JP4070264B2 - 木質セメント板用セメント組成物および木質セメント板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は木質セメント板用セメント組成物および木質セメント板の製造方法、詳しくは硬化したセメント内に木片または木毛が混在する木質セメント板の製造に際して用いられる木質セメント板用セメント組成物およびこのセメントを使用した木質セメント板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木片や木毛(木材をリボン状に削ったもの)がセメントと混在した木質セメント板は、断熱性、遮音性および防火性に優れる。このため、その利点を生かして、例えば建物の内外壁材として、あるいは、天井下地材および屋根の下地材などに用いられている。
この木質セメント板は、通常、次の方法によって製造されている。すなわち、まず、木質繊維や、木片や木材をリボン状に削った木毛である木質材料、セメントおよび水を混練し、次いで、この混練物を所定形状の型に入れて圧縮成形し、その後、この圧縮成形物を養生硬化させて木質セメント板とする方法である。
【0003】
ところが、この木質セメント板の利用分野においては、木質材料から抽出される有害成分により、セメントの凝結遅延や硬化不良が生じてしまい、木質セメント板の強度が著しく低下することが問題となっている。
これは、混練後、木質材料の成分であるヘミセルロース、リグニン、タンニン、フミン酸や糖分質などが、水和過程中のペーストのpH上昇にともなって外部へ溶出し易くなり、これがセメントから遊離したCa2+、K+、Na+と結合して塩を生成し、この塩がセメント粒子を覆ってしまう結果、セメントの水和反応が抑制されることに起因する。
今日、これを解消する従来方法として、例えば(1)木質材料から硬化不良材を選別除去する方法や、(2)木質材料から硬化阻害成分を抽出除去する方法や、(3)木質材料の外被をコーティングし、硬化阻害成分を溶出させない方法などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来技術によれば、以下のような解決すべき課題があった。
すなわち、(1)の従来方法においては、当然ながら樹種による選別には限界があり、また、近年の原木事情や資源の有効利用の観点からも、適切な樹種だけを使用することは難しいという問題があった。
次に、(2)の従来方法は、予め木質材料を水やNa2CO3、NaOH、Ca(OH)2などの水溶液に浸漬して、この材料から硬化阻害成分のヘミセルロースやリグニンなどを溶出し、その後、これを水洗いして使用する方法である。この方法はかなりの効果が期待できるが、製造工程数の増加と、薬品使用によるコスト高を招くおそれがあった。
【0005】
続いて、(3)の従来方法は、木質材料を流動パラフィンなどによりコーティングして硬化阻害成分が溶出するのを防ぐ方法である。これも高い効果が期待できるが、(2)の場合と同様に、製造工程数の増加や、コスト高を招くおそれがある。
そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、寒冷期や緊急工事におけるポルトランドセメントの硬化促進剤に着目した。すなわち、これを木質セメント板製造時に、プレミックスドセメントに添加しておくことで、木質材料の硬化阻害成分が溶出し、ポルトランドセメントの凝結遅延や硬化不良を起こす前に、セメントの水和を増進させてこれを十分に硬化できることを見出し、この発明を完成させた。
【0006】
【発明の目的】
そこで、この発明は、木質材料の使用樹種に制約を受けず、比較的安価で、しかも製造工程数が増加することなく、木質材料の硬化阻害成分の溶出を防止できる木質セメント板用セメント組成物を提供することを、また、このセメントを用いた木質セメント板の製造方法を提供することを、その目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、プレミックスドセメントと木質材料とが混在したセメント硬化物である木質セメント板の原料を構成する木質セメント板用セメント組成物において、上記プレミックスドセメントは、ポルトランドセメントを75〜89.8重量%、石膏を10〜15重量%含むとともに、このポルトランドセメントの硬化促進剤である水可溶性の薬剤を0.2〜10重量%添加してなる木質セメント板用セメント組成物である。
【0008】
ここでいう木質材料とは、木質繊維や木片または木毛などをいう。木質繊維は径が約0.1〜2.0mm、長さが約2〜35mmの範囲にあるものを用いる。木片は、厚さ2mm以下、幅20mm以下、長さ60mm以下のものを採用することができる。木毛は、厚さ0.1〜1mm、幅2〜8mm、長さ100〜500mmの薄くて短い木帯を採用することができる。
これら木質繊維や木片、木毛の樹種としては、スギやマツやツガ等一般的なものが挙げられ、特に限定されない。
木質材料は、通常、プレミックスドセメント100重量部に対して10〜120重量部、好ましくは、25〜100重量部が混合される。10重量部未満ではボード(木質セメント板)でのかさ密度が高くまた熱伝導性が大きくなる。120重量部を超えるとボードでの強度が低下するとともに、たわみ量が大きくなり、寸法安定性が低下する。
【0009】
使用するポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメントの他、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント(JIS R 5210)などが挙げられる。
また、石膏としては、二水石膏、半水石膏、無水石膏などの各種石膏を1種または2種以上添加したものを含む。
【0010】
薬剤は、プレミックスドセメントの硬化促進剤として採用できればよく、特に限定されないが、ポルトランドセメントにプレミックスされることから、粉末状であることが好ましい。例えば、請求項2に記載されたものなどを採用することができる。
プレミックスドセメント(100重量%)に対しての薬剤の添加量は0.2〜10重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。添加量が0.2重量%より小さいと、硬化促進効果が不十分である。10重量%を超えると、硬化促進効果の増進が得られない。
【0011】
これらの重量調整された木質材料や、薬剤が添加された混合物に対する水の添加量は、この混合物(プレミックスドセメント)100重量部に対して、20〜50重量部、特に25〜30重量部が好ましい。
これらの木質材料、薬剤が添加されたプレミックスドセメントおよび水は、ミキサに投入され、木質材料にプレミックスドセメントと水とがまぶされたように混練される。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記薬剤が、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ギ酸塩および酢酸塩からなる群より選ばれたものである請求項1に記載の木質セメント板用セメント組成物である。
塩化物としては、例えばCaCl2、MgCl2、FeCl3、AlCl3、NaCl、KCl、LiClなど、および、これらの結晶水を持ったものが挙げられる。
また、上記硫酸塩としては、例えばAl2(SO4)3、ミョウバン、FeSO4、Li2SO4、Na2SO4、K2SO4、MgSO4 など、および、これらの結晶水を持ったものが挙げられる。
さらに、硝酸塩および亜硝酸塩としては、例えば硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウムなど、および、これらの結晶水を持ったものが挙げられる。
さらにまた、ギ酸塩や酢酸塩としては、例えばギ酸カルシウムや酢酸カルシウムなど、および、これらの結晶水を持ったものが挙げられる。
このうち、特に、硬化促進の効果があり発錆を抑えることができるという理由から、硫酸アルミニウム、ミョウバン、亜硝酸カルシウムが好ましい。また、価格の面からは塩化カルシウムが実用的である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、上記ポルトランドセメントの比表面積が、2000〜8000cm2/gである請求項1または請求項2に記載の木質セメント板用セメント組成物である。
2000cm2/g未満では、強度が不足するとともに、ボード表面の状態が粗くなり、美観が損なわれる。また、8000cm2/gを超えると、微細粒のわりに強度の増大が得られず、またコスト高となる。このポルトランドセメントの比表面積を表すブレーン値は、特に2500〜6000cm2/gが好ましい。
【0014】
請求項4に記載の発明は、ポルトランドセメント75〜89.8重量%と、石膏10〜15重量%と、ポルトランドセメントの硬化促進剤である水可溶性の薬剤を0.2〜10重量%とを予め混合して木質セメント板用セメント(プレミックスドセメント)を作製する工程と、この木質セメント板用セメント、木質材料および水を混練し、成形し、養生硬化させる工程とを含む木質セメント板の製造方法である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、上記薬剤が、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ギ酸塩および酢酸塩からなる群より選ばれたものである請求項4に記載の木質セメント板の製造方法である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、上記ポルトランドセメントの比表面積が、2000〜8000cm2/gである請求項4または請求項5に記載の木質セメント板の製造方法である。
【0017】
【作用】
この発明によれば、ポルトランドセメントおよび石膏中に水可溶性の薬剤を0.2〜10重量%添加する。これにより、木質セメント板の製造工程において、木質材料とプレミックスドセメントを混練する工程以降、木質材料の硬化阻害成分であるヘミセルロース、リグニン、タンニン、フミン酸や糖分質などがこの木質材料の外部に溶出する前に、セメントを十分に硬化できる。
すなわち、プレミックスドセメント中に薬剤を0.2〜10重量%添加すれば、混練中に次式(代表的な反応式で示す)の反応が起きる。
【0018】
3CaO・Al2O3+3CaSO4+32H2O→3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O
3CaO・Al2O3+CaCl2+12H2O→3CaO・Al2O3・CaCl2+12H2O
2(3CaO・SiO2)+6H2O→3CaO・2SiO2・3H2O+3Ca(OH)2
【0019】
この反応が始まるまでの時間は、木質材料から硬化阻害成分が溶出するのにかかる時間(通常条件下で120〜130分程度)に比べ、10〜90分くらいと短い。これにより、外部へ溶出した硬化阻害成分によって、ポルトランドセメントの凝結遅延や硬化不良が開始される前に、ポルトランドセメントの水和を増進させて、このプレミックスドセメントを十分に硬化させることができる。したがって、木質材料の使用樹種に制約を受けず、比較的安価で、しかも製造工程数が増加することなく、木質材料の硬化阻害成分の溶出を防止できる。
【0020】
特にポルトランドセメント、石膏および硬化促進剤は予め均一に混合(プレミックス)されているため、これに木質材料および水を加えて混練する場合十分な硬化促進効果が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を説明する。ただし、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8、比較例1、2)
厚さ0.2〜2mm、幅0.2〜4mm、長さ2〜30mmのカラマツの木片を準備する。また、普通ポルトランドセメント(三菱マテリアル株式会社製)または早強ポルトランドセメント(三菱マテリアル株式会社製)と、石膏(ノリタケカンパニーリミテッド製)と、硬化促進剤である塩化物としてのCaCl2(関東化学株式会社製、純度95%)とを、表1に示す条件で添加したものをプレミックスしてプレミックスドセメントを作製しておき、これらに木質材料である上記の木片を混合した。さらに、この木質材料とプレミックスドセメントとの混合物100重量部に対して水30重量部を加え、5分間のミキサによる混練を行った。その後の普通ポルトランドセメントまたは早強ポルトランドセメントの凝結時間を表1に示す。なお、木質材料の添加量は、プレミックスドセメント100重量部に対しての添加割合を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から明らかなように、木質材料から硬化阻害成分が溶出するのにかかる時間(通常条件下で120〜130分程度)に比べ、比較例1におけるポルトランドセメントの凝結時間は160分と長かった。この結果、木質材料から硬化阻害成分が溶け出し、ポルトランドセメントの凝結遅延や硬化不良が発生した。よって、硬化後の強度は0.18N/mm 2 と低かった。
これに対して、実施例1〜8の場合は、ポルトランドセメントの凝結時間が21〜95分と短かく、これにより木質材料から硬化阻害成分が溶け出す前に、プレミックスドセメントを十分に硬化することができた。この結果、硬化後の曲げ強度は0.92〜3.11N/mm 2 と良好な数値となった。
なお、比較例2の場合は、CaCl2を20重量%と多量に添加している。このため、木質材料からの硬化阻害成分の溶出は実施例と同様に防止できる。しかしながら、10重量%を超えて添加したことによる硬化の増進が見られないという不具合がある。
【0024】
その後、上記ミキサからの混練物を、プレス板を組んだ型へ投入し、70℃、圧力1.96×10 6 Pa、5分間の加圧条件で圧縮成形した。そして、得られた圧縮成形物をクランピングし、6時間圧締硬化した。その後、これを7日間自然養生した。これにより、図1のこの発明の実施例に係る木質セメント板の斜視図に示すような、セメント硬化体11と木質材料12とが混在する木質セメント板10を得た。板寸は縦500mm、横500mm、厚さ12mmである。この木質セメント板10は、大きな強度を有する良質のものだった。
【0025】
このように、プレミックスドセメントに水可溶性のCaCl2を0.2〜10重量%添加したので、木質材料12の硬化阻害成分が溶出する前に、ポルトランドセメントの水和を増進させて、プレミックスドセメントを十分に硬化できる。よって、木質材料の使用樹種に制約を受けず、比較的安価で、しかも製造工程数が増加することなく、木質材料の硬化阻害成分の溶出を防止できる。
【0026】
(実施例9〜16、比較例3、4)
硬化促進剤である塩化物に代えて、硫酸塩のAl2(SO4)3(関東化学株式会社製、純度97%)を表2に示す条件で添加した以外は、実施例1〜8、比較例1、比較例2と同じ条件で木質セメント板を製造した。そのときの凝結時間および硬化後の曲げ強度を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
表2から明らかなように、比較例3におけるポルトランドセメントの凝結時間は155分と長く、この結果、木質材料から硬化阻害成分が溶け出して、ポルトランドセメントの凝結遅延や硬化不良が発生した。よって、硬化後の強度は0.21N/mm 2 と低かった。
これに対して、実施例9〜16の場合は、ポルトランドセメントの凝結時間が15〜90分と短かく、木質材料から硬化阻害成分が溶け出す前にプレミックスドセメントを十分に硬化することができた。この結果、硬化後の曲げ強度は0.95〜3.86N/mm 2 と良好な数値となった。
なお、比較例4の場合は、Al2(SO4)3を20重量%と多量に添加した。この場、比較例2の場合と同様に、10重量%を超えて添加したことによる硬化増進が生じていないという不具合が生じた。
【0029】
(実施例17〜24、比較例5、6)
硬化促進剤として亜硝酸塩の亜硝酸カルシウム(関東化学株式会社製、純度98%)を表3に示す条件で添加した以外は、実施例1〜8、比較例1、比較例2と同じ条件で木質セメント板を製造した。そのときの凝結時間および硬化後の曲げ強度を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
表3から明らかなように、比較例5におけるポルトランドセメントの凝結時間は155分と長く、ポルトランドセメントの凝結遅延や硬化不良が発生した。硬化後の強度は0.21N/mm 2 と低かった。
これに対して、実施例17〜24では、ポルトランドセメントの凝結時間が18〜102分と短かく、プレミックスドセメントを十分に硬化することができた。この結果、硬化後の曲げ強度は1.02〜3.68N/mm 2 と良好な数値となった。
なお、比較例6の場合は、Ca(NO2)2を20重量%と多量に添加したので、比較例2、4の場合と同様の不具合が生じた。
【0032】
(実施例25〜32、比較例7、8)
硬化促進剤としてギ酸塩のギ酸カルシウム(関東化学株式会社製、純度98%)を表4に示す条件で添加した以外は、実施例1〜8、比較例1、2と同じ条件で木質セメント板を製造した。そのときの凝結時間および硬化後の曲げ強度を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
表4から明らかなように、比較例7におけるセメントの凝結時間は160分と長く、ポルトランドセメントの凝結遅延や硬化不良が発生した。硬化後の強度は0.18N/mm 2 と低かった。
これに対して、実施例25〜32では、ポルトランドセメントの凝結時間が23〜98分と短かく、プレミックスドセメントを十分に硬化することができた。この結果、硬化後の曲げ強度は1.000〜3.491N/mm 2 と良好な数値となった。なお、比較例8の場合は、Ca(HCOO)2を20重量%と多量に添加したので、比較例2、4、6の場合と同様の不具合が生じた。
【0035】
(実施例33〜35、比較例9、10)
プレミックスドセメントの水硬性成分として普通ポルトランドセメント(88重量%)と石膏(10重量%)とを用いた。これに硬化促進剤である塩化物のCaCl2を2重量%だけ添加した。さらに、木質材料であるカラマツの木片をセメント100重量部に対して60重量部だけ混合した。さらに、ポルトランドセメントの比表面積(ブレーン値)を表5に示す条件で変更した。これ以外は、実施例1〜8、比較例1、2と同じ条件で木質セメント板を製造した。そのときの凝結時間および硬化後の曲げ強度を表5に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
表5から明らかなように、比較例9のようにポルトランドセメントのブレーン値が2000cm2/g未満では強度が不足して、ボード表面の状態が粗くなり、美観が損なわれた。また、比較例10のようにポルトランドセメントのブレーン値が8000cm2/gを超えた場合には、8000cm2/gを超えての強度の増進が得られなかった。
これに対して、実施例33〜35の場合は、良好な強度が得られるとともに、木質セメント板の表面が比較的密で、良好な美観が得られた。
【0038】
【発明の効果】
請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、木質セメント板の原材料であるポルトランドセメントを含むプレミックスドセメント中に水可溶性の薬剤を0.2〜10重量%添加することで、木質材料の硬化阻害成分がこの木質材料の外部へ溶出してポルトランドセメントの凝結遅延や硬化不良が開始される前に、ポルトランドセメントの水和を増進させて、このプレミックスドセメントを十分に硬化することができる。この結果、木質材料の使用樹種に制約を受けず、比較的安価で、しかも製造工程数が増加することなく、木質材料の硬化阻害成分の溶出を防止することができる。
【0039】
特に、請求項3の発明によれば、ポルトランドセメントの比表面積が、2000〜8000cm2/gとしたので、良好な強度が得られるとともに、木質セメント板の表面が比較的密で、良好な美観が得られる。
【0040】
請求項4〜請求項6に記載の発明によれば、予め均一に混合した木質セメント板用セメント組成物を作製したため、良品である木質セメント板を製造することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例に係る木質セメント板の斜視図である。
【符号の説明】
10 木質セメント板、
11 セメント、
12 木質材料。
Claims (6)
- プレミックスドセメントと木質材料とが混在したセメント硬化物である木質セメント板の原料を構成する木質セメント板用セメント組成物において、
上記プレミックスドセメントは、
ポルトランドセメントを75〜89.8重量%、
石膏を10〜15重量%含むとともに、
このポルトランドセメントの硬化促進剤である水可溶性の薬剤を0.2〜10重量%添加してなる木質セメント板用セメント組成物。 - 上記薬剤が、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ギ酸塩および酢酸塩からなる群より選ばれたものである請求項1に記載の木質セメント板用セメント組成物。
- 上記ポルトランドセメントの比表面積が、2000〜8000cm2/gである請求項1または請求項2に記載の木質セメント板用セメント組成物。
- ポルトランドセメント75〜89.8重量%と、石膏10〜15重量%と、ポルトランドセメントの硬化促進剤である水可溶性の薬剤を0.2〜10重量%とを予め混合して木質セメント板用セメントを作製する工程と、
この木質セメント板用セメント、木質材料および水を混練し、成形し、養生硬化させる工程とを含む木質セメント板の製造方法。 - 上記薬剤が、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ギ酸塩および酢酸塩からなる群より選ばれたものである請求項4に記載の木質セメント板の製造方法。
- 上記ポルトランドセメントの比表面積が、2000〜8000cm2/gである請求項4または請求項5に記載の木質セメント板の製造方法。
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