)≦7.0を満たすことがより好ましい。前記(a)×(b)が、1.45未満であると液だれが発生し、8.5超であると前記インクジェット記録用インクを吐出することができなくなる。
なお、(a)×(b)において、(b)は蒸発率(%)を示すため、実際には、(a)×[(b)/100×100]と整数化して算出される。
前記インクジェット記録用インクは、前記貯蔵弾性率(a)、前記蒸発率(b)、及び前記(a)×(b)の数値を全て満たすことにより、印刷面が重力方向に対して略水平方向である場合であっても、前記インクジェット記録用インクが垂れることを抑制することができる。また、前記インクジェット記録用インクの粘性によって該インクジェット記録用インクの流動性を抑制することと合わせて、水分蒸発によるインクジェット記録用インクの重量減少で自重による液だれを抑制することができる。
以下、前記インクジェット記録用インクに用いる色材、樹脂、水溶性有機溶剤、水、添加剤等のその他の成分について説明する。
<色材>
前記色材としては、特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
前記顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
前記顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
前記顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類;銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、153、155、180、185、213;C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264;C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38;C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63;C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
前記染料としては、特に限定されず、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142;C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289;C.I.アシッドブルー9、45、249;C.I.アシッドブラック1、2、24、94;C.I.フードブラック1、2;C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173;C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227;C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202;C.I.ダイレクドブラック19、38、51、71、154、168、171、195;C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249;C.I.リアクティブブラック3、4、35などが挙げられる。
前記インクジェット記録用インク中の前記色材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記顔料を分散して前記インクジェット記録用インクを得る方法としては、例えば、前記顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、前記顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法などが挙げられる。
前記顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、前記顔料(例えば、カーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法などが挙げられる。
前記顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、例えば、前記顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法などが挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、前記インクジェット記録用インクに配合される顔料は、全て樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料が前記インクジェット記録用インク中に分散していてもよい。
前記分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤などを用いて分散する方法が挙げられる。
前記分散剤としては、特に制限はなく、前記顔料の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを使用することが可能である。オルフィンPD‐201(ノニオン系界面活性剤、日信化学工業株式会社製)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、前記分散剤として好適に使用できる。前記分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<<顔料分散体>>
前記顔料に、前記水や前記水溶性有機溶剤などの材料を混合して前記インクジェット記録用インクを得ることが可能である。また、前記顔料と、その他の成分として、水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、前記水や前記水溶性有機溶剤などの材料を混合して前記インクジェット記録用インクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、前記水、前記顔料、前記分散剤、更に必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いるとよい。
前記顔料分散体における前記顔料の粒径については、特に制限はないが、前記顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度等の画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度は20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。
前記顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における前記顔料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子を濾過し、脱気することが好ましい。
前記インクジェット記録用インクにおける前記色材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<樹脂>
前記インクジェット記録用インク中に含有する前記樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、アクリル-シリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。前記樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、前記色材や前記水溶性有機溶剤などの材料と混合して前記インクジェット記録用インクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種単独で用いてもよく、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上500nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、粒度分析装置(例えば、ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
これらの中でも、前記樹脂は、最低造膜温度(MFT:Minimum film forming temperature)が、0℃以上50℃以下である樹脂を含有することが、前記水溶性有機溶剤により膨潤しやすい点で好ましく、MFTが0℃以上30℃以下である樹脂を含有することがより好ましい。
前記樹脂のMFTは、最低造膜温度計(例えば、MFFTB90、三洋貿易株式会社製)により測定することができる。
また、前記樹脂は、耐擦過性の点から、前記MFTが0℃以上50℃以下である樹脂に加え、MFTが50℃超であるシリコーン-アクリル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、ウレタン樹脂などを含有することが好ましい。
前記樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、前記インクジェット記録用インクの保存安定性の点から、前記インクジェット記録用インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<水溶性有機溶剤>
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1価アルコール、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネート;炭酸エチレンなどが挙げられる。これらの中でも、前記インクジェット記録用インクの蒸発率を14.5%≦(b)≦85.0%とすることができ、また、前記樹脂を前記水溶性有機溶剤に相溶させることができる点で、エタノールを含有することがより好ましい。これにより、前記インクジェット記録用インクの液だれを防止し、良好な吐出安定性とすることができる。
前記水溶性有機溶剤は、湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
前記水溶性有機溶剤の前記インクジェット記録用インク中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記インクジェット記録用インクの乾燥性及び吐出安定性の点から、3質量%以上60質量%以下が好ましく、7質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<水>
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インクジェット記録用インクにおける前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記インクジェット記録用インクの乾燥性及び吐出安定性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~75質量%がより好ましい。
<その他の成分>
前記インクジェット記録用インクは、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等の添加剤を含有していてもよい。また、前記水溶性有機溶媒以外に疎水性有機溶媒を含有していてもよい。
<<界面活性剤>>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
-シリコーン系界面活性剤-
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するシリコーン系界面活性剤が、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。
このようなシリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(S-1)で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、前記一般式(S-1)において、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(以上、信越化学工業株式会社製)、EMALEX SS-5602、EMALEX SS-1906EX(以上、日本エマルジョン株式会社製)、DOWSIL FZ-2105、DOWSIL FZ-2118、DOWSIL FZ-2154、DOWSIL FZ-2161、DOWSIL FZ-2162、DOWSIL FZ-2163、DOWSIL FZ-2164(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、BYK-33、BYK-387(以上、ビックケミー株式会社製)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが挙げられる。
-フッ素系界面活性剤-
前記フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16の化合物がより好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
これらのフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、例えば、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
これらの中でも、前記フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいため好ましく、下記一般式(F-1)及び下記一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
(但し、前記一般式(F-1)において、m及びnは、それぞれ独立に、整数を表わす。)
前記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するために、mは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
(但し、前記一般式(F-2)において、Yは、H、C2m+1(但し、mは1~6の整数)、CHCH(OH)CH-C2m+1(但し、mは4~6の整数)、又はC2p+1(但し、pは1~19の整数)を表し、nは1~6の整数を表し、aは4~14の整数を表す。)
前記フッ素系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、サーフロン(登録商標)S-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(以上、AGCセイミケミカル株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(以上、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(以上、DIC株式会社製);ゾニール(Zonyl)(登録商標)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、FS-31、FS-3100、FS-34、FS-35(以上、Chemours社製);フタージェント(FT)-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(以上、株式会社ネオス製)、ポリフォックス(PF)-136A、PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(以上、オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS-3100、FS-34、FS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のPF-151N、及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
-両性界面活性剤-
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
-ノニオン系界面活性剤-
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
-アニオン系界面活性剤-
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
前記インクジェット記録用インク中における前記界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<<消泡剤>>
前記消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
前記インクジェット記録用インク中の前記消泡剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<防腐防黴剤>>
前記防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
前記インクジェット記録用インク中の前記防腐防黴剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<防錆剤>>
前記防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記インクジェット記録用インク中の前記防錆剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<pH調整剤>>
前記pH調整剤としては、特に制限はないが、pHを7以上に調整することが可能なpH調整剤が好ましく、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
前記インクジェット記録用インク中の前記pH調整剤の含有量としては、所望のpHに調整することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記インクジェット記録用インク中の固形分の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度等の画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1,000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。前記固形分には、樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。
前記粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記インクジェット記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
前記インクジェット記録用インクの25℃における粘度(c)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性安定性が得られる点から、0.5mPa・s≦(c)≦10mPa・sが好ましく、3mPa・s≦(c)≦7mPa・sがより好ましい。前記インクジェット記録用インクの25℃における粘度(c)が、0.5mPa・s≦(c)≦10mPa・sであることにより、流体として流れやすく、蒸発時に増粘しにくくすることができるため、ノズルが詰まりにくい状態で維持することができる。
ここで、前記粘度は、例えば、E形粘度計(TV-35、東機産業株式会社製)を使用して測定することができる。測定条件としては、25℃にて、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
前記インクジェット記録用インクの表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材上で好適に前記インクジェット記録用インクがレベリングされ、前記インクジェット記録用インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
ここで、前記表面張力は、静的表面張力計(例えば、協和界面科学株式会社製)で測定可能である。
前記インクジェット記録用インクのpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、接液する基材(例えば、金属部材など)の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
-基材-
前記インクジェット記録用インクの記録に用いる基材としては、記録媒体として一般に用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建築材、車両なども用いることができる。また、前記基材としては、表面(印刷面)が平坦なものに限られず、前記印刷面が、3次元の曲面である基材や、前記印刷面に凹凸形状を有するような基材も用いることができる。
なお、本発明において、基材とは、前記インクジェット記録用インクが一時的にでも付着可能なものを意味する。
前記基材の材質としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙等の紙;布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。また、紙や布に撥水処理を施した基材、無機質の材料を高温で焼成した、いわゆるセラミックス材料からなる基材であってもよい。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材の具体例としては、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルム;黄銅、鉄、アルミニウム、SUS、銅等の金属;非金属の基材に蒸着等の手法により金属コーティング処理をしたものなどが挙げられる。
前記金属は、その表面(印刷面)が表面処理されたものであってもよい。
前記表面処理としては、例えば、プライマー塗工などが挙げられる。
前記インクジェット記録用インクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、ファックス、コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
前記インクジェット記録用インクの用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。また、2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。更に、前記インクジェット記録用インクは、液だれを防止でき、吐出安定性を有するものであるため、従来のような、前記基材の印刷面が重力方向に対して垂直方向となるように設置された場合の印刷だけでなく、前記基材の印刷面が重力方向に対して略水平方向となるように設置され、前記インクジェット記録用インクの吐出方向が、前記基材の印刷面に対して垂直方向である場合の印刷も可能であるため、例えば、自動車やトラックの側面への印刷に特に好適に用いられる。
なお、本発明において、「記録」と「印刷」とは同義として用いられる。
(インクジェット印刷方法及びインクジェット印刷装置)
<インクジェット印刷方法>
本発明のインクジェット印刷方法は、吐出工程を含み、更に必要に応じて、加熱工程、前処理工程、後処理工程、基材の給送工程、基材の搬送工程、基材の排紙工程等のその他の工程を含む。
本発明において、インクジェット印刷方法とは、基材に対して前記インクジェット記録用インクや、更に必要に応じて各種処理液等を吐出することが可能な装置を用いて印刷を行う方法である。
<インクジェット印刷装置>
本発明のインクジェット印刷装置は、本発明のインクジェット記録用インクを収容するインク収容部と、前記インクジェット記録用インクを吐出する吐出ヘッドとを有し、更に必要に応じて、加熱手段、加圧室、前処理手段、後処理手段、基材の給送、搬送、又は排紙に係わる手段等のその他の手段を有する。
本発明において、インクジェット印刷装置とは、基材に対して前記インクジェット記録用インクや、更に必要に応じて各種処理液等を吐出することが可能な装置である。
前記インクジェット印刷装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、前記インクジェット印刷装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とするような広幅の記録装置、例えば、ロール状に巻き取られた連続用紙を基材として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
また、前記インクジェット印刷装置及び前記インクジェット印刷方法は、前記インクジェット記録用インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
以下に、本発明のインクジェット印刷方法の説明と併せて、本発明のインクジェット印刷装置について説明する。
<<インク収容部>>
前記インク収容部は、本発明のインクジェット記録用インクを収容してなる。
前記インク収容部としては、前記インクジェット記録用インクを収容できる部材であれば、特に制限はなく、例えば、インク収容容器、インクタンクなどが挙げられる。
前記インク収容容器としては、前記インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが挙げられる。
前記インクタンクとしては、例えば、メインタンク、サブタンクなどが挙げられる。
<<吐出工程及び吐出ヘッド>>
前記吐出工程は、本発明のインクジェット記録用インクを吐出する工程である。
前記吐出ヘッドは、ノズル面に形成されたノズルから本発明のインクジェット記録用インクを吐出する手段であり、ノズルプレートを有し、更に必要に応じて刺激発生部材等のその他の部材を有する。
前記インクジェット印刷方法は、前記基材の印刷面が重力方向に対して0°~180°のいずれの角度であっても、前記インクジェット記録用インクの自重による液だれを抑制することができ、良好な画像を形成することができる。特に、前記吐出工程は、前記基材の印刷面が重力方向に対して略水平方向となるように設置され、前記インクジェット記録用インクの吐出方向が、前記基材の印刷面に対して垂直方向であっても、該インクジェット記録用インクの自重による液だれを抑制することができ、良好な画像を形成することができる点で有利である。
本発明において、「基材の印刷面が重力方向に対して略水平方向」とは、基材の印刷面が、重力方向に対して、0°又は180°の場合だけでなく、0°±20°又は180°±20°の範囲を意味する。例えば、基材の印刷面が平坦なものである場合は、該印刷面が重力方向に対して0°±20°又は180°±20°の範囲であっても、液だれを発生させずに印刷することができる。また、前記基材の印刷面が3次元の曲面である場合や、前記基材の印刷面が凹凸形状を有するような場合であっても、液だれを発生させずに印刷することができる。
-ノズルプレート-
前記ノズルプレートは、ノズル基板と、前記ノズル基板上に撥インク膜とを有する。
前記ノズル基板は、ノズル孔を有しておりその数、形状、大きさ、材質、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基板は、前記ノズル孔から前記インクジェット記録用インクが吐出されるインク吐出側の面と、前記インク吐出側の面とは反対側に位置する液室接合面とを有する。
前記撥インク膜は、前記ノズル基板の前記インク吐出側の面であり、前記基材に対向する面に形成されている。
前記ノズル基板の平面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方形、正方形、菱形、円形、楕円形などが挙げられる。
また、前記ノズル基板の断面形状としては、例えば、平板状、プレート状などが挙げられる。
前記ノズル基板の大きさとしては、特に制限はなく、前記ノズルプレートの大きさに応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基板の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、Al、Bi、Cr、InSn、ITO、Nb、Nb、NiCr、Si、SiO、Sn、Ta、Ti、W、ZAO(ZnO+Al)、Znなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ノズル基板の材質は、防錆性の点から、ステンレス鋼が好ましい。
前記ステンレス鋼としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ノズル基板の少なくとも前記インク吐出側の面は、前記撥インク膜と前記ノズル基板との密着性を向上させる点から、酸素プラズマ処理を行って水酸基を導入してもよい。
前記ノズル孔の数、配列、間隔、開口形状、開口の大きさ、開口の断面形状などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル孔の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数の前記ノズル孔が、前記ノズル基板の長さ方向に沿って等間隔に並んで配列されている態様などが挙げられる。
前記ノズル孔の配列は、吐出するインクの種類に応じて適宜選定することができるが、1列~複数列が好ましく、1列~4列がより好ましい。
前記1列当たりの前記ノズル孔の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、10個以上10,000個以下が好ましく、50個以上500個以下がより好ましい。
隣接する前記ノズル孔の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、21μm以上169μm以下が好ましい。
前記ノズル孔の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。これらの中でも、前記ノズル孔の開口形状は、前記インクジェット記録用インクの液滴を吐出する点から、円形が好ましい。
-撥インク膜-
前記撥インク膜としては、撥インク性の点から、シリコーン樹脂、又はフッ素樹脂を含有することが好ましい。
前記撥インク膜は、撥インク材料含有膜、ポリマー含有膜、シリコーン樹脂含有膜、フッ素樹脂含有膜などと称することもある。
--シリコーン樹脂--
前記シリコーン樹脂は、SiとOからできたシロキサン結合を基本骨格とした樹脂であり、オイル、レジン、エラストマー等の種々の形態で市販されており、撥インク性以外にも耐熱性、離型性、消泡性、粘着性等種々の特性を備えている。前記シリコーン樹脂は常温硬化、加熱硬化、紫外線硬化型等があり、作製方法、使用用途に応じて選択できる。
前記シリコーン樹脂を含有する撥インク膜をノズル面(前記インク吐出側)上に形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液状のシリコーン樹脂材料を真空蒸着する方法、シリコーンオイルをプラズマ重合することにより形成する方法、スピンコート、ディッピング、スプレーコート等の塗布により形成する方法、電着法などが挙げられる。前記撥インク層を形成する際には、電着法以外ではノズル孔及びノズルプレートの前記インク吐出側の面とは反対側の面をフォトレジスト、水溶性樹脂等でマスキングし、撥インク層形成後、レジストを剥離除去すればノズルプレートの吐出側の面のみに、シリコーン樹脂を含有する撥インク層を形成することができる。この場合、アルカリ性の強い剥離液を使用すると撥インク層へダメージを与えるので、注意が必要である。
前記シリコーン樹脂を含む撥インク膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上5.0μm以下が好ましく、0.1μm以上1.0μm以下がより好ましい。
--フッ素樹脂--
前記フッ素樹脂としては、特に制限はないが、含フッ素アクリレートエステル重合体、又は主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体が好ましい。
前記撥インク膜が、前記含フッ素アクリレートエステル重合体、又は主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体を含むことにより、表面自由エネルギーが非常に小さくなり、本発明で用いる表面張力の低いインクであっても濡れ難い状態を維持できるので好ましい。
前記含フッ素アクリレートエステル重合体におけるフッ素の含有率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、撥インク(接触角)の点から、10質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
前記含フッ素アクリレートエステル重合体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、krytox(登録商標)FSL、krytox(登録商標)FSH(以上、デュポン社製)、FomblinZ、FLUOROLINKS10(以上、ソルベイソレクシス社製)、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)、モレスコホスファロールA20H、モレスコホスファロールADOH、モレスコホスファロールDDOH(以上、株式会社MORESCO製)、フロロサーフFG5010、フロロサーフFG5020、フロロサーフFG5060、フロロサーフFG5070(以上、株式会社フロロテクノロジー製)、サイトップCTX-105、サイトップCTX-805(以上、AGC株式会社製)、テフロン(登録商標)AF1600、テフロン(登録商標)AF2400(デュポン社製)などが挙げられる。
前記撥インク膜は、前記含フッ素アクリレートエステル重合体骨格を分子中に含む化合物膜で構成されている。前記ノズルプレートと前記撥インク膜の間には、含フッ素アクリレートエステル重合体骨格を分子中に含む化合物との結合点となる水酸基を多く存在させて密着性を向上させるために、無機酸化物層を設けることもできる。
前記無機酸化物層の材料としては、例えば、SiO、TiOなどが挙げられる。
前記無機酸化物層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001μm以上0.2μm以下が好ましく、0.01μm以上0.1μm以下がより好ましい。
前記含フッ素アクリレートエステル重合体骨格を分子中に含む化合物による撥インク膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素系溶媒を用いたスピンコート、ロールコート、ディッピング等の塗布、印刷、真空蒸着等の方法が挙げられる。
前記フッ素系溶媒としては、例えば、ノベック(スリーエムジャパン株式会社製)、バートレル(デュポン社製)、ガルデン(ソルベイソレクシス社製)、アフルード(登録商標)(AGC旭硝子株式会社製のフッ素系溶剤)、フロリナートFC-75(スリーエムジャパン株式会社製のパーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)を含んだ液体)などが挙げられる。
-刺激発生部材-
前記吐出ヘッドから前記インクジェット記録用インクを吐出させる方法としては、特に制限はないが、前記刺激発生部材から前記インクジェット記録用インクに印加する刺激を発生させて、該インクジェット記録用インクを吐出させる方法などが挙げられる。
前記刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記刺激は、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生部材としては、例えば、加熱部材、加圧部材、圧電素子、振動発生部材、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。前記刺激発生部材の具体的としては、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて前記インクジェット記録用インクの膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記刺激が「熱」の場合、前記吐出ヘッド内の前記インクジェット記録用インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、例えば、サーマルヘッド等を用いて付与する。
前記熱エネルギーにより前記インクジェット記録用インクに気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記ノズルプレートの前記ノズル孔から前記インクジェット記録用インクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
前記刺激が「圧力」の場合、例えば、前記インク吐出ヘッド内のインク流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。
圧電素子が撓むことにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記吐出ヘッドの前記ノズル孔から前記インクジェット記録用インクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、前記刺激が「圧力」の場合には、ピエゾ素子に電圧を印加して前記インクジェット記録用インクを飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
<<その他の工程及びその他の手段>>
-加圧室-
前記加圧室は、前記ノズルプレートに設けられた複数の前記ノズル孔に個別に対応して配置される。前記加圧室は、前記ノズル孔と連通する複数の個別流路であり、インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室などと称することもある。
-加熱工程及び加熱手段-
前記加熱工程は、前記基材の印刷面やその裏面を加熱する工程である。前記加熱工程は、印刷前、印刷中、印刷後などに行うことができる。
前記加熱手段は、前記基材の印刷面やその裏面を加熱する手段である。
前記加熱工程は、前記加熱手段によって好適に行われる。前記加熱工程及び前記加熱手段によって、前記基材に印刷された前記インクジェット記録用インクが乾燥される。
加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。
-前処理工程及び前処理手段-
前記前処理工程は、前記基材に前処理液を吐出する工程である。
前記前処理手段は、前記基材に前処理液を吐出する手段である。
前記前処理工程は、前記前処理手段により好適に行うことができる。
前記前処理手段は、前記前処理液を収容する前処理液収容部と、前処理液体吐出ヘッドとを有することが好ましい。
前記前処理液を吐出する方法としては、インクジェット記録方式が好ましいが、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法であってもよい。
-前処理液-
前記前処理液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凝集剤、有機溶剤、及び水を含有し、更に必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤などを含有していてもよい。
前記前処理液における前記有機溶剤、前記界面活性剤、前記消泡剤、前記pH調整剤、前記防腐防黴剤、及び前記防錆剤は、前述のインクジェット記録用インクに用いられる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の前処理液に用いられる材料も使用できる。
前記凝集剤の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩などが挙げられる。
<<後処理工程及び後処理手段>>
前記後処理工程は、記録媒体に後処理液を吐出する工程である。
前記後処理手段は、記録媒体に後処理液を吐出する手段である。
前記後処理工程は、前記後処理手段により好適に行うことができる。
前記後処理手段は、前記後処理液を収容する後処理液収容部と、後処理液体吐出ヘッドとを有することが好ましい。
前記後処理液を吐出する方法としては、インクジェット記録方式が好ましいが、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法であってもよい。
-後処理液-
前記後処理液としては、透明な層を形成することが可能であれば、特に制限はなく、例えば、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤などの中から必要に応じて適宜選択し、混合して得たものである。
前記後処理液における前記有機溶剤、前記水、前記樹脂、前記界面活性剤、前記消泡剤、前記pH調整剤、前記防腐防黴剤、及び前記防錆剤は、前述のインクジェット記録用インクに用いられる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の後処理液に用いられる材料も使用できる。
前記後処理液は、前記基材に形成された印刷領域の全域に塗布してもよいし、前記インクジェット記録用インクによるインク像が形成された領域のみに塗布してもよい。
以下に、図面を用いて本発明のインクジェット印刷方法及びインクジェット印刷装置について説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
前記インクジェット印刷装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1はインクジェット印刷装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。インクジェット印刷装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えば、アルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これにより、メインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱可能に装着される。これにより、画像形成装置400は、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前記インクジェット印刷装置は、前記インクジェット記録用インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置及び後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置及び後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液及び後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液及び後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、前記インクジェット記録用インクの収容手段、供給手段、吐出手段、乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、前記インクジェット記録用インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、基材上に前記インクジェット記録用インクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物及び構造体に対して、加熱延伸、打ち抜き加工等の成形加工を施したものである。前記成形加工品は、例えば、自動車、OA機器、電気機器、電子機器、カメラ等のメーター、操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
次に、本発明のインクジェット記録装置の吐出ヘッドの一例について、図3から図8を参照して説明する。
なお、図3は吐出ヘッドの分解斜視説明図、図4は吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図5は吐出ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う断面説明図である。
前記吐出ヘッドは、流路板(液室基板、流路部材)1と、この流路板1の下面に接合した振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル形成部材であるノズルプレート3とを有する。
前記吐出ヘッドは、これらによって液滴(インクジェット記録用インクの滴)を吐出する複数のノズル孔4がそれぞれノズル連通路5を介して連通する個別流路としての複数の液室6、液室6にインクジェット記録用インクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6と連通する連通部8を形成する。この連通部8に振動板部材2を形成した供給口19を介してフレーム部材17に形成した共通液室10からインクを供給する。なお、複数の液室は、加圧液室、圧力室、流路などと称することもある。
流路板1は、シリコーン基板をエッチングしてノズル連通路5、液室6、流体抵抗部7などの開口をそれぞれ形成している。
なお、流路板1は、例えば、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで形成することもできる。
振動板部材2は各液室6に対応してその壁面を形成する各振動領域(ダイアフラム部)2aを有する。振動板部材2は、振動領域2aの面外側(液室6と反対面側)に島状凸部2bを有する。この島状凸部2bに振動領域2aを変形させ、液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての積層型の圧電素子12、12の各圧電素子柱12A、12Bの上端面(接合面)を接合している。また、積層型圧電素子12の下端面はベース部材13に接合している。
ここで、圧電素子12は、PZT等の圧電材料層21と内部電極22a、22bとを交互に積層したものである。圧電素子12は、内部電極22a、22bをそれぞれ端面、即ち圧電素子12の振動板部材2に略垂直な側面に引き出している。圧電素子12は、圧電素子12の振動板部材2に略垂直な側面に形成された端面電極(外部電極)23a、23bに接続し、端面電極(外部電極)23a、23bに電圧を印加することで積層方向の変位を生じる。
この圧電素子12は、ハーフカットダイシングによる溝加工を施して1つの圧電素子部材に対して所要数の圧電素子柱12A、12Bを形成したものである。
なお、圧電素子12の圧電素子柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電素子柱を駆動用圧電素子柱12Aとし、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電素子柱を支柱用圧電素子柱12Bとして区別している。
この場合、駆動用圧電素子柱12Aと支柱用圧電素子柱12Bとを交互に使用するバイピッチ構成でも、あるいは、すべての圧電素子柱を駆動用圧電素子柱12Aとして使用するノーマルピッチ構成のいずれでも採用できる。
これにより、圧電素子12の圧電素子柱12A、12Bは、ベース部材13上に駆動素子としての複数の駆動用圧電素子柱12Aが並べて配置された駆動素子列(駆動用圧電素子柱12Aの列)を2列設けた構成としている。
また、積層型圧電素子12の圧電方向は、圧電材料層の積層方向の変位を用いて液室6内のインクを加圧する構成としている。積層型圧電素子12の圧電方向は、圧電材料層の面方向:即ち、電場に直交する方向の変位を用いて加圧液室6内のインクを加圧する構成とすることもできる。
また、圧電素子材料としては、特に制限はなく、一般に圧電素子材料として用いられるBaTiO、PbTiO、(NaK)NbO等の強誘電体などの電気機械変換素子を用いることもできる。
更に、圧電素子に積層型のものを用いているが、単板の圧電素子を用いてもよい。
単板の圧電素子としては切削加工したもの、スクリーン印刷して焼結した厚膜のもの、スパッタ又は蒸着、或いはゾルゲル法により形成した薄膜のものでもよい。
また、1つのベース部材13に設けられる積層型圧電素子12は1列であってもよく、複数列設けた構造としてもよい。
そして、圧電素子12の各駆動用圧電素子柱12Aの外部電極23aは駆動信号を与えるために半田部材で配線手段としてのFPC15を直接接続する。FPC15は圧電素子12の各駆動用圧電素子柱12Aに対して選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)16が実装されている。
なお、全ての駆動用圧電素子柱12Aの外部電極23bは電気的に共通に接続されてFPC15の共通配線に同じく半田部材で接続される。
また、ここでは、FPC15の圧電素子12と接合される出力端子部は半田メッキが施されており、半田接合を可能にしているが、FPC15ではなく圧電素子12側に半田メッキを施してもよい。
また、接合方法についても半田接合の他に異方導電性膜による接合又はワイヤボンディングを用いることもできる。
ノズルプレート3は、各液室6に対応して直径10μm以上35μm以下のノズル孔4を構成する孔部が形成されたノズル基板31の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面、ノズル形成面)に撥インク膜32を形成して構成している。
また、FPC15を実装した(接続した)圧電素子12及びベース部材13などで構成される圧電型アクチュエータユニット100の外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。
そして、このフレーム部材17は前述した共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部からインクを供給するための供給口19を形成する。この供給口19は更に図示しないサブタンク又はインク収容容器などのインク供給源に接続される。
このように構成した吐出ヘッドにおいては、例えば、駆動用圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって駆動用圧電素子柱12Aが収縮する。振動板部材2の振動領域2aが下降して液室6の容積が膨張することで、液室6内にインクが流入する。その後、圧電素子柱12Aに印加する電圧を上げて圧電素子柱12Aを積層方向に伸長させる。振動板部材2をノズル孔4方向に変形させて液室6の容積又は体積を収縮させることにより、液室6内のインクが加圧され、ノズル孔4からインクの液滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2が初期位置に復元し、液室6が膨張して負圧が発生する。このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填される。
そこで、ノズル孔4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、前記吐出ヘッドの駆動方法については、上記の例(引き-押し打ち)に限られるものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ち又は押し打ちなどを行うこともできる。
次に、本発明のインクジェット印刷装置におけるノズルプレート3の詳細について図6~図8を参照して説明する。なお、図6はノズルプレート3の平面説明図、図7はノズルプレート3の断面説明図、図8はノズルプレートにおける1つのノズル部分の拡大断面説明図である。
ノズルプレート3は、例えば、Ni金属プレートからなるノズル基板31の吐出面31aに、下地層としてのTi層33、SiO膜34及び分子内にアルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテル膜(この膜を「撥インク膜」という。)32の順にノズル基板31表面から成膜されている。
そして、ノズル孔4の内壁面4aの出口近傍には、ノズル基板31の液室面31bに形成されたSiO膜34の上に下地層(Ti層)33が吐出面から連続して成膜されており、かつ、下地層(Ti層)33が最表面に露出している。
なお、ノズル基板31としては、Ni金属プレート等を用いることができるがこれに限るものではない。
ここで、ノズルプレート3の撥インク膜32は蒸着によって形成し、ノズル孔4の内壁面の出口近傍には撥インク膜32を形成する蒸着膜は形成されていない。
これにより、ノズルプレート3は、吐出不良及び液体充填性を損なうことがなく、安定した液滴吐出を行うことができる。
以下に調製例、実施例、及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの調製例及び実施例に何ら限定されるものではない。なお、調製例、実施例、及び比較例において、「%」は、別段の断りない限り「質量%」を示す。
(調製例1)
<シアン(cyan)顔料分散液の調製>
シアン顔料としてのC.I.ピグメントブルー15:3を低温プラズマ処理し、カルボン酸基を導入したシアン顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを限外濾過膜により脱塩濃縮して、顔料濃度(固形分濃度)15質量%の調製例1の「シアン顔料分散液」を得た。
(実施例1~7及び比較例1~5)
各インクジェット記録用インクの作製は、以下の手順で行った。
下記表1及び表2に示す組成及び含有量で、色材(調製例1で調製したシアン顔料分散液)、樹脂、有機溶剤、防腐防錆剤、界面活性剤、消泡剤、及びpH調整剤を混合撹拌した後、平均孔径1.5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、実施例1~7及び比較例1~4の各インクジェット記録用インクを作製した。
なお、下記表1及び表2において、各材料は、固形分換算した含有量を示す。また、貯蔵弾性率(a)(Pa)、蒸発率(b)(%)、及び「(a)×(b)」は、いずれも小数点以下第3位を四捨五入した、小数点以下第2位までの値を示す。
<インクジェット記録用インクの物性>
実施例1~7及び比較例1~4で得られた各インクジェット記録用インクについて、以下のようにして、貯蔵弾性率(a)、蒸発率(b)、及び粘度(c)の各種物性を測定した。結果を下記表1及び表2に示した。
-貯蔵弾性率(a)-
実施例1~7及び比較例1~4で得られた各インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(Pa)を、以下の測定条件で測定した。
[測定条件]
・ 装置:レオメータ(MCR-301、Anton Paar製)
・ 測定周波数:2Hz
・ 測定温度:25℃
・ 変位:0.01%~100%
-蒸発率(b)-
直径30mmのシャーレに、実施例1~7及び比較例1~4で得られた各インクジェット記録用インク1gを計量した。室温低湿環境下(25℃、RT20%)で1時間放置し、再度質量(以下、「Yg」とする)を測定し、下記式(1)によりインクジェット記録用インクの蒸発率(%)を算出した。
蒸発率(%)=(1-Y)/1×100 ・・・ 式(1)
-粘度(c)-
実施例1~7及び比較例1~4で得られた各インクジェット記録用インクの25℃における粘度(mPa・s)は、E形粘度計(TV-35、東機産業株式会社製)を用いて、25℃にて、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間の測定条件で測定した。
<インクジェット記録用インクの評価>
実施例1~7及び比較例1~4で得られた各インクジェット記録用インクについて、以下のようにして、書出し曲がり及び液だれを評価した。結果を下記表1及び表2に示した。
-書出し曲がり-
オートボディプリンター(株式会社リコーデジタルペインティング製)を用いて、A2サイズのアルミ複合板にライン印字を行い、書出し時の直線性を目視にて確認し、下記評価基準に基づき「書出し曲がり」を評価した。
前記アルミ複合板の印刷面は平坦であり、該印刷面は重力方向に対して0°又は180°となるように設置され、前記インクジェット記録用インクの吐出方向は、前記印刷面に対して垂直方向とした。
評価基準「A」の場合の一例を図9に示し、評価基準「D」の場合の一例を図10に示す。なお、評価基準「AA」、「A」、及び「B」が、実使用上問題ないレベルである。
[評価基準]
AA:書出し曲がりが全く無し。
A:僅かに書出し曲がりが確認できる。
B:書出し曲がりが発生するが、すぐに戻る(1cm以内で直線に復帰)。
C:書出し曲がりが発生し、戻りにくい(3cm以内で直線に復帰)。
D:書出し曲がりが発生し、戻りにくい(直線への復帰に3cm以上かかる)。
-液だれ-
オートボディプリンター(株式会社リコーデジタルペインティング製)を用いて、A2サイズのアルミ複合板にライン印字を行い、5cm四方のベタパッチを印刷し、液だれの発生を目視にて確認し、下記評価基準に基づき「液だれ」評価した。
前記アルミ複合板の印刷面は平坦であり、該印刷面は重力方向に対して0°又は180°となるように設置され、前記インクジェット記録用インクの吐出方向は、前記印刷面に対して垂直方向とした。
なお、評価基準「AA」、「A」、及び「B」が、実使用上問題ないレベルである。
[評価基準]
AA:液だれが全く無し。
A:1m離れた所で、ベタパッチ内で液だれによるムラが確認できる。
B:3m離れた所で、ベタパッチ内で液だれによるムラが確認できる。
C:5m離れた所で、ベタパッチ内で液だれによるムラが確認できる。
D:ベタパッチ外に液だれが発生。
Figure 2023127117000004
Figure 2023127117000005
なお、実施例1~7及び比較例1~4において使用した各種材料の詳細は以下に示す通りである。
-樹脂-
・ 「ウレタン樹脂」として、製品名:タケラック(登録商標)W-5661(MFT 70℃)(三井化学株式会社製)を使用した。
・ 「シリコーン-アクリル樹脂」として、製品名:モビニール(登録商標)7523(MFT 25℃)、(ジャパンコーティングレジン株式会社製)を使用した。
-防腐防錆剤-
・ 防腐防錆剤として、製品名:プロキセル(登録商標)LV(主成分:1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン)(アビシア社製)を使用した。
-界面活性剤-
・ ノニオン系界面活性剤として、製品名:TRITON HW-1000(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、DOW CHEMICAL社製)を使用した。
-消泡剤-
・ 「2,4,7,9-テトラメチル-4,7-デカンジオール」は、製品名:サーフィノール AD01(日信化学工業株式会社製)を使用した。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 色材、樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクジェット記録用インクであって、
前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)が0.1Pa以上であり、
下記式(1)で算出される前記インクジェット記録用インクの蒸発率(b)が14.5%≦(b)≦85.0%であり、かつ、
1.45≦(a)×(b)≦8.5が成立することを特徴とするインクジェット記録用インクである。
蒸発率(b)(%)=(X-Y)/X×100 ・・・ 式(1)
前記式(1)において、「X」は前記インクジェット記録用インクの初期質量(g)を表し、「Y」は前記インクジェット記録用インクを25℃、相対湿度20%の環境下で1時間放置後の質量(g)を表す。
<2> 25℃における前記インクジェット記録用インク粘度(c)が、0.5mPa・s≦(c)≦10mPa・sである、前記<1>に記載のインクジェット記録用インクである。
<3> 前記樹脂が、最低造膜温度が0℃以上50℃以下の樹脂を含有する、前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
<4> 前記樹脂が、最低造膜温度が50℃超の樹脂を更に含有する、前記<3>に記載のインクジェット記録用インクである。
<5> 金属又は金属に表面処理を行った印刷面の印刷に用いられる、前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
<6> 基材に対して、前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを吐出するインク吐出工程を含むことを特徴とするインクジェット印刷方法である。
<7> 前記吐出工程は、前記基材の印刷面が重力方向に対して略水平方向となるように設置され、前記インクジェット記録用インクの吐出方向が、前記基材の印刷面に対して垂直方向である、前記<6>に記載のインクジェット印刷方法である。
<8> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを収容するインク収容部と、
前記インクジェット記録用インクを吐出する吐出ヘッドと、
を有することを特徴とするインクジェット印刷装置である。
前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット記録用インク、前記<5>から<6>のいずれかに記載のインクジェット印刷方法、及び前記<7>に記載のインクジェット印刷装置は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
400 画像形成装置
401 外装
401c カバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
1 流路板
2 振動板部材
2a 振動領域
2b 島状凸部
3 ノズルプレート
4 ノズル孔
4a 内壁面
5 ノズル連通路
6 液室
7 流体抵抗部
8 連通部
10 共通液室
12 圧電素子
12A、B 圧電素子柱
13 ベース部材
15 FPC
16 駆動回路
17 フレーム部材
19 供給口
21 圧電材料層
22a、b 内部電極
23a、b 端面電極
31 ノズル基板
31a 吐出面
31b 液室面
32 撥インク膜
33 Ti層
34 SiO
100 圧電型アクチュエータユニット
特開2015-11079号公報

Claims (8)

  1. 色材、樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクジェット記録用インクであって、
    前記インクジェット記録用インクの貯蔵弾性率(a)が0.1Pa以上であり、
    下記式(1)で算出される前記インクジェット記録用インクの蒸発率(b)が14.5%≦(b)≦85.0%であり、かつ、
    1.45≦(a)×(b)≦8.5が成立することを特徴とするインクジェット記録用インク。
    蒸発率(b)(%)=(X-Y)/X×100 ・・・ 式(1)
    前記式(1)において、「X」は前記インクジェット記録用インクの初期質量(g)を表し、「Y」は前記インクジェット記録用インクを25℃、相対湿度20%の環境下で1時間放置後の質量(g)を表す。
  2. 25℃における前記インクジェット記録用インク粘度(c)が、0.5mPa・s≦(c)≦10mPa・sである、請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 前記樹脂が、最低造膜温度が0℃以上50℃以下の樹脂を含有する、請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  4. 前記樹脂が、最低造膜温度が50℃超の樹脂を更に含有する、請求項3に記載のインクジェット記録用インク。
  5. 金属又は金属に表面処理を行った印刷面の印刷に用いられる、請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  6. 基材に対して、請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを吐出するインク吐出工程を含むことを特徴とするインクジェット印刷方法。
  7. 前記吐出工程は、前記基材の印刷面が重力方向に対して略水平方向となるように設置され、前記インクジェット記録用インクの吐出方向が、前記基材の印刷面に対して垂直方向である、請求項6に記載のインクジェット印刷方法。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを収容するインク収容部と、
    前記インクジェット記録用インクを吐出する吐出ヘッドと、
    を有することを特徴とするインクジェット印刷装置。
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