JPH10139520A - セメント板 - Google Patents

セメント板

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Publication number
JPH10139520A
JPH10139520A JP8315496A JP31549696A JPH10139520A JP H10139520 A JPH10139520 A JP H10139520A JP 8315496 A JP8315496 A JP 8315496A JP 31549696 A JP31549696 A JP 31549696A JP H10139520 A JPH10139520 A JP H10139520A
Authority
JP
Japan
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cement
conveyor
molding
raw material
slurry
Prior art date
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Pending
Application number
JP8315496A
Other languages
English (en)
Inventor
Norifumi Nagata
憲史 永田
Shinkichi Tanabe
進吉 田辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Chichibu Onoda Cement Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Chichibu Onoda Cement Corp filed Critical Chichibu Onoda Cement Corp
Priority to JP8315496A priority Critical patent/JPH10139520A/ja
Publication of JPH10139520A publication Critical patent/JPH10139520A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/10Production of cement, e.g. improving or optimising the production methods; Cement grinding

Landscapes

  • Press-Shaping Or Shaping Using Conveyers (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性に優れ、大量かつ安価に提供すること
ができ、しかも、環境保護、資源リサイクルにも貢献す
るセメント板を提供する。 【解決手段】 セメント、フィラー材、水及び必要に応
じて各種混和剤を混合し、得られた原料スラリーをコン
ベアの所定位置においてコンベアにより移動する成形型
枠に供給し、コンベアにより移動する成形型枠中で成形
硬化した連続流し込み成形によるセメント板であって、
該セメント板のセメント原料の一部又は全てが高塩基性
カルシウムクロロシリケート、カルシウムクロロアルミ
ネート、アーウィンから選ばれる1種以上を主要成分と
する速硬性セメントとする。さらにこの速硬性セメント
が、生活・産業廃棄物、貝殻、下水汚泥乾粉及び塩素含
有物などのうち、少なくとも1つを原料とするもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメントを主原料
としたセメント系板材に関し、さらに詳しくは、セメン
ト原料として資源リサイクルを基調とした環境調和型セ
メントを用い、高効率・高生産性のプロセスで作られ
る、主に建材用途を対象とした低コストかつ環境調和型
のセメント板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無機質の建築用内装材あるいは外装材
は、建造物の高度化・多様化を背景に、極めて多種多様
に展開しているが、この中でもセメントを主要構成原料
としたセメント系板材は、内装・外装を問わず、耐久性
や耐火性に優れた安価な建材として広範囲に利用されて
いる。
【0003】とくに、木片やパルプ、あるいはこれらに
各種の補強繊維や軽量骨材をフィラー材としたセメント
板はよく知られた存在であり、木毛セメント板、窯業系
サイディング材、屋根材などとして建材分野では確固た
る地位を築き上げている。この中でも窯業系サイディン
グ材は従来多用されてきたモルタル系外壁材などに比較
し、施工性や防火性に優れており、かつ様々な意匠に対
応できるといった自由度も有していることから、近年そ
の需要を急速に伸ばしているものの一つである。
【0004】窯業系サイディング材は、先にも記したよ
うに、セメントに木片、パルプ、補強繊維、軽量骨材等
を配合した複合材料であって、一般にはこれらの諸原料
をスラリー状態、あるいは湿潤状態で混合後、プレス
法、押し出し法、あるいは抄造法などの成形法によって
板材化されるものである。ところで、これらの成形法は
基本的にバッチプロセスであり、大量消費材の域にある
建材の製造法としては生産性に劣るといった問題があ
る。こうしたことから生産性の向上を目的に、成形法の
改善や新たなプロセス開発に対する取組が様々になされ
ている。
【0005】例えば、特開昭58−204855号公報
の「木毛セメントの製造法」では、C117CaX2、C
33CaX2(Xはハロゲン原子を示す)C33CaS
4、C127から選ばれた少なくとも1種の化合物に硫
酸カルシウムを加えた超速硬性セメントに木毛等を加
え、加圧圧縮して加熱により養生と乾燥を短時間で行う
木毛セメント板の製造方法が提案されている。この方法
によればセメントの硬化時間が飛躍的に短縮され、加圧
圧縮にかかる時間が大幅に縮小できるので、生産性は大
きく向上するものと考えられる。
【0006】しかしながら、ここで用いられるC117
CaX2、C33CaX2、C33CaSO4、C127
どのカルシウムアルミネート系鉱物は、普通ポルトラン
ドセメントの鉱物組成とは全く異なるもので、この目的
のために特定の配合下で調製しなければならないもので
あり、普通ポルトランドセメントに比較して圧倒的にコ
スト高になってしまうのは否めない。このことから、加
圧圧縮の時間が短縮され、如何に生産性が向上しようと
も、カルシウムアルミネート系鉱物のコスト上昇分によ
り、トータルコストはそれほど低減しないものと考えら
れる。また、製造プロセスとしては、加圧圧縮・加熱の
バッチプロセスを踏襲していることには変わりはなく、
例えば後述する連続流し込み成形法などに比較すればや
はり生産性に劣るものと言わざるを得ない。
【0007】前出の加圧圧縮、すなわちバッチ式プレス
成形に対して、連続流し込みによる成形も提案されてい
る。すなわち、特開昭54−6007号公報の「急硬性
セメントの連続成型法」では、コンベアにより移動する
受枠に、急硬性セメントスラリー又はペーストを注加し
ながら連続的に成形する急硬性セメントの連続成形法が
提案されている。ここでは移動コンベア面上に潤滑性液
の滲出可能な多孔質体からなる隧道状金型を覆設し、こ
の金型から滲出する潤滑性液によって、成形体の離型を
円滑にするといった工夫もなされている。
【0008】この方法では、急硬性セメントの急速な硬
化現象を利用して連続の流し込み成形を可能にしてお
り、バッチ式プレス成形や抄造法、あるいは押し出し成
形法などに比較して大幅な生産性向上が達成できるもの
と考えられる。しかしながら、ここで推奨されている急
硬性セメントとは、アルミナセメント・石灰及び/又は
ケイ石粉、アルミナセメント・ポルトランドセメントも
しくはこれらとケイ石粉、石膏・ポルトランドセメン
ト、市販のジェットセメント、QTセメント、石膏など
であり、いずれも普通ポルトランドセメントよりも高価
である点が難点といえる。とくにアルミナセメント系で
は、硬化時間の飛躍的な短縮は困難であり、当該発明の
目的とする生産性の大幅な向上は達せられないものと考
えられる。一方、ジェットセメントの硬化反応は、かな
り急速に進行するので、その意味では当該発明の目的に
かなうものと言えるが、逆に硬化速度が早いだけに1時
間単位でのいわゆる早期強度は急速に上昇するので、脱
型後に寸法合わせを目的とした切断や切削等の加工が控
えている場合には、これらの作業はかなり困難となり、
また、切断・切削工具の損耗が激しくなるという問題が
ある。
【0009】上記に掲げた問題の他に、一般にセメント
の硬化反応は木質に含まれるリグニンやタンニンなどに
より硬化阻害を受けやすいといった問題もある。すなわ
ち、先にも記したように、セメント系の建築用板材に
は、軽量化や補強、あるいは加工性向上のために木片や
木質繊維などの木質フィラーを添加することが多いが、
これら木質に含まれるリグニンやタンニンは、セメント
スラリー調製時に水中に溶出し、セメントの硬化反応を
遅延させる傾向がある。こうしたことから、木質を添加
するセメント系板材では、製造時における硬化コントロ
ールが重要なポイントであり、様々な添加剤に関する検
討や木種の適正化が検討されている。このように、木質
成分に起因するセメントの硬化阻害は深刻な問題である
が、とくに連続流し込み成形のような連続成形プロセス
を想定し、短時間の硬化を望む場合には、硬化阻害成分
の影響を極小にするための硬化コントロールはかなり困
難とされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、安価で調達が容易なセメント原料を用い、生産性に
優れ、かつ生産時の安定性にも優れたプロセスにより作
られる従来にはない高生産性型のセメント板を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる実状に鑑み本発明
者らは種々の検討を進めてきたが、先ず、従来にはな
い、高効率・高生産性型のセメント板を製造するには、
生産性の点ではプレスや押し出し成形法などに比較して
圧倒的に優位な連続流し込み成形の採用が不可欠である
と考え、本成形法によるセメント板の製造を大前提とし
た。なお、ここで連続流し込み成形とは、例えば石膏ボ
ードの生産プロセスに代表される成形法であって、混練
水を含む原材料をミキサー中に連続的に送入する一方、
連続的又は間欠的に移動するコンベア上にスラリーを排
出し、移動するコンベア上でスラリーを硬化させ成形体
とするものであって、スラリー調製、型枠へのスラリー
の流し込み、硬化、脱型の一連の工程がすべて連続的に
なされるものである。従って、その生産性はプレス成形
や押し出し成形などに比較すると圧倒的に高いものとな
るが、これもコンベアの移動速度が遅く、スラリーの流
し込みから脱型までの時間が極端に長い場合には、当然
のことながら生産性は劣るものとなってしまう。具体的
には脱型までの時間が半日以上を要するようでは、先の
プレス成形や押し出し成形などに比較して、それほど大
きなメリットは期待できず、最大でも5時間、好ましく
は2〜3時間以内で脱型が終了されなくては連続流し込
み成形の真価は発揮できない。
【0012】このような観点からセメント板を連続流し
込み成形で製造するには、先ずセメントの特性として短
時間で硬化すること、添加剤・材等により硬化反応速度
が極端に変化しないこと(とくに遅延しないこと)、さ
らに製造プロセス上で取り扱いやすい強度を発現するこ
と(すなわち、切断や切削加工等に対して加工しやすい
性状であること)などが必要である。これらの実状を鑑
み、本発明者らは鋭意研究を行った結果、連続流し込み
成形によるセメント板の製造において、特定のセメント
原料を用いることにより、上記目的を達成することを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち本発明のセメント板は、セメン
ト、フィラー材、水及び必要に応じて各種混和剤を混合
し、得られた原料スラリーをコンベアの所定位置におい
てコンベアにより移動する成形型枠に供給し、コンベア
により移動する成形型枠中で成形硬化した連続流し込み
成形によるセメント板であって、該セメント板のセメン
ト原料の一部又は全てに、高塩基性カルシウムクロロシ
リケート、カルシウムクロロアルミネート、アーウィン
から選ばれる1種以上を主要成分とする速硬性セメント
を用いるものである。(請求項1)
【0014】また、本発明は、上記セメント板の原料の
速硬性セメントに、生活・産業廃棄物、貝殻、下水汚泥
乾粉及び塩素含有物などのうちの少なくとも1つを原料
として利用したものを用いるものである。(請求項2)
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、セメント原料の一部
又は全てに高塩基性カルシウムクロロシリケート、カル
シウムクロロアルミネート、アーウィン系セメントから
選ばれる1種以上を主要成分とする速硬性セメントを使
用する。
【0016】これらのセメントは、いずれも急速硬化型
のセメントであって、JIS R5201に基づく凝結
時間は、始発で概ね10分〜40分、終結で概ね30分
〜60分である。これに対して普通ポルトランドセメン
トの始発時間は概ね120分〜200分、終結時間は概
ね240分〜360分であり、また、ジェットセメント
に代表される超速硬セメントでは始発時間は概ね5分〜
20分、終結時間は概ね20分〜40分である。このよ
うに、本発明で原料に使用する速硬性セメントの硬化時
間は、普通ポルトランドセメントに対しては圧倒的に短
く、ジェットセメントとほぼ同等かあるいはやや遅い程
度である。従って、本発明に適用する連続流し込み成形
のように、生産性の極大化を追求し、短時間のうちにセ
メントの硬化反応を進行させ板材化するという生産プロ
セスでは、極めて好適なセメントと言える。なお、ジェ
ットセメントとは、カルシウムフルオロアルミネートを
含有したセメントのことであって、その超速硬性から緊
急性を伴う各種土木建築工事等において多用されている
特殊セメントである。
【0017】また、本発明で使用する速硬性セメントに
よる硬化体の圧縮強さは、注水後1時間で20kgf/
cm2〜40kgf/cm2、2時間で40kgf/cm
2〜60kgf/cm2である。一方、普通ポルトランド
セメントは、注水後1〜2時間では硬化しておらず、ス
ラリー状態を呈し、そして、ジェットセメントの圧縮強
さは1時間で60 kgf/cm2〜90 kgf/cm2
、2時間で100 kgf/cm2〜150kgf/c
2である。通常、セメント系板材を作る生産過程にお
いて、成形板をハンドリングする場合の必要強度は、圧
縮強さで10kgf/cm2と言われているので、本発
明に提示する連続流し込み成形のような高生産型の成形
を行おうとする場合には、普通ポルトランドセメントで
は実質的に適用不可能と考えられるが、ジェットセメン
トや本発明に示す速硬性セメントでは十分に適用できる
ものである。
【0018】なお、成形板の早期強度は、高ければ高い
ほど好ましいかといえば必ずしもこうしたことは言え
ず、むしろ重要な点はハンドリングに耐えるだけの強度
に如何に短時間で到達するかということであり、いたず
らに早期強度を向上させるのは得策とは言えない。すな
わち、成形板の早期強度はライン上における成形板の取
扱いに応じて制御する必要があるということであって、
具体的には、硬化後の成形体に対してライン上で粗切断
や仕上げ切断、あるいは板材の接合部における溝加工や
表面意匠を施すための切削加工などの機械加工が控えて
いる場合には、こうした加工作業に適した強度に制御す
るということである。とくに本発明における連続流し込
み成形では、前記した種々の加工のうちいずれかは、ラ
インの末端で行われる可能性が高く、このことを考慮し
た場合には、成形板の早期強度があまり高すぎると、加
工性の低下、あるいは工具の寿命低下を招くので好まし
くない。その意味において、ジェットセメントでは早期
強度が高すぎ、連続流し込み成形には適さないが、本発
明に示す速硬性セメントでは極めて好適なのである。
【0019】これに加えて、本発明で原料に使用する速
硬性セメントは、普通ポルトランドセメントやジェット
セメントに比較して、木質成分による硬化阻害を受けに
くいといった特長を有する。すなわち、木質成分による
硬化阻害とは、セメントに含まれるカルシウム成分がリ
グニンやタンニンなどにより固定され、初期強度を発現
させるためのエトリンガイトの生成反応を阻害するため
と考えられている。一方、本発明で使用する速硬性セメ
ントにおける初期強度の発現は先のエトリンガイトによ
く似たフリーデル氏塩の生成によるものと考えられてい
るが、このフリーデル氏塩はカルシウム濃度が低い環境
下においても、比較的生成しやすい性状を有しているた
めに、ある程度の初期強度が確保できるものと考えられ
る。
【0020】ここで、本発明で使用する速硬性セメント
とは、高塩基性カルシウムクロロシリケート、カルシウ
ムクロロアルミネート、アーウィンから選ばれる1種以
上を主要成分とするものであり、これらはこの目的のた
めに調整してもよいし、例えば先に提案した特開平7−
165446号公報の環境調和型水硬性組成物、あるい
は特開平7−165447号公報の速硬型混合セメン
ト、あるいは特願平8−64486号の生活・産業廃棄
物を利用したセメントなども使用できる。とくに後者の
セメントでは、セメントそのもののコスト低減といった
面からも好適であるし、廃棄物の処理・利用といった面
からも、その利用は極めて有意義と言える。なお、これ
らの特定の速硬性セメントは、セメント原料の一部又は
全てとするが、一部とする場合は、普通ポルトランドセ
メントや早強セメントあるいはその他のセメントと混合
して用いる。この場合、特定の速硬性セメントの混合比
率は、少なくとも30重量%以上、好ましくは50重量
%以上であり、30重量%未満では、先に説明したこの
特定の速硬性セメントの特長が充分に発揮されない。
【0021】これらのセメント原料は、フィラー材、水
及び必要に応じて各種混和剤と混合し、得られた原料ス
ラリーをコンベアにより連続的又は間欠的に移動する成
形型枠上に供給し、セメント板を連続的に成形する。
【0022】ここでフィラー材とは、補強、加工性付
与、軽量化、増量等を目的に配合されるものであって、
木片や木質繊維のような木質フィラー、パルプ繊維、そ
の他の無機・有機質補強用繊維、無機・有機質軽量骨材
などが挙げられるが、これらは目的とする製品の性能に
応じてその種類や配合量を調整する。なお、先にも記し
たように、本発明で原料として使用する速硬性セメント
は、普通ポルトランドセメントやアルミナセメント、ジ
ェットセメント等に比較して木質に含まれるリグニンや
タンニンにもとづく硬化阻害を受けにくいので比較的大
量に配合しやすい。また、通常、木質配合系セメント板
では、木質成分による硬化阻害を抑制するために、リグ
ニンやタンニンの含有量の少ない針葉樹系木質材料を使
用するケースが多いが、本発明のように速硬性セメント
を原料とする場合にはこうした配慮も不要である。従っ
て、種々の木種が混じりあった木質系建設廃棄物も使用
でき、環境問題を考える上でもこうした木種の選択は好
ましいものと言える。
【0023】また、各種混和剤とは、凝結促進剤・遅延
剤、スラリー流動化剤、スラリー粘性調整剤、各種分散
剤などであって、これらも製造ライン上での取扱いや目
的とする製品の性能に応じてその種類や配合量を調整す
る。なお、ここで凝結促進剤・遅延剤とは、一般にセメ
ントの凝結コントロールに用いられる添加剤がそのまま
適用でき、例えば凝結促進であれば、消石灰などのカル
シウム化合物などが使用でき、凝結遅延であればクエン
酸ナトリウムなどのカルボン酸塩などが使用できる。
【0024】これらの原材料は、ミキサー中で水と混合
した後、得られた原料スラリーをコンベアとともに移動
する成形型枠に供給し、該コンベアを移動させながらセ
メント板を連続的に成形する。なお、ここでミキサーと
はいかなる様式のものも使用できるが、連続流し込み成
形であるから、ミキサー内には連続的に原材料が送入さ
れ、ミキサー中で混合されたスラリーは連続的に排出さ
れるものである。
【0025】ミキサーから排出されたスラリーは、コン
ベアの成形型枠に供給するが、ここで成形型枠には、金
属製、樹脂製など様々なものが使用できるが、離型しや
すい型枠素材の使用、あるいは離型剤の使用は、当然の
ことながら十分に考慮する必要がある。また、セメント
板に様々な意匠を施したい場合には、その意匠に応じて
成形型枠に種々の加工を施したものであってもよい。
【0026】コンベア上に載置された成形型枠内でハン
ドリングできるまでに硬化したセメント板は成形型枠か
ら取り出されるが、この時、取り出されたセメント板
は、そのまま養生工程に移してもよいし、必要に応じ
て、寸法合わせを目的とした切断加工や切削加工、ある
いは表面意匠を施すための切削加工などを施してもよ
い。先にも記したように原料に使用する急硬性セメント
は急硬性ではあるものの、早期強度の発現挙動が独特で
あり、例えばジェットセメントほどに急激に強度が上が
らないため、こうした種々の加工を施すには極めて好都
合である。コンベアから取り出されたセメント板は、そ
の後常法に従って養生硬化させる。すなわち、蒸気養生
や湿空養生等を行ったのち製品とする。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。
【0028】なお、以下に記載するセメント板の製造に
は、代表的な連続流し込み成形である石膏ボード製造ラ
インを使用した。またスラリー組成物は、所定の種類の
セメント、フィラー材及び水を連続式ミキサーへ投入し
混練することで得た。コンベアである成形ライン上に
は、離型剤を塗布した樹脂製の成形型枠を載置し、スラ
リー組成物をこの型枠内に流し込み成形した。セメント
板は、この成型物を、該コンベアー上の成形型枠中に2
時間載置したまま養生し、さらに樹脂製型枠から脱型し
た後、常温湿空状態にて24時間養生することで得た。
【0029】硬化物(セメント板)の評価は、次の方法
で行った。 (1)硬化時間 上記方法にて得られたスラリー組成物について、ビカー
装置を用いた貫入試験を行い、ビカー針の貫入度が、ス
ラリー上面から39mmの時点の時間を始発時間、スラ
リー上面から1mmの時点の時間を表面硬化時間とし
た。
【0030】(2)脱型性 上記方法により、コンベアー上で2時間養生した組成物
について、その脱型性を評価した。すなわち、型崩れな
く良好に板ができたものを(○)、脱型はできたものの
型崩れし、板状体が得られなかったものを(△)、未硬
化であるため脱型が出来なかったものを(×)として評
価した。
【0031】(3)圧縮強度 上記方法により得られたスラリー組成物を、φ4cm×
h8cmの型枠に詰め、20℃湿空状態にて2時間及び
24時間養生して脱型した硬化体それぞれについて、イ
ンストロン万能試験機を用いて圧縮試験を行った。
【0032】次に、本発明の効果を示すために、得られ
た結果を表を用いて説明する。まず、表1に、本発明に
よるセメント板に用いる特定のセメントについて、その
原料と鉱物組成を示す。また表2に、上記方法による試
験例を示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】まず、表2中試験例1から試験例4に、木
質チップを使用した本発明によるセメント板を、試験例
5と試験例6にその比較例のセメント板を示す。これら
の試験例では、所定のセメント100重量部と、フィラ
ーとしてフライアッシュ42重量部、木質系建築廃材を
衝撃式粉砕機(スクリーン径5mm)で破砕して製造し
た木質チップ25重量及び混練水85重量部を使用し
た。
【0036】試験例1では、高塩基性カルシウムクロロ
シリケート50%及びカルシウムクロロアルミネート1
9%を含有するエコセメントA(原料:都市ゴミ灰、下
水汚泥乾粉、アルミ灰、粘土、塩化カルシウム及び無水
石膏)を使用し、本発明によるセメント板を製造した。
また試験例2では、高塩基性カルシウムクロロシリケー
ト50%及びカルシウムクロロアルミネート24%を含
有するエコセメントB(原料:都市ゴミ灰、貝殻、アル
ミ灰、石灰石、鉄原料及び無水石膏)を使用し、本発明
によるセメント板を製造した。さらに試験例3では、ア
ーウィン42%及びビーライト35%を含有するアーウ
ィン系のエコセメントC(原料:都市ゴミ灰、アルミ
灰、石灰石及び二水石膏)を使用し、本発明によるセメ
ント板を製造した。また試験例4では、アーウィン25
%及びビーライト50%を含有するアーウィン系のエコ
セメントD(原料:都市ゴミ灰、下水汚泥乾粉及び二水
石膏)を使用し、本発明によるセメント板を製造した。
【0037】また、表2中試験例5及び試験例6に、本
発明の比較例を示す。試験例5では、市販早強セメント
(秩父小野田(株)製)を、試験例6では、市販ジェッ
トセメント(秩父小野田(株)製)をそれぞれ使用し、
試験例1から試験例4と同様に、セメント板を製造し
た。表2からは、試験例1から試験例4(本発明品)に
ついては、脱型性、圧縮強度共に優れたセメント板が得
られていることが判る。また、木質成分による硬化阻害
もほとんど見られなかった。一方、ジェットセメントを
使用した試験例5については、始発時間、表面硬化時間
共に短いものの、2時間養生した板は樹脂製型枠に付着
する傾向にあり、静かに脱型したものの強度が弱いため
に崩壊した。また、2時間養生した硬化体の圧縮強度も
極めて低いものであった。このような硬化異常は木質成
分によるものと考えられる。早強セメントを使用した試
験例6については表面硬化時間が2時間以上あり、コン
ベア上で未硬化であるため脱型はできず、セメント板が
製造できなかった。
【0038】次に、表2中、試験例7から試験例10
に、フィラー材としてガラス繊維を使用した本発明によ
るセメント板と、その比較として試験例11と試験例1
2を示す。これらの試験例では、所定のセメント100
重量部と、フィラーとしてシラルバルーン(三機工業
(株)製)10重量部、耐アルカリガラス12mmチョ
ップドストランド(旭ファイバーグラス(株)製)2重
量部、メチルセルロース(信越化学(株)製)0.3重
量部及び混練水85重量部を使用した。
【0039】試験例7ではエコセメントAを使用し、本
発明によるセメント板を製造した。また試験例8ではエ
コセメントBを使用し、本発明によるセメント板を製造
した。さらに試験例9ではアーウィン系のエコセメント
Cを使用し、本発明によるセメント板を製造した。また
試験例10ではアーウィン系のエコセメントDを使用
し、本発明によるセメント板を製造した。
【0040】また、表2中試験例11及び試験例12
に、本発明の比較例を示す。試験例11では市販早強セ
メントを、試験例12では市販ジェットセメントをそれ
ぞれ使用し、試験例7から試験例10と同様に、セメン
ト板を製造した。表2からは、試験例7から試験例10
(本発明品)については、脱型性、圧縮強度共に優れた
セメント板が得られていることが判る。一方、ジェット
セメントを使用した試験例5については、2時間養生し
た板は膨張傾向にあり、型枠から脱型しづらく、特殊な
離型剤の適用が必要と判断された。さらに、板の強度が
高すぎるため切断機のチップソーの消耗が激しく、連続
生産には適さないと判断された。また、早強セメントを
使用した試験例12については、表面硬化時間が2時間
以上あり、コンベア上で未硬化であるため脱型はでき
ず、セメント板が製造できなかった。
【0041】
【発明の効果】上述したように、本発明のセメント板
は、原料のセメントに特定の速硬性セメントを用いるか
ら、連続流し込み成形法により、大量にかつ安価に提供
することができ、しかも、各種の廃棄物から製造した速
硬性のセメントを有効に利用することができるので、環
境保護、資源リサイクルにも貢献する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C04B 7:24 7:345)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント、フィラー材、水及び必要に応
    じて各種混和剤を混合し、得られた原料スラリーをコン
    ベアの所定位置においてコンベアにより移動する成形型
    枠に供給し、コンベアにより移動する成形型枠中で成形
    硬化した連続流し込み成形によるセメント板であって、 該セメント板のセメント原料の一部又は全てが高塩基性
    カルシウムクロロシリケート、カルシウムクロロアルミ
    ネート、アーウィンから選ばれる1種以上を主要成分と
    する速硬性セメントであることを特徴とするセメント
    板。
  2. 【請求項2】 速硬性セメントが、生活・産業廃棄物、
    貝殻、下水汚泥乾粉及び塩素含有物などのうちの少なく
    とも1つを原料として利用していることを特徴とする請
    求項1に記載のセメント板。
JP8315496A 1996-11-12 1996-11-12 セメント板 Pending JPH10139520A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113185231A (zh) * 2021-05-14 2021-07-30 江苏杰林环保科技有限公司 一种化工废盐的再利用方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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