JPH04114087A - 炭素材料用高粘度ピッチの製造方法 - Google Patents

炭素材料用高粘度ピッチの製造方法

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JPH04114087A
JPH04114087A JP23051890A JP23051890A JPH04114087A JP H04114087 A JPH04114087 A JP H04114087A JP 23051890 A JP23051890 A JP 23051890A JP 23051890 A JP23051890 A JP 23051890A JP H04114087 A JPH04114087 A JP H04114087A
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大杉 幸広
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史洋 三好
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、炭素繊維、活性炭素繊維、その他種々の炭素
材料の原料となる高粘度、高残炭率で、かつ均質なピッ
チを製造する方法に関する。
(従来の技術) 炭素繊維等の種々の炭素材料は、耐熱性、耐薬品性、導
電性、摺動性、強度等の優れた機能性グ備えており、種
々の工業材料として、極めて有用である。
これらの炭素材料を製造するには、炭素原料源としてコ
スト、質、量の各面から、タールピッチ類原料が多く用
いられ重要な位置を占めている。
しかしながら該タールピッチ類は、その発生源により含
有される組成が異なるため、所望する用途に合致させて
その組成を調製する必要がある。例えば炭素繊維を製造
するには、紡糸を円滑に行うために、含有される原料由
来のフリーカーボン、灰分等の固形分を予め除去してお
く必要かある。
また、かかるピッチを紡糸した後の不融化、炭化工程を
考慮すると、繊維間の融着を防くためにピッチに熱処理
を施してピッチ組成を重質化させ、粘度を高める処理を
行う必要があった。
(発明が解決しようとする課B) かかる熱改質法に関してこれまでに数多くの提案がなさ
れているが、従来行われていた方法はいずれも紡糸性、
不融化性に優れた高軟化点ピッチを安価にかつ効率よく
製造できるものではなかった。即ち、ピッチ類は非常に
広範囲の分子量分布を有しているため、単なる熱処理の
みにより軟化点を高めると高分子量成分の重縮合反応に
より異物となるメソフェーズの生成を伴い、逆にメソフ
ェーズの生成を抑制して熱処理を行なうと、不融化性を
満足できる粘度のピッチを得ることができなかった。こ
のため例えば、特開昭55−98914号公報では特殊
な軟化点上昇剤を用いることが開示され、また、特開昭
55−98914号公報では特定成分を分離する必要性
が示されている。一方、原料に十分な熱処理を施した後
、原料由来の固形分および熱処理時に生成したメソフェ
ーズ等の異物を除去する方法も提案されている(特開平
1−97215号公報)が、熱処理されたピッチはすで
に粘度が高いため、かかる異物の除去効率が悪く、かつ
特殊な除去技術を必要とする。
また、炭素/炭素(以下rC/CJと称す)材料に用い
られる含浸用ピッチは、残炭率が高く、かつ円滑に母材
に含浸できるものでなければならないため、この点で上
述した炭素繊維用のピッチと同様に高粘度でかつ均質で
あることが要求される。
そこで、本発明の目的は、上述したような種々の問題点
を有利に解決する方法を提供することにあり、すなわち
原料に特殊な添加剤を加えたり、特殊な処理技術を行う
必要性なく、効率よく高粘度で均質な光学的等方性ピッ
チを製造する方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは前述の種々の課題を全て解決すべく鋭意検
討した結果、発生源から回収されたコールタール類を濾
過、沈降分離等の公知の方法により該タール類に含有さ
れる固形分を分離除去した後、蒸留して、ピッチの重質
分量を調製し、次いでかかる精製ピッ゛チに熱処理を施
すことにより種々の炭素材料の原料として有用な高粘度
で、均質な光学的等方性ピッチを製造できることを見出
し、本発明を達成するに至った。
すなわち本発明は、精製したコールタールを蒸留してピ
ッチ化する際、用いられる原料タールにより、蒸留条件
を調整して、重質分含有量を一定の濃度に制御すること
により、熱処理の際↓こ添加剤や特殊な分離方法を必要
とせず、メソフェーズ等の異物の生成を伴なわない温度
領域で十分なピッチ組成の改質を行うことができるもの
である。
具体的には、本発明は、コールタールピッチ類を原料と
して炭素材原料用の高粘度等方性ピッチを製造するにあ
たり、粗原料タールを濾過、沈降分離等により精製し固
形分を除去した後、370℃以下の温度で蒸留し、ター
ル油成分を除去して精製ピッチを得、さらにこの精製ビ
νチを熱処理することを特徴とするものである。
本発明をその構成に基づき詳細に説明する。
一般にコールタール類はコークス製造時の石炭の乾留に
より副生ずるため、原料由来の灰分等の無機質、フリー
カーボンおよび、コークス粉等の不溶解性の固形物を数
%から20%程度含む。このためコールタール類をその
まま蒸留等によりピッチに調製し、これを炭素材の原料
として用いると、残留する固形物の影響により炭素材の
製造工程での効率低下および炭素材自体の欠陥の原因と
なってしまい好ましくなく、従ってこれらの固形物は炭
素材料として用いる前に予め除去しておくべきである。
かかる炭素材用に調製されたピッチは粘度が高く固形物
の分離は通常非常に困難性を伴うが、本発明は原料ター
ルの段階、すなわちタールが常温で液体状を示すような
低粘度である状態で固形物の分離を行うため、高温、高
圧を必要とせず、濾過・沈降分離等の通常の公知の方法
により効率よく分離をおこなうことができる。
次に、固形物を分離し精製した当該タールを蒸留してタ
ール油成分を除去して熱改質原料となるピッチを調製す
る。ここで、タール油成分とは後記の370℃以下の蒸
留条件で蒸発する成分である。
本工程では、得られる蒸留ピッチ(精製ピッチ)の重質
分の含有量が一定範囲になるように蒸留条件を制御する
ことにより、後工程の熱処理時に二次的に生成するメソ
フェーズが抑制できる。ここで重質分の一定範囲は、ピ
ッチのヘンゼン不溶分(Bl)の含有量で規定すること
ができ、3重量%〜12重量%の範囲である。ヘンゼン
不溶分の含有量が12重量%より多いと、メソフェーズ
の前駆体となる高分子成分量が多くなるため最終工程の
熱処理時にメソフェーズが生成し易くなるので好ましく
なく、一方ヘンゼン不溶分の含有量が3重量%より少な
いと、最終工程の熱処理時に重質化を進めるため高温若
しくは長時間が必要となり、この結果メソフェーズが生
成し易くなるため好ましくない。更に、この時の蒸留温
度は370℃以下であることが要される。370℃以上
の温度の場合は、高分子量成分の重縮合反応により重質
分の組成がより高分子化してしまうからである。ここで
、メソフェーズは、ピッチ類を熱処理すると初期過程で
微小な球体として生成し、熱処理が進むにつれて成長・
合体を経てピッチ全体に広がり、バルクメソフェーズを
経て最終的にコークスとなるものである。このメソフェ
ーズが生成したピッチは、光学的等方性部分と光学的異
方性であるメソフェーズ部分との粘度が異なるため全体
として不均一なものである。従って繊維等を製造する際
の紡糸工程での糸切れ、紡糸装置のノズル閉塞が起きや
すく、更にC/C材料を製造する際炭素母材への十分な
含浸を行うことができなくなる。また、メソフェーズが
生成するまで熱処理を施したピッチは重質化により粘度
が増加し、またメソフェーズ自体が完全な固体ではなく
圧縮性を示すため、メソフェーズを濾過により分離しよ
うとしても濾材の目詰まりが発生しやすく工業的な分離
除去は困難である。一方、このメソフェーズの生成を抑
制するように軽度の熱処理でピッチを調製すると、揮発
性の重質分がピッチ中に残留しかつピッチの粘度も低い
ため紡糸時の発泡、不融化時の融若若しくは含浸後の焼
成時の発泡、含浸回数の増加を招くことになり好ましく
ない。
次いで、ピッチの重縮合反応により精製ピッチの重質化
を進め、粘度を高め(100ポイズを示す温度が270
〜330℃1好ましくは290〜310℃の温度範囲内
)かつ紡糸温度で揮発性を示す低分子量成分を除去する
ために熱改質処理を行なう。該処理は常圧下で、不活性
ガス流通下、あるいは減圧下で、不活性ガス流通下、3
00℃〜420℃で実施する。
この時、処理温度が420℃を越えるとメソフェーズが
生成し易くなり、逆に300 ”C未満では低分子量成
分を十分除去することが出来ないため好ましくない。さ
らに、処理条件として、処理時間、真空度、不活性ガス
流量等を設定することができるが、これらは原料ピッチ
組成および処理温度との兼ね合いで決定する。すなわち
、本発明の方法により得られる炭素材料用ピッチの特性
である粘度を基準として適宜選択すればよい。
かかる、熱改質処理により得られたピッチは、粘度が1
00ポイズを示す温度が270〜330 ”C1好まし
くは290〜310″Cの温度範囲内にあるものが炭素
材料用として適している。これは、前述したように、1
00ポイズより小さい粘度では加工時に揮発成分の発泡
、製品の欠陥、および炭化収率の低下が起こりやすく、
逆にこれより大きい粘度では炭化収率は良いが加工時の
流動性が悪く、熱変質も起こり易くなるため好ましくな
いからである。
以上説明したように、本発明の方法によりコールタール
を出発原料として、高粘度でかつ不純物(灰分、キノリ
ン不溶分(旧)、メソフェーズ)の少ない均質なピッチ
を製造することができる。
(実施例) 以下に本発明について具体的に実施例を用いて詳細に説
明する。
1〜4.   1〜4 コールタール(ヘンゼン不溶分: (Bl) =2.5
重量%、キノリン不溶分: (Ql)=0.5重量%)
を濾過して固形物を除去した後、360℃1340℃1
320℃1380’Cの温度で蒸留して各々精製ピッチ
A、  BCおよびDを得た。また、同じコールタール
を、濾過せず、そのまま蒸留したものをEとして得た。
この結果を第1表に示す。
ピッチA、BおよびCは、本発明の条件によりキノリン
不溶分および灰分を実質上台まないピッチとすることが
できた。一方りは、380℃と高温で蒸留したため、ヘ
ンゼン不溶分含有量が13.5重量%を示した。またE
は事前の濾過処理をしなかったため、キノリン不溶分−
2,35重量%、灰分−0,22重量%であった。
次いで得られたA−Eの各ピッチを熱処理して炭素材料
用の原料ピッチを調製し、これにより得られた結果も第
1表に示す。
ピッチA、BおよびCを原料として390℃で減圧上熱
処理した結果、実施例1,3.4に示したように不純物
のない高粘度のピッチを調製することができた。これら
のいずれのピッチも、400倍の偏光顕微鏡観察による
メソフェーズの生成は確認されなかった。
一方ピッチDは、同じ条件で熱処理するとキノリン不溶
分が発生し、400倍偏光顕微鏡観察による微小メソフ
ェーズ(直径が数μm)の生成が確認された。
また、比較例1では熱処理温度が高いためキノリン不溶
分、メソフェーズがともに確認され、比較例2では、熱
処理温度が低いため低粘度のピッチしか得られなかった
さらに実施例2では、ピッチAを用いて常圧下、窒素ガ
ス20d/分−g(装入ピッチ)の条件で、実施例1と
同様のピッチを調製できた。
本発明の方法に従って調製された実施例1および2のピ
ッチからは、炭素繊維製造に関し優れた紡糸性、不融化
性が得られ、さらに炭素繊維とした時にも強度・弾性率
等の優れた製品特性を有していた。
(発明の効果) 以上説明してきたように、本発明の方法を用いてコール
タールを出発原料としてこれを精製、蒸留、熱処理する
ことにより、優れたハンドリング性および炭素材製品特
性を発現させることのできるピッチを製造することが可
能となるという効果が得られる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1、コールタールピッチ類を原料として、炭素材原料用
    の高粘度等方性ピッチを製造する方法において、粗原料
    タールを濾過、沈降分離等により精製し固形分を除去し
    た後、370℃以下の温度で蒸留し、タール油成分を除
    去して精製ピッチを得、さらにこの精製ピッチを熱処理
    することを特徴とする炭素材料用高粘度ピッチの製造方
    法。 2、前記精製ピッチのベンゼン不溶分量が、12重量%
    〜3重量%になるように蒸留処理を行うことを特徴とす
    る請求項1記載の炭素材原料用の高粘度等方性ピッチの
    製造方法。 3、前記精製ピッチのベンゼン不溶分量が、12重量%
    〜3重量%、キノリン不溶分を実質上含まずかつ灰分が
    0.01重量%未満になるように精製、蒸留処理を行う
    ことを特徴とする請求項1項記載の方法。 4、前記熱処理を、常圧下で、不活性ガスの流通下で行
    うことを特徴とする請求項1記載の方法。 5、前記熱処理を、減圧下で、不活性ガスの流通下で行
    うことを特徴とする請求項1記載の方法。 6、前記熱処理により得られた高粘度等方性ピッチの1
    00ポイズを示す温度が、270〜330℃の温度範囲
    内にあり、かつ全面が光学的等方性となるように熱処理
    を行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
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