JP6791804B2 - セメント材料補強用繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント材料補強用繊維、繊維混合セメント材料、及び繊維強化セメント材料の製造方法に関する。
セメントは、安価で強度や耐久性に優れ、自由に成型できる重要な社会的インフラ材料である。そのため、コンクリート、モルタル、セメント板、発泡コンクリート等の、様々な特徴や形状を有した材料として、建築や土木分野等において、建築物、構造物、建材等に幅広く使用されている。
しかしながら、セメント材料には、幾つか問題があり、その中でも特に次の二つを代表例として挙げることができる。
一つ目は、セメント材料それ自体は、耐引っ張り性能に著しく乏しいために、乾燥収縮や地震等の外力の発生に伴う引っ張り応力に対して割れやすいという欠点である。一旦、割れが発生すると、その割れが外観の問題を生じるだけでなく、雨水の浸入や応力集中の原因となる。雨水の浸入は、コンクリート構造物における鉄筋、鉄骨その他の構造材料の腐食やコンクリートの中性化の進行の原因となり、応力集中は、再度応力が発生した場合に欠損が拡張するといったといった問題の原因になってしまう。
二つ目は、環境問題への対応である。近年は地球温暖化等の環境問題への適切な対応がますます重要になってきており、二酸化炭素を排出するセメント材料には厳しい目が注がれるようになってきている。すなわち、セメント材料についても、二酸化炭素の排出を抑制する、或いは使用時において二酸化炭素を、その材中に何らかの形で長期間蓄えるような工夫が求められるようになってきている。
他方、バイオマス、木材や非木材の植物に由来するリグノセルロース資源は、植物の生長過程において二酸化炭素を蓄積しており、その使用や廃棄に際しては余剰の二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルな材料として認識されている。
木材や非木材の植物から得られるリグノセルロース資源は、リグノセルロース繊維で構成されている。リグノセルロース繊維は、リグノセルロース資源を機械的、熱機械的、化学的、化学機械的、又は化学熱機械的に処理することで、繊維を接着剤的に束ねている中間層を破壊し、解きほぐすことで得られる。このようにして得られたリグノセルロース繊維は、主に紙原料としてのパルプやファイバーボード原料としての繊維として使用されている。
上述したようにセメント材料は、脆性的な性質を示す欠点がある。その改善のために、セメント材料に、ガラス繊維や合成高分子繊維を添加し、引っ張り応力や衝撃吸収性を改善する研究が行われてきた。しかし、これらの繊維は、原料となる石油資源の使用によって二酸化炭素の放出を招いたり、環境中で分解されなかったり、或いは、重量の増加を招いたり、といった好ましくない面を抱えている。
これに対して、植物由来のリグノセルロース繊維を用いて、セメント材料を補強するということも工場生産されるセメント材料に限定されて行われてきた。
例えば、特許文献1〜7にはパルプや木質繊維を用いてセメント材料を補強する方法が述べられている。
しかしながら、リグノセルロース繊維は繊維の分子鎖の構成単位であるセルロースが極性の高い水酸基を複数有しているために、繊維間の水素結合によって非常に凝集し易く、加えて、リグノセルロース繊維は柔軟性が高いために、複雑に絡みあったファイバーボールと呼ばれるダマにもなり易く、これらは何れも容易にはほぐれないという欠点を有して
いる。
そのため、リグノセルロース繊維をセメント材料に添加する際には、工場で特別な専用の繊維を解す装置(例えば、パルパーと呼ばれる装置等)を用いて行われなければならなかった。つまり、コンクリートやモルタルといった現場や現場までの輸送時において、簡便な装置で混練することを通常的に行うセメント材料の場合には、リグノセルロース繊維を添加することはできなかった。
また、凝集、或いは、絡み合った繊維を水中で機械的に強攪拌することでほぐすことができる場合もある。しかしその場合は、繊維量に対して過剰量の水が必要であり、コンクリートやモルタルのように、セメントに対して配合されるべき水の量が極めて少量に限定されている場合には、行うことができない操作であった。
ここで、工場では過剰量の水を一旦添加し、その後の工程でセメント、ファイバー及び水から成るスラリーを脱水することによって、最適な水セメント比まで調整する(水を減らす)ことができる。これは所謂、Hatcheck法と呼ばれる、窯業材料を湿式工程で製造する方法である。しかし、この操作は建築や工事等の現場では行うことはできない。そのため、やはりコンクリートやモルタルといった現場や現場までの輸送時において簡便な装置で混練を行うセメント材料に、リグノセルロース繊維添加することはできなかった。
ここで更に詳しく問題を述べると、セメント材料調製時、つまりセメントと水の混練時に、リグノセルロース繊維を添加すると、繊維は凝集したまま、或いは、ダマになってしまい、分散させることはできない。繊維が分散していない状態のままセメント材料中に存在すると、補強効果を示さないばかりか、その部位は欠点となってしまい、材料の物性を下げてしまうことになる。従って、リグノセルロース繊維を用いながらも、この繊維をダマにすることなく、材料中に分散する方法がないために、コンクリートやモルタルへリグノセルロース繊維を添加し、材料を補強するということはこれまでできなかった。
特許文献8には、リグノセルロース繊維補強セメント材料が提案されている。特許文献8の請求項や発明の詳細な説明には、繊維物質に吸着や結着可能なカチオン性のポリマーであるポテトスターチ又はコーンスターチを添加することでリグノセルロース繊維の分散性を改善できる可能性が述べられている(クレーム3、7、8、及び、センテンス32、33)。これは通常、紙の強度を改善する際に使用される方法であり、経験的にも、ほぐれたリグノセルロース繊維の凝集を防止する効果があることが知られている。しかし、ほぐされていない凝集やダマになった状態のリグノセルロースの分散を助けるものではない。加えて、特許文献8には、その添加により分散性や成型物の物性が改善された結果に関しては何ら開示されておらず、その添加による効果は期待的な記述のみに留まっている。故に、実際に効果があるのか、また、効果がある場合はどのような効果なのかを科学的に明示したものではなく、問題の解決の示唆にはなっていないと解釈するのが妥当である。
また、特許文献9にはセルロース繊維をカチオン性の界面活性剤である四級アンモニウム塩で処理を行い、負に帯電しているセルロースの水酸基の極性を打ち消すことで、セルロース繊維の凝集を解消する試みが開示されている。しかし、セメントやコンクリート等の材料には減水剤を加えることが多く、これはアニオン性であるために、カチオン性の物質と同時に用いることはできない。さらに、四級アンモニウム塩には金属腐食性が知られており、鉄筋、鉄骨、その他金属製の締結金物を腐食する可能性が高くなる。加えて、本技術は工場で大量の水を用いてセルロース繊維を分散し、その後の工程でセメント、セルロース繊維、及び、水のスラリーを脱水する時にのみ用いることを念頭に置いたものであり、現場での混錬作業が主となるために脱水を行うことができない、モルタルやコンクリート等に適用できるものではない。また、本文献に開示されている方法によれば、セメントやセルロース繊維を含む複合材料は、オートクレーブを用いて加熱硬化されており、その点でも、そのような工程を行うことができないモルタルやコンクリート等とは異なるも
のである。従って、本特許文献はごく限定された条件下で、ごく限定された方法にのみ適用できるものであり、本願発明において解決しようとする手法とは異なるものであるといえる。
さらに、非特許文献1には木材細片を添加することで、モルタルの曲げ強さを向上させることが述べられているが、割れに対する抵抗性については何ら言及がない。
特許1947309号公報 特許2659806号公報 特許2587306号公報 特許1853706号公報 特許1955557号公報 特許2121236号公報 特許2121258号公報 US2002/0160174A1 特許4384411号公報
コンクリート工学年次論文集、Vol29、No.2、pp.523−528、(2007)
本発明の課題は、植物由来のリグノセルロース繊維を用いており、セメント材料の効果的な補強が可能なセメント材料補強用繊維を提供することにある。
また、本発明の課題は、植物由来のリグノセルロース繊維により補強された高性能の繊維強化成形体を製造可能な繊維混合セメント材料を提供することにある。
また、本発明の課題は、植物由来のリグノセルロース繊維により補強された高性能の繊維強化成形体を形成可能な繊維強化セメント材料を効率的に製造可能な繊維強化セメント材料の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、リグノセルロース繊維を帯電防止剤で処理することで、繊維の凝集やダマが水中で容易にほぐれることを見出した。
すなわち、繊維の凝集やダマがほぐれない原因の一つは、電気を通さず、比表面積の大きいリグノセルロース繊維が乾燥過程において、繊維同士がこすれあう結果、繊維表面に静電気が帯電してしまうことにより、本来は親水性であるリグノセルロース繊維が見かけ上、水を寄せ付けずに疎水的にふるまう事により、水と馴染まず、繊維の親水、分散プロセスを阻害していると、新しく知見するに至ったものである。
また、もう一つの原因である水酸基同士の高い親和性による凝集は、上記、繊維の帯電が改善されることで繊維の親水性が高まり、界面活性作用を有する帯電防止剤を利用する(或いは、界面活性剤を別途添加する)ことによって水中での凝集やダマをほぐすことができる。すなわち、四級アンモニウム塩のような強カチオンを用いることなく、効果的に分散できることを、ここでも新しく見出したものである。
更にまた、この知見をセメント、水及びファイバー混練時に適宜応用することによって、特別な混練装置や過剰量の水を添加(その後、脱水)することなく、セメント材料中にリグノセルロース繊維を凝集やダマの無い状態で均一に分散できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。
本発明は、帯電防止剤を付着させたリグノセルロース繊維からなることを特徴とする、セメント材料補強用繊維を提供するものである。
また、本発明は、リグノセルロース繊維、帯電防止剤及びセメントを含むことを特徴とする繊維混合セメント材料を提供するものである。
また、本発明は、リグノセルロース繊維、帯電防止剤、セメント及び水を混合する混錬工程を含み、該混錬工程後に脱水する工程を含まないことを特徴とする、繊維強化セメント材料の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、セメント材料に、リグノセルロース繊維及びリグノセルロース材料切削小片を添加することを特徴とする繊維強化セメント材料の製造方法を提供するものである(以下、この発明を第2方法発明ともいう)。
また、本発明は、前記のセメント材料補強用繊維を含むことを特徴とする、繊維強化セメント構造体を提供するものである。
また、本発明は、リグノセルロース繊維、帯電防止剤、セメント及び水を混合する混錬工程を含むことを特徴とする、繊維強化セメント構造体の製造方法を提供するものである。
本発明のセメント材料補強用繊維は、植物由来のリグノセルロース繊維を用いており、環境への配慮の点から好ましい上に、セメント材料の効果的な補強が可能である。
本発明の繊維混合セメント材料によれば、植物由来のリグノセルロース繊維により補強された高性能の繊維強化成形体を製造可能である。
本発明の繊維強化セメント材料の製造方法によれば、植物由来のリグノセルロース繊維により補強された高性能の繊維強化成形体を形成可能な繊維強化セメント材料を効率的に製造可能である。
本発明の繊維強化セメント構造体及び繊維強化セメント構造体の製造方法によれば、容易にセメント材料の脆性が改善された高強度の繊維強化セメント構造体を得ることが可能である。
より詳細に説明すると、本発明によれば、下記の一又は二以上の効果が奏される。
(1)物性に優れたセメント複合材料が得られると共に、カーボンニュートラルなリグノセルロース繊維を用いることで二酸化炭素の放散を抑制し、またその結果セメント材料を使用している期間中、その材中に二酸化炭素をストックすることが可能となる。
(2)本発明により得られる繊維強化セメント材料は、脆性が改善され、乾燥収縮、引っ張り応力に強く、衝撃吸収性にも優れる。その結果、長期耐久性を発揮することが可能になり、セメント材料のライフサイクルを延長することが可能になり、経済的にも環境的にもその効果は大きい。
(3)環境中で容易に生分解するために、その製造、使用、使用後に環境に与える影響が少なくなるものである。加えて、火災時のセメント材料の爆裂も軽減される。
図1は、面内せん断試験で用いた面内せん断試験機の概略図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のセメント材料補強用繊維は、帯電防止剤を付着させたリグノセルロース繊維からなる。
本発明の繊維混合セメント材料は、リグノセルロース繊維、帯電防止剤及びセメントを含む。
本発明の繊維強化セメント材料の製造方法は、リグノセルロース繊維、帯電防止剤、セ
メント及び水を混合する混錬工程を含み、該混錬工程後に脱水する工程を含まない。
〔リグノセルロース繊維〕
本発明で用いるリグノセルロース繊維は、木材又は非木材の植物由来のリグノセルロース材料を、機械的、熱機械的、化学的、化学機械的、又は化学熱機械的に処理することで、繊維を接着剤的に束ねている中間層を破壊し、解きほぐした繊維である。リグノセルロース繊維としては、そのようなものを特に制限なく用いることができる。木材は、針葉樹でも広葉樹でも良い。
非木材の植物由来のリグノセルロース繊維としては、ワラパルプ、バガスパルプ、ヨシパルプ、ケナフパルプ、リネンパルプ、ラミーパルプ、ヘンプパルプ等が挙げられる。
本発明で用いるリグノセルロース繊維としては、例えば、溶解パルプ、サルファイトパルプ、クラフトパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプを好ましく用いることができる。リグノセルロース繊維としては、機械パルプ、又はファイバーボード用繊維を用いることが、製造効率や物理的性質の観点から好ましい。機械パルプとしては、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ等が挙げられる。同様の観点から、更に好ましくはサーモメカニカルパルプである。サーモメカニカルパルプには、ファイバーボード用繊維も含まれる。ファイバーボード用繊維とは、広義にはサーモメカニカルパルプであり、狭義には、その中でも比較的粗大な繊維のことである。
リグノセルロース繊維は、漂白(脱リグニン)されたパルプと異なり、何れもリグニンを含んでいる。リグノセルロース繊維は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
リグノセルロース材料をリグノセルロース繊維化する方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、パルプを製造する従来の方法やファイバーボード用繊維を製造する従来の方法等を適宜用いることができる。
リグノセルロース材料をリグノセルロース繊維化する方法の一例としては、リグノセルロース材料をチップ状に破砕し、その後、プレヒーターやプレスチーマーで1〜10Bar程度の圧力を掛けながら蒸煮することで、リグノセルロース材料の構成成分であるリグニンやヘミセルロースを軟化させた後、加圧型リファイナー内で圧力を掛けながらディスク式刃物を用いて、繊維或いは繊維束まで解繊して、所望の繊維を製造する方法を挙げることができる。
本発明で用いるリグノセルロース繊維は、その幅が、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは10〜50μmであり、その長さが、好ましくは0.1〜50mm、更に好ましくは1〜5mmである。このような繊維の長さや幅は、リファイナーのディスクの間隔等の運転条件を調整することで適宜所望の長さや幅に調整することができる。
リグノセルロース繊維は、前記のような水熱的な工程を経て製造されることが効率が良く、得られた繊維の損傷も少ない。また、多くの場合において、リグノセルロース繊維は、輸送や保存、貯蔵やハンドリングの向上の目的で乾燥される。
リグノセルロース繊維の乾燥方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができるが、例えば、製紙・パルプ工業で行われているように、濡れた状態のリグノセルロース繊維をローラーやワイヤ上に吐出し、吸引や加圧により脱水した後に、熱乾燥させる方法や、ファイバーボード用の繊維の製造で行われているように、濡れた状態のリグノセルロース繊維を熱風を流している管の中の気流下で熱乾燥させる方法等を挙げることができる。このような、リグノセルロース繊維の乾燥は、例えば60〜200℃で行うことが好ましく、より好ましくは80〜160℃であり、更に好ましくは100〜140℃である。
〔帯電防止剤〕
本発明で用いる「帯電防止剤」としては、帯電防止効果のあるものを特に制限無く用いることができる。帯電防止効果とは、空気中の水分を引き寄せ、導電性の水分子層を形成する効果であり、帯電防止効果の程度は、表面固有抵抗や帯電圧半減期、ダートチャンバーテスト等の公知の方法で評価することができる。
帯電防止剤は、帯電防止剤の程度が、以下の基準(1)又は(2)を満たすものが好ましい。
(1)ASTM D257に規定される表面固有抵抗が1014Ω以下である。ASTM D257に規定される表面固有抵抗は、より好ましくは1012Ω以下であり、更に好ましくは1011Ω以下である。
(2)JIS L1094に規定される帯電圧半減期が30秒以下である。JIS L1094に規定される帯電圧半減期は、より好ましくは10秒以下、更に好ましくは5秒以下である。
本発明で用いる帯電防止剤の種類として、アニオン性又はノニオン性のものを挙げることができる。ここでいう、アニオン性とは、水に溶けた場合のイオンの種類としてアニオン(陰イオン)性の化合物であり、ノニオン性とは、イオンにならない非イオン性の化合物である。帯電防止剤としては、帯電防止剤として市販されている各種の化合物や、帯電防止効果を有する界面活性剤、特に親水性の高い界面活性剤を用いることができる。
前述したように、代表的なカチオン性化合物である四級アンモニウム塩は金属腐食性が強く好ましくない。また、セメント材料に、減水剤のようなアニオン性の化合物を添加する場合、カチオン性のものは同時に使用できない。このような観点から、本発明で用いる帯電防止剤としては、界面活性剤型であって、カチオン性ではないものが好ましく、より具体的には、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤型である帯電防止剤が好ましく、ノニオン性の界面活性剤が更に好ましい。
従来の常識的な考えとしては、リグノセルロース系繊維に対してカチオン化デンプンが好適に用いられてきたこと、また、特許文献9で強カチオンが選択されていることから分かるように、カチオン性以外の化合物は、リグノセルロース系繊維の分散性を向上させる際に、事実上選択肢ではなかったことは明らかである。
これら帯電防止剤は、水性でも水不溶性でも用いることができるが、他の水性の添加剤と併用して、一度にリグノセルロース繊維を処理する際の処理効率を考慮すれば、水性であることが好ましい。ただし、水不溶性の帯電防止剤であっても、乳化等の処理を行っておくことで、他の水性の添加剤と併用することも可能である。
本発明で用いる帯電防止剤として使用することのできる「アニオン性の界面活性剤」としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等が挙げられる。
本発明で用いる帯電防止剤として使用することのできる「ノニオン性の界面活性剤」としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、アルキルジエタノールアマイド等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類は、好ましくは、モノ、ジ又はトリエステル化した1,4−、1,5−又は3,6−ソルビタンに、エチレンオキシド(EO)、又はエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を付加縮合したものである。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシ
エチレンソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン混合脂肪酸エステル等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン混合脂肪酸エステルとしては、ソルビタンヤシ油脂肪酸エステル、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを用いることが好ましい。
上述した帯電防止剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。なお、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類は、帯電防止剤として好ましく、また、帯電防止剤であるか否かに関わらずに、リグノセルロース繊維に付着させることが好ましい。
帯電防止剤の使用方法は、予めリグノセルロース繊維を帯電防止剤で処理しておく方法と、リグノセルロース繊維をセメント及び水と混練する際に帯電防止剤で処理する方法の何れも用いることができる。
予めリグノセルロース繊維を帯電防止剤で処理しておく方法としては、解繊装置(例えば、リファイナー)から搬出された濡れた状態のリグノセルロース繊維に帯電防止剤を吹き付け、その後乾燥させる方法、或いは、濡れた状態のリグノセルロース繊維を帯電防止剤を含む溶液に浸漬し、その後乾燥させる方法等が挙げられる。或いは、解繊装置から搬出されたリグノセルロース繊維を乾燥してから、帯電防止剤を吹き付けたり、帯電防止剤を含む溶液に浸漬する方法等を採用することもできる。
一方、セメント材料や水と混練する際に、添加する方法としては、セメント材料、リグノセルロース繊維、水、帯電防止剤を全て混ぜ合わせることで処理することもできるが、リグノセルロース繊維への十分な処理を図る目的で、先に水、界面活性剤、リグノセルロース繊維を十分混合し、次にセメント材料を添加する方法が更に好ましい。
帯電防止剤のリグノセルロース繊維への付着量は、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する帯電防止剤の固形分換算で、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。本発明に係るセメント材料補強用繊維は、繊維の表面に部分的に帯電防止剤が付着している状態であることが好ましい。
前述したリグノセルロース繊維を帯電防止剤で処理しておく方法を採用することによって、帯電防止剤を付着させたリグノセルロース繊維からなる、本発明のセメント材料補強用繊維が得られる。本発明のセメント材料補強用繊維は、単独で販売しても良いし、リグノセルロース繊維、帯電防止剤及びセメントを含む繊維混合セメント材料として販売しても良い。セメント材料補強用繊維又は繊維混合セメント材料を工場で生産し、それを各地の建築や土木工事の現場に搬入し、当該現場で、モルタルやコンクリートの他の材料や水と混錬して、繊維強化セメント材料とすることも、搬送コストを抑制しつつ高品質の繊維強化成形体を製造できる等の観点から好ましい。
また、建築や土木工事の現場への繊維混合セメント材料の搬入の容易や、繊維混合セメント材料の搬送コストの削減等の観点から、繊維混合セメント材料は、水分の含有率が、15質量%以下のモルタルミックス又はコンクリートミックスであることが好ましく、さらに水分の含有率は、10質量%以下であることがより好ましい。モルタルミックスは、セメント以外に、リグノセルロース繊維、帯電防止剤、砂等の細骨材を含んでおり、コン
クリートミックスは、セメント以外に、リグノセルロース繊維、帯電防止剤、砂利等の粗骨材を含んでいる。繊維混合セメント材料は、リグノセルロース繊維及び帯電防止剤として、帯電防止剤を付着させたリグノセルロース繊維を含むことが好ましい。細骨材及び粗骨材としては、JIS A 1102に規定されるものなど公知のものを用いることができる。
〔セメント材料〕
本発明におけるセメント材料は、セメントを含有するものであれば特に制限なく対象とすることができる。具体的には、コンクリート、モルタル、セメント成型材料を挙げることができる。セメント成型材料としては、例えば、木片セメント板、木毛セメント板、サイディング板、スレート板、発泡コンクリート等を挙げることができる。セメント材料及び繊維強化セメント材料の意には、水添加後の最終的な製品だけでなく、製品を製造する原料となる粉体(例えば、水を含まないコンクリートミックス粉末混合物、水を含まないモルタルミックス粉末混合物等)を含む。さらに、近年よく使用されるフライアッシュや高炉スラグを含んでいても良い。
〔その他添加剤〕
本発明の繊維混合セメント材料及び繊維強化セメント材料には、その他に本発明の効果を損なわない範囲で防腐剤、防虫剤、防カビ剤、撥水剤、紫外線吸収剤、難燃剤、フィラー、カップリング剤、エラストマー、ポリマー、消泡剤、滑剤、顔料、色素、減水剤、膨張剤、収縮低減剤等の種々の添加剤を加えることが出来る。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
更に、本発明の目的を損なわない範囲で、ガラス繊維、合成樹脂繊維、炭素繊維、セルロースナノファイバー、リグノセルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル、カーボンナノチューブ、その他ナノファイバー等を添加することができる。一般的に、特性や形状の異なる、複数の種類の繊維を組み合わせると、何れかを単独で使用するよりも好ましい効果が得られることが経験的に知られているためである。
〔混練方法〕
リグノセルロース繊維とセメント材料を混合する方法としては、公知の何れかの方法、例えば、ミキサーによる攪拌等を用いることができる。本発明で特筆すべきことは、従来は過剰な水分の下で機械的に強力に攪拌するような装置を用いなければ、リグノセルロース繊維の凝集を解消し、セメント材料内へ均一に分散することができなかった。しかし、本発明によれば、特別な攪拌装置ではない通常のコンクリートミキサーやモルタルミキサーを用いて、スラリーからの脱水工程を経由することなく目的を達することができる。
本発明の繊維強化セメント材料の製造方法は、リグノセルロース繊維、帯電防止剤、セメント及び水を混合する混錬工程を含み、該混錬工程後に脱水する工程を含まない。繊維強化セメント材料の製造方法によれば、混錬工程後の混合物(繊維強化セメント材料)を、常温で硬化させることによって、植物由来のリグノセルロース繊維により補強された高性能の繊維強化成形体を製造可能である。また、混合物の混錬に、過剰な水分の下で機械的に強力に攪拌するような装置を用いたり、その後に、スラリーからの脱水工程を経由することなく、繊維強化セメント材料を効率的に製造可能である。
繊維強化成形体は、板状の成形体であっても良く、3次元的な立体形態を有する成形体であっても良い。本発明のセメント材料補強用繊維、繊維混合セメント材料又は繊維強化セメント材料の製造方法を用いて得られた成形体は、繊維強化成形体に該当する。
板状の繊維強化成形体としては、木片セメント板、木毛セメント板、サイディング板、スレート板、発泡コンクリート、その他のコンクリート二次製品等を挙げることができる。3次元的な立体形態を有する繊維強化成形体は、建築物の一部であっても良く、例えば、コンクリート造の建物の壁や床等のコンクリート一次製品、在来軸組工法やツーバイフ
ォー工法の木造建築物におけるモルタル壁等であっても良い。また建築物の壁は、窓又はドア用の開口部を有する壁であっても良い。
また、繊維強化成形体は繊維強化セメント構造体であっても良い。繊維強化セメント構造体は、細骨材及び粗骨材を含む構造体であっても良いし、粗骨材を含まない構造体であっても良い。
繊維強化セメント構造体には、建設現場で生コンクリートを流し込んで作られるコンクリート一次製品、及びコンクリートを材料に工場で作られたコンクリート二次製品等が含まれる。
コンクリート一次製品としては、コンクリート造の建物全体やその一部(壁や床)、コンクリート製のトンネル等が挙げられる。
コンクリート二次製品としては、電柱、高速道路の支柱や側溝、消波ブロック、マンホール、コンクリートパイル、ボックスカルバート、トンネル内壁に使用されるセグメント、信号機や配電線用のポール等が挙げられる。
〔リグノセルロース材料切削小片〕
本発明のセメント材料補強用繊維は、リグノセルロース材料を切削した小片と併用することが好ましい。また、本発明の繊維混合セメント材料は、リグノセルロース繊維、帯電防止剤及びセメント、好ましくはセメント材料補強用繊維及びセメントに加えて、リグノセルロース材料を切削した小片を含むことが好ましい。また、本発明の繊維強化セメント材料の製造方法においては、リグノセルロース繊維、帯電防止剤、セメント及び水、好ましくはセメント材料補強用繊維、セメント及び水に加えて、リグノセルロース材料を切削した小片を混合することが好ましい。また、第2方法発明の繊維強化セメント材料の製造方法においては、セメント材料に、リグノセルロース繊維及びリグノセルロース材料を切削した小片を添加する。
リグノセルロース繊維に加えて、リグノセルロース材料を薄く切削したリグノセルロース材料切削小片、所謂、フレーク、ウェハー、ストランド等を添加することで、繊維強化成形体の脆性が向上する等、セメント材料の物性を、リグノセルロース繊維を単独で添加したときに比して大幅に向上させることができる。
本発明で用いる「リグノセルロース材料を切削した小片」(以下、リグノセルロース材料切削小片という)としては、木材や木材以外の植物を原料として、フレーカーや、リング式又はディスク式のストランド製造装置で製造したもの等を特に制限なく用いることができる。
このようなリグノセルロース材料切削小片の例としては、パーティクイルボード用のフレーク、ウェハーボード用のストランド、及び、オリエンテッドストランドボード用のストランドを好ましく用いることができる。これらのリグノセルロース材料切削小片は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
リグノセルロース材料をリグノセルロース材料切削小片化する方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができ、例えば、パーティクルボードを製造する方法やオリエンテッドストランドボード、及び、ウェハーボード用の切削小片を製造する方法等を用いることができる。
上記の一例としては、リグノセルロース材料をチップ状に粉砕し、その後、ナイフリングフレーカーで切削する方法、リグノセルロース材料をそのままリング式ストランド製造装置で切削する方法を挙げることができる。
このようにして得られた切削小片の形状については、好ましくは、幅は1〜50mm、更に好ましくは2〜20mmを挙げることができる。また、長さは好ましくは1〜50mm、更に好ましくは2〜20mmを挙げることができる。また、厚さは好ましくは、0.2〜1.0mm、更に好ましくは0.3〜0.6mmを挙げることができる。
リグノセルロース材料切削小片の全体的な形状としては、繊維方向を長さ、繊維方向に直交する方向を幅としたときに、長さが幅に比して長いことが、リグノセルロース材料の力学的な性能の面からして好ましい。このような切削小片の形状はフレーカーやストランド製造装置の運転条件を調整することで適宜所望の形状に調整することができる。
また、リグノセルロース繊維切削小片の大きさは、使用目的により適宜変更される。例えば、モルタルに添加する場合は、当該モルタル複合材料は、ラス網と呼ばれる網状の下地金物に塗付けられることになる。この場合、ラス網とモルタルとの物理的な絡み付きが重要となるため、リグノセルロース材料切削小片の大きさはラス網の目の開きの大きさにより決定される。また、同様のことが、コンクリートと鉄筋や補強金網の場合についても言える。
なお、リグノセルロース材料切削小片は帯電防止剤で処理しなくとも、ダマにもならなければ、凝集も発生しないので、処理の要否は任意である。
リグノセルロース繊維とリグノセルロース材料切削小片は、別々の段階でセメント材料と添加しても良いし、同じ段階で添加しても良い。一緒に添加する場合のほうが工程の簡略化が図られるため好ましく、その場合は、予めリグノセルロース繊維とリグノセルロース材料切削小片を所望の割合で混合しておき、それを添加しても良いし、更に望ましくは当該混合物をペレットのような圧縮固形化や造粒化を行ったものを添加するほうが、軽量性、作業容易性や作業環境性の向上のために好ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態を示して説明したが、各発明は、上記の実施形態に制限されず適宜に変更可能である。
以下、実施例及び比較例により、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、かかる実施例によって何ら限定されるものではない。
1.標準調製方法
〔リグノセルロース繊維の調製〕
ファイバーボード工場で加圧型リファイナーを用いて製造されたファイバーボード用リグノセルロース繊維を、そのままリグノセルロース繊維として用いた。繊維の長さは凡そ3mm、繊維の幅は凡そ30μmであった。さらに、同様の手順を用いて、インシュレーションボード用リグノセルロース繊維(特に、粗リグノセルロース繊維と呼ぶ)を製造し、そのままリグノセルロース繊維として用いた。繊維の長さは凡そ15mm、繊維の幅は凡そ300μmであった。
〔セメント材料(水混合物)の調製方法〕
市販の軽量モルタルミックス(富士川建材工業社製、「ACモルタル」)質量2.5kgに水1Lを加え、ホバート式ミキサーで攪拌して、モルタルセメント材料(水混合物)を得た。
ここで、リグノセルロース繊維は吸水性が高いために、リグノセルロース繊維を添加することで、見かけの水分が不足し、混練が難しくなり加水が必要になる場合があるが、その場合は、適宜、所望の作業効率を確保できる程度まで、加水を行った。
2.曲げタフネス試験
(1)実施例及び比較例のセメント材料の調製方法
〔実施例1〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの1質量%分を、下記のリグノセルロース繊維Aに置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
リグノセルロース繊維A:帯電防止効果を有するノニオン性の界面活性剤であるポリオ
キシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるようにスプレー処理した後、105℃の熱風式乾燥機により乾燥したセメント材料補強用繊維。
〔実施例2〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの2質量%分を、下記のリグノセルロース繊維Bに置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
リグノセルロース繊維B:帯電防止効果を有するノニオン性の界面活性剤であるポリオキシエチレンココナットアルキルアミンを、乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が2.5質量%となるようにスプレーした後、105℃の熱風式乾燥機により乾燥したセメント材料補強用繊維。
〔実施例3〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの1質量%分を、下記の粗リグノセルロース繊維Cに置き換えたものを用いる以外は、標準調整法に従って、セメント材料を調整した。
粗リグノセルロース繊維C:帯電防止効果を有するノニオン性の界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを乾燥状態のリグノセルロース繊維に対する付着量(固形分換算)が1質量%となるようにスプレー処理した後、105℃の熱風式乾燥機により乾燥したセメント材料補強用繊維。
〔比較例1〕
上記市販の軽量モルタルミックスをそのまま用い、標準調製方法に従って、比較例1のセメント材料(コントロール)を調製した。
〔比較例2〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの0.5質量%分を、下記のセルロースナノファイバーに置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
セルロースナノファイバー:スギノマシン社製の「セルロースナノファイバー(標準品)」
なお、セルロースナノファイバーは極めて粘度が高く、これ以上添加すると混練ができないために0.5質量%を上限とした。
〔比較例3〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの0.75質量%分を、帯電防止剤で処理していないリグノセルロース繊維に置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
なお、帯電防止剤を添加していない系ではリグノセルロース繊維が明らかにダマになるのが調製中に観察されたため、0.75重量%を上限とした。
(2)曲げタフネス試験の評価
実施例及び比較例で調製したセメント材料を、曲げタフネス試験に供した。
曲げタフネス試験は、曲げ試験を行う際に得られる荷重−変位曲線の下側の面積を曲げ破壊に要したエネルギーとして算出し、評価する方法である。曲げタフネスが大きければ好ましい評価となる。
(2−1)試験方法
調製したセメント材料を、型に入れ、幅75mm、長さ150mm、厚み15mmの形状とした。24時間後に脱型し、その後20℃―65%で28日間養生した後に、その試験体を用いて、曲げタフネス試験を行った。また、同時に、材料が破壊に要するまでの材料の伸びも併せて評価を行った。なお、試験体は何れも6体作成し、その平均を計算して評価を行った。
(2−2)結果
試験結果を表1に示す。なお、結果は比較例1(コントロール)を100とし、それ以外の結果をコントロールに対する比(%)で表した。
上記の結果より、実施例1、2共に、比較例1(コントロール)に対して、曲げタフネス及び破断時伸び率の顕著な向上が見られた。また、実施例3は、比較例1(コントロール)に対して、曲げタフネスの顕著な向上が見られた。すなわち、帯電防止剤で処理されたリグノセルロース繊維を添加することで、セメント材料の脆性が改善され、補強効果が発揮されることが明らかに示された。
また、比較例3は、リグノセルロース繊維を含むが、帯電防止剤は含まない場合の例である。作成した試験体には、目視で明らかなリグノセルロース繊維の凝集やダマが見られた。また、試験結果からも補強効果が有効に発揮されていないことが明らかに示された。
3.リング試験
(1)実施例及び比較例のセメント材料の調製方法
〔実施例4〕
実施例1と同様にしてセメント材料を調製した。
〔実施例5〕
実施例2と同様にしてセメント材料を調製した。
〔比較例4〕
上記市販の軽量モルタルミックスをそのまま用い、標準調製方法に従って、比較例4のセメント材料を調製した。
〔比較例5〕
比較例2と同様にしてセメント材料を調製した。
〔比較例6〕
比較例3と同様にしてセメント材料を調製した。
〔比較例7〕
上記市販の軽量モルタルミックスをそのまま用い、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。後述するリング試験の評価においては、リング状試験体の表面にガラス繊維を編んで作られたガラスクロスを貼り付けたものを用いて評価を行った。このガラスクロスによる補強は、コンクリートやモルタル面の割れの発生を防ぐために、建築工事で一般的に用いられている補強方法である。なお、曲げタフネス試験は行わなかった。
〔比較例8〜12〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その1、2、3、4、5質量%を、下記のリグノセルロース材料切削小片Aに置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
リグノセルロース材料切削小片A:ラボ用のリングフレーカーを用いて製造されたパー
ティクルボード用フレーク(針葉樹)をそのまま材料として用いた。切削小片の長さは凡そ10mm、幅は4mm、厚さは0.5mmであった。
(2)リング試験の評価
実施例及び比較例で調製したセメント材料をリング試験に供した。
リング試験はリング状の試験治具にセメント材料を流し込み成型行い、セメント材料の硬化に伴い発生する収縮応力がリング内外で異なることからセメント材料に割れが発生することを利用して、耐割れ性を評価する方法である。
(2−1)試験方法
調製したセメント材料を型に入れ、内円50mm、外円150mm、高さ50mmのリング状の型枠内で試験体を作成し、水分を失わないようにプラスチック製の袋で完全に密閉して20℃で5日間養生した。その後、袋と外円を外し、60℃の乾燥機に入れ、経時的な割れの発生の評価を行った。なお、試験体は何れも3体作成し、最も悪い結果を用いて評価を行った。
(2−2)結果
試験結果を表2に示す。
上記の結果より、実施例4、5では、比較例4〜7に比して明らかな改善効果が見られた。特に実施例5では割れの発生が全く見られず、また実施例4では割れは発生したが、その程度は軽微であり、試験体の厚さ方向では表面のみに留まるものであった。比較例7では、ガラスクロスによる補強効果で、割れの発生は幅方向では軽微に留められているが、厚さ方向は貫通している結果となった。
また、比較例8〜12より、木材切削片を単独で用いる場合は、多量の添加が必要となり、コストや作業性、流動性といった問題を考慮しなければならない。
4.リグノセルロース繊維とリグノセルロース材料切削小片との併用
(1)実施例及び比較例のセメント材料の調製方法
〔実施例11〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの1質量%分を実施例1で用いた上記のリグノセルロース繊維Aに置き換え、更に1質量%分を比較例8〜12で用いた上記のリグノセルロース材料切削小片Aに置き換えたものを用いる以外は、前述した標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
〔実施例12〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの1質量%分を上記のリグノセルロース繊維Aに置き換え、更に2質量%分を上記のリグノセルロース材料切削小片Aに置き換えたものを用いる以外は、前述した標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
〔実施例13〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの1質量%分を上記のリグノセルロース繊維Aに置き換え、更に3質量%分を上記のリグノセルロース材料切削小片Aに置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
〔比較例21〕
上記市販の軽量モルタルミックスをそのまま用い、標準調製方法に従って、比較例21のセメント材料(コントロール)を調製した。
〔実施例14〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの1質量%分を、上記のリグノセルロース繊維Aに置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
〔実施例15〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの2質量%分を、上記のリグノセルロース繊維Aに置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
〔比較例22〜25〕
上記市販の軽量モルタルミックスに代えて、その軽量モルタルミックスの1質量%分、2質量%分、3質量%分又は4質量%分を、上記のリグノセルロース材料切削小片Aに置き換えたものを用いる以外は、標準調製方法に従って、セメント材料を調製した。
〔比較例26〕
前述した比較例7と同様に、上記市販の軽量モルタルミックスをそのまま用いて、セメント材料を調製し、それを用いて、リング状試験体の表面にガラス繊維を編んで作られたガラスクロスを貼り付けたものを作成した。リング試験は、このガラスクロスによる補強を行ったものについて評価した。なお、曲げタフネス試験は行わなかった。
(2)実施例11〜15及び比較例21〜26について、前述した方法により曲げタフネス試験及びリング試験を行い、同様に評価した結果を表3に示す。なお、曲げタフネス試験の結果は比較例21(コントロール)を100とし、それ以外の結果をコントロールに対する比(%)で表した。
表3に示す結果から明らかなように、実施例11、12、13は、共に、比較例21(コントロール)に対して、曲げタフネス及び耐割れ性の顕著な向上が見られた。また、実施例11、12、13は、帯電防止剤で処理したリグノセルロース繊維のみを単独で用いた実施例14及び15と比べて曲げタフネスが向上している。
また、同一のリグノセルロース添加率での結果を検討すると、実施例11(リグノセルロース繊維1重量%+リグノセルロース材料切削小片1重量%=含有率2重量%)は比較例23(リグノセルロース材料切削小片2重量%=含有率2重量%)、同様に実施例12(含有率3重量%)と比較例24(含有率3重量%)、実施例13(含有率4重量%)と比較例25(含有率4重量%)とを比較することができる。
曲げタフネス試験に関しては、実施例11〜13は、それぞれリグノセルロース材料切削小片を単独で用いた比較例23〜25より優れており、リング試験の結果に関しても、実施例11〜13は、それぞれ比較例23〜25より優れている。また、比較例26のガラスクロスによる補強効よりも優れている結果となった。
以上より、リグノセルロース繊維と共にリグノセルロース材料切削小片を用いることで、従来達成が難しいレベルの優れた効果が得られることが判る。また、リグノセルロース繊維及びリグノセルロース材料切削小片は、いずれもリグノセルロース材料を原料とするものであり、リグノセルロース材料のみでも、斯かる優れた効果が得られる点においても優れている。
4.面内せん断試験
(1)実施例及び比較例のセメント材料の調製方法
〔実施例16〕
実施例12と同様にしてセメント材料を調製した。
〔比較例27〕
上記市販の軽量モルタルミックスをそのまま用い、標準調製方法に従って、比較例27のセメント材料(コントロール)を調製した。
(2)面内せん断試験の評価
実施例16及び比較例27で調製したセメント材料を、面内せん断試験に供した。
面内せん断試験は、壁状の試験体の上部に対し、水平方向に荷重を加えた際に発生する
クラックの総長さを測定することで、試験体の割れ抵抗性を評価する方法である。
なお、この面内せん断試験は、JIS A 1414「建築用構成材(パネル)及びその構造部分の性能試験方法」の面内せん断試験(B)(タイロッドを用いない場合)に準拠するものである。
(2−1)試験方法
面内せん断試験で使用した面内せん断試験機1の概略図を図1に示す。105mm角の木製角材を用いて、土台21、一対の柱22,22及び梁23からなる矩形状の枠体20を形成し、その枠体20の片面に18mm厚の小割り板(図示せず)を固定し、その上にラス網(図示せず)を固定した。枠体20は、その土台21を六角ボルト(M12)を用いて面内せん断試験機1の加力フレーム11に緊結し、柱22の柱脚は、ホールダウン金物を用いて土台21に固定した。
このようにして、縦1400mm、横1450mmの矩形状の試験用壁体2を形成した。この試験用壁体2のラス網(図示せず)の表面に、実施例16及び比較例27で調製したセメント材料を厚み18mmになるように塗着し、1ヶ月以上硬化させて試験体3を作成した。試験体3としては、中央部に窓枠を配置することによって、中央部に窓用の開口部26を有するモルタル壁を形成した。
枠体20の梁23に対し、加力ジャッキ12により水平方向(X,Y方向)に荷重を加え、表4に示す変形角まで枠体20及び試験体3をせん断変形させた。各変形角ごとに、正方向(X方向)及び負方向(Y方向)に3回ずつ荷重を加えた後、試験体3に発生したクラックの総長さを測定した。
(2−2)試験結果
試験結果を表4に示す。表4は試験体3のクラック発現状況を示したものである。結果は、実施例16及び比較例27の場合のそれぞれについて、窓枠の周囲に生じたクラックの総長さを測定し、比較例27のクラック総長さに対する実施例16のクラック総長さの比(%)で表した。
上記の結果より、実施例16は、比較例27に比して、せん断変形を加えた際のクラックの総長さが短く、顕著な割れ抑止効果を有することが分かった。すなわち、セメント材
料にリグノセルロース繊維と共にリグノセルロース材料切削小片を添加することで、セメント材料の脆性が改善され、外力に対する高い耐割れ性が発揮されることが明らかに示された。

Claims (14)

  1. 帯電防止剤を付着させたリグノセルロース繊維からなることを特徴とする、セメント材料補強用繊維。
  2. 前記リグノセルロース繊維が、木材由来の機械パルプであることを特徴とする、請求項1に記載のセメント材料補強用繊維。
  3. 前記帯電防止剤が、界面活性剤型で、カチオン性でないことを特徴とする、請求項1に記載のセメント材料補強用繊維。
  4. 前記帯電防止剤が、水性であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維及びセメントを含むことを特徴とする、繊維混合セメント材料。
  6. 前記繊維混合セメント材料が、水分の含有率が15%以下の、モルタルミックス又はコンクリートミックスであることを特徴とする、請求項5に記載の繊維混合セメント材料。
  7. 更に、リグノセルロース材料を切削した小片を含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の繊維混合セメント材料。
  8. リグノセルロース繊維、帯電防止剤、セメント及び水を混合する混錬工程を含み、該混錬工程後に脱水する工程を含まないことを特徴とする、繊維強化セメント材料の製造方法。
  9. 前記混錬工程に、モルタルミキサー又はコンクリートミキサーを用いることを特徴とする、請求項8に記載の繊維強化セメント材料の製造方法。
  10. 前記リグノセルロース繊維及び前記帯電防止剤として、請求項1〜4の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維を、前記セメント及び水と混合する、請求項8又は9に記載の繊維強化セメント材料の製造方法。
  11. 前記混錬工程後に、該混錬工程で得られた混合物を常温で硬化させることを特徴とする、請求項8〜10の何れか1項に記載の繊維強化セメント材料の製造方法。
  12. 前記混錬工程においては、更にリグノセルロース材料を切削した小片を混合することを特徴とする、請求項8〜11の何れか1項に記載の繊維強化セメント材料の製造方法。
  13. 請求項1〜4の何れか1項に記載のセメント材料補強用繊維を含むことを特徴とする、繊維強化セメント構造体。
  14. 更に、リグノセルロース材料を切削した小片を含むことを特徴とする、請求項13に記載の繊維強化セメント構造体。
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