JP6875718B2 - 鏝先の状態判定方法および半田付け装置 - Google Patents
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Description
また本発明の鏝先の状態判定方法は、テーブルには少なくとも物理量自体又は物理量の時系列の変化を示すテーブルのいずれか一方を含むものである。
また本発明の鏝先の状態判定方法は、基準値又はテーブルの値は、半田片の大きさによって選択できる複数の値を有するものである。
また本発明の鏝先の状態判定方法は、物理量が予め決められた値になったことに基づいて、鏝先の半田付けを行う対象物への接触、半田孔への半田片の投入及び半田片の前記半田孔での溶融の少なくとも1つが行われていると判定するものである。
また本発明の鏝先の状態判定方法は、半田孔に半田片を投入した後の物理量に基づいて、半田片の形状及び大きさの少なくとも一方を判定するものである。
また本発明の鏝先の状態判定方法は、半田孔を大気に開放している状態の物理量により鏝先の温度及び半田孔を通過するガスの種類の少なくとも一方を判定するものである。
また本発明の鏝先の状態判定方法は、ガス供給部に設けられた流路抵抗体と、半田孔と流路抵抗体との間に設けられた圧力を計測する第3計測部とを備え、物理量として圧力値を用いて判定するものである。
また本発明の鏝先の状態判定方法は、流路抵抗体としてガス供給部の流量を計測する第4計測部を用いるものである。
また本発明の鏝先の状態判定方法は、鏝先には、半田孔又は半田孔への供給流路と外部とを連通するリリース孔を有しており、物理量としてガス供給部を流れるガス又は流量の圧力を測定し、ガス供給部を流れるガス又は流量の圧力の変化に基づいて鏝先の状態を判定するものである。
また本発明の鏝先の状態判定方法は、ガス供給部は、ガスを外部に逃がす分岐配管を備え供給圧力を制御するものである。
また本発明の半田付け装置は、半田片が供給される半田孔を有するとともに半田孔で半田片を加熱溶融する鏝先と、ガスを供給するガス供給源と、ガス供給源と半田孔とを連通し、ガス供給源からのガスを半田孔に供給するガス供給部と、ガス供給部にはガス供給源からのガス圧力を一定にして供給する主配管を備え、ガス供給部を流れるガス又は主配管より下流を流れるガスのの物理量を測定する測定部と、測定部で測定された前記ガスの物理量に基づいて、鏝先の状態を判定する状態判定部とを有し、状態判定部によって鏝先の状態を判定するものである。
図1は本発明にかかる半田付け装置の一例の斜視図である。図2は図1に示す半田付け装置のII−II線で切断した断面図である。図3は図1に示す半田付け装置に設けられた駆動機構の一部の分解斜視図である。なお、図1では、筐体及び支持部1の一部を切断し、半田付け装置の内部を表示するようにしている。
支持部1は、立設された平板状の壁体11を備えている。なお、以下の説明では、便宜上、図1に示すように、壁体11に沿う水平方向をX方向、壁体11と垂直な水平方向をY方向、壁体11に沿う鉛直方向をZ方向とする。例えば、図1に示すように、壁体11はZX平面を有している。
摺動ガイド13は、Y方向に対向して対をなす部材である。摺動ガイド13は、一対の壁部131と、抜止部132とを有している。壁部131は、X方向に延びる平板状の部材である。一方の壁部131は、壁体11と接触して配されており、壁体11と反対側の面は、カッター下端22と接触している。また、他方の壁部131は、カッター下刃22の側面と接触している。つまり、一対の壁部131は、カッター下刃22をY方向の両側から挟んでいる。そして、一対の壁部131及びカッター下刃22は、ねじ等の締結具で壁体11に共締めされて、固定される。
上述のとおり、カッター下刃22は摺動ガイド13とともに壁体11に固定される。カッター下刃22は、下刃孔221と、ガス流入孔222とを備えている。下刃孔221は、カッター下刃22をZ方向に貫通する貫通孔であり、カッター上刃21の後述する上刃孔211を貫通した糸半田Wが挿入される。下刃孔221の上端の辺縁部は切刃状に形成されている。上刃孔211と下刃孔221とを用いて、糸半田Wを所定長さの半田片Whに切断する。切断された半田片Whは、自重によって又はプッシャーピン23に押されて、下刃孔221の内部を下方に落下する。下刃孔221は、ヒーターユニット4の後述する半田供給孔422を介して、鏝先5の後述する半田孔51と連通している。下刃孔221の内部を落下した半田片Whは、半田供給孔422に達した後、半田孔51に落下する。
カッター上刃21は、上刃孔211と、ピン孔212とを備えている。上刃孔211は、カッター上刃21をZ方向に貫通する貫通孔である、上刃孔211には、半田送り機構6から送られた糸半田Wが挿入される。上刃孔211の下端の辺縁部は切刃状に形成されている。ピン孔212は、カッター上刃21をZ方向に貫通する貫通孔である。ピン孔212には、プッシャーピン23の後述するロッド部231が、摺動可能に挿入される。
図2に示すように、ガイド軸35は、下端部がカッター下刃22に設けられた凹穴に嵌合されており、カッター下刃22にねじ351でねじ止め固定されている。また、ガイド軸35の上部は、保持部12に設けられた孔を貫通しており、ピン352によって移動が規制されている。つまり、ガイド軸35はねじ351によってカッター下刃22と、ピン352によって保持部12と固定されている。
また、本実施形態では、駆動機構3のアクチュエーターとして空気圧を用いるものとしているが、これに限定されるものではなく、空気以外の流体(例えば、作動油)を用いるもの(油圧)であってもよい。また、流体を用いるものに限定されるものではなく、モータやソレノイド等の電力を用いるものであってもよい。本実施形態では、1つのアクチュエーターと、カム及びカム溝を用いて、カッター上刃21の摺動とプッシャーピン23の押下を行っているが、これに限定されない。例えば、カッター上刃21の摺動と、プッシャーピン23の押下とを行うように、アクチュエーターを複数個(2個)備えていてもよい。
ヒーターブロック42は円筒形状を有しており、軸方向の端部に鏝先5を取り付けるための断面円形状の凹部421と、凹部421の底部の中心部から反対側に貫通した半田供給孔422とを備えている。ヒーターブロック42は、半田供給孔422と下刃孔221とが連通するように、カッター下刃22に接触して設けられている。ヒーターブロック42をこのように設けることで、半田片Whは、下刃孔221から半田供給孔422に移動する。
鏝先5は、ヒーター41からの熱が伝達されており、その熱で半田片Whを溶融させる。そのため、鏝先5は、高い熱伝導率を有する材料、例えば、炭化ケイ素、窒化アルミ等のセラミックやタングステン等の金属で形成されている。半田付け装置Aにおいて、鏝先5は円筒形状のものとしているが、これに限定されるものではなく、断面多角形又は楕円形の筒形状のものを用いてもよい。半田付けを行う配線基板Bd及び(又は)電子部品Epの端子Ndの形状に合わせて異なる形状のものを用意するようにしてもよい。
配管70はガス供給源GSとを接続し、ガス供給源GSからの窒素ガスをガス流入孔222に流入させる配管である。配管70は、主配管701と、流入配管702とを有する。主配管701は、ガス供給源GSから窒素ガスが流入する配管であり、流入配管702は、主配管701とガス流入孔222とを連通している。すなわち、主配管701を流れた窒素ガスは、流入配管702を通って、ガス流入孔222に流入する。
なお、主配管701を流れる窒素ガスは、ガス供給源GSからのガスを第1調整部71で調整することで圧力が調整される。主配管701を流れる窒素ガスの流量は、ガス供給部7に供給される窒素ガスの流量でもある。すなわち、ガス供給部7に流れる窒素ガスの流量はQ1である。
第1調整部71に備えられている圧力制御弁は、配管内部の圧力にかかわらず、窒素ガスを設定した圧力で流し続ける。すなわち、ガス供給部7は、圧力Pを一定とする圧力制御が行われている。
圧力Pを一定に制御しているため、流量Q1は下流の流体抵抗の増減に伴って変化する。状態判定部Contは、流量Q1に基づいて、鏝先の状態を判定している。例えば、半田孔51内の流体抵抗が増加すれば、主配管701の圧力P1が略一定であるので、流量Q2が減少する。
図4は基準状態における半田付け装置の鏝先の周囲及びガス供給部を示す図である。図4に示すように、半田付装置Aでは、半田付けを行う前段階(例えば、鏝先5をプレヒートする、半田付けを行う基板Bdを変更する等)において、鏝先5は、基板Bdから離している。本実施形態では、鏝先5が基板Bdから離れている状態を基準状態とする。すなわち、半田孔51は、Z方向下端の開口が大気に解放されている。また、本実施形態では、半田付け装置Aが基準状態のときに、ヒーターユニット4を駆動して鏝先5を加熱する。基準状態において、ガス供給源GSから窒素ガスの供給が開始されると、ガス供給部7に窒素ガスが供給される。上述のとおりガス供給部7は、第1調整部71で窒素ガスを圧力Pに調整している。
図4に示すように、半田付け装置Aが基準状態において、鏝先5の半田孔51の下端部は、外部に開口している。半田孔51の流路抵抗は低い。一方、そのため、主配管701を流れる窒素ガスの流量Q1は多い。状態判定部Contは、第2計測部73からの流量を取得しており、基準状態において、流量Q1aが流れる。
図5は、鏝先接触状態における半田付け装置の鏝先の周囲及びガス供給部を示す図である。半田付け装置Aでは、基準状態の後に半田付けを行うため、鏝先5を基板BdのランドLdに接触させる。半田付け装置Aでは、鏝先5をランドLdに接触させることで、ランドLdを半田付けに適切な温度に昇温させる(プレヒート)。
そして、鏝先5をランドLdに接触させることで、鏝先5の半田孔51がランドLdによって塞がれる。基板BdはスルーホールThに貫通させた端子Ndを半田付けするものであり、図5に示すように、電子部品の端子NdのZ方向の上端部が半田孔51に挿入される。また、半田孔51を通過した窒素ガスは、端子Ndが挿入されたスルーホールThから外部に流出する。
端子Ndが挿入されたスルーホールThの窒素ガスが抜ける部分が窒素ガスの流路であり、その流路面積は、半田孔51の軸と直交する面で切断した断面積よりも小さい。鏝先接触状態のとき、半田孔51の先端側に、流路抵抗が形成される、すなわち、主配管701の流路抵抗が、基準状態よりも大きくなる。これにより、供給流量Q1bは基準状態のときよりも少なくなる。
図6は、半田片投入状態における半田付け装置の鏝先の周囲及びガス供給部を示す図である。半田付け装置Aでは、鏝先5をランドLdに接触させて、プレヒートを行い、ランドLdを適切な温度に昇温した後に、半田片Whを半田孔51に投入する。なお、ランドLdのプレヒートの制御は、温度センサーでランドLdの温度を直接検出し、その温度で制御してもよいし、鏝先5とランドLdの接触時間で制御してもよい。
そして、プレヒートが終了したタイミングで、半田片Whを半田孔51に投入する。なお、半田片Whはカッター上刃21とカッター下刃22で糸半田Wを切断して形成する。(図2参照)自重又はプッシャーピン23で押されることで、半田片Whは落下し、下刃孔221、半田供給孔422を通過して、半田孔51に投入される。半田片Whは、半田孔51に挿入されている端子Ndに接触して、半田孔51の内部で停止する。このように、半田片Whが半田孔51の途中で停止することで、半田孔51の窒素ガスが通過する流路面積は、小さくなる。これにより、半田片投入状態のときには、鏝先接触状態のときに比べて、主配管701より下流側の流路抵抗が大きくなる。半田片投入状態のときの流量Q1cは、鏝先接触状態に比べて少なくなる。
なお、半田片Whの直径や長さあるいはその形状によって流量Q1cの値は異なるので、半田片Whに応じて流量Q1cの判定基準を変更しても良い。
図7は、半田片溶融状態における半田付け装置の鏝先の周囲及びガス供給部を示す図である。半田付け装置Aでは、鏝先5はヒーターユニット4によって加熱されており、半田孔51に投入された半田片Whは、鏝先5によって加熱され溶融される。溶融した半田片Whは粘度の高い液体である。そして、半田孔51は、溶融した半田片によって塞がれる。これにより、半田孔51から窒素ガスが外部に漏れない又は漏れにくくなる。
すなわち、半田片Whが溶融することで、主配管701の窒素ガスの流量、すなわち、供給流量Q1dは半田片投入状態に比べて少なくなる。
図8は、半田片流出状態における半田付け装置の鏝先の周囲及びガス供給部を示す図である。溶融した半田片Whが流出すると、溶融した半田片WhはスルーホールThを塞ぐ。そして、鏝先5は、ランドLdと接触している。これにより、半田孔51に流入した窒素ガスは、半田孔51から外部に漏れない又は漏れにくい。すなわち、半田片流出状態では、主配管701の窒素ガスの流量、すなわち、流量Q1eは、半田片溶融状態と同程度に少ない。なお、鏝先5は、常にヒーターユニット4によって加熱されているため、溶融した半田片Whは、すべて鏝先5の外部、すなわち、ランドLdと電子部品Epの端子Ndとに流出する。
図9は、鏝先離間状態における半田付け装置の鏝先の周囲及びガス供給部を示す図である。半田付け装置Aでは、ランドLdと電子部品Epの端子Ndとの半田付けが終了すると、鏝先5をランドLdから離間させる。半田片流出状態において、溶融した半田片Whは全量又は略全量が半田孔51の外部に流出している。そのため、半田孔51は、半田付け前の状態、すなわち、基準状態と同じ状態に戻る。鏝先をランドLdから離間させたとき、主配管701に流量Q1fが流れているとすると、流量Q1fは、流量Q1aと同じか略同じである。
また、(d)半田片溶融状態の流量Q1dと(e)半田片流出状態の流量Q1eとがほぼ同じであることから、流量Q1から状態の判定が困難な場合もある。そこで、状態判定部Contは、流量Q1の時間変化も考慮して、鏝先の状態を検出してもよい。例えば、第2計測部73が流量Q1dを検出してから所定時間経過したことによって、状態判定部Contは、鏝先5が(d)半田片溶融状態から(e)半田片流出状態に変化したと判断してもよい。
図10に示すように、第1領域Ar1は、鏝先が(a)基準状態のときである。第1領域Ar1において、流量Q1aとなっている。図10における、第2領域Ar2は、鏝先が(b)鏝先接触状態である。鏝先が(a)基準状態から(b)鏝先接触状態に変わると流量Q1aが流量Q1bに変化する。流量Q1は、鏝先5のランドLdへの接触によって変化するため流量Q1aから流量Q1bには、急激に変化する。すなわち、図10において、第1領域Ar1から第2領域Ar2への変化は急峻である。
図10における、第4領域Ar4は、鏝先が(d)半田片溶融状態のときである。半田孔51に半田片Whが溶融されると、流量Q1cが流量Q1dに変化する。半田孔51における半田片Whの溶融によって流路面積が変化する。半田片の溶融は、まず、フラックスが溶融した後に、半田が溶融する。フラックスはゆっくり溶融し、半田は急激に溶融する。流量Q1cから流量Q1dへは、最初ゆっくり変化し、一定の変化ののち急激に変化する。すなわち、図10において、第3領域Ar3から第4領域Ar4への変化は最初ゆっくりで、その後急激に変化する。
また、上述のとおり、(d)半田片溶融状態の流量Q1dと、(e)半田片流出状態の流量Q1eとは、同じまたはほぼ同じである。そのため、一定時間、流量Q1dから変化しない。
半田付けの工程が正常に行われているかの判定は、次のように行われる。まず、予め半田付け状態における流量の基準値の範囲を設定する。そして、各半田付け状態における基準値の範囲と計測された流量との比較によって判定を行う。例えば、(c)半田投入状態における判定について説明する。まず、(c)半田投入状態であるAr3の時間帯において基準値の上限値Qx1、下限値Qy1を設定する。上限値Qx1、下限値Qy1は、それぞれ、Qx1=Q2c+x1及びQy1=Q2c−y1(x1、y1は正の数)で表される値である。そして、半田付け工程においてAr3の時間帯に計測された流量Q1が上限値Qx1から下限値Qy1の間の範囲から逸脱したとき、状態判定部Contは、半田付け工程に異常があったとして警報あるいは運転の停止を行ってもよい。なお、x1、y1の一方が0であってもよい。
また、時間と流量に関係なく、半田が溶融もしくは流出すれば流量Q1は最大値まで増加する。状態判定部Contは、流量のピーク値(ここでは、流量Q1d)付近の値を検出したときに、半田の溶融が行われたと判定することもできる。
このような異常判定を行うためには、状態判定部Contは、予め、図10に示すような、半田付け1回における流量の時間変化を示すテーブルを記憶しておき、第2測定部73からの流量のデータを時系列に並べて、挙動及び値を比較することで鏝先の状態を判定するようにする。また所定回数毎に流量データを記憶しておき、経時的な変化を判定することも可能である。このような判定方法を用いることで、鏝先の状態をより正確に判定することができる。
上述した実施形態では、半田片Whの太さ及び長さが一定である場合で説明している。しかしながら、糸半田Wの送りには、ばらつきが生じる場合がある。また、半田付けを行う面積が大きい等によって、半田片Whの形、大きさを意図的に変更する場合もある。このような場合、状態判定部Contは、(b)鏝先接触状態の流量Q1bから流量Q1が変動したときの変動の大きさ、変動の挙動に基づいて、投入された半田片Whの形状、大きさ等を判定してもよい。なお、異なる大きさ、形状の半田片を投入する可能性がある場合、状態判定部Contは、各大きさ、形状の半田片Whごとに、各状態における流量の基準値及び(又は)その時間変化を示すテーブルをデータベースとして備えていることが好ましい。
上述の実施形態では、鏝先5が半田を溶融できる高温の状態にある場合で説明している。しかしながら、ヒーター41の故障等によって鏝先5が半田を溶融するために設定された正常温度範囲内から外れる場合もあり得る。鏝先5を通過する窒素ガスは、鏝先5の温度によって、膨張する程度や粘度が異なるため、流路抵抗も増減し、その結果、窒素ガスの流量も変化する。例えば、鏝先5の温度が低下すると窒素ガスの体積は減少し、粘度も低くなるので半田孔51における窒素ガスの流量は増加する。このことを利用して、状態判定部Contは、半田孔51を大気に開放している状態、すなわち、鏝先5が(a)基準状態のときの流量Q1aを記憶しておき、記憶している流量Q1aと計測した流量Q1とに基づいて、鏝先5の温度を判定することが可能である。
第1変形例、第2変形例の動作は、例えば、一定の周期ごとに行うものとすることができる。一定の周期とは、例えば、時間で管理してもよいし、半田付け回数で管理してもよい。また、半田付け装置Aの電源投入直後及び工程終了時に行うようにしてもよい。また、ランダムなタイミングで行うようにしてもよい。
圧力が正常に達すると、S5で第2計測部73により流量計測を行う。この流量と設定値とをS6で比較する。このときの流量値Q1が、設定値と所定以上異なっている場合には、半田孔51の形状や大きさが異なっていることを判断する。この場合鏝先5の部品が間違っていたり、取付が誤っていたり、あるいは付着物によって半田孔51内部の形状が変化している場合が考えられるので、鏝形状異常としてS7で運転の停止や警報等の報知を行う。
S18の判定が正常であれば、S20で切断された半田片Whを供給し、そのときの流量計測をS21で行い、そのときの流量値Q1が設定された流量値Q1c(図10参照)の近似範囲内であるか否かをS22で判断して、流量値Q1が設定値1cの近似範囲外であるとき、半田片Whが供給されていないと判断し、S23で半田片供給異常と判断する。
S26の判定が正常であれば、S28の時間遅延を設け、溶融した半田片Whが完全に溶融しスル−ホールTh内に流出した後に、S33で鏝先5を上方向(Z方向)に移動させて回路基板Bdから離脱させ、S34で流量計測を行う。フローチャートFb内のS29〜S32の動作については後述する。そのときの流量値Q1が設定された流量値Q1f(図10参照)の近似範囲内であるか否かをS35で判断して、流量値Q1が設定値1fの近似範囲外であるとき、鏝先5が回路基板Bdから離脱されていない、あるいは半田片Whが半田孔51内に残留していると判断し、S36で鏝離脱異常または半田片残留異常と判断する。
初期値の近似範囲外であれば、S40の圧力変動異常として判断し、前記の計測値Q1a〜Q1dを破棄し、さらに判断結果も破棄する。また、各ステップでの流量値を保存しておき、半田完了時にまとめてS6、S8、S11、S14、S18、S22等の全部又は一部の判定を行ってもよい。このときS38の初期値の範囲外であるとき、その圧力値でQ1a〜Q1dの値を補正しても良い。
本実施形態にかかる半田付け装置の他の例について図面を参照して説明する。図13は、本発明にかかる半田付け装置の他の例の鏝先及びガス供給部を示す図である。なお、図13に示す半田付け装置Bでは、鏝先5bに半田孔51と外周面とを貫通するガスリリース部52を備えている。それ以外は、第1実施形態の半田付け装置Aと同じ構成を有している。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図14に示すように、半田付けを行うとき、鏝先5の半田孔51には、電子部品Epの端子Ndが挿入される。そして、カッターユニット2(図1参照)で糸半田Wから切断された半田片Whは、図15に示すように端子Ndと接触した状態で、鏝先5に加熱されて溶融する。このとき、半田孔51の半田片Whが溶融する部分を溶融領域510とすると、ガスリリース部52は、半田孔51の溶融領域510と鏝先5のZ方向下端との間の部分と外周面とを連通している。
半田付け装置Bにおいて、1回の半田付けにおける鏝先の取り得る状態は、第1実施形態と同じ、つまり、図13に示す(a)基準状態、図14に示す(b)鏝先接触状態、図15に示す(c)半田片投入状態、図16に示す(d)半田片溶融状態、図17に示す(e)半田片流出状態と図13に示す(f)鏝先離間状態である。そして、(a)基準状態、(f)鏝先離間状態に関しては、第1実施形態の半田付け装置Aと実質的に同じである。なお、(b)鏝先接触状態、(c)半田片投入状態、(e)半田片流出状態、の各状態において、主配管701を流れる窒素ガスの流量は、第1実施形態のときよりも少なくなる。そのため、主配管701の流量を流量Q2として説明する。例えば、(b)鏝先接触状態のとき、主配管701を流れる窒素ガスの流量を流量Q2bとする。各状態でも同様に、(c)半田片投入状態及び(e)半田片流出状態のそれぞれの流量を、流量Q2c、Q2eとする。
そして、各状態での流量Q2は、図18に示すグラフに示すとおりになる。図18は、半田付け装置が半田付けを1回行うときの流量の変化を示しており、縦軸が流量Q2、横軸が時間である。なお、以下の説明では、図10と異なる挙動を示す部分についてのみ説明するものとする。
ガスリリース部52を備えた鏝先5bを用いることで、(d)半田孔溶融状態を示す第4領域Ar4(流量Q1d)の後に、流量Q2eの(e)半田片流出状態を示す第5領域Ar5が現れる。
図12のフローチャートのブロックFA内に(e)半田片流出状態のフローを示す。S29で流量計測を行い、S30でその流量値をQ2eと比較し、Q2eの近似範囲外のときS31で基板への半田流出異常とし、範囲内であればS32で時間の遅延を行って半田が凝固後S33で鏝先5を基板Bdから離脱させる。
本実施形態においても、状態判定部Contは、第1実施形態の「第1変形例」又は「第2変形例」同様の操作が可能である。
本発明にかかる半田付け装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図19は、本発明にかかる半田付け装置のさらに他の例を示す図である。図19に示す半田付け装置Cでは、鏝先5cが異なる以外、半田付け装置Aと実質上同じ構成を有している。そのため、半田付け装置Cにおいて、半田付け装置Bと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
以下に、状態判定部Contによる鏝先の状態の判定について図面を参照して説明する。なお、本実施形態において、半田付け装置Cが1回の半田付けを行うときの鏝先の取り得る状態は、第1実施形態と同じである。すなわち、(a)基準状態、(b)鏝先接触状態、(c)半田片投入状態、(d)半田片溶融状態、(e)半田片流出状態、(f)鏝先離間状態である。
第4領域Ar4は、鏝先が(d)半田片溶融状態を示しており、半田孔51は半田片Whの溶融によって塞がれるので、その流路抵抗は増加するが、前述のようにリリース孔53の開放によって流量Q3dになる。
なお、本実施形態において、半田孔51が塞がれたとき、リリース孔53を介して、半田孔51に溜まった窒素ガスを排出している。しかしながら、これに限定されない。例えば、第2計測部73の下流配管702に内部のガスを外部に逃がすリリース孔を設けたり、あるいは下流配管702を分岐させ、分岐した配管を窒素ガスを逃がすための配管としてもよい。
本実施形態にかかる半田付け装置の他の例について図面を参照して説明する。図22と図23は、本発明にかかる半田付け装置の他の例を示す図であり、第3実施形態との相違点は、主配管701の圧力を計測する第1計測部72の下流配管702に流体抵抗を調節できる絞りからなる流路抵抗体74を設け、流路抵抗体74の下流側に圧力を計測する第3計測部75を設けた点にある。図22と図23は、それぞれ(a)基準状態と(d)半田片溶融状態における鏝先を示す図である。
図23の(d)半田片溶融状態においては、半田孔51の大部分が塞がれて半田付け装置Dの流体抵抗は大きくなり、圧力Pmは制御された圧力Pに近い値となる。
半田付け装置Dでは、鏝先の状態が(a)基準状態、(b)鏝先接触状態、(c)半田片投入状態、(d)半田片溶融状態、(e)半田片流出状態、(f)鏝先離間状態の順に変化する。図24は、半田付け装置Dが半田付けを1回行うときの圧力Pmの変化を示しており、縦軸が圧力Pm、横軸が時間である。
なお、第1計測部72と第3計測部75はそれぞれ圧力計測器であり、計測する配管部分を切り換えて、1台の圧力計測器によって計測を行わせてもよい。
圧力計測器は、一般的に流量計測器より安価で計測範囲が広く応答速度も速いので、実用的な効果がある。
上述の第4実施形態においては、流体絞りを流路抵抗体74を用いていたが、その代わりに流量を計測する第4計測部76を設けることができる。図26はこのときの(a)基準状態における鏝先と窒素ガスの流れを示す図である。第4計測部76の流量計は流量を計測するために所定の流路抵抗を有するので、その流路抵抗を流路抵抗体として使用する。第4計測部76は第1実施形態(図4)で用いられた第2計測部73の流量計を用いることができる。
鏝先5として図26に示す鏝先5aを用いることができる。図26に示す鏝先5aの半田孔51aには係止部511を設けられており、半田片Whはこの係止部511で当接して半田孔51aの大部分を塞ぐ。このためこの部分の流路抵抗が大きくなり、半田片Whの供給前後での差が大きくなり、半田片Whの供給時の判定が容易になる。また、半田片Whが系止部511に確実に接触し、鏝先5aからの熱伝導により半田片Whの溶融を迅速に行うことができる。本実施形態は第1実施形態から第4実施形態にも適用することができる。
さらに、複数の半田付け箇所が存在する場合には、半田付け箇所によって各状態における流体の変化値が異なる場合があるので、各半田付け箇所毎に上記データベースを作成し、半田付け場所毎に異なった閾値を用いて判定を行うことも可能である。
5 鏝先
51 半田孔
52 ガスリリース部
53 リリース孔
7 ガス供給部
701 主配管
702 下流配管
703 分岐配管
71 第1調整部
72 第1計測部
73 第2計測部
74 流路抵抗体
75 第3計測部
76 第4計測部
GS ガス供給源
W 半田
Wh 半田片
Bd 配線基板
Ep 電子部品
Ld ランド
Th スルーホール
Nd 端子
Claims (17)
- 半田片が供給される半田孔を有するとともに前記半田孔で前記半田片を加熱溶融する鏝先と、ガスを供給するガス供給源と、前記ガス供給源と前記半田孔とを連通し、前記ガス供給源からのガスを前記半田孔に供給するガス供給部と、前記ガス供給部に前記ガス供給源からのガス圧力を一定にして供給する主配管を備え、前記ガス供給部を流れるガス又は前記主配管より下流を流れるガスの物理量を測定するとともに、測定した物理量によって鏝先の状態を判定することを特徴とする鏝先の状態判定方法。
- 前記物理量の変化と予め備えられた基準値又はテーブルと比較して、鏝先の状態を判定することを特徴とする請求項1記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記テーブルには、少なくとも前記物理量自体又は前記物理量の時系列の変化を示すテーブルのいずれか一方を含む請求項2に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記基準値又はテーブルの値は、前記半田片の大きさによって選択できる複数の値を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の鏝先の状態判別方法。
- 前記物理量の変化に基づいて前記鏝先の状態を判定している請求項1から4のいずれか1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記物理量が予め決められた値になったことに基づいて、前記鏝先の半田付けを行う対象物への接触、前記半田孔への前記半田片の投入及び前記半田片の前記半田孔での溶融の少なくとも1つが行われていると判定する請求項5に記載の鏝先の状態判定方法。
- 半田付けを所定回数を行う毎に前記鏝先の前記物理量を記憶し、現在の前記物理量と比較することで、前記鏝先の状態を判定する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記半田孔に前記半田片を投入した後の前記物理量に基づいて、前記半田片の形状及び大きさの少なくとも一方を判定する請求項1から請求項7のいずれかに1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記半田孔を大気に開放している状態の物理量により前記鏝先の温度及び前記半田孔を通過するガスの種類の少なくとも一方を判定する請求項1から請求項8のいずれかに1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記ガス供給部にガス流量を計測する第2計測部を備え、前記物理量として流量値を用いた請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記主配管の下流に設けられた流路抵抗体と、前記半田孔と前記流路抵抗体との間に設けられた圧力を計測する第3計測部とを備え、前記物理量として圧力値を用いた請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記流路抵抗体として前記ガス供給部の流量を計測する第4計測部を用いる請求項11に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記半田孔には前記半田片が溶融される溶融領域が設けられており、前記鏝先には、前記半田孔の溶融領域よりも下流側に半田孔と外部とを連通するガスリリース部を備えており、前記ガス供給部の流量又は前記主配管の下流の圧力が所定値になった前後で前記ガス供給路の流量又は前記主配管の下流の圧力の増減方向が逆になったことを検出した後に、溶融した半田片が前記半田孔から流出したことを判定する請求項10又は請求項12に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記鏝先には、前記半田孔又は前記半田孔への供給流路部と外部とを連通するリリース孔を有しており、前記物理量として前記ガス供給部を流れるガスの流量又は前記主配管の下流を流れるガスの圧力を測定し、前記ガスの流量又は前記ガスの圧力の変化に基づいて前記鏝先の状態を判定している請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記ガス供給部は、前記ガスを外部に逃がす分岐配管を備えている請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 前記主配管にガス圧力を調整する第1調整部を備え、前記主配管の圧力が変化したときに、前記圧力の変化値によって物理量計測値の補正あるいは物理量計測値の廃棄を行う請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の鏝先の状態判定方法。
- 半田片が供給される半田孔を有するとともに前記半田孔で前記半田片を加熱溶融する鏝先と、ガスを供給するガス供給源と、前記ガス供給源と前記半田孔とを連通し、前記ガス供給源からのガスを前記半田孔に供給するガス供給部と、前記ガス供給部に前記ガス供給源からのガス圧力を一定にして供給する主配管を備え、前記ガス供給部を流れるガス又は前記主配管より下流を流れるガスの物理量を測定する測定部と、前記測定部で測定された前記ガスの物理量に基づいて、前記鏝先の状態を判定する状態判定部とを有し、前記状態判定部が、請求項1〜請求項16のいずれかに記載の方法で、前記鏝先の状態を判定することを特徴とする半田付け装置。
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