JP6869479B2 - 粒子線ビーム照射装置及び粒子線ビーム表示プログラム - Google Patents
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Description
この照射法は、高い精度で患部の3次元形状に合わせて照射することができるので、従来の2次元的な照射方法と比較して正常細胞への被爆を抑制することができる。
3次元スキャニング照射法では、まず、各格子に照射する粒子線ビーム(以下、単に「ビーム」という)の線量を予め決定する、いわゆる治療計画を実施する。
そして、この治療計画で決定された計画線量に従って実際にビームを患部に照射して、患部を治療する。
スポットスキャニング法およびラスタースキャニング法のいずれの方法であっても、ビームは、各スポット(格子点)について計画された線量に達するまでそのスポットに停留する。
そして、ビームは、計画線量に達したことを通知するスポット切換え指令を受けて、次のスポットに移動する。
1つのスライスの照射が完了すると、ビームの出射を一旦停止して、ビームの飛程距離の変更などによってスライスを変更する。
このようにスキャニング照射とスライスの変更とを繰り返して3次元の治療部位全域にわたる照射を行う。
この位置モニタを用いて、計測されたビームスポットの位置座標が治療計画で規定された位置にあるか判定する。
ビームスポットのずれが許容範囲を超えた場合は、粒子線ビーム照射装置にインターロック信号が発信されて、照射が一時停止される。
線量プロファイルを表示させることで、医師または技師などの作業者は、実際にこのスライスへの照射が計画通りに実施されたか確認することができる。
従来の位置モニタは、ビームの出射を制御するインターロック信号の発信の判定に用いられるものであり、作業者に照射の様子を視認させる機能はない。
よって、ビームが治療計画通りに照射およびスポットの移動をしていなくても、作業者は異常事態を直ちに把握することができない。
つまり、例えばスキャニング用の電磁石電源の電流設定に異常が発生した場合、作業者はその異常性を直ちに把握することが困難であった。
(概略的構成)
図1は、実施形態にかかる粒子線ビーム照射装置10(以下、単に「照射装置10」という)の概略外観図である。
照射装置10は、ビーム生成部11、出射制御部12、ビーム走査部13、X用電磁石14a(14)、Y用電磁石14b(14)、真空ダクト16、線量モニタ17、位置モニタ18、制御部19、リッジフィルタ21、レンジシフタ22等を備えて構成される。
以下、照射装置10を、癌治療に用いられる治療装置であるとして説明する。
照射装置10は、患部24を3次元の格子状に区分けし、各スポット(格子点)に対して細い径のビームを順次照射する3次元スキャニング照射法に用いることができる。
そして、分割した各スライスの2次元スポット(図1の座標系におけるX軸及びY軸方向のスポット)を順次走査しながら照射することで、患部24を3次元的に照射する。
ビーム走査部13によって、X方向に走査するX用電磁石14aとY方向に走査するY用電磁石14bの励磁電流が制御される。
ここで、図2は、ストリップ型の位置モニタ18の構成例を示す図である。
位置モニタ18には、複数の短冊状電極20(収集電極20)が配列されたストリップ型または複数のワイヤ電極が配列されたマルチワイヤ型のものなどがある。
高電圧電源27により高電圧電極20cに電位を与えることでビームが通過した周辺の短冊状電極20が電離作用で発生した荷電粒子をその発生分布に応じて収集することで各短冊に電流が流れる。
制御部19は、線量監視部25において線量モニタ17の出力を基に各スポットの線量を監視し、例えば、出射制御部12のビーム出射のオン、オフ制御、ビーム走査部13へのビーム走査に関する指示、レンジシフタ22のスライス変更に伴うレンジシフト量の制御等を行う。
このようなビームのずれや電流設定の異常が発生すると、治療計画で規定した位置モニタ18における規定位置と、実際の位置座標とにずれが発生する。
この場合、制御部19に設けられた位置監視部28(図3)によりインターロック信号が発信され、治療照射は一時中断される。
なお、図1で示す制御部19においては、線量監視部25、出射制御部12、ビーム走査部13およびレンジシフタ22に対する制御に関する各種機能ブロックは省略している。
3次元スキャニング照射法で用いられるリッジフィルタ21は、断面が略二等辺三角形のアルミニウム棒状部材を複数並置して構成される。
この二等辺三角形の形状を調節してビームが二等辺三角形を通過する際の径路長の差異を調節することで、ブラッグピークの拡散を調整する。
レンジシフタ22は、アクリル板などからなる種々の厚さの減衰板22aの組み合わせを変更して、レンジシフタ22を通過するビームのエネルギー、即ち体内飛程を変更する。
なお、体内飛程の切り替え方法としては、レンジシフタ22を用いずに、上流機器の制御によってビームのエネルギー自体を変更する方法もある。
図3は、第1実施形態にかかる照射装置10の制御部19およびその周辺機器の概略構成図である。
なお、線量監視部25、出射制御部12、ビーム走査部13およびレンジシフタ22に対する制御に関する各種機能ブロックは省略する。
電流評価回路32は、例えば、I/V変換部33、増幅部35、積分部36およびADC回路37(以下、単に「ADC37」という)で構成される。
各チャンネルから出力される信号は、電流評価回路32で増幅されるとともに、適切な信号形態に変換されて重心算出部34に送られる。
2つの収集電極20(20a,20b)は、それぞれ対応する電流評価回路32に接続される。
重心算出部34は、重心計算を行なって2つの収集電極20(20a,20b)に対してそれぞれ重心位置G(Xc,Yc)を算出する。
重心算出部34によって、広がりを有するビームスポットは、重心位置Gの一点にあるものとみなすことができる。
そして、これらの差(Xc−XrまたはYc−Yr)が許容範囲を超えていれば、位置異常と判定してインターロック信号を発生してビームの出射を停止させる。
また、重心算出部34には、位置情報出力部29が接続される。
位置情報出力部29は、例えばシリアル信号変換器またはアナログ信号変換器など、重心算出部34で算出された重心位置Gが表示部31で表示可能な信号に変換する。
線量プロファイル算出部38は、重心算出部34が出力する線量プロファイル30および重心位置Gに関する情報を一時的に記憶する。
そして、1つのスライスの走査による照射が完了したとき、表示部31に、スライス画像と重ねてビームの軌跡および線量などを線量プロファイル30として出力する。
そして、位置情報出力部29は、重心位置Gを2次元走査の範囲に亘って連続的に表示部31へ出力する。
表示部31は、位置情報出力部29から出力される重心位置Gをビーム位置の2次元分布として表示する。
図4に示されるように、重心位置Gを表示部31に出力することで、スライス上のスポットを移動しながら走査するビームの照射進行中の様子を視角化することができる。
ビームが停留した各スポットの表示時間は、表示部31に接続された表示時間調節部39で調節される。
表示時間を規定して古い軌跡をフェイドアウトさせることで、ビームが何度か往復して、軌跡が重なった場合にも、最新の軌跡を視認することができる。粒子線治療装置の1スライス当たり照射時間は1秒程度であるので、フェイドアウトする時間は1スライス当たり照射時間と同程度かそれより短く、かつ視覚的に認識できる0.1秒〜1秒が適している。
まず、患部24をビーム軸に対して複数のスライスに仮想的に分割し、分割されたスライスの1つが選択される。
最初は例えば患部24の最も深い位置にあるスライスが選択される。
また選択されたスライスの位置に応じてビームの入射エネルギーとレンジシフタ22における減衰板22aの組み合わせが選択、設定される(S11)。
同時に、ビーム走査部13によりスライス上のスポット位置(Xi、Yi)にビームの向きが設定される。
ビーム走査部13から出力されたビームは、リッジフィルタ21によって、体内飛程分布幅がスライス幅に対応するようエネルギー分布がZ軸方向に拡大される。
図5(A)、(B)に示す2つの電磁石の励磁電流は、2軸方向(X、Y)の位置設定値に対応する。
3次元ラスタースキャニング照射法を用いているので、図5(C)に示されるように、ビームは、継続的に出射される。
この線量満了信号を受信して励磁電流を変更し、励磁電流が設定値に達するとその励磁電流値に保持される。
ビームの照射点は、図5(E)の線量満了信号の発信に従い移動する。
積分される電荷量は、照射点を移動中に生じる収集電荷と停止照射点に照射されたビームにより生じる収集電荷の和とみなされる。
図5(F)および図5(G)に基づいて積分部36で得られた荷電の積分値は、重心算出部34に送信される。
ビームが通過した各位置座標は、表示時間調節部39で規定された時間だけ表示部31で表示されてからフェイドアウトする。
つまり、表示されたビームの軌跡は、図4に示されるように、古いものから順に画面上からフェイドアウトする。
この処理を対象とするスライスの最終スポットまで繰り返す(S16:NO:S12へ)。
そして、ビームを照射したスライスの画像をビームの照射軌跡とともに線量プロファイルとして表示部31に表示する。
最終スライスに達するまで、上記の動作を繰り返す(S18:NO:S11へ)。
最終スライスの照射が終了すると(S18:YES)、位置情報出力部29から重心位置Gの軌跡に関する出力は停止し(S19)、動作が終了する。
図6は、第2実施形態にかかる照射装置10の制御部19およびその周辺機器の概略構成図である。
また、図7(A)は、第2実施形態にかかる照射装置10が表示する表示画像の一例を示す図である。
患部形状保持部43は、例えば表示部31および線量監視部25に接続されて、スライス切替(S17〜S19)に同期しながら患部24の外郭42を表示部31に表示する。
患部24の外郭42は、例えば、治療計画の際に予め作成された患部24のスライス断面画像44である。
例えば、図7(A)に示されるように、スライス断面画像44およびビームの軌跡の画像46を並置して表示する。
患部24の外郭42の座標系と、重心位置Gの軌跡の座標系とを一致させて重ねて、患部外郭付軌跡画像47として表示されることがより望ましい。
このように、患部24の外郭42の座標系を重心位置Gの軌跡の座標系と患部24の外郭42の座標系を合わせて表示することで、患部24のどの位置に照射がされているか、より具体的に把握することができる。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
さらに、患部24の外郭42の座標系と位置モニタ18の座標系を合わせて重ねて表示することで、患部24のどの部位をビームが走査しているか、さらに正確に把握することができる。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
Claims (4)
- 粒子線ビームを生成するビーム生成部と、
前記粒子線ビームの出射を制御する出射制御部と、
前記粒子線ビームを2次元走査するビーム走査部と、
複数の第1の線状電極が第1の方向に並列配置され、複数の第2の線状電極が前記第1の方向と直交する第2の方向に並列配置される位置モニタと、
前記第1の線状電極から出力される第1の信号と、前記第2の線状電極から出力される第2の信号とから前記粒子線ビームの重心位置を算出する重心算出部と、
前記重心位置を前記2次元走査の範囲に亘って連続的に出力する位置情報出力部と、
前記位置情報出力部に接続されて前記位置情報出力部から出力される前記重心位置を連続的に表示することでスライス上を走査する前記粒子線ビームの軌跡として前記スライスの前記2次元走査中に表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、前記連続的に表示する前記重心位置の表示ごとに、1スライス当たりの照射時間より短い所定の表示時間を経過したら表示を消去することを特徴とする粒子線ビーム照射装置。 - 前記表示時間を調節する表示時間調節部を備える請求項1に記載の粒子線ビーム照射装置。
- 前記粒子線ビームは癌治療患者の患部に照射され、
前記患部の外郭が、前記重心位置の軌跡とともに前記表示部に表示される請求項1又は請求項2に記載の粒子線ビーム照射装置。 - コンピュータに、
第1の方向に並列配置された第1の線状電極から出力される第1の信号と、前記第1の方向と直交する第2の方向に並列配置された第2の線状電極から出力される第2の信号とから粒子線ビームの重心位置を算出するステップ、
前記重心位置を2次元走査の範囲に亘って連続的に出力するステップ、
1スライスの前記2次元走査中に前記重心位置を連続的に表示することで前記スライスを走査する前記粒子線ビームの軌跡として直接表示するステップ、
前記連続的に表示する前記重心位置の表示ごとに、1スライス当たりの照射時間より短い所定の表示時間を経過したら表示を消去するステップ、を実行させることを特徴とする粒子線ビーム表示プログラム。
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