JP6864493B2 - リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法 - Google Patents

リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6864493B2
JP6864493B2 JP2017031592A JP2017031592A JP6864493B2 JP 6864493 B2 JP6864493 B2 JP 6864493B2 JP 2017031592 A JP2017031592 A JP 2017031592A JP 2017031592 A JP2017031592 A JP 2017031592A JP 6864493 B2 JP6864493 B2 JP 6864493B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
lignocellulose
compression molded
fibers
molded product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017031592A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018134816A (ja
Inventor
朋 柿谷
朋 柿谷
友紀子 島川
友紀子 島川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Forestry Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Forestry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Forestry Co Ltd filed Critical Sumitomo Forestry Co Ltd
Priority to JP2017031592A priority Critical patent/JP6864493B2/ja
Priority to PCT/JP2017/020895 priority patent/WO2018116500A1/ja
Publication of JP2018134816A publication Critical patent/JP2018134816A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6864493B2 publication Critical patent/JP6864493B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)

Description

本発明は、リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法、その製造方法により製造された圧縮成形体、及びその利用方法等に関する。
木材や非木材の植物に由来するリグノセルロース資源は、植物の生長過程において二酸化炭素を蓄積しており、その使用や廃棄に際しては余剰の二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルな材料として認識されている。
木材や非木材の植物から得られるリグノセルロース資源は、リグノセルロース繊維で構成されている。リグノセルロース繊維は、リグノセルロース資源を機械的、熱機械的、化学的、化学機械的、又は化学熱機械的に処理することで、繊維を接着剤的に束ねている中間層を破壊し、解きほぐすことで得られる。このようにして得られたリグノセルロース繊維は、主に紙原料としてのパルプやファイバーボード原料としての繊維として使用されている。これはリグノセルロース繊維が、軽量で高強度、且つ、高弾性であるためである。
近年の地球温暖化に代表されるような環境問題を解決するために、従来用いられてきたような、ガラス繊維や合成樹脂繊維、金属繊維やアスベスト繊維の代替として、リグノセルロース繊維の使用が期待されている。
しかしながら、リグノセルロース繊維は非常に嵩高く、その嵩密度が典型的には30〜50kg/m3であるため、そのままでは効率的に輸送することはできない。それに加えて、そのままの状態で、被補強材と混合すると粉塵が舞い立ちやすく、作業環境の悪化、他材料や設備のコンタミネーション等の問題を引き起こす恐れがある。
また、繊維を樹脂ペレットと混ぜて繊維強化複合材料を製造する場合、樹脂ペレットと混合する際に、リグノセルロース繊維がそのまま状態であると、繊維と樹脂の嵩密度が大きく相違するため、繊維を樹脂ペレットと均一に混合することができず、樹脂ペレットと繊維が分離してしまったり、双方を一定の比率で供給できなくなったりするなどにより、均質な繊維補強複合材料ができないという問題がある。
特許5481066号公報 特許5279125号公報 特表2012−532040号 特開2012−161275号 特開2009−051985号
上記の問題を解決するには、リグノセルロース繊維を圧縮し、ペレットのような粒状にするのが好ましいと考えられる。
リグノセルロース繊維をペレットのような粒状にする技術として、特許文献1〜3には、熱可塑性樹脂をリグノセルロース繊維に添加し、熱可塑性樹脂をバインダーとして、熱プレス法を用いてセルロース繊維の圧縮板を成形した後、その圧縮板を、機械的にペレットやダイスと呼ばれる小片・小粒に切断する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法は、熱プレスのような大規模な設備が必要になる上に、該方法で製造されたペレットは、バインダーとした樹脂の融点以上の熱を掛けて、再溶融・可塑化させなければならず、常温では、再分散されないという問題がある。他方、熱可塑性樹脂のようなバインダーを添加しなければ、再分散されにくい問題は解決され得るが、リグノセルロース繊維は、非常に高い弾性力、或いは強い弾性回復力を有するため、バインダーを用いることなく、その繊維塊を単純に圧縮した場合は、圧縮力から解放されると、繊維塊は、ある程度の低い嵩密度となるまで弾性回復してしまう。
類似分野の従来技術として、例えば、特許文献4に示されているように、リグノセルロース物質の粉体の場合は、ペレッタイザーと呼ばれる装置でペレット化・造粒することが多い。しかし、ペレッタイザーはダイスプレートに設けられたノズルに被圧縮物を石臼のような機構で磨り潰しながら押し出していくために、せっかくの長さ方向に長いという特徴を有するリグノセルロース繊維は、長さが短く切断された木粉になり、補強材料として好ましくない。
一方、特許文献5に示されているように、ブリケット製造装置と呼ばれる、二対のローラーの表面に成型金型を有し、その二対のローラー間に粉状物質を導入し、該ローラーを互いに噛み合う方向に回転させながら圧力を加えることで、粉状物質がローラー間で圧縮・成型される造粒装置が知られている。この方法によれば、圧縮成型時にリグノセルロース繊維に掛かるせん断力が少ないために、リグノセルロース繊維を過度に粉状にすることなく圧縮成型できる。
しかしながら、リグノセルロース繊維は、その嵩密度が典型的には30〜40kg/m3と非常に嵩高く、軽く、また、繊維が長く柔軟であるため、繊維同士が複雑に絡み合ったファイバーボールを形成していることがほとんどである。そのため、ローラー間に、繊維、或いは繊維束を重力で落とし込むことは困難であり、被圧縮物を供給する供給装置の出口、或いは、圧縮ローラーの上部でブリッジと呼ばれる滞留現象を引きこし、当該装置のローラー間に供給されない、或いは、何らかの補助がなければ供給されないといった問題が生じる。そのため、リグノセルロース繊維から、連続してブリケットを製造することは困難であった。
そこで、リグノセルロース繊維を実質的にその繊維間を結合するために外部から添加する結合剤を用いずに、且つ、できるだけ繊維を粉状にしないで、連続的に圧縮・成型して、造粒する方法が求められていた。
従って、本発明の目的は、木材や非木材の植物由来のリグノセルロース繊維を、外部から添加する結合剤を実質的に用いずに、効率良く圧縮・成形することのできる、リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法を提供することにある。ここで「結合剤を実質的に用いずに、」とは、繊維同士を結合させる目的の樹脂結合剤を添加しないという意味であり、別の目的でリグノセルロース繊維を処理するための樹脂等の添加(例えば、コーティング等)は許容するという意味である。
また、本発明の目的は、効率的且つ経済的に輸送、保管、ハンドリング可能であり、また、被補強材の強度向上効果に優れる、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を提供することにある。
また、本発明の目的は、木材や非木材の植物由来のリグノセルロース繊維を、被補強材に対して効率よく配合することができ、被補強材の強度向上の効果に優れる繊維強化複合材料を効率よく製造することのできる、繊維強化複合材料の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、木材や非木材の植物由来のリグノセルロース繊維により補強され、強度やその耐久性に優れた繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、リグノセルロース繊維を、ハウジング内に並設された多軸の羽根付きスクリューが互いに噛み合うように回転する多軸スクリュー押出機を用いて、リグノセルロース繊維を圧縮及び移送し、ダイスに設けた排出孔より排出させることで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものである。
本発明は、繊維強化複合材料に使用されるリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法であって、リグノセルロース繊維を、2本以上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出機に導入し、該リグノセルロース繊維を、複数のスクリューにおける相互に噛み合うスクリュー羽根により強制的にダイスに向けて移送及び圧縮し、その圧縮物を、該ダイスに設けた複数個の排出孔から排出させることを特徴とする、リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記の方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体を提供するものである。
また、本発明は、前記の方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体を、セメント及び水と混合して、繊維強化複合材料としての繊維強化セメント材料を製造することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記の方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体を、解繊装置で解きほぐした後に、被強化材料と混合して、繊維強化複合材料を製造することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記の方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体と溶融状態の樹脂とを混錬して、繊維強化複合材料としての繊維強化樹脂組成物を製造することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記の方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体を用いて強化されていることを特徴とする、繊維強化複合材料を提供するものである。
本発明のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法によれば、リグノセルロース繊維を、外部から添加する結合剤を実質的に用いずに、効率よく圧縮及び成形して、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を得ることができる。また、製造されるリグノセルロース繊維の圧縮成形体は、リグノセルロース繊維が集合体として圧縮されていることによって、効率的且つ経済的に輸送、保管、ハンドリング可能である。また、過度の繊維の破断を伴わずに、圧縮・成形されるため、繊維強化複合材料に用いたときに、優れた被補強材の補強効果を発現して、高性能な繊維強化複合材料やその硬化体を得ることができる。
また、ダイスの下流側に切断機構を設けることで、排出孔からの排出時に圧縮成形体の長さ方向のカット長さを所望に調整して、短粒状にすることも、長円筒状にすることも可能である。リグノセルロース繊維を圧縮成形体とすること、特に所望の長さに調整して、大きさが調整された圧縮成形体とすることによって、計量性、供給性、及び他材料との均一混合性が向上し、様々な用途への展開が一層容易となる。
また、本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、被補強材に対して効率よく配合することができ、強度やその耐久性等の物性が大幅に改善された繊維強化複合材料(例えば、セメント、アスファルトや樹脂複合材料)が得られる。繊維強化複合材料には、硬化前の組成物及び硬化後の硬化体の双方が含まれる。
また、本発明の繊維強化複合材料の硬化体は、被補強材が、木材や非木材の植物由来のリグノセルロース繊維により補強され、強度やその耐久性に優れている。
図1は、本発明に用いられる多軸スクリュー押出機の一例である多軸スクリュー押出機を示す模式図である。 図2は、互いに平行に配された2本のスクリューをバレルを省略して上方から視た透視平面図である。 図3は、多軸スクリュー押出機のダイスの下流側の面を図1の矢印D方向から見た状態を示す拡大図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法(以下「本発明の圧縮成形体の製造方法」ともいう)の好ましい実施態様においては、以下に説明するリグノセルロース繊維を、以下に説明する多軸スクリュー押出機を用いて圧縮・成形して、リグノセルロース繊維が集合体として圧縮及び成形された圧縮成形体を製造する。
〔リグノセルロース繊維〕
本発明で用いるリグノセルロース繊維は、木材又は非木材の植物由来のリグノセルロース材料を、機械的、熱機械的、化学的、化学機械的、又は化学熱機械的に処理することで、繊維を接着剤的に束ねている中間層を破壊し、解きほぐした繊維である。リグノセルロース繊維としては、そのようなものを特に制限なく用いることができる。木材は、針葉樹でも広葉樹でも良い。
非木材の植物由来のリグノセルロース繊維としては、ワラパルプ、バガスパルプ、ヨシパルプ、ケナフパルプ、リネンパルプ、ラミーパルプ、ヘンプパルプ等が挙げられる。
本発明で用いるリグノセルロース繊維としては、例えば、溶解パルプ、サルファイトパルプ、クラフトパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプを好ましく用いることができる。リグノセルロース繊維としては、機械パルプ、又はファイバーボード用繊維を用いることが、製造効率や物理的性質の観点から好ましい。機械パルプとしては、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ等が挙げられる。同様の観点から、更に好ましくはサーモメカニカルパルプである。サーモメカニカルパルプには、ファイバーボード用繊維も含まれる。ファイバーボード用繊維とは、広義にはサーモメカニカルパルプであり、狭義には、その中でも比較的粗大な繊維のことである。
リグノセルロース繊維は、漂白(脱リグニン)されたパルプと異なり、何れもリグニンを含んでいる。リグノセルロース繊維は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
リグノセルロース材料をリグノセルロース繊維化する方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、パルプを製造する従来の方法やファイバーボード用繊維を製造する従来の方法等を適宜用いることができる。
リグノセルロース材料をリグノセルロース繊維化する方法の一例としては、リグノセルロース材料をチップ状に破砕し、その後、プレヒーターやプレスチーマーで1〜10Bar程度の圧力を掛けながら蒸煮することで、リグノセルロース材料の構成成分であるリグニンやヘミセルロースを軟化させた後、加圧型リファイナー内で圧力を掛けながらディスク式刃物を用いて、繊維或いは繊維束まで解繊して、所望の繊維を製造する方法を挙げることができる。
本発明で用いるリグノセルロース繊維は、その幅が、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは10〜50μmであり、その長さが、好ましくは0.1〜50mm、更に好ましくは1〜5mmである。このような繊維の長さや幅は、リファイナーのディスクの間隔等の運転条件を調整することで適宜所望の長さや幅に調整することができる。
リグノセルロース繊維は、前記のような水熱的な工程を経て製造されることが効率が良く、得られた繊維の損傷も少ない。また、多くの場合において、リグノセルロース繊維は、輸送や保存、貯蔵やハンドリングの向上の目的で乾燥される。
リグノセルロース繊維の乾燥方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができるが、例えば、製紙・パルプ工業で行われているように、濡れた状態のリグノセルロース繊維をローラーやワイヤ上に吐出し、吸引や加圧により脱水した後に、熱乾燥させる方法や、ファイバーボード用の繊維の製造で行われているように、濡れた状態のリグノセルロース繊維を熱風を流している管の中を気流下で熱乾燥させる方法等を挙げることができる。このような、リグノセルロース繊維の乾燥は、例えば60〜200℃で行うことが好ましく、より好ましくは80〜160℃であり、更に好ましくは100〜140℃である。
〔多軸スクリュー押出機〕
本発明においては、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を得るために、2本以上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出機を用いる。本発明における多軸スクリュー押出機には、2本のスクリューを備えた2軸スクリュー押出機と、3本以上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出機が含まれる。
図1には、本発明に好ましく用いられる多軸スクリュー押出機の一例である多軸スクリュー押出機1が示されている。多軸スクリュー押出機1においては、バレル2内に、複数のスクリュー3(一本のみ図示)が、その回転軸であるスクリュー軸31を互いに平行にして回転自在に並設されている。スクリュー軸31のそれぞれには、図2に示すように、相互に噛み合うスクリュー羽根32が設けられている。
多軸スクリュー押出機1は、複数のスクリュー3の駆動源4として、例えば、電動モーターを備えており、複数のスクリュー3のスクリュー軸31に、駆動源4から動力が、歯車機構等の動力伝達系5を介して伝達されることで、複数のスクリュー軸31のそれぞれが回転する。
図1に示す多軸スクリュー押出機1を用いて、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を製造するには、複数のスクリュー3を回転させながら、原料投入部6に、リグノセルロース繊維Aを投入すると、スクリュー3の回転によって、リグノセルロース繊維Aがスクリュー羽根32の噛合空間に強制的に引き込まれ、そのまま排出孔71を有するダイス7側に向かって、リグノセルロース繊維が強制的に移送及び圧縮される。
この強制的な移送及び圧縮によって発生した熱とその熱により発生した水蒸気によって、リグノセルロース繊維Aは、軟化した状態となって圧縮され、嵩密度が大幅に低下したリグノセルロースの集合体の圧縮物となって、ダイス7に設けられた複数個の排出孔71から排出される。排出孔71から排出される圧縮物は、排出孔6の断面形状に対応した略円柱状のリグノセルロース繊維の圧縮成形体となっている。
このように、本発明の好ましい実施態様においては、木材や非木材の植物由来のリグノセルロース繊維を、2本以上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出機1を用いて移送及び圧縮し、その圧縮物を排出孔71から排出させることで、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を製造するため、リグノセルロース繊維を、外部から添加する結合剤を実質的に用いずに、効率よく圧縮及び成形して、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を得ることができる。
より具体的に説明すると、並設された羽根付きスクリューを互いに噛みあう方向に回転させる機構を用いると、1)羽根付きスクリューの互いに噛みあう方向への回転に伴い発生するリグノセルロース間、又は、リグノセルロースと羽根付きスクリューの間で発生する摩擦熱によって繊維が軟化されると共に、本来繊維が保有している繊維結合水が昇温によって水蒸気化し易くなる。その結果、リグノセルロース繊維は、多軸スクリュー押出機1内において、軟化した状態で効率よく圧縮されるとともに、排出孔71から排出される圧縮物のリグノセルロース繊維間には新たな水素結合が発生することとなる。このような作用により、実質的に外部からの結合剤の添加を必要とせず、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を得ることができる。
また、特許文献4で用いるペレッタイザーに見られるような、石臼式の圧縮・押し出し機構を採用すると、リグノセルロース繊維がせん断され、粉状になってしまうが、本実施態様のように、本実施態様のように、多軸スクリュー押出機を用いた圧縮方式下では、繊維への過度なせん断力が発生せず、リグノセルロース繊維が木粉となって補強材料としての性能が大きく低下することも防止できる。
また、特許文献5で用いるブリケット製造装置のような二対のローラー方式の場合は、繊維の過度のせん断は見られないが、ローラー入り口や供給装置内部でブリッジを発生させ、機構を複雑にしてしまい、何らかの補助的な押し込み機構を用いずに、連続的に圧縮及び成形することは難しいが、本実施態様のように、多軸スクリュー押出機を用いた場合は、羽根付きスクリューの互いに噛みあう方向への回転によって、リグノセルロース繊維が自動的に引き込まれるためにブリッジが発生せず、連続的にリグノセルロース繊維を、供給、圧縮、成形して、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を効率よく製造することができる。
また本実施態様のように、多軸スクリュー押出機1を用いて製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体においては、リグノセルロース繊維が効率的に圧縮されていることによって、多軸スクリュー押出機1に投入する前に比して、嵩密度が大幅に減少しており、また圧縮成形体として纏まった形状を有し、繊維が飛散しにくくなっている。また、前述のように、リグノセルロース繊維を、過度の繊維の破断を伴わずに、圧縮及び成形できるため、補強材料としての性能が大きく低下することもない。
したがって、本発明のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法により得られた圧縮成形体及び本発明のリグノセルロース繊維の圧縮成形体は、経済的及び効率的に、輸送、保管、ハンドリング可能であり、また、補強材料としての性能にも優れており、高性能な繊維強化複合材料やその硬化体等を得ることができる。
多軸スクリュー押出機1は、3つ又はそれ以上のスクリュー3を備えたものであっても良いが、経済的、及び、技術的な簡便さを考慮すると、二軸スクリュー押出機であることが好ましい。また、多軸スクリュー押出機には、スクリューの軸が異方向に回転する異方向回転型押出機と、スクリューの軸が同方向に回転する同方向回転型押出機とがあるが、リグノセルロース繊維の投入や圧縮の効率の点から、本発明に用いる多軸スクリュー押出機は、異方向回転型押出機が好ましく、より好ましくは、異方向回転型の2軸スクリュー押出機である。また、多軸スクリュー押出機は、原料投入部6の直下に2本のスクリューの羽根の噛み合い部が存在することが好ましく、該噛み合い部においては、2本のスクリューの羽根のそれぞれが、上方から下方に向かって移動していることが好ましい。また、図2に示すように、2本のスクリュー3は、原料投入部6の直下に、隣り合う2本のスクリュー軸31間の距離が、他の部分、好ましくは、それより下流側(図中左側)に位置する部分よりも広い、噛み込み導入部33を有することが好ましい。斯かる噛み込み導入部33を有することで、多軸スクリュー押出機1内へのリグノセルロース繊維の取り込みが一層スムーズになる。したがって、原料投入部6付近に、嵩密度の低いリグノセルロース繊維がブリッジを形成して滞留すること等が一層確実に防止される。また、当該機構は、原料投入部6が広く排出部が狭くなるように、隣り合う2本のスクリュー軸31間の距離が漸次又は段階的に狭くなるような傾斜構造とすることもできる。
製造するリグノセルロース繊維の圧縮成形体は、輸送、保管、ハンドリング性の向上の点から、その嵩密度が、100〜800kg/m3であることが好ましく、200〜500kg/m3であることが更に好ましい。また、圧縮成形前のリグノセルロース繊維の嵩密度、すなわち多軸スクリュー押出機に投入する前のリグノセルロース繊維の嵩密度に比して、製造するリグノセルロース繊維の圧縮成形体の嵩密度が、2.5〜20倍であることが好ましく、5〜12.5倍であることが更に好ましい。
また、リグノセルロース繊維の圧縮成形体の原料となるリグノセルロース繊維として嵩高いものを使用することができ、例えば、圧縮成形前のリグノセルロース繊維は、その嵩密度が、例えば、100kg/m3未満であり、好ましくは10〜60kg/m3である。
ここで、リグノセルロース繊維の圧縮成形前の嵩密度(原料の嵩密度)、及びリグノセルロース繊維の圧縮成形体の嵩密度は、例えば、以下の方法により測定する。
<嵩密度の測定方法>
容量が50mlのメスシリンダー内に、リグノセルロース繊維を投入したあと、メスシリンダーを50mm程度持ち上げ、自重で落下させ、内容物がメスシリンダー内で隙間を埋めるように落ち着かせる。この作業を10回繰り返しながら、繊維の上部を、ガラス棒等を用いて平らに近づける。繊維の容量が50mlになった場合は、その繊維の質量を計測し、50mlで除して嵩密度とする。繊維の量に過不足がある場合は、繊維を除去したり、追加したりして、適宜調整を行うものとする。同様の操作を複数回(例えば3回)繰り返し、平均値を算出することが望ましい。なお、圧縮成形体でも同様の操作で嵩密度を決定する。ただし、圧縮成形体の大きさが50mlメスシリンダーより大きい場合は、メスシリンダーの大きさを変更することが望ましい。
本発明のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法においては、リグノセルロース繊維を、外部から添加する結合剤を実質的に用いずに単独で、多軸スクリュー押出機に導入しても、圧縮状態の保持性に優れた圧縮成形体が得られる。ここで「結合剤を実質的に用いずに単独で」とは、前述したとおり、繊維同士を結合させる目的の樹脂結合剤を添加しないという意味であり、別の目的でリグノセルロース繊維を処理するための樹脂等の添加(例えば、コーティング等)は許容される。例えば、完成したリグノセルロース繊維の圧縮成形体を、繊維強化複合材料を得るために、セメント材料や合成樹脂等の被補強材と混する際の均一混合性を向上させるために、多軸スクリュー押出機に投入する前のリグノセルロース繊維に、少量の水溶性樹脂や熱硬化性樹脂を付着させておいても良い。
ただし、リグノセルロース繊維に元々含まれていない種類の樹脂の含有量は、多軸スクリュー押出機に投入する圧縮成形体の全材料(水分を除く)の全質量中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
多軸スクリュー押出機内での軟化や圧縮状態での水素結合の形成を促進させ、結合剤を使用せずに圧縮状態の保形性に優れた圧縮成形体を得る観点から、多軸スクリュー押出機に投入するリグノセルロース繊維は、水分率が、1%以上であることが好ましく、5%以上であることが更に好ましい。他方、水分量が多すぎると、圧縮物の保形性が強すぎるという不都合が生じやすくなる。そのため、投入するリグノセルロース繊維の水分は、1〜100%であることが好ましく、より好ましくは5〜50%以下である。
リグノセルロース繊維の水分率(原料の水分率)は、以下の方法により測定する。
<水分率の測定方法>
適量(例えば、質量20〜100g程度)のリグノセルロース繊維を、温度105℃の乾燥器に入れて、質量が恒量に達するまで乾燥した後、シリカゲルを入れたデシケータ内に移して放冷し、質量(乾燥後質量)を測定する。
乾燥機に入れる前の質量を「乾燥前質量」として、水分(%)を、下記式により求める。
水分(%)=〔(乾燥前質量−乾燥後質量)/乾燥後質量〕×100
また、多軸スクリュー押出機は、バレルの外周部に加熱ヒータを備えたものを用いることもでき、本発明に係るリグノセルロース繊維の圧縮成形体を製造する際に、バレル内のリグノセルロース繊維を外部から加熱することもできる。しかし、前述のとおり、バレル内に生じる摩擦熱によりリグノセルロース繊維が加熱されるため、加熱ヒータによる外部からの加熱は行わなくても良い。外部からの加熱を行う場合及び行わない場合のいずれにおいても、リグノセルロース繊維の柔軟化や圧縮状態の保形性に優れた圧縮成形体を得る観点から、多軸スクリュー押出機内で圧縮されるリグノセルロース繊維の到達する最高温度を、40〜190℃、特に50〜100℃とすることが、リグノセルロース繊維の柔軟化や圧縮状態の保形性に優れた圧縮成形体を得る観点から好ましい。多軸スクリュー押出機内で圧縮されるリグノセルロース繊維は、加熱ヒータのオンオフ、加熱ヒータの出力、スクリューの回転速度、排出孔71の断面積の設定等により調節することができる。
図1に示す多軸スクリュー押出機1は、図1及び図3に示すように、ダイス7の排出孔71から排出されるリグノセルロース繊維の圧縮成形体を、前記ダイス7の下流側に設けた切断機構8により切断して、大きさが調節された、リグノセルロース繊維の圧縮成形体Bを得ることができるようになっている。
切断機構8としては、その目的を達成し得る各種公知の切断機構を特に制限なく用いることができ、例えば、図3に示すような、回転式カッター機構が簡便で好ましい。図3に示すカッター機構は、スクリュー軸に直交する平面に沿って回転する切断刃81を複数備えており、該切断刃81のそれぞれは、ダイス7に設けられた複数の排出孔71から排出される略円柱状の圧縮成形体を回転しながら切断するように構成されている。なお、ダイス7は、プレート状のものに代えてブロック状でも良い。また図1に示す排出孔71は、ダイス7の下流側の面72から突出する円筒状の排出側開口部を有していたが、ダイス7の下流側の面に、排出孔71の排出側開口部が開口していても良い。
また、ダイス7に設けられた排出孔71の数、大きさ及び形状を適宜調製することで、リグノセルロース繊維の圧縮成形体の密度、硬さ、形状や大きさ、生産性を変更することができる。また、切断機構との組み合わせにより、更に、様々なものへの対応が可能である。
ハンドリング性(取扱の容易性)の観点から、大きさを調節された個々の圧縮成形体は、ペレット状であることが好ましい。ここでいう、「ペレット状」とは、リグノセルロース繊維の集合体が、小さな塊状の形態(定形、不定形を問わない)を有することを意味する。
リグノセルロース繊維の圧縮成形体は、繊維間に多少の空間が残っていることが、被補強材料への分散性の好ましい。
なお、図3中、符号73は、ダイスプレート(ダイス)を固定するボルトを示す。
〔繊維強化複合材料〕
リグノセルロース繊維の圧縮成形体は、リグノセルロース繊維が配合されていない以外は、公知の組成を有するセメント材料や樹脂組成物等の被補強材に配合することによって、リグノセルロース繊維によって補強された各種の繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の繊維強化複合材料は、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を用いて製造されたものであれば、特に制限されない。繊維強化複合材料としては、具体的には、繊維強化セメント材料、繊維強化アスファルト複合材料、繊維強化樹脂系材料等が挙げられる。
繊維強化セメント材料には、コンクリート複合材料、モルタル複合材料、セメント成型複合材料が挙げられ、セメント成型複合材料としては、例えば、木片セメント板、木毛セメント板、サイディング板、スレート板、発泡コンクリート等が挙げられる。
複合材料の意には、最終的な製品だけでなく、製品を製造する原料となるもの、例えば、セメント粉体と本リグノセルロース繊維ペレットの混合物、樹脂ペレットと本リグノセルロース繊維ペレットの混合物等を含むことは言うまでもない。
さらには、複合材料を構成要素とする利用方法、例えば、繊維強化コンクリートやモルタルの壁構成、繊維強化アスファルトの路盤構成、繊維強化樹脂の成型物をも含むものである。
〔混合方法〕
リグノセルロース繊維の圧縮成形体を、被補強材に配合する方法としては、両者を混合し得る任意の方法を特に制限なく用いることができる。リグノセルロース繊維の圧縮成形体を用いて、繊維強化複合材料としての繊維強化セメント材料を製造する場合、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を、セメント及び水と混合すれば良い。それらの混合方法としては、例えば、ミキサーによる攪拌等を用いることができる。
リグノセルロース繊維の圧縮成形体を、アスファルト材料や樹脂(プラスチック)材料と混合する方法としても、リグノセルロース繊維をアスファルト材料や樹脂と混合し得る任意の方法を特に制限なく用いることができる。リグノセルロース繊維の圧縮成形体を用いて、繊維強化複合材料としての繊維強化樹脂系材料を製造する場合、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を、溶融状態の樹脂と混錬すれば良い。リグノセルロース繊維の圧縮成形体と溶融状態の樹脂とを混錬する方法としては、リグノセルロース繊維の圧縮成形体と樹脂ペレットとを、単軸又は多軸のスクリュー押出機や混錬機に投入し、樹脂ペレットを溶融させるとともに繊維とともに混錬させる方法、複数の加熱ローラーを有したローラーミル上で混錬させる方法等が挙げられる。
本発明の製造方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体又は本発明のリグノセルロース繊維の圧縮成形体は、単独で販売しても良いし、リグノセルロース繊維、及びセメントを含む繊維混合セメント材料として販売しても良い。リグノセルロース繊維の圧縮成形体又は繊維混合セメント材料を工場で生産し、それを各地の建築や土木工事の現場に搬入し、当該現場で、モルタルやコンクリートの他の材料や水と混錬して、繊維強化セメント材料とすることも、搬送コストを抑制しつつ高品質の繊維強化成形体を製造できる等の観点から好ましい。
また、建築や土木工事の現場への繊維混合セメント材料の搬入の容易や、繊維混合セメント材料の搬送コストの削減等の観点から、繊維混合セメント材料は、水分の含有率が、15質量%以下のモルタルミックス又はコンクリートミックスであることが好ましく、さらに水分の含有率は、10質量%以下であることがより好ましい。モルタルミックスは、リグノセルロース繊維及びセメント以外に、砂等の細骨材を含んでおり、コンクリートミックスは、リグノセルロース繊維及びセメント以外に、砂利等の粗骨材を含んでいる。
リグノセルロース繊維の圧縮成形体や繊維混合セメント材料を工場で生産し、それを各地の建築や土木工事の現場に搬入し、当該現場で、モルタルやコンクリートの他の材料や水と混錬して、繊維強化セメント材料とすることも、搬送コストを抑制しつつ高品質の繊維強化成形体を製造できる等の観点から好ましい。
また、建築や土木工事の現場への繊維混合セメント材料の搬入の容易や、繊維混合セメント材料の搬送コストの削減等の観点から、繊維混合セメント材料は、水分の含有率が、15質量%以下のモルタルミックス又はコンクリートミックスであることが好ましく、さらに水分の含有率は、10質量%以下であることがより好ましい。モルタルミックスは、リグノセルロース繊維及びセメント以外に、砂等の細骨材を含んでおり、コンクリートミックスは、リグノセルロース繊維及びセメント以外に、砂利等の粗骨材を含んでいる。
〔添加剤〕
本発明に係るリグノセルロース繊維には、本発明の効果を損なわない範囲で防腐剤、防虫剤、防カビ剤、撥水剤、紫外線吸収剤、難燃剤、フィラー、カップリング剤、エラストマー、消泡剤、滑剤、顔料、色素、消泡剤、減水剤、膨張剤、収縮低減剤等の種々の添加剤を加えることができる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの添加剤は、任意の段階で適宜、配合することができる。
更に、繊維強化複合材料には、本発明の目的を損なわない範囲で、ガラス繊維、合成樹脂繊維、炭素繊維、セルロースナノファイバー、リグノセルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル、カーボンナノチューブ、その他ナノファイバー等を添加することができる。一般的に、特性や形状の異なる、複数の種類の繊維を組み合わせると、何れかを単独で使用するよりも好ましい効果が得られることが経験的に知られているためである。
リグノセルロース繊維の圧縮成形体を、セメント及び水と混合して、繊維強化セメント材料を製造する際には、リグノセルロース繊維の圧縮成形体を、分散補助剤の存在下に、セメント及び水と混合することが、リグノセルロース繊維の均一分散性を向上させ、強度及び耐久性等に優れた繊維強化セメント材料やその硬化体を得る観点から好ましい。
分散補助剤としては、ノニオン性の界面活性剤が好ましく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、アルキルジエタノールアマイド等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類は、好ましくは、モノ、ジ又はトリエステル化した1,4−、1,5−又は3,6−ソルビタンに、エチレンオキシド(EO)、又はエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を付加縮合したものである。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン混合脂肪酸エステル等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン混合脂肪酸エステルとしては、ソルビタンヤシ油脂肪酸エステル、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを用いることが好ましい。
上述したノニオン性の界面活性剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態を示して説明したが、各発明は、上記の実施形態に制限されず適宜に変更可能である。
以下、実施例及び比較例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、かかる実施例によって何ら限定されるものではない。
1.リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造
小熊鉄鋼所社製の二軸式減容固化装置(DP−3S)のダイスプレート部(ダイス)の排出ノズル(排出孔)の直径を20mm又は11mmとし、ファイバーボード工場で製造されたファイバーボード用の木材より製造されたリグノセルロース繊維(水分率13%)を原料として、原料投入部から装置内に単独で投入し、リグノセルロース繊維のペレット(圧縮成形体)を製造した。
その結果、嵩密度40kg/m3のリグノセルロース繊維から嵩密度420〜440kg/m3のリグノセルロース繊維の圧縮成形体を得ることができた。
2.リグノセルロース繊維の圧縮成形体の評価
(1)繊維補強セメント複合材料への適用
市販の軽量モルタルミックスに直径20mmのリグノセルロース繊維のペレットを2質量%添加し、更に分散補助剤として、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートをペレットに対して1質量%添加したものに水を加え、ホバートミキサーを用いて2分間攪拌を行った。その結果、モルタル/水のスラリー中にリグノセルロース繊維が、ダマを形成することなく、均一に分散されたスラリーミックスを得ることができた。
(2)繊維補強樹脂複合材料への適用
180℃に設定した樹脂のコンパウンド製造用の二軸混錬式押し出し装置に、樹脂ペレットと共に直径11mm、長さ5mm程度のリグノセルロース繊維ペレット投入し、リグノセルロース繊維ペレットの崩壊・分散の評価を行った。その結果、該リグノセルロース繊維ペレットは二軸混錬装置内で簡単に崩壊・分散し、リグノセルロース繊維を含む樹脂コンパウンドが問題なく得られた。
上記結果より、通常、嵩高いリグノセルロース繊維を外部からの結合剤の添加なしに、10〜11分の1に圧縮できることが示された。このことより、リグノセルロース繊維を経済的かつ効率的に、輸送、保管、ハンドリングすることが可能になったと言える。
更に、リグノセルロース繊維圧縮のペレットをモルタルミックスや樹脂ペレットと混合したところ、何れの場合も、ダマを発生させることなく、均一に被分散物中に分散させることができた。このことより、種類の異なる分散物(分散媒:例えば、セメント系の場合は水であり、樹脂系の場合は溶融した液状の樹脂)に、リグノセルロース繊維を好適に分散させられることが確認され、繊維強化複合材料用の補強繊維として様々な用途に使用できることが可能になったと言える。
1 多軸スクリュー押出機
2 バレル
3 スクリュー
31 スクリュー軸
32 スクリュー羽根
33 噛み込み導入部
4 駆動源
5 動力伝達系
6 原料投入部
7 ダイス
71 排出孔
72 下流側の面
73 ボルト
8 切断機構
81 切断刃

Claims (10)

  1. 他の材料と混錬されて繊維強化複合材料とされるリグノセルロース繊維の圧縮成形体を製造する、リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法であって、
    木材を解きほぐして得られた、水分率が5〜50%の漂白されていないリグノセルロース繊維を、2本以上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出機に導入し、該リグノセルロース繊維を、複数のスクリューにおける相互に噛み合うスクリュー羽根により強制的にダイスに向けて移送及び圧縮し、圧縮されるリグノセルロース繊維の到達する最高温度を40〜100℃に維持しながら、その圧縮物を、該ダイスに設けた複数個の排出孔から排出させ、且つ
    前記排出孔から排出される前記圧縮物を、前記ダイスに近接配置した切断機構により切断して、大きさが調節された、嵩密度が100〜800kg/m 3 であるリグノセルロース繊維の圧縮成形体を得る、リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法。
  2. 前記多軸スクリュー押出機は、原料投入部の直下に、隣り合う2本のスクリュー軸間の距離が、それより下流側に位置する部分よりも広い噛み込み導入部を有する、請求項1に記載のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法。
  3. 前記リグノセルロース繊維を、繊維間を結合させる結合剤を実質的に使用せずに単独で、前記多軸スクリュー押出機に導入する、請求項1又は2に記載のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法。
  4. 前記多軸スクリュー押出機が、異方向に回転する2本のスクリューを備えた異方向回転型2軸スクリュー押出機である、請求項1〜3の何れか1項に記載のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法。
  5. 前記多軸スクリュー押出機に投入する前記リグノセルロース繊維の嵩密度が100kg/m 3 未満であり、該嵩密度に比して、製造するリグノセルロース繊維の圧縮成形体の嵩密度が2.5〜20倍である、請求項1〜4の何れか1項に記載のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法。
  6. 前記リグノセルロース繊維が、機械パルプであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のリグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法。
  7. 請求項1〜の何れか1項に記載の方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体を、セメント及び水と混合して、繊維強化複合材料としての繊維強化セメント材料を製造することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 前記圧縮成形体を、分散補助剤の存在下に、セメント及び水と混合して、前記繊維強化セメント材料を製造することを特徴とする、請求項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 請求項1〜の何れか1項に記載の方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体と溶融状態の樹脂とを混錬して、繊維強化複合材料としての繊維強化樹脂系材料を製造することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 請求項1〜の何れか1項に記載の方法により製造されたリグノセルロース繊維の圧縮成形体を、解繊装置で解きほぐした後に、被強化材料と混合して、繊維強化複合材料を製造することを特徴とする、繊維強化複合材料の製造方法。
JP2017031592A 2016-12-22 2017-02-22 リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法 Active JP6864493B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017031592A JP6864493B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法
PCT/JP2017/020895 WO2018116500A1 (ja) 2016-12-22 2017-06-05 セメント材料補強用繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017031592A JP6864493B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018134816A JP2018134816A (ja) 2018-08-30
JP6864493B2 true JP6864493B2 (ja) 2021-04-28

Family

ID=63364587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017031592A Active JP6864493B2 (ja) 2016-12-22 2017-02-22 リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6864493B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112720755A (zh) * 2021-01-08 2021-04-30 北京鑫泽清源植物秸秆技术有限公司 农业机械型生态法秸秆纤维化技术与装备

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2830984B2 (ja) * 1993-05-12 1998-12-02 ニチハ株式会社 建築板
JP2956039B2 (ja) * 1994-02-25 1999-10-04 ニチハ株式会社 湿式セメント板の製造方法
JPH07267708A (ja) * 1994-03-25 1995-10-17 Matsushita Electric Works Ltd セメント組成物の製造方法
JP4280318B2 (ja) * 1998-03-06 2009-06-17 株式会社エーアンドエーマテリアル 植物繊維セメント成形体の製造方法
JP2001234493A (ja) * 2000-02-22 2001-08-31 Japan Steel Works Ltd:The 乾燥パルプ又はパルプ・樹脂複合体の製造方法及び製造装置
JP2013000940A (ja) * 2011-06-14 2013-01-07 Takahama Industry Co Ltd 木質ペレット製造用の押出成形機
JP5624534B2 (ja) * 2011-12-20 2014-11-12 Wpcコーポレーション株式会社 木質合成粉
JP2013226720A (ja) * 2012-04-26 2013-11-07 Takahama Industry Co Ltd 木質ペレットの製造方法
JP2015063787A (ja) * 2013-08-29 2015-04-09 三洋化成工業株式会社 植物系複合材およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018134816A (ja) 2018-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1235729C (zh) 用于挤出水泥制品的方法和装置
JP4371373B2 (ja) 木質系成形体の製造方法および木質系成形体
JP2017145392A (ja) セルロース繊維分散ポリエチレン樹脂複合材、それを用いた成形体及びペレット、並びに、セルロース繊維付着ポリエチレン薄膜片のリサイクル方法
JP2017145393A (ja) セルロース繊維分散ポリエチレン樹脂複合材、それを用いた成形体及びペレット、並びに、セルロース繊維分散ポリエチレン樹脂複合材の製造方法
EA020286B1 (ru) Способ производства аэрогельсодержащего композита и композит, полученный данным способом
CN102712101A (zh) 用长纤维填充的聚合物材料的制备方法
JP2020011452A (ja) セルロース繊維の圧縮成形体の製造方法
WO2018116500A1 (ja) セメント材料補強用繊維
JP6864493B2 (ja) リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法
JP2006256296A (ja) ペレット製造方法およびペレット製造装置
CN110482893A (zh) 一种抗裂抹面砂浆及其制备方法
JP6791804B2 (ja) セメント材料補強用繊維
CN1118177A (zh) 制造成型物体的方法和设备以及成型物体
JP7525848B2 (ja) リグノセルロースファイバーの製造方法、リグノセルロースファイバーおよび複合材
CN103786229A (zh) 一种矿化纤维板制备方法
JPH03122038A (ja) 水硬性材料成形体の製造方法
KR102164939B1 (ko) 전구체 물질을 제조하기 위한 방법
EP2770018A2 (de) Kohlenstofffaserhaltige Partikel sowie deren Verwendung und Herstellung
CN117043278A (zh) 用于使用配制的植物种子粒料制造基于木质纤维素纤维的复合材料的方法和通过此种方法获得的复合材料
JP2009012422A (ja) 木質系コンパウンドの製造方法及び木質系コンパウンド
WO2021095297A1 (ja) 硬化物及びその製造方法
JP4169989B2 (ja) 異種プラスチック混合成形方法
JP5779351B2 (ja) 高密度リグノセルロースパルプの製造方法及びリグノセルロース繊維と熱可塑物質の複合物の製造方法
EP3377562B1 (en) Process for producing fiber-polymer-composites
JP4963273B2 (ja) 木質系成形品の製造方法及び木質系成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6864493

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250