JP6871692B2 - おかわかめを材料とする食品加工物とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、おかわかめを材料とする食品加工物、特に、シート状形成体と粉体及びそれらの製造方法に関する。
おかわかめは、別名、アカザカズラ、雲南百薬、藤三七などと呼ばれ、学名は Anredera cordifolia (Tenore) Steenis)であり、ツルムラサキ科のつる性多年草の観葉植物として普及している。また、おかわかめは、葉、蔦に形成されるむかご、根塊等が利用でき、独特のぬるぬる成分が特徴であり、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅や ビタミンA(ベータカロテン)、葉酸などを多く含む 栄養価の高い食用野菜でもある。さらに、おかわかめは、冷えや疲れを改善する生薬としても知られている。食品加工物に使用できるおかわかめの部位としては、上述したように、葉、根、むかごの他、樹皮、果実、種子等も利用できるが、これらのうち、葉が好ましく用いられる。葉は、若葉、成葉等のいずれであっても用いることができる。
おかわかめの葉は、観賞用として人気があるだけあって、ツヤがあり美しい。この緑色は、一般に緑色野菜が有するクロロフィル成分よりなる。クロロフィル成分は、適正な管理を怠ると植物自身の酵素や酸性の成分の作用により分解し、その緑色を失うことが知られている。おかわかめを食品などに加工する場合においては、特に、内在する酵素の失活が不十分であったり、酸性の成分と接触したり、長時間の加熱などの要因により、おかわかめの葉が有する緑色は容易に失われてしまう。
おかわかめを使用した食品加工物に係る特許文献として、いくつかの発明が提案されている。特許文献1には、おかわかめの血糖値上昇抑制効果を有効に生かせるように、おかわかめに、桑の葉や山人参を混合した上で、乾燥かつ粉砕し粉末状または顆粒状にする混合物とその製造方法を提案している。特許文献2には、高血圧の改善と共に、血中総コレステロール、中性脂肪及び血糖値の上昇抑制を有効に図ることを目的として、おかわかめの葉を、減圧下においてマイクロ波で照射しながら乾燥し、その後適切な粉砕機により粉砕した、おかわかめの葉のマイクロ波減圧乾燥粉砕物やその熱水抽出物などを有効成分として含有する製剤及び飲食品を提案している。しかしながら、特許文献1ならびに特許文献2に係る提案においては、おかわかめの葉の緑色の退色については一切考慮されていない。
食品加工においては、退色を防止するためにいくつかの方法が提案されている非特許文献1は、加熱時におけるpH調整、及び高温短時間加熱による変色の防止方法に関するものである。このうち、前者の方法は、ブランチング処理前、ブランチング処理時、ブランチング処理後のそれぞれにおいて、アルカリ性溶液で処理することにより組織のpHを7〜8程度にする方法である。このような過程で調製した野菜は組織が軟化したり、においが悪くなったり、食するのに好ましくない味覚を呈するなどの欠点を有する。一方、後者の方法は、前者の方法とその後の高温短時間殺菌処理を組み合わせた方法であるので、前者の方法と同じ欠点を有する。
上記の問題点を解決する方法としては、特許文献3に、緑色野菜をブランチング処理した後にサイクロデキストリン溶液に浸漬し、さらに、ブランチング処理をアルカリ溶液で行った後にサイクロデキストリン溶液に浸漬することで、緑色野菜の退色を防止する方法が提案されている。
特開2013−133310号公報 特開2014−141438号公報 特許第3359003号公報
「食品の変色の化学」、石谷孝佑著:木村進、中林敏郎、加藤博通編、p159〜185 、平成7年、光琳書院
なるほど、緑色野菜をブランチング処理した後にサイクロデキストリン溶液に浸漬し、さらに、ブランチング処理をアルカリ溶液で行った後にサイクロデキストリン溶液に浸漬することで、緑色野菜の退色を防止することができる。しかしながら、特許文献3の発明は、あくまでも、緑色野菜の保存中の退色を防止できても、緑色野菜の乾燥時の退色や、その後の加工時の退色を十分に防止するわけではないという問題があった。特に、おかわかめの葉については、乾燥したり粉砕したりして加工した種々の食品加工物の状態において、鮮やかな緑色を維持することが課題であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、本発明者は、これまでに、おかわかめを食品加工物に加工するにあたり、退色の起こらない製造方法を得るべく、鋭意研究を行ってきた。そして、おかわかめの葉をブランチング処理する際の、ブランチング処理に使用する炭酸水素ナトリウム水溶液の濃度とブランチング処理時間とが、緑色の維持又は退色に相関していることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、おかわかめの葉のクロロフィル由来の緑色を維持しながら、栄養面からも機能食品として期待できる食品加工物ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る食品加工物の製造方法は、おかわかめの葉の組織に対して、添加剤である炭酸水素ナトリウムの濃度が0.5から3%に調製された処理液を沸騰させ30秒以上ブランチング処理するブランチング工程を少なくとも含むことを特徴とする。また、該ブランチング処理により、おかわかめの葉の組織中に含まれる褐変させる成分を溶出により除去または低減せしめ、クロロフィル由来の緑色色素を維持することができる。さらに、該ブランチング処理を通じて、おかわかめの葉の組織中に含まれるクロロフィル成分の少なくとも一部をクロロフィリン化するとともに、他のクロロフィル分解酵素を失活させて、クロロフィル由来の緑色色素を維持することができる。なお、褐変させる成分の溶出を促進するため、おかわかめの葉を刻んでブランチング処理するとよい。
上記食品加工物の製造方法において、上記ブランチング工程と、炭酸水素ナトリウムを冷水で洗い流す洗浄工程と、洗浄されたおかわかめの葉を乾燥する乾燥工程とを備えるとよい。また、別の製造方法として、洗浄工程の後、乾燥工程の前に、洗浄されたおかわかめの葉を所定の厚みに圧延する圧延工程を加え、乾燥工程が、圧延工程で圧延されたおかわかめの葉を60℃から85℃で6時間から10時間乾燥する乾燥工程であり、乾燥したおかわかめの葉を粉砕して粉体にする粉砕工程とを備えるようにしてもよい。またさらに、洗浄工程の後、圧延工程の前に、洗浄後のおかわかめの葉に食品改良剤を添加して混合する食品改良剤混合工程を加え、圧延工程が、おかわかめの葉に食品改良剤を添加した混合物を所定の厚みに圧延する圧延工程としてもよい。なお、食品改良剤はソルビトールであって、該ソルビトール含有量が2〜5重量パーセントであると好適であり、シート状の食品加工物を得ることができる。好ましくは3〜4重量パーセントである。また、粉末状の食品加工物としてもよい。
本発明に係る食品加工物は、L*a*b*表色系における−a*/b*値が0.4以上であって、おかわかめのクロロフィル由来の緑色色素を維持した食品加工物であることを特徴とする。−a*/b*値が0.4以上あるとクロロフィル由来の緑色がより鮮やかで好適である。
また、本発明に係る食品加工物は、おかわかめの葉をブランチング処理するものであって、添加剤である炭酸水素ナトリウムの濃度が0.5から3%に調製された処理液を沸騰させ、所定の処理時間のブランチング処理を行うことによりクロロフィル由来の緑色色素を維持したことを特徴とする。なお、処理液について、炭酸水素ナトリウムの濃度を1%以上から3%に調製し、かつ、所定の処理時間を60秒以上とするとよい。また、処理液について、炭酸水素ナトリウムの濃度を2%以上から3%に調製し、かつ、所定の処理時間を30秒以上としてもよい。好適には、処理液について、炭酸水素ナトリウムの濃度を略1%に調製し、かつ、所定の処理時間を略120秒とするとよい。
本発明の食品加工物は、さらに食品改良剤を添加したものであってもよい。食品改良剤はソルビトールであって、該ソルビトール含有量が2〜5重量パーセントにすると好適であり、シート状にすることができる。なお、3〜4重量パーセントのソルビトールが含まれるとより好ましい。また、本発明の食品加工物は粉末状の粉体としてもよい。
本発明によれば、おかわかめの葉のクロロフィル由来の緑色を維持しながら、栄養面からも機能食品として期待できる食品加工物を製造できる。また、食品加工物を粉末にすれば、加工食品の緑色の着色料として使用することも可能である。
本発明に係る食品加工物の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明に係る食品加工物の製造方法の別の一例を示すフローチャートである。 本発明に係る食品加工物の製造方法のさらに別の一例を示すフローチャートである。 本発明に係る食品加工物でシート状形成体の製造方法の一例を示すフローチャートである。 炭酸水素ナトリウム水溶液の濃度と処理時間とがおかわかめの葉の緑色(−a*/b*値)に与える影響を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。各図において、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は、本発明を理解するために誇張して表現している場合もあり、必ずしも縮尺どおり精緻に表したものではないことに留意されたい。なお、本発明は下記に示される実施の形態に限定されるものではない。
本発明に係る食品加工物は、おかわかめの葉を、沸騰した炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬しブランチング処理することにより、クロロフィル由来の緑色色素を維持したものであることを特徴とする。また、食品加工物に、食品改良剤を添加してもよい。該食品改良剤はソルビトールを用いて、該ソルビトール含有量が2〜5重量パーセントにすると、シート状の食品加工物を得ることができる。ソルビトールはグルコースを還元し、アルデヒド基をヒドロキシ基に変換して得られる糖アルコールの一種であるが、食品改良剤としても使用される。水分を保持しやすく、冷凍しても変質しなくなるほか、成形後の製品の食感を保持する効果がある。なお、食品改良剤はソルビトールに限定されず、例えば、寒天、ゼラチン、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース等のうち、単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせた増粘安定剤を使用してもよい。また、粉末状の食品加工物としてもよい。
実施例1として、本発明に係るおかわかめの緑色を維持する加工方法の検討を行った。当該検討において、下記試験を行った。以下、試験の結果を説明する。測定は下記条件の下、地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所(大阪府羽曳野市尺度442)において実施された。ここで、試験に使用されたおかわかめは、グリーン大阪農業協同組合フレッシュクラブ本店(大阪府東大阪市荒本北1丁目5番50号)から提供されたものである。なお、実施例1に係る試験は、試験1〜4として異なる課題をもって行われた。また、図1に示すとおり、実施例1に係るおかわかめの加工方法は、おかわかめの葉を細かく刻む裁断工程(S11)と、裁断されたおかわかめの葉を、沸騰した炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬しブランチング処理するブランチング工程(S12)と、炭酸水素ナトリウムを冷水で洗い流す洗浄工程(S13)と、おかわかめの葉を乾燥する乾燥工程(S14)を備える。

試験場所:地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所(大阪府羽曳野市尺度442)食品機能実験室
試験装置:定温恒温乾燥機(NDO-520W)(東京理化器械株式会社)
測定装置:ハンディ型分光色差計(NF777) (日本電色工業株式会社)
試験1について説明する。試験1は、茹でる時間が、緑色の変化に対して相関関係があるかどうかについて検討した。

試験区:ゆで時間 0秒、10秒、20秒、30秒、40秒、60秒

結果として、ゆで時間10秒、20秒の葉は、黒い部分が浮き出た。ゆで時間40秒、60秒では、黒い部分はほぼなくなった。
なお、20時間乾燥後の葉を観察すると、黒い部分が残った葉は、黒、または灰色に変色していた。
試験2について説明する。試験1の検討において、ゆで時間が短い場合(10秒又は20秒)、葉に黒い部分が残ったものの、黒い部分が抜けた葉は、乾燥しても緑がきれいであることが判明した。そこで、試験2では、葉から黒い部分を抜きとる試験を行う。なお、当該黒い部分は、おかわかめ特有の褐変成分ではないかと見当をつけ、きざんで茹でることにより、葉の組織中に含まれる褐変成分を葉から抜き取りやすくすることにした。なお、おかわかめの葉の組織中にある褐変成分を取り除かなければ、葉の色はきれいな緑色にはならず、乾燥後には灰色または黒色となる。この褐変成分が活性酵素であるならば、クロロフィルの緑色の保持を妨げているとも考えられる。活性酵素を失活させるために適温まで加熱し、前述した黒い部分がどうなるのかを見極めることとした。

試験区:葉をきざむ。
ゆで時間 30秒、60秒→乾燥時間4時間〜6時間
スチーム90℃60秒→乾燥時間4時間〜6時間

結果として、ゆでることにより、葉の緑色部分が多く黒色の部分が少なくなる。スチームでは、水蒸気と熱をかけてもきれいな緑色にはならなかったことから、ゆでることにより水分中に溶出する成分があり、それが葉の色を黒く(灰色)にしているものと考えられる。
試験3について説明する。試験3は、ゆでることによって、おかわかめの葉の内部組織中にある褐変成分を取り、またクロロフィルを保つ処理をすることにより、緑色が保持できる方法を探るものである。
試験区:
1.葉をきざみ、1%食酢水溶液で茹でる(ゆで時間60秒)。
2.葉をきざみ、1%食塩水で茹でる(ゆで時間60秒)。
3.葉をきざみ、1%炭酸水素ナトリウム(重曹)水溶液で茹でる(ゆで時間60秒)。

結果:上記試験区において、炭酸水素ナトリウム(重曹)水溶液で茹でると、濃い緑色を保持でき、粉砕工程を経た粉末にしても、緑色はそのまま保持できた。黒くならずきれいな緑色の葉を保持できたのは、おかわかめの葉を炭酸水素ナトリウムで茹でることにより、葉の表面が溶け、葉の内部組織中に存在する褐変成分が、湯の中に溶けだしたことが最も大きな理由であると考えられる。加えて、クロロフィルは炭酸水素ナトリウム(重曹)を加えてゆでるとフィトールが脱けでて緑色のクロロフィリンとなることにより、粉砕工程を経た後も緑色が保持できたものと思われる。なお、酢(酸性水溶液)でゆでると、葉の緑色は黄褐色になった。これは、酢(酸)を加えてゆでるとマグネシウムイオンが酸の水素イオンと置換し、マグネシウムイオンが脱けでて黄褐色のフィオフィチンとなるからであろう。

4.大葉を、1%炭酸水素ナトリウム(重曹)水溶液で茹でる(ゆで時間60秒)。
5.大葉を、1%炭酸水素ナトリウム(重曹)水溶液で茹でる(ゆで時間120秒)。

4と5については、大葉を使用した試験を行った。4については、1%炭酸水素ナトリウム(重曹)で大葉を60秒ゆでると、緑色になるもの一部くすみが残るもの、全く緑色が残らないものができる。しかし、葉の組織中にある褐変成分が抜け緑色だけが残るものが大部分であった。5については、ほぼ全数の大葉で褐変成分が抜け、鮮やかな緑色のみの葉になった。また、粉末でも、4と5において、色の差ははっきりと検出された。下記表1は、色差計を使用して、ブランチング処理後の葉の緑色の変化を示している。表中に示すとおり、L*は明るさ、a*は緑〜赤のレベル(a*値はマイナスの値(絶対値)が大きくなるほど緑色が強くなり、プラスの値が大きくなるほど赤色を呈するものと評価される)、b*は青〜黄のレベルを示している(b*値はプラスの値が大きくなるほど黄色が強くなり、マイナスの値(絶対値)が大きくなると青色を呈するものと評価される)。
この色差計による測定において、1%炭酸水素ナトリウム水溶液で120秒ゆでると、a*値が最も低い値となり、緑色が保持できることがわかった。また、本発明における緑色は緑色が濃く残り、黄色の変色が小さいことが理想とする緑色であることから−a*/b*の値で表現することが最適である。−a*/b*の値が大きいものほどより深い緑色である。葉の厚さが厚い物は褐変成分が抜けにくく、またより深い緑色になった。褐変成分を確実に抜き取るには、ゆで時間を長くする、きざんでからゆでるなどが効果的であった。
Figure 0006871692
試験4について説明する。試験4は、炭酸水素ナトリウム水溶液の濃度とゆで時間を変えることにより、おかわかめの葉の緑色の保持を比較し、その相関を探るものである。この試験は、沸騰した炭酸水素ナトリウム水溶液1リットルに対し、おかわかめ葉を略50gゆでた結果である。ゆでた後のおかわかめ葉を乾燥し粉砕したおかわかめ粉末を色差計で測定した。その結果、表2の数値を得た。図5は、表2に基づくグラフであって、炭酸水素ナトリウム水溶液の濃度と処理時間とがおかわかめの葉の緑色(−a*/b*値)に与える影響を示すグラフである。すなわち、図5は、色差計を使用して、ブランチング処理後のおかわかめの葉の緑色の変化を示している。なお、試験4において、色差計として、日本電色工業株式会社のハンディ型分光色差計(NF777)を用いて、L*、a*、b*の各値の測定を行い、これらの測定値から−a*/b*値、−L*b*/a*値(黄化度)を計算した。おかわかめの葉の緑色は緑色が濃く残り、黄色の変色が小さいことが理想とする緑色であることから−a*/b*の値で表現することが最適である。

Figure 0006871692

図5を参照しながら、詳細に試験結果を説明する。試験に使用する炭酸水素ナトリウム水溶液は、濃度を0%、0.5%、1%、2%、3%と5種類準備し、これら5種類の炭酸水素ナトリウム水溶液それぞれについて茹で時間を変えながら、おかわかめの葉の緑色の変化を色差計で計測した。ついては、ブランチング処理時間を30秒、60秒、120秒、300秒とした。表2より、炭酸水素ナトリウム濃度1%、処理時間1800秒ゆでた時は、−a*/b*値は0.4以上を保持できるものの、処理時間を延長しても−a*/b*値は向上せず、むしろ、葉が煮詰まってしまい葉崩れを起こした。以上の結果から、図5に示すとおり、炭酸水素ナトリウム水溶液濃度が1%以上であり、ブランチング処理時間が60秒以上であることが緑色を保持する条件であることが判明した。また、好ましくは、炭酸水素ナトリウム水溶液の濃度は略1%であり、処理時間は略120秒であった。
実施例2を図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明に係る食品加工物の製造方法の別の一例を示すフローチャートである。図3は、また別の製造方法の別の一例を示すフローチャートである。
図2に示すとおり、実施例2に係る食品加工物の製造方法は、おかわかめの葉を、沸騰した炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬しブランチング処理するブランチング工程(S21)と、炭酸水素ナトリウムを冷水で洗い流す洗浄工程(S22)と、所定の厚みに圧延する圧延工程(S23)と、圧延されたおかわかめの葉を60℃で6時間から10時間乾燥する乾燥工程(S24)と、乾燥したおかわかめの葉を粉砕して粉体にする粉砕工程(S25)と、を備える。より詳細には、ブランチング工程(S21)において、沸騰した1%炭酸水素ナトリウム(重曹)水溶液にて2分〜5分(葉の分量による)茹でて、葉から、黒い部分がなくなることを確認する。ブランチング工程(S21)が終わったら、冷水で良く洗い炭酸水素ナトリウムを洗い流す(S22)。そして、ザルにあげ、水分をとる(キッチンペーパーの上にガーゼを敷き、その上に茹で葉をおいて水分をとってもよい)。次に、クッキングシートを敷いたバットに移した後、薄く伸ばし(S23)、60℃で6時間から10時間乾燥する(S24)。最後に、よく乾いたら、粉末にする(S25)。なお、葉をきざまない場合は、茹で葉から黒い部分がなくなるくらいまで茹でるとよい。
なお、実施例2とは別の製造方法として、おかわかめの葉を細かく刻んだ後、実施例2に係る工程を行なうことができる。すなわち、炭酸水素ナトリウムを冷水で洗い流す洗浄工程の後に、食品改良剤を添加し圧延乾燥する圧延乾燥工程を備えた製造方法で食品加工物を製造してもよい。図3は、本発明に係る食品加工物の製造方法のさらに別の一例を示すフローチャートである。図3に示すとおり、おかわかめの葉を細かく刻む裁断工程(S31)と、裁断されたおかわかめの葉を、沸騰した炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬しブランチング処理するブランチング工程(S32)と、炭酸水素ナトリウムを冷水で洗い流す洗浄工程(S33)と、洗浄したおかわかめに食品改良剤を添加して混合する食品改良剤混合工程(S34)と、所定の厚みに圧延する圧延工程(S35)と、圧延されたものを乾燥する乾燥工程(S36)と、粉砕して粉体にする粉砕工程(S37)と、を備えるようにすることができる。
実施例4を図面を参照して詳細に説明する。実施例4においては、おかわかめのシート状の食品加工物を試作した。図4は、本発明に係る食品加工物でシート状形成体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
当初は、茹でた葉をミキサーで粉砕後シート状にして乾燥したり、あるいは、茹でた葉を包丁で細かく刻みシート状にしたりして乾燥したが、単に乾燥しただけでは、シートになっても非常に割れやすいことがわかった。そこで、おかわかめのシート状食品加工物に柔軟性をもたせる検討を行った。

試験区:
・3%トレハロース添加
・3%ソルビトール添加

結果として、3%トレハロース添加は、割れやすく柔軟性を持たせる効果はなかったが、3%ソルビトール添加では、柔軟性を備えた。しかし、2%ソルビトール添加では、柔軟性が不足した。以上のことから、3%以上のソルビトール添加で、シートとして利用できる可能性があると思われる。
実施例4に係る食品加工物の製造方法は、おかわかめの葉を細かく刻む裁断工程(S41)と、裁断されたおかわかめの葉を、沸騰した炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬しブランチング処理するブランチング工程(S42)と、炭酸水素ナトリウムを冷水で洗い流す洗浄工程(S43)と、洗浄されたおかわかめの葉と食品改良剤とを混合する食品改良剤混合工程(S44)と、所定の厚みに圧延する圧延工程(S45)と、この圧延されたおかわかめシートを乾燥する乾燥工程(S46)と、を備える。
以上、本発明のおかわかめを材料とする食品加工物とその製造方法の構成例における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
本発明に係るおかわかめを材料とする食品加工物とその製造方法は、おかわかめの葉のクロロフィル由来の緑色を維持しながら、栄養面からも機能食品として期待できる食品加工物を製造できる。また、食品加工物を粉末にすれば、加工食品の緑色の着色料として使用することも可能で広く利用することができる。
S11 S31 S41 裁断工程
S12 S21 S32 S42 ブランチング工程
S13 S22 S33 S43 洗浄工程
S23 S35 S45 圧延工程
S34 S44 食品改良剤混合工程
S14 S24 S36 S46 乾燥工程
S25 S37 粉砕工程

Claims (1)

  1. 濃度を1%以上3%までの炭酸水素ナトリウム水溶液を沸騰させ、刻んだおかわかめの葉を該沸騰した炭酸水素ナトリウム水溶液に60秒から300秒浸漬することにより、該おかわかめの葉の緑色を黒色又は灰色にする葉組織内の成分を溶出させて除去又は低減せしめる方法。
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