JP2004203711A - 木質セメント板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する上記問題のない木質セメント板およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを圧締して一次硬化養生せしめ、該一次硬化養生マットを常温養生又はオ−トクレ−ブ養生せしめたことによって木質セメント板を得る。
【解決手段】セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを圧締して一次硬化養生せしめ、該一次硬化養生マットを常温養生又はオ−トクレ−ブ養生せしめたことによって木質セメント板を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として建築物に使用される木質セメント板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
木質セメント板は、木質補強材とセメント系無機材料とを主な原料として湿式法、乾式法、あるいは半乾式法によって製造されている。
該木質補強材としては、木片、木毛、木質パルプ等が用いられるが、近年木質資源が不足の傾向にあり、また地球環境保護の観点からも木質資源の節約が求められている。
したがって、最近では、木質資源の節約のために木造建築物を解体する際に発生する古材、製材工程から発生する鋸屑や端材、針葉樹の間伐材、木質セメント板のスクラップ等、従来では埋め立てや焼却して処分されている木質スクラップから再生した木質補強材の使用が検討されている。
【0003】
しかしながら、上記木質スクラップは多種多様の樹種からなり、したがって該木質スクラップにはセメントの硬化阻害物質となる糖類等を多量に含む樹種も混入され、このような樹種を木質スクラップから除去することは非常に手間がかかり困難な作業となる。
したがって木質スクラップから再生した木質補強材を木質セメント板の原料として実用的に使用するには、セメントの硬化を円滑に進めることができるようにしなければならない。
【0004】
【従来の技術】
従来より、木質補強材に含有される糖類等によるセメント硬化阻害を解消するために、木質補強材中に塩化カルシウムや塩化マグネシウム等の金属塩化物を硬化促進剤として含浸させたり混合することによってセメントの硬化を促進する方法が提供されている。
木質補強材から溶出したセメント硬化阻害物質たる糖類等は不溶物として未反応セメントクリンカ−の周囲を覆うが、上記金属塩化物は該不溶物を溶解するため、該不溶物が溶解した部分から水が侵入して、該水と該未反応セメントクリンカ−とが反応し、セメントの硬化が開始する。
【0005】
【特許文献1】
特開昭59−18153号
【特許文献2】
特開昭60−118658号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記塩化カルシウムは該糖類等の不溶物を部分的に溶解し、該不溶物が溶解した部分から侵入した水が未反応セメントクリンカ−と反応することによってセメントの硬化が進行するため、該硬化反応速度は大きくなく、したがって上記金属塩化物による硬化促進作用は十分であるとはいい難かった。
さらに、上記金属塩化物は、鉄等の金属を錆びさせたり、塩素・塩化物によっては人体に悪影響を及ぼしたり、焼却時にダイオキシンの発生原因となる等、種々の問題を有している。
したがって、本発明の課題は、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する上記問題のない木質セメント板およびその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本請求項1に記載の発明は、セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物にてマットをフォ−ミングし、該マットを硬化養生せしめたことによって得られた木質セメント板であることを特徴としている。
上記の構成によれば、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を提供することが出来る。
【0008】
また、本請求項2に記載の発明は、上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムであることを特徴としている。
上記の構成によれば、容易に入手しやすい添加物を用いてセメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を提供することが出来る。
【0009】
また、本請求項3に記載の発明は、セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを圧締して一次硬化養生せしめ、該一次硬化養生マットを常温養生又はオ−トクレ−ブ養生することを特徴する木質セメント板の製造方法である。
上記の構成によれば、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を製造することが出来る。
【0010】
また、本請求項4に記載の発明は、上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムであることを特徴としている。
上記の構成によれば、容易に入手しやすい添加物を用いてセメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を製造することが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
[セメント系無機材料]
本発明に使用されるセメント系無機材料とは、ケイ酸カルシウムを主成分とした水硬性の無機材料であり、このような無機材料としては例えばポルトランドセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、アルミナセメント、白色セメント等のセメント類がある。
上記セメント類は二種以上混合使用されてもよい。
【0012】
[木質補強材]
本発明に使用される木質補強材としては、木粉、木片、木毛、木質繊維、木質パルプ、木質繊維束、ドライパルプ等の形状のものが使用される。
好ましい木質補強材の形状としては、巾0.5〜2.0mm、長さ1〜20mm、長さと厚みの比率(アスペクト比)が20〜30の木片や、直径0.1〜2.0mm、長さ2〜35mmの分枝および/または彎曲および/または折曲した木質繊維束がある。
また、本発明に使用される木質補強材の樹種としては、ひのき、杉辺材、ひば、松、あかまつ、いたや楓、白樺辺材、もみ、みずなら、米ひば、米ひのき、レッドラワン等のセメント硬化阻害物質の少ない樹種はもちろん、杉芯材、からまつ、なら、けやき、米杉、米松、米つが、イエロ−ラワン、ケナフ、竹、麻、バガス、もみ殻等の比較的セメント硬化阻害物質を多く含む樹種についても使用出来る。
上記木質補強材は二種以上混合されてもよい。
【0013】
[骨材]
上記セメント系無機材料および木質補強材以外に、本発明においては骨材、特に軽量骨材を混合してもよい。
上記骨材としては、例えば、ケイ砂、ケイ石粉等が使用され、上記軽量骨材としては、例えばパ−ライト、シラスバル−ン、膨張頁石、膨張粘土、焼成珪藻土、フライアッシュ、石炭ガラ等が使用される。
【0014】
[第三成分]
上記混合物には、所望なれば更に硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルミン酸塩類、水ガラス等の硬化促進剤やロウ、ワックス、パラフィン、界面活性剤、シリコン等の防水剤や撥水剤等が混合されてもよい。
【0015】
[蟻酸塩およびミョウバン]
本発明で使用する蟻酸塩とは、蟻酸とカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム等との金属塩である。
上記蟻酸塩は蟻酸とセメント中のカルシウム等との反応によっても得られる。
この中で、入手容易性や硬化促進作用の面から蟻酸カルシウム、蟻酸マグネシウムが特に好ましい。
また、本発明で使用するミョウバンには、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン等があるが、一般的にミョウバンと言われるカリウムミョウバン(KAl(SO4)2・12H2O)が好ましい。
蟻酸塩は初期の硬化において、糖類等のセメント硬化阻害物質である木質溶出有機成分が不溶物として未反応セメントクリンカ−の周囲を覆ってしまったその被膜を破壊し、セメントの水和反応を進行させ、ミョウバンは硬化阻害物質である木質溶出有機成分の固着させるのに有効で、長期的に安定な物質となる。
【0016】
上記蟻酸塩およびミョウバンの添加量は、セメントに対して又はセメントとケイカル反応する骨材との合計100質量部に対して通常0.5〜7.0質量比とされる。
【0017】
[木質セメント板の製造方法]
本発明においては、半乾式製法または乾式製法によって木質セメント板を製造する。
半乾式製法の場合、まず、上記セメントおよび木質補強材、そして所望により骨材、第三成分を含有する混合物に、上記蟻酸塩及びミョウバン及び水を添加混合し、得られた成形材料を基板上に散布してマットをフォ−ミングする。
水は該マットの水分含有率が15〜65質量%となるように添加するのが好ましい。
【0018】
乾式製法の場合、まず、上記セメントおよび木質補強材、そして所望により骨材、第三成分を含有する混合物に、上記蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、得られた成形材料を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットに更に水を添加する。
更に添加する水は該マットの水分含有率が15〜65質量%となるように添加するのが好ましい。
【0019】
以上のようにマットがフォ−ミングされたら、該マットを基板とともに圧締して加熱状態下で一次硬化養生せしめる。
該一次硬化養生において適用される温度は通常50〜100℃であり、圧締圧は通常2〜5MPaである。
上記一次硬化養生後、得られた一次硬化養生体は脱型した上で常温養生またはオ−トクレ−ブ養生する。
常温養生は、通常常温で4〜10日間行われ、オ−トクレ−ブ養生は、130〜180℃の温度で10〜18時間行われる。
常温養生またはオ−トクレ−ブ養生後は、乾燥工程を経て表面塗装等を行い、最終製品とする。
【0020】
木質セメント板表面に凹凸模様を付する場合には、該基板の型面に該凹凸模様に対応した凹凸模様を形成しておけばよい。
また、表面に凹凸模様の無い平滑な木質セメント板を製造するには基板として直接搬送板を使用しても良い。
【0021】
以上説明した本発明の方法によって、二層構造または三層構造の木質セメント板を製造することも出来る。
二層構造の場合には、まず粒子径の細かい木質補強材を混合した成形材料を基板上に散布し、次いでその上に粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料を散布して二層構造のマットをフォ−ミングし、該マットを圧締・加熱して上記粒子径の細かい木質補強材を混合した成形材料によって緻密構造の表層部を形成し、上記粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料によって粗構造の裏面部を形成する。
【0022】
三層構造の場合には、上記二層構造の場合の粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料の上に更に粒子径の細かい木質補強材を混合した成形材料を散布して三層構造のマットをフォ−ミングし、該マットを圧締・加熱して上記粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料からなる層を芯層部とし、その上下の粒子径の細かい木質補強材を混合した成形材料からなる層を表裏層部とする。
また、上記二層構造のマットを、粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料からなる層相互が接触するように二枚積層して圧締・加熱してもよい。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げる。
【0024】
表1に示す配合にて実施例1〜6、比較例1、2を製造した。
原料配合は、配合原料に対して水分量44質量%になるように水を添加し、均一混合した。
蟻酸塩およびミョウバンは、木片と廃材粉砕物を除く粉体の質量に対しの添加量である。
得られた原料混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを3.4MPaで圧締し、そのまま50℃、8時間で一次硬化養生した。
その後、圧締条件を解き、実施例1、2、比較例1は常温4日で自然養生し、実施例3から6、比較例2は160℃、8時間キ−プでオ−トクレ−ブ養生し、その後、乾燥、塗装工程を経て製品とした。
これらの諸物性を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
また、表2に示す配合にて三層構造の実施例7、8、比較例3を製造した。
原料配合は、配合原料に対して水分量30質量%になるように水を添加し、均一混合した。
蟻酸塩およびミョウバンは、木質原料と廃材粉砕物と発泡ポリスチレンビ−ズを除いた粉体の質量に対しての添加量である。
得られた原料混合物の表裏層用の原料をまず基板上に散布して表層とし、その上に芯層用の原料を散布して芯層とし、更にその上に表裏層用の原料を散布して裏層として三層構造としてマットをフォ−ミングし、該マットを3.9MPaで圧締し、そのまま50℃、8時間で一次硬化養生した。
その後、圧締条件を解き、160℃、8時間キ−プでオ−トクレ−ブ養生し、その後、乾燥、塗装工程を経て製品とした。
これらの諸物性を表3に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
表1に示すように、実施例2と比較例1、実施例3と比較例2とを比べると、実施例のほうが、一次硬化養生後、二次硬化養生後の曲げ強度は共に優れた値となった。
また、実施例7、8と比較例3とを比べてみても、実施例のほうが優れた値となった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本請求項1に記載の発明によれば、セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物にてマットをフォ−ミングし、該マットを硬化養生せしめたことによって得られた木質セメント板であるので、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を提供することが出来る。
【0031】
また、本請求項2に記載の発明によれば、上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムであるので、容易に入手しやすい添加物を用いてセメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を提供することが出来る。
【0032】
また、本請求項3に記載の発明によれば、セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを圧締して一次硬化養生せしめ、該一次硬化養生マットを常温養生又はオ−トクレ−ブ養生することを特徴する木質セメント板の製造方法であるので、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を製造することが出来る。
【0033】
また、本請求項4に記載の発明によれば、上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムであるので、容易に入手しやすい添加物を用いてセメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を製造することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は主として建築物に使用される木質セメント板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
木質セメント板は、木質補強材とセメント系無機材料とを主な原料として湿式法、乾式法、あるいは半乾式法によって製造されている。
該木質補強材としては、木片、木毛、木質パルプ等が用いられるが、近年木質資源が不足の傾向にあり、また地球環境保護の観点からも木質資源の節約が求められている。
したがって、最近では、木質資源の節約のために木造建築物を解体する際に発生する古材、製材工程から発生する鋸屑や端材、針葉樹の間伐材、木質セメント板のスクラップ等、従来では埋め立てや焼却して処分されている木質スクラップから再生した木質補強材の使用が検討されている。
【0003】
しかしながら、上記木質スクラップは多種多様の樹種からなり、したがって該木質スクラップにはセメントの硬化阻害物質となる糖類等を多量に含む樹種も混入され、このような樹種を木質スクラップから除去することは非常に手間がかかり困難な作業となる。
したがって木質スクラップから再生した木質補強材を木質セメント板の原料として実用的に使用するには、セメントの硬化を円滑に進めることができるようにしなければならない。
【0004】
【従来の技術】
従来より、木質補強材に含有される糖類等によるセメント硬化阻害を解消するために、木質補強材中に塩化カルシウムや塩化マグネシウム等の金属塩化物を硬化促進剤として含浸させたり混合することによってセメントの硬化を促進する方法が提供されている。
木質補強材から溶出したセメント硬化阻害物質たる糖類等は不溶物として未反応セメントクリンカ−の周囲を覆うが、上記金属塩化物は該不溶物を溶解するため、該不溶物が溶解した部分から水が侵入して、該水と該未反応セメントクリンカ−とが反応し、セメントの硬化が開始する。
【0005】
【特許文献1】
特開昭59−18153号
【特許文献2】
特開昭60−118658号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記塩化カルシウムは該糖類等の不溶物を部分的に溶解し、該不溶物が溶解した部分から侵入した水が未反応セメントクリンカ−と反応することによってセメントの硬化が進行するため、該硬化反応速度は大きくなく、したがって上記金属塩化物による硬化促進作用は十分であるとはいい難かった。
さらに、上記金属塩化物は、鉄等の金属を錆びさせたり、塩素・塩化物によっては人体に悪影響を及ぼしたり、焼却時にダイオキシンの発生原因となる等、種々の問題を有している。
したがって、本発明の課題は、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する上記問題のない木質セメント板およびその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本請求項1に記載の発明は、セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物にてマットをフォ−ミングし、該マットを硬化養生せしめたことによって得られた木質セメント板であることを特徴としている。
上記の構成によれば、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を提供することが出来る。
【0008】
また、本請求項2に記載の発明は、上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムであることを特徴としている。
上記の構成によれば、容易に入手しやすい添加物を用いてセメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を提供することが出来る。
【0009】
また、本請求項3に記載の発明は、セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを圧締して一次硬化養生せしめ、該一次硬化養生マットを常温養生又はオ−トクレ−ブ養生することを特徴する木質セメント板の製造方法である。
上記の構成によれば、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を製造することが出来る。
【0010】
また、本請求項4に記載の発明は、上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムであることを特徴としている。
上記の構成によれば、容易に入手しやすい添加物を用いてセメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を製造することが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
[セメント系無機材料]
本発明に使用されるセメント系無機材料とは、ケイ酸カルシウムを主成分とした水硬性の無機材料であり、このような無機材料としては例えばポルトランドセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、アルミナセメント、白色セメント等のセメント類がある。
上記セメント類は二種以上混合使用されてもよい。
【0012】
[木質補強材]
本発明に使用される木質補強材としては、木粉、木片、木毛、木質繊維、木質パルプ、木質繊維束、ドライパルプ等の形状のものが使用される。
好ましい木質補強材の形状としては、巾0.5〜2.0mm、長さ1〜20mm、長さと厚みの比率(アスペクト比)が20〜30の木片や、直径0.1〜2.0mm、長さ2〜35mmの分枝および/または彎曲および/または折曲した木質繊維束がある。
また、本発明に使用される木質補強材の樹種としては、ひのき、杉辺材、ひば、松、あかまつ、いたや楓、白樺辺材、もみ、みずなら、米ひば、米ひのき、レッドラワン等のセメント硬化阻害物質の少ない樹種はもちろん、杉芯材、からまつ、なら、けやき、米杉、米松、米つが、イエロ−ラワン、ケナフ、竹、麻、バガス、もみ殻等の比較的セメント硬化阻害物質を多く含む樹種についても使用出来る。
上記木質補強材は二種以上混合されてもよい。
【0013】
[骨材]
上記セメント系無機材料および木質補強材以外に、本発明においては骨材、特に軽量骨材を混合してもよい。
上記骨材としては、例えば、ケイ砂、ケイ石粉等が使用され、上記軽量骨材としては、例えばパ−ライト、シラスバル−ン、膨張頁石、膨張粘土、焼成珪藻土、フライアッシュ、石炭ガラ等が使用される。
【0014】
[第三成分]
上記混合物には、所望なれば更に硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルミン酸塩類、水ガラス等の硬化促進剤やロウ、ワックス、パラフィン、界面活性剤、シリコン等の防水剤や撥水剤等が混合されてもよい。
【0015】
[蟻酸塩およびミョウバン]
本発明で使用する蟻酸塩とは、蟻酸とカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム等との金属塩である。
上記蟻酸塩は蟻酸とセメント中のカルシウム等との反応によっても得られる。
この中で、入手容易性や硬化促進作用の面から蟻酸カルシウム、蟻酸マグネシウムが特に好ましい。
また、本発明で使用するミョウバンには、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン等があるが、一般的にミョウバンと言われるカリウムミョウバン(KAl(SO4)2・12H2O)が好ましい。
蟻酸塩は初期の硬化において、糖類等のセメント硬化阻害物質である木質溶出有機成分が不溶物として未反応セメントクリンカ−の周囲を覆ってしまったその被膜を破壊し、セメントの水和反応を進行させ、ミョウバンは硬化阻害物質である木質溶出有機成分の固着させるのに有効で、長期的に安定な物質となる。
【0016】
上記蟻酸塩およびミョウバンの添加量は、セメントに対して又はセメントとケイカル反応する骨材との合計100質量部に対して通常0.5〜7.0質量比とされる。
【0017】
[木質セメント板の製造方法]
本発明においては、半乾式製法または乾式製法によって木質セメント板を製造する。
半乾式製法の場合、まず、上記セメントおよび木質補強材、そして所望により骨材、第三成分を含有する混合物に、上記蟻酸塩及びミョウバン及び水を添加混合し、得られた成形材料を基板上に散布してマットをフォ−ミングする。
水は該マットの水分含有率が15〜65質量%となるように添加するのが好ましい。
【0018】
乾式製法の場合、まず、上記セメントおよび木質補強材、そして所望により骨材、第三成分を含有する混合物に、上記蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、得られた成形材料を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットに更に水を添加する。
更に添加する水は該マットの水分含有率が15〜65質量%となるように添加するのが好ましい。
【0019】
以上のようにマットがフォ−ミングされたら、該マットを基板とともに圧締して加熱状態下で一次硬化養生せしめる。
該一次硬化養生において適用される温度は通常50〜100℃であり、圧締圧は通常2〜5MPaである。
上記一次硬化養生後、得られた一次硬化養生体は脱型した上で常温養生またはオ−トクレ−ブ養生する。
常温養生は、通常常温で4〜10日間行われ、オ−トクレ−ブ養生は、130〜180℃の温度で10〜18時間行われる。
常温養生またはオ−トクレ−ブ養生後は、乾燥工程を経て表面塗装等を行い、最終製品とする。
【0020】
木質セメント板表面に凹凸模様を付する場合には、該基板の型面に該凹凸模様に対応した凹凸模様を形成しておけばよい。
また、表面に凹凸模様の無い平滑な木質セメント板を製造するには基板として直接搬送板を使用しても良い。
【0021】
以上説明した本発明の方法によって、二層構造または三層構造の木質セメント板を製造することも出来る。
二層構造の場合には、まず粒子径の細かい木質補強材を混合した成形材料を基板上に散布し、次いでその上に粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料を散布して二層構造のマットをフォ−ミングし、該マットを圧締・加熱して上記粒子径の細かい木質補強材を混合した成形材料によって緻密構造の表層部を形成し、上記粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料によって粗構造の裏面部を形成する。
【0022】
三層構造の場合には、上記二層構造の場合の粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料の上に更に粒子径の細かい木質補強材を混合した成形材料を散布して三層構造のマットをフォ−ミングし、該マットを圧締・加熱して上記粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料からなる層を芯層部とし、その上下の粒子径の細かい木質補強材を混合した成形材料からなる層を表裏層部とする。
また、上記二層構造のマットを、粒子径の大きい木質補強材を混合した成形材料からなる層相互が接触するように二枚積層して圧締・加熱してもよい。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げる。
【0024】
表1に示す配合にて実施例1〜6、比較例1、2を製造した。
原料配合は、配合原料に対して水分量44質量%になるように水を添加し、均一混合した。
蟻酸塩およびミョウバンは、木片と廃材粉砕物を除く粉体の質量に対しの添加量である。
得られた原料混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを3.4MPaで圧締し、そのまま50℃、8時間で一次硬化養生した。
その後、圧締条件を解き、実施例1、2、比較例1は常温4日で自然養生し、実施例3から6、比較例2は160℃、8時間キ−プでオ−トクレ−ブ養生し、その後、乾燥、塗装工程を経て製品とした。
これらの諸物性を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
また、表2に示す配合にて三層構造の実施例7、8、比較例3を製造した。
原料配合は、配合原料に対して水分量30質量%になるように水を添加し、均一混合した。
蟻酸塩およびミョウバンは、木質原料と廃材粉砕物と発泡ポリスチレンビ−ズを除いた粉体の質量に対しての添加量である。
得られた原料混合物の表裏層用の原料をまず基板上に散布して表層とし、その上に芯層用の原料を散布して芯層とし、更にその上に表裏層用の原料を散布して裏層として三層構造としてマットをフォ−ミングし、該マットを3.9MPaで圧締し、そのまま50℃、8時間で一次硬化養生した。
その後、圧締条件を解き、160℃、8時間キ−プでオ−トクレ−ブ養生し、その後、乾燥、塗装工程を経て製品とした。
これらの諸物性を表3に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
表1に示すように、実施例2と比較例1、実施例3と比較例2とを比べると、実施例のほうが、一次硬化養生後、二次硬化養生後の曲げ強度は共に優れた値となった。
また、実施例7、8と比較例3とを比べてみても、実施例のほうが優れた値となった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本請求項1に記載の発明によれば、セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物にてマットをフォ−ミングし、該マットを硬化養生せしめたことによって得られた木質セメント板であるので、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を提供することが出来る。
【0031】
また、本請求項2に記載の発明によれば、上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムであるので、容易に入手しやすい添加物を用いてセメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を提供することが出来る。
【0032】
また、本請求項3に記載の発明によれば、セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを圧締して一次硬化養生せしめ、該一次硬化養生マットを常温養生又はオ−トクレ−ブ養生することを特徴する木質セメント板の製造方法であるので、セメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を製造することが出来る。
【0033】
また、本請求項4に記載の発明によれば、上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムであるので、容易に入手しやすい添加物を用いてセメントの速やかな硬化が可能で、塩化物に起因する問題のない木質セメント板を製造することが出来る。
Claims (4)
- セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物にてマットをフォ−ミングし、該マットを硬化養生せしめたことを特徴とする木質セメント板
- 上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムである請求項1に記載の木質セメント板
- セメント系無機材料と木質補強材とを主原料とした原料に、蟻酸塩及びミョウバンを添加混合し、該混合物を基板上に散布してマットをフォ−ミングし、該マットを圧締して一次硬化養生せしめ、該一次硬化養生マットを常温養生又はオ−トクレ−ブ養生することを特徴する木質セメント板の製造方法
- 上記蟻酸塩が蟻酸カルシウムまたは/および蟻酸マグネシウムである請求項3に記載の木質セメント板の製造方法
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