JP6862317B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明に係る炭素繊維の製造方法の第一実施形態について説明する。
電界紡糸工程S1では、無灰炭が溶存する溶液の電界紡糸により、基板表面に紡糸繊維を形成する。電界紡糸工程S1は、図2に示すように第1混合工程S11と、溶出工程S12と、固液分離工程S13と、蒸発分離工程S14と、第2混合工程S15と、繊維形成工程S16とを備える。
第1混合工程S11では、石炭及び溶媒を混合する。この第1混合工程S11は、例えば石炭供給部、溶媒供給部、及び混合部により行える。
石炭供給部は、石炭を混合部へ供給する。石炭供給部としては、常圧状態で使用される常圧ホッパー、常圧状態及び加圧状態で使用される加圧ホッパー等の公知の石炭ホッパーを用いることができる。
溶媒供給部は、溶媒を混合部へ供給する。上記溶媒供給部は、溶媒を貯留する溶媒タンクを有し、この溶媒タンクから溶媒を混合部へ供給する。上記溶媒供給部から供給する溶媒は、石炭供給部から供給する石炭と混合部で混合される。
混合部は、石炭供給部から供給する石炭及び溶媒供給部から供給する溶媒を混合する。
溶出工程S12では、上記第1混合工程S11で得られたスラリー中の石炭から溶媒に可溶な石炭成分を溶出させる。溶出工程S12は、例えば昇温部及び溶出部により行うことができる。
昇温部は、上記第1混合工程S11で得られたスラリーを昇温する。
溶出部は、上記混合部で得られ、上記昇温部で昇温されたスラリー中の石炭から溶媒に可溶な石炭成分を溶出させる。
固液分離工程S13では、上記溶出工程S12で溶出後の上記スラリーを、無灰炭が溶存する溶液及び抽出残成分に分離する。この固液分離工程S13は、分離部により行うことができる。なお、抽出残成分は、抽出用溶媒に不溶な灰分と不溶石炭とを主として含み、これらに加え抽出用溶媒をさらに含む抽出残分をいう。
分離部における上記無灰炭が溶存する溶液及び抽出残成分を分離する方法としては、例えば重力沈降法、濾過法、遠心分離法を用いることができ、それぞれ沈降槽、濾過器、遠心分離器が使用される。
蒸発分離工程S14では、上記固液分離工程S13で分離した無灰炭が溶存する溶液から溶媒を蒸発させる。この溶媒の蒸発分離により無灰炭(HPC)が得られる。このようにして得られる無灰炭は、灰分が5質量%以下又は3質量%以下であり、灰分をほとんど含まず、水分は皆無である。
第2混合工程S15では、上記蒸発分離工程S14で得た無灰炭を溶媒に溶解する。この溶解により無灰炭が溶存する溶液が得られる。
繊維形成工程S16では、上記第2混合工程S15で得た溶液を用いて電界紡糸を行うことで、基板表面に紡糸繊維を形成する。
加熱工程S2では、上記電界紡糸工程S1で得られた紡糸繊維を加熱する。この加熱工程S2は、加熱部により行うことができる。
加熱部は、加熱により上記紡糸繊維を炭素化する。この炭素化により炭素繊維が得られる。
当該炭素繊維の製造方法では、無灰炭が溶存する溶液の導電率と粘性率を一定の範囲に制御し溶液物性値を調整することに基づいて電界紡糸性が高められる。一方、無灰炭が溶存する溶液の溶媒が窒素原子又は酸素原子を含む有機化合物を主成分とすることにより電界紡糸性が高められる。また、当該炭素繊維の製造方法では無灰炭を抽出する際に使用する溶媒と、電界紡糸の溶液に使用する溶媒との種類を変えることができる。従って、無灰炭の抽出と電界紡糸とをそれぞれ最適化できるので、炭素繊維の収率を高めることができる。従って、当該炭素繊維の製造方法を用いることで、比較的製造コストが低く、かつ製造効率が高い炭素繊維が製造できる。
以下、本発明に係る炭素繊維の製造方法の第二実施形態について説明する。
混合工程S21では、石炭及び溶媒を混合する。第二実施形態では無灰炭を固形分として単離しないので、石炭から無灰炭を抽出する溶媒と電界紡糸する溶液の溶媒とを同種類の溶媒とする必要がある。この溶媒の種類以外は第一実施形態の第1混合工程S11に関して説明した方法により同様に行える。
溶出工程S22では、上記混合工程S21で得られたスラリー中の石炭から溶媒に可溶な石炭成分を溶出させる。溶出工程は、第一実施形態の溶出工程S12に関して説明した方法により同様に行える。
固液分離工程S23では、上記溶出工程S22で溶出後の上記スラリーを、無灰炭が溶存する溶液及び抽出残成分に分離する。この固液分離工程は、第一実施形態の固液分離工程S13に関して説明した方法により同様に行える。
繊維形成工程S24では、上記固液分離工程S23で得た溶液を用いて電界紡糸を行うことで、基板表面に紡糸繊維を形成する。この電界紡糸は、第一実施形態の電界紡糸に関して説明した方法により同様に行える。
加熱工程S2では、上記繊維形成工程S24で得られた紡糸繊維を加熱処理する。この加熱工程S2は、第一実施形態の加熱工程S2に関して説明した方法によって同様に行える。
上記第二実施形態では無灰炭を固形分として単離しないので、固液分離工程で得られる液体分を電界紡糸の溶液として用いることができる。それゆえ、石炭から無灰炭を抽出する溶媒と電界紡糸する溶液の溶媒とを同種類の溶媒とする必要がある。これにより、蒸発分離工程及び第2混合工程を省略できるので、炭素繊維の製造方法として、さらに製造効率を高め、かつ製造コストを低減できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
瀝青炭の溶媒抽出により製造された無灰炭を炭素原料として準備した。この無灰炭の元素分析値を表1に「HPC−A」として示す。
瀝青炭の溶媒抽出により実施例1とは組成の異なる無灰炭を炭素原料として準備した。この無灰炭の元素分析値を表1に「HPC−B」として示す。溶液における無灰炭質量比を0、30〜0.45とした以外は、実施例1と同様にして実施例3及び4、比較例3〜5の炭素繊維を製造した。
瀝青炭の溶媒抽出により実施例1、3とは組成の異なる無灰炭を炭素原料として準備した。この無灰炭の元素分析値を表1に「HPC−C」として示す。溶液における無灰炭質量比を0.40〜0.60とした以外は、実施例1と同様にして比較例6〜8の炭素繊維を製造した。
上記実施例1〜4及び比較例1〜8について、以下の測定を行った。
JIS−K0130(2008)により測定した。基準温度は25℃である。
<粘性率>
JIS−Z8803(2011)により測定した。基準温度は25℃である。
電界紡糸における紡糸性について以下の基準で評価した。
A:繊維径が均一に制御され、糸切れの少ない電界紡糸が可能であり、紡糸性に優れる B:噴出される溶液流が液滴状となり、繊維径の不均一又はノズルの閉塞が発生し、紡糸性に劣る
炭素繊維の平均径(平均繊維径)を走査電子顕微鏡により測定した。測定は、走査電子顕微鏡の視野内の任意の10本の繊維径を計測し、その平均を求めた。測定結果を表3に示す。
S2、 加熱工程
S11 第1混合工程
S21 混合工程
S12、S22 溶出工程
S13、S23 固液分離工程
S14 蒸発分離工程
S15 第2混合工程
S16、S24 繊維形成工程
1 シリンジ
1a ノズル
2 基板
3 溶液流
4 紡糸繊維
E 電圧
Claims (2)
- 無灰炭が溶存する溶液を電界紡糸する工程と、
上記電界紡糸工程で得られた紡糸繊維を加熱する工程と
を備え、
上記電界紡糸工程として、
スラリー化した石炭及び溶媒を混合して混合スラリーを得る工程と、
上記混合工程で得られた混合スラリー攪拌して、この混合スラリー中の上記石炭から上記溶媒に可溶な成分として無灰炭を溶出させる工程と、
上記溶出工程後の上記混合スラリーから上記無灰炭が溶存する溶液を分離する工程と、
上記分離工程で分離した溶液を、ノズル先端部の内径が0.2mm以上0.5mm以下のシリンジに注入する工程と、
上記ノズル先端部から10cm以上20cm以下の距離に配置された基盤との間に10kV以上30kV以下の電圧を印加する工程と、
上記ノズルからの上記溶液の吐出量が1ml/h以上3ml/h以下で電界紡糸する工程と
を有し、
上記溶液の導電率を上記溶液に対する無灰炭質量比で除した値が0.1mS/m以上0.2mS/m以下であり、
上記溶液の粘性率が500mPa・s以上2000mPa・s以下であり、
上記溶液に用いる溶媒が、窒素原子又は酸素原子を含み、かつ大気圧における沸点が50℃以上250℃未満である有機化合物を主成分とし、
上記混合工程での上記混合スラリー中の無水炭基準の石炭濃度が10wt%以上25wt%以下である炭素繊維の製造方法。 - 上記有機化合物がピリジンである請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
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