JP6871819B2 - 包装ロール体の摘片形成装置及び摘片形成方法 - Google Patents

包装ロール体の摘片形成装置及び摘片形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、巻芯に包装用の樹脂シートが巻かれた包装ロール体の摘片形成装置及び摘片形成方法に関するものである。
料理の保存や乾燥の防止には、食品用の包装ロール体が利用されるが、この包装ロール体1は、図9に部分的に示すように、略円筒形の巻芯を備え、この巻芯に透明帯形のラップフィルム3が所定の長さ分巻回されており、このラップフィルム3の巻回後に中空の包装箱7に挿入され、各種の検査が施されて製品となる。
ラップフィルム3は、防汚性や防湿性等に優れるポリ塩化ビニリデン等により柔軟な薄膜に成形され、巻芯の外周面に多層に巻回されている。このラップフィルム3の巻尻の自由端部の中央付近には、自由端部の把握を容易にする口取紙5が装着され、この口取紙5を摘んで操作することにより、包装箱7からのラップフィルム3の最初の引き出し開始作業が容易となる。
このような包装ロール体1を料理の保存等に使用する場合には、包装箱7の蓋板8を開けて口取紙5によりラップフィルム3の自由端部を把握し、ラップフィルム3を所定の長さ分引き出し、包装箱7の蓋板8を閉じて包装箱7をやや傾けた後、包装箱7に予め接着されている切断刃9で所定の長さのラップフィルム3を切断すれば、料理をラップフィルム3により被覆保護して保存したり、乾燥を防止することができる。
ところで、包装ロール体1のラップフィルム3の中央付近には、密着したラップフィルム3の自由端部の識別を容易にする口取紙5が装着されているが、この口取紙5は、ラップフィルム3の引き出し作業に資する機能を有していないので、摘まんで引っ張っても、ラップフィルム3を引き出すことはできない。また、口取紙5は、強固に接着されている訳ではないので、包装ロール体1から脱落することがある。口取紙5が脱落する場合、ラップフィルム3が透明の薄肉で自由端部の把握が困難なので、ラップフィルム3の引き出し開始作業に支障を来すことが少なくない。
以上を踏まえ、従来においては、図10に示すように、巻替機により巻芯2に所定の長さのラップフィルム3を巻回する製造工程でラップフィルム3の自由端部4を巻回方向とは反対側の方向に擦って折り返し、この自由端部4を擦って巻回して直線形の摘み用の摘片6とする方法が提案されている(特許文献1、2参照)。
特許第5853027号公報 特開2000‐6959号公報
従来における包装ロール体1は、以上のように、ラップフィルム3の自由端部4が擦って摘片6に形成されるが、ラップフィルム3の自由端部4を擦るためには、自由端部4に摩擦部材を上方から強く摺接させる必要がある。しかしながら、摩擦部材を単に強く摺接させると、自由端部4付近に微細の摩擦痕が多数発生し、ラップフィルム3が損傷して品質が大幅に低下するという問題が生じる。
また、従来の包装ロール体1は、ラップフィルム3の自由端部4が摘み用の摘片6とされる場合、ラップフィルム3の中央以外の部分をも引き出せたり、包装ロール体1からの剥落を防ぐことができるものの、摘片6が単なる直線形に形成されるので、包装箱7に挿入された後、摘片6がどこに存在するかにより、摘片6を把握することができないことがある。
この点について詳しく説明すると、ラップフィルム3の巻回工程で自由端部4を摘片6に形成した後、包装ロール体1をコンベヤで搬送して包装工程に供給する場合、コンベヤの搬送中に包装ロール体1が回転してその摘片6が下方に位置し、この状態の包装ロール体1が包装工程で包装箱7に挿入され、摘片6が包装箱7の底板に接触して停止すると、例え包装箱7の蓋板8を大きく開けても、摘片6を視覚により明瞭に把握することは非常に困難となる。
また、包装箱7に挿入された包装ロール体1が製品として市場を流通する場合、流通時の振動等により、包装箱7の内部で包装ロール体1が回転して摘片6が包装箱7の底板に接触して停止することがあるが、このとき、例え包装箱7の蓋板8を大きく開けても、摘片6を視覚により明確に把握することは困難である。
この結果、包装ロール体1を利用する者は、包装箱7から包装ロール体1を完全に取り出し、この取り出した包装ロール体1を回してラップフィルム3の摘片6を捜したり、あるいはラップフィルム3に摘片6が存在しないと誤判断し、ラップフィルム3の自由端部4を捜して爪で引っ掻く等の作業を強いられることとなる。また、取り出した包装ロール体1を手作業で回してラップフィルム3の摘片6を捜す場合、薄いラップフィルム3が破れたり、ラップフィルム3に皺が生じて体裁が悪化するおそれがある。さらに、包装箱7から包装ロール体1を完全に取り出す際、包装ロール体1に素手で触れると、汚染のおそれがあるので、衛生上の問題が生じる。
本発明は上記に鑑みなされたもので、包装ロール体の樹脂シートに摘片を形成する場合に、樹脂シートに傷痕が発生するのを抑制して品質の低下を低減することができ、しかも、包装ロール体の摘片がどこに存在しても、摘片を把握し易くし、樹脂シートの損傷や体裁の悪化を防ぐことのできる包装ロール体の摘片形成装置及び摘片形成方法を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、巻芯に樹脂シートが巻かれた包装ロール体に、操作用の摘片を形成する装置であって、
包装ロール体を搬送するコンベヤと、このコンベヤに搬送される包装ロール体の樹脂シートに操作用の摘片を形成する摘片形成手段とを備え、
コンベヤは、エンドレスの無限循環帯に回転可能に連結されて包装ロール体を搭載支持可能な複数のローラと、この複数のローラのうち、少なくとも包装ロール体を搭載支持する複数のローラを搬送方向とは逆方向に回転させるローラ駆動機構とを含み、
摘片形成手段は、エラストマーシートにより形成されてその少なくとも下部がコンベヤの往路のローラ上に吊り下げられ、往路のローラ上に位置する包装ロール体の樹脂シートに接触してその自由端部を樹脂シートの巻き方向とは反対側の方向に折り返し、自由端部の一部分と他部分とを樹脂シートの巻き方向にずらして摘片を形成することを特徴としている。
なお、摘片形成手段のエラストマーシートが、10℃以上45℃未満の温度雰囲気下で包装ロール体の樹脂シートに接触すると良い。
また、摘片形成手段のエラストマーシートが複数とされ、この複数のエラストマーシートが、コンベヤの搬送方向と、搬送方向と交わる方向の少なくともいずれかの方向に所定の間隔をおき配列されるようにすることができる。
また、摘片形成手段のエラストマーシートがシリコーンゴム製とされて折り返され、このエラストマーシートの折り返された下部がコンベヤの往路のローラに近接するようにすることができる。
また、摘片形成手段のエラストマーシートが屈曲され、このエラストマーシートの折り返された下部がコンベヤの往路の下流方向に指向すると良い。
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし5のいずれかに記載した包装ロール体の摘片形成装置を用い、包装ロール体の樹脂シートの自由端部に操作用の摘片を形成することを特徴としている。
ここで、特許請求の範囲における包装ロール体の樹脂シートには、透明、不透明、半透明のシートやフィルムが含まれる。この樹脂シートは、食品包装用が主な用途ではあるが、それ以外の用途に利用しても良い。樹脂シートの自由端部は、樹脂シートの幅方向に直線的に傾斜しても良いし、曲りながら傾斜しても良く、又樹脂シートの巻き方向に一部分が突出しても良い。また、摘片形成手段のエラストマーシートは、一枚でも良いが、二枚、三枚、四枚以上でも良い。エラストマーシートは、使用される場合、各種の錘体を収容することができるよう、断面略C字形や略U字形、中空の略涙滴形等に形成することができる。
本発明によれば、包装ロール体の樹脂シートに操作用の摘片を形成する場合には、コンベヤに包装ロール体を投入してコンベヤの上流から下流方向に包装ロール体を搬送するとともに、ローラ駆動機構を起動させ、包装ロール体を支持しながら移動する複数のローラをそれぞれ搬送方向とは逆方向に回転させ、包装ロール体を同方向に回転させる。すると、包装ロール体は、摘片形成手段のエラストマーシートに衝突し、このエラストマーシートの対向面に擦られつつ、逆方向への回転を継続する。この逆方向への回転の継続により、樹脂シートの自由端部は、樹脂シートの巻回方向とは反対側の方向に折り返され、樹脂シートの幅方向に傾いて操作用の摘片を形成する。
本発明によれば、包装ロール体の樹脂シートに摘片を形成する場合に、樹脂シートに傷痕が発生するのを抑制し、樹脂シートの品質の低下を低減することができるという効果がある。また、包装ロール体の摘片がどこに存在しても、摘片を把握し易くすることができ、しかも、樹脂シートの損傷や体裁の悪化を防ぐことができるという効果がある。
請求項2記載の発明によれば、摘片形成手段のエラストマーシートが、10℃以上45℃未満の温度雰囲気下で包装ロール体の樹脂シートに接触するので、樹脂シートが冷えて固くなり、樹脂シートの自由端部を折り返すことができなくなるおそれを排除することができる。また、45℃以上の温度雰囲気下の場合には、樹脂シートの添加剤のブリードアウトが過剰となり、エラストマーシートとの摩擦抵抗が低下して滑りやすくなり、自由端部の折り返しに支障を来すが、45℃未満の温度雰囲気下とするので、自由端部を適切に折り返すことができる。加えて、包装ロール体の製造を監視等する作業員の作業性や健康に支障を来すおそれを低減することができる。
請求項3記載の発明によれば、摘片形成手段のエラストマーシートが単数ではなく、複数であり、しかも、複数のエラストマーシートが、コンベヤの搬送方向と、この搬送方向と交わる方向の少なくともいずれかの方向に所定の間隔で配列されるので、樹脂シートの自由端部の一部分と他部分とを樹脂シートの巻き方向にずらして摘片を確実に形成することができる。また、コンベヤの搬送方向に複数のエラストマーシートを所定の間隔で配列すれば、樹脂シートの摘片の形成方法や形状を自由に変更することができる。
請求項4記載の発明によれば、摘片形成手段のエラストマーシートが優れた弱粘着性や密着性を有するシリコーンゴム製なので、包装ロール体の樹脂シートに摘片を形成する際、樹脂シートに傷痕が発生するのを抑制することが可能になる。また、エラストマーシートの折り返された下部内に錘体を配置してエラストマーシートの重量を調整し、包装ロール体とエラストマーシートとの接触時間を制御すれば、樹脂シートの自由端部に摘片を好適に形成することが可能になる。また、エラストマーシートの折り返された下部がコンベヤの往路のローラに近接するので、包装ロール体がエラストマーシートに接触せずにコンベヤの下流に搬送される事態を防ぐことが可能になる。
請求項5記載の発明によれば、エラストマーシートの折り返された下部がコンベヤの往路の下流方向に指向するので、摘片の形成にエラストマーシートを確実に寄与させることができる。
本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置の実施形態を模式的に示す全体説明図である。 本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置の実施形態における包装ロール体と傾斜した摘片を模式的に示す説明図である。 本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置の実施形態における包装ロール体のラップフィルム自由端部の一側と他側との関係を模式的に示す説明図である。 本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置の実施形態におけるコンベヤを模式的に示す部分断面説明図である。 本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置の実施形態におけるコンベヤを模式的に示す平面説明図である。 本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置の実施形態における製函装置を模式的に示す説明図である。 本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置の実施形態における摘片形成手段のエラストマーシートを模式的に示す斜視説明図である。 本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置の第2の実施形態における摘片形成手段のエラストマーシートを模式的に示す説明図である。 包装箱の蓋板を開けて包装ロール体のラップフィルムの口取紙を摘まんだ状態を示す斜視説明図である。 従来の包装ロール体とその摘片を示す斜視説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における包装ロール体の摘片形成装置は、図1ないし図7に示すように、包装ロール体1を搬送するコンベヤ10と、このコンベヤ10に搬送される包装ロール体1に操作用の摘片6を形成する摘片形成手段40とを備え、コンベヤ10に、少なくとも包装ロール体1を搭載支持する複数のローラ14を搬送方向とは逆方向に回転させるローラ駆動機構18を設置し、摘片形成手段40を、エラストマーシート41により略袋形に形成してコンベヤ10上に吊り下げ、エラストマーシート41を包装ロール体1のラップフィルム3に接触させることにより、ラップフィルム3の自由端部4をラップフィルム3の巻き方向にずらして摘片6に形成するようにしている。
包装ロール体1は、図1ないし図3に示すように、筒形の巻芯2を備え、この巻芯2に透明帯形のラップフィルム3が巻替機により所定の長さで巻回され、この巻回されたラップフィルム3に摘片6が形成された後、製函装置30により細長い中空の包装箱7に端部から挿入され、各種の検査が実施されて出荷可能な製品となる。巻芯2は、例えば再生用紙がスパイラル巻きに巻装されることにより、防塵性や表面平滑性等に優れる細長い略円筒形に形成される。
ラップフィルム3は、図2に示すように、防汚性や防湿性等に優れるポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等により、柔軟な薄膜に成形され、巻芯2の外周面に平巻方式で多層に巻回される。このラップフィルム3は、自由端部4に摘片6を円滑、かつ確実に形成する観点から、過剰に伸びない45cm×50m、45cm×55m、45cm×100m、30cm×100m、30cm×30m、30cm×110m、22cm×100mの大きさとされる。
摘片6は、図2や図3に示すように、コンベヤ10と摘片形成手段40との協働作用により、包装ロール体1の回転時にラップフィルム3の自由端部4がラップフィルム3の巻回方向とは反対側の逆方向に剥離して折り返されるとともに、ラップフィルム3の幅方向に曲がりながら傾斜し、自由端部4の一側4aと他側4bとがラップフィルム3の巻回方向にずれて位置することにより、ラップフィルム3に一体形成される。この摘片6は、例え一部が包装箱7の底板側に位置しても、残部が包装箱7の非底板側に位置して視認の対象となるよう機能する。
ラップフィルム3の自由端部4の一側4aと他側4bとは、図3に示すように、巻芯2の中心部との間に中心角度θを形成する。この中心角θは、包装箱7の外部からの摘片6の視認を容易にする観点から、72°〜216°、好ましくは90°〜190°、より好ましくは120°〜185°の範囲、さらに好ましくは180°の角度とされる。ラップフィルム3の自由端部4は、約半周して一側4aと他側4bとがラップフィルム3の巻回方向にずれ、一側4aと他側4bとが巻芯2の中心部を通る弦を描くことにより、摘片6に巻回形成されるのが最適である。
コンベヤ10は、図1、図4、図5に示すように、エンドレスに張架された駆動チェーン13に多数のローラ14が所定の間隔で並列に配設されて駆動するチェーンコンベヤからなり、ラップフィルム3の自由端部4に摘片6が形成された包装ロール体1を未完成の包装箱7に挿入して製函する製函装置30の上流に設置される(図6参照)。
コンベヤ10は、略水平のフレームの上流部と下流部とに左右一対の駆動歯車11と従動歯車12とがそれぞれ回転可能に軸支され、これら複数の駆動歯車11と従動歯車12との間に、循環するエンドレスの駆動チェーン13がそれぞれ巻架されており、左右一対の駆動チェーン13の間に、包装ロール体1を搭載支持する多数のローラ14が回転可能に連結支持されるとともに、この多数のローラ14のうち、包装ロール体1を搭載支持する往路の複数のローラ14がローラ駆動機構18により搬送方向とは逆方向に回転する。
コンベヤ10のフレームは、複数本のブラケットが縦横に組み合わされることで構成され、往路の上方に当て板15が設置されており、駆動歯車11用の駆動機構16が設置される。当て板15は、例えば搬送用の樹脂ベルト等を用いて断面略U字形に屈曲形成され、フレームのブラケットに支持されており、往路側における複数のローラ14の上方に位置して摘片形成手段40の上流に隣接する。この当て板15は、複数のローラ14に上方から隙間をおいて対向し、包装ロール体1のラップフィルム3に摺接して包装ロール体1の位置ずれや跳ね上がりを防止し、この包装ロール体1を下流の摘片形成手段40に供給するよう機能する。
駆動機構16は、例えば小型化や効率化に優れ、制御の容易なDCモータ等の動力源17を備え、コンベヤ10の駆動歯車11にエンドレスの駆動ベルトを介し接続されており、動力源17を駆動して動力を駆動歯車11に伝達することにより、駆動歯車11を回転させるよう機能する。
駆動チェーン13には、多数のローラ14がアタッチメントを介し所定の間隔で自由回転可能に連結される。各ローラ14は、包装ロール体1のラップフィルム3に摺接する円筒形のロールに、連結用の接続軸が挿着されることで構成され、接続軸の両端部がロールの両端部からそれぞれ突出するとともに、この接続軸の両端部が駆動チェーン13のアタッチメントに自由回転可能に嵌入支持されており、接続軸の一端部には、ローラ駆動機構18用のスプロケット14aが嵌着される。
ローラ駆動機構18は、例えば小型化や効率化に優れ、制御の容易なDCモータ等の動力源19と、この動力源19の駆動に基づいて回転する複数のスプロケット20と、この複数のスプロケット20の間に緊張して巻架されるエンドレスの逆回転チェーン21とを備え、この逆回転チェーン21がコンベヤ10の往路における複数のローラ14のスプロケット14aと噛合する。
このようなローラ駆動機構18は、逆回転チェーン21をコンベヤ10の搬送方向とは反対側の逆方向に循環させることにより、包装ロール体1を搭載支持する複数のローラ14をコンベヤ10の搬送方向とは反対側の逆方向にそれぞれ回転させ、この複数のローラ14の逆回転により、包装ロール体1がコンベヤ10の搬送方向とは反対側の逆方向に回転する。各ローラ14の逆回転速度値は、包装ロール体1を確実に逆方向に回転させる観点から、コンベヤ10の搬送速度値よりも大きく設定される。
製函装置30は、図6に部分的に示すように、平坦に畳まれた未完成の細長い包装箱7を引き起こして両端部が開口した中空の角筒形に成形する成形機構と、成形された包装箱7の開口した一端部に、複数のローラ14に搭載支持された摘片6付きの包装ロール体1を挿入するプッシャ機構31と、包装ロール体1を収納した包装箱7の両端部の複数のフラップを順次折り畳んで接着する折畳接着機構とを備え、コンベヤ10の下流側に隣接する。
摘片形成手段40は、図1や図7に示すように、コンベヤ10の搬送方向に直交する方向、換言すれば、ローラ14の接続軸方向(図1や図7の奥方向)に所定の間隔で並ぶ一対のエラストマーシート41からなり、各エラストマーシート41を往路の複数のローラ14上に位置する包装ロール体1のラップフィルム3に摺接させることにより、ラップフィルム3の自由端部4をラップフィルム3の巻回方向とは反対側の方向に折り返し、自由端部4の一側4aと他側4bとをラップフィルム3の巻回方向にずらして摘片6を巻回形成するよう機能する。
一対のエラストマーシート41は、包装ロール体1の中央部を除く両端部寄りのラップフィルム3に面接触するよう配列される。この一対のエラストマーシート41の大きさ、厚さ、粘着性等の特性は、同一でも良いし、相違しても良い。各エラストマーシート41は、弱粘着性、密着性、食品衛生性、耐候性、電気絶縁性、粘度温度特性等に優れる所定のゴムシート、例えばシリコーンゴム製の薄いシートが所定の大きさ(幅160mm×470mm、幅160mm×500mm等)の長方形にカットされ、二つ折りに折り返されることにより、屈曲可能な断面略涙滴形に湾曲形成される。
このようなエラストマーシート41は、コンベヤ10の往路の複数のローラ14上に複数の挟持ブラケットを介し揺動可能に吊持され、折り返されて湾曲した下部42がコンベヤ10の往路のローラ14に近接し、開口した両側部がローラ14の接続軸方向にそれぞれ指向する。エラストマーシート41は、例えば両上端部が複数の挟持ブラケットにより挟持されるが、包装ロール体1のラップフィルム3に対する接触面積や強度の程度に応じ、必要な場合には、中央部付近も挟持される。
エラストマーシート41は、10℃以上45℃未満、好ましくは10℃以上42℃未満、より好ましくは11℃以上40℃未満の温度雰囲気下で包装ロール体1のラップフィルム3に対向して摺接する。これは、10℃以上の温度雰囲気下でなければ、ラップフィルム3が冷えて固くなり、ラップフィルム3の自由端部4をラップフィルム3の巻回方向の反対方向に折り返すことができなくなるからである。
また、45℃未満の温度雰囲気下でなければ、ラップフィルム3から過度に添加剤の成分がブリードアウトし、剥離性が非常に悪化するからである。加えて、摘片6の形成を監視する作業員の作業性に支障を来すおそれもあるからである。10℃以上45℃未満の温度雰囲気は、必要に応じ、ヒータの加熱等により設定される。
エラストマーシート41の折り返されて湾曲した下部42は、コンベヤ10のローラ14との接触で位置ずれし、摘片6の形成に寄与しなくなるのを防止する観点から、コンベヤ10の往路の上流方向ではなく、下流方向(図1の右方向)に曲げられて指向するのが好ましい。このエラストマーシート41の下部42は、包装ロール体1のラップフィルム3に確実に摺接させたい場合には、所定の重量を有する包装ロール体1等からなる錘体を必要に応じて被包吊持する。
上記構成において、包装ロール体1のラップフィルム3に操作用の摘片6を形成する場合には、起動したコンベヤ10の上流に包装ロール体1を投入してコンベヤ10の上流から下流方向に包装ロール体1を搬送し、ローラ駆動機構18を起動させることにより、包装ロール体1を支持しながら移動する複数のローラ14をそれぞれ逆方向に回転させれば良い。
すると、包装ロール体1は、逆方向に回転しながら当て板15の下方を摺接しつつ通過し、摘片形成手段40の一対のエラストマーシート41に同時に衝突して押圧し、この一対のエラストマーシート41の対向面にそれぞれ面接触で撫でるよう擦られつつ、逆方向への回転を継続する。この逆方向への回転の継続により、ラップフィルム3の自由端部4は、巻回方向とは反対側の方向に剥離して折り返され、ラップフィルム3の幅方向に曲がりながら傾斜して摘み用の摘片6を巻回形成する。この際、包装ロール体1のラップフィルム3は、コンベヤ10の順方向ではなく、逆方向に回転するので、自由端部4の剥離時に空気が巻き込まれるのを有効に防止することができる。
摘片6の形成に伴い、包装ロール体1が拡径となり、包装ロール体1の大きさや形が変化するが、各エラストマーシート41がコンベヤ10の下流方向に揺動して包装ロール体1の大きさや形の変化を吸収するので、包装ロール体1が損傷したり、摘片6の形成作業に支障を来すのを防ぐことができる。
ラップフィルム3に摘片6が形成された包装ロール体1は、一対のエラストマーシート41を押しのけて通過した後、コンベヤ10から下流の製函装置30により未完成の包装箱7に挿入され、この包装箱7が製函されて閉じた端部が検査カメラで外観検査され、この検査の結果、検査基準を満たした良品が製品として出荷され、販売される。
製函作業の際、包装箱7の開口した一端部に包装ロール体1が回転しながら挿入され、摘片6の一部が包装箱7の底板に接触して停止することがあるが、摘片6の残部が傾きながら包装ロール体1の周方向に伸び、包装ロール体1の下部以外、例えば上部中央や上部側方に位置することとなる。したがって、摘片6の残部が包装箱7の蓋板8側等に位置することとなるので、ラップフィルム3の利用時に包装箱7の蓋板8を開ければ、摘片6の残部を視覚により明瞭、かつ確実に把握することができる。
上記構成によれば、ラップフィルム3の自由端部4に摩擦部材を上方から強く摺接させるのではなく、揺動可能に吊持したエラストマーシート41を撫でるよう面接触させて摘片6を巻回形成するので、ラップフィルム3の自由端部4付近の表面に微細の摩擦痕が多数発生することがない。したがって、ラップフィルム3が損傷して品質が大幅に低下するのを防止することができる。また、一枚の重く大きなエラストマーシート41を包装ロール体1のラップフィルム3に摺接させるのではなく、分割された一対の軽いエラストマーシート41を包装ロール体1のラップフィルム3に摺接させるので、エラストマーシート41が揺動せずに包装ロール体1の搬送に支障を来すおそれを低減することができる。
また、エラストマーシート41の折り返された下部42内に包装ロール体1や各種の金属板等を吊持させてエラストマーシート41の重量を調整し、包装ロール体1とエラストマーシート41との接触時間を制御すれば、ラップフィルム3の自由端部4に摘片6を確実に形成することができる。また、摘片6の一部が包装箱7の蓋板8側に必ず位置して視認可能となるので、摘片6の一部を視覚により明瞭、かつ確実に把握することが可能となる。したがって、包装ロール体1を利用する者は、包装箱7から包装ロール体1を取り出し、取り出した包装ロール体1を回してラップフィルム3の摘片6を捜す必要が全くない。
また、包装ロール体1を回す必要がないので、薄膜のラップフィルム3が破れたり、ラップフィルム3に皺が生じて体裁が悪化するおそれをきわめて有効に排除することが可能となる。また、ラップフィルム3に摘片6が存在しないと誤判断することがないので、ラップフィルム3の自由端部4を捜して爪で引っ掻く等の作業を確実に省略することが可能となる。さらに、ラップフィルム3の自由端部4が摘片6となるので、ラップフィルム3の中央部以外の部分を容易に引き出したり、包装ロール体1からの摘片6の剥落を防ぐことが可能となり、実用性の低い口取紙5の省略が期待できる。
次に、図8は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、摘片形成手段40の一対のエラストマーシート41の下流に、別のエラストマーシート41Aを所定の間隔をおき新たに吊持させるようにしている。
別のエラストマーシート41Aは、例えばシリコーンゴム製の薄い一枚のシートが所定の大きさ(例えば、幅480mm×470mm等)の長方形にカットされ、二つ折りに折り返されることにより、屈曲可能な断面略涙滴形に湾曲形成される。このエラストマーシート41Aは、コンベヤ10の往路の複数のローラ14上に複数の挟持ブラケットを介し揺動可能に吊持され、折り返されて湾曲した下部42がコンベヤ10の往路のローラ14に近接しており、包装ロール体1の中央部のラップフィルム3に面接触する。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、コンベヤ10の搬送方向に複数のエラストマーシート41・41Aを所定の間隔をおいて配列するので、ラップフィルム3の摘片6の形成方法や形を自由に変更することができるのは明らかである。例えば、ラップフィルム3の自由端部4の両側を一対のエラストマーシート41により折り返して巻回した後、ラップフィルム3の自由端部4の中央付近をエラストマーシート41Aにより折り返して巻回し、摘片6を形成することができる。
なお、上記実施形態ではコンベヤ10を単に示したが、摘片6形成用の専用コンベヤ10でも良いし、既存のコンベヤ10でも良い。また、フレームのブラケットに当て板15を水平に支持させても良いし、傾けて支持させても良い。また、一対のエラストマーシート41を、同様のシリコーンゴム製のゴムシートとしたが、異なるシリコーンゴム製のゴムシートとしても良い。また、ラップフィルム3の自由端部4付近の表面に摩擦痕を発生させることなく、摘片6を巻回形成することができるのであれば、一対のエラストマーシート41ではなく、一枚のエラストマーシート41を使用しても良い。
また、二枚のエラストマーシート41を接続して断面略涙滴形に湾曲形成し、一枚のエラストマーシート41とすることもできる。また、一枚あるいは二枚のエラストマーシート41の折り返された下部42内に包装ロール体1や各種の金属板等を吊持させてエラストマーシート41の重量を調整することもできる。さらに、エラストマーシート41をコンベヤ10の往路の複数のローラ14上に交換可能に吊持し、包装ロール体1との摺接で汚れたエラストマーシート41を新規のエラストマーシート41に交換する作業を容易にすることもできる。
本発明に係る包装ロール体の摘片形成装置及び摘片形成方法は、樹脂シートの製造分野で使用される。
1 包装ロール体
2 巻芯
3 ラップフィルム(樹脂シート)
4 自由端部
4a 一側(一部分)
4b 他側(他部分)
6 摘片
7 包装箱
10 コンベヤ
13 駆動チェーン(無限循環帯)
14 ローラ
16 駆動機構
18 ローラ駆動機構
40 摘片形成手段
41 エラストマーシート
42 下部

Claims (6)

  1. 巻芯に樹脂シートが巻かれた包装ロール体に、操作用の摘片を形成する包装ロール体の摘片形成装置であって、
    包装ロール体を搬送するコンベヤと、このコンベヤに搬送される包装ロール体の樹脂シートに操作用の摘片を形成する摘片形成手段とを備え、
    コンベヤは、エンドレスの無限循環帯に回転可能に連結されて包装ロール体を搭載支持可能な複数のローラと、この複数のローラのうち、少なくとも包装ロール体を搭載支持する複数のローラを搬送方向とは逆方向に回転させるローラ駆動機構とを含み、
    摘片形成手段は、エラストマーシートにより形成されてその少なくとも下部がコンベヤの往路のローラ上に吊り下げられ、往路のローラ上に位置する包装ロール体の樹脂シートに接触してその自由端部を樹脂シートの巻き方向とは反対側の方向に折り返し、自由端部の一部分と他部分とを樹脂シートの巻き方向にずらして摘片を形成することを特徴とする包装ロール体の摘片形成装置。
  2. 摘片形成手段のエラストマーシートが、10℃以上45℃未満の温度雰囲気下で包装ロール体の樹脂シートに接触する請求項1記載の包装ロール体の摘片形成装置。
  3. 摘片形成手段のエラストマーシートが複数とされ、この複数のエラストマーシートが、コンベヤの搬送方向と、搬送方向と交わる方向の少なくともいずれかの方向に所定の間隔をおき配列される請求項1又は2記載の包装ロール体の摘片形成装置。
  4. 摘片形成手段のエラストマーシートがシリコーンゴム製とされて折り返され、このエラストマーシートの折り返された下部がコンベヤの往路のローラに近接する請求項1、2、又は3記載の包装ロール体の摘片形成装置。
  5. 摘片形成手段のエラストマーシートが屈曲され、このエラストマーシートの折り返された下部がコンベヤの往路の下流方向に指向する請求項4記載の包装ロール体の摘片形成装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載した包装ロール体の摘片形成装置を用い、包装ロール体の樹脂シートの自由端部に操作用の摘片を形成することを特徴とする包装ロール体の摘片形成方法。
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