JP2022021056A - インク、記録装置、記録方法、及び液体組成物 - Google Patents

インク、記録装置、記録方法、及び液体組成物 Download PDF

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Koichiro Oyama
佑樹 横濱
Yuki Yokohama
徹 吉川
Toru Yoshikawa
健人 杉田
Taketo Sugita
杏実 宮明
Ami Miyaake
之弘 今永
Yukihiro Imanaga
聡 高橋
Satoshi Takahashi
崇詞 玉井
Takashi Tamai
宏文 花澤
Hirofumi Hanazawa
さゆり 小島
Sayuri Kojima
黒羽みずき
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Abstract

【課題】 記録媒体に対してインクを付与して画像部を形成する場合、記録媒体と記録媒体上に形成された画像部とにおける光沢度差が拡大することで画質が低下する課題がある。また、画像部における光沢度を制御する方法としては、インクに含有される粒子の粒径を調整する方法などが挙げられるが、粒径によってはインクの吐出性が低下する課題がある。【解決手段】 顔料及びジルコニア粒子を含有し、所定の式(1)により求められる指標数が4.5以下であることを特徴とするインク。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、記録装置、記録方法、及び液体組成物に関する。
インクジェットプリンターは、低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有するため、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及しており、近年では、家庭用のみならず、例えば、ディスプレイ、ポスター、掲示板等の商業用途にも利用されている。
また、インクジェットプリンターに用いられるインクとしては、顔料を微粒子状にして水などに分散させたインクが注目されている。このインクに含まれる顔料は、一般的な商業印刷インクに用いられる着色剤と組成が近いため、印刷物の風合いを商業印刷に近づけられることが期待される。
特許文献1には、商業印刷等に適用可能な水性顔料インクが開示されている。
しかしながら、記録媒体に対してインクを付与して画像部を形成する場合、記録媒体と記録媒体上に形成された画像部とにおける光沢度差が拡大することで画質が低下する課題がある。また、画像部における光沢度を制御する方法としては、インクに含有される粒子の粒径を調整する方法などが挙げられるが、粒径によってはインクの吐出性が低下する課題がある。
請求項1に係る発明は、顔料及びジルコニア粒子を含有し、下記式(1)により求められる指標数が4.5以下であることを特徴とするインクである。
Figure 2022021056000001
(上記式(1)中、aは前記ジルコニア粒子の個数平均粒径を表し、bは25℃における前記インクの密度を表し、cは25℃且つせん断速度0.01s-1における前記インクの粘度を表す。)
本発明のインクは、記録媒体と記録媒体上に形成された画像部とにおける光沢度差が縮小し、吐出性が向上する優れた効果を奏する。
図1は、記録装置の一例を示す斜視図である。 図2は、インク収容容器の一例を示す概略図である。 図3は、インク吐出ヘッドの一例を示す分解斜視図である。 図4は、インク吐出ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。 図5は、インク吐出ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<<インク、液体組成物>>
本実施形態のインクは、顔料及びジルコニア粒子を含有する。また、インクは、必要に応じて、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、及びその他添加剤等を含有してもよい。
また、別の実施形態である液体組成物は、ジルコニア粒子を含有する。また、液体組成物は、必要に応じて、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、及びその他添加剤等を含有してもよい。なお、液体組成物の具体例としては、インクが付与される前の記録媒体に対して付与される前処理液、インクが付与された後の記録媒体に対して付与される後処理液、及び立体造形物の形成に用いられる液体などの顔料を含有しない液体組成物等が挙げられる。
<インク及び液体組成物の物性>
インク及び液体組成物(以降、「インク等」とも称する)は、下記式(1)により求められる指標数が4.5以下であり、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。
Figure 2022021056000002
上記式(1)中、aはジルコニア粒子の個数平均粒径(単位:nm)を表す。ジルコニア粒子の個数平均粒径の測定方法は、特に限定されないが、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて液中のジルコニア粒子を観察する方法などが挙げられる。なお、個数平均粒径は、インク等に含まれているジルコニア粒子を測定対象とするが、インク調整時に個数平均粒径が大きく変化する工程を経ないのであれば、例えば、インク調整前の分散体を測定対象として求めてもよい。
上記式(1)中、bは25℃におけるインク等の密度(単位:g/cm)を表す。インク等の密度の測定方法は、特に限定されないが、例えば、密度音速計(DSA-5000M、Anton Paar社製)を用いる方法などが挙げられる。なお、上記式(1)中の「5.68」はジルコニアの密度を表す。
上記式(1)中、cは25℃且つせん断速度0.01s-1におけるインク等の粘度(mPa・s)を表す。本願では、25℃且つせん断速度0.01s-1における粘度は、ローシェア粘度又は低せん断速度における粘度とも称する。インク等のローシェア粘度の測定方法は、特に限定されないが、例えば、レオメーター(Physica MCR301、Anton Paar社製)を用いて測定する。測定は、コーンプレート(CP50-1、Anton Paar社製)を使用し、せん断速度を1000s-1から0.01s-1まで対数下降させながら36点で測定し、各測定点において3回転以上になるように回転数を設定する。
すなわち、上記式(1)により求められる指標数を小さくする方法(具体的には、4.5以下にする方法)としては、ジルコニア粒子の個数平均粒径(a)を小さくすること、インク等の密度(b)を大きくすること、インク等のローシェア粘度(c)を高くすること、及びこれらを組み合わせることなどが挙げられる。
次に、上記式(1)により求められる指標数が4.5以下であることが好ましい理由について説明する。
記録媒体に対してインクを付与して画像部を形成する場合、記録媒体と記録媒体上に形成された画像部とにおける光沢度差が拡大することで、画像部が記録媒体に対して浮き出て見えるなどの画質が低下する課題がある。本課題に対しては、画像部における光沢度を制御し、記録媒体と画像部とにおける光沢度差を縮小させる方法が有効であり、例えば、インクに含有される粒子(顔料及び樹脂等)の粒径を調整し、画像部の平滑性を制御する方法などが挙げられる。しかし、粒子の粒径によってはインクの吐出性が低下する別の課題があり、光沢度を調整しつつ吐出性も向上させることは困難であった。
本願では、インク等にジルコニア粒子を含有させること及び上記式(1)により求められる指標数が4.5以下であることにより上記課題を解決している。具体的には、まず、変形しにくい機械的特性を有するジルコニア粒子をインク等に含有させることで、画像部の表面に意図的に凹凸構造を形成して光沢度を低下させ、記録媒体と画像部とにおける光沢度差を縮小させる。その上で、比重が大きく沈降しやすい特性を有するジルコニア粒子を含有させることにより生じる課題、具体的には、インク等において部分的に高濃度化したジルコニア粒子がノズルに侵入してノズルを破壊したりノズルプレート表面を摩耗させたりしてインク等の吐出性が低下する課題を、上記式(1)により求められる指標数を4.5以下にすることで解決する。ここで、上記式(1)により求められる指標数が4.5以下であることは、ジルコニア粒子の沈降が抑制される状態であることを表す。なお、上記の通り、インク等のローシェア粘度を高くすることで指標数が4.5以下になりやすくなるが、ローシェア粘度を高くする手段としては、後述するレオロジーコントロール剤を用いることが好ましい。レオロジーコントロール剤を用いることで、インク等の保管時は粘度が高く、インク等の移送時及び吐出時は粘度が低くなる特性を実現でき、吐出性がより向上する。
<ジルコニア粒子>
インク等はジルコニア粒子を含有する。ジルコニア粒子とは、二酸化ジルコニウム(ZrO)を含有する固体粒子であり、必要に応じて酸価イットリウム(Y)などの添加物が含有されていてもよい。ジルコニア粒子をインク等に含有させることで、上記の通り、画像部の表面に意図的に凹凸構造を形成して光沢度を低下させ、記録媒体と画像部とにおける光沢度差を縮小させることができる。
インク等に含有させるジルコニア粒子は、例えば、TZ-3Y-E、TZ-4Y、TZ-6Y、TZ-8Y、TZ-10Y、TZ-3YS-E(いずれも東ソー社製)などの粉末ジルコニウムを用いることができる。また、粉末ジルコニウムを分級し、目的の粒子径にそろえたものを使用してもよい。なお、インク等の製造工程ではジルコニアビーズを用いる場合があり、このとき、ジルコニアビーズの摩耗により生じたジルコニア片がインク等に混入し得るが、このように生じたジルコニア片もジルコニア粒子に含まれる。
ジルコニア粒子の個数平均粒径は、50nm600nm以下であることが好ましく、100nm500nm以下であることがより好ましい。ジルコニア粒子の個数平均粒径は、記録媒体における光沢度及び画像部における光沢度の差に基づき、当該差を縮小できるものを適宜選択できる。なお、ジルコニア粒子の個数平均粒径の測定方法は、特に限定されないが、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて液中のジルコニア粒子を観察する方法などが挙げられる。
ジルコニア粒子の含有量は、インク等の質量に対して0.005質量%以上0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.05質量%以下であることがより好ましい。
<顔料>
インクは顔料を含有する。なお、液体組成物は顔料を含有しないことが好ましいが、用途に応じて含有していてもよい。また、本願において顔料とジルコニア粒子は別の概念であり、言い換えると、ジルコニア粒子は顔料に含まれない。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、顔料として、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
インク中の顔料の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料を分散してインクを得る方法としては、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
分散剤として、竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
-顔料分散体-
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下であることが好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
顔料分散体に対し、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<レオロジーコントロール剤>
インク等はレオロジーコントロール剤を含有することが好ましい。レオロジーコントロール剤を含有することで、上記の通り、インク等のローシェア粘度を高くすることができ、これにより指標数が4.5以下になりやすくなる。また、レオロジーコントロール剤を用いることで、インク等の保管時は粘度が高く、インク等の移送時及び吐出時は粘度が低くなる特性を実現でき、吐出性がより向上する。
また、本願においてレオロジーコントロール剤とは、下記組成の評価用組成物99.0質量部に対して1.0質量部添加したとき、添加後の評価用組成物(以降、「添加後組成物」とも称する)において、下記式(2)で表されるTI値が2.0以上となる材料のことを表す。なお、添加後組成物の粘度の測定方法は、例えば、25°において、コーンプレート(CP50-1、Anton Paar社製)を使用し、せん断速度を1000s-1から0.01s-1まで対数下降させながら36点で測定し、各測定点において3回転以上になるように回転数を設定する方法が挙げられる。
Figure 2022021056000003
(評価用組成物の組成)
・1,2-ブタンジオール:10.0質量部
・1,2-プロパンジオール:12.0質量部
・グリセリン:12.0質量部
・水:65.0質量部
用いることができるレオロジーコントロール剤は、目的に応じて適宜選択することができ、ウレア構造又はウレタン構造を有する材料であることが好ましく、例えば、BYK-420(BYK社製)、BYK-425(BYK社製)などが挙げられる。
レオロジーコントロール剤の含有量は、インク等の質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以上1.5質量%以下であることが更に好ましい。
<有機溶剤>
使用可能な有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
また、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宣選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、インク全量に対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<樹脂>
インク中に含有される樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などの一般的な界面活性剤を使用可能である。
また、界面活性剤は、下記一般式(1)で表される界面活性剤を含有することが好ましく、上記の一般的な界面活性剤と併用することがより好ましい。
Figure 2022021056000004
一般式(1)におけるnは2以上40以下の整数であることが好ましい。この構造を有する界面活性剤を用いることで、記録媒体種による影響を大きく受けることなく濡れ性及びインクの浸透速度を制御できる。これにより、種々の記録媒体、特にインク非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対してインクを付与した場合においても、画像中の濃淡によるムラを少なくでき、鮮明な画像を得ることができる。また、この構造を有する界面活性剤の中でも、一般式(1)におけるnの平均が3以上8以下である場合、インクの記録媒体に対する濡れ性が向上し、鮮明な画像を得ることができるので好ましく、nが6であるものはより好ましい。なお、nは例えばMALDI-TOF MSを用いて測定することができる。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2022021056000005

(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2022021056000006
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
Figure 2022021056000007
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-CmF2m+1でmは4~6の整数、又はCpH2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、FS-31、FS-3100、FS-34、FS-35(いずれも、Chemours社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS-3100、FS-34、FS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<その他添加剤>
その他添加剤としては、例えば、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、及びpH調整剤などを挙げられる。
-消泡剤-
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
-防腐防黴剤-
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
-防錆剤-
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
-pH調整剤-
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
<インクの物性>
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体は、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。また、記録媒体は、非浸透性基材であってもよい。非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。非浸透性基材は、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
<記録装置、記録方法>
インク等は、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本願において記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。また、記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
なお、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
次に、記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の一例を示す斜視図である。図2はインク収容容器の一例を示す概略図である。
記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、スプレーコート法などが挙げられる。
-インク吐出ヘッド-
インク吐出ヘッドは、ノズルプレートを有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。また、ノズルプレートは、ノズル孔を有するノズル基板と、ノズル基板上に設けられた撥インク膜とを有する。
ノズル基板は、ノズル孔からインクが吐出されるインク吐出側の面と、インク吐出側の面とは反対側に位置する液室接合面とを有する。撥インク膜は、ノズル基板のインク吐出側の面に形成されている。
ノズル基板の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、Al、Bi、Cr、InSn、ITO、Nb、Nb2O5、NiCr、Si、SiO2、Sn、Ta2O5、Ti、W、ZAO(ZnO+Al2O3)、Znなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、防錆性の点から、ステンレス鋼が好ましい。
ステンレス鋼としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ノズル基板の少なくともインク吐出側の面は、撥インク膜とノズル基板との密着性を向上させる点から、酸素プラズマ処理を行って水酸基を導入してもよい。
撥インク膜は、含フッ素アクリレートエステル重合体、又は主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体を含むことが好ましい。撥インク膜が、含フッ素アクリレートエステル重合体、又は主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体を含むことにより、表面自由エネルギーが非常に小さくなり、表面張力の低いインクであっても濡れ難い状態を維持できるので好ましい。
含フッ素アクリレートエステル重合体におけるフッ素の含有率は、撥インク(接触角)の点から、10質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
含フッ素アクリレートエステル重合体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、krytoxFSL(デュポン社製)、krytoxFSH(デュポン社製)、FomblinZ(ソルベイソレクシス社製)、FLUOROLINKS10(ソルベイソレクシス社製)、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)、FLUOROLINKC10(ソルベイソレクシス社製)、モレスコホスファロールA20H(株式会社松村石油研究所製)、モレスコホスファロールADOH(株式会社松村石油研究所製)、モレスコホスファロールDDOH(株式会社松村石油研究所製)、フロロサーフFG5010(フロロテクノロジー社製)、フロロサーフFG5020(フロロテクノロジー社製)、フロロサーフFG5060(フロロテクノロジー社製)、フロロサーフFG5070(フロロテクノロジー社製)、サイトップCTX-105(旭硝子株式会社製)、サイトップCTX-805(旭硝子株式会社製)、テフロン(登録商標)AF1600、AF2400(デュポン社製)などが挙げられる。
撥インク膜は、含フッ素アクリレートエステル重合体骨格を分子中に含む化合物膜で構成されている。ノズル基板と撥インク膜の間には、含フッ素アクリレートエステル重合体骨格を分子中に含む化合物との結合点となる水酸基を多く存在させて密着性を向上させるために、無機酸化物層を設けることもできる。無機酸化物層の材料としては、例えば、SiO、TiOなどが挙げられる。無機酸化物層の平均厚みとしては、0.001μm以上0.2μm以下が好ましく、0.01μm以上0.1μm以下がより好ましい。
含フッ素アクリレートエステル重合体骨格を分子中に含む化合物による撥インク膜の形成方法としては、フッ素系溶媒を用いたスピンコート、ロールコート、ディッピング等の塗布、印刷、真空蒸着等の方法が挙げられる。フッ素系溶媒としては、例えば、ノベック(3M株式会社製)、バートレル(デュポン社製)、ガルデン(ソルベイソレクシス社製)、パーフルオロベンゼン、“商品名:アフルード”(商品名:旭硝子株式会社製のフッ素系溶剤)、“フロリナートFC-75”(商品名:3M社製のパーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)を含んだ液体)などが挙げられる。
ここで、インク吐出ヘッドの一例について、図3から図5を参照して説明する。図3は同ヘッドの一例を示す分解斜視説明図、図4は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図5は同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う断面説明図である。
インク吐出ヘッドは、流路板(液室基板、流路部材)1と、この流路板1の下面に接合した振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル形成部材であるノズルプレート3とを有し、これらによって液滴(インクの滴)を吐出する複数のノズル孔4がそれぞれノズル連通路5を介して連通する個別流路としての複数の液室(加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。)6、液室6にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6と連通する連通部8を形成し、連通部8に振動板部材2に形成した供給口19を介してフレーム部材17に形成した共通液室10からインクを供給する。
流路板1は、シリコーン基板をエッチングして連通路5、加圧液室6、流体抵抗部7などの開口をそれぞれ形成している。なお、流路板1は、例えば、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで形成することもできる。
振動板部材2は各液室6に対応してその壁面を形成する各振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、振動領域2aの面外側(液室6と反対面側)に島状凸部2bが設けられ、この島状凸部2bに振動領域2aを変形させ、液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての積層型圧電素子12、12の各圧電素子柱12Aの上端面(接合面)を接合している。また、積層型圧電素子12の下端面はベース部材13に接合している。
ここで、圧電素子12は、PZT等の圧電材料層21と内部電極22a、22bとを交互に積層したものであり、内部電極22a、22bをそれぞれ端面、即ち圧電素子12の振動板2に略垂直な側面に引き出して、この側面に形成された端面電極(外部電極)23a、23bに接続し、端面電極(外部電極)23a、23bに電圧を印加することで積層方向の変位を生じる。この圧電素子12は、ハーフカットダイシングによる溝加工を施して1つの圧電素子部材に対して所要数の圧電素子柱12A、12Bを形成したものである。
なお、圧電素子12の圧電素子柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電素子柱を圧電素子柱12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電素子柱を圧電素子柱12Bとして区別している。この場合、駆動用圧電素子柱12Aと支柱用圧電素子柱12Bとを交互に使用するバイピッチ構成でも、あるいは、すべての圧電素子柱を駆動用圧電素子柱12Aとして使用するノーマルピッチ構成のいずれでも採用できる。
これにより、ベース部材13上に駆動素子としての複数の駆動用圧電素子柱12Aが並べて配置された駆動素子列(駆動用圧電素子柱12Aの列)が2列設けられた構成としている。
また、圧電素子材料としては、特に制限はなく、一般に圧電素子材料として用いられるBaTiO、PbTiO、(NaK)NbO等の強誘電体などの電気機械変換素子を用いることもできる。更に、圧電素子に積層型のものを用いているが、単板の圧電素子を用いてもよい。単板の圧電素子としては切削加工したものや、スクリーン印刷して焼結した厚膜のものや、スパッタや蒸着、或いはゾルゲル法により形成する薄膜のものでもよい。また、1つのベース部材13に設けられる積層型圧電素子12は1列としても、複数列設けられた構造としてもよい。
そして、圧電素子12の各駆動用圧電素子柱12Aの外部電極23aには駆動信号を与えるために半田部材で配線手段としてのFPC15を直接接続し、このFPC15には圧電素子12の各駆動用圧電素子柱12Aに対して選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)16が実装されている。なお、すべての圧電素子柱12Aの外部電極23bは電気的に共通に接続されてFPC15の共通配線に同じく半田部材で接続される。また、ここでは、FPC15の圧電素子12と接合される出力端子部には半田メッキが施されており、半田接合を可能にしているが、FPC15ではなく圧電素子12側に半田メッキを施してもよい。また、接合方法についても半田接合の他に異方導電性膜による接合やワイヤボンディングを用いることもできる。
ノズルプレート3は、各液室6に対応して直径10μm以上35μm以下のノズル孔4を構成する孔部が形成されたノズル基材31の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面、ノズル形成面)に撥インク膜32を形成して構成している。
また、FPC15を実装した(接続した)圧電素子12及びベース部材13などで構成される圧電型アクチュエータユニット100の外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。そして、このフレーム部材17には前述した共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部からインクを供給するための供給口19を形成し、この供給口19は更に図示しないサブタンクやインク収容容器などのインク供給源に接続される。
このように構成したインク吐出ヘッドにおいては、例えば、駆動用圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子柱12Aが収縮し、振動板部材2の振動領域2aが下降して液室6の容積が膨張することで、液室6内にインクが流入し、その後圧電素子柱12Aに印加する電圧を上げて圧電素子柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材2をノズル孔4方向に変形させて液室6の容積/体積を収縮させることにより、液室6内のインクが加圧され、ノズル孔4からインクの液滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2が初期位置に復元し、液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル孔4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、インク吐出ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<顔料分散体の作製>
-ブラック顔料分散体(1)の作製例-
Cabot Corporation社製Black Pearls(登録商標)1000(BET比表面積343m/g、及びDBPA105mL/100gを有するカーボンブラック)100gと、スルファニル酸100ミリモル、及びイオン交換高純水1Lを室温環境下、Silversonミキサー(6,000rpm)で混合した。得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸100ミリモルを添加した。30分間後に、少量のイオン交換高純水に溶解された亜硝酸ナトリウム(100ミリモル)を上記混合物にゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させた。これによりカーボンブッラクにスルファニル酸を付加した改質顔料が生成できた。次に、10質量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのスルファニル酸基又はスルファニル酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した改質顔料分散体とイオン交換高純水を用い、透析膜を用いた限外濾過を行った。更に、超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮したブラック顔料分散体(1)を得た。
得られた改質顔料分散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA-EX150)により測定したところ、120nmであった。
-シアン顔料分散体(1)の作製例-
SENSIJET SMART Cyan 3154BA(Pigment Blue 15:4表面処理分散体、顔料固形分14.5質量%、SENSIENT社製)顔料分散体1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、40質量%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水を用い、透析膜を用いた限外濾過を行った。更に、超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮したシアン顔料分散体(1)を得た。
得られた改質顔料散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA-EX150)により測定したところ、116nmであった。
-マゼンタ顔料分散体(1)の作製例-
SENSIJET SMART Magenta 3122BA(Pigment Red 122表面処理分散体、顔料固形分14.5質量%、SENSIENT社製)顔料分散体1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、10質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でpHを9に調整することにより、30分間後に改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラエチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水を用い、透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮したマゼンタ顔料分散体(1)を得た。
得られた改質顔料分散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA-EX150)により測定したところ、104nmであった。
-イエロー顔料分散体(1)の作製例-
SENSIJET SMART Yellow 3074BA(Pigment Yellow 74表面処理分散体、顔料固形分14.5質量%、SENSIENT社製)10質量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた改質顔料分散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA-EX150)により測定したところ、145nmであった。
-ブラック顔料分散体(2)の作製例-
8.5質量部のフローレンG-700DMEA(共栄社化学社製)、20.0質量部のカーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)、及び71.5質量部の高純水の混合物を12時間攪拌した。
撹拌後の混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、97.0質量部のブラック顔料分散体(2)(顔料固形分濃度:20質量%)を得た。
ブラック顔料分散体(2)には循環分散時に生じたジルコニア粒子が含まれており、走査型電子顕微鏡を用いて液中のジルコニア粒子を20個観察したところ、個数平均粒子径は100nmであった。
-ブラック顔料分散体(3)の作製例-
8.5質量部のフローレンG-700DMEA(共栄社化学社製)、20.0質量部のカーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)、及び71.5質量部の高純水の混合物を12時間攪拌した。
撹拌後の混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速20m/sで1時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、97.0質量部のブラック顔料分散体(3)(顔料固形分濃度:20質量%)を得た。
ブラック顔料分散体(3)には循環分散時に生じたジルコニア粒子が含まれており、走査型電子顕微鏡を用いて液中のジルコニア粒子を20個観察したところ、個数平均粒子径は300nmであった。
-ブラック顔料分散体(4)の作製例-
8.5質量部のフローレンG-700DMEA(共栄社化学社製)、20.0質量部のカーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)、及び71.5質量部の高純水の混合物を12時間攪拌した。
撹拌後の混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径3mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速20m/sで1時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、97.0質量部のブラック顔料分散体(4)(顔料固形分濃度:20質量%)を得た。
ブラック顔料分散体(4)には循環分散時に生じたジルコニア粒子が含まれており、走査型電子顕微鏡を用いて液中のジルコニア粒子を20個観察したところ、個数平均粒子径は500nmであった。
<インクの調整>
(実施例1~9、比較例1~2)
下記表1に示す組成及び含有量でインクを調製した。具体的には、レオロジーコントロール剤、有機溶剤、界面活性剤、抑泡剤、及び水を混合し、30分間撹拌して均一にした。次に、顔料、ジルコニア粒子、樹脂、防カビ剤、及びpH調整剤を添加して更に混合攪拌した。得られた混合液を平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去してインクを得た。なお、表1中の各組成物の含有量を示す数値の単位は「質量%」である。また、表1中の樹脂の含有量は固形分量を表す。
なお、下記表1における成分の製造会社、商品名については、下記の通りである。
・BYK-420:レオロジーコントロール剤、BYK社製
・BYK-425:レオロジーコントロール剤、BYK社製
・モビニール6969D:スチレンアクリル樹脂、日本合成化学社製
・W6110:ウレタン樹脂、三井化学社製
・TEGO Wet270:ポリエーテル変性シロキサン化合物、エボニック・デグサ・ジャパン社製、有効成分100質量%
・ユニダイン DSN403N:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル、ダイキン工業株式会社製、有効成分100質量%
・ソフタノールEP-7025:高級アルコールエトキシレート化合物、株式会社日本触媒製、有効成分100質量%
・サーフィノール104E:アセチレングリコール化合物、日信化学工業株式会社製、有効成分100質量%
・Proxel LV:1,2-benzisothiazolin-3-oneを主成分とした防カビ剤、ロンザ社製、有効成分20質量%、ジプロピレングリコール含有
まず、得られた実施例1~9、比較例1~2のインクについて、以下のようにして、インクのローシェア粘度、インクの密度、及びインク中のZr量を測定した。結果を下記表1に示す。
また、ジルコニア粒子の個数平均粒径、インクの密度、インクのローシェア粘度に基づき、式(1)からインクの指標数を求めた。結果を下記表1に示す。
<ローシェア粘度の測定>
インクの25℃且つせん断速度0.01s-1における粘度(ローシェア粘度)は、レオメーター(Physica MCR301、Anton Paar社製)を用いて測定した。測定は、コーンプレート(CP50-1、Anton Paar社製)を使用し、せん断速度を1000s-1から0.01s-1まで対数下降させながら36点で測定し、各測定点において3回転以上になるように回転数を設定した。
<密度の測定>
インクの25℃における密度は、密度音速計(DSA-5000M、Anton Paar社製)を用いて測定した。
<Zr量の測定>
インク中のZr量をICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析装置(島津製作所製、ICP-1000IV)を用いて測定した。
次に、得られた実施例1~9、比較例1~2のインクについて、以下のようにして、吐出性、ノズルプレートの摩耗、ノズルプレートに対する後退接触角、及び光沢度差を評価した。結果を下記表1に示す。
<吐出性の評価>
23℃±1℃、50%±5%RHに調整した環境条件下、画像形成装置(IPSiO GXe-5500、株式会社リコー製)を用い、45cm×70cmのベタ画像を連続して200枚分印刷し、印刷後のノズルの吐出乱れ等を観察し、以下の基準で吐出性を評価した。
[評価基準]
A:吐出乱れなし
B:若干の吐出乱れあり
C:吐出乱れあり
D:吐出乱れ及び不吐出あり
<ノズルプレートの摩耗の評価>
23℃±1℃、50%±5%RHに調整した環境条件下、画像形成装置(IPSiO GXe-5500、株式会社リコー製)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、5分連続吐出した後25分静置するのを1サイクルとして300サイクル実施し、その前後でのノズルプレートの後退接触角を測定した。
次に、下記式(3)により後退接触角の変化率を算出し、以下の基準でノズルプレートの摩耗を評価した。なお、変化率が小さいほど摩耗が抑制されていることを表す。
Figure 2022021056000008
[評価基準]
A:変化率の絶対値が0%以上5%未満
B:変化率の絶対値が5%以上20%未満
C:変化率の絶対値が20%以上~40%未満
D:変化率の絶対値が40%以上
<光沢度差の評価>
23℃±1℃、50%±5%RHに調整した環境条件下、画像形成装置(IPSiO GXe-5500、株式会社リコー製)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録媒体(OKトップコート+(坪量:127.9g/m)、王子製紙株式会社製)にインクを吐出させ印刷サンプルを得た。なお、印刷チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。次に得られた印刷サンプルのベタ画像部および印刷されていない記録媒体部のそれぞれにおいて光沢度計(マイクロトリグロス、BYK社製)を用いて60度の光沢度を測定した。次に、ベタ画像部における光沢度と記録媒体部における光沢度との差の絶対値を算出し、この算出値を光沢度差とした。
Figure 2022021056000009
3 ノズルプレート
32 撥インク膜
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2019-108518号公報

Claims (7)

  1. 顔料及びジルコニア粒子を含有し、下記式(1)により求められる指標数が4.5以下であることを特徴とするインク。
    Figure 2022021056000010
    (上記式(1)中、aは前記ジルコニア粒子の個数平均粒径を表し、bは25℃における前記インクの密度を表し、cは25℃且つせん断速度0.01s-1における前記インクの粘度を表す。)
  2. 前記ジルコニア粒子の含有量は、前記インクに対して0.01質量%以上である請求項1に記載のインク。
  3. レオロジーコントロール剤を含有する請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記レオロジーコントロール剤は、ウレア構造又はウレタン構造を有する請求項3に記載のインク。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のインクを付与する付与手段を有する記録装置。
  6. 請求項1から4のいずれか一項に記載のインクを付与する付与工程を有する記録方法。
  7. ジルコニア粒子を含有し、下記式(1)により求められる指標数が4.5以下であることを特徴とする液体組成物。
    Figure 2022021056000011
    (上記式(1)中、aは前記ジルコニア粒子の個数平均粒径を表し、bは25℃における前記液体組成物の密度を表し、cは25℃且つせん断速度0.01s-1における前記液体組成物の粘度を表す。)
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