JP2020084102A - 液体組成物、インク、インクセット、印刷方法、印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビーディング性と保存安定性を両立することができる液体組成物を提供することを目的とする。【解決手段】色材、高分子化合物、水を含有する液体組成物において、前記色材がピグメントオレンジ43、ピグメントグリーン36、ピグメントバイオレット23のいずれかであり、前記液体組成物を色材濃度が0.01質量%になるようにイオン交換水で希釈した液体を70℃で72時間保存して得られたサンプルのpHを調整し、pHが5の時のゼータ電位が−30.0mV以上であり、pHが9の時のゼータ電位が−45.0mV以下である液体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、液体組成物、インク、インクセット、印刷方法、および印刷装置に関する。
近年、印刷された記録媒体(以下、記録物とも称する)の用途の多様化が進んでおり、例えば、オフィス用、商用など、幅広い用途で記録物が用いられている。そして、用途の多様化に伴い、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックなどの従来の4色の色材だけでは、目標とする色域が不足することがあり、これらの4色に加え、オレンジ、グリーン、バイオレットなどの色調を有するインクを用いることにより、色域を拡大させ、広範囲の色域を得ることが検討されている。
例えば、特許文献1には、特定の顔料を含む、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物、グリーンインク組成物、およびオレンジインク組成物を含んでなるインクジェット記録用インクセットが開示されている。
また、顔料粒子の分散安定性の指標として、ゼータ電位が用いられている。
特許文献2には、カチオン性基とアニオン性基の両方を有する水不溶性微粒子は、pH=8の時のゼータ電位が−90〜0mVで、pH=4の時のゼータ電位が0〜90mVであるインク組成物の記載がある。
特許文献3には、自己分散顔料のゼータ電位が−10〜−35mVであり、自己分散顔料の中和滴定量が0.1〜0.6mmol/gであるインクの記載がある。
特許文献4には、親水性樹脂に封入された疎水性染料、水性有機物、水を含有するインクにおいて、ゼータ電位の絶対値が30mV以上であるインクの記載がある。
特許文献5には、少なくとも2種の色材を含む水不溶性色材の微粒子と、特定の繰り返し単位を有する高分子化合物とを含有する水不溶性色材分散体の記載があり、実施例で作製したインクのゼータ電位のpH依存性が示されている。
補色インクとして新たにオレンジインク、グリーンインク、バイオレットインクを追加することで、従来までの4色(CMYKインク)だけでは達成できなかった広範囲の色域が得られる。しかし、これらの補色インクは、保存安定性やビーディング性の悪化という課題が発生した。
本発明は、ビーディング性と保存安定性を両立することができる液体組成物を提供することを目的とする。
本発明の液体組成物は、以下の通りである。
(1)色材、高分子化合物、水を含有する液体組成物において、
前記色材がピグメントオレンジ43、ピグメントグリーン36、ピグメントバイオレット23のいずれかであり、
前記液体組成物を色材濃度が0.01質量%になるようにイオン交換水で希釈した液体を70℃で72時間保存して得られたサンプルのpHを調整し、pHが5の時のゼータ電位が−30.0mV以上であり、pHが9の時のゼータ電位が−45.0mV以下である
液体組成物。
本発明により、ビーディング性と保存安定性を両立することができる液体組成物を提供することができる。
本発明のインクを用いるインク吐出装置の一例を示す図である。 本発明のインクセットのインクを収容するメインタンクの斜視図である。 本発明の実施形態に係るインク吐出ヘッドの外観斜視説明図である。 同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。 同ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の一部断面説明図である。 同ヘッドのノズル板の平面説明図である。 同ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 同ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。 本発明に係るインク循環システムの一例を示すブロック図である。 本発明に係るインク吐出装置の一例の要部平面説明図である。 同装置の要部側面説明図である。 実施例において印刷した画像サンプルのモデル図である。
以下、上記本発明(1)について詳しく説明する。なお、本発明(1)の実施の形態には、次の(2)〜(12)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
(2)水酸化ナトリウムまたはトリエタノールアミンのいずれかを含有する前記(1)に記載の液体組成物。
(3)前記色材がピグメントオレンジ43であり、前記ピグメントオレンジ43の濃度が1.0質量%以上5.0質量%以下である前記(1)または(2)に記載の液体組成物。
(4)前記色材がピグメントグリーン36であり、前記ピグメントグリーン36の濃度が3.0質量%以上5.0質量%以下である前記(1)または(2)に記載の液体組成物。
(5)前記色材がピグメントバイオレット23であり、前記ピグメントバイオレット23の濃度が0.5質量%以上3.0質量%以下である前記(1)または(2)に記載の液体組成物。
(6)前記高分子化合物がスチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂の両方またはいずれか一方を含有する前記(1)〜(5)の何れかに記載の液体組成物。
(7)前記高分子化合物が複数の樹脂を含み、該複数の樹脂はスチレン−アクリル樹脂、およびウレタン樹脂を含む前記(1)〜(6)の何れかに記載の液体組成物。
(8)前記(1)〜(7)の何れかに記載の液体組成物を含有するインク。
(9)前記(8)に記載のインクと、ブラックインクと、シアンインクと、マゼンタインクと、イエローインクとを含むインクセット。
(10)インク中の色材を凝集させる成分を含む処理液を付与する工程と、インクを付与する工程とを有する印刷方法において、該インクとして、前記(8)に記載のインク、または前記(9)に記載のインクセットを用いる印刷方法。
(11)色材を含まず、樹脂を含むクリアインクを付与する工程を含む前記(10)に記載の印刷方法。
(12)インクを吐出する液体吐出ヘッドと、インクとを有する印刷装置において、該インクは前記(8)に記載のインク、または前記(9)に記載のインクセットを構成するインクであり、前記液体吐出ヘッドは液体を吐出する複数のノズルと、前記ノズルに通じる個別液室と、前記個別液室に液体を供給する共通液室と、前記個別液室に通じる循環流路と、前記循環流路に通じる循環共通液室と、前記個別液室の液体に圧力を付与する圧力発生手段と、を備える液体吐出ヘッドである印刷装置。
本発明の液体組成物は、色材、高分子化合物、水を含有し、前記色材がピグメントオレンジ43、ピグメントグリーン36、ピグメントバイオレット23のいずれかであり、前記液体組成物を色材濃度が0.01質量%になるようにイオン交換水で希釈した液体を70℃で72時間保存して得られたサンプルのpHを調整し、pHが5の時のゼータ電位が−30.0mV以上であり、pHが9の時のゼータ電位が−45.0mV以下である。
本発明では液体組成物の分散安定性の指標としてゼータ電位を規定している。
ゼータ電位とは粒子の分散安定性の指標の1つとして知られており、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位をゼロと定義した場合、ゼータ電位はこのゼロ点を基準として測った場合の滑り面の電位と定義される。微粒子の場合、ゼータ電位の絶対値が増加すれば粒子間の反発力が強くなり粒子の安定性は高まる。一方、ゼータ電位がゼロ近くになると粒子は凝集しやすくなる。
本発明では液体組成物中の色材濃度が0.01質量%になるようにイオン交換水で希釈した液体を70℃で72時間保存して得られたサンプルのpHを調整し、pHが5の時のゼータ電位が−30.0mV以上である。また、pHが9の時のゼータ電位が−45.0mV以下であり、粒子間の反発力が強くなり粒子の安定性が高まることから、保存安定性に優れた液体組成物を得ることができる。前記ゼータ電位は、測定温度25℃で測定した。
前記サンプルのpHの調整は、酸やアルカリの水溶液、例えば、塩酸水、水酸化ナトリウム水溶液を添加することで調整できる。
液体組成物のpHは、弱アルカリ(pH7を超えて、pH12以下)であることが好ましく、前記pHが5の時のゼータ電位が−30.0mV以上であると、液体組成物よりもpHが低い前処理液などと組み合わせることで液体組成物のpHが低くなった際に分散性が不安定となり、色材が凝集することでビーディング性が向上する。pHが9の時のゼータ電位が−45.0mV以下であると、液体組成物の保存安定性が良くなる。
<液体組成物>
本発明の液体組成物は、色材、高分子化合物、水を含有するが、更に、有機溶剤、滑剤、添加剤等を含有することができる。
以下、液体組成物に用いる色材、高分子化合物、水、有機溶剤、滑剤、および添加剤等について説明する。
<色材>
色材としてはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの混色では鮮明な色域を出せないオレンジ領域、グリーン領域、バイオレット領域に対して、ピグメントオレンジ43(構造式1)、ピグメントグリーン36(構造式2)、ピグメントバイオレット23(構造式3)を使用する必要がある。色相角の観点から、上記の色材が優れている。
色材としてピグメントオレンジ43を含むオレンジ液体組成物をオレンジインク、ピグメントグリーン36を含むグリーン液体組成物をグリーンインク、ピグメントバイオレット23を含むバイオレット液体組成物をバイオレットインクとして、少なくともこれらの1つのインクを、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクと共にインクセットとして用いることにより、色域を拡大させ、広範囲の色域を得ることができる。
Figure 2020084102
本発明の液体組成物は、インクとして用い、このインクと、ブラックインクと、シアンインクと、マゼンタインクと、イエローインクとを含むインクセットとすることができる。インクセットを製造する際、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクに含まれる色材としては、以下の色材を用いることができる。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
液体組成物中の色材の含有量は、色域の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、ピグメントオレンジ43では1.0質量%以上5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下である。ピグメントグリーン36では3.0質量%以上5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは3.0質量%以上4.0質量%以下である。ピグメントバイオレット23では0.5質量%以上3.0質量%以下が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上2.0質量%以下である。
顔料を分散して液体組成物を得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、液体組成物に配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料が液体組成物中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
顔料分散体として、高分子型の分散剤を用いて分散された分散体が特に好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合して液体組成物を得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合して液体組成物を製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記顔料分散体には、顔料分散体の分散安定性、及び液体組成物の保存安定性を目的に中和剤を添加することが好ましい。中和剤とは、酸性またはアルカリ性に偏った物質を中和するための薬剤である。中和反応を起こすための化合物であり、顔料の分散安定性及び液体組成物の保存安定性の観点から、水酸化ナトリウムまたはトリエタノールアミンを用いることが好ましい。
水酸化ナトリウムを用いる場合は、顔料分散体中に0.1〜0.5質量%、トリエタノールアミンを用いる場合は、顔料分散体中に1〜5質量%含有させることが好ましい。
<高分子化合物>
液体組成物中に含有する高分子化合物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられ、その中でも特にスチレン−アクリル系樹脂、ウレタン樹脂の両方またはいずれか一方を含有することが好ましく、高分子化合物として複数の樹脂を含み、該複数の樹脂はスチレン−アクリル樹脂、およびウレタン樹脂を含むことがより好ましい。
スチレン−アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を複数含有させることで着色剤の凝集性と定着性を両立させることができる。両者の好ましい含有量としては、着色剤1に対して樹脂濃度が1以上15以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。また、両者の好ましい比率としては、スチレン−アクリル樹脂が1に対してウレタン樹脂が0.2以上1以下とすることが好ましく、スチレン−アクリル樹脂が1に対してウレタン樹脂が0.5以上1以下とすることがより好ましい。ウレタン樹脂の比率がスチレン−アクリル樹脂の比率よりも少ないと、pHが5時のゼータ電位が大きく、pHが9の時のゼータ電位が小さくなるため凝集性及び保存安定性、吐出安定性が優れる。
高分子化合物としては、これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合して液体組成物を得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、液体組成物の保存安定性の点から、液体組成物全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
液体組成物中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<水>
液体組成物における水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液体組成物の乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、液体組成物の浸透性を向上させることができる。
有機溶剤の液体組成物中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液体組成物の乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<滑剤>
本発明で使用される液体組成物中には画像部に滑り性を付与する目的でワックスまたはシロキサン化合物を含有することが好ましい。
前記ワックスの中でも、特に液体組成物を画像部に付与した際の成膜性、滑り性などの観点からポリエチレンワックスもしくはカルナバワックスが好ましい。
前記ワックスの融点は80℃以上140℃以下が好ましく、100℃以上140℃以下がより好ましい。融点を80℃以上とすることによって、室温環境下でもワックスが過剰に溶融または凝固することが少なくなり、液体組成物の保存安定性を維持することが可能となる。一方、融点を140℃以下とすることで、室温環境下でもワックスが十分に溶融し、液体組成物に滑り性を付与することが可能となる。
前記ワックスの粒子径は0.01μm以上であることが好ましく、0.01μm以上0.1μm以下がより好ましい。粒子径を0.01μm以上とすることによって、液体組成物表面にワックス粒子が配向しやすくなり、液体組成物に滑り性を付与することが可能となる。
前記ポリエチレンワックスとしては、例えば、市販品として東邦化学工業社製のハイテックシリーズ、BYK社製のAQUACERシリーズなどが挙げられる。
前記カルナバワックスとしては、例えば、市販品として中京油脂社製のセロゾール 524、トラソル CNなどが挙げられる。
前記ワックスの含有量は、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。
前記シロキサン化合物としては、例えば、市販品としてBYK社製のBYK307、BYK333、BYK378などが挙げられる。
前記シロキサン化合物の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。
<添加剤>
液体組成物には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2020084102
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2020084102
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
n2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCm2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−Cm2m+1でmは4〜6の整数、又はCp2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。 この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
液体組成物中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
液体組成物の物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
液体組成物の25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
液体組成物の表面張力としては、記録媒体上で好適に液体組成物がレベリングされ、液体組成物の乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
液体組成物のpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明の液体組成物は、インクとして用いることができる。
本発明のインクを用いた印刷方法は、インク中の色材を凝集させる成分を含む処理液を付与する工程と、インクを付与する工程とを有することが好ましい。
また、色材を含まず、樹脂を含むクリアインクを付与する工程を含むことより好ましい。
前記インク中の色材を凝集させる成分(以下凝集剤とも称す)を含む処理液は、インクを付与する工程の前に付与することが好ましく、以下前処理液とも称す。
前記色材を含まず、樹脂を含むクリアインクは、インクを付与する工程の後に付与することが好ましく、以下後処理液とも称す。
<前処理液>
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、液体組成物に用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
<後処理液>
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、液体組成物像が形成された領域のみに塗布しても良い。
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
<記録物>
本発明の液体組成物記録物は、記録媒体上に、本発明の液体組成物を用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
以下は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを用いた場合の記録装置、および記録方法について説明するが、これらに代えて、あるいはこれらに加えて本発明のインク(オレンジインク、グリーンインク、バイオレットインク)を用いる。また、前処理液や後処理液を使用しても良い。
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
本発明印刷装置は、インクを吐出する液体吐出ヘッドと、インクとを有する印刷装置において、該インクは本発明のインク、またはインクセットを構成するインクであり、前記液体吐出ヘッドは液体を吐出する複数のノズルと、前記ノズルに通じる個別液室と、前記個別液室に液体を供給する共通液室と、前記個別液室に通じる循環流路と、前記循環流路に通じる循環共通液室と、前記個別液室の液体に圧力を付与する圧力発生手段と、を備える液体吐出ヘッド(循環型吐出ヘッド)である印刷装置であることが好ましい。
<循環型吐出ヘッドを有する印刷装置、印刷方法>
以下に循環型吐出ヘッドの一例について図3ないし図8を参照して説明する。図3は同インク吐出ヘッドの外観斜視説明図、図4は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図、図5は同ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の断面説明図、図6は同ヘッドのノズル板の平面説明図、図7は同ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図、図8は同ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。
このインク吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3を変位させる圧電アクチュエータ11と、共通液室部材20と、カバー29を備えている。
ノズル板1は、インクを吐出する複数のノズル4を有している。
流路板2は、ノズル4に通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7に通じる液導入部8を形成している。また、流路板2は、ノズル板1側から複数枚の板状部材41〜45を積層接合して形成され、これらの板状部材41〜45と振動板部材3を積層接合して流路部材40が構成されている。
振動板部材3は、液導入部8と共通液室部材20で形成される共通液室10とを通じる開口としてのフィルタ部9を有している。
前記流入流路は、個別液室6に接続された流路であって個別液室流入「前」の流路であればよく、前記液導入部8や共通液室10が流入流路に該当する。
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する壁面部材である。この振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
ここで、ノズル板1には、図6にも示すように、複数のノズル4が千鳥状に配置されている。
流路板2を構成する板状部材41には、図7(a)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部(溝形状の貫通穴の意味)6aと、流体抵抗部51、循環流路52を構成する貫通溝部51a、52aが形成されている。
同じく板状部材42には、図7(b)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6bと、循環流路52を構成する貫通溝部52bが形成されている。
同じく板状部材43には、図7(c)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6cと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53aが形成されている。
同じく板状部材44には、図7(d)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6dと、流体抵抗部7なる貫通溝部7aと、液導入部8を構成する貫通溝部8aと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53bが形成されている。
同じく板状部材45には、図7(e)に示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6eと、液導入部8を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部8b(フィルタ下流側液室となる)と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53cが形成されている。
振動板部材3には、図7(f)に示すように、振動領域30と、フィルタ部9と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53dが形成されている。
このように、流路部材を複数の板状部材を積層接合して構成することで、簡単な構成で複雑な流路を形成することができる。
以上の構成により、流路板2及び振動板部材3からなる流路部材40には、各個別液室6に通じる流路板2の面方向に沿う流体抵抗部51、循環流路52及び循環流路52に通じる流路部材40の厚み方向の循環流路53が形成される。なお、循環流路53は後述する循環共通液室50に通じている。
前記流出流路は、個別液室6に接続された流路であって個別液室流入「後」の流路であればよく、前記循環流路52、53、循環共通液室50が流出流路に該当する。
一方、共通液室部材20には、供給・循環機構494からインクが供給される共通液室10と循環共通液室50が形成されている。
共通液室部材20を構成する第1共通液室部材21には、図8(a)に示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25aと、下流側共通液室10Aとなる貫通溝部10aと、循環共通液室50となる底の有る溝部50aが形成されている。
同じく第2共通液室部材22には、図8(b)に示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25bと、上流側共通液室10Bとなる溝部10bが形成されている。
また、図3も参照して、第2共通液室部材22には、共通液室10のノズル配列方向の一端部と供給ポート71を通じる供給口部となる貫通穴71aが形成されている。
同様に、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22には、循環共通液室50のノズル配列方向の他端部(貫通穴71aと反対側の端部)と循環ポート81を通じる貫通穴81a、81bが形成されている。
なお、図8において、底の有る溝部については面塗りを施して示している(以下の図でも同じである)。
このように、共通液室部材20は、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22によって構成され、第1共通液室部材21を流路部材40の振動板部材3側に接合し、第1共通液室部材21に第2共通液室部材22を積層して接合している。
ここで、第1共通液室部材21は、液導入部8に通じる共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと、循環流路53に通じる循環共通液室50とを形成している。また、第2共通液室部材22は、共通液室10の残部である上流側共通液室10Bを形成している。
このとき、共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと循環共通液室50とはノズル配列方向と直交する方向に並べて配置されるとともに、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置される。
これにより、循環共通液室50の寸法が流路部材40で形成される個別液室6、流体抵抗部7及び液導入部8を含む流路に必要な寸法による制約を受けることがなくなる。
そして、循環共通液室50と共通液室10の一部が並んで配置され、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置されることで、ノズル配列方向と直交する方向のヘッドの幅を抑制することができ、ヘッドの大型化を抑制できる。共通液室部材20は、ヘッドタンクやインクカートリッジからインクが供給される共通液室10と循環共通液室50を形成する。
一方、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
この圧電アクチュエータ11は、図5に示すように、ベース部材13上に接合した圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の柱状の圧電素子12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
ここでは、圧電部材12の圧電素子12Aは駆動波形を与えて駆動させる圧電素子とし、圧電素子12Bは駆動波形を与えないで単なる支柱として使用しているが、すべての圧電素子12A、12Bを駆動させる圧電素子として使用することもできる。
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。また、圧電素子12Bを振動板部材3の厚肉部である凸部30bに接合している。
この圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
このように構成した循環型吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12Aに与える電圧を基準電位から下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が下降して個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内にインクが流入する。
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内のインクが加圧され、ノズル4からインクが吐出される。
そして、圧電素子12Aに与える電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域30が初期位置に復元し、個別液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から個別液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。また、上述した実施形態では、個別液室6に圧力変動を与える圧力発生手段として積層型圧電素子を用いて説明したが、これに限定されず、薄膜状の圧電素子を用いることも可能である。更に、個別液室6内に発熱抵抗体を配し、発熱抵抗体の発熱によって気泡を生成して圧力変動を与えるものや、静電気力を用いて圧力変動を生じさせるものを使用することができる。
次に、循環型吐出ヘッドを用いたインク循環システムの一例を、図9を用いて説明する。
図9は、インク循環システムを示すブロック図である。
図9に示すように、インク循環システムは、メインタンク、インク吐出ヘッド、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、第一送液ポンプ、第二送液ポンプ、レギュレータ(R)、供給側圧力センサ、循環側圧力センサなどで構成されている。前記真空ポンプが負圧を発生する手段に該当する。供給側圧力センサは、供給タンクとインク吐出ヘッドとの間であって、インク吐出ヘッドの供給ポート71(図3参照)に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、インク吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、インク吐出ヘッドの循環ポート81(図3参照)に繋がった循環流路側に接続されている。
循環タンクの一方は第一送液ポンプを介して供給タンクと接続されており、循環タンクの他方は第二送液ポンプを介してメインタンクと接続されている。これにより、供給タンクから供給ポート71を通ってインク吐出ヘッド内にインクが流入し、循環ポートから排出されて循環タンクへ排出され、更に第一送液ポンプによって循環タンクから供給タンクへインクが送られることによってインクが循環する。
また、供給タンクにはコンプレッサがつなげられていて、供給側圧力センサで所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンクには真空ポンプがつなげられていて、循環側圧力センサで所定の負圧が検知されるよう制御される。これにより、インク吐出ヘッド内を通ってインクを循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
また、循環型吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出すると、供給タンク及び循環タンク内のインク量が減少していくため、適宜メインタンクから第二送液ポンプを用いて、メインタンクから循環タンクにインクを補充することが望ましい。メインタンクから循環タンクへのインク補充のタイミングは、循環タンク内のインクの液面高さが所定高さよりも下がったらインク補充を行うなど、循環タンク内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
次に、循環型吐出ヘッド内におけるインクの循環について説明する。図3に示すように、共通液室部材20の端部に、共通液室に連通する供給ポート71と、循環共通液室50に連通する循環ポート81が形成されている。供給ポート71及び循環ポート81は夫々チューブを介してインクを貯蔵する供給タンク・循環タンク(図9参照)につなげられている。そして、供給タンクに貯留されているインクは、供給ポート71、共通液室10、液導入部8、流体抵抗部7を経て、個別液室6へ供給される。
更に、個別液室6内のインクが圧電部材12の駆動によりノズル4から吐出される一方で、吐出されずに個別液室6内に留まったインクの一部もしくは全ては流体抵抗部51、循環流路52、53、循環共通液室50、循環ポート81を経て、循環タンクへと循環される。
なお、インクの循環は循環型吐出ヘッドの動作時のみならず、動作休止時においても実施することができる。動作休止時に循環することによって、個別液室内のインクは常にリフレッシュされると共に、インクに含まれる成分の凝集や沈降を抑制できるので好ましい。沈降を抑制できることから、長期に装置を停止した場合にも、再開後すぐに吐出安定性に優れた画像を得られる。
次に、循環型吐出ヘッドを用いてインクを吐出する装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。図10は同装置の要部平面説明図、図11は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、インク吐出ヘッド404を搭載したインク吐出ユニット440を搭載している。インク吐出ユニット440のインク吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、及び本発明のインク(オレンジ、グリーン、バイオレット)の各色のインクを吐出する。また、インク吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
インク吐出ヘッド404の外部に貯留されているインクをインク吐出ヘッド404に供給するための供給・循環機構494により、インクがインク吐出ヘッド404内に供給・循環される。なお、本例において、供給・循環機構494は、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、送液ポンプ、レギュレータ(R)等で構成される。また、供給側圧力センサは、供給タンクとインク吐出ヘッドとの間であって、インク吐出ヘッドの供給ポート71に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、インク吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、インク吐出ヘッドの循環ポート81に繋がった循環流路側に接続されている。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着してインク吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方にインク吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えばインク吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給・循環機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じてインク吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410にインクを吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、循環型吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
本発明の液体組成物の用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、液体組成物として用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、液体組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、液体組成物を重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上に液体組成物を付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は特に断りの無い限り「質量部」及び「質量%」である。
<共重合体の合成>
「モノマーの合成」
62.0g(525mmol)の1,6−ヘキサンジオール(東京化成社製)を700mlの塩化メチレン中に溶解させた後、20.7g(262mmol)のピリジンを加えた。次に50.0g(262mmol)の2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成社製)を100mlの塩化メチレンに溶解させた溶液を攪拌しながら2時間かけて滴下した後、室温で6時間攪拌した。更に水洗した後、有機相を単離した。次に硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。更に溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、52.5gの2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシヘキシルエステルを得た。
42.1g(155mmol)の2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシヘキシルエステルを80mlの乾燥メチルエチルケトン中に溶解させた後、60℃まで昇温した。次に24.0g(155mmol)のカレンズMOI(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)(昭和電工社製)を20mlの乾燥メチルエチルケトン中に溶解させた溶液を攪拌しながら1時間かけて滴下した後、70℃で12時間攪拌した。更に室温まで冷却した後、溶媒を留去した。次に溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、57.0gの下記の化学式(I−1)で表される「モノマー M−1」を得た。
Figure 2020084102
「共重合体 R−1の合成」
3.80g(52.7mmol)のアクリル酸(アルドリッチ社製)、及び11.26g(26.3mmol)の「モノマー M−1」を75mlの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調整した。モノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に0.59g(3.61mmol)の2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(東京化成社製)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で4時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出した共重合体をろ別し、減圧乾燥して14.55gの「共重合体 R−1」(重量平均分子量(Mw):30000)を得た。
得られた「共重合体 R−1」を5.00g(カルボキシル基量17.5mmol)秤取して、35質量%濃度のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(東京化成社製)7.36g(テトラエチルアンモニウムイオン含有量17.5mmol)とイオン交換水37.64gを加えて、混合・攪拌し「共重合体 R−1」の10質量%水溶液を調整した。
<顔料分散液の調製>
(調製例1)
「ブラック顔料分散液の調製」
40.0部の共重合体 R−1の10質量%水溶液に、16.0部のカーボンブラック(degussa社製 NIPEX160)及び44.0部のイオン交換水を加えて12時間攪拌した。次にディスクタイプのビーズミルKDL型(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散させた。この時、メディアとして直径が0.3mmのジルコニアボールを使用した。更に孔径が1.2μmのメンブレンフィルターでろ過した後、顔料の濃度が16質量%になるようにイオン交換水を加えてブラック顔料分散液を得た。
(調製例2)
「シアン顔料分散液の調製」
カーボンブラックの代わりにピグメントブルー15:3(大日精化社製 クロモファインブルー)を用いた以外はブラック顔料分散液と同様にして、顔料の濃度が16質量%のシアン顔料分散液を得た。
(調製例3)
「マゼンタ顔料分散液の調製」
カーボンブラックの代わりにピグメントレッド122(クラリアント社製 トナーマゼンタEO02)を用いた以外はブラック顔料分散液と同様にして、顔料の濃度が16質量%のマゼンタ顔料分散液を得た。
(調製例4)
「イエロー顔料分散液の調製」
カーボンブラックの代わりにピグメントイエロー74(大日精化社製 ファーストイエロー531)を用いた以外はブラック顔料分散液と同様にして、顔料の濃度が16質量%のイエロー顔料分散液を得た。
<比較例に用いた顔料分散液Aの調製>
C.I.ピグメントレッド122を6.6質量部、C.I.ピグメントバイオレット19を6.6質量部、下記構造を有する高分子化合物D−1(酸価200mgKOH/g、Mw=18000)を6.6質量部、ジメチルスルホキシド140質量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Alfa Aesar社製、25%メタノール溶液)を40.7質量部混合し、60℃に加温後、2時間攪拌することで、前記顔料と特定の化合物とを完全に溶解し、濃青紫色の顔料溶解液を得た。
Figure 2020084102
この顔料溶解液に超音波処理をした後、スターラーで攪拌している2000質量部のイオン交換水中に送液ポンプを用いて100ml/分の条件で速やかに注入し、透明で赤みがかった顔料分散液が得られた。この顔料分散液中の顔料微粒子の動的光散乱法により求めた平均粒径は27.2nmであり、凝集状態の進行を抑え、微細な高濃度分散液を得ることができた。
次いでこの分散液を3Lフラスコに入れ、50℃に加熱し6時間攪拌した。次に室温まで冷却後、塩酸11mlを滴下してpHを3程度に調整し、顔料の分散体から顔料粒子を凝集させた。その後、更に酢酸エチル200mlを加えて2時間攪拌した後、平均孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて減圧濾過し、水不溶性色材と特定の高分子化合物を含む色材のケーキを得た。その後、前記色材ケーキをアセトンにより洗浄し、その後、イオン交換水で2回水洗し、脱塩及び脱溶剤されたC.I.ピグメントレッド122及びC.I.ピグメントバイオレット19、及び高分子化合物D−1の凝集体を得た。
次に、この凝集体1質量部に1規定の水酸化ナトリウム水溶液を加え、顔料分10%になるようにイオン交換水を加えた後、超音波処理による再分散処理を行い、pH9.0に調整した顔料分散液Aを得た。この顔料分散液A中の顔料微粒子の動的光散乱法による平均粒子径は29.0nmであり、高濃度にもかかわらず微細な顔料微粒子を含有する顔料分散液Aが得られた。
<ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、前処理液、後処理液の調製>
表1に示す有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、顔料凝集剤、イオン交換水を1時間攪拌して均一に混合した。次に、樹脂粒子、を加えて更に1時間攪拌して均一に混合した。その後、顔料分散液を加えて更に1時間攪拌して均一に混合した。この混合物を平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧ろ過し、粗大粒子やゴミを除去して、ブラックインクK−01、シアンインクC−01、マゼンタインクM−01、イエローインクY−01、前処理液(処理液−01)、後処理液(Clear−01)を得た。表1中、顔料分散液の濃度の欄に記載した数値は、インク中の顔料分散液の濃度ではなく、インク中の顔料としての濃度を表す。
(実施例1〜15、比較例1〜4)
<液体組成物の調製>
まず、表2に示す有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、イオン交換水を1時間攪拌して均一に混合した。次に、樹脂粒子を加えて更に1時間攪拌して均一に混合した。その後、顔料分散液を加えて更に1時間攪拌して均一に混合した。この混合物を平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧ろ過し、粗大粒子やゴミを除去して実施例1〜15、および比較例1〜4の液体組成物を得た。表2中、顔料分散液の濃度の欄に記載した数値は、液体組成物中の顔料分散液の濃度ではなく、液体組成物中の顔料としての濃度を表す。
実施例7−2、7−3、7−4の液体組成物は、実施例7の液体組成物と組成は同じである。
表1及び2における顔料分散液、有機溶剤、樹脂粒子、顔料凝集剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤の詳細は、以下の通りである。
<顔料分散液>
ブラック顔料分散液(上記調製法により作製)
シアン顔料分散液(上記調製法により作製)
マゼンタ顔料分散液(上記調製法により作製)
イエロー顔料分散液(上記調製法により作製)
顔料分散液A(上記調製法により作製:ピグメントレッド122/ピグメントバイオレット19、中和剤:水酸化ナトリウム(含有量=0.5%))
顔料分散液B(冨士色素社製 642:ピグメントオレンジ34、中和剤:無し)
顔料分散液C(冨士色素社製 523:ピグメントグリーン36、中和剤:無し)
顔料分散液D(冨士色素社製 495:ピグメントバイオレット23、中和剤:無し)
顔料分散液E(山陽色素社製 AH2088F:ピグメントオレンジ43、
中和剤:トリエタノールアミン(含有量=2.5%))
顔料分散液F(山陽色素社製 AH2123F:ピグメントグリーン36、
中和剤:トリエタノールアミン(含有量=2.5%))
顔料分散液G(山陽色素社製 AF2011F:ピグメントバイオレット23、
中和剤:水酸化ナトリウム(含有量=0.5%))
<有機溶剤>
有機溶剤A(東京化成工業社製 3−メチル−1,3−ブタンジオール)
有機溶剤B(東京化成工業社製 1,2−ブタンジオール)
有機溶剤C(東京化成工業社製 グリセロール)
<樹脂粒子>
樹脂粒子A(DIC社製 VONCOAT CG−8520、
スチレン−アクリル樹脂)
樹脂粒子B(第一工業製薬社製 スーパーフレックス420、ウレタン樹脂)
<顔料凝集剤>
硫酸マグネシウム7水和物(林純薬工業社製 硫酸マグネシウム・7水和物)
<界面活性剤>
信越シリコーン社製 KF−640
<消泡剤>
信越シリコーン社製 KM−72F
<pH調整剤>
東京化成工業社製 2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール
<防腐防黴剤>
アビシア社製 LV(S)
<印刷方法>
まず、表2において、処理液−01の有無の欄が「有り」の場合は、表1に示す処理液−01を液体塗布装置(リコー社製 液体塗布装置)により記録媒体(王子製紙社製 OKトップコート+ 104.7g/m2)へ0.06mg/cm2の塗布量で塗布した。その後、実施例1〜15及び比較例1〜4の液体組成物、ブラックインクK−01、シアンインクC−01、マゼンタインクM−01、イエローインクY−01を下記の組み合わせで、画像形成装置(リコー社製 IPSiO GXe5500)により、印字解像度1200×1200dpi、実施例1〜15及び比較例1〜4の液体組成物、ブラックインクK−01、シアンインクC−01、マゼンタインクM−01、イエローインクY−01の付着量0.9mg/cm2で印字した後、100℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)にて60秒乾燥させた。表2において、処理液−01の有無の欄が「無し」の場合は、処理液を塗布することなく、「有り」の場合と同様に印字し、乾燥させた。
また、Clear−01の有無の欄が「有り」の場合は、実施例1〜15及び比較例1〜4の液体組成物等を印字し、乾燥した後、同様の画像形成装置を用いて表1に示すClear−01を印字解像度1200×1200dpi、付着量0.9mg/cm2で印字した後、100℃に設定した恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)にて60秒乾燥させたものを印刷サンプルとした。
表2に示す液体組成物は、実施例1〜4および比較例2がオレンジインクであり、実施例5〜11および比較例3がグリーンインクであり、実施例12〜15および比較例4がバイオレットインクである。比較例1の液体組成物は、オレンジインクとして印刷した。
なお、画像形成装置のヘッド数の都合により、以下の色の組み合わせにて印刷を実施した。
・ブラックインク/マゼンタインク/オレンジインク/イエローインク
・ブラックインク/シアンインク/グリーンインク/イエローインク
・ブラックインク/シアンインク/バイオレットインク/マゼンタインク
印刷した画像サンプルのモデル図を図12に示す。図12は、「ブラックインク/マゼンタインク/オレンジインク/イエローインク」の組み合わせの場合の画像である。
<ビーディング評価方法>
印刷サンプルの実施例1〜15、及び比較例1〜4の液体組成物のベタ画像部について、下記ランクに従って評価を実施した。△以上が実使用可能なレベルである。
なお、ビーディングとは隣接するドットが合一することで濃度ムラのような現象になってしまうことである。
〇:ビーディング無し
△:僅かにビーディング有り
×:顕著なビーディング有り
<彩度測定方法>
印刷サンプルの実施例1〜15、及び比較例1〜4の液体組成物の印字部分を濃度計(X−Rite社製 939)にて色度a*及びb*の測定を実施し、得られたa*及びb*のデータから彩度(C*)を算出した。彩度の数値が大きいほど好ましい。
<ゼータ電位測定方法>
実施例1〜15、及び比較例1〜4の液体組成物を色材濃度が0.01質量%となるようにイオン交換水で希釈した液体を70℃の恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)にて72時間保存したものを測定サンプルとした。
ゼータ電位測定装置(大塚電子社製 ELSZ−2000)に測定サンプルをセットし、0.1mol/lの塩酸水及び0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液でサンプルのpHを調整してpH5の時のゼータ電位及びpH9の時のゼータ電位を測定した。
<保存安定性評価方法>
実施例1〜15、及び比較例1〜4の液体組成物を密閉容器(アズワン社製 アイボーイ)に入れて70℃の恒温槽(ESPEC社製 PR−3J)に14日保存した。保存前後の粘度を粘度計(東機産業社製 RE−85L)にて測定し、粘度の変化率を求めた。粘度の変化率が初期粘度±5%以内であれば実使用可能なレベルである。
<吐出安定性の測定方法1>
実施例7及び実施例11以外の液体組成物を、循環機構を有さないインク吐出ヘッドを有する画像形成装置(リコー社製 IPSiO GXe5500)により、温度:35℃、湿度:30%Rhの環境下にて、10cm四方のベタ画像を印字解像度1200×1200dpi、液体組成物の付着量0.9mg/cm2で100枚印字させた後の、全ノズル385に対するノズル抜け数を目視にて測定し、下記評価基準にて判定を行った。なお、ノズル抜けが生じたノズル数が5個以下であれば実施可能なレベルである。
◎:ノズル抜けが生じたノズル数 : 0個
○:ノズル抜けが生じたノズル数 : 2個以下
△:ノズル抜けが生じたノズル数 : 3個以上5個以下
×:ノズル抜けが生じたノズル数 : 6個以上
<吐出安定性の測定方法2>
実施例7及び実施例11の液体組成物(処方は同一)を画像形成装置(リコー社製 IPSiO GXe5500改造機)にインクの吐出ヘッドとして図3〜図11で示した循環機構を有するインク吐出ヘッドを搭載して評価を実施した。インク収容部にインクを充填し、温度:35℃、湿度:30%Rhの環境下にて24時間放置した。放置中は1時間に1回、2分間循環を動作させた。
放置後、印字前の1分間循環機構を動作させた。温度:35℃、湿度:30%Rhの環境下にて、記録媒体(王子製紙社製 OKトップコート+ 104.7g/m2)上に、印字解像度1200×1200dpi、液体組成物の付着量0.9mg/cm2でノズルチェックパターンを印刷して、全ノズル385に対してノズル抜けが生じたノズル数を確認し、以下の基準で評価を実施した。前記評価が△以上であることが実使用上望ましい。なお、循環装置有りの装置を用いるが、実施例7の液体組成物を用いるときは、液体組成物の循環は行わなかった。
◎:ノズル抜けが生じたノズル数 : 0個
○:ノズル抜けが生じたノズル数 : 2個以下
△:ノズル抜けが生じたノズル数 : 3個以上5個以下
×:ノズル抜けが生じたノズル数 : 6個以上
Figure 2020084102
Figure 2020084102
Figure 2020084102
(図1〜図2について))
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
(図3〜図8について)
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 個別液室
6a、6b、6c、6d、6e 個別液室を構成する貫通溝部
7 流体抵抗部
7a 流体抵抗部なる貫通溝部
8 液導入部
8a、8b 液導入部を構成する貫通溝部
9 フィルタ部
10 共通液室
10A 下流側共通液室
10a 貫通溝部
10B 上流側共通液室
10b 溝部
11 圧電アクチュエータ
12 圧電部材
12A、12B 圧電素子
13 ベース部材
15 フレキシブル配線部材
20 共通液室部材
21 第1共通液室部材
22 第2共通液室部材
25a、25b 圧電アクチュエータ用貫通穴
30 振動領域
30a、30b 凸部
40 流路部材
41〜45 板状部材
50 循環共通液室
50a 溝部
51 流体抵抗部
51a 流体抵抗部を構成する貫通溝部
52、53 循環流路
52a、52b 循環流路を構成する貫通溝部
53a、53b、53c、53d 循環流路を構成する貫通溝部
71 供給ポート
71a 貫通穴
81 循環ポート
81a、81b 貫通穴
(図10〜図11について)
401 ガイド部材
403 キャリッジ
404 インク吐出ヘッド
405 主走査モータ
406 駆動プーリ
407 従動プーリ
408 タイミングベルト
410 用紙
412 搬送ベルト
413 搬送ローラ
414 テンションローラ
416 副走査モータ
417 タイミングベルト
418 タイミングプーリ
420 維持回復機構
421 キャップ部材
422 ワイパ部材
440 インク吐出ユニット
491A、491B 側板
491C 背板
493 主走査移動機構
494 供給・循環機構
495 搬送機構
特開2009−173853号公報 特開2009−013394号公報 特開2000−256593号公報 特開2002−241649号公報 特開2010−235741号公報

Claims (12)

  1. 色材、高分子化合物、水を含有する液体組成物において、
    前記色材がピグメントオレンジ43、ピグメントグリーン36、ピグメントバイオレット23のいずれかであり、
    前記液体組成物を色材濃度が0.01質量%になるようにイオン交換水で希釈した液体を70℃で72時間保存して得られたサンプルのpHを調整し、pHが5の時のゼータ電位が−30.0mV以上であり、pHが9の時のゼータ電位が−45.0mV以下である
    液体組成物。
  2. 水酸化ナトリウムまたはトリエタノールアミンのいずれかを含有する請求項1に記載の液体組成物。
  3. 前記色材がピグメントオレンジ43であり、前記ピグメントオレンジ43の濃度が1.0質量%以上5.0質量%以下である請求項1または2に記載の液体組成物。
  4. 前記色材がピグメントグリーン36であり、前記ピグメントグリーン36の濃度が3.0質量%以上5.0質量%以下である請求項1または2に記載の液体組成物。
  5. 前記色材がピグメントバイオレット23であり、前記ピグメントバイオレット23の濃度が0.5質量%以上3.0質量%以下である請求項1または2に記載の液体組成物。
  6. 前記高分子化合物がスチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂の両方またはいずれか一方を含有する請求項1〜5の何れかに記載の液体組成物。
  7. 前記高分子化合物が複数の樹脂を含み、該複数の樹脂はスチレン−アクリル樹脂、およびウレタン樹脂を含む請求項1〜6の何れかに記載の液体組成物。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の液体組成物を含有するインク。
  9. 請求項8に記載のインクと、ブラックインクと、シアンインクと、マゼンタインクと、イエローインクとを含むインクセット。
  10. インク中の色材を凝集させる成分を含む処理液を付与する工程と、インクを付与する工程とを有する印刷方法において、該インクとして、請求項8に記載のインク、または請求項9に記載のインクセットを用いる印刷方法。
  11. 色材を含まず、樹脂を含むクリアインクを付与する工程を含む請求項10に記載の印刷方法。
  12. インクを吐出する液体吐出ヘッドと、インクとを有する印刷装置において、該インクは請求項8に記載のインク、または請求項9に記載のインクセットを構成するインクであり、前記液体吐出ヘッドは液体を吐出する複数のノズルと、前記ノズルに通じる個別液室と、前記個別液室に液体を供給する共通液室と、前記個別液室に通じる循環流路と、前記循環流路に通じる循環共通液室と、前記個別液室の液体に圧力を付与する圧力発生手段と、を備える液体吐出ヘッドである印刷装置。
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