JP6861305B2 - 殺細胞活性を有する細胞抽出成分又は組成物の調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、殺細胞活性を有する組成物の製造方法、及び殺細胞活性を有する細胞抽出成分の調製方法等に関する。
細胞を培養する場合、多くの樹立株細胞は細胞が増殖して培養器面を覆いつくした時期にトリプシン等で分散し、これを新鮮な培地に希釈し、他の培養器へ移し変えて培養すれば無限増殖が可能である。これを継代と言うが、継代をせずにそのまま培養を継続すると細胞は死滅してしまう。
特許文献1には、悪性腫瘍細胞を培養した後の培地から悪性腫瘍細胞を除去してなる悪性腫瘍細胞増殖抑制剤が開示されている。しかしながら、培地から悪性腫瘍細胞を除去して得たものは、極めて雑多な物質を含有する組成物であり、このような組成物から抗悪性腫瘍活性を有する物質を単離することは多大な困難を伴い、事実上不可能であると考えられた。
特開昭59−33223号公報
今日までがん治療を目的として種々の治療剤の研究・開発がされてきたが、従来の抗がん剤は副作用が強く、十分な効果が得られないことも少なくないため、依然として更なる薬剤の開発が求められている。
本発明の一態様によれば、新たな抗がん剤として利用し得る組成物、又は新たな抗がん剤として有用な物質の取得に利用し得る組成物の培養細胞からの製造方法を提供し得る。
また、本発明の一態様によれば、殺細胞活性を有する細胞抽出成分の取得を可能とする方法を提供し得る。
本発明者らは、鋭意検討した結果、継代をせずに細胞の培養を継続すると細胞が死滅してしまう現象は、細胞が培養器面を覆いつくし、更に増殖し過密(overpopulation)となり増殖の抑制が出現する時期に、培地交換により充分な栄養やエネルギー源を補給したとしても現れることを新たに見出した。
また、本発明者らは、悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養した後、前記培養培地を生理的緩衝塩類溶液(栄養及び/又はエネルギー源を含まない)と交換した場合にも、細胞は自身を死に至らしめる物質を産生していることを新たに見出した。これは、細胞が、細胞内にある物質のみを材料として、殺細胞活性を有する物質を産生し、自らを死に至らしめることを示す知見である。このような知見はこれまで一切報告も示唆もされておらず、悪性腫瘍由来細胞から抽出される殺細胞活性を有する成分の取得に、生理的緩衝塩類溶液が利用できることは、全く予想外のことである。
本発明の一実施態様は、以下のものに関する。
〔1〕殺細胞活性を有する組成物の製造方法であって、
悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養すること、
前記培養後、前記培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換すること、及び
前記生理的緩衝塩類溶液中で、前記悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、前記生理的緩衝塩類溶液を回収すること
を含む、前記方法。
〔2〕前記生理的緩衝塩類溶液が、グルコースを含有しない、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記生理的緩衝塩類溶液が、ハンクス平衡塩類溶液、アール平衡塩類溶液及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択される、前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記回収した生理的緩衝塩類溶液のうちの分子量1kDa以下の画分を含む乾燥物を得ること、及び
前記乾燥物を媒体中に溶解し、得られた溶液から塩類、核酸及びタンパク質を除去すること、
を更に含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔5〕前記殺細胞活性を有する組成物が、前記悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分を含む、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔6〕悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分を調製する方法であって、
悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養すること、
前記培養後、前記培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換すること、
前記生理的緩衝塩類溶液中で、前記悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、前記生理的緩衝塩類溶液を回収すること、
前記回収した生理的緩衝塩類溶液のうちの分子量1kDa以下の画分を含む乾燥物を得ること、
前記乾燥物を炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を用いて抽出し、得られた溶液を乾燥すること、
前記溶液の乾燥物を水中に溶解し、得られた水溶液中に非極性有機溶媒を添加して水層と有機層を形成させ、前記水層を抽出すること、及び
前記水層から、前記悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分をクロマトグラフィーにより分離すること、
を含み、前記細胞抽出成分が殺細胞活性を有する、前記方法。
〔7〕前記クロマトグラフィーが、ゲルろ過クロマトグラフィー及び/又は陽イオン交換クロマトグラフィーを含む、前記〔6〕に記載の調製方法。
〔8〕前記悪性腫瘍由来細胞が、遺伝子操作されておらず、かつ培養液以外の生理活性物質を加えることなく培養されたものである、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の製造方法又は調製方法。
〔9〕前記〔1〕〜〔5〕及び〔8〕のいずれか1項に記載の製造方法により得られる、殺細胞活性を有する組成物。
〔10〕前記〔6〕又は〔7〕に記載の調製方法により得られる、悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分。
〔11〕前記〔1〕〜〔5〕及び〔8〕のいずれか1項に記載の製造方法により得られる殺細胞活性を有する組成物を含有する、がん治療用医薬組成物。
〔12〕前記〔6〕又は〔7〕に記載の調製方法により得られる悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分を有効成分として含有する、がん治療用医薬組成物。
〔13〕前記〔1〕〜〔5〕及び〔8〕のいずれか1項に記載の製造方法により得られる殺細胞活性を有する組成物の、がんを治療するための医薬の製造のための使用。
〔14〕前記〔6〕又は〔7〕に記載の調製方法により得られる悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分の、がんを治療するための医薬の製造のための使用。
本発明の一態様によれば、新たな抗がん剤として利用し得る組成物、又は新たな抗がん剤として有用な物質の取得に利用し得る組成物を、安価で、簡便に、及び/又は短期に製造することができる。
本発明の一態様によれば、殺細胞活性を有する細胞抽出成分の取得を、安価で、簡便に、及び/又は短期に可能とすることができる。殺細胞活性を有する細胞抽出成分は、種々のがんに対して有効であり得る。
血清含有培地(10%FBS含有Eagle's MEM)を用いてHRC23から作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたHRC23の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 無血清培地(Eagle's MEM)を用いてHRC23から作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたHRC23の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 生理的緩衝塩類溶液(グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液:HBSS-)を用いてHRC23から作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたHRC23の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 ゲルろ過クロマトグラフィーによるクロマトグラムである。A〜Hの8つの画分のうち、殺細胞活性が検出されたAの画分(105分〜141分)を斜線で示す。 ゲルろ過クロマトグラフィーで得られたAの画分についての段階希釈系列において、MTTアッセイにより観察されたマイクロプレート上での発色の様子を、測定された細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフとともに示したものである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 イオン交換クロマトグラフィーによるクロマトグラムである。殺細胞活性が検出された画分(Na2SO4濃度が165〜170mMの画分)を斜線で示す。 ゲルろ過クロマトグラフィーによるクロマトグラムである。前方のピークにおいて殺細胞活性が検出され、このピークには3つの画分(Fr57、Fr58及びFr59)が含まれる。 画分57についての質量スペクトルである。 画分58についての質量スペクトルである。 画分59についての質量スペクトルである。 マトリックスのみについての質量スペクトルである。 画分58のスペクトルにおけるm/z値114.09のシグナル付近を拡大して示した図である。 生理的緩衝塩類溶液(グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液:HBSS-)を用いてHRC23から作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定された各種細胞の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、HRC23に対して生存率0%を示す試験試料の最小濃度を任意単位(arbitrary unit)1として常用対数目盛で表している。 生理的緩衝塩類溶液(グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液:HBSS-)を用いてLLCから作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたHRC23の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 生理的緩衝塩類溶液(グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液:HBSS-)を用いてSKNから作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたHRC23の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 生理的緩衝塩類溶液(グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液:HBSS-、アール平衡塩類溶液:Earle、リン酸緩衝生理食塩水:PBS(+))を用いてHRC23から作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたHRC23の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 生理的緩衝塩類溶液(グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液:HBSS-)を用いて、培養後の細胞密度が異なるHRC23から作製した各試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたHRC23の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 血清含有培地(10%FBS含有RPMI1640)又は生理的緩衝塩類溶液(グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液:HBSS-)を用いてLK-2から作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたLK-2の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。 血清含有培地(10%FBS含有RPMI1640)又は生理的緩衝塩類溶液(グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液:HBSS-)を用いてLK-2から作製した試験試料の段階希釈系列において、MTTアッセイにより測定されたHRC23の細胞生存率の平均値と標準偏差を示す片対数グラフである。横軸は、試験試料の濃度(原液mL/mL)を常用対数目盛で表している。
以下、本発明について詳述する。
本発明の一実施態様は、殺細胞活性を有する組成物の製造方法であって、
悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養すること、
前記培養後、前記培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換すること、及び
前記生理的緩衝塩類溶液中で、前記悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、前記生理的緩衝塩類溶液を回収することを含む、前記方法に関する。
本明細書において、「悪性腫瘍由来細胞」とは、悪性腫瘍より得られた培養細胞(初代培養細胞)又は悪性腫瘍由来株化細胞を意味する。なお、株化培養細胞は継代していれば無限に培養でき、継代しなければ新鮮な培地中でも死滅する共通点がある。このことから、「細胞の自然死」(ネクローシス)に、細胞に由来する殺細胞活性を有する物質が関与して細胞が死滅すると考えられる。そのため、株化細胞は全てこのような殺細胞活性を有する物質の産生原料であると考えられる。
「悪性腫瘍」とは、一般的にがんとも言われ、癌腫、肉腫及び血液悪性腫瘍(造血器腫瘍)をも含む広い意味で用いられる。
例えば、「悪性腫瘍由来細胞」は、上皮性、非上皮性を問わず、肺癌、胃癌、食道癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、大腸癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、卵巣癌、乳癌、皮膚癌、喉頭癌、結腸直腸癌、黒色腫、甲状腺癌、線維肉腫、皮膚線維肉腫、子宮肉腫、脂肪肉腫、筋肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、骨肉腫、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫等のがんに由来するものであり得る。これらのがんは、ヒトに由来するものであってもよく、マウス等の哺乳動物(ヒトを除く)に由来するものであってもよい。
また、「悪性腫瘍由来細胞」は、上皮性、非上皮性を問わず、腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌、及び大細胞癌に限らず、肉腫を含むあらゆる組織型に由来するものであり得る。
本発明の一実施態様においては、「悪性腫瘍由来細胞」は、遺伝子操作されておらず、かつ培養液以外の生理活性物質を加えることなく培養されたものであり得る。
本発明の製造方法において、「悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養すること」とは、周知技術に基づいて適宜実施得る。
例えば、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養するとは、細胞をコンフルエント(confluent)な状態まで培養すること、又はフリーコンフルエント(fully confluent)な状態まで培養することであり得る。また、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養するとは、上記に限定されず、60〜100%、好ましくは70〜100%コンフルエントな状態まで培養すること、細胞が接着細胞の場合、培養容器の接着面が完全に覆われるまで培養すること若しくは培養容器の接着面が少なくとも80%程度覆われるまで培養すること、又は細胞が浮遊細胞の場合、培養培地の液面が完全に覆われるまで培養すること若しくは培養培地の液面が少なくとも80%程度覆われるまで培養することであってもよい。殺細胞活性を有する細胞抽出成分の生産効率の観点から、細胞を80〜100%コンフルエントな状態まで培養することがより好ましく、細胞を90〜100%コンフルエントな状態まで培養することが更に好ましく、細胞をコンフルエントな状態又はフリーコンフルエントな状態まで培養することがより一層好ましい。少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になったか否かは、当業者の通常の知識に基づいて適宜判断し得るものである。
本発明の製造方法において、培養培地は、用いる悪性腫瘍由来細胞に適したものを使用すればよい。例えば、培養培地としては、Eagle's MEM、ダルベッコ変法MEM、RPMI1640、HAM F-12や、FBSを必要としない完全合成培地等が挙げられる。また、これらの培養培地中には、必要に応じて、ビタミン、補酵素、アミノ酸、金属イオン、糖、細胞増殖因子、インターロイキン、サイトカイン、血清、血清由来成分、抗生物質等を添加してもよい。
本発明の製造方法において、用いる悪性腫瘍由来細胞はすでに継代済のものでもよく、継代は当業者の通常の知識に基づいて行うことができる。
本発明の製造方法において、「培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換すること」とは、例えば、培養フラスコ等の培養容器から培養培地を取り除いた後、生理的緩衝塩類溶液を培養容器に添加することである。
生理的緩衝塩類溶液は、特に限定されるものではないが、例えば、ハンクス(Hanks)平衡塩類溶液(HBSS)、アール(Earle)平衡塩類溶液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リンガー(Ringer)平衡塩類溶液、シムス(Simms)平衡塩類溶液、タイロード(Tyrode)平衡塩類溶液、ゲイ(Gey)平衡塩類溶液、パック(Puck)平衡塩類溶液、イーグル(Eagle)平衡塩類溶液等が挙げられる。好ましくは、生理的緩衝塩類溶液はグルコースを含有しない。生理的緩衝塩類溶液には抗生物質等の追加成分を添加してもよいし、添加しなくてもよい。
本発明の一実施態様において、生理的緩衝塩類溶液は、ハンクス平衡塩類溶液、アール平衡塩類溶液又はリン酸緩衝生理食塩水であり、好ましくは、グルコースを含有しない。より好ましくは、生理的緩衝塩類溶液は、グルコースを含有しないハンクス平衡塩類溶液(HBSS-)である。
本発明の製造方法において、「生理的緩衝塩類溶液中で、前記悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、前記生理的緩衝塩類溶液を回収すること」とは、例えば、顕微鏡観察やMTT法等により悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅を確認できる時期後、生理的緩衝塩類溶液を回収することである。悪性腫瘍由来細胞の形態学的な細胞の死滅の観察又は確認は、用いる悪性腫瘍由来細胞の種類に応じて、適宜、当業者の通常の知識に基づいて判断し得るものである。例えば、肉眼で、細胞(断片)が浮遊していたり、フラスコを軽くたたいてみた時に細胞が剥がれ落ちる様な状態が見られる場合には、悪性腫瘍由来細胞の形態学的な細胞の死滅の観察又は確認ができたと認められ得る。
「悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後」とは、用いる悪性腫瘍由来細胞の種類や細胞培養の条件により異なり得るものの、例えば、培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換した日から3〜7日後であり得る。なお、回収後は死滅した細胞断片が入っていても培養時レベルの無菌状態で4℃にて1ヶ月は安定である。
また、回収後の生理的緩衝塩類溶液は、遠心分離し、得られた上清を採取することが好ましい。遠心分離の条件としては、4℃〜室温(例えば25℃)において、1,000〜17,000×gで10〜20分間等でよいが、これに限定されるものではない。また、この上清を0.1μmメンブレンフィルター等の膜フィルターを用いてろ過し、ろ液を採取することが好ましい。
本発明の製造方法において、悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、生理的緩衝塩類溶液を回収するまでの間、悪性腫瘍由来細胞を生理的緩衝塩類溶液中で培養する際の条件は、適宜選択し得る。基本的には、HBSS-のような開放系に設計された生理的緩衝塩類溶液の場合は大気下で蒸発した水分を逃さない閉鎖系で孵卵器や恒温室などで36℃〜37℃にてインキュベートする。もしくは、悪性腫瘍由来細胞を、生理的緩衝塩類溶液中、通常の培養条件と同じ条件下でインキュベートしてもよい。通常の培養条件と同じ条件とは、例えば、温度は30〜38℃、好ましくは35〜37℃の範囲内、湿度は70〜100%、好ましくは90〜100%の範囲内、二酸化炭素濃度は2〜8%、好ましくは4〜6%の範囲内であり得るが、これらに限定されるものではない。また、炭酸ガスによるpHコントロールを要する生理的緩衝塩類溶液も、NaHCO3含量を減らしたりして同様に使用し得る。
本発明の製造方法は、回収した生理的緩衝塩類溶液のうちの分子量1kDa以下の画分を含む乾燥物を得ることを更に含み得る。分子量1kDa以下の画分は、市販の膜フィルター等を用いて、限外ろ過等の公知の手段により得ることができる。また、分子量1kDa以下の画分を含む乾燥物は、減圧乾燥等の公知の手段により得ることができる。
本発明の製造方法は、このようにして得た乾燥物を媒体中に溶解し、得られた溶液から塩類、核酸及びタンパク質を除去することを更に含み得る。乾燥物を媒体中に溶解し、得られた溶液から塩類、核酸及びタンパク質を除去することは、具体的には、以下のような工程により実施され得るが、以下に限定されるものではない。
(1)乾燥物を炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を用いて抽出し、得られた溶液を乾燥する工程、及び前記溶液の乾燥物を水中に溶解し、得られた水溶液中に有機溶媒を添加して、又は前記溶液の乾燥物を水添加有機溶媒に添加して、水層と有機層を形成させ前記水層を抽出する工程。
ここで、炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒とは、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールを含む溶媒である。炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒は、クロロホルム等の有機溶媒やアルコール等との混液であってもよい。
また、有機溶媒は、水層と有機層を形成させるのに十分なものであればよく、特に限定されないが、例えば、非極性有機溶媒、具体的にはクロロホルムやクロロホルム・酢酸エチル混液等を使用し得る。
「乾燥物を炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を用いて抽出する」とは、例えば、乾燥物に炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を添加し、1000〜2000×gで5〜10分間遠心分離して上清を得ることである。
(2)乾燥物を水添加有機溶媒に添加して水層と有機層を形成させ、前記水層を抽出する工程、及び前記水層からクロマトグラフィーにより塩類等を除去する工程。
ここで、有機溶媒は、水層と有機層を形成させるのに十分なものであればよく、特に限定されるものではない。クロマトグラフィーにより塩類等を除去するには、ゲルろ過クロマトグラフィーが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の製造方法により得られる殺細胞活性を有する組成物は、悪性腫瘍由来細胞に由来する殺細胞活性を有する細胞抽出成分を含む。殺細胞活性を有する細胞抽出成分は、以下の実施例にて実証されるとおり、種々のがんに対して有効であり、各種の抗癌剤に対して抵抗性を持つとされるマウス・ルイス肺癌に対してさえ有効である。
グルコースを含まない生理的緩衝塩類溶液は、細胞にとって栄養とエネルギー源を有しない媒体である。従って、本発明の製造方法により得られる殺細胞活性を有する組成物中に含まれる、悪性腫瘍由来細胞に由来する殺細胞活性を有する細胞抽出成分は、当該細胞内にある物質のみを材料として当該細胞により産生されていることが明らかにされた。
細胞の培養に用いられる血清含有培地や無血清培地は、細胞の培養に適するよう種々の成分を含むものである。従って、血清含有培地や無血清培地から悪性腫瘍由来細胞に由来する殺細胞活性を有する細胞抽出成分を単離・精製することは極めて困難である。一方、生理的緩衝塩類溶液から悪性腫瘍由来細胞に由来する殺細胞活性を有する細胞抽出成分を単離・精製することは、血清含有培地や無血清培地からの単離・精製に比較して容易である。よって、本発明の製造方法は、殺細胞活性を有する細胞抽出成分の取得を、安価で、簡便に、及び/又は短期に可能とすることができる。特に、グルコースを含まない生理的緩衝塩類溶液を用いれば、本発明の製造方法により得られる殺細胞活性を有する組成物はエネルギー源を含まない系となり、産生される乳酸量を少なくしてpHの低下を防ぐことができ、また、乳酸はエタノール等の有機溶媒に溶けるため、産生される乳酸量を減らすことで精製への影響を抑えることができる。
本発明の一実施態様は、悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分を調製する方法であって、
悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養すること、
前記培養後、前記培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換すること、
前記生理的緩衝塩類溶液中で、前記悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、前記生理的緩衝塩類溶液を回収すること、
前記回収した生理的緩衝塩類溶液のうちの分子量1kDa以下の画分を含む乾燥物を得ること、
前記乾燥物を炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を用いて抽出し、得られた溶液を乾燥すること、
前記溶液の乾燥物を水中に溶解し、得られた水溶液中に非極性有機溶媒を添加して水層と有機層を形成させ、前記水層を抽出すること、及び
前記水層から、前記悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分をクロマトグラフィーにより分離すること、
を含み、前記細胞抽出成分が殺細胞活性を有する、前記方法に関する。
本発明の調製方法において、「悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養すること」、「培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換すること」、「生理的緩衝塩類溶液中で、前記悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、前記生理的緩衝塩類溶液を回収すること」、及び「前記回収した生理的緩衝塩類溶液のうちの分子量1kDa以下の画分を含む乾燥物を得ること」は、上記した殺細胞活性を有する組成物の製造方法におけるものと同様である。
本発明の調製方法において、「乾燥物を炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を用いて抽出し、得られた溶液を乾燥すること」は、通常の抽出操作により行うことができる。
ここで、炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒とは、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールを含む溶媒である。炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒は、クロロホルム等の有機溶媒やアルコール等との混液であってもよい。
「乾燥物を炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を用いて抽出する」とは、例えば、乾燥物に炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を添加し、1000〜2000×gで5〜10分間遠心分離して上清を得ることである。
本発明の調製方法において、「溶液の乾燥物を水中に溶解し、得られた水溶液中に非極性有機溶媒を添加して水層と有機層を形成させ、前記水層を抽出すること」は、通常の抽出操作により行うことができる。
非極性有機溶媒は、水層と有機層を形成させるのに十分なものであればよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルムやクロロホルム・酢酸エチル混液等を使用し得る。
本発明の調製方法において、「水層から、前記悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分をクロマトグラフィーにより分離すること」は、公知のクロマトグラフィー技術により行うことができる。好ましくは、ゲルろ過クロマトグラフィー及び/又は陽イオン交換クロマトグラフィーにより悪性腫瘍由来細胞に由来する殺細胞活性を有する細胞抽出成分を分離する。
ここで、ゲルろ過クロマトグラフィー及び陽イオン交換クロマトグラフィーは、市販の装置、担体及びカラムを用いて適宜行うことができる。陽イオン交換クロマトグラフィーは、グラジエント法(濃度勾配法)により目的物を溶離してもよいし、アイソクラチック法(一定組成溶液溶離法)により目的物を溶離してもよい。
また、陽イオン交換クロマトグラフィーでは、強陽イオン交換カラムを用いるのが好ましい。
本発明の一実施態様は、上記本発明の製造方法により得られる、殺細胞活性を有する組成物に関する。
本発明の一実施態様は、上記本発明の調製方法により得られる、悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分に関する。
上記本発明の製造方法により得られる、殺細胞活性を有する組成物は、悪性腫瘍由来細胞に由来するものであり、その物を構造又は特性により直接特定することは不可能又は非実際的である。上記本発明の調製方法により得られる、悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分に関して、その物質の構造特定には多量の純品サンプルを必要とし、極めて高価な測定機器が必要であり、その物質の安定性等の諸性質を検討した上で、著しく多くの試行錯誤を重ねることが必要であり、膨大な時間と費用がかかることから、およそ実際的ではない。
本発明の一実施態様は、上記本発明の製造方法により得られる殺細胞活性を有する組成物を含有する、がん治療用医薬組成物に関する。
本発明の一実施態様は、上記本発明の調製方法により得られる悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分を有効成分として含有する、がん治療用医薬組成物に関する。
本発明の一実施態様は、上記本発明の製造方法により得られる殺細胞活性を有する組成物の、がんを治療するための医薬の製造のための使用に関する。
本発明の一実施態様は、上記本発明の調製方法により得られる悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分の、がんを治療するための医薬の製造のための使用に関する。
このような本発明のがん治療用医薬組成物又はがんを治療するための医薬により治療され得るがんは、上記本発明の製造方法又は調製方法において用いられる悪性腫瘍由来細胞の種類により限定されるものではない。即ち、本発明のがん治療用医薬組成物又はがんを治療するための医薬は、上記本発明の製造方法又は調製方法において用いられる悪性腫瘍由来細胞と同じ種類のがんに対しても異なる種類のがんに対しても有効であり得る。
また、本発明のがん治療用医薬組成物又はがんを治療するための医薬は、癌腫、肉腫及び血液悪性腫瘍(造血器腫瘍)のいずれにおいても有効であり得る。本発明のがん治療用医薬組成物又はがんを治療するための医薬により治療され得るがんは、腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌、及び大細胞癌に限らず、肉腫を含むあらゆる組織型に由来するものであり得る。例えば、本発明のがん治療用医薬組成物又はがんを治療するための医薬により治療され得るがんは、肺癌、胃癌、食道癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、大腸癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、卵巣癌、乳癌、皮膚癌、喉頭癌、結腸直腸癌、黒色腫、甲状腺癌、線維肉腫、皮膚線維肉腫、子宮肉腫、脂肪肉腫、筋肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、骨肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のがん治療用医薬組成物又はがんを治療するための医薬は、医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、安定剤等の医薬に使用し得る添加物を含んでもよい。このような添加物は当業者の技術常識に基づき適宜選択され得る。
上記本発明の調製方法により得られる悪性腫瘍由来細胞に由来する殺細胞活性を有する細胞抽出成分は、水溶性の分子量1kDa以下の低分子化合物であることが予想されることから、医薬として様々な形態での利用が期待される。例えば、本発明のがん治療用医薬組成物又はがんを治療するための医薬は、経口で、又は注射等の非経口で対象に投与され得る。
以下において、本発明について、具体的な実施例を参照しながら更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[用いた悪性腫瘍由来樹立細胞株]
(1)ヒト腎癌由来細胞株:HRC23
HRC23はヒト腎細胞癌をヌードマウスに継代移植したものより株細胞として樹立したものである。継代には、フェノールレッド、抗生剤を含まないEagle's MEM(日水製薬)に10%FBSを添加したものを用い、細胞剥離には0.1%トリプシン、0.01%EDTAを添加したものを用いた。また、必要に応じクローニングを行なった。培養は37℃、5%CO2下で行なった。
(2)マウス・ルイス肺癌由来細胞株
理化学研究所より分与されたものを使用した(RCB0558:LLC)。継代には、Eagle's MEMに10%FBSを添加したものを用い、細胞剥離には0.1%トリプシン、0.01%EDTAを添加したものを用い、37℃、5%CO2下で培養した。当細胞は転移性が高く、各種の制癌剤に抵抗性があり、in vivoで継代していたものを培養化したものである(Bertram JS, Janik P., Cancer Lett. 1980 November, 11(1), p.63-73)。
(3)その他のヒト悪性腫瘍由来細胞株
ヒト悪性腫瘍由来の株細胞4種類を使用した。これらの細胞はすべて医薬基盤研究所JCRB細胞バンクより入手し、継代及びアッセイには指示された培地及び細胞剥離用酵素を使用し、37℃、5%CO2下で培養した。
使用した細胞の種類を表1に示す。
Figure 0006861305
なお、悪性腫瘍は病理学的に大きくは上皮性と非上皮性に分類され、多くは上皮性である。表1中、SKNは非上皮性であり、それ以外は上皮性であるが、LLCは種を異にするマウス由来上皮性悪性腫瘍細胞であって、各種の抗癌剤に対して抵抗性を持つとされる。また、組織型も代表的な細胞を選択した。
[実施例1:試料原液の作製]
(1)血清含有培地を用いて作製した試料原液
材料となるHRC23は、継代と同様に10%FBS含有のEagle's MEMで培養した。使用したEagle's MEMは抗生剤及びフェノールレッドを含まない培地である。HRC23を、フラスコ内で、細胞の増殖がコンフルエントな状態に達するまで培養し、更にオーバーグロース(過密度)になるまで培養した後、上記と同じ10%FBS含有のEagle's MEMで最終的に培地交換し、37℃、5%CO2下でインキュベートした。9日後、HRC23の形態学的に細胞の死滅が観察された。その後、培地を回収し、3×103×gで10分間遠心分離して得られた上清を取り、この上清を0.1μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) VV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過したものを試料原液として無菌的に4℃で保存した。
(2)無血清培地を用いて作製した試料原液
材料となるHRC23は、継代と同様に10%FBS含有のEagle's MEMで培養した。使用したEagle's MEMは抗生剤及びフェノールレッドを含まない培地である。HRC23を、フラスコ内で、細胞の増殖がコンフルエントな状態に達するまで培養し、更にオーバーグロース(過密度)になるまで培養した後、抗生剤及びフェノールレッドを含まない無血清のEagle's MEMで培地交換し、37℃、5%CO2下で5〜7時間インキュベートした。その間、上記と同じ無血清Eagle's MEMで細胞を数回リンスした。上記と同じ無血清Eagle's MEMで最終的に培地交換し、37℃、5%CO2下でインキュベートした。9日後、HRC23の形態学的に細胞の死滅が観察された。その後、培地を回収し、3×103×gで10分間遠心分離して得られた上清を取り、この上清を0.1μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) VV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過したものを試料原液として無菌的に4℃で保存した。
また、この試料原液を限外ろ過し分子量1kDa以下の画分を採取し(Ultracel(登録商標) Amicon(登録商標) YM1やUltracel(登録商標)限外ろ過膜 PLAC04310を備えたStirred Cell Model 8050、メルク株式会社(ミリポア))、無菌的に4℃で保存した。
(3)生理的緩衝塩類溶液を用いて作製した試料原液
材料となるHRC23は、継代と同様に10%FBS含有のEagle's MEMで培養した。使用したEagle's MEMは抗生剤及びフェノールレッドを含まない培地である。HRC23を、フラスコ内で、細胞の増殖がコンフルエントな状態に達するまで培養し、更にオーバーグロース(過密度)になるまで培養した後、培地を、抗生剤及びグルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液(pH7.3、HBSS-とも称される)で交換し、37℃、5%CO2下で5〜7時間インキュベートした。その間、上記と同じハンクス平衡塩類溶液で細胞を数回リンスした。その後、細胞を、最終的な上記と同じハンクス平衡塩類溶液中で、37℃、5%CO2下でインキュベートした。4日後、HRC23の形態学的に細胞の死滅が観察された。その後、ハンクス平衡塩類溶液を回収し、2×103×gで10分間遠心分離して得られた上清を取り、この上清を0.1μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) VV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過したものを試料原液として無菌的に4℃で保存した。
また、この試料原液を限外ろ過し分子量1kDa以下の画分を採取し(Ultracel(登録商標) Amicon(登録商標) YM1やUltracel(登録商標)限外ろ過膜 PLAC04310を備えたStirred Cell Model 8050、メルク株式会社(ミリポア))、無菌的に4℃で保存した。
更に、グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液(HBSS-)に代えて、グルコースを含まないアール平衡塩類溶液(Earle)及びグルコースを含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS(+))を用いて、それぞれ試料原液を作製した。グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液、アール平衡塩類溶液及びリン酸緩衝生理食塩水の組成は表2に示されるとおりである。
Figure 0006861305
[実施例2:殺細胞活性についての試験]
(1)試験試料の段階希釈系列の作製
上記実施例1(1)で作製した試料原液(血清含有培地)に新たに10%FBSとEagle's MEM用のアミノ酸配合液及びビタミン配合液(コージンバイオ;アミノ酸配合液は50倍濃縮液、ビタミン配合液は100倍濃縮液)、並びにグルコースをEagle's MEMの規定量加え、7.5%NaHCO3でpHを7.1〜7.4に調整後、規定量のグルタミンと10%容量のFBSを加えて試験試料とした。これは、血清含有培地で最終的に培地交換した後に消費された栄養を補う目的である。この試験試料を、コントロール用の培地(10%FBS添加したEagle's MEM)で2倍の段階希釈を行ない、試験試料の段階希釈系列を作製した。
上記実施例1(2)で作製した試料原液(無血清培地)に上記血清含有培地の試料原液の場合と同じように、アミノ酸及びビタミンを添加し、pHを調整後、グルタミンと10%FBSとグルコースを添加し、試験試料とした。この試験試料を、コントロール用の培地(10%FBS添加したEagle's MEM)で2倍の段階希釈を行ない、試験試料の段階希釈系列を作製した。また、試料原液から限外ろ過により分子量1kDa以下の画分を採取したものについても、同様に段階希釈系列を作製した。
上記実施例1(3)で作製した試料原液(ハンクス平衡塩類溶液)に、上記血清含有培地の試料原液の場合と同じように、アミノ酸及びビタミンを添加し、pHを調整後、グルタミンと10%FBSとグルコースを添加し、試験試料とした。この試験試料を、コントロール用の溶液(10%FBS添加したEagle's MEM)で2倍の段階希釈を行ない、試験試料の段階希釈系列を作製した。また、試料原液から限外ろ過により分子量1kDa以下の画分を採取したものについても、同様に段階希釈系列を作製した。
(2)MTTアッセイによる細胞生存率の測定
HRC23を、通常継代する希釈率で希釈を行ない96ウェルマイクロプレートへ分注し、37℃、5%CO2下で10%FBS含有のEagle's MEM中で培養し、24時間後(Day 1)に培地を各段階希釈した試験試料170μLと交換した。更に、1日おきに新鮮な試験試料で2回交換しつつ(Day 3、Day 5)、インキュベートした。Day 6において、MTTアッセイにより細胞生存率を測定した(n=3)。
なお、MTTアッセイは以下のとおり行なった。MTT(同仁化学研究所)を、カルシウム及びマグネシウムを含有しないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS-)中に溶解し、使用時の10倍濃度の5mg/mLとし、無菌的に、0.1μmメンブレンフィルターでろ過・分注し、4℃で保存した。細胞を200μLの培地(10%FBS含有のEagle's MEM)で洗浄した後、各培地中に上記5mg/mLのMTT溶液を培地の1/10量添加して得た0.5mMのMTTを含む溶液150μLを、96ウェルマイクロプレートの各ウェルに加えた。37℃で30〜40分間インキュベートした後、各ウェル中の溶液を吸引除去し、200μLの培地で洗浄した。次いで、200μLのジメチルスルホキシドを各ウェルに加えた。マイクロプレートリーダー(Model 550、Bio-Rad Laboratories)で、570nmの波長における吸光度を測定した。細胞生存率は以下の式より算出した。
Figure 0006861305
A sampleは、各段階希釈した試験試料を用いて上記のとおり測定した吸光度を表す。
A controlは、各段階希釈した試験試料を用いずに行う以外は上記のとおり測定した吸光度を表す。
A blankは、HRC23を用いずに行う以外は上記のとおり測定した吸光度を表す。
結果を図1〜3に示す。血清含有培地を用いて作製した試料、無血清培地を用いて作製した試料、及び生理的緩衝塩類溶液を用いて作製した試料のいずれにおいても、濃度依存的な殺細胞活性が認められた。また、無血清培地を用いて作製した試料の分子量1kDa以下の画分、及び生理的緩衝塩類溶液を用いて作製した試料の分子量1kDa以下の画分においても、同様に濃度依存的な殺細胞活性が認められた。
生理的緩衝塩類溶液を用いて作製した試料は、グルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液、即ち、栄養とエネルギー源を有しない媒体を用いて作製されたものである。つまり、これは、外部からの栄養やエネルギー源の供給を遮断した状態であっても、栄養及びエネルギー源存在下と同じように、細胞が殺細胞活性を有する物質を産生したことを示すものであり、非常に驚くべきことである。この結果から、細胞が、細胞内にある物質のみを材料として、殺細胞活性を有する物質を産生し、自らを死に至らしめることが示された。
[実施例3:殺細胞活性を有する細胞抽出成分の調製]
(1)濃縮
上記実施例1(3)で試料原液を作製したのと同様の方法で、大量処理用に181cm2の表面積を有するフラスコを用いて試料原液を作製した。生理的緩衝塩類溶液としてはグルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液(HBSS-)を用い、最終的な生理的緩衝塩類溶液の交換では、40mLのHBSS-を用いた。こうして得た試料原液を減圧乾固し、当該原液の1/10量のエタノールを加えて乾燥物を溶解した。3×103×gで10分間遠心分離して得られた上清を取り、再び減圧乾固した。このエタノール抽出を繰り返し、試料原液の約1000倍にまで濃縮した乾燥物を得た。この乾燥物を-80℃で保存した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィー
上記実施例3(1)で得た乾燥物を純水に溶解し、クロロホルム・酢酸エチル混液で洗い、水層を回収したものを試料とし、この洗浄後の試料を、300μLの50mM Na2SO4に溶解し、以下の装置及び条件でゲルろ過クロマトグラフィーを行なった。
送液ポンプ:880PU(日本分光(株))
検出器:825UV(日本分光(株))
ミキサー:HG-980-31(日本分光(株))
インジェクター:Rheodyne8125(レオダイン社)
カラム:Superformance(26mm×600mm)(メルク株式会社)
担体:HPセルロファインsf(チッソ(株))
移動相:50mM Na2SO4
流速:0.6ml/分
分画サイズ:1.8ml(3分)
検出:230nm; 感度:0.16aufs
ゲルろ過クロマトグラフィーの結果を図4に示す。図4に示されるA〜Hの8つの画分を回収し、各画分についてMTTアッセイにより殺細胞活性を測定した。その結果、Aの画分(105分〜141分)にのみ殺細胞活性が検出された。
なお、ここでのMTTアッセイは、HRC23を、通常継代する希釈率で希釈を行ない96ウェルマイクロプレートへ分注し、37℃、5%CO2下で10%FBS含有のEagle's MEM中で培養し、24時間後に、当該培地を各画分から調製した試料170μLと交換し、2日間インキュベートした後、200μLのジメチルスルホキシドを各ウェルに加え、マイクロプレートリーダー(Model 550、Bio-Rad Laboratories)で570nmの波長における吸光度を測定して行なった。試料は、各画分のアリコートに同量のメタノールを加え、0.22μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) GV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過してNa2SO4を除去した後、乾燥させて得たものを10%FBS含有のEagle's MEMに溶解し、2倍の段階希釈を行なって調製した。
このMTTアッセイにより観察されたマイクロプレート上での発色の様子を、細胞生存率の濃度依存性を示すグラフとともに図5に示す。なお、図5において、試料濃度は原液換算したものである。
回収したAの画分に同量のメタノールを加え、0.22μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) GV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過してNa2SO4を除去した後、減圧乾固し、得られた乾燥物を-80℃で保存した。
(3)イオン交換クロマトグラフィー
上記実施例3(2)で得た乾燥物を0.15M Na2SO4 200μL中に溶解したものを試料として、以下の装置及び条件でイオン交換クロマトグラフィーを行ない、強陽イオン交換樹脂にNa2SO4の直線的濃度勾配法を用いて活性画分を分離した。
送液ポンプ:880PU(日本分光(株))
検出器:825UV(日本分光(株))
ミキサー:HG-980-31(日本分光(株))
インジェクター:Rheodyne8125(レオダイン社)
カラム:ResourceTMS; 1ml(GEヘルスケア社)2本直結して使用。
溶出は表3に示す直線的濃度勾配法により行なった。
流速:0.25ml/分
分画サイズ:0.75ml(3分)
移動相:A;H2O B;0.3M Na2SO4
検出:230nm; 感度:0.16aufs
Figure 0006861305
予め0.15M Na2SO4で平衡化したカラムに試料を注入し、その後当該溶液で30分間洗浄した後、0.15Mから0.24MのNa2SO4の直線的濃度勾配法により溶出を行なった。
イオン交換クロマトグラフィーの結果を図6に示す。各画分についてMTTアッセイにより殺細胞活性を測定したところ、Na2SO4濃度が165〜170mMの画分18〜21にのみ殺細胞活性が検出された。なお、ここでのMTTアッセイは、上記実施例3(2)と同じように行なった。
回収したNa2SO4濃度が165〜170mMの画分に同量のメタノールを加え、0.22μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) GV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過してNa2SO4を除去した後、減圧乾固し、得られた乾燥物を-80℃で保存した。
(4)再ゲルろ過クロマトグラフィー
上記実施例3(3)で得た乾燥物を300μLの50mM Na2SO4に溶解したものを試料として、以下の装置及び条件で、再度、ゲルろ過クロマトグラフィーを行なった。
送液ポンプ:880PU(日本分光(株))
検出器:825UV(日本分光(株))
ミキサー:HG-980-31(日本分光(株))
インジェクター:Rheodyne8125(レオダイン社)
カラム:Superformance(26mm×600mm)(メルク株式会社)
担体:HPセルロファインsf(チッソ(株))
移動相:50mM Na2SO4
流速:0.6ml/分
分画サイズ:1.2ml(2分)
検出:205nm; 感度:0.16aufs
ゲルろ過クロマトグラフィーの結果を図7に示す。各画分についてMTTアッセイにより殺細胞活性を測定したところ、前方の吸収ピーク中の画分57(溶出時間112〜114分)、画分58(溶出時間114〜116)及び画分59(溶出時間116〜118分)の3つの画分において殺細胞活性が検出され、特に画分58において強く認められた。なお、ここでのMTTアッセイは、上記実施例3(2)と同じように行なった。
回収した上記3つの画分に同量のメタノールを加え、0.22μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) GV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過してNa2SO4を除去した後、減圧乾固し、乾燥物を得た。
(5)質量分析法(TOF-MS)
上記実施例3(3)で得た乾燥物を、アセトニトリル:水:TFA(50:50:1)中5mg/mLのα‐シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(α-CHCA)で構成された緩衝液10μL中に再懸濁させたものを試料として、以下の装置及び条件で質量分析法により分析した。
分析機器:Voyager System 6366 (Applied Biosystem)
印加電圧:+20000V
サンプル導入:手動;MALDI plate
マトリクス:a-Cyano-4-hydroxycinnamic acid (a-CHCA)(東京化成(株))
を用いペプチド分析プログラムに従い分析を行なった。
3つの画分(57、58及び59)より得られた結果を、図8〜10において、それぞれm/z値100〜1500で示す。また、マトリックスのみより得られた結果を図11において、m/z値100〜1000で示す。
3つの画分(57、58及び59)についての質量スペクトルでは、それぞれm/z値600と714においてシグナルが観察された。特に、画分58のスペクトルでは、m/z値600.16と714.04において強いシグナルが観察されたが、画分59のスペクトルでは、画分57や画分58ほど明確なシグナルは示されなかった。また、画分58のスペクトルでは、m/z値114.09においてシグナルが明確に観察された(拡大図を図12として示す)。
一方で、m/z値1000よりもm/z値が大きいシグナルは観察されなかった。従って、殺細胞活性を有する細胞抽出成分は、分子量1kD以下であることが示唆される。これは、分子量1kDa以下の画分において殺細胞活性が認められたことを示す図2及び3の結果と一致する。
しかしながら、上記のとおり得られた質量スペクトルにおいてもm/z値が300以下のシグナルが多いことを踏まえ、殺細胞活性を有する細胞抽出成分の特定には、当該成分の安定性に関する検討を含め更なる詳細な検討が必要と考えられる。
[実施例4:種々のがん細胞に対する殺細胞活性の測定]
上記実施例3(2)で得た乾燥物を、HRC23、MKN74、LK2、VMRC-JCP、SKN及びLLCの培養に用いた各培養培地を用いて、2倍の段階希釈を行ない、試験試料の段階希釈系列を作製した。HRC23、MKN74、LK2、VMRC-JCP、SKN及びLLCを、それぞれ別々に、96ウェルマイクロプレート中に、3日間の培養でおよそ80%コンフルエントになるような量で播種し、各所定の培養培地中で、37℃、5%CO2下で24時間培養した。当該培地を170μLの試験試料と交換し、2日間インキュベートした後、200μLのジメチルスルホキシドを各ウェルに加え、マイクロプレートリーダー(Model 550、Bio-Rad Laboratories)で570nmの波長における吸光度を測定してMTTアッセイを行なった(n=3)。
MTTアッセイにより測定された各がん細胞の細胞生存率のグラフを図13に示す。HRC23に対して生存率0%を示す試験試料の最小濃度を任意単位(arbitrary unit)1として横軸を常用対数目盛で表した。この結果より、HRC23から得られた殺細胞活性を有する試験試料は、HRC23以外のがんに対しても有効であり、がん種、組織型にかかわらず、共通して濃度依存性に殺細胞作用を示すことがわかった。
[実施例5:LLC又はSKNに由来する試料における殺細胞活性の測定]
(1)試料原液の作製
材料となるLLCとSKNは、10%FBS含有のEagle's MEMでHRC23と同じように培養した。使用したEagle's MEMは抗生剤及びフェノールレッドを含まない培地である。LLC及びSKNを、フラスコ内で、それぞれ細胞の増殖がコンフルエントな状態に達するまで培養し、更に1日培養した。抗生剤及びグルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液で洗浄後、当該ハンクス平衡塩類溶液5mL/フラスコにて、37℃、5%CO2下でインキュベートした。LLC及びSKNの形態学的に細胞の死滅が観察された後、ハンクス平衡塩類溶液を回収し、1,500×gで 10分間遠心分離して得られた上清を取り、この上清を0.1μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) VV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過したものをそれぞれ試料原液とした。
また、この試料原液を限外ろ過し分子量1kDa以下の画分を採取した(Ultracel(登録商標) Amicon(登録商標) YM1やUltracel(登録商標)限外ろ過膜 PLAC04310を備えたStirred Cell Model 8050、メルク株式会社(ミリポア))ものを準備した。
(2)MTTアッセイによる細胞生存率の測定
上記実施例5(1)で作製した試料原液に10%FBSとEagle's MEM用のアミノ酸、ビタミンの配合液及びグルコースをEagle's MEMの規定量加え、7.5%NaHCO3でpHを調整後、試験試料とした。この試験試料を、コントロール用の溶液(ハンクス平衡塩類溶液にEagle's MEM用の50倍濃度アミノ酸、100倍濃度ビタミンの配合液を添加したもの)で2倍の段階希釈を行ない、試験試料の段階希釈系列を作製した。また、試料原液から限外ろ過により分子量1kDa以下の画分を採取したものについても、同様に段階希釈系列を作製した。
上記実施例2(2)に記載の方法に準じてMTTアッセイを行ない、HRC23の細胞生存率を測定した(n=3)。結果を図14及び15に示す。
LLCに由来する試料においても、SKNに由来する試料においても、HRC23に由来する試料と同じように、HRC23に対する殺細胞活性を示した。LLCに由来する試料において、HRC23に対する殺細胞活性を示したことと、実施例4における結果(HRC23に由来する試料において、LLCに対する殺細胞活性を示したこと)を踏まえると、種を超えてのクロス反応が確認されたこととなる。また、SKNは稀な非上皮性悪性腫瘍細胞であり、SKNのような非上皮性悪性腫瘍細胞でも殺細胞活性を有する物質を産生していることが確認された。なお、SKNに由来する試料については、LLCに由来する試料やHRC23に由来する試料と比べて弱い殺細胞活性が観察されたが、これは、培養後のSKN細胞数がLLCやHRC23よりはるかに少なかったためと思われる。
[実施例6:種々の生理的緩衝塩類溶液を用いた場合の殺細胞活性の測定]
上記実施例1(3)で作製した試料原液(HBSS-、Earle、PBS(+))に10%FBSとEagle's MEM用の50倍濃度アミノ酸、100倍濃度ビタミンの配合液及びグルコースをEagle's MEMの規定量加え、7.5%NaHCO3でpHを調整後、試験試料とした。この試験試料を、コントロール用の溶液(HBSS-、Earle又はPBS(+)にEagle's MEM用の50倍濃度アミノ酸、100倍濃度ビタミンの配合液を添加したもの)で2倍の段階希釈を行ない、試験試料の段階希釈系列を作製した。
上記実施例2(2)に記載の方法に準じてMTTアッセイを行ない、HRC23の細胞生存率を測定した(n=3)。結果を図16に示す。
HBSS-を用いた場合、Earleを用いた場合、PBS(+)を用いた場合のいずれにおいても、強度は異なるものの殺細胞活性が観察された。
[実施例7:細胞の培養状況が殺細胞活性に及ぼす影響の評価]
通常の培養培地を用いた場合には、増殖期の細胞は増殖を継続するために、培養培地では細胞密度の異なる試験は困難であるが、栄養源を含まないハンクス平衡塩類溶液(グルコースフリー)を用いることにより、増殖期の段階での殺細胞活性を有する成分の産生を調べることが可能となった。
25cm2の継代培養用フラスコにて、HRC23を異なった細胞数で藩種したものを準備し、10%FBS含有のEagle's MEMで培養した。使用したEagle's MEMは抗生剤及びフェノールレッドを含まない培地である。細胞数を多く藩種したフラスコにて、細胞の増殖がコンフルエントな状態に達するまで培養し、更に1日培養した。この時点で、細胞数を少なく藩種したフラスコでは、細胞の密度が継代に支障のない密度となっていたものの、まだ増殖期の状態であり、細胞密度はコンフルエントな状態に比べておよそ72%であった。細胞数を多く藩種した場合、細胞数を少なく藩種した場合のいずれにおいても、この時点で、抗生剤及びグルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液で洗浄後、当該ハンクス平衡塩類溶液5mL/フラスコにて、37℃、5%CO2下でインキュベートした。HRC23の形態学的に細胞の死滅が観察された後、ハンクス平衡塩類溶液を回収し、1,500×gで10分間遠心分離して得られた上清を取り、この上清を0.1μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) VV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過したものを試料原液とした。
上記実施例2(2)に記載の方法に準じてMTTアッセイを行ない(25cm2の継代培養用フラスコにて)、HRC23の細胞生存率を測定した(n=3)。結果を図17に示す。
細胞数を多く藩種した場合、細胞数を少なく藩種した場合のいずれにおいても、強度は異なるものの殺細胞活性が観察された。従って、増殖期の細胞であっても殺細胞活性を有する成分を産生することが示された。これにより、細胞の時期にかかわらず、細胞は意図的に殺細胞効果を有する成分の産生を行えることが示された。
[実施例8:LK-2に由来する試料におけるLK-2及びHRC23に対する殺細胞活性の測定]
(1)試料原液の作製
材料となるLK-2は、継代と同様に10%FBS含有のRPMI1640(メルク株式会社(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社),R883)で培養した。LK-2を、フラスコ内で、細胞の増殖がフリーコンフルエント(fully confluent)な状態に達するまで培養した後、5mLの10%FBS含有RPMI1640で最終的に培地交換した。また、10%FBS含有RPMI1640で培地交換した前記の例とは別に、LK-2を、フラスコ内で、細胞の増殖がフリーコンフルエント(fully confluent)な状態に達するまで培養したものについて、抗生剤及びグルコースを含まないハンクス平衡塩類溶液30mLで4回洗浄後、当該ハンクス平衡塩類溶液5mLをフラスコに入れ、細胞を浸した。
上記2種の培養液を37℃、5%CO2下でインキュベートし、LK-2の形態学的に細胞の死滅が観察されるまで培養した。その後、培地及びハンクス平衡塩類溶液をそれぞれ回収し、1,500×gで10分間遠心分離して得られた上清をそれぞれ取り、これらの上清を0.1μmメンブレンフィルター(Millex(登録商標) VV、メルク株式会社(ミリポア))でろ過したものをそれぞれ試料原液とした。また、ハンクス平衡塩類溶液を用いて得た試料原液を限外ろ過し分子量1kDa以下の画分を採取した(Ultracel(登録商標) Amicon(登録商標) YM1やUltracel(登録商標)限外ろ過膜 PLAC04310を備えたStirred Cell Model 8050、メルク株式会社(ミリポア))ものを準備した。
(2)試験試料の段階希釈系列の作製
上記実施例8(1)で作製したそれぞれの試料原液に、RPMI1640用のアミノ酸(50倍濃縮)(メルク株式会社(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社),M5550)、ビタミン(100倍濃縮)(メルク株式会社(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社),R7256)の配合液を添加し、酢酸でpHを7.2〜7.3に調整後、10%FBSと10%グルコースおよび200mMグルタミン0.1容を添加して、試験試料とした。この試験試料について、コントロール用の培地(10%FBS含有RPMI1640)で2倍の段階希釈を行ない、試験試料の段階希釈系列Aを作製した。また、試料原液から限外ろ過により分子量1kDa以下の画分を採取したものについても、同様に段階希釈系列A(<1kDa)を作製した。
また、上記実施例8(1)で作製したそれぞれの試料原液に、Eagle's MEM用のアミノ酸(50倍濃縮)(上記と同じ)、ビタミン(100倍濃縮)(上記と同じ)の配合液を添加し、酢酸でpHを7.2〜7.3に調整後、10%FBSと10%グルコースおよび200mMグルタミン0.1容を添加して、試験試料とした。この試験試料について、コントロール用の培地(10%FBS含有Eagle's MEM)で2倍の段階希釈を行ない、試験試料の段階希釈系列Bを作製した。また、試料原液から限外ろ過により分子量1kDa以下の画分を採取したものについても、同様に段階希釈系列B(<1kDa)を作製した。
(3)MTTアッセイによる細胞生存率の測定
LK-2を、通常継代する希釈率で希釈を行ない96ウェルマイクロプレートへ分注し、37℃、5%CO2下で10%FBS含有のRPMI1640中で24時間培養した後、それぞれの培地を段階希釈系列Aの各希釈液170μLと交換した。段階希釈系列Aの各希釈液中で24時間培養後、各希釈液をそれと同じ希釈倍率の段階希釈系列Aの新鮮な各希釈液と交換し、更に24時間培養した。段階希釈系列A(<1kDa)を用いた場合についても、段階希釈系列Aを用いた場合と同様にLK-2の培養を行なった。
上記実施例2(2)に記載の方法に準じてMTTアッセイを行ない、LK-2の細胞生存率を測定した(n=3)。結果を図18に示す。
また、HRC23を、通常継代する希釈率で希釈を行ない96ウェルマイクロプレートへ分注し、37℃、5%CO2下で10%FBS含有のEagle's MEM中で24時間培養した後、それぞれの培地を段階希釈系列Bの各希釈液170μLと交換した。段階希釈系列Bの各希釈液中で24時間培養後、各希釈液をそれと同じ希釈倍率の段階希釈系列Bの新鮮な各希釈液と交換し、更に24時間培養した。段階希釈系列B(<1kDa)を用いた場合についても、段階希釈系列Bを用いた場合と同様にHRC23の培養を行なった。
上記実施例2(2)に記載の方法に準じてMTTアッセイを行ない、HRC23の細胞生存率を測定した(n=3)。結果を図19に示す。
LK-2に由来する試料は、LK-2及びHRC23に対する殺細胞活性を示した。また、RPMI1640で最終的に培地交換して得た試料原液に基づく試料と比べて、ハンクス平衡塩類溶液を用いて得た試料原液に基づく試料の方が、強い殺細胞活性を示した。これは、ハンクス平衡塩類溶液等の生理的緩衝塩類溶液を用いて、悪性腫瘍由来細胞から抽出される殺細胞活性を有する成分を取得することで、培養培地を用いて当該成分を取得するよりも、高い収率を達成可能であり得ること、又は目的とする殺細胞活性を有する成分の殺細胞活性を低減させずに当該成分の取得が可能であり得ることを示唆する。
[実施例9:マウスに対するin vivo殺細胞活性]
4匹のマウス(C57BL/6NCrSIc、オス、5週齢)にLLCの懸濁液300μL(2×106細胞)を腹腔内接種し、LLCを移植した。1週間後、処置群として2匹のマウスに、原液換算1L分の、上記[4](2)で得た乾燥物を300μLのFBS無添加Eagle’s MEM中に溶解したものを1日1回、6日間腹腔内投与した。このような処置を行わなかった対照群の2匹は、LLCの移植後25日目に死亡したが、処置群については、LLCの移植後、1匹は35日目、もう1匹は48日目に死亡した。対照群と比較して、処置群には明らかな延命効果が認められた。なお、処置群において、副作用と思われる症状は認められなかった。

Claims (6)

  1. 悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養すること、
    前記培養後、前記培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換すること、及び
    前記生理的緩衝塩類溶液中で、前記悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、前記生理的緩衝塩類溶液を回収すること
    を含む方法で製造される殺細胞活性を有する組成物の、がんを治療するための医薬の製造のための使用。
  2. 前記生理的緩衝塩類溶液が、グルコースを含有しない、請求項1に記載の使用。
  3. 前記生理的緩衝塩類溶液が、ハンクス平衡塩類溶液、アール平衡塩類溶液及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 悪性腫瘍由来細胞を、少なくとも細胞の密度が継代に支障のない密度になるまで培養培地中で培養すること、
    前記培養後、前記培養培地を生理的緩衝塩類溶液と交換すること、
    前記生理的緩衝塩類溶液中で、前記悪性腫瘍由来細胞の形態学的に細胞の死滅が観察される時期後、前記生理的緩衝塩類溶液を回収すること、
    前記回収した生理的緩衝塩類溶液のうちの分子量1kDa以下の画分を含む乾燥物を得ること、
    前記乾燥物を炭素数1〜3のアルコールを含む溶媒を用いて抽出し、得られた溶液を乾燥すること、
    前記溶液の乾燥物を水中に溶解し、得られた水溶液中に非極性有機溶媒を添加して水層と有機層を形成させ、前記水層を抽出すること、及び
    前記水層から、前記悪性腫瘍由来細胞に由来する細胞抽出成分をクロマトグラフィーにより分離すること、
    を含む方法で調製される前記細胞抽出成分の、がんを治療するための医薬の製造のための使用。
  5. 前記クロマトグラフィーが、ゲルろ過クロマトグラフィー及び/又は陽イオン交換クロマトグラフィーを含む、請求項4に記載の使用。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用における殺細胞活性を有する組成物又は細胞抽出成分と、医薬的に許容される担体とを組み合わせて医薬組成物とすることを含む、医薬組成物を製造する方法。
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