JP6864353B2 - 塗装表面用水系組成物 - Google Patents

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本発明は、車両のガラスや車体本体などの所望の物品の表面に塗布することにより、被塗布物の表面の艶を出し、溶剤として水を含有する水系の組成物に関するものである。
従来、自動車などの車両用の艶出し剤として、カルナバロウや石油ワックスを主体としたワックス類や、ジメチルシリコーンやアミノシリコーンなどの変性シリコーン、またはシリコーンレジンなどのシリコーン類を主成分としているが、ワックス類は効果の持続性が乏しく、シリコーン類は汚染されやすかったり反応性硬化物の製剤化が困難であったりした。
近年では、シラザン類やアルコキシシランなどを有機溶媒中に分散・溶解させたものを、スプレーや手塗り等で被塗布物に処理し、乾燥過程でガラス状の効果被膜を形成させ、撥水性、艶及び耐久性にすぐれた塗料が知られている。
例えば、特許文献1において、メチルトリメトキシシランなどのアルコキシシランを塩酸などの酸により加水分解して縮合したシリコーン樹脂、α―メチル−D−グルコシド、界面活性剤、水などを混合して乳化剤とした艶出し剤が開示されている。
特開2000−63755号公報
しかしながら、引用文献1の組成物では、塗膜作成後に塗膜の艶や撥水性等の耐久性に関して必ずしも良好とはいえず課題があった。
また、引用文献1の組成物では、有機溶媒を含有している例もあり、塗工作業を行う現場の環境改善がより求められるようになってきており、有機溶剤を含有しない塗料組成物が求められている課題もあった。
そこで、本発明において、作成される塗膜に艶、撥水性を付与し、耐久性に優れる水系組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、水系組成物について鋭意研究を重ね、種々の化合物を処方することにより、組成物として、艶、撥水性を付与し、耐久性にも優れる塗膜を作成することができることを見出し、これらの知見に基づいて本発明に至った。
〔1〕すなわち、本発明は、
(a−1)下記一般式(1)で表されるアルコキシシランと、
X−Si−(OY) 3 ・・・・・・・(1)
(式中Xは炭素数1〜18のアルキル基、Yは炭素数1〜4のアルキル基である)(a−2)前記アルコキシシランの加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンと、(a−3)非イオン性界面活性剤と、(a−4)水を含有する(A)シリコーン乳化物と、(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物と、(C)セルロースナノファイバーと、(D)水を含有することを特徴とする塗装表面用水系組成物である。
〔2〕そして、前記セルロースナノファイバーが、水を溶媒とする水分散体として配合されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の塗装表面用水系組成物である。
〔3〕そして、前記セルロースナノファイバーは、前記シリコーン乳化物及び前記アクリルシリコーン共重合体乳化物の合計重量に対して、0.1重量%〜2.0重量%配合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗装表面用水系組成物である。
本発明の水系組成物によれば、艶、撥水性を付与し、耐久性にも優れる塗膜を作成することができる。
以下、本発明の塗装表面用水系組成物に関する実施形態について詳しく説明する。なお、説明中における範囲を示す表記は、上限と下限を含有するものである。
本発明の塗膜組成物は、(A)シリコーン乳化物と、(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物と、(C)セルロースナノファイバーと、(D)水を含有している。少なくともこれら成分を配合した組成物により、後述するように、塗膜作製後に処理表面の艶、撥水性に優れ、耐久性も有する塗膜を作成することができる。
(A)シリコーン乳化物は、(a−1)特定のアルコキシシランと、(a−2)前記アルコキシシランの加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンと、(a−3)非イオン性界面活性剤と、(a−4)水を含有してなるエマルジョンである。(A)シリコーン乳化物に関して、後述する条件に合致するように、各成分を自ら調整するなどして処方することもできるし、市販品を購入することもできる。
本発明に含有される(a−1)アルコキシシランは、下記の一般式(1)で表される化合物である。
X−Si−(OY) 3 ・・・・・・・(1)
(式中Xは炭素数1〜18のアルキル基、Yは炭素数1〜4のアルキル基である)
当該アルコキシシランによれば、塗布する基材と結合し、塗膜に艶、親水性、防汚性を付与することができる。
当該アルコシシランとしては、例えば、3官能のメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−テトラデシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、n−テトラデシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシランなどが好ましい。このうちの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。

また、(A)シリコーン乳化物における(a−1)一般式(1)で表されるアルコキシシランの含有割合は、1〜30重量%であることが好ましく、2〜25重量%であることが好ましい。(a−1)一般式(1)で表されるアルコキシシランの含有割合がこの範囲であると、塗布する基材の表面に艶、撥水性、防汚性を付与し、さらに、加水分解による凝集も生じにくくなり保存安定性を向上させることができる。
本発明に含有される(a−2)前記アルコキシシランの加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンは、(a−1)一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解物を脱水縮合により形成された重合物である。
当該オルガノポリシロキサンは、重合平均分子量として、200〜10000が好ましく、300〜6000が好ましい。当該オルガノポリシロキサンの重合平均分子量がこの範囲にあると、塗布する基材の表面に艶、撥水性、防汚性を付与し、さらに、加水分解による凝集も生じにくくなり保存安定性を向上させることができる。なお、当該オルガノポリシロキサンの重合平均分子量を測定する方法として、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフィー)にて、展開溶媒としてトルエンなどを用いて、標準ポリスチレン換算として算出されることが好ましい。
また、(A)シリコーン乳化物における(a−2)前記アルコキシシランの加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンの含有割合は、1〜30重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることが好ましい。当該オルガノポリシロキサンの含有割合がこの範囲であると、塗布する基材の表面に艶、撥水性、防汚性を付与し、さらに、加水分解による凝集も生じにくくなり保存安定性を向上させることができる。
本発明に含有される(a−3)非イオン性界面活性剤は、直鎖状又は分岐鎖を有するアルキル鎖の炭素数が12〜20と、−CH2CH2O−で表されるオキシエチレンユニットまたは−CH2CH(CH3)O−で表されるオキシプロピレンユニットの少なくとも一方から構成されてなるポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル、ポリオキシプロピレン(POP)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(POE)ポリオキシプロピレン(POP)アルキルエーテルなどの界面活性剤である。オキシエチレンユニット及びオキシプロピレンユニットとしては、1〜100、好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20含むことが好ましい。非イオン性界面活性剤中に、オキシエチレンユニット及びオキシプロピレンユニットがともに存在する場合、オキシエチレンユニット及びオキシプロピレンユニットはそれぞれランダム又はブロックで結合することができる。
(a−3)非イオン性界面活性剤の具体例としては、POE(7)ラウリルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(11)ラウリルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(5)オレイルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POP(5)ラウリルエーテル、POP(7)セチルエーテル、POP(10)オレイルエーテル、POE(3)POP(5)ラウリルエーテルなどが挙げられる。なお、POE、POPのカッコ内の数値は、オキシエチレンユニット、オキシプロピレンユニットのユニット数を示している。
また、(A)シリコーン乳化物における(a−3)非イオン性界面活性剤の含有割合は、1〜10重量%であることが好ましく、2〜8重量%であることが好ましい。(a−3)非イオン性界面活性剤の含有割合がこの範囲であると、(A)シリコーン乳化物の乳化安定性を維持することができる。
本発明に含有される(a−4)水は、(A)シリコーン乳化物をエマルジョンとするためのものである。(a−4)水としては、精製水、イオン交換水、工業用水など任意の水を使用することができる。また、水に含有される微量成分も(A)シリコーン乳化物のエマルジョン形成や塗膜作製時の硬化性に影響を及ぼさない範囲で含有されていてもよい。
また、(A)シリコーン乳化物における(a−4)水の含有割合は、30〜70重量%であることが好ましく、40〜60重量%であることが好ましい。(a−4)水の含有割合がこの範囲であると、(A)シリコーン乳化物の乳化安定性を維持することができる。
そして、本発明の水系組成物における(A)シリコーン乳化物の含有割合は、0.05〜10重量%であることが好ましく、1〜8重量%であることが好ましい。(A)シリコーン乳化物の含有割合がこの範囲であると、被塗布物の艶、撥水性を継続的に維持することができる。
本発明に含有される(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物は、アクリロイル基又はメタアクリロル基を有する化合物と、末端に反応性置換基を有するシリコーン化合物が乳化状態で共重合されたものである。当該アクリルシリコーン共重合体乳化物によれば、被塗布物の表面に、固形分であるアクリルシリコーン共重合体が塗膜のベースとなる皮膜を形成し、耐擦傷性に優れた塗膜とすることができる。
当該アクリルシリコーン共重合体乳化物は、例えば、メタクリル酸エステル又はメタクリル酸と末端に反応性置換基を有するシリコーン化合物が、水やアルコールなどの溶媒に陰イオン界面活性剤などの界面活性剤の存在下でラジカル重合された乳化物である。陰イオンとしては、親水基としてカルボンサン、スルホン酸、リン酸などの構造に対してナトリウム、カリウム、カルシウムなどの塩を形成していることが好ましい。このうち、固形分であるアクリルシリコーン共重合体としては、30〜50重量%含有されていることが好ましい。アクリルシリコーン共重合体乳化物の固形分の濃度がこの範囲であると乳化安定性を維持することができる。
また、本発明の水系組成物における(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物の含有割合は、1〜20重量%であることが好ましく、2〜15重量%であることが好ましい。アクリルシリコーン共重合体乳化物の含有割合がこの範囲であると、被塗布物の艶、撥水性を継続的に維持することができる。
(A)シリコーン乳化物と(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物との配合比は、(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物が、(A)シリコーン乳化物1に対して、0.1〜20で配合されることが好ましく、さらに0.3〜15で配合されることが好ましい。(A)シリコーン乳化物と(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物との配合比がこの範囲であると、被塗布物の艶、撥水性を継続的に維持することができる。
本発明の(C)セルロースナノファイバーは、セルロース分子鎖が水素結合及び分子間力によって結合した化合物であるセルロースミクロフィブリル、又はそのセルロースミクロフィブリルを最小単位として複数が集合した集合体であり、その太さが1nm〜800nm程度の径のサイズのものである。また、その長さは100nm〜8μm程度に及ぶものである。一般に、セルロースナノファイバーは、天然に存在するセルロース組織を機械的に解繊して得られる。
当該セルロースナノファイバーは、その太さが数nm〜数百nmの名のサイズのものであり、比表面積が大きく表面に存在するフリーの水酸基(他と結合していない)が多くなるために、セルロースナノファイバーを配合することにより、アルコキシシランが加水分解することにより生成する水酸基又は各種基材表面との親和性が良好であるために、おおよそ均一で透明な塗膜を作製することができるとともに、塗膜の機械的強度を向上させることができる。セルロースナノファイバーは、粉末状のものを配合することができるが、水分散体であるスラリー状、ペースト状、ゲル状などの形態で配合することが好ましい。このような水分散体であると、セルロースナノファイバーがより分散しやすく、塗膜にしたときにセルロースナノファイバーの濃度にムラがなくなる。市販品としては、レオクリスタ(第一工業製薬社製)、セリッシュ(ダイセルファインケム社製)、セルロースナノファイバー(大王製紙社製)、変性セルロースナノファイバー(日本製紙社製)などが用いられる。
また、当該セルロースナノファイバーの水系組成物中における含有割合は、0.01〜0.5重量%であることが好ましく、0.03〜0.3重量%であることが好ましい。セルロースナノファイバーの含有割合がこの範囲であると、各種基材表面に水系組成物を塗布したときに作製される塗膜の物理的力に対する耐久性を向上することができる。
さらに、セルロースナノファイバーは、(A)シリコーン乳化物及び(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物の合計重量に対して、0.1重量%〜2.0重量%配合されていることが好ましく、0.5重量%〜1.6重量%であることが好ましい。セルロースナノファイバーの含有割合がこの範囲であると、各種基材表面に水系組成物を塗布したときに作製される塗膜の物理的力に対する耐久性を向上することができる。
本発明に含有される(D)水は、(a−4)水とは別途配合されるものであり、(A)シリコーン乳化物、(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物、(C)セルロースナノファイバーを均一分散させるための溶剤である。(D)水としては、(a−4)水と同様に、精製水、イオン交換水、工業用水など任意の水を使用することができる。また、水に含有される微量成分も塗膜作製時の硬化性に影響を及ぼさない範囲で含有されていてもよい。
また、本発明の塗装表面用水系組成物における(D)水の含有割合は、70〜90重量%であることが好ましく、75〜86重量%であることが好ましい。当該水の含有割合がこの範囲であると、ムラが生じないように塗膜を作成することができるとともに、後述する有機溶剤を含有しないので塗工作業を行う作業者が有機溶剤による急性又は慢性の中毒に侵されることを防ぐことができる。
本発明における塗装表面用水系組成物は、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセンなどの炭化水素系溶剤、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤などの有機溶剤を配合していない。これらの有機溶剤を配合していないことにより、ディーラーなどの施工工場において、塗工作業を行う作業者が有機溶剤による急性又は慢性の中毒に侵されることを防ぐことができる。なお、アルコキシシラン等のアルコキシル基の加水分解により生じるメタノールやエタノールなどのアルコール系溶剤は反応により生じたものであるので、配合したものではない。
本発明の水系組成物は、各成分を配合後、室温で撹拌して調製される。(A)シリコーン乳化物と、(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物と、(C)セルロースナノファイバーと、(D)水の配合に際し、任意の順番で配合することもできるし、同時に配合することもできる。
そして、本発明の塗装表面用水系組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、粘度調整剤、着色剤、防腐剤、pH調整剤などを添加することができる。
本発明の塗装表面用水系組成物は、ガラスや樹脂、金属やセラミックスなどを対象基材にすることが好ましい。
本発明の塗装表面用水系組成物を各基材に処理する方法は、特に限定されず、スピンコート、ディップコート、ロールコート、フローコート、スプレーコートなどで処理してもよいし、スポンジや布などの治具を用いた手塗などで処理してもよい。その後、溶剤として使用される当該アルコールを自然乾燥させることで塗膜を作成することができ、加熱乾燥による後処理は必要でない。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調整例1)
攪拌気、加熱装置、還流冷却装置及び滴下漏斗を備えたフラスコにメチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM13)136g、メタノール20gおよびメチルトリクロロシランを塩酸濃度が20ppmとなるように仕込み、攪拌しながら水10gを滴下漏斗により徐々に滴下した。そして、約70度の還流温度で2時間反応を継続して加水分解縮合反応を行った。反応後、未反応の水分等を分液して減圧下でメタノール等の揮発溶剤を留去して、未反応のトリメトキシシランも含有するオルガノポリシロキサン94gを得た。得られたオルガノポリシロキサンの重合平均分子量3000であった。そして、この未反応のトリメトキシシランも含有するオルガノポリシロキサン90gに、非イオン系界面活性剤であるPOE(15)セチルエーテル3gを加えて40℃程度に加温し、その後、ホモミキサーを用いて5000rpmにて攪拌を行い、そこへ加温した水93gを徐々に添加し、40〜45℃で30分攪拌を行い、50%水溶液のシリコーン乳化物(A−1)を得た。
(実施例1)
シリコーン乳化物(A−1)1.0重量%、アクリルシリコーン共重合体乳化物(信越化学工業社製:POLON-MF-40(不揮発分38重量%))12重量%、セルロースナノファイバー水分散体(第一工業製薬社製:レオクリスタ、2重量%水溶液品)10重量%、水77.0重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(実施例2)
シリコーン乳化物(A−1)2.0重量%、アクリルシリコーン共重合体乳化物(日本合成化学社製:モビニール7110(不揮発分46重量%))10重量%、セルロースナノファイバー水分散体(第一工業製薬社製:レオクリスタ、2重量%水溶液品)4.0重量%、水84.0重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(実施例3)
シリコーン乳化物(A−1)5.0重量%、アクリルシリコーン共重合体乳化物(日信化学工業社製:シャリーヌR-170BX(不揮発分45重量%))8.0重量%、セルロースナノファイバー水分散体(第一工業製薬社製:レオクリスタ、2重量%水溶液品)5.0重量%、水82.0重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(実施例4)
シリコーン乳化物(A−1)5.0重量%、アクリルシリコーン共重合体乳化物(信越化学工業社製:POLON-MF-40)5.0重量%、アクリルシリコーン共重合体乳化物(日本合成化学社製:モビニール7110)2.0重量%、セルロースナノファイバー水分散体(第一工業製薬社製:レオクリスタ、2重量%水溶液品)2.5重量%、水85.50重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(実施例5)
シリコーン乳化物(A−1)8.0重量%、アクリルシリコーン共重合体乳化物(日本合成化学社製:モビニール7110)2.0重量%、アクリルシリコーン共重合体乳化物(日信化学工業社製:シャリーヌR-170BX)1.0重量%、セルロースナノファイバー水分散体(第一工業製薬社製:レオクリスタ、2重量%水溶液品)7.5重量%、水81.50重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(比較例1)
シリコーン乳化物(A−1)2重量%、水98重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(比較例1)
アクリルシリコーン共重合体乳化物(信越化学工業社製:POLON-MF-40)10重量%、水90重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(比較例2)
ジメチルシリコーン(東レダウコーニング社製、商品名:SM7036EX)4重量%、水96重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(比較例3)
アミノ変性シリコーン(旭化成ワッカー社製、商品名:NP2611)4重量%、水96重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(比較例4)
シリコーンレジン(信越化学工業社製、商品名:X−52−8005)2重量%、水98重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(比較例5)
シランオリゴマー(信越化学工業社製、商品名:KR500)1重量%、チタン系触媒(信越化学工業社製、商品名:D25)0.03重量%、イソパラフィン(エクソンモービル社製、商品名:アイソバーG)98.97重量%からなる塗装表面用処理剤組成物を得た。
(試験片の作成)
自動車の車体用めっき鋼板材片に、アクリル−メラミン系樹脂からなる自動車用塗料をベースコートとトップコートの積層形態で焼付け塗装して塗装板を作成した後、これをけいそう土で研磨し、水洗風乾して基材を作製した。実施例1〜5に記載の塗装表面用水系組成物及び比較例1〜5に記載の塗装表面用水系組成物等を、ネル布を用いて、基材に処理して、別の新しいクロスにてムラが残らないように拭き上げた。それを室温にて1日間室温にて自然乾燥及び養生して塗膜を付した試験片を作製した。
これらの塗膜を付した試験片を用いて、艶、撥水性及び耐擦傷性の評価を行い、また、基材に表面処理剤組成物を処理した際の作業性および、処理剤組成物自体の環境性を評価した。作業性については、処理後すぐに仕上げ拭きしても性能に問題がない物は〇、処理後一定の乾燥時間が必要なものは×と評価し、作業効率から作業時間が短縮できる〇である組成物を良好と判断した。また、環境性については、作業者及び環境への影響を考慮し、水系処方を〇、溶剤処方を×と評価した。
(擦り試験)
JIS K2396 「自動車つや出しコーティング剤」に準じ、耐擦り性を評価した。ガードーナーストレート型ウォッシャビリティーマシンを使用し、タオルを装着した状態で荷重が525gになるように調整し、炭酸ナトリウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムからなる洗浄液で500往復させ、光沢度と接触角の推移を確認した。
(耐候性試験)
岩崎電気社製SUV-151を用い、紫外線強度100mW/cm↑2、BP温度63℃、湿度50%の条件にて20
0時間経過させ、光沢度と接触角の推移を確認した。
(艶)
JIS K2396「自動車つや出しコーティング剤」に準じ、塗膜表面の艶を評価した。艶については、試験片の作製直後である初期時と耐擦り性試験後および促進耐候性試験後の時に、日本電色社製のGLOSS METERを用いて60°光沢を測定して評価した。
具体的には、初期時において、試験片表面を60°での光沢を測定し、塗布する前の基材の光沢の値を用いて下記一般式(2)に基づき光沢の増加割合を算出した。
光沢増加率(%)=(処理後の光沢値−処理前の光沢値)/処理前の光沢値×100・・・・(2)
こうして得られた光沢増加率が、15%以上のものを○、10%以上15%未満のものを△、10%未満のものを×と評価し、○である塗膜を良好と判断した。
また、耐擦り性試験後および促進耐候性試験後において、試験片表面を60°での光沢を測定し、初期時の光沢値を用いて下記一般式(3)に基づき光沢の維持割合を算出した。
光沢維持率(%)=(初期時の光沢値−各試験後の光沢値)/初期時の光沢値×100・・・・(3)
こうして得られた光沢維持率が、95%以上100%以下のものを○、90%以上95%未満のものを△、90%未満のものを×と評価し、○である塗膜を良好と判断した。
(撥水性)
撥水性については、試験片の作製直後である初期時と耐擦り性試験後および促進耐候性試験後の時に、協和界面科学社製のDropMasterを用いて、当該塗膜表面における水に対する接触角をθ/2法により5点測定しその平均値を求めた。こうして得られた接触角が、105°以上のものを◎、100°以上105°未満のものを○、95°以上100°未満のものを△、95°未満のものを×と評価し、◎及び○である塗膜を良好と判断した。
(耐擦傷性)
耐擦傷性については、試験片の作製直後である初期時と耐擦り性試験後に、キーエンス社製のデジタルマイクロスコープを用いて、×100倍率で拡大した際の画面を目視にて確認した。この画面全域において試験前の初期状態と同程度のキズ具合を〇、初期に比べてキズが目立つ場合は△、初期に比べてキズが多く見られる場合を×として評価した。
得られた水系組成物の組成を表1に示し、それらの組成物により作成された塗膜の物性評価の結果を表2に示す。
Figure 0006864353
Figure 0006864353
表2に示すように、実施例1〜5の水系組成物により作成された塗膜において、塗膜形成後には目視で明らかな艶を発現し、擦り試験や耐候性試験の後でもその艶を維持することができた。そして、撥水性において、初期撥水性が105°を超える接触角となり優れた撥水性を示し、擦り試験や耐候性試験の後でも撥水性に関してもほとんど劣化することがない撥水性を維持した。そして、耐擦傷性についても、傷つきにくいことが明らかとなった。一方、(A)シリコーン乳化物と、(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物と、(C)セルロースナノファイバーと、(D)水を共に配合されていない比較例に関して、艶、撥水性およびそれらの耐久性、耐擦傷性の少なくとも一つの項目において、実施例に比べて劣る項目があり、総合的に市販可能な水準に届かず良好とは言なかった。
このように、(A)シリコーン乳化物と、(B)アクリルシリコーン共重合体乳化物と、(C)セルロースナノファイバーと、(D)水を共に配合された水系の処方において、艶、撥水性およびそれらの耐久性、そして、耐擦傷性に優れた塗膜を作製することができることが分かった。

Claims (3)

  1. (a−1)下記一般式(1)で表されるアルコキシシランと、
    X−Si−(OY) 3 ・・・・・・・(1)
    (式中Xは炭素数1〜18のアルキル基、Yは炭素数1〜4のアルキル基である)
    (a−2)前記アルコキシシランの加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンと、
    (a−3)非イオン性界面活性剤と、
    (a−4)水を含有する
    (A)シリコーン乳化物と、
    (B)アクリルシリコーン共重合体乳化物と、
    (C)セルロースナノファイバーと、
    (D)水
    を含有することを特徴とする塗装表面用水系組成物。
  2. 前記セルロースナノファイバーが、水を溶媒とする水分散体として配合されていることを特徴とする請求項1に記載の塗装表面用水系組成物。
  3. 前記セルロースナノファイバーは、前記シリコーン乳化物及び前記アクリルシリコーン共重合体乳化物の合計重量に対して、0.1重量%〜2.0重量%配合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗装表面用水系組成物。
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