JP2019070107A - インクセット、白色インク、記録方法、インク吐出装置 - Google Patents

インクセット、白色インク、記録方法、インク吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、白色インクと非白色インクとのインクセットを用いて画像を形成した際に、白ベタ部の明度が高く、白色インクに対する非白色インクの濡れ性が確保され、ベタ埋まりに優れたインクセットを提供することを目的とする。【解決手段】白色インクと、非白色インクとを有するインクセットであって、前記白色インクは、中空粒子を5.0質量%以上25.0質量%以下含有し、乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下であり、前記非白色インクは、バブルライフタイム1500msにおける表面張力が20.0mN/m以上30.0mN/m以下であるインクセット。【選択図】なし

Description

本発明は、インクセット、白色インク、記録方法、及びインク吐出装置に関する。
従来より、透明記録媒体に白色を表現する場合や着色記録媒体にカラーインクで着色する場合、前記透明記録媒体の白色の表現性や、前記着色記録媒体のカラーインクの着色性を向上させるために、前記透明記録媒体の透明色や前記着色記録媒体自体の着色を、比重が軽く沈降しにくい中空樹脂粒子を含有する白色インクで十分に隠蔽することが行われている。
光沢ムラがなく、定着性に優れた画像を提供することを目的としたインクセットとして、特許文献1には、顔料とポリマーを含むインクと、中空粒子を含む白色インクのセットであり、ポリマーの屈折率と、中空粒子の屈折率の差が0.1以下であり、かつポリマーがスチレン−アクリル共重合体を含むインクセットが、特許文献2は、自己分散顔料とポリマーを含むインクと、中空粒子を含む白色インクのセットであり、ポリマーの屈折率と、中空粒子の屈折率の差が0.1以下であり、かつポリマーがスチレン−アクリル共重合体を含むインクセットが開示されている。
中空粒子を含む白色インクと非白色インクとを組み合せたインクセットを用いて印字した場合、非白色インク中の水溶性有機溶剤によって、白色インクの中空粒子の樹脂が溶解し、結果として白くなくなるという問題があった。
本発明は、白色インクと非白色インクとのインクセットを用いて画像を形成した際に、白ベタ部の明度が高く、白色インクに対する非白色インクの濡れ性が確保され、ベタ埋まりに優れたインクセットを提供することを目的とする。
本発明のインクセットは、以下のとおりである。
(1)白色インクと、非白色インクとを有するインクセットであって、
前記白色インクは、中空粒子を5.0質量%以上25.0質量%以下含有し、乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下であり、
前記非白色インクは、バブルライフタイム1500msにおける表面張力が20.0mN/m以上30.0mN/m以下であるインクセット。
本発明の白色インクと非白色インクとのインクセットを用いることにより、白色インクが非白色インクと接触した場合でも白ベタ部の明度が高く、白色インクに対する非白色インクの濡れ性が確保され、ベタ埋まりに優れた画像が得られる。
本発明のインクセットを用いるインク吐出装置の一例を示す図である。 本発明のインクセットのインクを収容するメインタンクの斜視図である。 本発明の実施形態に係るインク吐出ヘッドの外観斜視説明図である。 同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。 同ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の一部断面説明図である。 同ヘッドのノズル板の平面説明図である。 同ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 同ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。 本発明に係るインク循環システムの一例を示すブロック図である。 本発明に係るインク吐出装置の一例の要部平面説明図である。 同装置の要部側面説明図である。 本発明に係るインク吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
本発明は上記の(1)のインクセットに係るものであるが、次の(2)〜(15)をも実施の形態として含む。
(2)前記白色インクの後方散乱光強度ピークの積算での下記条件で保存前後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)が−2.0%以上である前記(1)に記載のインクセット。
《評価条件》
測定装置:タービスキャン クラシック MA2000(英弘精機社製)
保存温度:25℃
保存時間:168時間
(3)前記白色インクは、更にポリエチレンワックス、カルナバワックス、またはポリジメチルシロキサン化合物を含有する前記(1)または(2)に記載のインクセット。
(4)前記白色インクの乾燥膜に対する非白色インクの液滴法における接触角が15.0°以上30.0°以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクセット。
(5)前記非白色インクのバブルライフタイム15msの表面張力の値Aの1500msの表面張力の値Bに対する比(A/B)が1.20以上1.50以下である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクセット。
(6)前記非白色インクは有機溶剤を含有し、前記有機溶剤の混合SP値が11.5[cal/cm30.5以上15.5[cal/cm30.5以下である前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクセット。
(7)前記非白色インクは樹脂を含有し、前記樹脂の混合SP値が7.5[cal/cm30.5以上10.0[cal/cm30.5以下である前記(1)〜(6)のいずれかに記載のインクセット。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のインクセットに用いる白色インクであって、
該白色インクは中空粒子を5.0質量%以上25.0質量%以下含有し、乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下である白色インク。
(9)前記白色インクの後方散乱光強度ピークの積算での下記条件で保存前後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)が−2.0%以上である前記(8)に記載の白色インク。
《評価条件》
測定装置:タービスキャン クラシック MA2000(英弘精機社製)
保存温度:25℃
保存時間:168時間
(10)前記白色インクは、更にポリエチレンワックス、カルナバワックス、またはポリジメチルシロキサン化合物を含有する前記(8)または(9)に記載の白色インク。
(11)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のインクセットを用いた記録方法であって、記録媒体に、前記インクセットの白色インクを付与する工程、及び前記インクセットの非白色インクを付与する工程を有する記録方法。
(12)前記白色インクを付与する工程の後に、前記非白色インクを付与する工程を有する前記(11)に記載の記録方法。
(13)前記白色インクを付与する工程の後に、付与した白色インクを乾燥させる工程を有する前記(11)または(12)に記載の記録方法。
(14)インクと、インク吐出ヘッドとを有し、
前記インク吐出ヘッドが、前記インクを吐出するノズルを有し、
前記インクが、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のインクセットの非白色インク、
白色インクであるインク吐出装置。
(15)前記インク吐出ヘッドが、更に、前記ノズルに連通する複数の個別液室、前記インクを個別液室に流入させる流入流路、及び該インクを該個別液室から流出させる流出流路を有するインク吐出ヘッドであり、
前記インク吐出装置は、該流出流路から流出する該インクを、該流入流路に流入させて循環させる循環流路を有し、
前記インクを該個別液室から流出させる負圧を発生する負圧発生手段を有する前記(14)に記載のインク吐出装置。
<インクセット>
本発明のインクセットは、白色インクと、非白色インクとを有するインクセットであって、前記白色インクは、中空粒子を5.0質量%以上25.0質量%以下含有し、乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下であり、前記非白色インクは、バブルライフタイム1500msにおける表面張力が20.0mN/m以上30.0mN/m以下である。
前記非白色インクとしては、ブラックインク、シアンインク、イエローインク、マゼンタインク、メタリックインク、及びクリアインク等を挙げることができ、これらの非白色インクを数種用いてインクセットとする場合は、全ての非白色インクのバブルライフタイム1500msにおける表面張力が20.0mN/m以上30.0mN/m以下である。
粒子径が大きい中空粒子を含む白色インク上に非白色インクを印刷した場合、非白色インクの濡れ性が低い場合にはインクドットが拡がらずベタ埋まりの悪い画像になってしまう。また、非白色インクの濡れ性を高めると、非白色インク中の成分により中空粒子の樹脂が溶解してしまい、白さが発現しなくなってしまう。
そこで本発明では、非白色インクのバブルライフタイム1500msにおける表面張力を20.0mN/m以上30.0mN/m以下とし、白色インクは中空粒子を5.0質量%以上25.0質量%以下含有し、白色インクの乾燥膜のIRスペクトルにおける1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)を3.0以上6.0以下とすることで、白色インクに対する非白色インクの濡れ性を向上させつつ、非白色インクによる白色インク中の中空粒子の樹脂溶解を抑制させることが可能となった。
<白色インク>
本発明の白色インクは、中空粒子を含有し、その他、必要に応じて、有機溶剤、水、樹脂、滑剤、添加剤、中空粒子と併用する色材を含有する。
本発明の白色インクは、中空粒子を5.0質量%以上25.0質量%以下含有し、乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下である。
前記白色インクの乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下とするには、IRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下である中空粒子を添加することが挙げられる。
IRスペクトルの測定は、反射法(ATR法)で行い、1600±10cm-1の吸収帯における最大値X、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yは、吸光度の値である。
前記IRスペクトルを求める際の白色インクの乾燥膜は、以下の条件で作製したものを用いた。また、後述する非白色インクの液滴法における接触角を求める際の白色インクの乾燥膜についても同様に作製したものを用いた。
内径33mmのフラットシャーレに白色インクを2g量り入れ、それを90℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PDR−3J)で60秒間開放放置することで乾燥膜を作製した。
ここで言う中空粒子とは、外殻を樹脂で形成した中空樹脂粒子である。
なお、ここで記載する白色インクとは、色材として、中空粒子のみを含有するものの他に、中空粒子に加えて他の色材を追加的に含有するもの等も含む。
<中空粒子>
本発明に使用する中空粒子は、内層が中空、外層を樹脂で形成されたものであり、その外径は0.1μm以上1μm以下が好ましく、内径が0.04μm以上0.8μm以下が好ましい。
内層が中空であるため、白色インクに対する中空粒子の比重は1前後であり、二酸化チタンのように経時で沈降することはない。経時での沈降を回避するということから、中空粒子の樹脂の厚さは中空粒子全体の大きさに対して10%以上20%以下の厚さとすることが好ましい。
本発明に使用する中空粒子は、明度及び中空粒子の強度向上を目的に、以下一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体を含む中空粒子を有することが好ましく、白色インクの乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600cm-1±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730cm-1±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下であり、3.0以上5.5以下が好ましい。
Figure 2019070107
一般式(1)の構造単位は主に明度を向上させる目的で使用しており、一方、一般式(2)の構造単位は主に中空粒子の強度を向上させる目的で使用している。共重合体を含む中空粒子の一般式(1)と一般式(2)の比率は、白色インクとした場合に、白色インクに含まれる共重合体における一般式(1)と一般式(2)の比率にほぼ一致する。比率の算出には中空粒子のIRスペクトルを用い、一般式(1)の芳香族のC=C伸縮振動による1600±10cm-1の吸収帯の最大値Xに対する、一般式(2)のカルボニル伸縮振動に由来する1730±10cm-1の吸収帯の最大値Yの比(Y/X)を取ることで算出することができ、本発明では3.0以上6.0以下としている。この比(Y/X)が3.0以上であることによって中空粒子の強度が増加し、結果として熱などのエネルギーにより中空粒子の樹脂が溶解することで生じる明度の低下を抑制することができる。一方、比(Y/X)が6.0以下であることによって中空粒子の明度が増加、及び加えて中空粒子の沈降性も改善することができる。なお、中空粒子における一般式(1)の芳香族のC=C伸縮振動による1600±10cm-1の吸収帯の最大値Xに対する、一般式(2)のカルボニル伸縮振動に由来する1730±10cm-1の吸収帯の最大値Yの比(Y/X)も3.0以上6.0以下であることが好ましい。
本発明では中空粒子の平均粒子径が400nm以上600nm以下であることが好ましい。400nm以上であることで、上質紙などのような記録媒体に対しても明度を確保することが可能であり、一方、600nm以下であることで、沈降性の改善、吐出安定性の改善が可能となる。なお、ここで言う平均粒子径とは、その集団の全体積を100%として累積カーブを求めた時、その累積カーブが50%となる点の粒子径を示している。
白色インク中における中空粒子の含有量は、5.0質量%以上25.0質量%以下としている。5.0質量%以上であることで、上質紙などのような記録媒体に対しても白色インクの膜厚を確保することが可能であり、一方、25.0質量%以下であることで、沈降性の改善、吐出安定性の改善が可能となる。白色インク中における中空粒子の含有量は、5.0質量%以上20.0質量%以下が好ましい。
本発明の白色インクを用いて、印刷物を作成する場合、印刷層を形成するインク膜の膜厚は4μm以上20μm以下であることが好ましく、10μm以上17μm以下がより好ましい。インク膜の膜厚が4μm以上であることによって記録媒体の下地色に影響されない白色を発現することができ、インク膜の膜厚が20μm以下であることによって定着性や生産性を維持することが可能となる。
<インクの沈降性の説明>
白色インクの沈降性は、白色インク中の中空粒子の沈降性として評価する。白色インク中の前記中空粒子の沈降に伴う後方散乱光強度ピークの積算での25℃で静置168時間後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)は−2.0%以上であることが好ましい。
前記上澄み相対変化量百分率の平均値(%)が−2.0%以上であると中空粒子が沈降しにくくなる。
前記上澄み相対変化量百分率の平均値(%)は、例えば、英弘精機社製のタービスキャンクラシック MA2000などを用い、以下のようにして測定することができる。
白色インクを、超音波洗浄器(アズワン社製 US−3)を用いて超音波処理(100W、40分間)し、均一状態にしてから、ピペットを用いて装置専用のガラス管に白色インクを5.5ml入れる(深さ40mm)。
ガラス管内の前記白色インクの液面が安定した30分後に、ガラス管中のインクに光を照射し、後方散乱光強度ピークの測定を行い、この時間を沈降性評価開始とする。その後、25℃で静置し、168時間後まで測定を行い、沈降性評価開始を基準とした偏差表示にて、中空粒子の沈降性を確認する。前記沈降性の確認は、中空粒子の沈降に伴う後方散乱光強度ピークの積算(サンプル管下方20mmから液面)での25℃で静置168時間後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)で行うことができる。
後方散乱光強度ピークを求める際の条件は、以下のようにした。
・光の波長:850nm(近赤外のパルス光源)
・後方散乱光の測定角度:135°
・データ収集:40μmごとに測定
<中空粒子の製造方法>
上記中空粒子の調製方法は、特に制限されるものではなく公知の方法を適用することができる。中空粒子の調製方法として、例えば、ビニルモノマー、界面活性剤、重合開始剤、及び水系分散媒を窒素雰囲気下で加熱しながら攪拌することにより中空粒子エマルジョンを形成する、いわゆる乳化重合法を適用することができる。
ビニルモノマーとしては、非イオン性モノエチレン不飽和モノマーが挙げられ、例えば、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ビニルアセテート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、ビニルモノマーとして、二官能性ビニルモノマーを用いることもできる。二官能性ビニルモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,5−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。上記単官能性ビニルモノマーと上記二官能性ビニルモノマーとを共重合させて高度に架橋することにより、光散乱特性だけでなく、耐熱性、耐溶剤性、溶剤分散性などの特性を備えた中空粒子を得ることができる。
前記ビニルモノマーとしては、スチレンとメチルメタクリレートを含むことが好ましく、更に、他の非イオン性モノエチレン不飽和モノマー及び二官能性ビニルモノマーを含むことができる。
界面活性剤としては、水中でミセルなどの分子集合体を形成するものであれば良く、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
重合開始剤としては、水に可能な公知の化合物を用いることができ、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウムなどが挙げられる。
水系分散媒としては、例えば、水、親水性有機溶剤を含有する水などが挙げられる。
<非白色インク>
非白色インクの表面張力としては、白色インクに対する濡れ性、及び吐出安定性との両立する点から、バブルライフタイム1500msにおける表面張力が20.0mN/m以上30.0mN/m以下とする必要があり、20.0mN/m以上25.0mN/m以下がより好ましい。バブルライフタイム1500msにおける表面張力が20.0mN/m以上とすることで、吐出ヘッドへの濡れ性が抑制されることで吐出安定性を向上させることができる。一方、バブルライフタイム1500msにおける表面張力が30.0mN/m以下とすることで、白色インク上に非白色インクを印刷した場合においても画像の濡れ性が確保されることでベタ埋まりを向上させることができる。
白色インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、20mN/m以上が好ましく、35mN/m以下がより好ましい。
更に、非白色インクの、バブルライフタイム15msの表面張力の値Aの、1500msの表面張力の値Bに対する比(A/B)が1.20以上1.50以下であることが好ましく、1.30以上1.50以下であることがより好ましい。A/Bを1.20以上とすることで、吐出安定性を向上させることができ、A/Bを1.50以下とすることで白色インク上へのベタ埋まりを向上させることができる。
バブルライフタイム15ms及び1500msにおける表面張力は、最大泡圧法によって25℃で測定した値であり、例えば、動的表面張力計DynoTester(SITA Messtechnik社製)を用いて測定することができる。前記「バブルライフタイム」とは、最大泡圧法において発生させた気泡の寿命であり、「表面寿命」とも言い、動的表面張力計のプローブ先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧となるまでの時間を指す。
白色インクの乾燥膜に対する非白色インクの液滴法における接触角は10.0°以上35.0°以下とすることが好ましく、15.0°以上30.0°以下がより好ましく、15.0°以上20.0°以下が更に好ましい。白色インクに対する非白色インクの接触角が10.0°以上であることで、非白色インクを吐出するノズル面が非白色インクで濡れてノズルを塞ぐことがなく、吐出安定性を向上させることができ、接触角が35.0°以下であることで白色インク上へのベタ埋まりを向上させることができる。接触角の測定は、25℃で行った。
本発明の非白色インクは、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤を含有することが好ましく、必要に応じて、滑剤、色材、添加剤を含有する。
前記白色インク及び非白色インクが含有する有機溶剤としては、以下のものを用いることができる。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
更に水素結合項が3.0[cal/cm30.5以上6.8[cal/cm30.5以下であり、かつ沸点が150℃以上300℃以下である有機溶剤を用いると、定着性が良好となりより好ましい。
なお、水素結合項はKrevelenの提案した有機分子を原子団として取扱った原子団総和法を利用して求めることができる(Krevelen,Properties of Polymer 3rd Edition,New York,p200〜p204参照)。
上記条件を満たす有機溶剤としては、グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、イソプレングリコール、オキセタン化合物が特に好ましい。
本発明の白色インク及び非白色インクに使用する有機溶剤としては、インク中の水を除く有機溶剤の溶解度パラメーター(以下、SP値と記載)から計算される混合SP値が、11.5[cal/cm30.5以上15.5[cal/cm30.5以下であることが好ましい。水を除く有機溶剤の混合SP値を11.5[cal/cm30.5以上とすることで、有機溶剤による中空粒子の樹脂の溶解を抑制することができる。一方、水を除く有機溶剤の混合SP値が15.5[cal/cm30.5以下とすることで、乾燥不良による定着性悪化を抑制することができる。
白色インクの場合に、インク中の水を除く有機溶剤のSP値から計算される混合SP値が、11.5[cal/cm30.5以上15.5[cal/cm30.5以下であることで、白色インク中で、有機溶剤による中空粒子の樹脂の溶解を抑制することができる。
また、非白色インクの場合に、インク中の水を除く有機溶剤のSP値から計算される混合SP値が、11.5[cal/cm30.5以上15.5[cal/cm30.5以下であることで、非白色インク中の有機溶媒が、白色インクで形成した印刷層に含まれる中空粒子の樹脂を溶解することを抑制することができる。
なお、インク中に含有する有機溶剤の混合SP値は下記式より算出した。インク中の有機溶剤の体積の合計を1とし、各溶剤の体積分率及びSP値を求め算出した。
インク中の有機溶剤の混合SP値(cal/cm30.5
=[有機溶剤AのSP値×有機溶剤Aの体積分率]+・・・
[有機溶剤ZのSP値×有機溶剤Zの体積分率]
また、本発明における有機溶剤は、機能上、浸透剤や抑泡剤などとして分類されるものも含むとするが、本発明ではインク全体に対して3質量%以上含有されているもののみ上記混合SP値の計算で考慮する。
白色インク及び非白色インクには、インクの定着性を向上させる等の目的で、樹脂を添加しても良い。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
また、衝撃などから中空粒子のつぶれを抑制する目的で、樹脂粒子のロックウェル硬度(JIS Z2245、JIS B7726)は80以上130以下が好ましく、80以上110以下がより好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、100nm以上150nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましい。
前記樹脂のSP値から計算される混合SP値が、7.5[cal/cm30.5以上10.0[cal/cm30.5以下であることが好ましい。樹脂の混合SP値を7.5[cal/cm30.5以上とすることで、樹脂による中空粒子の樹脂の溶解を抑制することができる。一方、樹脂の混合SP値を10.0[cal/cm30.5以下とすることで定着性の悪化を抑制することができる。
白色インクの場合に、インク中の樹脂のSP値から計算される混合SP値が、7.5[cal/cm30.5以上10.0[cal/cm30.5以下であることで、白色インク中で、樹脂による中空粒子の樹脂の溶解を抑制することができる。
また、非白色インクの場合に、インク中の樹脂のSP値から計算される混合SP値が、7.5[cal/cm30.5以上10.0[cal/cm30.5以下であることで、非白色インク中の樹脂が、白色インクで形成した印刷層に含まれる中空粒子の樹脂を溶解することを抑制することができる。
なお、インク中に含有する樹脂の混合SP値は下記式より算出した。インク中の樹脂の体積の合計を1とし、各樹脂の体積分率及びSP値を求め算出した。
インク中の樹脂の混合SP値(cal/cm30.5
=[樹脂AのSP値×樹脂Aの体積分率]+・・・
+[樹脂ZのSP値×樹脂Zの体積分率]
また、本発明における樹脂はインク全体に対して1質量%以上含有されているもののみ上記混合SP値の計算で考慮する。
前記非白色インクは、色材を含んでいてもよい。色材としては、以下のものが挙げられる。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
メタリックインクに用いる色材としては、例えば、金属単体、合金、又は金属化合物を微粉砕してなる微粉末を用いることができる。より具体的には、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、銅、又はプラチナよりなる一群の金属単体の何れか1種類若しくは複数よりなるもの、又はこれらの一群の金属を組み合わせて得られる合金、又はこれらの一群の金属単体若しくは合金の酸化物、窒化物、硫化物、又は炭化物の何れか1種類若しくは複数、を微粉砕して得られるものが挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、400nm以上600nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<滑剤>
本発明で使用される白色インク及び非白色インクには画像部に滑り性を付与するためにワックスまたはシロキサン化合物等の滑剤を添加していることが好ましい。
前記ワックスの中でも、特にインクを画像形成部に付与した際の成膜性、滑り性などの観点からポリエチレンワックスもしくはカルナバワックスが好ましい。
前記ワックスの融点は80℃以上140℃以下が好ましく、100℃以上140℃以下がより好ましい。融点を80℃以上とすることで、室温環境下でもワックスが過剰に溶融または凝固することが少なくなり、インクの保存安定性を維持することが可能となる。一方、融点を140℃以下とすることで、室温環境下でもワックスが十分に溶融し、インクに滑り性を付与することが可能となる。
前記ワックスの粒子径は0.01μm以上であることが好ましく、0.01μm以上0.1μm以下がより好ましい。粒子径を0.01μm以上とすることで、インク表面にワックス粒子が配向しやすくなり、インクに滑り性を付与することが可能となる。
前記ポリエチレンワックスとしては、例えば、市販品として東邦化学工業社製のハイテックシリーズ、BYK社製のAQUACERシリーズなどが挙げられる。
前記カルナバワックスとしては、例えば、市販品として中京油脂社製のセロゾール524、トラソルCNなどが挙げられる。
前記ワックスの含有量は1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
前記シロキサン化合物としては、ポリジメチルシロキサン化合物が好ましい。前記シロキサン化合物としては、例えば市販品としてBYK社製のBYK307、BYK333、BYK378などが挙げられる。
前記シロキサン化合物の含有量は1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2019070107
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2019070107
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
n2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCm2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−Cm2m+1でmは4〜6の整数、又はCp2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。 この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明のインクセットは、各種処理液と共に用いることができる。
各種処理液としては、例えば、前処理液、後処理液が挙げられる。
<前処理液>
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
<後処理液>
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
<記録方法、インク吐出装置>
本発明の記録方法は、本発明のインクセットを用いた記録方法であって、記録媒体に、前記インクセットの白色インクを付与する工程、及び前記インクセットの非白色インクを付与する工程を有する。
前記白色インクを付与する工程の後に、前記非白色インクを付与する工程を有することが好ましく、前記白色インクを付与する工程の後に、付与した白色インクを乾燥させる工程を有することが好ましい。
本発明のインク吐出装置は、インクと、インク吐出ヘッドとを有し、前記インク吐出ヘッドが、前記インクを吐出するノズルを有し、前記インクが、本発明のインクセットの非白色インク、白色インクである。
前記インク吐出ヘッドが、更に、前記ノズルに連通する複数の個別液室、前記インクを個別液室に流入させる流入流路、及び該インクを該個別液室から流出させる流出流路を有するインク吐出ヘッドであり、前記インク吐出装置は、該流出流路から流出する該インクを、該流入流路に流入させて循環させる循環流路を有し、前記インクを該個別液室から流出させる負圧を発生する負圧発生手段を有することが好ましい。
インク吐出装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の側面説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。インク吐出装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び白色(W)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y、410w)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
メインタンク410から、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッドとが連通し、吐出ヘッドから記録媒体へインクを吐出可能となる。また、装置本体には乾燥機構501(印字前の記録媒体を温めるプレヒーター、印字後の記録媒体を乾燥させるドラムヒーター及びドライヤー)を有している。
本発明においてはユーザーの使用条件によってインクの吐出順序を変えることができる。例えば、色紙に対しては最初に白色インクを印字して下地を作成し、その上に他色インクを印字することも可能である。
<循環型吐出ヘッドを有するインク吐出装置、インク吐出方法>
以下に循環型吐出ヘッドの一例について図3ないし図8を参照して説明する。図3は同インク吐出ヘッドの外観斜視説明図、図4は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図、図5は同ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の断面説明図、図6は同ヘッドのノズル板の平面説明図、図7は同ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図、図8は同ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。
このインク吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3を変位させる圧電アクチュエータ11と、共通液室部材20と、カバー29を備えている。
ノズル板1は、インクを吐出する複数のノズル4を有している。
流路板2は、ノズル4に通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7に通じる液導入部8を形成している。また、流路板2は、ノズル板1側から複数枚の板状部材41〜45を積層接合して形成され、これらの板状部材41〜45と振動板部材3を積層接合して流路部材40が構成されている。
振動板部材3は、液導入部8と共通液室部材20で形成される共通液室10とを通じる開口としてのフィルタ部9を有している。
前記流入流路は、個別液室6に接続された流路であって個別液室流入「前」の流路であればよく、前記液導入部8や共通液室10が流入流路に該当する。
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する壁面部材である。この振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
ここで、ノズル板1には、図6にも示すように、複数のノズル4が千鳥状に配置されている。
流路板2を構成する板状部材41には、図7(a)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部(溝形状の貫通穴の意味)6aと、流体抵抗部51、循環流路52を構成する貫通溝部51a、52aが形成されている。
同じく板状部材42には、図7(b)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6bと、循環流路52を構成する貫通溝部52bが形成されている。
同じく板状部材43には、図7(c)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6cと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53aが形成されている。
同じく板状部材44には、図7(d)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6dと、流体抵抗部7なる貫通溝部7aと、液導入部8を構成する貫通溝部8aと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53bが形成されている。
同じく板状部材45には、図7(e)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6eと、液導入部8を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部8b(フィルタ下流側液室となる)と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53cが形成されている。
振動板部材3には、図7(f)に示すように、振動領域30と、フィルタ部9と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53dが形成されている。
このように、流路部材を複数の板状部材を積層接合して構成することで、簡単な構成で複雑な流路を形成することができる。
以上の構成により、流路板2及び振動板部材3からなる流路部材40には、各個別液室6に通じる流路板2の面方向に沿う流体抵抗部51、循環流路52及び循環流路52に通じる流路部材40の厚み方向の循環流路53が形成される。なお、循環流路53は後述する循環共通液室50に通じている。
前記流出流路は、個別液室6に接続された流路であって個別液室流入「後」の流路であればよく、前記循環流路52、53、循環共通液室50が流出流路に該当する。
一方、共通液室部材20には、供給・循環機構494からインクが供給される共通液室10と循環共通液室50が形成されている。
共通液室部材20を構成する第1共通液室部材21には、図8(a)に示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25aと、下流側共通液室10Aとなる貫通溝部10aと、循環共通液室50となる底の有る溝部50aが形成されている。
同じく第2共通液室部材22には、図8(b)に示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25bと、上流側共通液室10Bとなる溝部10bが形成されている。
また、図3も参照して、第2共通液室部材22には、共通液室10のノズル配列方向の一端部と供給ポート71を通じる供給口部となる貫通穴71aが形成されている。
同様に、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22には、循環共通液室50のノズル配列方向の他端部(貫通穴71aと反対側の端部)と循環ポート81を通じる貫通穴81a、81bが形成されている。
なお、図8において、底の有る溝部については面塗りを施して示している(以下の図でも同じである)。
このように、共通液室部材20は、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22によって構成され、第1共通液室部材21を流路部材40の振動板部材3側に接合し、第1共通液室部材21に第2共通液室部材22を積層して接合している。
ここで、第1共通液室部材21は、液導入部8に通じる共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと、循環流路53に通じる循環共通液室50とを形成している。また、第2共通液室部材22は、共通液室10の残部である上流側共通液室10Bを形成している。
このとき、共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと循環共通液室50とはノズル配列方向と直交する方向に並べて配置されるとともに、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置される。
これにより、循環共通液室50の寸法が流路部材40で形成される個別液室6、流体抵抗部7及び液導入部8を含む流路に必要な寸法による制約を受けることがなくなる。
そして、循環共通液室50と共通液室10の一部が並んで配置され、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置されることで、ノズル配列方向と直交する方向のヘッドの幅を抑制することができ、ヘッドの大型化を抑制できる。共通液室部材20は、ヘッドタンクやインクカートリッジからインクが供給される共通液室10と循環共通液室50を形成する。
一方、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
この圧電アクチュエータ11は、図5に示すように、ベース部材13上に接合した圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の柱状の圧電素子12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
ここでは、圧電部材12の圧電素子12Aは駆動波形を与えて駆動させる圧電素子とし、圧電素子12Bは駆動波形を与えないで単なる支柱として使用しているが、すべての圧電素子12A、12Bを駆動させる圧電素子として使用することもできる。
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。また、圧電素子12Bを振動板部材3の厚肉部である凸部30bに接合している。
この圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
このように構成した循環型吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12Aに与える電圧を基準電位から下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が下降して個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内にインクが流入する。
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内のインクが加圧され、ノズル4からインクが吐出される。
そして、圧電素子12Aに与える電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域30が初期位置に復元し、個別液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から個別液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。また、上述した実施形態では、個別液室6に圧力変動を与える圧力発生手段として積層型圧電素子を用いて説明したが、これに限定されず、薄膜状の圧電素子を用いることも可能である。更に、個別液室6内に発熱抵抗体を配し、発熱抵抗体の発熱によって気泡を生成して圧力変動を与えるものや、静電気力を用いて圧力変動を生じさせるものを使用することができる。
次に、循環型吐出ヘッドを用いたインク循環システムの一例を、図9を用いて説明する。
図9は、インク循環システムを示すブロック図である。
図9に示すように、インク循環システムは、メインタンク、インク吐出ヘッド、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、第一送液ポンプ、第二送液ポンプ、レギュレータ(R)、供給側圧力センサ、循環側圧力センサなどで構成されている。前記真空ポンプが負圧を発生する手段に該当する。供給側圧力センサは、供給タンクとインク吐出ヘッドとの間であって、インク吐出ヘッドの供給ポート71(図3参照)に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、インク吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、インク吐出ヘッドの循環ポート81(図3参照)に繋がった循環流路側に接続されている。
循環タンクの一方は第一送液ポンプを介して供給タンクと接続されており、循環タンクの他方は第二送液ポンプを介してメインタンクと接続されている。これにより、供給タンクから供給ポート71を通ってインク吐出ヘッド内にインクが流入し、循環ポートから排出されて循環タンクへ排出され、更に第一送液ポンプによって循環タンクから供給タンクへインクが送られることによってインクが循環する。
また、供給タンクにはコンプレッサがつなげられていて、供給側圧力センサで所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンクには真空ポンプがつなげられていて、循環側圧力センサで所定の負圧が検知されるよう制御される。これにより、インク吐出ヘッド内を通ってインクを循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
また、循環型吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出すると、供給タンク及び循環タンク内のインク量が減少していくため、適宜メインタンクから第二送液ポンプを用いて、メインタンクから循環タンクにインクを補充することが望ましい。メインタンクから循環タンクへのインク補充のタイミングは、循環タンク内のインクの液面高さが所定高さよりも下がったらインク補充を行うなど、循環タンク内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
次に、循環型吐出ヘッド内におけるインクの循環について説明する。図3に示すように、共通液室部材20の端部に、共通液室に連通する供給ポート71と、循環共通液室50に連通する循環ポート81が形成されている。供給ポート71及び循環ポート81は夫々チューブを介してインクを貯蔵する供給タンク・循環タンク(図9参照)につなげられている。そして、供給タンクに貯留されているインクは、供給ポート71、共通液室10、液導入部8、流体抵抗部7を経て、個別液室6へ供給される。
更に、個別液室6内のインクが圧電部材12の駆動によりノズル4から吐出される一方で、吐出されずに個別液室6内に留まったインクの一部もしくは全ては流体抵抗部51、循環流路52、53、循環共通液室50、循環ポート81を経て、循環タンクへと循環される。
なお、インクの循環は循環型吐出ヘッドの動作時のみならず、動作休止時においても実施することができる。動作休止時に循環することによって、個別液室内のインクは常にリフレッシュされると共に、インクに含まれる成分の凝集や沈降を抑制できるので好ましい。沈降を抑制できることから、長期に装置を停止した場合にも、再開後すぐに吐出安定性に優れた画像を得られる。
次に、循環型吐出ヘッドを用いてインクを吐出する装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。図10は同装置の要部平面説明図、図11は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、インク吐出ヘッド404を搭載したインク吐出ユニット440を搭載している。インク吐出ユニット440のインク吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、及び白色(W)の各色のインクを吐出する。また、インク吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
インク吐出ヘッド404の外部に貯留されているインクをインク吐出ヘッド404に供給するための供給・循環機構494により、インクがインク吐出ヘッド404内に供給・循環される。なお、本例において、供給・循環機構494は、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、送液ポンプ、レギュレータ(R)等で構成される。また、供給側圧力センサは、供給タンクとインク吐出ヘッドとの間であって、インク吐出ヘッドの供給ポート71に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、インク吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、インク吐出ヘッドの循環ポート81に繋がった循環流路側に接続されている。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着してインク吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方にインク吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えばインク吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給・循環機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じてインク吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410にインクを吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、循環型吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、インク吐出ユニットの他の例について図12を参照して説明する。図12は同ユニットの要部平面説明図である。
このインク吐出ユニットは、前記インクを吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、インク吐出ヘッド404で構成されている。
なお、このインク吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給・循環機構494の少なくともいずれかを更に取り付けたインク吐出ユニットを構成することもできる。
本願において、「インク吐出ヘッド」とは、ノズルからインクを吐出・噴射する機能部品である。
インクを吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「インク吐出ユニット」とは、インク吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、インクの吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「インク吐出ユニット」は、供給・循環機構、キャリッジ、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つをインク吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、インク吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、インク吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、インク吐出ユニットとして、インク吐出ヘッドと供給・循環機構が一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、インク吐出ヘッドと供給・循環機構が一体化されているものがある。ここで、これらのインク吐出ユニットの供給・循環機構とインク吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、インク吐出ユニットとして、インク吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、インク吐出ユニットとして、インク吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、インク吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。
また、インク吐出ユニットとして、インク吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、インク吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、インク吐出ユニットとして、供給・循環機構若しくは流路部品が取付けられたインク吐出ヘッドにチューブが接続されて、インク吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、インク貯留源のインクがインク吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
本願において、「インク吐出装置」は、インク吐出ヘッド又はインク吐出ユニットを備え、インク吐出ヘッドを駆動させて、インクを吐出させる装置である。インク吐出装置には、インクが付着可能なものに対してインクを吐出することが可能な装置だけでなく、インクを気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「インク吐出装置」は、インクが付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「インク吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置(記録装置)、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層にインクを吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「インク吐出装置」は、吐出されたインクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
また、「インク吐出装置」は、インク吐出ヘッドとインクが付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、インク吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、インク吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
−加熱乾燥手段、加熱乾燥工程−
本発明のインク吐出装置では、必要に応じて、加熱乾燥手段を有していても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができるが、インク吐出工程後に、加熱乾燥工程を設けることが好ましい。例えば、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、ロールヒーター、ドラムヒーター、温風などによりインクを付与した記録媒体を乾燥することができる。白色インクおよび非白色インクを乾燥させる乾燥工程は、加熱温度は90℃以上200℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がより好ましい。乾燥時間は、10秒以上60秒以下が好ましい。
また、画像表面を平滑化したり画像を定着する定着手段を有していても良く、加熱手段により100℃〜150℃に加熱し、熱定着させる定着工程を設けても良い。定着工程を設けることにより、画像記録物の光沢性及び定着性が向上する。熱定着手段としては、加熱された鏡面を持つローラやドラムヒーター等が好ましく、画像表面にロールヒーター、ドラムヒーターの鏡面部(平滑部)を接触させればよい。加熱温度は、画像品質、安全性及び経済性を考えると、100〜150℃に加熱された定着ローラが好ましい。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断りの無い限り、「質量部」及び「質量%」である。
<中空粒子の製造>
(1)種粒子エマルジョンの合成
攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、脱イオン水(726.0部)、メチルメタクリレート(5.0部)、メタクリル酸(0.1部)を仕込み攪拌しながら加温した。そして、セパラブルフラスコ内の内温が70℃になったところで、10%過硫酸アンモニウム水溶液(1.0部)を添加し、20分間80℃で加温した。一方、メチルメタクリレート(141.0部)、メタクリル酸(94.9部)、アニオン性乳化剤として、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(5.0部:第一工業製薬社製 ネオゲンSF−20)、脱イオン水(120.0部)をホモディスパーで乳化させ、プレエマルジョンとした後、滴下ロートに投入した。
次にセパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、上記で得たプレエマルジョンを3時間かけて均一に滴下し、これと同時に10%過硫酸アンモニウム水溶液(10.0部)を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で3時間熟成し、冷却後120メッシュのろ布を用いて濾過し、種粒子エマルジョンを得た。
(2)中空粒子の合成
(1段目重合)
攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、脱イオン水(188.2部)を仕込み、上記で得た種粒子エマルジョン(66.0部)を滴下し、攪拌しながら80℃に加温した。一方、ブチルアクリレート(2.4部)、ブチルメタクリレート(1.1部)、メチルメタクリレート(19.5部)、メタクリル酸(0.7部)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(5.0部:第一工業製薬社製 ネオゲンSF−20)、脱イオン水(55.3部)をホモディスパーで乳化させ、プレエマルジョン1とした後、滴下ロートに投入した。そして、セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、上記で得たプレエマルジョン1を30分かけて均一に滴下し、これと同時に10%過硫酸ナトリウム水溶液(1.2部)を30分かけて均一に滴下した。
(2段目重合)
スチレン(75.0部)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(5.0部:第一工業製薬社製 ネオゲンSF−20)、脱イオン水(51.8部)をホモディスパーで乳化させ、プレエマルジョン2とした後、滴下ロートに投入した。そして、セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、プレエマルジョン1の滴下が終了してから1時間後に、上記で得たプレエマルジョン2を60分かけて均一に滴下し、これと同時に10%過硫酸ナトリウム水溶液(3.5部)を60分かけて均一に滴下した。プレエマルジョン2の滴下終了後、種粒子を膨潤、溶解させるために、28%のアンモニア水(7.5部)を滴下し、80℃で1時間熟成した。冷却後120メッシュのろ布を用いて濾過し、中空粒子Bを得た。
なお、上記2段目重合におけるスチレンを39.0部として同様の製造方法で合成したものを中空粒子C、上記2段目重合におけるスチレンを22.3部として同様の製造方法で合成したものを中空粒子Dとした。
また、中空粒子の1600cm-1の吸収帯の最大値Xと、1730cm-1の吸収帯の最大値Yは、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 顕微FT−IR測定装置(iN10MX/iZ10)及び解析ソフト(OMNIC)を用いて、反射法(ATR法)によって測定を行った。前記最大値X及び最大値Yは、吸光度の値である。
<非白色インクの顔料分散体に用いる分散剤(共重合体R−1)の合成>
[モノマーの合成]
62.0g(525mmol)の1,6−ヘキサンジオール(東京化成社製)を700mLの塩化メチレン中に溶解させた後、20.7g(262mmol)のピリジンを加えた。次に、50.0g(262mmol)の2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成社製)を100mLの塩化メチレンに溶解させた溶液を、攪拌しながら2時間で滴下した後、室温で6時間攪拌した。さらに、水洗した後、有機相を単離した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。さらに、溶離液として、塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、52.5gの2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシヘキシルエステルを得た。
42.1g(155mmol)の2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシヘキシルエステルを80mLの乾燥メチルエチルケトン中に溶解させた後、60℃まで昇温した。次に、24.0g(155mmol)のカレンズMOI(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)(昭和電工社製)を20mLの乾燥メチルエチルケトン中に溶解させた溶液を、攪拌しながら1時間で滴下した後、70℃で12時間攪拌した。さらに、室温まで冷却した後、溶媒を留去した。次に、溶離液として、塩化メチレン/メタノール(体積比99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、57.0gの下記の化学式(I−1)で表される[モノマーM−1]を得た。
Figure 2019070107
[共重合体R−1の合成]
3.80g(52.7mmol)のアクリル酸(アルドリッチ社製)、及び11.26g(26.3mmol)の[モノマーM−1]を75mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に0.59g(3.61mmol)の2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(東京化成社製)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で4時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出した共重合体をろ別し、減圧乾燥して、14.55gの[共重合体R−1](重量平均分子量(Mw):30,000)を得た。
得られた[共重合体R−1]を5.00g(カルボキシル基量17.5mmol)秤取して、35質量%濃度のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(東京化成社製)7.36g(テトラエチルアンモニウムイオン含有量17.5mmol)とイオン交換水37.64gを加えて、混合・撹拌し、[共重合体R−1]の10質量%水溶液を調製した。
<顔料分散体の調製>
(調製例1)
[ブラック顔料分散体の調製]
40.0部の共重合体R−1の10質量%水溶液に、16.0部のカーボンブラック(NIPEX160、degussa社製及び44.0部のイオン交換水を加えて12時間攪拌した。次に、ディスクタイプのビーズミルKDL型(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散させた。このとき、メディアとして、直径が0.3mmのジルコニアボールを使用した。さらに、孔径が1.2μmのメンブレンフィルターでろ過した後、顔料の濃度が16質量%になるようにイオン交換水を加えて、ブラック顔料分散体を得た。
(調製例2)
[シアン顔料分散体の調製]
カーボンブラックの代わりにピグメントブルー15:3(大日精化社製、クロモファインブルー)を用いた以外は、ブラック顔料分散体と同様にして、顔料の濃度が16質量%のシアン顔料分散体を得た。
(調製例3)
[マゼンタ顔料分散体の調製]
カーボンブラックの代わりにピグメントレッド122(クラリアント社製、トナーマゼンタEO02)を用いた以外は、ブラック顔料分散体と同様にして、顔料の濃度が16質量%のマゼンタ顔料分散体を得た。
(調製例4)
[イエロー顔料分散体の調製]
カーボンブラックの代わりにピグメントイエロー74(大日精化社製、ファーストイエロー531)を用いた以外は、ブラック顔料分散体と同様にして、顔料の濃度が16質量%のイエロー顔料分散体を得た。
実施例1〜25、比較例1〜6
<白色インク、非白色インクの調整>
まず、表1及び2に示す有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、抗菌剤、水を1時間攪拌して均一に混合した。次に、樹脂、ワックスを加えて更に1時間攪拌して均一に混合した、その後、中空粒子または顔料分散体を加えて更に1時間攪拌して均一に混合した。この混合物を平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルター(白色インク)、または平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルター(非白色インク)により加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去して白色インクW−01〜W−14、及び非白色インクC−01〜C−11、K−01、M−01、Y−01、Clear−01を得た。
なお、白色インクの乾燥膜における1600±10cm-1の吸収帯の最大値Xと、1730±10cm-1の吸収帯の最大値Yは、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 顕微FT−IR測定装置(iN10MX/iZ10)及び解析ソフト(OMNIC)を用いて、反射法(ATR法)で測定を行った。前記最大値X及び最大値Yは、吸光度の値である。白色インクでの値は中空粒子の値と一致した。
Figure 2019070107
Figure 2019070107
表1及び表2に示す中空粒子、有機溶剤、樹脂粒子、滑剤、界面活性剤、消泡剤、抗菌剤、pH調整剤、及び評価方法は、以下のとおりである。
(中空粒子)
中空粒子A(ダウケミカル社製 ROPAQUE ULTRA E:Y/X=1.5、
平均粒子径=400nm)
中空粒子B(※上記合成法にて得た:Y/X=3.0、平均粒子径=600nm)
中空粒子C(※上記合成法にて得た:Y/X=4.5、平均粒子径=600nm)
中空粒子D(※上記合成法にて得た:Y/X=6.0、平均粒子径=400nm)
中空粒子E(JSR社製 SX868:Y/X=9.3、平均粒子径=600nm)
(有機溶剤)
有機溶剤A(阪本薬品社製 グリセリン:SP値=17.4(cal/cm30.5
有機溶剤B(東京化成工業社製 1,2−プロパンジオール:
SP値=14.3(cal/cm30.5
有機溶剤C(東京化成工業社製 1,2−ブタンジオール:
SP値=13.1(cal/cm30.5
有機溶剤D(東京化成工業社製 3−メチル−1,3−ブタンジオール:
SP値=12.1(cal/cm30.5
有機溶剤E(東京化成工業社製 3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン:
SP値=11.0(cal/cm30.5
有機溶剤F(東京化成工業社製 2−エチル−1,3−ヘキサンジ オール:
SP値=10.9(cal/cm30.5
有機溶剤G(出光興産社製 3−メトキシ−N,N−ジメチルプロポキシアミド:
SP値=9.2(cal/cm30.5
(樹脂粒子)
樹脂粒子A(第一工業製薬社製 スーパーフレックス 420:
SP値=11.6(cal/cm30.5
樹脂粒子B(トーヨーケム社製 RKP−02:
SP値=10.0(cal/cm30.5
樹脂粒子C(信越シリコーン社製 KP−543:
SP値=7.5(cal/cm30.5
(滑剤)
ポリエチレンワックス(BYK社製 AQUACER−539)
カルナバワックス(中京油脂社製 セロゾール 524)
ポリジメチルシロキサン化合物(BYK社製 BYK333)
(界面活性剤)
信越シリコーン社製 KF−640
(消泡剤)
信越シリコーン社製 KM−72F
(抗菌剤)
アビシア社製 LV(S)
(pH調整剤)
東京化成工業社製 2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール
<白色インクのY/Xの測定>
上記で得た白色インクを、内径33mmのフラットシャーレに2g量り入れ、90℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)にて60秒間乾燥させた後、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 顕微FT−IR測定装置(iN10MX/iZ10)及び解析ソフト(OMNIC)を用いて、1600±10cm-1の吸収帯の最大値Xと、1730±10cm-1の吸収帯の最大値Yの測定を行った。前記最大値の比(Y/X)も求めた。
<白色インクの沈降性の測定>
白色インク中の中空粒子の沈降性は、沈降性測定装置(英弘精機社製 タービスキャンクラシック MA2000)を用いて、以下の通り測定した。
白色インクを、超音波洗浄器(アズワン社製 US−3)を用いて超音波処理(100W 40分間)し、均一状態にしてから、ピペットを用いて装置専用のガラス管(アズワン社製 ねじ口試験管)に各インクを5.5ml入れた。
ガラス管内の前記インクの液面が安定した30分後に測定を行い、この時間を沈降性評価開始とした。その後、25℃で静置し、168時間後まで測定を行い、沈降性評価開始を基準とした偏差表示にて、中空粒子の沈降性を確認した。前記沈降性の確認は、中空粒子の沈降に伴う後方散乱光強度ピークの積算(サンプル管下方20mmから液面)での25℃で静置168時間後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)で行った。なお、沈降性は−2.0%以上が実使用可能レベルである。
<白ベタ部の明度(乾燥後)の測定>
また、白ベタ部の乾燥後の明度として、液体吐出用装置(リコー社製 IPSiO GXe5500)を用いて、表1に示す白色インクを、記録媒体(王子エフテックス社製 ルミナカラーブラック 128gsm)へ、印字解像度:1200dpi×1200dpi、インク付着量:2mg/cm2で吐出させた後、90℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)にて60秒間乾燥させたものを印字サンプルとして明度を測定した。なお、印字チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。印字サンプルの明度を分光測色計(X−Rire社製 939)で測定した。
<白インクの保存安定性の測定>
以下条件での保存前後の白インクの粘度を、粘度計(東機産業社製 RE-85L)にて測定し、粘度の変化率を算出した。粘度の変化率が初期粘度±5.0%以内が実使用可能レベルである。
保存条件:70℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)に14日静置
測定温度:25℃
<非白色インクの表面張力測定方法>
表2に示す非白色インクについて、動的表面張力計DynoTester(SITA Messtechnik社製)を用いて25℃における、バブルライフタイムが15ms時の表面張力、及びバブルライフタイムが1500ms時における表面張力を測定した。
また、バブルライフタイム15msの表面張力の値の1500msの表面張力の値に対する比を求めた。表2では(15ms表面張力/1500ms表面張力)と記す。
<非白色インクの吐出安定性の測定>
表2に示す非白色インクを用いて、液体吐出用装置(リコー社製 IPSiO GXe5500)により、10cm四方のベタ画像を印字解像度:1200dpi×1200dpi、インク付着量:1mg/cm2で100枚吐出させた後のノズル抜け数を目視にて測定した。なお、ノズル抜け数が1チャンネル以下であれば実使用可能レベルである。
<有機溶剤の混合SP値の測定>
インク中に含有する有機溶剤の混合SP値は下記式より算出した。インク中の有機溶剤の体積の合計を1とし、各溶剤の体積分率及びSP値を求め算出した。
インク中の有機溶剤の混合SP値(cal/cm30.5
=[有機溶剤AのSP値×有機溶剤Aの体積分率]+・・・
[有機溶剤ZのSP値×有機溶剤Zの体積分率]
また、本発明における有機溶剤は、機能上、浸透剤や抑泡剤などとして分類されるものも含むとするが、本発明ではインク全体に対して3質量%以上含有されているもののみ上記混合SP値の計算で考慮した。
<樹脂の混合SP値の測定>
インク中に含有する樹脂の混合SP値は下記式より算出した。インク中の樹脂の体積の合計を1とし、各樹脂の体積分率及びSP値を求め算出した。
インク中の樹脂の混合SP値(cal/cm30.5
=[樹脂AのSP値×樹脂Aの体積分率]+・・・
+[樹脂ZのSP値×樹脂Zの体積分率]
また、本発明における樹脂はインク全体に対して1質量%以上含有されているもののみ上記混合SP値の計算で考慮した。
上記白色インク及び非白色インクを表3に示す組み合わせで用いて、以下の評価を行った。
結果を表3に示す。
<印字方法>
実施例1〜17、19〜25、及び比較例1〜6においては、まず、循環型吐出ヘッドを有さない液体吐出用装置(リコー社製 IPSiO GXe5500)を用いて、表3に示す白色インクを、記録媒体(王子エフテックス社製 ルミナカラーブラック 128gsm)へ、印字解像度:1200dpi×1200dpi、インク付着量:2mg/cm2で吐出させた後、90℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)にて60秒乾燥させたものを印字サンプルとした。なお、印字チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。
その後、液体吐出用装置(リコー社製 IPSiO GXe5500)を用いて、表3に示す非白色インクを、上記ドットパターンで形成された白色インクのベタ画像上へ、印字解像度:1200dpi×1200dpi、インク付着量:1mg/cm2で吐出させた後、90℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)にて60秒乾燥させたものを印字サンプルとした。なお、印字チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。
表3に記載の「循環型吐出ヘッド搭載の有無」の欄に「有」と記載した実施例18においては、白色インクおよび非白色インクの吐出を、図9に示す循環型吐出ヘッドを搭載した液滴吐出用装置を用いた以外は同様に印字した。
<白色インク部上の非白色インクの色味の測定>
以下の手順で、白色インクを印刷した上に印字した非白色インクの色味を測定した。
白色インクを印刷した上に印字した非白色インク画像のL*a*b*を分光測色計(X-Rite社製 939)で測定し、(L*2+a*2+b*20.5の式により値を算出した。なお、算出した値がブラックインクであれば0以上、シアンインクであれば50以上、マゼンタインクであれば70以上、イエローインクであれば100以上、グリーンインク(シアンインクとイエローインクの組み合わせ)であれば80以上であれば実使用可能レベルである。
L*は明度、a*は赤味と緑味の色味を示し、b*は黄味と青味の色味を示す。
<白色インク上に非白色インクを滴下した際の非白色インクの接触角、及び非白色インクのドットの直径の測定>
前記<印字方法>に記載した方法により、白色インクを用いて形成した3cm四方のベタ画像上に非白色インクを1μL滴下し、ポータブル接触角計(KYOWA社製 PCA−11)を用いて、その接触角を測定した。測定は、25℃で行った。
更に、上記サンプルを90℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)にて60秒乾燥させた後、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製 デジタルマイクロスコープ)を用いて、滴下した非白色インクのドットの直径を測定した。なお、ドットの直径が2,800μm以上3,150μm以下の範囲内が良好である。
<定着性の測定>
前記<印字方法>に記載した方法により、白色インク画像上に非白色インクを印字したサンプルを、綿布(SDL ATLAS社製 TexTile Innovators)を取り付けた荷重9Nであるクロックメーター(大栄科学精機製作所社製 クロックメーター)で5往復擦過させ、綿布に転写したインクの濃度を分光測色計(X-Rite社製 939)で測定した。なお、測定したインク濃度が0.10以下であれば定着性が実使用可能レベルである。
Figure 2019070107
<吐出信頼性>
前記印字方法において、循環型吐出ヘッドを有さない液体吐出用装置(リコー社製 IPSiO GXe5500)を用いた実施例3の白色インクW−01と、液体吐出用装置(リコー社製 IPSiO GXe5500改造機)に、図9に示す、循環型吐出ヘッドを搭載した液体吐出用装置を用いた実施例18の白色インクW−01の吐出信頼性を評価した。
液体吐出用装置(リコー社製 IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)に、図9に示す、循環手段を搭載した液体吐出用装置を用いた実施例18では、インクW−01を充填し、30分間循環を休止した状態で放置した後、インクを循環させながら前記インクを吐出させない強さで前記インクに刺激を与える工程を設けた後、インクを循環させながら、印刷を行った。
記録媒体(王子エフテックス社製 ルミナカラーブラック 128gsm)上にノズルチェックパターンを印刷して、全ノズル数384に対してインクが吐出された吐出ノズル数を確認し、以下の基準で評価した。
前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
評価結果を表4に示す。
−評価基準−
A:吐出ノズル数が384
B:吐出ノズル数が368以上384未満
C:吐出ノズル数が192以上368未満
D:吐出ノズル数が192未満
Figure 2019070107
(図1〜図2について)
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y、410w ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
501 乾燥機構
(図3〜図8について)
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 個別液室
6a、6b、6c、6d、6e 個別液室を構成する貫通溝部
7 流体抵抗部
7a 流体抵抗部なる貫通溝部
8 液導入部
8a、8b 液導入部を構成する貫通溝部
9 フィルタ部
10 共通液室
10A 下流側共通液室
10a 貫通溝部
10B 上流側共通液室
10b 溝部
11 圧電アクチュエータ
12 圧電部材
12A、12B 圧電素子
13 ベース部材
15 フレキシブル配線部材
20 共通液室部材
21 第1共通液室部材
22 第2共通液室部材
25a、25b 圧電アクチュエータ用貫通穴
29 カバー
30 振動領域
30a、30b 凸部
40 流路部材
41〜45 板状部材
50 循環共通液室
50a 溝部
51 流体抵抗部
51a 流体抵抗部を構成する貫通溝部
52、53 循環流路
52a、52b 循環流路を構成する貫通溝部
53a、53b、53c、53d 循環流路を構成する貫通溝部
71 供給ポート
71a 貫通穴
81 循環ポート
81a、81b 貫通穴
(図10〜図12について)
401 ガイド部材
403 キャリッジ
404 インク吐出ヘッド
405 主走査モータ
406 駆動プーリ
407 従動プーリ
408 タイミングベルト
410 用紙
412 搬送ベルト
413 搬送ローラ
414 テンションローラ
416 副走査モータ
417 タイミングベルト
418 タイミングプーリ
420 維持回復機構
421 キャップ部材
422 ワイパ部材
440 インク吐出ユニット
491A、491B 側板
491C 背板
493 主走査移動機構
494 供給・循環機構
495 搬送機構
特許第5943103号公報 特開2012−025885号公報

Claims (15)

  1. 白色インクと、非白色インクとを有するインクセットであって、
    前記白色インクは、中空粒子を5.0質量%以上25.0質量%以下含有し、乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下であり、
    前記非白色インクは、バブルライフタイム1500msにおける表面張力が20.0mN/m以上30.0mN/m以下であるインクセット。
  2. 前記白色インクの後方散乱光強度ピークの積算での下記条件で保存前後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)が−2.0%以上である請求項1に記載のインクセット。
    《評価条件》
    測定装置:タービスキャン クラシック MA2000(英弘精機社製)
    保存温度:25℃
    保存時間:168時間
  3. 前記白色インクは、更にポリエチレンワックス、カルナバワックス、またはポリジメチルシロキサン化合物を含有する請求項1または2に記載のインクセット。
  4. 前記白色インクの乾燥膜に対する非白色インクの液滴法における接触角が15.0°以上30.0°以下である請求項1〜3のいずれかに記載のインクセット。
  5. 前記非白色インクのバブルライフタイム15msの表面張力の値Aの1500msの表面張力の値Bに対する比(A/B)が1.20以上1.50以下である請求項1〜4のいずれかに記載のインクセット。
  6. 前記非白色インクは有機溶剤を含有し、前記有機溶剤の混合SP値が11.5[cal/cm30.5以上15.5[cal/cm30.5以下である請求項1〜5のいずれかに記載のインクセット。
  7. 前記非白色インクは樹脂を含有し、前記樹脂の混合SP値が7.5[cal/cm30.5以上10.0[cal/cm30.5以下である請求項1〜6のいずれかに記載のインクセット。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクセットに用いる白色インクであって、
    該白色インクは中空粒子を5.0質量%以上25.0質量%以下含有し、乾燥膜のIRスペクトルにおいて、1600±10cm-1の吸収帯における最大値Xに対する、1730±10cm-1の吸収帯における最大値Yの比(Y/X)が3.0以上6.0以下である白色インク。
  9. 前記白色インクの後方散乱光強度ピークの積算での下記条件で保存前後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)が−2.0%以上である請求項8に記載の白色インク。
    《評価条件》
    測定装置:タービスキャン クラシック MA2000(英弘精機社製)
    保存温度:25℃
    保存時間:168時間
  10. 前記白色インクは、更にポリエチレンワックス、カルナバワックス、またはポリジメチルシロキサン化合物を含有する請求項8または9に記載の白色インク。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクセットを用いた記録方法であって、記録媒体に、前記インクセットの白色インクを付与する工程、及び前記インクセットの非白色インクを付与する工程を有する記録方法。
  12. 前記白色インクを付与する工程の後に、前記非白色インクを付与する工程を有する請求項11に記載の記録方法。
  13. 前記白色インクを付与する工程の後に、付与した白色インクを乾燥させる工程を有する請求項11または12に記載の記録方法。
  14. インクと、インク吐出ヘッドとを有し、
    前記インク吐出ヘッドが、前記インクを吐出するノズルを有し、
    前記インクが、請求項1〜7のいずれかに記載のインクセットの非白色インク、白色インクであるインク吐出装置。
  15. 前記インク吐出ヘッドが、更に、前記ノズルに連通する複数の個別液室、前記インクを個別液室に流入させる流入流路、及び該インクを該個別液室から流出させる流出流路を有するインク吐出ヘッドであり、
    前記インク吐出装置は、該流出流路から流出する該インクを、該流入流路に流入させて循環させる循環流路を有し、
    前記インクを該個別液室から流出させる負圧を発生する負圧発生手段を有する請求項14に記載のインク吐出装置。
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