JP4280318B2 - 植物繊維セメント成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として建築材料として用いられる植物繊維を補強材として使用する植物繊維セメント成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
植物繊維セメント成形体、例えば植物繊維セメント板は、通常木材をフレーク、木毛、木繊維等に加工した木質系繊維または竹繊維と、各種セメント、水とを混練し、この混練物を成形し、次いで、セメントを養生、硬化せしめることにより製造されている。木質系繊維の原料としては各種の針葉樹や広葉樹が広く利用されているが、近年では木材が不足の傾向にあり、また、地球環境保護の観点からも木材の節約が求められている。一方、木材の代替原料として、針葉樹や広葉樹と比較して生長速度が早く、また、強靭で弾力性に富む竹材料が注目されてきている。しかしながら、竹材料中には可溶性糖類あるいは可溶性樹脂類等が含まれており、これらはセメント硬化阻害物質としてよく知られている。従って、竹材料のようにセメント硬化阻害物質含有量が多いものを植物繊維材料の原料として実用的に使用するには、セメントの硬化を円滑に進めることができるようにしなければならない。
【0003】
従来、植物繊維材料に含まれている可溶性糖類及び樹脂類によるセメントの硬化阻害を解消する方策として、以下に示す方法が提案されている。
例えば、植物繊維材料中に塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属塩を含浸させたり、混合することによってセメントの硬化を促進する方法がある(特開昭51−26930号公報、特開昭51−151722号公報、特開昭60−118658号公報)。更に、特公昭55−14827号公報には、木質原料を細片化し、セメント及び水を混合して硬化成型せしめる方法において超速硬セメントを使用し、これに塩化第二鉄を添加混合して、さらに90〜120℃の範囲で加熱圧締することによって硬化せしめることを特徴とする木質セメント成型物の迅速硬化成型法が開示されている。
【0004】
しかし、上述のような硬化促進剤を添加する方法にあっては、セメントの硬化は加圧、加温条件下、例えばホットプレス法、締結した状態でのスチーム養生等を用いて行われているが、例えば竹繊維材料のようにセメント硬化阻害物質含有量が多い植物繊維材料を使用した系においては、常温条件下ではセメントが硬化しにくく、仮に硬化しても、得られた成形体の強度は極めて低い。加えて、硬化促進剤として使用される金属塩は塩化物系が一般的であり、塩化物系の硬化促進剤を建材に使用すると、得られた成形体の施工時に留め付け用ネジ等の金属部位、及び成形体製造時における混練機械や成形用鉄板等の金属部分を錆びさせる恐れ、あるいはセメントの硬化阻害物質含有量が多い植物繊維材料を使用した系においては、セメントの水和が著しく遅延するために有効にこれら硬化促進剤が作用しない恐れもある。
【0005】
また、木毛セメント板用の木毛を予め河川水、海水、薬品水中に浸漬処理して、木毛中の樹脂分を取り除いたものを用いる方法(特開昭56−164054号公報)がある。ここで、木毛セメント板の製造に悪影響を及ぼさないまで、木毛原料中の樹脂分を取り除くには、木毛を予め1〜45℃の範囲の冷水を主として用い、樹種により2〜10時間水中浸漬する必要があるとしている。この場合、浸漬処理に長時間が必要となり、生産性の低下は否めない。また、安定した製品品質を得るためには浸漬時間を長くとる必要があり、使用する樹種により製品品質が変動する恐れがある。更に、特公昭61−4784号公報には、木質セメント板の製造法において、予め木質を硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれた1種または2種以上の硫酸根を有する塩、水酸化カルシウムまたは(及び)炭酸カルシウム及びギ酸、酢酸及び蓚酸からなる群から選ばれた1種または2種以上のカルボン酸で処理し、しかる後セメントを混合することを特徴とする木質セメント板の製造法が開示されている。また、特公昭61−5422号公報には、強酸のアルミニウム塩と酢酸塩とで木質材料をセメント硬化阻害防止処理し、このセメント硬化阻害防止処理された木質材料を用いて木質セメント板を製造することを特徴とする木質セメント板の製法が開示されている。これらの処理においては、浸漬処理水の排液処理コスト及びランニングコストの高騰を招く。
【0006】
更に、木質材料中のセメント硬化阻害物質をパラホルムアルデヒドやホルマリン処理により不溶化する方法がある(特開昭50−127925号公報)。しかし、該方法に用いる薬剤は危険であり、薬品排液処理設備、現場環境設備費等が必要となり、コストが上がる。
【0007】
また、特公平5−65455号公報には、木質材料、セメント及び水を混練して混合マットを成型した後、該混合マットを圧締成型し、養生硬化して木質セメント板を製造するに当たり、鉄、銅、亜鉛または鉛の硫酸化物、塩化物または水酸化物より選ばれる1種または2種以上の物質よりなる金属化合物を混練水中に混入し、該金属化合物が木質材料からの抽出成分と結合して安定度の高い錯体を形成して該抽出成分によるセメント硬化阻害を防止することを特徴とする木質セメント板の製造法が開示されている。
【0008】
更に、特開平8−2954号公報には、木質補強材に水酸化カルシウムとアルカリ金属及び/またはアンモニアの重炭酸塩を添加混合し加熱することによって、該木質補強材表面に炭酸カルシウム被覆を施すことを特徴とする木質補強材の処理方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術は、原料混合物中に補強材として配合されている植物繊維材料からセメント硬化阻害物質(可溶性糖類及び樹脂類等)の溶出量が比較的少ない間にゲル化を開始させ、硬化阻害物質がセメント中へ拡散するのを防止する方法、若しくは予め補強用の植物繊維材料を薬品で処理することで、セメント硬化阻害物質がセメント中へ溶出するのを防止する方法である。しかしながら、針葉樹や広葉樹のような補強用の木質系繊維材料に比べて可溶性糖類及び樹脂類を多く含有する竹繊維等を補強用の植物繊維材料として使用する場合においては、セメントが硬化する前に、可溶性糖類及び樹脂類が溶出する可能性があるため、セメントの硬化が阻害される恐れがある。仮に硬化が阻害された場合に硬化促進剤を添加しても、遅延した水和反応を通常に戻すことは難しい。また、薬品等でこれら植物繊維材料表面を完全にコーティングするのは難しく、また、コーティングが不十分であると前者と同様に硬化阻害の恐れがあり、安定した高品質の製品を得ることが困難であった。
【0010】
従って、本発明の目的は、高強度の植物繊維セメント成形体の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、少なくとも植物繊維材料、セメント及び水を混練し、得られた混練物を成形し、養生硬化することからなる植物繊維セメント成形体の製造方法において、少なくとも植物繊維材料、セメント及び所定量の水を混練する際に、水分を含んだ植物繊維材料を使用し、水分量の一部を植物繊維材料に含まれている水で賄い、少なくとも前記水分を含んだ植物繊維材料及びセメントを混練し、得られた混練物を成形する前に、水分量の残部を硝酸塩の水溶液の形態で噴霧器にて均一に前記混練物に添加することを特徴とする植物繊維セメント成形体の製造方法に係る。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、植物繊維成形体の強度発現の障害となる、植物繊維材料中のセメント硬化阻害物質によるセメントの水和反応の遅延を、硝酸塩を添加することにより抑制し、それによって高強度を有する植物繊維セメント成形体の製造方法を提供するものである。
【0014】
以下、本発明の植物繊維セメント成形体を更に説明する。
まず、本明細書に記載する植物繊維材料とは、針葉樹及び広葉樹等で代表される木質系繊維や竹繊維、砂糖黍繊維、椰子の木繊維等を総称するものである。また、植物繊維材料は、ニードル状、チップ状、薄片状、ストランド状、棒状、ファイバー状、フレーク状等の形状を有する上記繊維を総称するものである。更に、植物繊維材料は、リグノセルロースを主成分とする麻繊維、バガス等の材料をも包含する。なお、これらの植物繊維材料の形状は特に限定されるものではないが、例えば平均繊維長が10〜50mm、平均繊維径あるいは平均繊維厚みが0.5mm以下であるものを使用することが好ましい。更に、植物繊維材料は上記繊維の2種以上の混合物であっても良い。
【0015】
本発明の植物繊維セメント成形体において、上記植物繊維材料の添加割合は、10〜30重量%、好ましくは20〜30重量%の範囲内である。ここで、該添加割合が10重量%未満であると、植物繊維材料による補強効果が低いため、得られた植物繊維セメント成形体の曲げ強度が低くなるために好ましくなく、また、該添加割合が30重量%を超えると、得られた植物繊維セメント成形体の不燃性能が著しく低下するために好ましくない。
【0016】
本発明の植物繊維セメント成形体に使用可能なセメントとしては、例えばポルトランドセメント、あるいはポルトランドセメントに高炉スラグを混合した高炉セメント、フライアッシュを混合したフライアッシュセメント、火山灰、シリカフューム、白土等のシリカ物質を混合したシリカセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(ジェットセメント)等を例示することができる。
【0017】
本発明の植物繊維セメント成形体において、上記セメントの添加割合は、90〜70重量%、好ましくは80〜70重量%の範囲内である。ここで、該添加割合が70重量%未満であると、得られた植物繊維セメント成形体の耐水性及び長期耐久性の低下を招く恐れがあるために好ましくなく、また、該添加割合が90重量%を超えると、得られた植物繊維セメント成形体の繊維補強効果が低く、強度は低いものとなるために好ましくない。
【0018】
本発明の植物繊維セメント成形体に添加剤として添加する硝酸塩は、植物繊維材料中に含まれるセメント硬化阻害物質によるセメントの水和反応の遅延を抑制するために作用するものである。ここで、硝酸塩の中でも、金属イオンの種類により、水和反応の回復効果は大きく異なり、回復効果が高い順に金属イオンの種類を列挙すると、Mg2 +、Fe3 +、Ni2 +>Al3 +>Ca2 +>K+である。従って、本発明に添加剤として用いられる硝酸塩は、硝酸マグネシウム[Mg(NO3)2]、硝酸第二鉄[Fe(NO3)3]、硝酸ニッケル[Ni(NO3)3]、硝酸アルミニウム[Al(NO3)3]等が好ましく、硝酸マグネシウム、硝酸第二鉄、硝酸ニッケルが特に好ましい。これら硝酸塩の添加量は0.5〜10重量%、好ましくは4〜10重量%の範囲内である。
【0019】
また、上記硝酸塩以外にも、硝酸カルシウム、硝酸カリウム等も使用可能であるが、これらは先に記載した硝酸塩に比べてセメント硬化阻害物質によるセメントの水和反応の遅延を抑制する効果が低いため、添加割合を増加する必要あるいは上記した抑制効果が高い硝酸塩と組み合わせて用いる必要がある。即ち、これらの硝酸塩を添加する場合、これら硝酸塩の添加量は0.5〜10重量%、好ましくは7〜10重量%の範囲内である。
【0020】
なお、硝酸塩の添加割合が0.5重量%未満であると、セメント硬化阻害物質によるセメントの水和反応の遅延を抑制させるには不十分であり、また、該添加割合が10重量%を超えると、硝酸塩の添加割合が多くなり過ぎて植物繊維セメント成形体の長期耐久性に悪影響を及ぼす恐れがあると共に、原料コストの上昇を招くために好ましくない。
【0021】
更に、本発明の植物繊維セメント成形体には、上記必須成分に加えて、必要に応じて下記に記載する物質を混合材として植物繊維セメント成形体の物性に影響を及ぼさない範囲で添加することができる:
(1)マイカ等の板状結晶;
(2)ワラストナイト等の針状結晶;
(3)シリカフューム、珪藻土、フライアッシュ等の無機質微粉末;
(4)炭酸カルシウム、パーライト、シラスバルーン、スチロール等の無機質あるいは有機質増量材;
(5)ベントナイト、カオリン、バーミキュライト等の粘土鉱物;
(6)パリゴルスカイト、セピオライト等の繊維状鉱物;
(7)ゼオライト等の多孔質鉱物粉末;
(8)有機合成繊維、ガラス繊維、パルプ繊維、金属繊維等の補強用繊維;
(9)合成樹脂エマルジョン;
(10)着色剤、防水剤等の添加物。
【0022】
上記(1)〜(8)の成分については、それらの合計量が水を除く混合原料全体の35重量%以内の範囲内で使用することができる。また、(9)の成分については、水を除く混合原料全体の10重量%以内で使用することが好ましい。更に、(10)の成分については、それぞれ水を除く混合原料全体の5重量%以内の量で添加することができる。
【0023】
本発明の植物繊維セメント成形体の製造方法は、少なくとも植物繊維材料、セメント及び水を混練し、得られた混練物を成形し、養生硬化することからなる植物繊維セメント成形体の製造方法において、少なくとも植物繊維材料、セメント及び所定量の水を混練する際に、水分を含んだ植物繊維材料を使用し、水分量の一部を植物繊維材料に含まれている水で賄い、少なくとも前記水分を含んだ植物繊維材料及びセメントを混練して混練物を得、水分量の残部を硝酸塩の水溶液の形態で噴霧器にて均一に前記混練物に添加した後に成形し、養生硬化することを特徴とするものである。硝酸塩は、水分を含んだ植物繊維材料及びセメントを混練した後、硝酸塩水溶液として噴霧器にて均一に前記混練物に添加することができる。
【0024】
なお、硝酸塩の添加は、硝酸塩が水和水を含有しているものが多いため、予め添加する水に完全且つ均一に溶解し、得られた水溶液を前記混練物に均一に噴霧することにより添加することがより効果的である。
【0025】
即ち、本発明によれば、水分含んだ上述の植物繊維材料、セメント並びに必要に応じて他の成分を混練し、得られた混練物を成形する前に更に硝酸塩の水溶液の形態で噴霧器にて均一に添加・混練した後、得られた混練物をプレス等により成形、クランプ等により固定し、次に、セメントの硬化により成形体のハンドリングが可能となるまで養生し、クランプから成形体を取り出し、更に、得られた成形体を養生・硬化させることにより植物繊維セメント成形体を製造することができる。
【0026】
なお、植物繊維セメント成形体を製造する際には、上述のように所定量の水を他の原料成分と共に添加するが、この水分量の一部を植物繊維材料に含まれている水で賄う。
【0027】
養生方法は、使用するセメントの種類によっても異なるが、自然養生、スチーム養生が好適である。
【0028】
【作用】
植物繊維セメント成形体の製造に際して、植物繊維材料中から原料混合物中に溶出したセメント硬化阻害物質がセメントの水和反応を遅延させるメカニズムとして、各種の仮説が提案されているが、セメント硬化阻害物質がセメント中のカルシウムイオンと錯体を形成して錯塩となり、未水和セメント粒子表面を覆うため、水酸化カルシウム結晶の析出が抑制され、それによってセメントの水和反応に遅延を来し、凝結、硬化が遅れると言われている。そこで、前記原料混合物に硝酸塩を添加することによって、金属イオンが水酸化物となる際に液相に存在するセメント硬化阻害物質を共沈させ、それによって液相部分のセメント硬化阻害物質の濃度が低下し、セメントに吸着していたセメント硬化阻害物質が離脱して液相へ移動するものと考えられる。上述した理由により、セメントに吸着していたセメント硬化阻害物質の層を不安定化することで、セメント硬化阻害物質による水和反応の遅延を抑制し、それによってセメントの硬化阻害のない高強度の植物繊維セメント成形体を提供することができるものと思料される。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に説明する。植物繊維の原料としては、セメント硬化阻害物質含有量が多いことで知られている、竹材料を使用した。
実施例1〜4
竹原料の生長方向に長さ約200mm、幅約30mmに切断したタイ産竹原料(PAITONG DHAM)をハンマークラッシャー(有限会社旭産業社製)を用いて長さ5〜60mm(平均繊維長:15mm)、径0.1〜3.0mm(平均繊維径:0.45mm)に繊維化した。この時、得られた竹繊維の含水率は67重量%であった。ここで、本明細書に記載する植物繊維材料の含水率は下記のように定義されたものである。
含水率(重量%)=(水分を含んだ植物繊維材料の重量−絶乾状態の植物繊維材料の重量)/絶乾状態の植物繊維材料の重量×100
【0030】
次に、該竹繊維、普通ポルトランドセメントの割合が絶乾重量当たりで30:70になるように配合し、水は絶乾状態の竹繊維重量100重量部に対して130重量部添加した。
供試体の作製は含水率を100重量%まで噴霧器を用いて、予め水分調整した竹繊維と普通ポルトランドセメントとを均一に混練後、残りの30重量部の水に硝酸マグネシウムを完全に溶解させることによって調合した硝酸マグネシウム溶液を噴霧器にて均一に前記混練物に添加した。なお、硝酸マグネシウムは関東化学(株)社製特級試薬硝酸マグネシウム六水和物[Mg(NO3)2・6H2O]を使用した。
得られた混練物を鉄板上に長さ180mm×幅100mmの均一なマット状とした。次いで、圧力20kgf/cm2でプレス圧縮し、クランプにて鉄板を固定した後、プレス機から取り出し、圧縮締結したままの状態にて養生した。
養生状態については、ポリ袋中で30℃、24時間密封状態にて1次養生を行った。1次養生終了後、クランプを取り外し、鉄板を脱板、切断後、一方を1日強度試験に供し、もう一方については、引き続き2次養生を行った。2次養生はポリ袋中に密封した状態にて30℃で14日間行った。2次養生終了後、60℃で24時間乾燥し、物性試験に供した。なお、硝酸マグネシウムの添加割合は本発明品1〜4はそれぞれ2.8重量%、4.2重量%、5.6重量%、7.0重量%である。得られた植物繊維セメント成形体の諸特性の測定結果を表1に示す。
【0031】
比較例1
上記実施例1に記載した方法にて作成した竹繊維と普通ポルトランドセメントを絶乾重量比で30:70とし、更に、絶乾竹繊維100重量部に対し、130重量部の水を添加して混合した以外は上記実施例1と同様の方法により竹繊維セメント成形体を製造した。得られた植物繊維セメント成形体の諸特性の測定結果を表1に併記する。
【0032】
比較例2
上記実施例1に記載した方法で、硝酸マグネシウムの代わりに塩化カルシウムを用いた以外は同様の方法により竹繊維セメント成形体を製造した。得られた植物繊維セメント成形体の諸特性の測定結果を表1に併記する。
【0033】
比較例3
上記実施例1に記載した方法で、硝酸マグネシウムの代わりに硫酸アルミニウムを用いた以外は同様の方法により竹繊維セメント成形体を製造した。得られた植物繊維セメント成形体の諸特性の測定結果を表1に併記する。
【0034】
【表1】
【0035】
上記表1の結果から判るように、植物繊維材料、セメント、水のみを混合し、得られた原料混合物を成形し、養生、硬化しても、セメントの硬化阻害を生じているため得られた植物繊維セメント成形体は強度が極めて低く、建築材料として使用することはできない。また、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム等の硬化促進剤を添加しても、竹繊維のようにセメント硬化阻害物質を多く含有する植物繊維材料を使用する場合においては、硬化促進剤の添加効果は得られ難い。しかし、原料混合物に硝酸塩を添加することで、水和反応の遅延を抑制して高強度の植物繊維セメント成形体を得ることができた。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、水分を含んだ植物繊維材料、セメント並びに必要に応じて他の成分を混練し、得られた混練物を成形する前に更に硝酸塩の水溶液の形態で噴霧器にて均一に添加するという極めて簡便な手段により高強度の植物繊維セメント成形体を安定に提供することができるという効果を奏する。
Claims (3)
- 少なくとも植物繊維材料、セメント及び水を混練し、得られた混練物を成形し、養生硬化することからなる植物繊維セメント成形体の製造方法において、少なくとも植物繊維材料、セメント及び所定量の水を混練する際に、水分を含んだ植物繊維材料を使用し、水分量の一部を植物繊維材料に含まれている水で賄い、少なくとも前記水分を含んだ植物繊維材料及びセメントを混練し、得られた混練物を成形する前に、水分量の残部を硝酸塩の水溶液の形態で噴霧器にて均一に前記混練物に添加することを特徴とする植物繊維セメント成形体の製造方法。
- 硝酸塩の添加量が0.5〜10重量%である、請求項1記載の植物繊維セメント成形体の製造方法。
- 硝酸塩が、硝酸マグネシウム、硝酸第二鉄、硝酸ニッケル及び硝酸アルミニウムからなる群から選択された1種または2種以上である、請求項1または2記載の植物繊維セメント成形体の製造方法。
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