JP2015063787A - 植物系複合材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、特殊な製造装置を用いることなく製造できる上、十分な機械的強度を有する植物系複合材を提供することにある。
【解決手段】平均繊維径が4〜10,000nmである表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)から形成された複合材を製造するための、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0)の表面処理剤であって、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)の水性分散体(E)である表面処理剤(C)を使用して表面処理したミクロフィブリル化植物繊維と熱可塑性樹脂(D)から形成された植物系複合材。
【選択図】なし

Description

本発明は植物系複合材およびその製造方法に関する。
木材や草本等から得られるセルロース繊維を繊維径がナノオーダーになるまで微細化したミクロフィブリル化植物繊維(ナノファイバー)は、軽くて高強度であることが知られており、近年、このミクロフィブリル化植物繊維とポリオレフィン樹脂とを複合化した植物系複合材が提案されている。
これらミクロフィブリル化植物繊維とポリオレフィン樹脂とを複合化した植物系複合材の製造においては、相溶化剤として変性ポリオレフィン、特にマレイン酸変性ポリオレフィンが用いられており、ペレット状のマレイン酸変性ポリオレフィン、ポリオレフィン、ミクロフィブリル化植物繊維とを加熱溶融混合する製法が一般的である。(特許文献1〜4)。
一方、酸変性ポリオレフィン樹脂からなる表面処理剤で表面処理された粒子径10〜500μmの木質系充填材と熱可塑性樹脂(B)から形成された木質系複合材が提案されている(特許文献5)。
米国特許公開公報第US2008/0146701号 特開2009−19200号公報 特表2009−516032号公報 WO2011/049162号公報 特開2013−35266号公報
従来からの植物系複合材は、ミクロフィブリル化植物繊維とポリオレフィン樹脂との複合材の場合は界面改質がなされていなかったり、木質系充填材とポリオレフィン樹脂との複合材の場合は木質系充填材の粒子径が大きいことから、両材料を複合化したときの界面密着性が十分確保されていなかった。特に建築や自動車用の構造材料として用いるためには、機械的強度が十分とは言い難く、簡易の方法で強度向上がはかれる方法が望まれていた。
従って、本発明の課題は、特殊な製造装置を用いることなく製造できる上、十分な機械的強度を有する植物系複合材を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、平均繊維径が4〜10,000nmである表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)から形成された複合材を製造するための、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0)の表面処理剤であって、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)の水性分散体(E)である表面処理剤(C);表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0)が、表面処理剤(C)で表面処理されてなる表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A);表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)から形成された植物系複合材(M);植物系複合材(M)を成形してなる植物系成形体;カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)の水性分散体(E)である表面処理剤(C)を含有する水性溶媒(P)に、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0)を浸漬処理した後、乾燥することにより得られる表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)を混練した後、成形して植物系複合材(M)を得る植物系複合材の製造方法;表面処理剤(C)を含有する水性溶媒(P)に、植物系材料(F)を浸漬処理すると同時に湿式粉砕した後、乾燥することにより得られる表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)を混練した後、成形して植物系複合材(M)を得る植物系複合材の製造方法である。
本発明の植物系複合材(M)から成形される植物系成形体は、特殊な製造装置を用いることなく製造できる上、十分な機械的強度を有する。
本発明の表面処理剤(C)はカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)の水性分散体(E)であり、(E)は(B1)および/または(B2)を水性溶媒(P)中に乳化して得ることができる。ここで、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)、その塩(B2)、および(B1)と(B2)の混合物を総称してカルボキシル変性オレフィン樹脂(B)と記載するものとする。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)は、不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)と不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)との共重合体である。
不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)としては、不飽和結合を有するモノマーを共重合させたオレフィン樹脂(a1)と熱減成して得られるオレフィン樹脂(a2)の2種類がある。
オレフィン樹脂(a1)としてはプロピレン、エチレン、C4〜12のα−オレフィン等に、ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマーを共重合させたオレフィン樹脂が挙げられる。
オレフィン樹脂(a2)は以下の2通りの方法で熱減成して得られる。
オレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレンを主成分として1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなどのC4〜12のα−オレフィンを共重合した樹脂等)を窒素通気下で、(1)有機過酸化物不存在下で、通常300〜450℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法、および(2)有機過酸化物存在下で、通常180〜300℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法が含まれる。これらのうち好ましいのは(1)の方法である。
熱減成法は、例えば特公昭43−9368号公報、特公昭44−29742号公報、特公平6−70094号公報等に記載されている。
(a1),(a2)ともポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂が好ましい。
オレフィン樹脂(a2)の分子末端には二重結合が導入されているため、不飽和カルボン酸(b1)もしくは(b1)の酸無水物(b2)を共重合する割合を多くすることができる。このためオレフィン樹脂(a2)が好ましい。
オレフィン樹脂(a1)の数平均分子量(Mn)は、通常、1000〜100,000、好ましくは1,500〜90,000である。(a1)の数平均分子量が1,000〜100,0000であると、(a1)自身の強度が十分であり、かつ酸変性度を高くすることができるため、ミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)との密着性が良好となる。
また、オレフィン樹脂(a2)の数平均分子量(Mn)は、通常、1000〜100,000である。好ましくは、1,000〜30,000であり、さらに好ましくは1,200〜15,000であり、特に好ましくは1,500〜7,000である。(a2)の数平均分子量が1000〜100,000であると、(a2)自身の強度が十分であり、かつ酸変性度を高くすることができるため、密着性が良好となる。
Mnは高温ゲルパーミィエーションクロマトグラフィー(以下高温GPCと記載。)で測定することができる。
オレフィン樹脂(a1)の重合方法としては、公知の方法が用いられる。具体的には、単量体を不活性ガスで置換した耐圧反応容器中に吹き込み、触媒存在下、30〜120℃、0.1〜5MPaで1〜10時間反応させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラ・ナッタ系触媒(三塩化チタン/有機アルミニウムなど)やメタロセン触媒を用いることができるが、メタロセン触媒を用いることが好ましい。メタロセン触媒としては、特開2003−147157号公報や特開平7−118316号公報などに記載の公知のものが使用できる。具体的には、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドやエチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドなどが例示できる。上記のようなジルコニウム化合物に於いてジルコニウム金属をチタン金属、ハフニウム金属に換えた遷移金属化合物を例示することも出来る。また、これらの触媒は、メチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物と併用することができる。
不飽和カルボン酸(b1)として、ジカルボン酸[例えば脂肪族(C4〜24、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびメサコン酸)、および脂環式(C8〜24、例えばシクロヘキセンジカルボン酸およびシクロヘプテンジカルボン酸)];3価〜4価またはそれ以上のポリカルボン酸[例えば脂肪族ポリカルボン酸(C5〜24、例えばアコニット酸)]が挙げられる。1価のカルボン酸としては例えば脂肪族(C3〜30、例えばアクリル酸、メタクリル酸、αーエチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸)および脂環式(C6〜24、例えばシクロヘキサンカルボン酸)が挙げられる。
これらの中で好ましいのは不飽和ジカルボン酸であり、マレイン酸がさらに好ましい。
また、不飽和カルボン酸(b1)の酸無水物(b2)としては、上記不飽和ポリカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水アコニット酸が挙げられる。不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物は1種単独でも、2種併用してもいずれでもよい。これらの中で好ましいのは無水マレイン酸である。
オレフィン樹脂(a)と不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)との反応モル比は、好ましくは50/50〜99/1、さらに好ましくは55/45〜98/2、特に好ましくは60/40〜98/2である。
このようにして得られたカルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)中の未反応の不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)は表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)との密着性の観点から好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)は、不飽和結合を有するオレフィン樹脂(a)を不飽和カルボン酸(b1)および脂肪族不飽和炭化水素(h)で変性されてなるものが好ましい。
脂肪族不飽和炭化水素(h)としては、C6〜36の直鎖および分岐鎖を有するα−オレフィンが挙げられる。これらの中で好ましいのは、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、プロピレン三量体、プロピレン四量体およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これら共重合成分の含有量は、好ましくは0〜50モル%である。
オレフィン樹脂(a)と、不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)、必要に応じて脂肪族不飽和炭化水素(h)とは、ラジカル開始剤の存在下または非存在下のいずれにおいてもグラフト反応させることができるが、反応性の観点からラジカル開始剤の存在下で反応させるのが好ましい。
ラジカル開始剤としては、例えばアゾ化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル)および過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を1個有するもの)[例えばベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキシド]および多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[例えば2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネートおよびt−ブチルパーオキシアリルカーボネート]〕が挙げられる。
これらのうち、反応性の観点から好ましいのは過酸化物、さらに好ましいのは単官能過酸化物、とくに好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ブチルクミルパーオキシドおよびジクミルパーオキシドである。
ラジカル重合開始剤の使用量は、不飽和カルボン酸(b1)、(b1)の酸無水物(b2)、および(h)の合計重量に基づいて、0.001〜100重量%、さらに好ましくは0.01〜50重量%、特に好ましくは0.1〜30重量%である。
オレフィン樹脂(a)に不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)、必要に応じて(h)をグラフトさせる具体的な製造方法には、以下の2つの方法等がある。
[1]オレフィン樹脂(a)および不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物、必要に応じて(h)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジ−、トリ−およびテトラクロロエタンおよびジクロロブタン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびジ−t−ブチルケトン)およびエーテル(例えばエチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテルおよびジオキサン)]に懸濁あるいは溶解させ、必要により連鎖移動剤または重合禁止剤を加え、これに必要によりラジカル開始剤[もしくはラジカル開始剤を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液]を加えて加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法および溶液法)。
[2]ポリオレフィン樹脂(a)、不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)、必要に応じて(h)に必要により連鎖移動剤、重合禁止剤、ラジカル開始剤を予め混合し、押出機、バンバリーミキサーまたはニーダなどを用いて溶融混練する方法(溶融混練法)。これらのうち好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法および溶液法である。 溶融法での反応温度は、オレフィン樹脂(a)が溶融する温度であればよく、好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。
溶液法での反応温度は、オレフィン樹脂(a)が溶媒に溶解する温度であればよく、好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜180℃である。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)の内、オレフィン樹脂(a)と不飽和カルボン酸(b1)若しくは(b1)の酸無水物(b2)の好ましい組み合わせは、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合物、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体とマレイン酸または無水マレイン酸との変性樹脂が挙げられる。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)の酸価は5〜250KOHmg/gであることが好ましい。密着性の観点から、より好ましくは20〜250KOHmg/gであり、さらに好ましくは30〜200KOHmg/gである。
酸価の測定方法
エルレンマイヤーフラスコを用いキシレン40mlにサンプルを2g秤量し、更に沸騰石
としてフリット2〜3 個を入れ、沸騰させながら溶解する。次に1mlのフェノールフタレイン溶液を加える。0.1N水酸化カリウムメタノール溶液を用い、淡紅色着色が10秒間続く時を滴定終点として酸価を求める。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)の数平均分子量(Mn)は1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,200〜30,000、さらに好ましくは1,500〜15,000であり、特に好ましくは1,800〜8,000である。(B1)の数平均分子量が1,000以上であると(B1)自身の強度が十分であるため、また、100,000以下であると表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)との密着性が良好となる。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)は、カルボン酸の一部または全部を中和し、その塩(B2)とすることが出来る。中和塩を構成する陽イオンとしては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン、モルホリン、ピペラジン、トリエチルアミン、ジエチルオレイルアミン、エチルオレイルアミン、オレイルアミンなどのアルキルアミン、アンモニア等が挙げられる。これらの内、好ましいものは、アルキルアミン、カリウム、ナトリウムである。
カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)の中和率は、20〜200%であることが好ましく、より好ましくは30〜150%、さらに好ましくは50〜100%である。(B1)の中和率は20%以上であると(B1)の乳化性が良くなり、保存安定性も良くなる。
水性溶媒(P)とは、水、水に混和する溶媒およびこれらの混合溶媒であり、具体的には水、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセトン、ピリジン、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、エタノール、メタノールからなる群より選ばれる1種または2種以上の混合溶媒が挙げられる。このうち好ましいのは水、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロピルアルコールからなる群より選ばれる1種または2種以上の混合溶媒であり、特に好ましいのは水、テトラヒドロフラン、水とテトラヒドロフランの混合溶媒である。
表面処理剤(C)は、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)を水性溶媒(P)中に乳化してなる水性分散体(E)であり、好ましくは均一に混合乳化した水性分散体(E)である。(E)を製造する際に、界面活性剤(J)を用いて乳化することが好ましい。
(J)としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性の界面活性剤が挙げられる。
(1)非イオン性界面活性剤
アルキレンオキシド(以下AOと略記)付加型ノニオニックス、例えば疎水性基(C8〜24またはそれ以上)を有する活性水素原子含有化合物[飽和および不飽和の、高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪族アミン(C8〜24)および高級脂肪酸(C8〜24)等]の(ポリ)オキシアルキレン誘導体(AO付加物およびポリアルキレングリコールの高級脂肪酸モノ−およびジ−エステル);多価アルコール(C3〜60)の高級脂肪酸(C8〜24)エステルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(ツイーン型ノニオニックス等);高級脂肪酸(上記)の(アルカノール)アミドの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体;およびポリオキシプロピレンポリオール[多価アルコールおよびポリアミン(C2〜10)のポリオキシプロピレン誘導体(プルロニック型およびテトロニック型ノニオニックス)];多価アルコール(上記)型ノニオニックス(例えば多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールアルキル(C3〜60)エーテル、および脂肪酸アルカノールアミド);並びに、アミンオキシド型ノニオニックス[例えば(ヒドロキシ)アルキル(C10〜18)ジ(ヒドロキシ)アルキル(C1〜3)アミンオキシド]。
(2)カチオン性界面活性剤
第4級アンモニウム塩型カチオニックス[テトラアルキルアンモニウム塩(C11〜100)アルキル(C8〜18)トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル(C8〜18)ジメチルアンモニウム塩等];トリアルキルベンジルアンモニウム塩(C17〜80)(ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩等);アルキル(C8〜60)ピリジニウム塩(セチルピリジニウム塩等);(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4)トリアルキルアンモニウム塩(C12〜100)(ポリオキシエチレンラウリルジメチルアンモニウム塩等);およびアシル(C8〜18)アミノアルキル(C2〜4)もしくはアシル(C8〜18)オキシアルキル(C2〜4)トリ[(ヒドロキシ)アルキル(C1〜4)]アンモニウム塩(サパミン型4級アンモニウム塩)[これらの塩には、例えばハライド(クロライド、ブロマイド等)、アルキルサルフェート(メトサルフェート等)および有機酸(下記)の塩が含まれる];並びにアミン塩型カチオニックス:1〜3級アミン〔例えば高級脂肪族アミン(C12〜60)、脂肪族アミン(メチルアミン、ジエチルアミン等)のポリオキシアルキレン誘導体[エチレンオキシド(以下EOと略記)付加物等]、およびアシルアミノアルキルもしくはアシルオキシアルキル(上記)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)アミン(ステアロイロキシエチルジヒドロキシエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等)〕の、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等)塩および有機酸(C2〜22)塩。
(3)アニオン性界面活性剤
高級脂肪酸(上記)塩(ラウリル酸ナトリウム等)、エーテルカルボン酸[EO(1〜10モル)付加物のカルボキシメチル化物等]、およびそれらの塩;硫酸エステル塩(アルキルおよびアルキルエーテルサルフェート等)、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステルおよび硫酸化オレフィン;スルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、α−オレフィン(C12〜18)スルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン(イゲポンT型等)等];並びにリン酸エステル塩等(アルキル、アルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテルホスフェート等)。
(4)両性界面活性剤:
カルボン酸(塩)型アンフォテリックス[アミノ酸型アンフォテリックス(ラウリルアミノプロピオン酸(塩)等)、およびベタイン型アンフォテリックス(アルキルジメチルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルベタイン等)等];硫酸エステル(塩)型アンフォテリックス[ラウリルアミンの硫酸エステル(塩)、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル(塩)等];スルホン酸(塩)型アンフォテリックス[ペンタデシルスルホタウリン、イミダゾリンスルホン酸(塩)等];並びにリン酸エステル(塩)型アンフォテリックス等[グリセリンラウリル酸エステルのリン酸エステル(塩)等]。
上記のアニオン性および両性界面活性剤における塩には、金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)およびIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;並びにアミンまたはアルカノールアミン塩(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、トリエチルアミン、ジエチルオレイルアミン、エチルオレイルアミン、オレイルアミン)、および4級アンモニウム塩が含まれる。
界面活性剤(J)の好ましいものは、(1)非イオン性界面活性剤と(3)アニオン性界面活性剤であることが好ましい。(1)および(2)で乳化した水性分散体は安定性が良くなる。
(1)と(3)の界面活性剤の内、好ましいものは炭素数10〜30のアルキルもしくはアルケニル基を疎水基とする界面活性剤であり、さらに好ましくはオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクテニルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の高級アルコールのEO付加物、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸とポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オクチルアミン、オレイルアミン、ラウリルアミン等の高級アルキルアミンEO付加物、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とモノエタノールアミン、イソプロパノールアミノ等のアルキルアミンとからなる脂肪酸アミドのEO付加物、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸塩、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクテニルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の高級アルコールのアルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、特に好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸のナトリウム、カリウムおよびアミン塩、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールのアルキル硫酸エステルナトリウム、カリウムおよびアミン塩およびポリオキシエチレンアルキル硫酸エステルナトリウム、カリウムおよびアミン塩が挙げられる
水性分散体(E)の濃度には特に限定がないが、(B)の重量が、水性分散体(E)の重量に対して5〜60重量%になるよう、好ましくは(B)と界面活性剤(J)との合計重量が、水性分散体(E)の重量に対して5〜60重量%になるよう水性分散体(E)を製造し、更に水性溶媒(P)を加えて任意に濃度調整して使用することが出来る。また、(J)の添加重量は、(B)に対し、0〜50重量%の範囲である。
本発明の表面処理剤(C)の製法を例示すると、(B1)および/またはその塩(B2)と(J)を錨型攪拌羽根を有する乳化槽に仕込み、(B1)の軟化点以上の温度で混合、乳化することにより得ることができる。
乳化時に添加する塩基性物質としては、金属カリウム、金属ナトリウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルカノールアミン、アルキルアミン、アンモニアなどがあげられる。これらの内好ましいものは、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アルキルアミンである。
本発明の表面処理剤(C)には、必要により、消泡剤、抗菌剤および防腐剤などの添加剤を配合することができる。これらの添加剤を用いる場合の添加量は、通常0.5重量%以下である。
本発明の表面処理剤(C)において、水性分散体(E)の体積平均粒子径は、好ましくは0.1〜1,000nmである。より好ましくは、5〜500nmであり、さらに好ましくは10〜300nmであり、特に好ましくは15〜100nmである。体積平均粒子径が0.1〜1,000nmであると、木質系充填材(A0)の処理効果が高く、密着性が良好となる。
体積平均粒子径は、レーザー回折散乱測定装置(例えば堀場製作所製、「LA−750」)により測定することができる。
本発明において、ミクロフィブリル化植物繊維(A0)は公知であり、一般的には、植物系材料(F)をリファイナー、二軸混錬機(二軸押出機)、高圧ホモジナイザー媒体攪拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により磨砕ないし叩解することによって解繊又は微細化して製造されるが、特開2005−42283号公報に記載の方法等の公知の方法で製造することもできる。また、(F)を2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)触媒により酸化した後、上記装置により磨砕ないし叩解することによって製造することもできる。さらに、市販品を利用することも可能である。
解繊処理における好ましい温度は0〜99℃、より好ましくは0〜90℃である。解繊処理の原料となるパルプは、このような解繊処理に適した形状(例えば粉末状等)であることが望ましい。また、解繊処理に先立って、パルプを蒸気で蒸す(例えば、圧力釜中、水分存在下で加熱する)と解繊エネルギーの低減の点で有利である。
好ましい、解繊方法は磨砕処理(グラインダー処理)である。グラインダーとしては、石臼式磨砕機が好ましい。磨砕は繊維径が所望の大きさになるまで行えばよい。
植物系材料(F)は、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものが知られており、本発明ではそのいずれも使用できる。好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。植物由来のセルロース繊維の中でも、パルプが特に好ましい。
本発明において、ミクロフィブリル化植物繊維とは、植物系材料(F)の一部もしくは上記の方法でミクロフィブリル化したものを指す。ミクロフィブリルは一般に植物系材料(F)セルロース分子が集合してできた微細な繊維であり、繊維径は数nm程度と予測されている。本発明の植物系複合材(M)においては、植物性繊維の一部もしくは全体がミクロフィブリルになるように植物系材料(F)を解繊(ミクロフィブリル化)することによりミクロフィブリル化植物繊維(A0)と熱可塑性樹脂(D)との密着面積が増加し、その結果、植物系複合材(M)の強度物性が向上する。
そのような効果をもたらすミクロフィブリル化植物繊維の繊維径は平均値が4〜10,000nmであり、10〜5,000nmであることが好ましく、20〜1,000nmであることがより好ましく、30〜800nmがさらに好ましい。
なお、繊維径は、走査電子顕微鏡(SEM)観察により測定することができる。具体的には、ミクロフィブリル化植物繊維をSEM観察用試料台へ貼付した後、白金−パラジウム合金を蒸着しSEMにより観察し、無作為に選んだ20本のミクロフィブリル化植物繊維の繊維直径を計測し、その平均値を繊維径とした。
また、ミクロフィブリル化植物繊維は、繊維径に対する繊維長が非常に長い繊維であり、その繊維長を決定することは難しいが、好ましくは平均値が繊維径の5倍以上、より好ましくは10倍以上、より一層好ましくは20倍以上である。
また、本発明において、ミクロフィブリル化植物繊維は、アルカリ溶液(例;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液、アンモニア水)で処理されたものであってもよい。また、ミクロフィブリル化植物繊維は、セルロース繊維含有材料を、必要に応じてリファイナー等によりアルカリ溶液処理を効率よく行える形状(例えば、粉体、繊維状、シート状等)とした後、アルカリ溶液処理し、この処理物をミクロフィブリル化植物繊維の製造に使用される公知の解繊又は微細化技術、一般的にはリファイナー、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー等により磨砕及び/又は叩解することによって得られるものであってもよい。
本発明の植物系複合材(M)において、表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)の配合量は、複合材(M)全体量中、通常1〜90重量%程度、好ましくは5〜80重量%程度である。
本発明における表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)は、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0)を必要により水性溶媒(P)で希釈した表面処理剤(C)に浸漬処理した後、乾燥することにより得ることができる。表面処理剤(C)の添加量は、表面処理剤中の酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)およびその塩(B2)の合計重量が、ミクロフィブリル化植物繊維(A0)の重量に対して、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%の範囲となる量である。またミクロフィブリル化植物繊維(A0)と表面処理剤(C)および希釈水合計量との配合比は、ミクロフィブリル化植物繊維(A0)を分散することができる割合とすればよく、ミクロフィブリル化植物繊維(A0)100重量部に対して表面処理剤(C)および希釈水合計量100〜2000重量部の範囲が好ましい。ミクロフィブリル化植物繊維(A0)に濃度調整された表面処理剤(C)を加え、表面処理剤がミクロフィブリル化植物繊維(A)の表面に万遍なく行き渡るまで混合した後、乾燥して水を除去することにより行われる。
表面処理されてなるミクロフィブリル化植物繊維(A)は、植物系材料(F)を表面処理剤(C)存在下で解繊処理を行い、乾燥処理することによっても得られる。表面処理剤(C)の添加量は、表面処理剤中の酸変性ポリオレフィン樹脂の割合が、(F)に対し通常0.01〜20%、好ましくは0.1〜15%、更に好ましくは1〜10%の範囲となる量である。
パルプの解繊処理は、水により膨潤されたパルプを磨砕ないし叩解することにより得られる。膨潤には、水以外に親水性有機溶媒を混合して用いることが出来る。親水性有機溶媒としては、エタノール,1−ブタノール,2−プロパノール、等のアルコール系溶剤、2−ブタノン,メチルイソブチルケトン,シクロヘキサノン、等のケトン系溶剤等、およびこれらの混合物を用いることができる。パルプと水および親水性有機溶媒合計量との配合比は、パルプを分散することができる割合とすればよく、パルプ100重量部に対して100〜30000重量部の範囲が好ましい。
本発明の植物系複合材(M)は、上記の方法で得られた表面処理されてなるミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)を混練した後、成形することにより製造することができる。表面処理されてなるミクロフィブリル化植物繊維(A)を熱可塑性樹脂(D)と混練し、木質系複合材として加工するためには水分を除去することが好ましい。表面処理されてなるミクロフィブリル化植物繊維(A)もしくはミクロフィブリル化植物繊維(A0)の水分の除去は、圧搾して水分を絞り出す方法や、水分を揮発させる方法により除去することができる。水分を揮発させる場合、湿式粉砕された素材を常圧もしくは減圧条件で加熱するか、フリーズドライにより除去することが出来る。
熱可塑性樹脂(D)としてはポリオレフィン[ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリブテン、等],パラフィン,ポリスチレン,ポリアクリロニトリル−スチレン(AS)、ポリアクリロニトリル−ブタジエンースチレン(ABS)、ポリメチルメタアクリレート,ポリ塩化ビニル,ポリアミド(ナイロン),ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート,これらの混合物、等を用いることができる。この中でPPやポリブテン等のポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂は、容易に植物系成形体を成形することができるから好適な樹脂である。
熱可塑性樹脂(D)には、必要に応じて、滑剤、繊維状素材、核剤、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、等の添加剤が含まれていてもよい。
植物系複合材(M)に含まれる表面処理されてなるミクロフィブリル化植物繊維(A)の配合割合は、通常5〜99.9重量%、好ましくは10〜95重量%、更に好ましくは30〜80重量%である。
植物系複合材(M)は、表面処理されてなるミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)とを混練した後、熱可塑性樹脂(D)の軟化温度以上で押出、射出など加圧を伴う成型法を用いて所定の形状に加工して得ることができる。
植物系複合材(M)を成形して植物系成形体を得るためには、押出成形機、射出成形機、プレス成形機、注型成形機等を用いることができる。さらに、特開2004−17502号公報に記載されるペレット製造装置等で一旦ペレット化して加工し、形成されたペレットを押出成形等により後成形して植物系成形体を形成してもよい。
以下、実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下において特記しない限り、部は重量部、%、wt%は重量%を表す。
<製造例1>
ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP;日本製紙(株)製の針葉樹のケミサーモメカニカルパルプQ250B60、同B70、同B80の3種)を等量水に懸濁して十分に撹拌し、1%スラリーとし、これをグラインダー(石臼式磨砕機)を用いて磨砕した後、凍結乾燥させることにより、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−1)を得た。得られた(A0−1)の平均繊維径は85nmであった。
<製造例2>
ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP;日本製紙(株)製の針葉樹のケミサーモメカニカルパルプQ250B60、同B70、同B80の3種)を等量水に懸濁して十分に撹拌し、1%スラリーとし、これを二軸混錬機を用いて解繊した後、凍結乾燥させることにより、ミクロフィブリル化植物繊維(A0−2)を得た。得られた(A0−2)の平均繊維径は9,500nmであった。
<製造例3>
ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP;日本製紙(株)製の針葉樹のケミサーモメカニカルパルプQ250B60、同B70、同B80の3種)を等量水に懸濁して十分に撹拌し、1%スラリーとし、これをグラインダー(石臼式磨砕機)を用いて磨砕した後、凍結乾燥させることにより、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−3)を得た。得られた(A0−3)の平均繊維径は3,000nmであった。
<製造例4>
亜硫酸漂白針葉樹パルプ20部、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.25部、および臭化ナトリウム2.5部を水1500部に分散させた後、13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1部のパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が2.5mmolとなるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を5回繰り返した後、水を加えて1.0%に希釈し、高圧ホモジナイザー(三和エンジニアリング社製、H11)を用いて圧力100MPaで1回処理することにより、ミクロフィブリル化植物繊維水溶液を得た。得られたミクロフィブリル化植物繊維水溶液の固形分濃度が40%になるようにろ過により濃縮し、固形分濃度40%の表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−4)を得た。(A0−4)の平均繊維径は4nmであった。
<製造例5>
ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP;日本製紙(株)製の針葉樹のケミサーモメカニカルパルプQ250B60、同B70、同B80の3種)を等量水に懸濁して十分に撹拌し、3%スラリーとし、これを二軸混錬機を用いて解繊した後、凍結乾燥させることにより、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−5)を得た。得られた(A0−5)の平均繊維径は11,000nmであった。
<実施例1>
表面処理剤(C−1)
反応容器に、プロピレン98モル%およびエチレン2モル%を構成単位とするポリオレフィン(P1)[商品名「サンアロマーPZA20A」、サンアロマー(株)製、Mn100,000、以下同じ。]100部を窒素雰囲気下に仕込み、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で80分間熱減成を行い、ポリオレフィン熱減成物を得た。このポリオレフィン熱減成物100部、無水マレイン酸17.3部、およびキシレン100部を反応容器に仕込み、窒素置換後、窒素通気下に130℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにジクミルパーオキサイド[商品名「パークミルD」、日油(株)製]0.5部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)でキシレンおよび未反応の無水マレイン酸を留去してカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B1−1)を得た。(B1−1)は、酸価は50、Mnは2,500であった。撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器に(B1−1)300部、水酸化ナトリウム5.3部(中和率50%に相当)、界面活性剤(J−1)として高級アルコール(オレイルアルコールとセチルアルコールの混合品)のエチレンオキサイド11モル付加物(三洋化成工業株式会社製エマルミン110)100部、水590部を仕込み、150℃で1時間攪拌することにより水性分散体(E−1)1000部を得た。これを表面処理剤(C−1)とする。水性分散体(E−1)の体積平均粒子径は40nmであった。ここでカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B1−1)を水酸化ナトリウムで中和処理し(中和率50%)混合物中に生成したものをカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B−1)とする。
<実施例2>
表面処理剤(C−2)
反応容器に、プロピレン98モル%およびエチレン2モル%を構成単位とするポリオレフィン(P1)[商品名「サンアロマーPZA20A」、サンアロマー(株)製、Mn100,000、以下同じ。]100部を窒素雰囲気下に仕込み、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で80分間熱減成を行い、ポリオレフィン熱減成物を得た。このポリオレフィン熱減成物100部、無水マレイン酸30部、スチレン17.3部、およびキシレン100部を反応容器に仕込み、窒素置換後、窒素通気下に130℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにジクミルパーオキサイド[商品名「パークミルD」、日油(株)製]0.5部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)でキシレンおよび未反応の無水マレイン酸を留去して変性ポリオレフィン樹脂(B1−2)を得た。(B1−2)は、酸価は110、Mnは7,000であった。
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器に(B1−2)300部、水酸化ナトリウム5.9部(中和率25%に相当)、界面活性剤(J−2)としてオレイン酸ナトリウム30部、水664部を仕込み、150℃で1時間攪拌することにより水性分散体(E−2)1000部を得た。これを表面処理剤(C−2)とする。
水性分散体(E−2)の体積平均粒子径は80nmであった。
ここでカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B1−2)を水酸化ナトリウムで中和処理し混合物中に生成したものをカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B−2)とする。
<実施例3>
表面処理剤(C−3)
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器に(B1−3)として無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学株式会社製アドマーQE800、Mn200,000、酸価10)300部、界面活性剤(J−2)としてオレイン酸ナトリウム100部、水600部を仕込み、170℃で1時間攪拌することにより水性分散体(E−3)1000部を得た。これを表面処理剤(C−3)とする。
水性分散体(E−3)の体積平均粒子径は200nmであった。
ここでカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B1−3)をカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B−3)とする。
<実施例4>
表面処理剤(C−4)
反応容器に、プロピレンおよび1−ブテンを構成単位とするポリオレフィン(P2)[商品名「タフマーXM−5070」、三井化学(株)製]100部を窒素雰囲気下に仕込み、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら330℃で110分間熱減成を行い、ポリオレフィン熱減成物を得た。このポリオレフィン熱減成物100部、無水マレイン酸6.6部、およびキシレン100部を反応容器に仕込み、窒素置換後、窒素通気下に130℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにジクミルパーオキサイド[商品名「パークミルD」、日油(株)製]0.5部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)でキシレンおよび未反応の無水マレイン酸を留去してカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B1−4)を得た。(B1−4)は、酸価は35、Mnは13,000であった。撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器に(B1−4)300部、ジメチルアミノエタノール33部(中和率100%に相当)、界面活性剤(J−1)として高級アルコール(オレイルアルコールとセチルアルコールの混合品)のエチレンオキサイド11モル付加物(三洋化成工業株式会社製エマルミン110)42部、水625部を仕込み、150℃で1時間攪拌することにより水性分散体(E−4)1000部を得た。これを表面処理剤(C−4)とする。水性分散体(E−4)の体積平均粒子径は280nmであった。ここでカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B1−4)をジメチルアミノエタノールで中和処理したものをカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B−4)とする。
<実施例5>
表面処理剤(C−5)
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B1−1)300部、水酸化ナトリウム8.5部(中和率80%に相当)、水692部を仕込み、150℃で1時間攪拌することにより水性分散体(E−1)1000部を得た。これを表面処理剤(C−5)とする。水性分散体(E−1)の体積平均粒子径は700nmであった。ここでカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B1−1)を水酸化ナトリウムで中和処理し(中和率80%)混合物中に生成したものをカルボキシル変性ポリオレフィン樹脂(B−5)とする。
<実施例6>
植物系複合材(M−1)
2軸ニーダーに表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−1)100部と予め表面処理剤(C−1)7.9重量部を加えておいた水1000重量部とを加え、25℃、30分間混合することにより、ミクロフィブリル化植物繊維の表面処理を行い、ついで、フリーズドライにより、絶乾処理(条件:温度−5℃、圧力8Pa、48時間)を行った。
この様に表面処理したミクロフィブリル化植物繊維(A−1)800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)[ポリプロピレン(MFR:30g/10min、サンアロマー株式会社製PM930V)]1800重量部とを、出口部にホットカットペレタイザーを取り付けたコニカル二軸押出成形機で、230℃で混合しながら押し出してペレット状の植物系複合材(M−1)を調製した。
<実施例7>
植物系複合材(M−2)
表面処理剤(C−1)の代わりに表面処理剤(C−2)を使用する以外は実施例4と同様にして表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A−2)を得た。該(A−2)800重量部と熱可塑性樹脂(B−1)ポリプロピレン1800重量部とを230℃で混合しながら不定形で押し出してコンパウンドの形にした植物系複合材(M−2)を調製した。
<実施例8>
植物系複合材(M−3)
植物系材料(F−1)であるケミサーモメカニカルパルプ(CTMP;日本製紙(株)製の針葉樹のケミサーモメカニカルパルプQ250B60、同B70、同B80の3種を等量含有する。)を水に懸濁して十分に撹拌し、1%スラリーとし、更に(F−1)に対し7.9%の表面処理剤(C−3)を加えた後に、グラインダー(石臼式磨砕機)を用いて磨砕した後、凍結乾燥させることにより、表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A−3)を得た。得られた(A−3)の平均繊維径は85nmであった。本実施例では、植物系材料(F−1)がグラインダーで磨砕されミクロフィブリル化されると同時に、表面処理剤(C−3)によるミクロフィブリルの表面処理が行われるものである。
この様に表面処理したミクロフィブリル化植物繊維(A−3)800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)[ポリプロピレン(MFR:30g/10min、サンアロマー株式会社製PM930V)]1800重量部とを、出口部にホットカットペレタイザーを取り付けたコニカル二軸押出成形機で、230℃で混合しながら押し出してペレット状の植物系複合材(M−3)を調製した。
<実施例9>
植物系複合材(M−4)
2軸ニーダーに表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−2)100部と予め表面処理剤(C−4)7.9重量部を加えておいた水1000重量部とを加え、25℃、30分間混合することにより、ミクロフィブリル化植物繊維の表面処理を行い、ついで、フリーズドライにより、絶乾処理(条件:温度−5℃、圧力8Pa、48時間)を行った。
この様に表面処理したミクロフィブリル化植物繊維(A−4)800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)[ポリプロピレン(MFR:30g/10min、サンアロマー株式会社製PM930V)]1800重量部とを、出口部にホットカットペレタイザーを取り付けたコニカル二軸押出成形機で、230℃で混合しながら押し出してペレット状の植物系複合材(M−4)を調製した。
<実施例10>
植物系複合材(M−5)
2軸ニーダーに表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−3)100部と予め表面処理剤(C−4)7.9重量部を加えておいた水1000重量部とを加え、25℃、30分間混合することにより、ミクロフィブリル化植物繊維の表面処理を行い、ついで、フリーズドライにより、絶乾処理(条件:温度−5℃、圧力8Pa、48時間)を行った。
この様に表面処理したミクロフィブリル化植物繊維(A−5)800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)[ポリプロピレン(MFR:30g/10min、サンアロマー株式会社製PM930V)]1800重量部とを、出口部にホットカットペレタイザーを取り付けたコニカル二軸押出成形機で、230℃で混合しながら押し出してペレット状の植物系複合材(M−5)を調製した。
<実施例11>
植物系複合材(M−6)
2軸ニーダーに表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−4)250部と予め表面処理剤(C−4)7.9重量部を加えておいた水850重量部とを加え、25℃、30分間混合することにより、ミクロフィブリル化植物繊維の表面処理を行い、ついで、フリーズドライにより、絶乾処理(条件:温度−5℃、圧力8Pa、48時間)を行った。
この様に表面処理したミクロフィブリル化植物繊維(A−6)800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)[ポリプロピレン(MFR:30g/10min、サンアロマー株式会社製PM930V)]1800重量部とを、出口部にホットカットペレタイザーを取り付けたコニカル二軸押出成形機で、230℃で混合しながら押し出してペレット状の植物系複合材(M−6)を調製した。
<実施例12>
植物系複合材(M−7)
2軸ニーダーに表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−4)250部と予め表面処理剤(C−5)7.9重量部を加えておいた水850重量部とを加え、25℃、30分間混合することにより、ミクロフィブリル化植物繊維の表面処理を行い、ついで、フリーズドライにより、絶乾処理(条件:温度−5℃、圧力8Pa、48時間)を行った。
この様に表面処理したミクロフィブリル化植物繊維(A−7)800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)[ポリプロピレン(MFR:30g/10min、サンアロマー株式会社製PM930V)]1800重量部とを、出口部にホットカットペレタイザーを取り付けたコニカル二軸押出成形機で、230℃で混合しながら押し出してペレット状の植物系複合材(M−7)を調製した。
<比較例1>
表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−1)800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)ポリプロピレン1800重量部とを実施例6と同様に230℃で混合しながら不定形で押し出してコンパウンドの形にした比較植物系複合材(M−1’)を調製した。
<比較例2>
表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−1)800重量部とカルボキシル変性オレフィン樹脂(B−1)190重量部と熱可塑性樹脂(D−1)ポリプロピレン1800重量部とを実施例6と同様に230℃で混合しながら不定形で押し出してコンパウンドの形にした比較植物系複合材(M−2’)を調製した。
<比較例3>
表面処理剤(C−1)の代わりにアルキルケテンダイマー(荒川化学工業株式会社製サイズパインK−287、水性分散体)を使用する以外は実施例6と同様にしてミクロフィブリル化植物繊維(A−1’)を得た。(A−1’)800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)ポリプロピレン1800重量部とを実施例6と同様に230℃で混合しながら不定形で押し出してコンパウンドの形にした比較系複合材(M−3’)を調製した。
<比較例4>
予めチップ状に調整した木材をインペラーミル(IMP−250;株式会社セイシン企業製)によって粉砕し、平均繊維径を12000nmに調整した木粉(G0−1’)を作成する。この木粉100部と予め表面処理剤(C−1)7.9重量部を加えておいた水150重量部とを2軸ニーダーに加え、25℃、30分間混合することにより、木粉の表面処理を行なった。ついで、送風乾燥により、絶乾処理(条件105℃、48時間)を行ない、表面処理されてなる木粉(G−1’)を得た。
この様に表面処理した木粉(G−1’)である絶乾木粉800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)[ポリプロピレン(MFR:30g/10min、サンアロマー株式会社製PM930V)]1800重量部とを、出口部にホットカットペレタイザーを取り付けたコニカル二軸押出成形機で、230℃で混合しながら押し出してぺレット状の比較植物系複合材(M−4’)を調製した。
<比較例5>
2軸ニーダーに表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−5)100部と予め表面処理剤(C−1)7.9重量部を加えておいた水1000重量部とを加え、25℃、30分間混合することにより、ミクロフィブリル化植物繊維の表面処理を行い、ついで、フリーズドライにより、絶乾処理(条件:温度−5℃、圧力8Pa、48時間)を行った。
この様に表面処理したミクロフィブリル化植物繊維800重量部と熱可塑性樹脂(D−1)[ポリプロピレン(MFR:30g/10min、サンアロマー株式会社製PM930V)]1800重量部とを、出口部にホットカットペレタイザーを取り付けたコニカル二軸押出成形機で、230℃で混合しながら押し出してぺレット状の植物系複合材(M−5’)を調製した。
<酸価 測定方法>
試料1〜2gを130℃に加熱した熱キシレン20mlに溶解後、フェノールフタレインを加え、0.1mol/L水酸化カリウム・メチルアルコール滴定用溶液で滴定を行って、酸価を求めた。
<数平均分子量(Mn) 測定方法>
装 置 :高温GPC(装置名Alliance 型番GPCV2000、メーカーWaters製)
溶 媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム温度 :135℃
検出器:RI
<体積平均粒子径 測定方法>
水で希釈することにより所定の透過率になるよう濃度調整されたサンプルにて体積平均粒子径を測定した。
装置 :レーザー回折散乱測定装置(LA−750、堀場製作所製)
[評価方法]
<曲げ強度>
実施例6〜12及び比較例1〜5で得られたコンパウンドを射出成形機[商品名「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)]を用い、シリンダー温度240℃、金型温度60℃の成型条件で20mm×100mm×9mmに成形し、この成型物について、JIS K7171−1994(プラスチック−曲げ特性の試験方法)に準拠した曲げ強度(曲げ強さ)を測定した。
<表面処理剤(C)の保存安定性>
表面処理剤(C)の試料100gをスクリュー管に入れて20℃、14日間および1ヶ月間保存してから、外観を目視で観察する。
実施例1〜5の本発明の表面処理剤(C−1)〜(C−5)の内容、および保存安定性結果を表1に示す。
Figure 2015063787
EO:エチレンオキサイド
また、表面処理剤を用いた植物系成形体の曲げ強度の評価結果を表2に示す。
Figure 2015063787
表2に示すように、本発明の表面処理剤(C)で表面処理を行ったミクロフィブリル化植物繊維を用いた実施例6〜12の植物系成形体は、下記のように従来の植物系成形体である比較例1〜4およびミクロフィブリル化植物繊維の繊維径が所定の範囲外である比較例5より、その曲げ強度が明らかに大きくなることがわかった。
比較例1:表面処理剤(C)を加えなかった。
比較例2:ポリオレフィン樹脂用改質剤(B−1)を樹脂とミクロフィブリル化植物繊維(A0−1)に練り込んだ。複合材(M−2’)の曲げ強度は、 比較例2で使用した表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0−1)を、(B−1)の水性分散体である(C−1)で表面処理したミクロフィブリル化植物繊維(A−1)と熱可塑性樹脂から形成された複合材(M−1)に比べて、大幅に小さい。
比較例3:疎水化変性剤で表面処理を行ったミクロフィブリル化植物繊維を用いた。
比較例4:所定の繊維径に調整されていない木粉を用いた。
比較例5:所定の繊維径に調整されていないミクロフィブリル化植物繊維を用いた。
本発明の合木質系成形体は、高剛性であることから、自動車用の構造材料、家庭用電化製品の部品、各種エクステリア製品および住宅用内装材等の建材、各種構造材等の用途、例えばデッキ材、手すり、枕木等として適用できる。

Claims (10)

  1. 平均繊維径が4〜10,000nmである表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)から形成された複合材を製造するための、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0)の表面処理剤であって、カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)の水性分散体(E)である表面処理剤(C)。
  2. 水性分散体(E)の体積平均粒子径が0.1〜1000nmである請求項1に記載の表面処理剤。
  3. カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)が、5〜250mgKOH/gの酸価を有し、数平均分子量1,000〜100,000である請求項1または2に記載の表面処理剤。
  4. さらに炭素数10〜30のアルキル基もしくはアルケニル基を疎水基とする界面活性剤(J)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  5. 熱可塑性樹脂(D)がポリオレフィンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  6. 表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0)が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理剤(C)で表面処理されてなる表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)。
  7. 請求項6に記載の表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)から形成された植物系複合材(M)。
  8. 請求項7に記載の植物系複合材(M)を成形してなる植物系成形体。
  9. カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)の水性分散体(E)である表面処理剤(C)を含有する水性溶媒(P)に、表面未処理のミクロフィブリル化植物繊維(A0)を浸漬処理した後、乾燥することにより得られる表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)を混練した後、成形して植物系複合材(M)を得る植物系複合材の製造方法。
  10. カルボキシル変性オレフィン樹脂(B1)および/またはその塩(B2)の水性分散体(E)である表面処理剤(C)を含有する水性溶媒(P)に、植物系材料(F)を浸漬処理すると同時に湿式粉砕した後、乾燥することにより得られる表面処理されたミクロフィブリル化植物繊維(A)と熱可塑性樹脂(D)を混練した後、成形して植物系複合材(M)を得る植物系複合材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017141323A (ja) * 2016-02-08 2017-08-17 大日精化工業株式会社 易分散性セルロース組成物、易分散性セルロース組成物の製造方法、セルロース分散樹脂組成物及びセルロース分散樹脂組成物の製造方法
JP2018134816A (ja) * 2017-02-22 2018-08-30 住友林業株式会社 リグノセルロース繊維の圧縮成形体の製造方法
JP2019014811A (ja) * 2017-07-06 2019-01-31 三井化学株式会社 セルロース系繊維強化樹脂組成物およびその発泡体の製造方法

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