JP6858792B2 - 酸化可能な化合物中の酸素を検出、定量する方法 - Google Patents

酸化可能な化合物中の酸素を検出、定量する方法 Download PDF

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Description

本発明は分析化学の分野に関するものであり、特に、酸素を分析する方法、特に酸化されうる化合物(oxidizable compounds、以下、酸化可能化合物という)、特に有機化合物中に存在するか、それに由来する元素状酸素を検出および/または定量する方法に関するものである。
本発明を用いることによって酸素含有量が低い場合でも酸素の含有量または酸素の存在を簡単に決定することができる。
本発明は、分析する酸化可能化合物の同位体酸化反応を利用した分析方法に関するものである。この「同位体酸化反応(isotopic oxidative reaction)」とは同位体酸化剤(isotopic oxidizing agent)の存在下で行われる酸化反応を意味する。この同位体酸化剤とは所定量の酸素同位体を含む物質、換言すれば、天然の酸素同位体比(天然存在度、natural abundanceとよばれる)とは異なる酸素同位体比を有する物質と定義される。本発明の同位体酸化方法に適した方法は任意の手段による燃焼、例えば従来の火炎点火またはプラズマ点火または分子/原子を酸化物卯酸化するのに必要な電子エネルギー遷移状態に到達させるのに適した任意のエネルギー照射法を使用した加熱燃焼または非加熱燃焼方法にすることができる。
本発明は酸化可能化合物(好ましくは有機化合物)の混合物中または単一の酸化可能化合物中の酸素の存在の検出に使用することができる。
あるいは、または、上記と組み合わせて、本発明は、酸化可能化合物中、好ましくは有機化合物の混合物中または単一の酸化可能化合物中の酸素含有量を相対的に正確に求めるのに使用することができる。本発明方法を使用することによって酸化可能化合物の混合物中の酸素を含む酸化可能化合物の量を求めることができる。特に、本発明方法は精製設備の炭化水素原料または流出物中の酸素含有量を測定するのに使用することができる。
現在の有機化合物中の元素状態の酸素の定量方法は、被分析化合物をガスクロマトグラフィー(GC)に通し、熱分解およびメタン化工程の後に水素炎イオン化検出器(FID)に通す方法である。しかし、この方法は間接法であって、感度も高くなく(検出限界は約100ppm)、また、GC中での共溶出(co-elution)に対する感受性から、軽質留分に限定される。この方法はあまり正確ではなく、得られる結果は重量パーセントである。さらに、この方法は有機化合物の種類に対して敏感である。
別の従来方法はCHNOS元素分析を用いてサンプル中の元素酸素のトータル含有量を測定する方法である。しかし、CHNOSアナライザーの検出限界は1000ppm程度である。
中性子活性化(neutron activation)法を使用することもできる。この方法では存在する酸素に中性子を加え、ガンマー放射線(この測定検出限界は約lppmである)を放出させる。この方法は非常に正確であるが、原子炉を必要とし、インライン測定で使用することはできない。
鉄鋼サンプルに対しては他の酸素検出方法が公知である。例えば、黒鉛坩堝中でアルゴン雰囲気下で金属サンプルを溶融して金属サンプルの酸素含有量を決定することが公知である。溶鋼サンプルは坩堝からの炭素を十分に溶解し、金属中に存在する酸化物を一酸化炭素に還元する。それをアルゴン雰囲気中に放出させて測定する。このアルゴン雰囲気に既知量のC18Oを添加する同位体希釈法の使用が公知である([非特許文献1](M.L. Pearce and C.R. Mason, Nature, 1960, 185, 373-374))。また、アルゴン雰囲気中に体積が既知の18Oを導入することも報告されている。金属サンプルを鈍い赤色に加熱し、18Oはサンプルの金属元素と酸化物を形成する。次いで、サンプルを黒鉛坩堝中で溶融する。金属サンプルの溶融時に金属サンプル中に存在する酸化物に由来するC18OとC16Oを同時に放出される([非特許文献2](J. P. Burden, C.R Masson, J. Iron Steel Inst, 202(1), 28-31 (1964))。しかし、この方法は有機化合物中の酸素の測定には適していない。
[特許文献1](米国特許出願公開第US20150348768A1号明細書)にはターゲットサンプル中に含まれる標的元素の濃度を測定するための燃焼前処理同位体希釈質量分析法(a combustion pretreatment-isotope dilution mass spectrometry)が開示されている。ここで使用する同位体希釈質量分析には、同位体希釈質量分析中に燃焼する検出すべき標的サンプルの前処理が含まれ、それによって同位体を安定化させ、分析能力を向上させる。この方法で濃度が測定できる元素はCl、Br、Cd、Pb、Hg、Se、Li、B、Mg、Si、S、K、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Yb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、TlおよびUである。この方法で使用する同位体希釈法では測定する標的元素の同位体の既知量の濃縮させた参照サンプルを用いる。しかし、酸素の測定に関する記載はない。
米国特許出願公開第US2015348768A1号明細書 欧州特許第EP1939617号公報
M.L. Pearce and C.R. Mason, Nature, 1960, 185, 373-374 J. P. Burden, C.R Masson, J. Iron Steel Inst, 202(1), 28-31 (1964)
従って、酸化可能化合物、特に有機の酸化可能化合物中の元素酸素の存在を検出する、および/または、元素酸素の含有量を測定する、あるいは、酸化可能化合物中の酸化された化合物、特に有機化合物の含有量を、酸素含有量が低い場合でも、インライン測定で使用できる簡単な分析方法に対するニーズがある。
本発明の対象は、下記の(a)と(b)を含む酸化可能化合物または酸化可能化合物の混合物中の酸素分析のための分析方法にある:
(a)少なくとも一つの酸化可能化合物を含むか、それのみから成る試験サンプルと、試験サンプル中に存在する少なくとも1つの化学元素、好ましくはOとは異なる化学元素を含む少なくとも一つの酸化可能な参照化合物を含むか、それのみから成る参照サンプルとを用意し、
(b)上記の試験サンプルおよび参照サンプルを以下の(i)と(ii)の工程に同じ条件下で別々に提供する:
(i)完全酸化反応の工程であって、この完全酸化反応の工程ではサンプルを酸化された気体の化学種(species)AaOoに完全酸化させるのに有効な条件下で、少なくとも一種の酸化剤を含む酸化媒体にサンプルを提供する(ここで、Aはサンプル中に存在するOと異なる任意の化学元素であり、aはA原子の数であり、oはOの原子数である)
(ii)工程(i)で形成された全ての酸化された気体の化学種AaOo、または、いくつかの所定の酸化された気体の化学種AaOoを、検出装置を用いて検出する工程であって、この工程では酸素の異なる同位体を含む酸化された気体の化学種を検出し且つ検出された各ガス種に対して検出されたガス種の量を表す信号を生成させる。
本発明の分析方法では、上記酸化媒体が、組成および分布の点で天然の酸素同位体とは同じでない所定含有量の酸素同位体ZOを含む(ここで、zは原子の質量数である)。
適当な検出装置を用いることで互いに異なる酸素同位体でZOを含む全ての酸化種Aa Zi 160-iを区別することができる(ここで、iはゼロからoまでの全ての値をとる整数)。すなわち、検出装置によって生成される各信号は工程(ii)で得られた気体の酸化種Aa Z0の特徴値であり、検出されたこの酸化種の量に依存する。
試験サンプルおよび参照サンプルに対して得られた信号をさらに処理、比較することで酸素の存在および/または酸素の量を決定(求める)ことができる。
工程(a)で用意した試験サンプルの酸化可能化合物が有機化合物である場合には、酸化可能な参照サンプルは少なくともC、好ましくは少なくともCとHで含み、場合によってはN、S、その他任意の化学元素、特に試験サンプル中に存在する他の任意の化学元素をさらに含むか、それのみから構成されているのが好ましい。この場合、工程(ii)でのAはCと、任意成分のHと、サンプル中に存在するOとは異なる任意の他の任意成分の化学元素である。
工程(b)で試験サンプルと参照サンプルは任意の順序で工程(i)および(ii)に別々に提出することができる。
工程(b)では工程(i)の前に試験サンプルと参照サンプルを蒸発(volatilization)させるのが有利である。この蒸発は任意の適合な手段、例えばガスクロマトグラフィー装置を使用して行うことができる。
本発明の分析方法は、試験サンプルに含まれるか、それを構成する少なくとも一種の酸化可能化合物の化学式を決定する工程をさらに含むことができる。
工程(i)の前に、試験サンプルを、必要な場合には参照サンプルと混合してから、液体またはガスクロマトグラフィー装置に導入して、互いに異なる保持時間を有する各酸化可能化合物に分離し、それを工程(i)、(ii)へ別々に送ることができる。
この場合、酸化可能化合物が混合物の場合には、液体またはガスクロマトグラフィー装置を用いて互いに異なる保持時間を有する酸化可能化合物を分離することができる。言い換えれば、混合物中に含まれる酸化可能化合物は特定の保持時間で液体またはガスクロマトグラフィー装置を出る。従って、保持時間が異なる、特に保持時間が十分に異なる酸化可能化合物の分離物が得られる。しかし、保持時間が同一であるか、重複するいくつかの酸化可能化合物は気体または液体クロマトグラフィー装置では分離できないということに留意する必要がある。この場合に生成される信号は同一または重複する保持時間を有する酸化可能化合物から形成された化学種を表す。このようなことは適切なクロマトグラフィー装置と条件を選択し、分離した化合物を十分に分離することによって回避することができる。
従って、互いに異なる保持時間を有する酸化可能化合物を工程(i)の完全酸化反応に別々に提出することができる。そして、保持時間が十分に異なっている限り、異なる保持時間を有する酸化可能化合物から生じた気体の酸化された酸化種を次の工程(ii)で別々に検出することができる。従って、特定の保持時間を有する分離された各酸化可能化合物、さらには必要に応じて参照サンプルに対して生成された酸化種を特徴付ける信号を発生させることができる。これは、試験サンプルが複数の酸化可能化合物を含み、それらの化合物の各々の分析が個別に望まれる場合、または、試験サンプルと参照サンプルとが混在している場合に特に有用である。これはさらに、サンプルだけでなく、個々のO含有種中の元素Oの検出と定量を求める場合にも有用である。
本発明の分析方法は、酸化可能化合物または酸化可能化合物の混合物が酸素を含むか否かを決定するのにも利用できる。特に、工程(ii)で生成された気体の酸化種の信号を処理して、酸化種を特徴付け且つその含有量に依存する依存値を抽出することができる。この値は生成信号を処理して得られる生成信号の強度、または、検出された種Aaoの同位体比、または、各ピークが酸素の特定同位体の単一の化学種Aaoを表すスペクトログラム、特に、質量スペクトログラムのピーク面積にすることができる。同位体比はピーク面積または高さを関連付けることで計算できる。
そのために、参照サンプルは酸素を含まず、分析方法は下記にするのが好ましい:
工程(b)で、工程(i)の前に、試験サンプルを、必要に応じて参照サンプルと混合した後に、液体またはガスクロマトグラフィー装置に導入して、互いに異なる保持時間を有する酸化可能化合物に分離し、それらを次の工程(i)および(ii)へ個別に送り、
分離された異なる保持時間を有する各酸化可能化合物に対してさらに工程(c)を行い、この工程(c)は、完全酸化工程(i)で得られた個々の気体の酸化種AaOoまたは所定の気体の酸化種AaOoに対する下記(1)〜(3)の工程を含む:
(1)分離した酸化可能化合物に対して、工程(ii)で検出装置によって生成された信号を処理して、化合物テスト値(compound test values)を抽出し、この化合物テスト値は対応する酸化種Aaoから得られた各同位体比 Aa 16O/Aa Zi 16o-iであり(ここで、iはゼロからoまでの全ての値をとる整数)、
(2)参照サンプルに対して、工程(ii)で検出装置により生成された信号を処理して、参照値(reference values)を抽出し、この参照値は上記の化合物テスト値を決定した各同位体比Aa 16O/Aa Zi 16o-iであり、
(3)少なくとも1つの化合物テスト値が対応する参照値と異なるかどうかをチェックすることで分離された酸化可能化合物が酸素を含むか否かを決定する。
この実施形態は酸化可能化合物の混合物中または単一酸化可能化合物と参照サンプルとの混合物の酸素の存在を検出するのに特に有用である。
同位体比が工程(b)に少なくとも2回提出した同じサンプルに対して観察された統計的な差よりも大きい場合、その同位体比は他の同位体比とは異なると考えることができる。
本発明の分析方法を用いることで、酸素含有量が低い場合でも、酸素の存在を決定することができる。一例として質量分析計等の検出器の検出限界は重量ppb(十億当たり部数)オーダーである。
本発明の分析方法を用いることで異なる保持時間を有する酸素を含む酸化可能化合物のそれぞれの酸素の量を決定することもできる。
この場合、参照サンプルが酸素を含まない任意の実施形態での本発明の分析方法は以下にすることができる:
工程(a)で、参照サンプルが既知量の少なくとも1種の参照化合物を含むか、それのみから成り、この少なくとも1種の参照化合物は試験サンプル中に含まれるか、それを構成する少なくとも一種の酸化可能化合物中に存在するOとは異なる少なくとも1つの化学元素を含み、
上記工程(c)で分離された酸化可能化合物が酸素を含むことが決定された場合に、本発明の分析方法は分離された酸素を含む各酸化可能化合物に対して定量工程(d)をさらに含み、この定量工程(d)は下記から成る:
(1)分離された酸素を含む酸化可能化合物に対して、工程(ii)で検出装置により生成された信号を処理して、所定の化学種AaOoの全ての同位体に対して(ここで、元素Aは、分離された酸化可能化合物と参照サンプルの両方に存在する)工程(ii)で生成された信号強度の代表値を抽出し、得られた強度値を合計し、
(2)参照サンプルに対して工程(ii)で検出装置によって生成された信号を処理して、所定の種AaOoの全ての同位体に対して工程(ii)で生成された信号の強度の代表値を抽出し、得られた強度値を合計し、
(3)参照サンプル中のAの既知量と上記合計値とから、分離された酸素を含む酸化可能化合物中のOの量、および/または、前の工程で決定された分離された酸素を含む酸化可能化合物の化学式を用いて分離した酸素を含む酸化可能化合物の量を計算する。
この実施形態は、試験サンプルが複数の酸化可能化合物を含むか、それのみから成る場合に特に有利である。もちろん、試験サンプル中のOの合計量は分離した各酸化可能化合物で定量したO含有量の和から得ることができる。上記定量工程(d)は式が既知である酸素含有化合物の定量にも使用することができる。この場合には化学式を求める工程は不要になる。
工程(a)で用意する試験サンプルが有機化合物の場合には、酸化可能な参照サンプルは少なくともC、好ましくは少なくともCとH、必要に応じてさらにN、Sまたは試験サンプル中に存在するOとは異なるその他任意の化学元素とを含む少なくとも1つの酸化可能化合物を含むか、それのみから成る。
別の実施形態では、工程(i)の完全酸化で得られ且つ工程(ii)で検出した全ての気体の酸化種AaOoに対して工程(c)を実行し、定量工程(d)は試験サンプル中の酸素の量を決定する定量工程(d')に置き換えることができる。この定量工程(d')では、工程(c)で決定された各気体の酸化種AaOoに対して試験サンプルの同位体比の値、場合によっては分離された酸化可能化合物の同位体比の値は参照サンプルの同じの同位体比の値とは異なり、試験サンプル、場合によっては分離された酸化可能化合物に由来する酸素の存在を示す。これは試験サンプル(または分離した酸化可能化合物)と参照サンプルの両方に元素Aが存在することを意味する。
この定量工程(d')には下記(1)〜(3)が含まれる:
(1)試験サンプル、場合によっては分離した酸化可能化合物に対して、工程(ii)で検出装置によって生成された信号を処理して、AaOo種の全ての同位体に対して工程(ii)で生成された信号強度の代表値を抽出し、その強度値を合計し、
(2)参照サンプルに対して、工程(ii)で検出装置によって生成された信号を処理して、AaOo種の全ての同位体に対して工程(ii)で生成された信号強度の代表値を抽出し、その強度値を合計し、
(3)参照サンプルに含まれるAの既知量と上記の合計値から試験サンプル中、場合によっては分離した酸化可能化合物中のAの量を算出し、次いで同位体比Aa 16O/Aa Zi 16o-iおよび酸化媒体中の同位体Oの存在量を使用して酸素の量を算出する。
この実施形態を用いることで、化学の式が分からなくても、Oを含まない参照サンプルを用いて化合物または化合物の混合物の酸素の量を決定することができる。
本発明の分析方法を用いることで、ガスまたは液体クロマトグラフィー装置で化合物を予め分離せずに、単一の酸化可能化合物または酸化可能化合物の混合物中の酸素の存在を決定することができる。
そのために、参照サンプルはOを含まず、本発明の分析方法は工程(c')をさら含むのが好ましい。この工程(c')は完全酸化工程(i)で得られた気体の各酸化種AaOoまたは所定の気体の酸化種AaOに対して以下の(1)〜(3)の操作を含む:
(1)試験サンプルに対して、工程(ii)で検出装置によって生成された信号を処理して、テスト値を抽出し、このテスト値は各同位体比Aa 16O/Aa Zi 16o-iの値であり(ここで、iは上記で定義のもの)、
(2)参照サンプルに対して、工程(ii)で検出装置によって生成された信号を処理して、参照値を抽出し、この参照値は上記のテスト値を決定した各同位体比Aa 16O/Aa Zi 16o-iの値であり、
(3)少なくとも1つのテスト値が対応する参照値と異なるか否かをチェックすることによって試験サンプルが酸素を含むか否かを決定する。
本発明の分析方法を用いることによって、ガスまたは液体クロマトグラフィー装置を用いた予備分離をすることなく、また、化合物の化学式を知らなくても、単一の酸化可能化合物または酸化可能化合物の混合物中の酸素の量を決定することができる。
そのための本発明方法は下記で構成することができる:
(1)工程(a)で、参照サンプルは既知量の少なくとも一つの参照化合物を含むか、それのみから成り、少なくとも1種の参照化合物は試験サンプルに含まれるか、それを構成する少なくとも一つの酸化可能化合物中に存在するOとは異なる少なくとも1つの化学元素を含み、
(2)完全酸化工程(i)で得られ且つ工程(ii)で検出された全ての酸化種AaOoに対して工程(c')を実行し、
(3)上記の工程(d') と同様の工程を含む工程(d')で試験サンプル中の酸素の量を決定する。この工程(d')は試験サンプルの同位体比の値が参照サンプルの同じ同位体比の値と異なり、試験サンプル由来の酸素の存在を示すことが工程(c')で分かっている気体の各酸化種AaOoに対して実行される。
上記で延べたように、工程(a)で用意した試験サンプルの酸化可能化合物が有機化合物である場合には、酸化可能な参照サンプルは少なくともC、好ましくは、少なくともCとHを含み、さらに必要に応じてN、Sまたは試験サンプル中に存在するOとは異なる他の任意の化学元素を含む少なくとも1つの参照化合物を含むか、それから成る。
本発明の分析方法を用いることで、酸素を含む1種または複数の酸化可能化合物の定量と酸素含有量を求めることができ、あるいは、Oの存在が未知である試験サンプル中の酸素を定量することができる。
そのための分析方法は下記の(1)〜(3):
(1)工程(a)で試験サンプルは少なくとも1種の酸素を含有する酸化可能化合物を含むか、それから成り、参照サンプルは既知量の少なくとも一種の参照化合物を含むか、それから成り、少なくとも1種の参照化合物は試験サンプルに含まれるか、それから成る酸素を含む少なくとも一種の酸化可能化合物中に存在する任意の化学元素を含み、
(2)必要に応じて、工程(b)で、工程(i)の前に、試験サンプルを、必要に応じて参照サンプルと混合した後に、液体またはガスクロマトグラフィー装置に導入して、異なる保持時間を有する酸化可能化合物に分離し、分離物を工程(i)と(ii)に別々に送り、
(3)この分析方法は、必要に応じて、分離した各酸化可能化合物に対して定量工程(e)をさらに含み、
この定量工程(e)は下記の1)〜3)から成る:
1)試験サンプル、場合によっては分離した酸化可能化合物に対して、工程(ii)で検出装置によって生成された信号を処理して、所定の化学元素AまたはOの酸化された種AaOoの全ての同位体に対して工程(ii)で生成された信号の強度を表す値を抽出し(ここで、この元素AまたはOは参照サンプルと試験サンプルの両方に存在し、場合によっては分離された酸化可能化合物中に存在する)、得られた強度値を合計し、
2)参照サンプルに対して、工程(ii)で検出装置によって生成された信号を処理して、同じ元素AまたはOの酸化された種AaOoの全ての同位体に対して工程(ii)で生成された信号の強度を表す値を抽出し、得られた強度値を合計し
3)参照サンプル中に含まれるAまたはOの量と上記の合計値から試験サンプル中、場合によっては分離された酸化可能化合物中のAまたはOの量を算出する。
定量工程(e)は所定の化学元素Aに対して行うのが好ましい。その場合、参照サンプルは酸素を含んでいないのが好ましい。
分離された酸化可能化合物中のAの量を決定した後に、分離された酸化可能化合物の化学式を用いてOの量を決定することができる。
工程(e)はOおよびO−含有参照化合物を用いて実行でき、それによってOの存在が予め分かっていない場合でも、サンプル中のOを直接定量できるが、計算が複雑なのでこの実施形態は好ましいものではない。
AおよびOの上記計算では酸化媒体中の酸素同位体の存在量を使用することができる。
この実施形態は酸素含有化合物、特に化学式が公知の酸素含有化合物の直接定量で有用である。
本発明の分析方法を用いることで、酸素含有量が低い場合でも、酸化可能化合物中の酸素の存在および/またはその量を比較的高い精度および正確性で決定することができる。また、本発明方法はインライン測定に使い易い装置で実現することがでる。
本発明の方法は、酸化可能化合物の定性分析と組み合わせることで、1種または複数の酸化可能化合物、特に有機化合物を完全分析することができる。
本発明の分析方法は、酸素の存在とその定量を、実験室アッセイまたは工業プラントで、特にインライン測定で精密かつ正確に行う必要のある多くの異なる分野で使用することができる。本発明の分析方法は化学プロセスの制御、製品の品質制御、化学反応の最適化、最適化研究で使用することができる。
本発明の分析方法は、精製分野でストリームの酸素含有量を制御し、下流設備での望ましくない化合物の形成を回避したり、下流に位置する酸素に敏感な触媒の失活を回避するのに特に有用である。また、本発明方法を用いることで精製設備の循環ストリームをより良く理解することができる。
しかし、本発明は特定の用途に限定されるものではなく、本発明の分析方法は特定サンプル中の酸素含有量の測定が要求される全ての産業で使用することができる。
本発明はさらに、本発明の分析方法を用いて工業ユニット中を循環する一種または複数の流体中の酸素の存在および/また酸素含有量を測定することができる少なくとも一つの運転工程を含む工業ユニットの運転方法にも関するものでもある。この運転操作は工業プラントの管理、制御、監視、起動、停止、調整およびチューニングの中から選択できる。
上記流体は工業プラントの原料(feedstock)または流出物(effluent)、例えば植物、動物または化石起源の炭化水素有機化合物の混合物にすることができる。
上記の工業ユニットは化学プラントまたは石油化学プラントの一部にすることができる。工業ユニットの例として下記を挙げることができる:
(1)固定床接触分解または流動接触分解装置、
(2)スチームクラッカー、
(3)水素化ユニット、好ましくは圧力下で運転される水素化ユニット、例えばオレフィンまたはアルキンの水素化、硫黄除去(HDS)、酸素除去(HDO)および/または窒素除去(HDN)、
(4)水素化分解、
(5)スチームメタン改質装置、
(6)アルコールをオレフィンへ変換するユニット、例えばメタノールのオレフィンへの変換(MTO)およびMTO/OCPユニット、
(7)異性化ユニット、
(8)ビスブレーカー、
(9)アルキル化ユニット
(10)瀝青ブローイングユニット(bitumen blowing unit)、
(11)蒸留塔、例えば常圧または真空蒸留塔、
(12)硫黄回収ユニット
(13)アミン洗浄ユニット、
(14)炭化水素のディープ変換ユニット(deep conversion unit)、例えばH−油、ARDS、コーカー、スラリー水素化分解、
(15)重合ユニット、例えばエチレン、プロピレン、スチレンまたはブタジエンモノマーおよびこれらの混合と少なくとも1種の他の追加モノマーとを用いた重合ユニット、
(16)合成ガス(syngas)生成ユニット
(17)合成ガス(syngas)供給ユニット、例えばフィッシャー・トロプシュユニット。
酸化可能化合物
工程(a)で用意する、本発明の分析方法を適用することができる試験サンプル中に含まれる、または、それを構成する酸化可能化合物は、酸化が可能な任意の化合物または酸化が可能な化合物の混合物の中から選択することができる。
試験サンプル中の酸化可能化合物の一部または全ては有機化合物にすることができる。この有機化合物は骨格炭素と種々の数のH原子とを含むことができる。
分析可能な試験サンプルは酸素以外の化学元素、例えばN、S、さらにはAs、Se、Pbのような1つのまたは複数の他の化学元素をさらに含むことができる。
本発明方法を用いることで、酸化可能化合物の複雑な混合物、特に有機化合物の混合物、特に植物、動物または化石起源の炭化水素の有機化合物を分析することができる。
いずれの実施形態でも、試験サンプルは下記の中から選択することができる:
(1)合成原油(synthetic crude)またはその画分、
(2)粗石油またはその画分、
(3)製油所オフガス、
(4)LPG、
(5)エチレン、プロピレン、ブテン異性体、ペンテン異性体、ヘキセン異性体、それらの混合物およびこれらの対応するアルカンとの混合物のような材料を含むモノマー、
(6)熱分解ガス、
(7)ナフサ、ガソリン、
(8)ジェット燃料、
(9)アブガス(avgas)、
(11)ディーゼル燃料、
(12)バンカー燃料、
(13)瀝青、
(14)石油残渣、例えばライトサイクル油、重サイクル油、常圧残渣油、減圧残渣油、ビスブレーキング残留物、スラリー残渣、ペットコーク、
(15)動物、植物または藻類バイオマスまたは廃棄物から直接得られる水素化されていてもよい油またはワックス。
特に、本発明方法では精製設備で使用される炭化水素原料または精製設備から出る流出物を分析することができる。炭化水素原料は原油、タール由来のオイル、瀝青砂由来のオイル、石炭から誘導されるオイル、蒸気分解ユニットのフィードとして使用される原料、分解ユニットの原料として使用される供給原料、特にバイオマス由来の原料、重合ユニットの原料として使用される原料、アルコール脱水装置で使用される供給原料にすることができる。流出物は流動接触分解ユニット、蒸気分解ユニットからの流出物にすることができる。
試験サンプルは、定量する必要のある酸素含有化合物、特に化学式が既知である酸素含有化合物を含むか、それから成ることができる。
参照サンプル
工程(a)で用意する参照サンプルは、試験サンプル中に存在する少なくとも1つの化学元素を含む少なくとも1つの酸化可能な参照化合物を含むか、それからなる成ることができる。
この少なくとも1つの化学元素は試験サンプル中に主成分として含まれているのが有利である。すなわち、試験サンプル中に含まれる他の化学元素の含有量と比較して含有量がより多い化学元素であるのが有利である。
参照サンプルは、必要に応じて、試験サンプル中に存在する全ての化学元素を含んでいてもよい。
参照サンプルに含まれる各参照化合物の化学式はその定義から分かっている。各参照化合物は化学種Aaoに酸化することができる。
参照サンプルに含まれる参照化合物は単一であるのが有利である。
試験サンプルの全部または一部が有機化合物である場合には、参照化合物は、少なくともC、好ましくは少なくともCとHを含み、場合によってはN、Sまたはその他任意の化学元素、特に、試験サンプル中に存在する化学元素を含むことができる。
特に、少なくとも一つの参照化合物はN、Sまたはその他の任意の化学元素、例えばAs、Se、Pbを含むことができる。特に、試験サンプル中に含まれる酸化可能化合物がこれらの化学元素を含む場合には、N、Sまたはその他の化学元素を含む参照化合物を使用する。そうすることによって試験サンプル中に含まれる酸化可能化合物の定量を元素N、S等の定量で行うことができる。
上記の少なくとも一つの参照化合物は酸素を含むこともできる。
より一般的には、試験サンプルの酸化可能化合物が酸素とは異なる少なくとも1つの化学元素、例えばS、N、C、P、As、Se、Pb、V:Si、Ni、MOを含む場合、これらの化学元素の一つまたは複数の含有量は公知の同位体希釈法を用いて決定することができる。
そのためには、酸素以外の少なくとも1つの化学元素の同位体の既知量を工程(i)の前に酸化可能化合物に混合する。この同位体はマーカーとして使用され、炭素質化合物の形で添加され、工程(i)で気体の酸化種を形成する。この酸化種は分析すべきサンプルを用いて得られるものと同じものである。
この同位体を工程(ii)の前に分析すべきサンプルから生じる気体の酸化種に混合することもできる。この場合にはサンプルと同じ気体の酸化種の形態で添加するのが好ましい。
例えば、C、NおよびSの場合に添加または形成する気体の酸化種は13CO215NOx34SOxである。
対応する元素の量はマーカーを用いるか、用いずに同位体比を測定することによって決定することができる。これは[特許文献2](欧州特許第EP1939617号公報)に開示されている。この特許の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
より一般的には、定量化が必要とされる場合、参照サンプルの量は公知である。
参照サンプルは工程(i)の前に試験サンプルに混合できる。換言すれば、この参照化合物は内部参照になる。この場合、保持時間が十分に異なっている限り、工程(i)の前に混合物をガスまたは液体クロマトグラフィー装置に導入することで、試験サンプルおよび参照サンプルを別々に酸化することができる。当業者は保持時間が試験サンプルとは十分に異なる適切な参照サンプルを選択することができる。保持時間が十分に異なるとは、分離した化合物がクロマトグラフィー装置から出た時に完全に分離するということ、すなわち、保持時間が重複しないということである。
また、参照サンプルを試験サンプルの前または後に工程(i)に単独で提出することもできる。この場合の参照サンプルは外部参照になる。
酸化可能化合物の種類の決定
試験サンプルに含まれる、または、それを構成する酸化可能化合物の種類の決定は任意(オプション)工程である。この工程は定量すべき酸化可能化合物の化学式を決定するために、分析方法の任意の工程の前に行うことができる。
この工程は例えば酸化可能化合物の種類に応じた任意の公知の方法を用いて行うことができる。
好ましい実施形態では、ガスまたは液体クロマトグラフィ装置を使用し、必要に応じてそれと質量分析検出器、例えば電子衝撃イオン化源を有する質量分析計を組み合わせる。
しかし、化学式を決定することができるものであれば、本発明では特定の分析方法に限定されるものではない。
蒸発工程
分析すべきサンプルを蒸発(揮発)させる工程は任意工程である。この蒸発工程は酸化可能化合物を分解せずに蒸発できる条件で公知の任意の手段によって行うことができる。
使用可能な蒸発手段は加熱装置、例えばスプリット/スプリットレス インジェクター、PTV(温度プログラム付き気化)インジェクタ−や、注射器を含む機器、例えばガスクロマトグラフィー装置にすることができる。
分析すべき酸化可能化合物をガスクロマトグラフィー装置に通して蒸発するのが有利である。
ガスクロマトグラフィー装置は市場で入手可能な任意のクロマトグラフィー装置にすることができる。
蒸発にガスクロマトグラフィー装置を使用する場合には、酸化可能化合物の化学式を決定する工程で使用するものと同じものを使用するのが有利である。そうすることによって特定の酸化可能化合物に対する特定の保持時間を利用できる。
工程(b)
工程(b)では、工程(a)で用意された試験サンプルおよび参照サンプルがサンプルを気体の酸化種Aaoに完全酸化するのに有効な条件下で少なくとも一種の酸化剤を含む酸化媒体の存在下で完全に酸化反応する工程(i)と化学種の検出工程(ii)へ別々に送られる。
酸化工程(i)
酸化工程(i)では参照サンプルと試験サンプルが同じ化学種Aaoに変換される(有機化合物の場合には、この化学種は例えばCO2、H2O、SOx、NOx等である)
工程(i)の酸化媒体は所定含有量の天然の組成および分布と同じではない酸素同位体ZOを含む。これは使用する同位体ZOは自然界には天然では見出し得ないということを意味する。換言すればZ≠16、例えばZ=18または17で、好ましくはZ=18である。さらに、酸化媒体はこの同位体ZOを天然のZO同位体の量(0.2%)とは異なる量で含む。このZO同位体を酸化種に入れることによってそれを分析のために酸素マーカーとして使用することができる。酸化媒体中のZO同位体の含有量は、用いる検出装置で検出できる天然物の含有量から十分に異なっている限り、本発明は特に限定されない。
従って、酸化媒体は天然の酸素同位体比とは異なる同位体比ZO/16Oを有している。
例えば、この同位体比ZO/16Oが天然の同位体比ZO/16Oと少なくとも10倍、好ましくにより少なくとも25倍、好ましくは少なくとも50倍、最も好ましくは少なくとも250倍異なる場合に、同位体比ZO/16Oは天然の同位体比ZO/16Oとは異なると考えることができる。もちろん、この差が大きい程、試験サンプル中の天然Oの存在を識別し易くなる。
どの実施形態の場合でも、酸化媒体中に存在する酸素同位体ZOは18O、17Oおよびこれらの混合物の中から選択することができる。工程(b)で使用する酸化媒体は18Oのみを含むことができる。
どの実施形態の場合でも、酸化媒体は(1)酸素含有ガス、例えば182、(2)金属酸化物(金属はCuおよび/またはNiまたはその他から選択できる)から選択できる少なくとも一つの酸化剤を含む。
この酸化剤は二原子酸素(O2)および酸素分子と不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等との混合物から選択される酸素含有ガスにすることができる。工程(b)の酸素含有ガスとしては182を使用するのが好ましい。
酸素含有ガス中のZOの含有量は上記の比ZO/16Oが天然の同位体比ZO/16Oと少なくとも10倍、好ましくは少なくとも25倍、好ましくは少なくとも50倍、特に好ましくは少なくとも250倍異なるように選択する。
酸化反応は試験サンプルおよび参照サンプルを完全に気体の酸化種AaOoに酸化するのに有効な条件下で行う。この条件は工程(a)で用意した酸化可能化合物に応じて当業者が容易に決定することができる。
完全酸化反応を行うためには過剰な酸素を与えるのが好ましい。
一例として、温度は800℃以上、好ましくは少なくとも850℃にすることができる。使用温度は1200℃以下、より好ましくは1〜150℃以下にするのが好ましい。
試験サンプルおよび参照サンプルを完全酸化できる限り、本発明では特定の温度に限定されない。使用する装置の大きさと使用する装置の材料に応じて他の温度範囲を使用することができる。
酸化反応は酸化反応を促進する一つまたは複数の触媒の存在下で行うことができる。触媒は例えば金属、金属酸化物またはこれらの混合物の中から選択することができる。金属酸化物、例えばCuO、AgOまたはその他の任意の他の適切な金属酸化物を用いることができる。
一例として、反応はCuおよび/またはNiおよびPt(またはPd)ワイヤの存在下で行うことができる。この場合、これらの属は酸化可能化合物の酸化反応の前または反応中に工程(b)で使用される酸素含有ガスによって酸化される。触媒として使用したPT(またはPd)は酸化反応中にCuから酸化可能化合物への酸素の移動を促進する。
従って、酸化媒体の酸化剤は金属、例えばCu、Niの中から選択される金属酸化物にすることができる。酸素の同位体ZOを含むこの酸化剤は単独または上記気体の酸化剤と組み合わせて、必要に応じて触媒の存在下で、使用することができる。
工程(i)で酸化可能化合物の完全酸化反応が完了すると、気体の酸化種が形成され、そのいくつかは工程(i)で使用した酸化媒体中に存在した酸素同位体ZOを含む。換言すれば、異なる酸素同位体を含有する複数の気体の酸化種が得られる。特に、形成された気体の酸化種は酸化可能化合物からの同位体16Oと、酸化媒体由来の同位体ZOと、場合によっては酸化媒体からの同位体16Oとを含む。
一例として、工程(i)で行わる酸化性有機化合物の完全酸化(完全燃焼)反応は下記の式(1)および(2)で表すことができる。以下では簡単にするために同位体ZOは18Oであり、天然Oは純粋16O(存在量99.8%)であると仮定する。
Figure 0006858792
(ここで、
c、h、o、s、nは有機化合物のC、H、O、S、Nのかく原子数を表し、
xは酸化後にCO2になる有機化合物中に存在する酸素原子の割合を表し、
yは酸化後にH2Oになる有機化合物中に存在する酸素原子の割合を表し、
vは酸化後にNO2になる有機化合物中に存在する酸素原子の割合を表し、
wは酸化後にSO2になる有機化合物中に存在する酸素原子の割合を表し、
x、y、vおよびwの合計は酸化される有機化合物中に存在する酸素原子数に相当する)
酸化反応の式(1)から、検出可能なAaOo種は酸化された化学種、例えばCO2、H2Oであり、NとSが存在する場合にはさらにNOX、SOX、特にNO2およびSO2である。
ガスまたは液体クロマトグラフィー装置を用いて分離を行った場合には、十分に異なる保持時間を有する酸化可能化合物を分離することができる。従って、工程(c)において酸素含有量の存在を決定でき、工程(d)において特定の保持時間を有する酸化可能化合物中の酸素含有量を決定することができる。
工程(ii)
工程(ii)では、互いに異なる酸素の同位体を含む気体の酸化種が検出され、検出された各酸化種の特徴と量を代表する信号が検出装置によって生成される。
すなわち、工程(i)で形成された酸化種、例えばCO2、H2O、さらには、NとSが存在する場合にはNOX、SOX、特にNO2およびSO2を検出することができる。これらの各酸化種は潜在的に工程(c)で使用した酸化媒体から来るZOを含み、酸化媒体がZOを含まない時には潜在的に試験サンプルに由来する16Oと、場合によっては工程(i)で使用した酸化媒体に由来する16Oとを含む。
検出装置が生成する信号はアナログ信号でもデジタル信号でもよい。
検出器によって生成された信号は当業者に公知の通常の信号処理へ送られて、例えば、信号の強度を表す値または酸化種の同位体比を表す値が抽出される。
一例として、信号処理によって特定酸素同位体の単一の酸化種AaOoに特有なピークを有するスペクトログラムをプロットすることができ、このピークの面積または高さが上記単一の酸化種の量を表す。ピークのまたは高さは信号の強度に関連する。従って、上記ピークを用いることで信号の強度または同位体比を表す値を決定することができ。る
いずれの実施形態でも、検出装置は(1)質量分析計(質量分析計のイオン化源は例えば電子イオン化にすることができる)、(2)赤外分光計(例えばキャビティリングダウン装置を備えることができる)、(3)同位体分化に適した他の任意の装置にすることができる。
質量分析計は、必要に応じて、酸化可能化合物の定性分析で使用したものと同じものにすることができる。
特に、検出装置が質量分析計である場合には、通常の信号処理で得られる質量スペクトログラムをプロットすることができる。
工程(i)で形成された気体の酸化種の全てを検出し、それらの信号を生成することができる。
酸化可能化合物が酸素と酸素とは異なる少なくとも1つの化学元素、例えばC、H、S、N、C、As、Se、Pbを含む場合には、工程(i)でこれらの元素を含む気体の酸化種が形成される。従って、これらの元素の同位体を上記のようにして導入した場合、これらの元素とその同位体を含む気体の酸化種を出することができ、その信号を生成することができる。
また、実行する分析に応じて、工程(i)で形成された複数の所定の酸化種を検出し、その信号を生成させることができる。
工程(c)または(c')
工程(c)または(c')では各酸素同位体の全てまたはいくつかの気体の酸化種を表す信号または参照信号からから試験サンプル中の酸素の存在を検出することができる。参照信号は工程(a)で用意した参照サンプルを、試験サンプルを分析するのと同じ条件下で、工程(b)へ提出することによって生成される。この検定の場合には参照サンプルは酸素を含まないのが好ましい。
試験サンプルを(必要に応じて参照サンプルと混合してから)工程(i)(ii)の前に工程(b)でガスまたは液体クロマトグラフィー装置に導入する場合には、サンプル中の分離した酸化可能化合物中の酸素の存在を以下の方法で工程(c)で求めることができる。
気体の各酸化種Aaoまたは所定の気体の酸化種AaOoに対して、分離された酸化可能化合物および参照サンプルに対して検出装置が生成した信号を別々に処理して、分離した各酸化可能化合物および参照サンプルに対して少なくとも同位体比Aa16O/AaZi 16o-iの値を抽出する(ここで、iは上記で定義のもの)。気体の各酸化種Aaoまたはいくつかの所定の気体の各酸化種Aaoに対して以下の値を求める:
(1)試験サンプルの分離された酸化可能化合物の同位体比のテスト値(V_test_compound)
(2)参照サンプルの同位体比の参照値(V_ref)。
その後、各酸化種Aaoの上記値(V_test_compound)と上記値(V_ref)とを比較することで分離された酸化可能化合物中の酸素の存在は容易に決定できる。もちろん、参照サンプルが酸素を含まない場合、全ての酸化種Aaoに対して上記2つの値が同じ時には分離された酸化可能化合物は酸素を含まないということを意味する。逆に、上記の値(V_test_compound)および値値(V_ref)の一つまたは複数が異なっている場合は分離した酸化可能化合物が酸素を含むということを意味する。
既に述べたように、上記の値がサンプルを複数回分析した時に通常観察される統計差以上に異なる場合、その差は酸素の存在を十分に示すと考えることができる。例え場、同位体比が3%以上、好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上異なる場合に酸素が存在すると考えることができる。
また、酸素の存在の決定(または検出)はガスまたは液体クロマトグラフィー装置によって酸化可能化合物を分離せずに行うこともできる。試験サンプル中の酸素の存在は下記の工程(c')で行うことができる。
各酸化種Aaoまたはある所定の酸化種Aaoに対して試験サンプルおよび参照サンプルに対して検出装置が生成した信号を試験サンプルと参照サンプルに対して別々に処理して同位体比AAの値Aa 16O/Aa Zi 160-iを抽出する。各酸化種Aaoまたはある所定の酸化種Aaoに対して以下の値を決定する0:
(1)試験サンプルの同位体比のテスト値(V_test_compound)
(2)参照サンプルの同位体比の参照値(V_ref)。
上記と同様にして、各酸化種Aaoに対して値(V_test)と値(V_ref)の比較によって試験サンプル中の酸素の存在は容易に決定することができる。全ての酸化種Aaoで値(V_test)と値(V_ref)が等しい場合は試験サンプルが酸素を含まないことを意味し、少なくとも1つの酸化種に対して値(V_test)と値(V_ref)が異なる場合、それは試験サンプルが酸素を含むことを意味する。
両方の実施形態において、特定の酸化可能化合物から来る、または、試験サンプルの特定の化学種に対して16Oが常に特定の酸化種Aao中に見出されることが観察されるのであれば、この化学種に対しただされた信号のみを検出し、処理して同位体比の値を比較することができる。そうすることで分析時間を短縮することができる。
定量工程(d)または(d')
定量工程(d)または(d')では試験サンプル中の酸素の量または試験サンプルの酸化可能化合物の量を決定する。ここでも各酸素同位体の全部または一部の気体の酸化種を表す信号および(a)で用意した参照サンプルを分析すべき試験サンプルと同じ条件下で工程(b)に提供することで生成される参照信号を処理する工程が含まれる。
これらの工程(d)または(d')の目的は定量であるので、参照サンプルの量は知っていなければならず、参照サンプルが複数の参照酸化可能化合物を含む場合には、それぞれの量を知っていなければならない。
定量化では酸化可能化合物の化学式を知る工程を実行するか実行しない(工程(d)または(d')。
試験サンプルを、必要に応じて参照サンプルと混合してから、ガスまたは液体クロマトグラフィー装置に導入して酸化可能化合物を分離し、その後、分離された各酸化可能化合物を工程(b)へ提供し、工程(d)で分離された酸化可能化合物中の酸素の定量または試験サンプル中の分離された酸化可能化合物の定量を実行することができる。この定量は前の工程(c)で酸素が含まれていることが決定された分離された酸化可能化合物に対して実行するのが有利である。この実施形態では分析すべき分離酸化可能化合物の化学式を知っていることが必要である。上記で述べたように、この化学式は前の工程で決定することができる。
次に、分離された各酸化可能化合物に対して工程(d)を行う。ここでは最初に分離された酸化可能化合物および参照サンプルの両方に存在する酸素以外の化学元素Aの定量を行う。多くの場合、CO2が大きな信号を生成するので、この化学元素は有機化合物のCであるのが好ましいが、NまたはSあるいは試験サンプルおよび参照サンプルの両方の中に存在する他の任意の化学要素でもよい。Cを含まない化合物の場合に選択される化学元素Aは、その化合物の主要元素であることが知られている化学元素にすることができる。以下の説明では、定量する元素としてCを用いて説明するが、CをAに置換することによって任意の元素に一般化することができる。
各気体の酸化種Aaoまたは所定の気体の酸化種Aaoに対して、分離された各酸化可能化合物および参照サンプルに対して検出装置によって生成された信号を別々に処理して、分離ささた酸化可能化合物および参照サンプルに対して、CO2の全ての同位体に対してために生成された信号の強度を表す値を抽出する。次の値を決定する:
(1)分離された酸化可能化合物に対して生成された全てのCO2信号の強度の合計値である値I(CO2)_compound、
(2)参照サンプルに対して生成された全てのCO2信号の強度の合計値である値I(CO2)_sample、
(3)参照サンプル量から求めた参照サンプル中のC含有量。
上記の値から分離された酸化可能化合物のCの含有量は簡単に決定することができる。続いて、化学式からOの量または分離された酸化可能化合物の量を場と塗る。詳細については実施例2を参照されたい。
酸化可能化合物の化学式が分からないこともある。そのような場合には以下の方法で定量を行うことができる。
この場合には、試験サンプルを、必要に応じて参照サンプルと混合してから、工程(i)の前に分離をするために液体またはガスクロマトグラフィーに導入する。
完全酸化工程(i)で得られ、工程(ii)で検出された全ての気体の酸化種Aaoに対して上記の工程(c)または(c')を行う。この工程(c)または(c')を行うことで、どの酸化種Aaoの同位体比が参照サンプル中または試験サンプル中(または分離された酸化可能化合物中)のものと異なっているかを決定することができる。
次いで、工程(d')で、上記酸化種Aaoに対して信号を適切に処理して以下を決定することができる:
(1)試験サンプルに対して生成された全てのAao信号強度の合計である値I(Aao)_testまたは分離された酸化可能化合物に対して生成された全てのAao信号強度の合計である値I(Aao)_compound、
(2)参照サンプルに対して生成された全てのAao信号強度の合計である値IAao)_sample、
参照サンプル中のAの量は分かっているので、試験サンプル(または分離された酸化可能化合物)中のAの量を決定することができ、同位体比Aa 16O/AA Zi 160-iと酸化媒体中の同位体Oの存在の存在量とからOの量を決定することができる。
特定の酸化可能化合物からの、または、試験サンプルの特定の種類の16Oが常に特定の酸化種Aao中に見出されることが観察された時には、上記で述べたように、その酸化種に対して生成された信号のみを検出して処理することができ、それによって分析時間を短縮することができる。そうでない場合は、参照サンプルとは異なる同位体比を有する全ての酸化種Aaoに対して生成された信号強度を加算する。
好ましくはないが、既知量のOを含有する参照サンプルを用いてOの定量を行ってもよいことも留意すべきである。酸素を含有する参照化合物の例はエステルである。この場合には分離された有機化合物に対しておよび参照サンプルに対して全ての酸化種の信号の強度を合計されなければならないので、検定方法はより複雑になる。
試験サンプルの定量
試験サンプルは酸素化酸化可能化合物のみを含んでいてもよく、また、酸素を含まなくてもよい。本発明の分析方法を用いることで試験サンプルを定量することができる。
参照サンプルは上記定量工程(d)または(d')と同様に既知量であり、また、酸素を含んでいてもよい。
試験サンプルは、必要に応じて参照サンプルと混合して、工程(b)で工程(i)の前に、液体またはガスクロマトグラフィー装置に導入され、異なる保持時間を有する酸化可能化合物を分離され、工程(i)および(ii)に別々に送られる。
その後、定量を工程(e)で以下に述べる方法で実行することができる。工程(e)は工程(d)または(d')に類似しているが、所定の化学元素AまたはOの酸化種Aaoの全ての同位体に対する信号の強度を合計する(元素Aは試験サンプルと参照サンプルの両方に存在する)。試験サンプル(または分離した酸化可能化合物)および参照サンプルに対して得られたこれらの合計値と、AまたはOの既知量とから、試験サンプル中(必要に応じて分離された酸化可能化合物中)のAまたはOの量を決定することができる。
本発明の他の目的、利点および特徴の一部は以下の説明から明らかになるであろう。しかし、以下の実施例および図面は例示の目的のためのもので、本発明を限定するものではない。
本発明の方法を実施するための分析装置の一例を表す図。 18、20、44、46および48のm/z種に対応する信号の強度を保持時間の関数で表した試験Aで記録されたマスクロマトグラムのエキストラクト(抽出物)を示す図。
[図1]は本発明の分析方法を実施するのに使用できる分析装置1の一つの例を示している。この分析装置1はガスクロマトグラフィー装置2と、燃焼器3と、検出装置4とを含んでいる。
分析すべきサンプル(試験サンプル)はインジェクタ5、例えばガスクロマトグラフィー装置2の一部である注入口を用いてガスクロマトグラフィー装置2中に注入される。インジェクタ5で蒸発させられた試験サンプルはガスクロマトグラフィー装置2の分離カラムへ送られる。
試験サンプルが互いに異なる酸化可能化合物(oxidizable compounds)を含む場合には、蒸発された酸化可能化合物はそれぞれ異なる保持時間でガスクロマトグラフィー装置2を別々に離れる。ガスクロマトグラフィー装置2を出た蒸発された酸化可能化合物はライン6、例えば溶融シリカキャピラリーを通って燃焼ユニット3に導かれる。従って、互いに異なる保持時間を有する蒸発された酸化可能化合物は燃焼部3を別々に通過する。
燃焼3ユニットは、互いに異なる保持時間を有する蒸発された酸化可能化合物が再混合するのを回避した状態で、蒸発された酸化可能化合物を完全酸化反応させることが可能な寸法を有する例えばオーブンにすることができる。従って、燃焼部3を通過する酸化可能化合物の保持時間の順序は変更されない。
例えば、燃焼ユニット3は外径が3mm、内径が0.5mm、長さが35cmのセラミック管にすることができる。このセラミック管を抵抗で囲み、全体を断熱材の内部に配置する。
燃焼器3は一般に温度調節するための温度センサを備えている
完全酸化反応を行うために、酸素含有ガスがライン7を介して燃焼部3に供給される。本発明では、酸素含有ガスは所定含有量の酸素同位体ZOを含んでいる。酸素含有ガスとしては182を使用するのが好ましい。この酸素含有ガスを蒸発された酸化可能化合物を燃焼させるためにオンラインで添加した場合には、過剰な酸素含有ガスを検出装置4に到達する前に除去しなければならない。
酸化反応を促進するために、燃焼部3には触媒、例えばCu、Ptのワイヤまたは他の適切な金属または合金の任意のワイヤおよびこれらの任意の適切な形(ワイヤ、メッシュ、ナノ粒子...)を含むことができる。Cuのワイヤは酸化反応の前または反応中に酸素含有ガスによってCuOに酸化される。従って、このCuO中には酸素同位体のZOが存在する。しかし、いずれの実施形態でも、酸化反応を上記酸素含有ガス無しで酸素同位体ZOを含む金属酸化物の存在下で行うことができる。
蒸発された酸化可能化合物は燃焼部3中で完全に酸化される。例えば、酸化性有機化合物CChまたは酸化性有機化合物CChoはCCO2とh/2H2Oを形成し、Cchn化合物はCC0とnNOXとh/2H2Oとを形成し、Cchs化合物はcCO2とsSOXとh//2H2Oとを形成する。
酸化された種(酸化種)は燃焼部3を出て、ライン8、例えば溶融シリカキャピラリーを通って検出装置4に送られる。
検出装置4は一般に任意の実施形態で、燃焼部3を出た各々異なるm/z酸化種を検出し、信号を生成する。その各信号はm/z酸化種を表し、検出されたm/z酸化種の量に依存する信号である。この検出装置4は例えば質量分析計にするか、互いに異なる種およびそれらの同位体を検出するのに適した任意の他のデバイス、例えばキャビティリングダウン分光計(cavity Ring Down spectrometer)にすることができる。
[特許文献2](欧州特許第EP1939617号公報)に開示された同位体希釈方法に従って他の化学元素の量を求める場合には、ライン8に接続されたライン9を介して、酸素以外の化学元素の同位体の既知量を供給することができる。導入する同位体種は例えば13CO215NOX34SOXにすることができる。
例えば定性分析のためにガスクロマトグラフィー装置2を検出装置4に直接接続するライン6上に三方弁10を設けることができる。
ガスクロマトグラフィー装置2を液体クロマトグラフィー装置に置き換えてもよい。
検出装置4は工程(c)、(c')、(d)、(d')、(e)のいずれかである本発明の分析方法の決定(determination)工程を実行する決定装置 (determination device) 11に接続することができる。
この決定装置11は以下の(1)〜(4)を含むことができる:
(1)検出装置4で生成された信号(S)受信する受信手段12、
(2)検出器で生成された信号を受信し、その信号を処理し、強度値、同位体比値またはピーク面積またはピーク高さ値を決定し、酸化された化合物またはサンプル中の任意の化合物の酸素の存在、酸素の量または酸素以外の化学元素の存在または量を決定する処理手段13、
(3)検出装置によって生成された信号および/または処理手段13で決定された値を表示部15へ送信する送信手段14、
(4)必要に応じて信号および決定値を格納するメモリ16。
上記の処理手段はさらに、燃焼ユニット3、さらには、ガスクロマトグラフィー装置2および検出装置4を制御する制御信号も生成できる。
上記決意装置11は1つまたは複数のプロセッサ、例えばマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ等に組み込むことができる。
上記の受信手段は出力ピン、入口ポート等を含むことができる。処理手段13は中央処理装置、プロセッサを含むことができる。送信手段は出力端子、出力ポート等を備えることができる。
実験
試験は[図1]を参照して説明した測定機器で行った。
(1)ガスクロマトグラフィー装置はカラムDB−5(長さ30m、内径0.25mm)を有する。
(2)燃焼炉14はCuおよびPtのワイヤを含む。
(3)検出装置はm/z:18、20、44、45、46、47、48、49を検出する質量分析計である。
(4)ガスクロマトグラフィー装置の動作条件は[表1]に記載した。スプリット/スプリットレス注入器を使用した。
(5)燃焼炉の温度は850℃に設定した。
燃焼炉で使用した酸素含有ガスは182で、18Oの同位体の含有量は97.1%、16Oの含有量は2.1%である。
燃焼前に、酸素含有ガス流をオーブン中にフラッシュ(注入)し、Cuワイヤを182および162で酸化した。Cuフィラメントに最終的に保持された182(Ab18O)および162(Ab16O)の存在量は質量分析で決定できる。今回得られた値は:Ab16O=20.3%、Ab18O=78.1%であった。しかし、これらの値は酸素含有ガスを炉内にフラッシュする間に使用する条件に応じてわずかに異なるものになる点に留意すべきである。
次いで、酸素含有ガスをフラッシングせずに燃焼を行う。
Figure 0006858792
サンプル分析
上述の条件で既知量の4つのアルカンと4つのエステルとの混合物で作られた溶液を分析した。溶液の組成は[表2]に記載した。
[図2]は得られた質量分析スペクトルの一部を表し、図を明確にするためにテトラデカンと安息香酸エチルのピークのみを示してある。[図2]では図を明確にするためH2Oに対応するピークがCO2ピークに対してシフトされている。
Figure 0006858792
実施例1
酸素の存在の決定
ピーク面積比を測定することによって以下の同位体比を決定した:
同位体比18/20に対応するH2 16O/H2 18O、
同位体比44/48に対応するC162/C182
同位体比44/46に対応するC162/C1816O、
同位体比(18+44)/(20+48)に対応する(H2 16O+C162)/(H2 18O+C182
得られた値は[表3]にまとめて示した。
同位体比44/48および44/46はこのサンプルではアルカン(テトラデカン、オクタデカンおよびノナデカン)およびO−含有化合物(フェネチル酢酸、安息香酸エチル)に対して極めて類似していることが分かる。実際、違いは2%以下である。我々は同位体比18/20および(18+44)/(20+48)に違いを見つけた。
天然Oの存在量(0.2%)は無視することができるので、比(18+44)/(20+48)は、サンプルと酸化媒体から来る16Oのみを含む酸化種(18および44)と酸化媒体から来る18Oのみを含む酸化種(20および48)の比に相当する。従って、特定の保持時間に対して観察したピークでは、この比は燃焼したアルカン(内部基準、この場合にはテトラデカン、オクタデカンまたはノナデカン)で得られた比とは異なる。これはその特定の保持時間で溶出する有機化合物は酸素が含むということを意味する。
[表3]はフェネチルアセテートの比はアルカンの比から統計的に常に異なっているということを示している(信頼性95%、標準偏差2)。
同様な結果が同位体比18/20の場合にも観察される。この比の比較でフェネチル酢酸中の酸素の存在を確認する差が示される。
同様に、[表3]に記載の結果からエチルベンゾエート中の酸素の存在が確認される。
Figure 0006858792
実施例2
試験サンプルのCの定量と化学式を用いた定量
次いで、例えば既知量の内部参照化合物または外部参照化合物(基準化合物)を用いて酸素の量を求めることができる。さらに、酸素を含む(または含まない)既知量の内部標準または外部参照化合物を用いて対応する酸素化された化合物の量も決定することができる。
この実施例では、内部参照化合物として1種または複数のアルカンを使用して、燃焼/酸化反応から生じるCO2を用いて安息香酸エチルおよびフェネチルアセテートに含まれる炭素の量を決定した。そのために、存在する全てのCを含むであろうCO2の全ての同位体種の面積(異なるm/zで検出)を合計した。
次ぎに、C含有量は分かっているので参照化合物の場合のCO2信号を用いてレスポンスファクタRf(Cの合計面積/質量)を生成する。
このレスポンスファクタ(応答係数)は標的化合物(ここでは安息香酸エチルまたはフェネチルアセテート)に対して適して存在するCを定量化できる(Compound Independent Calibration、CIC)。
[表4]はテトラデカン、安息香酸エチルおよびフェネチルアセテートで求めたCO2ピークの面積をまとめたものである。
Figure 0006858792
これらの値からテトラデカンに対して下記を決定することができる:
Figure 0006858792
そして、フェネチル酢酸中のC含有量を推定する。
Figure 0006858792
フェネチルアセテートの式は公知(C10122)であるのでOの量を決定することができ、13.58質量ppmである。
[表2]の値と比較することで、フェネチル酢酸のCおよびOの含有量誤差は7.8%である。
同様な計算で安息香酸エチルでのOの量は13.6%の誤差で決定することができる。
実施例3
試験サンプルの化学式を知らない場合の定量
この定量定量化では、その種の変化するO比とその種中に存在する他の元素の絶対量とを使用する。
この場合、化学式は不要であるので、このアプローチでは下記の定量定量化ができる:
(1)クロマトグラフィーにより分離された存在が知られていない個々の化合物名か存在するO、に
(2)化合物の混合物中に存在するO(クロマトグラフィーの分離有りまたはなし)
この実施例(実施例1および2と同じ試験サンプル)では同位体比44/48および44/46も測定する。m/z=44はC162に対応し、m/z=46はC1618Oに対応し、する。m/z=44は182に対応する。
[表3]から、分子に最初から酸素が含まれている場合でも、全ての分子で同位体比44/46および44/48は同じであることが観察できる。従って、酸素化された化合物名かに含まれる16OはCO2種中ではなく、むしろH2O種中に回収されると想定できる。
この実施例では、OはH2Oにのみに行く。行う必要のある計算の理論の一つの例が示された。我々は存在するHを定量定量化し、その種の同位体比(必要に応じて18/20で修正)と酸化媒体中に存在する同位体Oの存在量を使用して存在するOを定量できる。
試験サンプル中に存在するO(nat)は水に行くと仮定した場合に、式CChO(nat)Oの酸素化された化合物に対して以下が得られる:
cモルのCO2(iso),oモルのH2O(nat)および(h/2_o)モルのH2O(iso)
O(nat)は純粋な16O(存在量0.998)と見なすことができ、O(iso)はCuフィラメント中に最終的に保持されたOの存在量(Ab16OおよびAb18O)を反映し、16Oおよび18O)の両方を含む。これから、
m/z=18で検出された16Oは下記に等しい:
Figure 0006858792
m/z=20で検出された18Oは下記に等しい:
Figure 0006858792
従って、比は下記のようになる:
Figure 0006858792
上記から、我々は下記を推定することができる:
Figure 0006858792
最初に、我々は独立したキャリブレーション(Independent Calibration、CIC)と参照化合物を使用してターゲット中のHの定量化を行った。H2Oピークの面積は[表5]に記載した。
Figure 0006858792
参照化合物(テトラデカン)で測定した面積から下記のレスポンスファクタRfが決定された:
Figure 0006858792
そして、フェネチルアセテート中のHの量が決定された:
Figure 0006858792
形成されたH(h)のモル数、比18/20およびオーブン中の同位体Oの存在量を用いて我々はO量を15.97ppmOと決定することができる。
[表2]の値と比較することで、フェネチル酢酸のHおよびOの含有量誤差はそれぞれ0.3および8.5%であると決定した。
同様の計算によって、我々は、安息香酸エチルでのHおよびOの含有量誤差はそれぞれ6.8および1.4%であると決定した。

Claims (18)

  1. 下記の(a)と(b)を含む、有機化合物である酸化可能化合物中またはこの酸化可能化合物の混合物中の酸素分析のための分析方法:
    (a)少なくとも一種の酸化可能化合物含むか、それのみから成る試験サンプルと、試験サンプル中に存在する少なくとも1つの化学元素を含む少なくとも1種の酸化可能な参照化合物を含むか、それのみから成る参照サンプルとを用意し、
    (b)試験サンプルおよび参照サンプルに対して同じ条件下で以下の(i)と(ii)の工程を別々に行う:
    (i)完全酸化反応の工程であって、この工程ではサンプルを気体の酸化種Aa に完全に酸化するのに効率的な条件下で少なくとも一種の酸化剤を含む酸化媒体にサンプルを提示する(ここで、Aはサンプル中に存在するOとは異なる任意の化学元素であり、aはA原子の数であり、oはO原子の数であり、上記酸化媒体は酸素同位体の組成および分布が天然の組成とは同じでない所定含有量の酸素の同位体ZOを含み、zは原子の質量数である)
    (ii)検出工程であって、この工程では工程(i)で形成された気体の酸化種AaO の全てまたは所定の気体の酸化種AaO を互いに異なる酸素の同位体を含む気体の酸化種を検出し、検出された気体の各酸化種に対して、検出された酸化種の量を表す信号を生成することができる検出装置によって検出し、試験サンプルおよび参照サンプルで得られた信号をさらに処理し、酸素の存在および酸素の定量化から選択される少なくとも一つのアクションのために比較する。
  2. 工程(b)で、(i)の工程の前に、試験サンプルおよび参照サンプルを揮発させる請求項1に記載の分析方法。
  3. 試験サンプルに含まれるか、試験サンプルを構成する少なくとも一種の酸化可能化合物の化学式を求める工程をさらに含む請求項1または2に記載の分析方法。
  4. 上記の化学式を求める工程でガスまたは液体クロマトグラフィー装置またはそれと組み合わせた質量分析計を使用して化合物を解析する請求項3に記載の分析方法。
  5. 前記工程(b)において、(i)の工程の前に、試験サンプルを液体またはガスクロマトグラフィー装置に導入して、互いに異なる保持時間を有する酸化可能化合物を分離し、次いで、工程(i)および(ii)に別々に送る請求項1〜4のいずれか一項に記載の分析方法。
  6. 参照サンプルは酸素を含まず、さらに、互いに異なる保持時間を有する分離された各酸化可能化合物に対して行う工程(c)をさらに含み、この工程(c)は、完全酸化工程(i)で得られた各気体の酸化種Aa に対して、または、所定の気体の酸化種Aa に対して以下の(1)〜(3)の操作を含む請求項5に記載の分析方法:
    (1)分離した酸化可能化合物に対して工程(ii)で検出装置が発生した信号の処理によって化合物テスト値(compound test values)を抽出し、この化合物テスト値は対応する酸化種Aaから得られる各同位体比Aa 16O/Aa Zi 16o-iの値であり(ここで、iはゼロから0までの全ての値をとる整数)、
    (2)参照サンプルに対して工程(ii)において検出装置が発生した信号の処理によって参照値(reference values)を抽出し、この参照値は上記の化合物テスト値を求めた各同位体比Aa 16O/Aa Zi 160-iの値であり、
    (3)化合物テスト値の少なくとも1つが対応する参照値と異なるか否かをチェックして分離された酸化可能化合物が酸素を含むか否かを決定する。
  7. 請求項6に記載の分析方法であって、
    工程(a)において、参照サンプルが既知量の少なくとも一種の参照化合物を含むか、それのみから成り、この少なくとも一種の参照化合物は試験サンプルに含まれるか、それを構成する少なくとも1種の酸化可能化合物中に存在するOとは異なる少なくとも一つの化学元素を含み、
    工程(c)で分離された酸化可能化合物が酸素を含むことが分かった場合には、上記分析方法が、分離された酸素を含む各酸化可能化合物に対する定量工程(d)をさらに含み、この定量工程(d)が下記の(1)〜(3)含む:
    (1)上記の分離された酸素含有酸化可能化合物に対して工程(ii)で検出装置が生成した信号を処理して、所定の酸化種Aaの全ての同位体に対する工程(ii)で生成した信号強度の代表値を抽出し(ここで、元素Aは分離された酸化可能化合物と参照サンプルの両方の中に存在し)且つそれらの信号強度値を合計し、
    (2)参照サンプルに対して工程(ii)で検出装置が生成した信号を処理して、所定の酸化種Aaの全ての同位体に対する工程(ii)で生成した信号強度の代表値を抽出し且つそれらの信号強度値を合計し、
    (3)参照サンプル中に含まれるAの既知量および上記の合計値から、分離された酸素含有酸化可能化合物中のAの量を計算し、上記工程で求めた分離された酸化可能化合物の化学式を用いて分離した酸素含有酸化可能化合物中のOの量および/または分離された酸素含有酸化可能化合物の量を算出する。
  8. 参照サンプルが酸素を含まない場合で、工程(i)の終わりに得られる気体の酸化種Aa0または所定の気体の各酸化種Aaに対して、以下の(1)〜(3)含む工程(c')をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分析方法:
    (1)試験サンプルに対して工程(ii)で検出装置が生成した信号を処理して、テスト値を抽出し、このテスト値は各同位体比Aa16O/AaZi 16の値であり(ここで、iは0からoの全ての値をとる整数である)、
    (2)参照サンプルに対して工程(ii)で検出装置が生成した信号を処理して、参照値を抽出し、この参照値は上記のテスト値で求めた各同位体比Aa16O/AaZi 16の値であり、
    (3)テスト値の少なくとも1つが対応する参照値と異なるかどうか否かをチェックすることで、試験サンプルが酸素を含むか否かを決定する。
  9. 請求項6または8に記載の分析方法であって、
    工程(a)において、参照サンプルが、既知量の少なくとも一種の参照化合物を含むか、それのみから成り、この少なくとも一種の参照化合物は試験サンプル中に含まれるかそれのみから成る少なくとも一種の酸化可能化合物中に存在するOとは異なる少なくとも1つの化学元素を含み、
    全酸化工程(i)で得られ且つ工程(ii)で検出された全てのガス状酸化種に対して工程(c)または(c')を実行し、
    上記分析方法が、試験サンプル中の酸素の量を決定する工程(d')をさらに含み、この工程(d')は、工程(c)または(c')において試験サンプルの同位体比の値が参照サンプルの同じ同位体比の値とは異なることが決定されていて、試験サンプルから由来する酸素の存在が示されている試験サンプルに対する下記の(1)〜(3)を含む:
    (1)試験サンプルに対し工程(ii)で検出装置が生成した信号を処理して、全てのAa種の同位体に対して工程(II)で生成された信号強度の代表値を抽出し且つおよびそれらの強度値を合計し、
    (2)参照サンプルに対して、工程(ii)で検出装置が生成した信号を処理して、この全てのAa種の同位体に対して工程(ii)で生成された信号強度の代表値抽出し且つおよびそれらの強度値を合計し、
    (3)参照サンプルに含まれる既知量と上記の合計値とから、試験サンプル中のAの量を算出し、さらに、同位体比Aa16O/A Zi 16o-1を用いて酸素の量および酸化媒体中に存在する同位体Oの存在量を算出する。
  10. 工程(a)において、参照サンプルが既知量の少なくとも一種の参照化合物を含むか、それのみから成り、この少なくとも一種の参照化合物は試験サンプル中に含まれか、それのみから成る少なくとも一種の酸化可能化合物中に存在する任意の化学元素を含み、
    離された各酸化可能化合物に対して、下記(1)〜(3)を含む定量工程(e)をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の分析方法:
    (1)試験サンプルに対して、工程(ii)で検出装置が生成した信号を処理して、所定の化学元素AまたはOの酸化種Aaの全ての同位体に対して工程(ii)で生成された信号強度を表す値を抽出し(ここで、元素AまたはOは参照サンプルおよび試験サンプル両方の中に存在する)、それらの強度値を合計し、
    (2)参照サンプルに対して、工程(ii)で検出装置が生成した信号を処理して、同じ元素AのまたはOの酸化種Aaの全ての同位体に対して工程(ii)で生成された信号強度を表す値を抽出し、それらの強度値を合計し、
    (3)参照サンプル中に含まれるAまたはOの量と上記合計値とから、試験サンプルのAまたはOの量を算出する。
  11. 酸化媒体中に存在する同位体zOを18O、17Oおよびこれらの混合物の中から選択する請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 酸化媒体中に存在する酸化剤を(1)酸素含有ガス(2)金属酸化物の中から選択する請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程(ii)で使用する検出装置を質量分析計およびキャビティリングダウン赤外分光計(cavity Ring Down infra-red spectrometer)の中から選択する請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 試験サンプルが植物、動物または化石起源の炭化水素有機化合物の混合物である請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 試験サンプルを下記の(1)〜(15)の中から選択する請求項1〜14のいずれか一項に記載の分析方法:
    (1)合成原油またはその画分、
    (2)粗石油またはその画分
    (3)製油所オフガス、
    (4)LPG、
    (5)ノマー、
    (6)熱分解ガス、
    (7)ナフサ、
    (8)ガソリン、
    (9)ジェット燃料、
    (10)アブガス(avgas)、
    (11)ディーゼル燃料、
    (12)バンカー燃料、
    (13)瀝青、
    (14)石油残渣、
    (15)動物、植物または藻類バイオマスまたは廃棄物から直接得られる水素化されていてもよい油またはワックス。
  16. 工業ユニット中に循環する一つまたは複数の流体中の酸素の存在および/または酸素含有量を請求項1〜15のいずれか一項に記載の分析方法を用いて決定する少なくとも一つの操作を含み、この操作が工業ユニットの管理、制御、監視、起動、停止、調整およびチューニングの中から選択される工業ユニットの運転方法。
  17. 工業ユニットが化学プラントまたは石油化学プラントの一部である請求項16に記載の運転方法。
  18. 工業ユニットを下記の中から選択する請求項16または17に記載の運転方法:
    (1)固定床接触分解装置または流動接触分解装置、
    (2)スチームクラッカー、
    (3)水素化ユニッ
    (4)水素化分解、
    (5)スチームメタン改質装置、
    (6)アルコールをオレフィンに変換するユニッ
    (7)異性化ユニット、
    (8)ビスブレーカー、
    (9)アルキル化ユニット
    (10)瀝青ブローユニット、
    (11)蒸留塔、
    (12)硫黄回収ユニット
    (13)アミン洗浄ユニット、
    (14)炭化水素のデープ変換ユニット、
    (15)重合ユニッ
    (16)合成ガス生成ユニット、
    (17)合成ガス供給ユニッ
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