JP2007161754A - 水性塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水系溶媒で、高い硬度と優れた耐摩耗性とを有する有機無機ハイブリッド膜を与えることができ、且つ、ポットライフの長い水性塗料組成物、及び、その水性塗料組成物を塗装する方法を提供すること。
【解決手段】 アミノ基を有する親水性ポリマー(A)、水酸基を有する親水性ポリマー(B)、三価以上のシラン化合物(C)、マレイン酸(D)及び水(E)を混合してなる水性塗料組成物により、長期にわたって塗料の安定性に優れるとともに、高い硬度と優れた耐摩耗性とを有する有機無機ハイブリッド塗膜を、比較的温和な条件と簡便な方法で作成することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 アミノ基を有する親水性ポリマー(A)、水酸基を有する親水性ポリマー(B)、三価以上のシラン化合物(C)、マレイン酸(D)及び水(E)を混合してなる水性塗料組成物により、長期にわたって塗料の安定性に優れるとともに、高い硬度と優れた耐摩耗性とを有する有機無機ハイブリッド塗膜を、比較的温和な条件と簡便な方法で作成することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、有機−無機成分のハイブリッド塗膜を与える水性塗料組成物に関する。
従来、高硬度の膜としてゾル−ゲル反応により作成されたシリカ膜が広く知られているが、シリカのみから膜を作成するとクラックが入りやすいことから、造膜性、靭性を有する有機ポリマーを併用することにより、耐クラック性などといった機能を向上させる方法が行われてきた。
有機ポリマーを含有するシリカ膜を与える組成物としては、例えば、アミド基含有非反応性ポリマーと特定のシランなどの加水分解性金属酸化物をアルコール溶媒に溶かした均一溶液が開示されている(例えば、特許文献1参照)。該溶液によれば、加水分解性金属酸化物を加水分解重縮合反応させてゲル化させる場合に、該均一溶液のゲル化前乃至後に賦形し、溶媒を除去することにより膜状の有機・無機複合透明均質体を得ることができる。しかし、該均一溶液は、溶媒としてアルコール溶媒を使用するものであり、環境負荷低減のためには水系溶媒への転換が望まれていた。
水溶媒を使用したシリカ膜形成液としては、シラン化合物と、有機強塩基と、極性基含有ポリマーとを含有し、該シラン化合物が有機強塩基存在下で水溶性塗布溶液に溶解された塗布溶液が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、該塗布溶液から得られる塗膜は、コーティング材料をはじめとする無機系塗膜の用途分野においては硬度や耐摩耗性が未だ十分でなく、これら特性の更なる向上が求められていた。
また、生態系でのバイオシリカは有機化合物とシリカとのハイブリッドにより形成されているが、このようなバイオシリカ系のハイブリッド膜は高硬度、高靭性膜創製に重要な指針を与えている(非特許文献1参照)。バイオシリカ系のハイブリッド膜には、通常ポリアミンが使用されるが、ポリアミンを有する水系溶媒中にシリカソースを加えると、必然的にシラン化合物のゲル硬化反応が液中で進行するため、ポットライフの長期化は実際の塗装プロセスにおける大きな課題であった。
本発明が解決しようとする課題は、水系溶媒で、高い硬度と優れた耐摩耗性とを有する有機無機ハイブリッド膜を与えることができ、且つ、ポットライフの長い水性塗料組成物、及び、その水性塗料組成物を塗装する方法を提供することにある。
本発明においては、アミノ基を有する親水性ポリマー(A)、水酸基を有する親水性ポリマー(B)、三価以上のシラン化合物(C)、マレイン酸(D)及び水(E)を混合してなる水性塗料組成物によれば、(i)マレイン酸(D)が、水性塗料組成物中のシラン化合物(C)のゲル化を抑制し、長期にわたって塗料の安定性を保持するため長いポットライフを実現できる。また、該水性塗料組成物により塗膜を形成すると、(ii)アミノ基を有する親水性ポリマー(A)が水性塗料組成物中で、三価以上のシラン化合物(C)の縮合反応の触媒として働くことで該シラン化合物(C)の縮合反応の架橋密度を高くすることができる。(iii)水酸基を有する親水性ポリマー(B)が該シラン化合物(C)が縮合反応する過程においてポリアルコール中の水酸基がシラノール基と強い水素結合を形成することができる。これにより、高い硬度と優れた耐摩擦性とを有する、シリカとポリマーとの有機無機ハイブリッド膜を与えることができる。
即ち本発明は、アミノ基を有する親水性ポリマー(A)、水酸基を有する親水性ポリマー(B)、三価以上のシラン化合物(C)、マレイン酸(D)及び水(E)を混合してなる水性塗料組成物を提供するものである。
本発明の水性塗料組成物によれば、高い硬度と優れた耐摩耗性とを有する有機無機ハイブリッド塗膜を、比較的温和な条件、簡便な方法で作成することができる。また、本発明のマレイン酸を使用した水性塗料組成物は、これら優れた物性に加えて、耐水性にも優れた塗膜を形成することができる。この塗膜は、自動車用・建材用・木工用・プラスチック用などの一般的な塗装用途の他、電子材料用などといった精密材料用途にも有用である。また、無機材料由来の高い硬度を備えた難燃性塗膜用途としても有用である。
さらに本発明の水性塗料組成物は、長期にわたって塗料の安定性に優れるために塗装工程を行う際に極めて有用である。特に一液型の塗料としての使用が可能であるため、塗膜作成時においても効率よく作業が可能である。
本発明の水性塗料組成物は、アミノ基を有する親水性ポリマー(A)、水酸基を有する親水性ポリマー(B)、三価以上のシラン化合物(C)、マレイン酸(D)及び水(E)を混合してなる水性塗料組成物である。
[アミノ基を有する親水性ポリマー(A)]
本発明において使用するアミノ基を有する親水性ポリマー(A)(以下、アミノ基含有ポリマー(A)と略記する。)は、塗料溶液中で三価以上のシラン化合物(C)の縮合反応の触媒として働く。この際、一般的な酸触媒に比べて該アミノ基含有ポリマー(A)は、シラン化合物の縮合反応をより架橋密度が高まるように進行させる特徴がある。この結果、該アミノ基含有ポリマー(A)を用いることによって、塗膜を形成する際にシラン化合物の縮合度が高まり、高い架橋密度の塗膜が得られ、塗膜硬度や耐摩耗性を向上させることができる。
本発明において使用するアミノ基を有する親水性ポリマー(A)(以下、アミノ基含有ポリマー(A)と略記する。)は、塗料溶液中で三価以上のシラン化合物(C)の縮合反応の触媒として働く。この際、一般的な酸触媒に比べて該アミノ基含有ポリマー(A)は、シラン化合物の縮合反応をより架橋密度が高まるように進行させる特徴がある。この結果、該アミノ基含有ポリマー(A)を用いることによって、塗膜を形成する際にシラン化合物の縮合度が高まり、高い架橋密度の塗膜が得られ、塗膜硬度や耐摩耗性を向上させることができる。
また、該アミノ基含有ポリマーは、親水性で、且つその構造中にアミノ基を有することにより、水中でシリカゾルを安定化させることができると考えられる。該アミノ基含有ポリマー(A)中のアミノ基はプロトン化されていると、よりシリカゾルを安定化する効果が得られるため、アミノ基含有ポリマー(A)中のアミノ基は、部分プロトン化あるいは完全プロトン化されていることが好ましい。アミノ基含有ポリマー(A)中のアミノ基をプロトン化する場合には、フリーのアミノ基を有するアミノ基含有ポリマー(A)中のアミノ基を水中で酸処理してもよいし、前もって塩を形成したアミノ基を有するアミノ基含有ポリマー(A)を使用してもよい。
前記プロトン化には無機酸または有機酸などの酸類を用いることができる。無機酸類としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、硼酸を使用できる。また、有機酸類としては、カルボン酸、スルホン酸、フォスフォニル酸残基を有する水溶性化合物等を好ましく用いることができる。
前記アミノ基含有ポリマー(A)としては、入手のしやすさという観点から、生体系ポリアミン又は合成ポリアミンであることが望ましい。該アミノ基含有ポリマー(A)として使用できる生体系ポリアミンの例としては、キチン、キトサン、スペルミジン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、ホモスペルミジン、スペルミンなどの側鎖に塩基性アミノ酸残基を多く有する生体ポリマー、あるいは、ポリリシン、ポリヒスチン、ポリアルギニンなどの合成ポリペプチドをはじめとする生体系ポリアミンが挙げられる。
また、合成ポリアミンの例としては、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンなどの主鎖にアミノ基を含有するポリアミン、あるいは、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(アミノエチルメタクリレート)、ポリ[4−(N,N−ジメチルアミノメチルスチレン)]などの側鎖にアミノ基を含有するポリアミンをはじめとする合成ポリアミンが挙げられる。なかでも、ポリエチレンイミンは、入手が容易であることと、シリカゾルの分散性が良好であることから好ましい。
前記アミノ基含有ポリマー(A)においては、アミノ基含有ポリマー(A)の親水性やカチオン性を阻害しない範囲で、メチルメタクリレート単位や、ブチルメタクリレート単位といった、公知各種のアクリレート単位や、ウレタン結合を含む公知各種の構造単位、エステル結合を含む公知各種の構造単位などのアミノ基を有さない構造単位が含まれていてもよい。アミノ基含有ポリマー(A)が、これらアミノ基を有さない構造単位を含有する場合には、三価以上のシラン化合物(C)の加水分解又は脱水縮合反応において充分な反応速度を得るために、該アミノ基を有さない構造単位の割合が、アミノ基含有ポリマー(A)中の全構造単位に比して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
前記アミノ基含有ポリマー(A)の分子量としては、300〜100000の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、500〜80000の範囲、さらに好ましくは、1000〜50000の範囲であることが好ましい。。
前記アミノ基含有ポリマー(A)のうちの合成ポリマーは、上記アミノ基を有するモノマーから、ラジカル重合、カチオン重合、縮合重合など各種公知の重合方法でもって合成することができるし、アミド基などの保護基を有するポリマーを同様の方法で重合させたのち、保護基を、例えば酸加水分解などで、取り除くことによって合成することもできる。
[水酸基を有する親水性ポリマー(B)]
本発明において使用する水酸基を有する親水性ポリマー(B)は、三価以上のシラン化合物(C)の縮合反応の結果生成するシリカの成膜過程において、水酸基を有する親水性ポリマー(B)の有する水酸基が、シラノール基との強い水素結合によって強固なネットワークを形成する。これにより、得られる塗膜は高い塗膜硬度や優れた耐磨耗性を実現できる。
本発明において使用する水酸基を有する親水性ポリマー(B)は、三価以上のシラン化合物(C)の縮合反応の結果生成するシリカの成膜過程において、水酸基を有する親水性ポリマー(B)の有する水酸基が、シラノール基との強い水素結合によって強固なネットワークを形成する。これにより、得られる塗膜は高い塗膜硬度や優れた耐磨耗性を実現できる。
前記水酸基を有する親水性ポリマー(B)としては、天然物系の多糖類や、合成系のポリアルコール化合物が例として挙げられる。
天然物系の多糖類の具体例としては、キチン、セルロース、澱粉などが挙げられる。これらの天然物系の多糖類に関しては、例えば、一部の水酸基のアルコキシ化といった、化学的な修飾反応を行って用いても良い。
合成系の水酸基を有する親水性ポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール;ポリアリルアルコール;ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート)等のポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート);ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)等のポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート);ポリ(ヒドロキシスチレン)等のポリ(ヒドロキシフェニルアクリレート);ポリセリン等の合成タンパク質;変性されたエポキシ樹脂類などが挙げられる。
また、水酸基を有する親水性ポリマー(B)の骨格構造は特に限定されないが、分岐構造を持つデンドリマー型のポリアルコール類等も好ましく使用できる。
水酸基を有する親水性ポリマー(B)は、上記具体例のポリアルコール化合物の単独ポリマーでも良いし、二種以上のポリアルコール化合物の共重合体でも良い。また、該水酸基を有する親水性ポリマー(B)中における水酸基含有構造単位の割合としては、発明の効果を発現できる範囲で適宜調整すればよいが、全構造単位中の70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
前記水酸基を有する親水性ポリマー(B)の分子量としては、300〜1000000の範囲に存在することが好ましい。さらに好ましくは、500〜80000の範囲、さらに好ましくは、1000〜50000の範囲に存在することが望ましい。
水性塗料組成物に混合する水酸基を有する親水性ポリマー(B)は、一種のポリアルコールであっても、二種以上のポリアルコールの混合物であってもよい。
[三価以上のシラン化合物(C)]
本発明において使用する三価以上のシラン化合物(C)は、加水分解により、3つ以上のシロキサン結合を形成してシリカのネットワークを形成できるものが使用できる。
本発明において使用する三価以上のシラン化合物(C)は、加水分解により、3つ以上のシロキサン結合を形成してシリカのネットワークを形成できるものが使用できる。
前記三価以上のシラン化合物(C)としては、例えば、アルコキシシラン類、反応性基としてハロゲンを有するシラン類が挙げられる。ここで、アルコキシシラン類、ハロゲンを有するシラン類としては、アルコキシシランやハロゲンを有するシランのオリゴマーを含む。なかでもテトラアルコキシシラン類、トリアルコキシシラン類を好ましく使用できる。
アルコキシシラン類の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(2−エタノール)オルソシリケート、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(イソプロポキシ)シランなどのテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシランが挙げられる。
反応性基としてハロゲンを有するシラン類の例としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシランといったクロロシラン類などが挙げられる。
また、上記シラン類を前もって部分加水分解して、オリゴマー化したものも使用できる。該オリゴマー化したものは、シラノールとなったシリカゾル状態で使用しても良い。オリゴマー化したアルコキシシランを三価以上のシラン化合物(C)として使用する場合には、その平均重合度は2〜20程度のものを好適に使用することができる。この場合の加水分解触媒としては、公知各種の酸類、アルカリ類を用いることができる。
本発明において使用する三価以上のシラン化合物(C)は、一種であっても複数種であってもよいが、官能基の多いシラン化合物、特にテトラアルコキシシラン使用した場合には、得られる塗膜の塗膜硬度を高くすることができるため好ましい。塗膜硬度を高くする目的でテトラアルコキシシランを使用する場合には、三価以上のシラン化合物(C)の全量中のテトラアルコキシシランの含有量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上有することがより好ましい。
また、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシランをテトラアルコキシシランと併用することにより、上記アミノ基含有ポリマー(A)中のアミノ基とγ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシランとが、加熱によって架橋反応することにより、塗膜をより強靭にすることができる。γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシランを使用する場合には、水性塗料組成物中の三価以上のシラン化合物(C)中の50質量%未満であることが好ましい。
本発明の水性塗料組成物中においては、上記三価以上のシラン化合物(C)以外にジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシランといったジアルコキシシラン類や、テトライソプロポキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラプロポキシチタンといったアルコキシチタン類や、トリエトキシアルミニウムといったアルコキシアルミニウムを発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。これらジアルコキシシラン類、アルコキシチタン類、アルコキシアルミニウム類を含む場合には、ジアルコキシシラン類、アルコキシチタン類、アルコキシアルミニウム類は10質量%未満の範囲であることが好ましい。
[水性塗料組成物]
本発明の水性塗料組成物は、少なくとも、上記したアミノ基含有ポリマー(A)、水酸基を有する親水性ポリマー(B)、三価以上のシラン化合物(C)、マレイン酸(D)及び水(E)を必須として混合してなるものである。本発明の水性塗料組成物は、マレイン酸(D)が、水性塗料組成物中のシラン化合物(C)のゲル化を抑制し、長期にわたって塗料の安定性を保持するため長いポットライフを実現できる。また、基材へ塗布して水を除去後、加熱あるいはアルカリ処理することにより、容易にゲル化され、塗膜全体がシロキサン結合のネットワークを形成する。この際、シリカゾルとイオンコンプレックスを形成していたアミノ基含有ポリマー(A)と、水性塗料組成物中の水酸基を有する親水性ポリマー(B)が、塗膜中に複合化されることにより、シリカと有機ポリマーとのハイブリッド膜が形成される。
本発明の水性塗料組成物は、少なくとも、上記したアミノ基含有ポリマー(A)、水酸基を有する親水性ポリマー(B)、三価以上のシラン化合物(C)、マレイン酸(D)及び水(E)を必須として混合してなるものである。本発明の水性塗料組成物は、マレイン酸(D)が、水性塗料組成物中のシラン化合物(C)のゲル化を抑制し、長期にわたって塗料の安定性を保持するため長いポットライフを実現できる。また、基材へ塗布して水を除去後、加熱あるいはアルカリ処理することにより、容易にゲル化され、塗膜全体がシロキサン結合のネットワークを形成する。この際、シリカゾルとイオンコンプレックスを形成していたアミノ基含有ポリマー(A)と、水性塗料組成物中の水酸基を有する親水性ポリマー(B)が、塗膜中に複合化されることにより、シリカと有機ポリマーとのハイブリッド膜が形成される。
混合の順序は特に制限されないが、水(E)中に前記アミノ基含有ポリマー(A)とマレイン酸(D)を溶解させた後、前記三価以上のシラン化合物(C)を添加するのがもっとも好ましい。この順序で添加した場合、シラン化合物(C)のゾル状態での分散が良好になるため好ましい。また、前記水酸基を有する親水性ポリマー(B)を添加する順序は任意である。
混合する際のアミノ基含有ポリマー(A)と水酸基を有する親水性ポリマー(B)との質量比(A)/(B)は、2/98〜70/30の範囲で適宜調整すればよく、10/90〜50/50の範囲にあることが好ましく、1/6〜1/2の範囲であることが特に好ましい。質量比(A)/(B)が2/98以上であれば、シラン化合物の加水分解反応が良好に進行し、また、(A)/(B)が70/30以下であると、水性塗料組成物の保存安定性が向上する。
前記三価以上のシラン化合物(C)は、使用するアミノ基含有ポリマー(A)と水酸基を有する親水性ポリマー(B)の質量の和((A)+(B))と、三価以上のシラン化合物(C)の質量との比は((A)+(B))/(C)が、60/40〜5/95の範囲で適宜調整すればよく、40/60〜15/85の範囲にあることが好ましく、35/65〜25/75の範囲にあるとさらに好ましい。上記比(A)/(B)が5/95以下であれば得られる塗膜のクラックを低減することができ、また、60/40以上であると塗膜の耐水性の向上が図られる。
マレイン酸(D)の使用量は、アミノ基含有ポリマー(A)の使用量や、シラン化合物(C)の種類に応じて適宜調整すればよいが、好適には、マレイン酸(D)の添加により水性塗料組成物のpH値が2〜5の範囲となるように調整することを目安とすればよい。使用するシラン化合物(C)の加水分解活性が高い場合は、pH値を2〜3の範囲とすることが好ましく、シラン化合物(C)の加水分解活性が低い場合は、pH値を4〜5の範囲に調整することが好ましい。
また、使用する水(E)の量としては、使用する三価以上のシラン化合物(C)の0.2〜50倍量程度であることが好ましい。
また、シラン化合物(C)中の三価のシラン化合物としてアルコキシシラン類を使用した場合には、前記アミノ基含有ポリマー(A)と三価以上のシラン化合物(C)を混合した際、アルコキシシラン類が加水分解されて、アルコール類を生じる。このアルコール類を公知慣用の方法で除去したのち前記水性塗料組成物を使用してもよいし、アルコール類を除去せずにそのまま用いても良い。
この水性塗料組成物中に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルといった各種公知の溶剤を加えることができるし、あるいは平滑剤・濡れ剤といった各種公知の添加剤を加えることができる。
また、本発明の水性塗料組成物は溶媒として水を使用するものであるが、必要に応じて、水以外の水溶性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類などの溶媒を加えても良い。これら水以外の水溶性溶媒を加える場合には、使用する水(E)の量に対して10%未満であることが好ましい。
また、本発明においては、発明の効果を損なわない範囲で、各種公知の硬化剤、例えば水溶性のエポキシ化合物などを加えることもできる。
本発明の水性塗料組成物は、該組成物中に顔料や染料などの着色剤を加えて、着色塗料として用いることもできる。添加可能な着色剤としては、酸性染料、酸性媒染染料、直接染料、反応染料などの公知慣用の各種染料、あるいは公知慣用の有機顔料、無機顔料を使用できる。着色剤として顔料を使用する場合には、必要に応じて顔料分散用樹脂などを加えることができるのは勿論である。
本発明の水性塗料組成物を塗布する基材としては、ガラス、金属、木材、プラスチックといった各種の基材を使用することができる。これら基材上に塗布後、硬化させることにより、任意の基材上に高い硬度と優れた耐摩耗性を有するシリカと有機ポリマーとのハイブリッド膜を容易に得ることができる。
基材への塗布方法は特に制限されず、例えば、刷毛塗り、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、バーコート法、エアナイフコート法といった各種公知慣用の方法を用いることができ、さらにこれらを組み合わせて用いることもできる。
本発明の水性塗料組成物は、各種基材上に塗布した後、アルカリ処理もしくは、加熱処理によって容易に塗膜を硬化させることができる。また、アルカリと加熱の両方の方法を併用することもできる。
アルカリ処理の方法としては、例えば、アルカリ性の化合物を直接噴霧する方法や、アルカリ性の化合物を含む気体中でエージングさせる方法などが挙げられる。ここで使用できるアルカリ性化合物とは、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルエタノールアミン、アミノプロパノール、アンモニアなどがある。
上記アルカリ性化合物のなかでもアンモニアを好ましく使用することができる。例えば、上記塗装膜をアンモニア水溶液から揮発するアンモニアガス雰囲気中エージングすることにより、高温をかけることなく、シリカと有機ポリマーとのハイブリッド膜を得ることができる。
また、加熱によって塗膜を硬化させる場合には、加熱温度は60〜250℃までの広い範囲に適用できる。加熱硬化温度は基材の熱物性に合わせて設定することができるが、ガラスなど無機基材の場合は高温側(200℃前後)で瞬間的に硬化することができる。プラスチック類に塗装する場合は、好ましくは、100℃程度で30分加熱することで、塗膜を硬化させることができる。三価以上のシラン化合物(C)中に、エポキシシラン類を含む場合には、加熱によってエポキシ基とポリアミン類が反応し、塗膜の強靭性が高まるため、加熱によって硬化させるほうが望ましい。
(実施例1)
<水性塗料組成物(1)の調整>
分岐状のポリエチレンイミン(PEI:日本触媒製「SP−200」)の10%水溶液8g、ポリビニルアルコール(PVA:(株)クラレ製「PVA−110」、重合度1,000、ケン化度98.0モル%)の10%水溶液80部、10%マレイン酸水溶液12g、水4gからなる混合液中に、テトラメトキシシラン(TMOS)26gと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)9gからなる混合液を加え、それを室温で1時間撹拌し、均一な水性塗料組成物(1)を調製した。得られた水性塗料組成物(1)を室温にて静置し、ゲル化の状態(ポットライフ)を観察した。得られた水性塗料組成物(1)は、10日以上静置していてもゲル化が生じなかった。
<水性塗料組成物(1)の調整>
分岐状のポリエチレンイミン(PEI:日本触媒製「SP−200」)の10%水溶液8g、ポリビニルアルコール(PVA:(株)クラレ製「PVA−110」、重合度1,000、ケン化度98.0モル%)の10%水溶液80部、10%マレイン酸水溶液12g、水4gからなる混合液中に、テトラメトキシシラン(TMOS)26gと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)9gからなる混合液を加え、それを室温で1時間撹拌し、均一な水性塗料組成物(1)を調製した。得られた水性塗料組成物(1)を室温にて静置し、ゲル化の状態(ポットライフ)を観察した。得られた水性塗料組成物(1)は、10日以上静置していてもゲル化が生じなかった。
(実施例2〜3)
<水性塗料組成物(2)〜(3)の調整>
実施例1の場合と同様に、表1の配合に従って水性塗料組成物(2)〜(3)を調製した。得られた水性塗料組成物(1)を室温にて静置し、ゲル化の状態(ポットライフ)を観察した。得られた水性塗料組成物(2)〜(3)は、いずれも10日以上静置していてもゲル化が生じなかった。
<水性塗料組成物(2)〜(3)の調整>
実施例1の場合と同様に、表1の配合に従って水性塗料組成物(2)〜(3)を調製した。得られた水性塗料組成物(1)を室温にて静置し、ゲル化の状態(ポットライフ)を観察した。得られた水性塗料組成物(2)〜(3)は、いずれも10日以上静置していてもゲル化が生じなかった。
(参考例1〜3)
実施例1の場合と同様に、表1の配合に従って水性塗料組成物(S1)〜(S3)を調製した。得られた水性塗料組成物(S1)〜(S3)を室温にて静置し、ゲル化の状態(ポットライフ)を観察した。酸として、塩酸を使用した参考例1の水性塗料組成物(S1)は4日、酢酸を使用した参考例2の水性塗料組成物(S2)は5日、コハク酸を使用した水性塗料組成物(S3)は1日で、それぞれゲル化が生じていることが確認された。
実施例1の場合と同様に、表1の配合に従って水性塗料組成物(S1)〜(S3)を調製した。得られた水性塗料組成物(S1)〜(S3)を室温にて静置し、ゲル化の状態(ポットライフ)を観察した。酸として、塩酸を使用した参考例1の水性塗料組成物(S1)は4日、酢酸を使用した参考例2の水性塗料組成物(S2)は5日、コハク酸を使用した水性塗料組成物(S3)は1日で、それぞれゲル化が生じていることが確認された。
(比較例1〜2)
実施例1の場合と同様に、表1の配合に従ってそれぞれ塗料組成物(R1)〜(R2)を調製した。
実施例1の場合と同様に、表1の配合に従ってそれぞれ塗料組成物(R1)〜(R2)を調製した。
(比較例3)
ガラス製ナスフラスコ中で、分岐状のポリエチレンイミン1.2g、GPTMS0.5g、メタノール10gを十分に混合させた後、60℃で3時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、メタノール1gと水0.15gの混合物を加え、さらに一時間攪拌した。そこにメタノール5gとTMOS3gの混合液を滴下し、一時間攪拌した後、24時間熟成させて塗料組成物(R3)を得た。
ガラス製ナスフラスコ中で、分岐状のポリエチレンイミン1.2g、GPTMS0.5g、メタノール10gを十分に混合させた後、60℃で3時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、メタノール1gと水0.15gの混合物を加え、さらに一時間攪拌した。そこにメタノール5gとTMOS3gの混合液を滴下し、一時間攪拌した後、24時間熟成させて塗料組成物(R3)を得た。
(比較例4)
実施例1の場合と同様に、表1の配合に従って組成物(R4)を調製した。得られた組成物はゲル化してしまい、塗料として使用できなかった。
実施例1の場合と同様に、表1の配合に従って組成物(R4)を調製した。得られた組成物はゲル化してしまい、塗料として使用できなかった。
(応用例1)
<塗膜の作成>
実施例1で得た水性塗料組成物(1)を、スライドガラス及びコロナ処理済みの厚さ100μmのPETフィルム基材上に成膜した後、80℃で30分乾燥させた。得られた塗膜はいずれも透明な塗膜が得られ、スライドガラス基材上の膜厚は約2μm、PETフィルム上の膜厚は約5μmであった。
<塗膜の作成>
実施例1で得た水性塗料組成物(1)を、スライドガラス及びコロナ処理済みの厚さ100μmのPETフィルム基材上に成膜した後、80℃で30分乾燥させた。得られた塗膜はいずれも透明な塗膜が得られ、スライドガラス基材上の膜厚は約2μm、PETフィルム上の膜厚は約5μmであった。
塗膜作成前の塗料の状態、得られた塗膜の下記特性を評価した。
<塗料状態>
塗料調製後の塗液の状態を目視により観察した。ゲル化しなかったものを○、ゲル化したものを×とした。
<塗膜状態>
塗膜形成後の塗膜のクラックの有無を目視観察した。クラックの発生が見られなかったものを○、クラックの発生したものを×とした。
<鉛筆硬度>
形成されたスライドガラス基材上の塗膜に対して、JIS K5400に従って行った。
<耐磨耗性>
500g荷重の#0000のスチールウールでPETフィルム基材の塗膜上を100往復させ、試験前後の塗膜のヘイズ値の差を測定した。
<耐溶剤性>
トルエンを浸漬した脱脂綿に500g荷重、100往復、塗膜のラビング試験を行った。試験前後の目視観察により塗膜に変化がないものを○、変化があるものを×とした。
<耐汚染性>
塗膜を黒マジックで着色し、24時間後にヘキサンを浸漬させたウェスで拭き取って、試験前後の塗膜変化を目視で判別した。塗膜に変化がないものを○、変化があるものを×とした。
<塗料状態>
塗料調製後の塗液の状態を目視により観察した。ゲル化しなかったものを○、ゲル化したものを×とした。
<塗膜状態>
塗膜形成後の塗膜のクラックの有無を目視観察した。クラックの発生が見られなかったものを○、クラックの発生したものを×とした。
<鉛筆硬度>
形成されたスライドガラス基材上の塗膜に対して、JIS K5400に従って行った。
<耐磨耗性>
500g荷重の#0000のスチールウールでPETフィルム基材の塗膜上を100往復させ、試験前後の塗膜のヘイズ値の差を測定した。
<耐溶剤性>
トルエンを浸漬した脱脂綿に500g荷重、100往復、塗膜のラビング試験を行った。試験前後の目視観察により塗膜に変化がないものを○、変化があるものを×とした。
<耐汚染性>
塗膜を黒マジックで着色し、24時間後にヘキサンを浸漬させたウェスで拭き取って、試験前後の塗膜変化を目視で判別した。塗膜に変化がないものを○、変化があるものを×とした。
上記評価の結果を表3に示した。得られた塗膜は、優れた硬度と耐摩耗性を有するものであることが確認された。
(応用例2〜3)
応用例1の場合と同様に、スライドガラス、PETフィルム上に実施例2〜4で得た水性塗料組成物(2)〜(3)を塗装し、塗膜を得た。得られた塗膜について実施例1と同様の評価を行った結果を表3に示した。得られた塗膜は、優れた硬度と耐摩耗性を有するものであることが確認された。
応用例1の場合と同様に、スライドガラス、PETフィルム上に実施例2〜4で得た水性塗料組成物(2)〜(3)を塗装し、塗膜を得た。得られた塗膜について実施例1と同様の評価を行った結果を表3に示した。得られた塗膜は、優れた硬度と耐摩耗性を有するものであることが確認された。
(応用比較例1〜3)
応用例1の場合と同様に、スライドガラス、PETフィルム上に比較例1〜3で得た塗料組成物を塗装し、塗膜を得た。得られた塗膜について実施例1と同様の評価を行った結果を表3に示した。
応用例1の場合と同様に、スライドガラス、PETフィルム上に比較例1〜3で得た塗料組成物を塗装し、塗膜を得た。得られた塗膜について実施例1と同様の評価を行った結果を表3に示した。
アミノ基を有する親水性ポリマーを含有しない応用比較例1の塗膜、及びカチオン化されていない親水性ポリマーを含有する応用比較例3の塗膜は、いずれも塗膜の硬度、耐摩耗性に劣るものであった。また、ポリアルコールを含有しない応用比較例1の塗膜は、全面にクラックが生じ、良好な塗膜が形成できなかった。
Claims (8)
- アミノ基を有する親水性ポリマー(A)、水酸基を有する親水性ポリマー(B)、三価以上のシラン化合物(C)、マレイン酸(D)及び水(E)を混合してなる水性塗料組成物。
- pH値が2〜5の範囲にある請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記アミノ基を有する親水性ポリマー(A)が、生体系ポリアミン又は合成ポリアミンである請求項1又は2に記載の水性塗料組成物。
- 前記水酸基を有する親水性ポリマー(B)が、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコール、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシフェニルアクリレート)、エポキシ樹脂変性ポリアルコール、合成タンパク質、多糖類から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の水性塗料組成物。
- 前記三価以上のシラン化合物(C)が、アルコキシシラン類又は反応性基としてハロゲンを有するシラン類から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の水性塗料組成物。
- 前記三価以上のシラン化合物(C)が、テトラアルコキシシラン類、トリアルコキシシラン類から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の水性塗料組成物。
- 前記アミノ基を有する親水性ポリマー(A)と前記水酸基を有する親水性ポリマー(B)との質量比(A)/(B)が、2/98〜70/30の範囲にある請求項1〜6のいずれかに記載の水性塗料組成物。
- 前記アミノ基を有する親水性ポリマー(A)と水酸基を有する親水性ポリマー(B)の質量の和((A)+(B))と、三価以上のシラン化合物(C)との質量比((A)+(B))/(C)が、60/40〜5/95の範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の水性塗料組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005356099A JP2007161754A (ja) | 2005-12-09 | 2005-12-09 | 水性塗料組成物 |
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JP2007161754A true JP2007161754A (ja) | 2007-06-28 |
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ID=38245036
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JP2005356099A Pending JP2007161754A (ja) | 2005-12-09 | 2005-12-09 | 水性塗料組成物 |
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JP (1) | JP2007161754A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012170859A (ja) * | 2011-02-18 | 2012-09-10 | Asahi Kasei E-Materials Corp | 機能性塗膜の製造方法 |
WO2016006212A1 (ja) * | 2014-07-11 | 2016-01-14 | 日本曹達株式会社 | 積層体 |
CN106675242A (zh) * | 2015-11-11 | 2017-05-17 | 江苏冠军涂料科技集团有限公司 | 一种环保水性pva改性内墙功能涂料 |
-
2005
- 2005-12-09 JP JP2005356099A patent/JP2007161754A/ja active Pending
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