JP6866278B2 - 作業機の油圧システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ、バックホー等の作業機の油圧システムに関するものである。
従来、作業機において暖機を行う技術として特許文献1に示されているものがある。
特許文献1の作業機は、ポンプから吐出されて供給対象に送られるパイロット油の圧力を制御するパイロット圧制御弁と、このパイロット圧制御弁が組み込まれた弁ボディとを備えている。特許文献1では、弁ボディに、ポンプから吐出されたパイロット油を流入させるヒートアップ油路を設け、ヒートアップ油路に流入させたパイロット油をリリーフ弁又は絞りを介して作動油タンクに流すことにより弁ボディをヒートアップしている。
特許第5809544号公報
特許文献1の作業機では、暖機のために弁ボディを加工して、当該弁ボディ内に、リリーフ弁又は絞りを繋ぐ油圧油路を形成しなければならなかった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、油圧機器に接続された油路における暖機を簡単に行うことができる作業機油圧システムの提供を目的とする。
技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下の通りである。
作業機の油圧システムは、作動油を吐出する油圧ポンプと、作動油によって作動する第1油圧機器と、前記第1油圧機器とは別に作動油によって作動する第2油圧機器と、前記第1油圧機器に供給する作動油を制御する第1作動弁と、前記第2油圧機器に供給する作動油を制御する第2作動弁と、前記第1作動弁と前記第1油圧機器とを接続する第1油路と、前記第2作動弁と前記第2油圧機器とを接続する第2油路と、前記第1油路と前記第2油路とを接続する第3油路と、前記第1油路及び前記第2油路のいずれかの作動油を排出する排出油路と、を備え、前記第1油圧機器は、第1油路から供給される作動油の圧力に基づいて走行装置の制動と当該制動の解除とを行うブレーキ機構であり、前記第2油圧機器は、第2油路から供給される作動油の圧力に基づいて前記走行装置の速度を変更する変速機構である
前記第1作動弁は、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を前記ブレーキ機構が制動する圧力に設定する第1位置と、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を制動の解除する圧力に設定する第2位置とに切換可能なブレーキ切換弁であり、前記第2作動弁は、前記変速機構に作用させる作動油の圧力を前記変速機構の速度を変更可能な圧力に設定する変速比例弁である。
前記第1作動弁は、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を前記ブレーキ機構の制動と当該制動の解除とを行う圧力に設定するブレーキ比例弁であり、前記第2作動弁は、前記変速機構に作用させる作動油の圧力を前記変速機構の速度を変更可能な圧力に設定する変速比例弁である。
作業機の油圧システムは、作動油を吐出する油圧ポンプと、作動油によって作動する第1油圧機器と、前記第1油圧機器とは別に作動油によって作動する第2油圧機器と、前記第1油圧機器に供給する作動油を制御する第1作動弁と、前記第2油圧機器に供給する作動油を制御する第2作動弁と、前記第1作動弁と前記第1油圧機器とを接続する第1油路と、前記第2作動弁と前記第2油圧機器とを接続する第2油路と、前記第1油路と前記第2油路とを接続する第3油路と、前記第1油路及び前記第2油路のいずれかの作動油を排出する排出油路と、を備え、前記第1油圧機器は、第1油路から供給される作動油の圧力に基づいて走行装置の制動と当該制動の解除とを行うブレーキ機構であり、前記第1作動弁は、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を前記ブレーキ機構が制動する圧力に設定する第1位置と、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を制動の解除する圧力に設定する第2位置とに切換可能なブレーキ切換弁であり、前記第2油圧機器は、エンジンの動力によって駆動し且つ前記第2油路から供給される作動油の圧力に基づいて前記走行装置を駆動する駆動力を変更可能な走行ポンプと、前記第2作動弁は、前記第2油路に供給する作動油の圧力を前記エンジンの回転数に基づいて変更することでアンチストールを行うアンチストール比例弁である。
作業機の油圧システムは、前記第3油路に接続された第1バイパス油路と、前記第1バイパス油路に設けられ且つ前記第2油路から前記第1油路への作動油を許容し、前記第1油路から前記第2油路への作動油を制限する第1逆止弁を含んでいる。
前記第1油路において、前記第1作動弁と前記第3油路との間に、接続された第2バイパス油路と、前記第2バイパス油路に設けられ且つ前記第1油路と前記第3油路との接続部から前記第1作動弁側への作動油を許容し、前記第1作動弁側から前記第1油路と前記第3油路との接続部への作動油を制限する第2逆止弁を含んでいる。
本発明によれば、油圧機器に接続された油路における暖機を簡単に行うことができる。
第1実施形態における作業機の走行系の油圧システム(油圧油路)を示す図である。 第1実施形態における作業機の作業系の油圧システム(油圧油路)を示す図である。 作業機の走行系の油圧システムの部分拡大図である。 図3Aの第1変形例を示す図である。 図3Bの第2変形例を示す図である。 図3Aの第3変形例を示す図である。 第2実施形態における作業機の走行系の油圧システムの部分拡大図である。 エンジン回転数と走行一次圧の関係を示す図である。 第3実施形態における作業機の走行系の油圧システムの部分拡大図である。 図6Aの第4変形例を示す図である。 図6Aの第5変形例を示す図である。 図6Aの第6変形例を示す図である。 作業機の一例であるトラックローダを示す側面図である。 キャビンを上昇させた状態のトラックローダの一部を示す側面図である。
以下、本発明に係る作業機1の油圧システ1の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図7は、本発明に係る作業機1の側面図を示している。図7では、作業機1の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機1はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機1であってもよい。
作業機1は、図7、図8に示すように、作業機1は、機体2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5とを備えている。
本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(図7の左側)を前方、運転者の後側(図7の右側)を後方、運転者の左側(図7の手前側)を左方、運転者の右側(図7の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう
方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3には運転席8が設けられている。作業装置4は機体2に装着されている。走行装置5は、機体2の外側に設けられている。機体内の後部には、原動機32が搭載されている。
作業装置4は、ブーム10と、作業具11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ15とを有している。
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸18(第3枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸19(第4枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸20(第5枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸21(第6枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具11が装着可能とされている。別の作業具11としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の第1管材とを接続する装置である。具体的には、接続部材50の一端には、第1管材が接続可能で、他端には、予備アタッチメントの油圧機器に接続された第2管材が接続可能である。これにより、第1管材を流れる作動油は、第2管材を通過して油圧機器に供給される。
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
左側及び右側の各走行装置5は、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置5が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置5を採用
してもよい。
次に、本発明に係る作業機1の油圧システムについて説明する。作業機1の油圧システムは、走行系の油圧システムと、作業系の油圧システムを有している。
図1に示すように、走行系の油圧システムは、走行系の油圧システムは、走行装置5を駆動するシステムであって、原動機32と、第1油圧ポンプ(油圧ポンプ)P1と、第1走行モータ機構31Lと、第2走行モータ機構31Rと、走行駆動回路34とを備えている。
原動機32は、電気モータ、エンジン等から構成されている。この実施形態では、原動機32はエンジンである。第1油圧ポンプP1は、原動機32の動力によって駆動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、タンク(作動油タンク)22に貯留された作動油を吐出可能である。第1油圧ポンプP1の吐出側には、作動油を流す吐出油路40が設けられている。吐出油路40の中途部には、フィルタ35が設けられている。吐出油路40の作動油の吐出側は、複数に分岐している。当該吐出油路40の吐出側には、第1チャージ油路41が接続されている。第1チャージ油路41は、走行駆動機構34に至っている。第1油圧ポンプP1から吐出した作動油のうち、制御用として用いられる作動油のことをパイロット油、パイロット油の圧力のことをパイロット圧ということがある。
走行駆動機構34は、第1走行モータ機構31L及び第2走行モータ機構31Rを駆動する機構であって、第1走行モータ機構31Lの駆動用の駆動回路(左用駆動回路)34Lと、第2走行モータ機構31Rの駆動用の駆動回路(右用駆動回路)34Rとを有している。
駆動回路34L,34Rは、それぞれHSTポンプ(走行ポンプ)52L、52Rと、変速用油路57h,57iと、第2チャージ油路42とを有している。変速用油路57h,57iは、HSTポンプ52L,52RとHSTモータ36とを接続する油路である。第2チャージ油路42は、変速用油路57h,57iに接続され、第1油圧ポンプP1からの作動油を変速用油路57h,57iに補充する油路である。HSTポンプ52L,52Rは、原動機32の動力によって駆動される斜板形可変容量アキシャルポンプである。HSTポンプ52L,52Rは、パイロット圧が作用する前進用受圧部52aと後進用受圧部52bとを有し、受圧部52a,52bに作用するパイロット圧によって斜板の角度が変更される。斜版の角度を変更することによって、HSTポンプ52L,52Rの出力(作動油の吐出量)や作動油の吐出方向を変えることができる。言い換えれば、HSTポンプ52L,52Rは、斜板の角度を変更されることによって、走行装置5へ出力する駆動力を変更する。
第1走行モータ機構31Lは、機体2の左側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達する機構である。第2走行モータ機構31Rは、機体2の右側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達する機構である。第1走行モータ機構31Lは、HSTモータ36(走行モータ)36と、変速機構を有している。
HSTモータ36は、斜板形可変容量アキシャルモータあって、車速(回転)を1速或いは2速に変更することができるモータである。言い換えれば、HSTモータ36は、作業機1の推進力を変更することができるモータである。
変速機構は、斜板切換シリンダ38aと、走行切換弁38bとを含んでいる。斜板切換シリンダ38aは、伸縮によってHSTモータ36の斜板の角度を変更するシリンダである。走行切換弁38bは、斜板切換シリンダ38aを一方側或いは他方側に伸縮させる弁であって、第1位置39a及び第2位置39bに切り換わる二位置切換弁である。走行切換弁38bの切換は、変速切換弁81aにより行う。変速切換弁81aは、吐出油路40に接続され且つ第1走行モータ機構31Lの走行切換弁38b及び第2走行モータ機構31Rの走行切換弁38bに接続されている。変速切換弁81aは、第1位置81a1と第2位置81a2とに切り換え可能な二位置切換弁である。変速切換弁81aを第1位置81a1にすると、変速機構の走行切換弁38bに作用させる作動油の圧力を所定の速度(例えば、1速)に設定する。また、変速切換弁81aを第1位置81a1にすると、走行
切換弁38bに作用させる作動油の圧力を所定の速度(1速)よりも早く速度(2速)に設定する。したがって、変速切換弁81aが第1位置81a1の場合、走行切換弁38bは第1位置39aになり、これに伴って、斜板切換シリンダ38aは収縮し、HSTモータ36を1速にすることができる。また、変速切換弁81aが第2位置81a2の場合、走行切換弁38bは第2位置39bになり、これに伴って、斜板切換シリンダ38aは伸長し、HSTモータ36を2速にすることができる。なお、HSTモータ36を1速又は2速の変速は制御装置90の制御により行う。例えば、制御装置90には、スイッチ(変速スイッチ)等の操作部材58が設けられている。操作部材58を1速に切り換えると、制御装置90は、変速切換弁81aのソレノイドを消磁する制御信号を出力して当該変速切換弁81aを第1位置81a1にする。また、操作部材58を2速に切り換えると、制御装置90は、変速切換弁81aのソレノイドを励磁する制御信号を出力して当該変速切換弁81aを第2位置81a2にする。
また、第1走行モータ機構31Lは、ブレーキ機構30を有している。ブレーキ機構30は、右側の走行装置5の制動、即ち、HSTモータ36の回転又はHSTモータ36の回転に伴って回転する出力軸の回転を停止可能である。ブレーキ機構30は、第1油圧ポンプP1から吐出されたパイロット油(作動油)によって、走行モータ機構31を制動する作動状態となったり、制動を解除する作動状態に変化する。例えば、ブレーキ機構30は、走行モータ機構31の出力軸に設けられた第1ディスクと、移動可能な第2ディスクと、第2ディスクが第1ディスクに接触する側へ付勢するバネとを備えている。また、ブレーキ機構30は、第1ディスク、第2ディスク及びバネを収容する収容部(収容ケース)59を備えている。この収容部59であって、第2ディスクが納められている部分と、ブレーキ切換弁80aとは、後述するように油路を介して接続されている。ブレーキ切換弁80aは、ブレーキ機構30における制動及び制動の解除(制動解除)を行う電磁弁であって、第1位置80a1と第2位置80a2とに切り換え可能な二位置切換弁である。ブレーキ切換弁80aは、第1位置80a1である場合、ブレーキ機構30に作用させる作動油の圧力(収容部59に作用する圧力)を当該ブレーキ機構30が制動する圧力に設定する。また、ブレーキ切換弁80aは、第2位置80a2である場合、作動油の圧力を制動解除する圧力に設定する。なお、ブレーキ切換弁80aの切換は、制御装置90の制御により行う。例えば、制御装置90には、ブレーキ切換弁80aのソレノイドを消磁する制御信号を出力して当該ブレーキ切換弁80aを第1位置80a1にする。また、制御装置90は、ブレーキ切換弁80aのソレノイドを励磁する制御信号を出力して当該ブレーキ切換弁80aを第2位置80a2にする。また、制御装置90からブレーキ切換弁80aへの制御信号の出力は、例えば、スイッチを設けておき、スイッチを手動で操作することにより行っても良いし、制御装置90が作業機の運転状況を判断して自動的に行ってもよい。
したがって、ブレーキ制切換弁80aが第1位置80a1である場合、収容部59の格納部のパイロット油が排出され、第2ディスクが制動の方向に動き、ブレーキ機構30における制動を行うことができる。また、ブレーキ制切換弁80aが第2位置80a2である場合、収容部59の格納部にパイロット油が供給され、第2ディスクが制動とは反対側(バネの付勢方向とは反対側)に動き、ブレーキ機構30における制動解除を行うことができる。なお、第2走行モータ機構31Rは、第1走行モータ機構31Lと同様の構成であって、第1走行モータ機構31Lで示した構成を第2走行モータ31Rに読み替えればよいため、構成の説明を省略する。
図1に示すように、作業機1は、操作装置53を備えている。操作装置53は、走行装置5、即ち、第1走行モータ機構31L、第2走行モータ機構31R及び走行駆動回路34を操作する装置である。操作装置53は、第1操作部材54と、複数の操作弁55(55a、55b、55c、55d)とを有している。
第1操作部材54は、操作弁55に支持され、左右方向(機体幅方向)又は前後方向に揺動する操作部材である。また、複数の操作弁55は、共通、即ち、1本の第1操作部材54によって操作される。複数の操作弁55は、第1操作部材54の揺動に基づいて作動
する。複数の操作弁55には、吐出油路40を介して、第1油圧ポンプP1からの作動油(パイロット油)が供給可能である。複数の操作弁55は、操作弁55a、操作弁55b、操作弁55c及び操作弁55dである。
複数の操作弁55と、走行系の走行駆動機構34(走行ポンプ52L,52R)とは、走行油路45によって接続されている。走行油路45は、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dと、第5走行油路45eとを有している。第1走行油路45aは、走行ポンプ52Lの前進用受圧部52aに接続された油路である。第2走行油路45bは、走行ポンプ52Lの後進用受圧部52bに接続された油路である。第3走行油路45cは、走行ポンプ52Rの前進用受圧部52aに接続された油路である。第4走行油路45dは、走行ポンプ52Rの後進用受圧部52bに接続された油路である。第5走行油路45eは、操作弁55、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dを接続する油路である。第5走行油路45eは、複数のシャトル弁46と、複数の操作弁55(55a、55b、55c、55d)とを接続している。
第1操作部材54を前方(図1では矢示A1方向)に揺動させると、操作弁55aが操作されて該操作弁55aからパイロット圧が出力され、走行モータ36の出力軸が第1操作部材54の揺動量に比例した速度で正転(前進回転)して作業機1が前方に直進する。
また、第1操作部材54を後方(図1では矢示A2方向)に揺動させると、操作弁55bが操作されて該操作弁55bからパイロット圧が出力され、走行モータ36の出力軸が第1操作部材54の揺動量に比例した速度で逆転(後進回転)して作業機1が後方に直進する。
また、第1操作部材54を右方(図1では矢示A3方向)に揺動させると、操作弁55cが操作されて該操作弁55cからパイロット圧が出力され、左側の走行モータ36の出力軸が正転し且つ右側の走行モータ36の出力軸が逆転して作業機1が右側に旋回する。第1操作部材54を左方(図1では矢示A4方向)に揺動させると、操作弁55dが操作されて該操作弁55dからパイロット圧が出力され、左側の走行モータ36の出力軸が逆転し且つ右側の走行モータ36の出力軸が正転して作業機1が左側に旋回する。
また、第1操作部材54を斜め方向に揺動させると、受圧部52aと受圧部52bとに作用するパイロット圧の差圧によって、左方の走行モータ36及び右側の走行モータ36の出力軸の回転方向及び回転速度が決定され、作業機1が前進又は後進しながら右旋回又は左旋回する。
次に、作業系の油圧システムについて説明する。
図2に示すように、作業系の油圧システムは、ブーム10、バケット11、予備アタッチメント等を作動させるシステムであって、複数の制御弁51と、作業系油圧ポンプ(第2油圧ポンプP2)を備えている。
第2油圧ポンプP2は、第1油圧ポンプP1とは異なる位置に配置されたポンプであって、低容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、作動油タンクに貯留された作動油を吐出可能である。特に、第2油圧ポンプP2は、主に油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する。
第2油圧ポンプP2の吐出側には、作業油路51fが設けられている。この作業油路51fには、複数の制御弁51が接続されている。ブーム制御弁51aは、ブームシリンダ14を制御する弁であって、バケット制御弁51bは、バケットシリンダ15を制御する弁であって、予備制御弁51cは、予備アタッチメントの油圧アクチュエータを制御する弁である。
ブーム10、バケット11の操作は、操作装置43が有する第2操作部材37によって行うことができる。第2操作部材37は、操作弁23に支持され、左右方向(機体幅方向)又は前後方向に揺動する操作部材である。第2操作部材37を傾動操作することにより、第2操作部材37の下部に設けられた各操作弁23を操作することができる。
第2操作部材37を前後に傾動させると、下降用操作弁23aが操作されて当該下降用操作弁23aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、ブーム制御弁51a
の受圧部に作用し、当該ブーム制御弁51aの入った作動油をブームシリンダ14のロッド側に供給することにより、ブーム10は下降する。
第2操作部材37を後側に傾動させると、上昇用操作弁23bが操作されて当該上昇用操作弁23bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、ブーム制御弁51aの受圧部に作用し、当該ブーム制御弁51aに入った作動油をブームシリンダ14のボトム側に供給することにより、ブーム10は上昇する。
即ち、ブーム制御弁51aは第2操作部材37の操作によって設定された作動油の圧力(下降用操作弁23aによって設定されたパイロット圧、上昇用操作弁23bによって設定されたパイロット圧)に応じて、ブームシリンダ14に流れる作動油の流量を制御可能である。
第2操作部材37を右側に傾動させると、バケットダンプ用の操作弁23cが操作され、バケット制御弁51bの受圧部にパイロット圧が作用する。その結果、バケット制御弁51bは、バケットシリンダ15を伸長させる方向に作動し、第2操作部材37の傾動量に比例した速度でバケット11がダンプ動作する。
第2操作部材37を左側に傾動させると、バケットスクイ用の操作弁23dが操作され、バケット制御弁51bの受圧部にパイロット油が作用する。その結果、バケット制御弁51bは、バケットシリンダ15を縮小させる方向に作動し、第2操作部材37の傾動量に比例した速度でバケット11がスクイ動作する。
即ち、バケット制御弁51bは、第2操作部材37の操作によって設定された作動油の圧力(操作弁23cによって設定されたパイロット圧、操作弁23dによって設定されたパイロット圧)に応じて、バケットシリンダ15に流れる作動油流量を制御可能である。つまり、操作弁23a,23b,23c,23dは、第2操作部材37の操作に応じて作動油の圧力を変化させ且つ変化後の作動油を、ブーム制御弁51a、バケット制御弁51b、予備制御弁51cなどの制御弁に供給する。
予備アタッチメントの操作は、運転席8の周囲に設けられたスイッチ56によって行うことができる。スイッチ56は、例えば、揺動自在なシーソ型スイッチ、スライド自在なスライド型スイッチ、或いは、押圧自在なプッシュ型スイッチで構成されている。スイッチ56の操作は、制御装置90に入力される。電磁弁等から構成された第1電磁弁56a及び第2電磁弁56bは、スイッチ56の操作量に応じて開く。その結果、第1電磁弁56a及び第2電磁弁56bに接続された予備制御弁51cにパイロット油が供給され、予備アタッチメントの予備アクチュエータは、予備制御弁51cから供給された作動油によって作動する。
さて、作業機1の油圧システムは、第1油圧機器に接続する第1油路と、第2油圧機器に接続する第2油路とを第3油路で接続することにより、暖機を行い易くしている。この実施形態では、第1油圧機器はブレーキ機構30、第2油圧機器は変速機構であるとして、第1油路、第2油路、第3油路について説明する。
図1及び図3Aに示すように、第1油路61は、第1油圧機器(ブレーキ機構30)と、第1油圧機器(ブレーキ機構30)に供給する作動油を制御する第1作動弁(ブレーキ切換弁)80aとを接続する油路である。この実施形態では、第1油路61は、第1ブレーキ油路61aと、第2ブレーキ油路61bとを含んでいる。第1ブレーキ油路61aは、第1走行モータ機構31Lのブレーキ機構30と、ブレーキ切換弁(第1作動弁)80aとを接続する油路である。第2ブレーキ油路61bは、第2走行モータ機構31Rのブレーキ機構30と、ブレーキ切換弁(第1作動弁)80aとを接続する油路である。第1ブレーキ油路61aと第2ブレーキ油路61bとは途中で合流していて、合流後の油路(第1ブレーキ油路61aと第2ブレーキ油路61bとの兼用油路)61cがブレーキ切換弁80aに接続されている。兼用油路61cには、作動油の流量を低減する絞り部74が設けられている。言い換えれば、絞り部74は、第1油路61において、第3油路63が第1油路61に接続する接続部(後述する合流部64)とブレーキ切換弁80aに接続する接続部との区間に設けられている。
ブレーキ切換弁80aの排出ポートには、第1油路61(第1ブレーキ油路61a、第
2ブレーキ油路61b)の作動油を排出可能な排出油路66が接続されている。排出油路66は、油圧ポンプの吸込み部や作動油タンク22等に接続されている。
第2油路62は、第2油圧機器(変速機構)と、第2油圧機器(変速機構)に供給する作動油を制御する第2作動弁(変速切換弁)81aとを接続する油路である。この実施形態では、第2油路62は、第1変速油路62aと、第2変速油路62bとを含んでいる。第1変速油路62aは、第1走行モータ機構31Lにおける変速機構の走行切換弁38bと、変速切換弁(第2作動弁)81aとを接続する油路である。第2変速油路62bは、第2走行モータ機構31Rにおける変速機構の走行切換弁38bと、変速切換弁(第2作動弁)81aとを接続する油路である。
第1変速油路62aと第2変速油路62bとは途中で合流していて、合流後の油路が変速切換弁81aに接続されている。変速切換弁81aの排出ポートには、第2油路62(第1変速油路62a、第2変速油路62b)の作動油を排出可能な排出油路67が接続されている。排出油路67は、油圧ポンプの吸込み部や作動油タンク22等に接続されている。
第3油路63は、第1油路61と第2油路62とを接続する油路である。第3油路63は、第1ブレーキ油路61aと第2ブレーキ油路61bとが合流する合流部64と、第1変速油路62aと第2変速油路62bとが合流する合流部65とを接続している。第3油路63には、作動油の流量を低減する絞り部73が設けられている。
以上によれば、例えば、変速切換弁(第2作動弁)81aを1速、且つブレーキ切換弁80aを第2位置80a2にした場合、第1油路61の作動油は第3油路63を経て、第2油路62に流れ、変速切換弁81aの排出ポートから排出油路67に排出することができる。したがって、第1油路(ブレーキ油路)及び第2油路(変速油路)の暖機を行うことができる。
つまり、ブレーキ切換弁80aとブレーキ機構30とを接続する第1油路61と、変速切換弁81aと変速機構(走行切換弁38b)とを接続する第2油路62とを第3油路63で接続して、第1油路61及び第2油路62のいずれかの作動油を排出する排出油路66、67を設けることにより、第1油路61及び第2油路62の暖機を簡単に行うことができる。特に、ブレーキ切換弁80aを第1位置80a1及び第2位置80a2に切り換え可能な切換弁で構成し、且つ、変速切換弁81aを第1位置81a1及び第2位置81a2に切り換え可能な切換弁で構成しているため、両者の切換弁を切り換えることにより、簡単に暖機を行うことができる。
例えば、制御装置90は、第1作動弁80aと第2作動弁81aを制御することで、第1油路61又は第2油路62の作動油を、第3油路63を経由して排出油路へと導くことで、作動油の暖機を行う。制御装置90は、作動油の暖機を行う場合、変速切換弁(第2作動弁)81aを第1位置81a1に切り換え、且つブレーキ切換弁(第1作動弁)80aを第2位置80a2に切り換える。これにより、第1油路61の作動油は第3油路63を経由して、第2油路62に流れ、変速切換弁81aの排出ポートから排出油路67に排出して、作業機1を1速で走行させながら作動油の暖機を行うことができる。
図3Bは、図3Aの第1変形例を示す図である。なお、図3Bは、説明の便宜上、第1走行モータ機構31L側の油路(第1ブレーキ油路61a、第1変速油路62a)を示しているが、第2走行モータ機構31R側の油路(第2ブレーキ油路61b、第2変速油路62b)は省略しており、第2走行モータ機構31R側の油路に対しても適用可能である。
図3Bに示すように、第1変形例では、走行切換弁(第2作動弁)81aを電磁比例弁で構成された変速比例弁81bに変更した例である。変速比例弁81bの制御は、制御装置90の制御により行う。例えば、操作部材58を1速に切り換えると、制御装置90は、変速比例弁81bに制御信号を出力して当該変速比例弁81bの開度を1速に対応する開度に設定する。即ち、変速比例弁81bは、走行切換弁38bに作用する作動油の圧力(走行切換弁38bの受圧部に作用する圧力)が当該走行切換弁38bを第1位置81a1に保持する圧力に設定する。また、操作部材58を2速に切り換えると、制御装置90
は、変速比例弁81bに制御信号を出力して当該変速比例弁81bの開度を1速よりも大きく設定する。即ち、変速比例弁81bは、走行切換弁38bに作用する作動油の圧力(走行切換弁38bの受圧部に作用する圧力)が当該走行切換弁38bを第2位置81a2に保持する圧力に設定する。即ち、変速比例弁81bは、変速機構の走行切換弁38bに供給する作動油の圧力を変速機構の速度を変更可能な圧力に設定する。
変速比例弁81bは、1次ポート(ポンプポート)81b1、2次ポート81b2を有している。変速比例弁81bの1次ポート81b1は吐出油路40に接続されている。変速比例弁81bの2次ポート81b2は、第2油路62(第1変速油路62aと、第2変速油路62b)に接続されている。変速比例弁81bの排出ポート81b3は、排出油路67を介して作動油タンク22に接続されている。
第3油路63には、第1バイパス油路68が接続されている。第1バイパス油路68には、第1逆止弁71が設けられている。第1逆止弁71は、第2油路62から第1油路61への作動油を許容し、第1油路61から第2油路62に向けて作動油が流れることを阻止する弁である。
第1油路61において、ブレーキ切換弁80aと第3油路63との間に、第2バイパス油路69が接続されている。第2バイパス油路69には、第2逆止弁72が設けられている。第2逆止弁72は、第1油路61と第3油路63との接続部からブレーキ切換弁80aへの作動油を許容し、ブレーキ切換弁80aから当該接続部に向けて作動油が流れることを阻止する弁である。
なお、第3油路63に第1バイパス油路68及び第1逆止弁71が設けられているが、第1バイパス油路68及び第1逆止弁71は設けられていなくてもよい。また、第1油路61に第2バイパス油路69及び第2逆止弁72が設けられているが、第2バイパス油路69及び第2逆止弁72は設けられていなくてもよい。或いは、作業機の油圧システムは、第1バイパス油路68及び第1逆止弁71と、第2バイパス油路69及び第2逆止弁72とのいずれかを備えていてもよい。
以上によれば、走行切換弁38bが第2位置81a2に切り換わる圧力を2速設定圧とした場合において、ブレーキ切換弁80aを第1位置80a1にしてブレーキ機構30による制動を行っている際には、走行切換弁38bに付与される圧力が2速設定圧を超えないように、変速比例弁81bの開度を設定する。これにより、第2油路62の作動油が、第1バイパス油路68及び第2バイパス油路69を通って、ブレーキ切換弁80aに接続された排出油路66から排出することができる。例えば、制御装置90は、作動油の暖機を行う場合、ブレーキ切換弁80aを第1位置80a1に切り換え、且つ、走行切換弁38bが第2位置39bにならない程度に当該変速比例弁81bの開度を設定(付与する圧力を2速設定圧未満)に設定する。
また、ブレーキ切換弁80aを第2位置80a2にしてブレーキ機構30による制動解除を行っている場合において、変速比例弁81bによって走行切換弁38bに付与する圧力を2速設定圧以上で且つ変速比例弁81bの1次ポート81b1に付与される圧力より低い圧力となるように、変速比例弁81bの開度を調整する。例えば、変速比例弁81bの1次ポート81b1に付与される作動油の圧力が2.8MPa、2速設定圧が1.0MPaである場合、変速比例弁81bの2次ポート81b2の圧力を1.8MPa等に設定する。これにより、第1油路61の作動油を第3油路63及び第2油路62に流すことができ、変速比例弁81bに接続された排出油路67から排出することができる。
例えば、変速比例弁81bの1次ポート81b1に付与される圧力(第1圧力)を測定可能な第1測定装置、変速比例弁81bの2次ポート81b2に付与される圧力(第2圧力)を測定可能な第2測定装置を制御装置90に接続する。例えば、吐出油路40であってブレーキ切換弁80aの近傍に第1測定装置を設ける。また、第2油路62に第2測定装置を設ける。例えば。第2油路62において、第2測定装置を走行切換弁38bの受圧部の近傍に設けることが好ましい。第1測定装置で測定した測定値に対して、当該第1測定装置から変速比例弁81bの1次ポート81b1までの距離から吐出油路40の圧力損失を制御装置90等によって計算することで第1圧力を測定可能である。
なお、1次側の圧力(第1圧力)は、第1油圧ポンプP1、エンジン回転数等から第1圧力が推定できるため、第1測定装置は無くてもよい。作動油の温度、エンジン回転数等の運転条件によって、走行切換弁38bに付与される作動油の圧力は推定可能であるため、第2測定装置は無くてもよい。
制御装置90は、作動油の暖機を行う場合、ブレーキ切換弁80aを第2位置80a2に切り換え且つ変速比例弁81bの開度を設定する。ここで、制御装置90は変速比例弁81bの開度を設定する場合、当該制御装置90は、第1圧力が第2圧力以下で且つ走行切換弁38bに付与する圧力が2速設定圧以上となるように、変速比例弁81bの開度を設定する。
また、ブレーキ切換弁80aを第2位置80a2にしてブレーキ機構30による制動解除を行っている場合において、変速比例弁81bによって走行切換弁38bに付与する圧力を2速設定圧未満であって1速設定圧になるように、変速比例弁81bの開度を調整する。この場合は、第1油路61の作動油が第3油路63を通って、変速比例弁81bの排出油路67から排出することができる。例えば、制御装置90は、作動油の暖機を行う場合、ブレーキ切換弁80aを第1位置80a1に切り換え、且つ、走行切換弁38bが第1位置39aになるように変速比例弁81bの開度を設定する。
図3Cは、図3Bの第2変形例を示している。この第2変形例では、図3Cに示すように、ブレーキ切換弁(第1作動弁)80aを電磁比例弁(ブレーキ切換弁)80bに変更した例である。制御装置90は、ブレーキ機構30による制動解除を行う場合、ブレーキ比例弁80bに制御信号を出力して当該ブレーキ比例弁80bの開度を、ブレーキ機構30が制動を解除する圧力(制動解除圧力)に対応する開度に設定する。例えば、ブレーキ機構30による制動を行う場合、制御装置90は、ブレーキ比例弁80bの開度を最大(ブレーキ比例弁80bを全開)にする。
また、ブレーキ機構30による制動を行う場合、制御装置90は、ブレーキ比例弁80bに制御信号を出力して当該ブレーキ比例弁80bの開度を、制動解除圧力に対応する開度未満にする。例えば、ブレーキ機構30による制動解除を行う場合、制御装置90は、ブレーキ比例弁80bの開度を最小(ブレーキ比例弁80bを全閉)にする。
ブレーキ比例弁80bは、1次ポート(ポンプポート)80b1、2次ポート80b2を有している。ブレーキ比例弁80bの1次ポート80b1は吐出油路40に接続されている。ブレーキ比例弁80bの2次ポート80b2は、第1油路61に接続されている。ブレーキ比例弁80bの排出ポート80b3は、排出油路66を介して作動油タンク22に接続されている。
以上によれば、変速比例弁81bを全開し、ブレーキ比例弁80bを制動解除圧力以上で且つ1次ポート80b1に作用する圧力よりも低くする。これにより、第2油路62の作動油を、第3油路63、第1油路61の順に流すことができ、ブレーキ比例弁80bに接続された排出油路66から排出することができる。例えば、ブレーキ比例弁80bの1次ポート80b1に付与される圧力(第3圧力)を測定可能な第3測定装置と、制動解除圧力を測定可能な第4測定装置とを制御装置90に接続する。例えば、第3測定装置を、変速比例弁81bのポンプポート側の近傍に設け、第4測定装置を第1油路61に設ける。制御装置90は、作動油の暖機を行う場合、変速比例弁81bの開度を全開に設定し、ブレーキ機構30に作用する作動油の圧力が制動解除圧力以上且つ第3圧力以下になるように、ブレーキ比例弁80bの開度を設定する。
また、制御装置90によって、作動油の暖機を行う場合、ブレーキ比例弁80bを閉鎖することで制動状態とし、且つ、変速比例弁81bを開放してもよい。この場合も、第2第2油路62の作動油を、第3油路63、第1油路61の順に流すことができ、ブレーキ比例弁80bに接続された排出油路66から排出することができる。
なお、図3Dは、図3Aの第3変形例を示している。この第3変形例では、ブレーキ切換弁80a及び変速切換弁81aを設けた油圧回路において、第3油路63に絞り部73を設け、絞り部73の両端に第1バイパス油路68を設け、当該第1バイパス油路68に第1逆止弁71を設ける。また、第2油路62において、変速切換弁81aと合流部65
との区間に絞り部83を設ける。このような場合は、制御装置90は、ブレーキ機構30による制動を行い且つ変速切換弁81aを第2位置81a2に切り換えることにより、第2油路62の作動油を第1バイパス油路68に第1逆止弁71を介してブレーキ切換弁80aの排出油路66に排出することができる。
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の油圧システムを示している。第2実施形態で示す油圧システムは、上述した第1実施形態の油圧システムに適用可能であり、簡単に暖機することができる。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成は省略する。第2実施形態における油圧システムでは、エンジンストールを防止する制御(アンチストール制御)を行う。吐出油路40であって操作装置53の経路に、比例弁(以降、アンチストール比例弁という)82が設けられ、アンチストール比例弁(第2作動弁)82を制御することによってアンチストール制御を行う。
図5は、エンジン回転数と、走行一次圧と、制御線L1、L2の関係を示している。走行一次圧とは、吐出油路40において、アンチストール比例弁82から操作弁55(操作弁55a、操作弁55b、操作弁55c、操作弁55d)に至る区間における作動油の圧力(パイロット圧)である。即ち、操作レバー54に設けられた操作弁55に入る作動油の一次圧である。制御線L1は、ドロップ量が所定未満である場合のエンジン回転数と、走行一次圧との関係を示している。制御線L2は、ドロップ量が所定以上である場合のエンジン回転数と、走行一次圧との関係を示している。
制御装置90は、ドロップ量が所定未満である場合、エンジンの実回転数と走行一次圧との関係が、制御線L1に一致するように、アンチストール比例弁82の開度を調整する。また、制御装置90は、ドロップ量が所定以上である場合、エンジンの実回転数と走行一次圧との関係が、制御線L2に一致するように、アンチストール比例弁82の開度を調整する。制御線L2では、所定のエンジン回転数に対する走行一次圧が、制御線L1の走行一次圧よりも低い。即ち、同一のエンジン回転数に着目した場合、制御線L2の走行一次圧が、制御線L1の走行一次圧よりも低い。したがって、制御線L2に基づく制御によって、操作弁55に入る作動油の圧力(パイロット圧)が低く抑えられる。その結果、HSTポンプ(走行ポンプ)52の斜板角が調整され、エンジンに作用する負荷が減少し、エンジンのストールを防止することができる。なお、図5では、1本の制御線L2を示しているが、制御線L2は複数であってもよい。例えば、エンジン回転数毎に制御線L2が設定されていてもよい。また、制御線L1及び制御線L2を示すデータ、或いは、関数等の制御パラメータ等は、制御装置90が有していることが好ましい。
アンチストール比例弁82は、1次ポート(ポンプポート)82b1、2次ポート82b2を有している。アンチストール比例弁82の1次ポート82b1は、吐出油路40の中途部に接続され、2次ポート82b2は、吐出油路40において中途部から操作装置53の操作弁55に至る区間(40a)に接続されている。排出ポート82b3は、排出油路67が接続されている。
第2実施形態において、第1油圧機器はブレーキ機構30であり、第2油圧機器はHSTポンプ52、即ち、走行駆動機構34である。第1油路61は、ブレーキ機構30と、ブレーキ切換弁80aとを接続する油路であって、第1実施形態同様に、第1ブレーキ油路61aと、第2ブレーキ油路61bとを含んでいる。なお、図4では、説明の便宜上、第1ブレーキ油路61aのみを示している。
第2油路62は、HSTポンプ52と、アンチストール比例弁82とを接続する油路である。この実施形態では、第2油路62は、吐出油路40の区間40aと、走行油路45とを含んでいる。なお、図4では、説明の便宜上、走行油路45の一部を示している。第3油路63の一端は、第1ブレーキ油路61aの中途部に接続され、他端は吐出油路40の区間40aの中途部に接続されている。
以上によれば、第1実施形態に示しいたようにブレーキ切換弁80aの切換と変速比例弁81bの開度(圧力)との関係と同様に、ブレーキ切換弁80aの切換とアンチストール比例弁82の開度(圧力)との関係を設定する。これにより、第1油路61又は第2油
路62の作動油を、ブレーキ切換弁80aの排出ポート、アンチストール比例弁82の排出ポートへ流すことができ、暖機を簡単に行うことができる。
[第3実施形態]
図6Aは、第3実施形態における作業機の油圧システムを示している。第3実施形態において上述した実施形態と同様の構成は説明を省略する。
図6Aに示すように、第1油圧機器は、ブレーキ機構30であり、第2油圧機器はHSTポンプ52である。第1作動弁は、電磁比例弁で構成されたブレーキ切換弁80bである。第2作動弁は、アンチストール比例弁82である。第1油路61は、第1実施形態同様に、ブレーキ機構30と、ブレーキ切換弁80bとを接続する油路であって、第1ブレーキ油路61aと第2ブレーキ油路61bとを含んでいる。なお、図6Aでは、説明の便宜上、第1ブレーキ油路61aのみを示している。
第2油路62は、HSTポンプ52と、アンチストール比例弁82とを接続する油路である。この実施形態では、第2油路62は、吐出油路40の区間40aと、走行油路45とを含んでいる。なお、図6Aでは、説明の便宜上、走行油路45の一部を示している。第3油路63の一端は、第1ブレーキ油路61aの中途部に接続され、他端は走行油路45の中途部に接続されている。
第3油路63には、第3逆止弁100が接続されている。第3逆止弁100は、第2油路62から第1油路61に作動油が流れることを許容し且つ、第1油路61から第2油路62に作動油が流れることを阻止する弁である。
図6Aに示す作業機の油圧システムでは、ブレーキ切換弁80bにて設定される設定圧(第1油路61に作用する圧力)を、アンチストール比例弁82にて設定される設定圧(第2油路62に作用する圧力)よりも低く設定する。即ち、作動油の暖機を行う場合、図示省略の制御装置90がブレーキ切換弁80bにて設定する設定圧を、アンチストール比例弁82にて設定される設定圧よりも低くなるように、ブレーキ切換弁80b及びアンチストール比例弁82の開度を決定する。このようにすれば、第2油路62の作動油が、第3油路63及び第3逆止弁100を通過して、ブレーキ切換弁80bの排出油路66に流れることによって、第1油路61及び第2油路63の暖機を行うことができる。
図6Bは、第3実施形態の第4変形例を示している。図6Bに示すように、第3油路63には、第3逆止弁100の一端と、第3逆止弁100の他端とを接続する第3バイパス油路101が設けられている。第3バイパス油路101には、絞り部102が設けられている。図6Bの第4変形例においても図6Aと同様に、ブレーキ切換弁80b及びアンチストール比例弁82の開度を設定することによって暖機を行うことができる。
図6Cは、第3実施形態の第5変形例を示している。図6Cに示すように、作業機の油圧システムは、第4油路104を備えている。第4油路104は、第3油路63とは別に、第1油路61と第2油路62とを接続する油路である。なお、図6Cでは、操作弁55aとHSTポンプ52とを接続する第2油路62及び第3油路63を省略している。
具体的には、第4油路104は、第2油路62において操作弁55とアンチストール比例弁82との区間40aと、第1油路61において第3油路63が接続する接続部64とブレーキ切換弁80bとの区間61dとを接続している。第4油路104には、第4逆止弁105が接続されている。第4逆止弁105は、第2油路62の区間40aから第1油路61の区間61dに作動油が流れることを許容し且つ、第1油路61の区間61dから第2油路62の区間40aに作動油が流れることを阻止する弁である。
また、第3バイパス油路101には、パイロットチェック弁107が設けられている。パイロットチェック弁107は、受圧部に作用油が受圧した場合に、第1油路61から第2油路62に作動油が流れることを許容し且つ、第2油路62から第1油路61に作動油が流れることを阻止する。第4油路104の中途部には、パイロットチェック弁107の受圧部と第4油路104とを接続する第5油路106が設けられている。
図6Dは、図6Aに示したアンチストール比例弁82(第2作動弁)を切換弁84に変更した例を示している。切換弁84は、第1位置84a及び第2位置84bに切り換わる二位置切換弁である。切換弁84を第1位置84aに切り換えると、区間40aの作動油
が排出油路67に排出される。切換弁84を第2位置84bに切り換えると、区間40aに作動油が供給される。切換弁84の切換は、制御装置90により行うことができる。なお、図6B及び図6Cのアンチストール比例弁82を切換弁84に変更してもよい。また、図6Dに示すように、走行油路45において、当該走行油路45と第3油路63とが合流する合流部と、操作弁55(55a、55b)との区間に絞り部110を設けてもよい。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態では、第1測定装置〜第4測定装置を設けて、それぞれの測定装置が測定した測定値に基づいて暖機を行っていたがこれに代え、制御装置90が、暖機時における第1作動弁及び第2作動弁の開度を記憶しておき、第1測定装置〜第4測定装置による測定を行わずに暖機を行ってもよい。
1 作業機
5 走行装置
30 ブレーキ機構
38 変速機構
61 第1油路
61d 区間
62 第2油路
63 第3油路
66 排出油路
67 排出油路
68 第1バイパス油路
69 第2バイパス油路
70 絞り部
71 第1逆止弁
72 第2逆止弁
73 絞り部
80a ブレーキ切換弁
80a1 第1位置
80a2 第2位置
80b ブレーキ比例弁
80b1 1次ポート
80b2 2次ポート
81a 変速切換弁
81a1 第1位置
81a2 第2位置
81b 変速比例弁
82 アンチストール比例弁
90 制御装置
100 第3逆止弁
101 第3バイパス油路
102 絞り部
104 第4油路
105 第4逆止弁
106 第5油路
107 パイロットチェック弁

Claims (11)

  1. 作動油を吐出する油圧ポンプと、
    作動油によって作動する第1油圧機器と、
    前記第1油圧機器とは別に作動油によって作動する第2油圧機器と、
    前記第1油圧機器に供給する作動油を制御する第1作動弁と、
    前記第2油圧機器に供給する作動油を制御する第2作動弁と、
    前記第1作動弁と前記第1油圧機器とを接続する第1油路と、
    前記第2作動弁と前記第2油圧機器とを接続する第2油路と、
    前記第1油路と前記第2油路とを接続する第3油路と、
    前記第1油路及び前記第2油路のいずれかの作動油を排出する排出油路と、
    を備え、
    前記第1油圧機器は、第1油路から供給される作動油の圧力に基づいて走行装置の制動と当該制動の解除とを行うブレーキ機構であり、
    前記第2油圧機器は、第2油路から供給される作動油の圧力に基づいて前記走行装置の速度を変更する変速機構である作業機の油圧システム。
  2. 前記第1作動弁は、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を前記ブレーキ機構が制動する圧力に設定する第1位置と、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を制動の解除する圧力に設定する第2位置とに切換可能なブレーキ切換弁であり、
    前記第2作動弁は、前記変速機構に作用させる作動油の圧力を前記変速機構が所定の速度に設定する第1位置と、前記変速機構に作用させる作動油の圧力を前記変速機構が前記所定の速度よりも速い速度に設定する第2位置と、に切換可能な変速切換弁である請求項1に記載の作業機の油圧システム。
  3. 前記第1作動弁は、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を前記ブレーキ機構が制動する圧力に設定する第1位置と、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を制動の解除する圧力に設定する第2位置とに切換可能なブレーキ切換弁であり、
    前記第2作動弁は、前記変速機構に作用させる作動油の圧力を前記変速機構の速度を変更可能な圧力に設定する変速比例弁である請求項1に記載の作業機の油圧システム。
  4. 前記第1作動弁は、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を前記ブレーキ機構の制動と当該制動の解除とを行う圧力に設定するブレーキ比例弁であり、
    前記第2作動弁は、前記変速機構に作用させる作動油の圧力を前記変速機構の速度を変更可能な圧力に設定する変速比例弁である請求項1に記載の作業機の油圧システム。
  5. 作動油を吐出する油圧ポンプと、
    作動油によって作動する第1油圧機器と、
    前記第1油圧機器とは別に作動油によって作動する第2油圧機器と、
    前記第1油圧機器に供給する作動油を制御する第1作動弁と、
    前記第2油圧機器に供給する作動油を制御する第2作動弁と、
    前記第1作動弁と前記第1油圧機器とを接続する第1油路と、
    前記第2作動弁と前記第2油圧機器とを接続する第2油路と、
    前記第1油路と前記第2油路とを接続する第3油路と、
    前記第1油路及び前記第2油路のいずれかの作動油を排出する排出油路と、
    を備え、
    前記第1油圧機器は、第1油路から供給される作動油の圧力に基づいて走行装置の制動と当該制動の解除とを行うブレーキ機構であり、
    前記第1作動弁は、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を前記ブレーキ機構が制動する圧力に設定する第1位置と、前記ブレーキ機構に作用させる作動油の圧力を制動の解除する圧力に設定する第2位置とに切換可能なブレーキ切換弁であり、
    前記第2油圧機器は、エンジンの動力によって駆動し且つ前記第2油路から供給される作動油の圧力に基づいて前記走行装置を駆動する駆動力を変更可能な走行ポンプと、
    前記第2作動弁は、前記第2油路に供給する作動油の圧力を前記エンジンの回転数に基づいて変更することでアンチストールを行うアンチストール比例弁である作業機の油圧システム。
  6. 前記第3油路に設けられた絞り部を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の作業機の油圧システム。
  7. 前記第3油路に接続された第1バイパス油路と、
    前記第1バイパス油路に設けられ且つ前記第2油路から前記第1油路への作動油を許容し、前記第1油路から前記第2油路への作動油を制限する第1逆止弁を含んでいる請求項1〜6のいずれかに記載の作業機の油圧システム。
  8. 前記第1油路において、前記第1作動弁と前記第3油路との間に、接続された第2バイパス油路と、
    前記第2バイパス油路に設けられ且つ前記第1油路と前記第3油路との接続部から前記第1作動弁側への作動油を許容し、前記第1作動弁側から前記第1油路と前記第3油路との接続部への作動油を制限する第2逆止弁を含んでいる請求項1〜7のいずれかに記載の作業機の油圧システム。
  9. 前記第3油路に設けられ且つ前記第2油路から第1油路に作動油が流れることを許容し、前記第1油路から前記第2油路に作動油が流れることを阻止する第3逆止弁を備えている請求項1〜8のいずれかに記載の作業機の油圧システム。
  10. 前記第3油路に接続され且つ前記第3逆止弁の一端側と前記第3逆止弁の他端側とを接続する第3バイパス油路を備えている請求項9に記載の作業機の油圧システム。
  11. 前記排出油路は、前記第1作動弁又は前記第2作動弁の排出ポートに接続されている請求項1〜10のいずれかに記載の作業機の油圧システム。
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