JP6855724B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
その画像形成装置は、トナー像担持ベルトと、転写ニップを形成する被転写体側転写部材と、トナー像担持ベルトの内側に接触して超音波振動を付与する超音波振動発生手段とを有し、トナー像担持ベルトの内側に配置された像担持体側転写電界形成部材と、被転写体側転写部材が備える被転写体側転写電界形成部材との電位差によって転写ニップに転写電界を形成する画像形成装置において、上記転写ニップは、トナー像担持ベルトの張架面の1つと被転写体側転写部材の表面との接触部によって形成され、トナー像担持ベルトの表面移動方向における像担持体側転写電界形成部材が接触する位置と被転写体側転写電界形成部材が接触する位置が異なり、超音波振動発生手段の振動付与部は、像担持体側転写電界形成部材が接触する位置と被転写体側転写電界形成部材が接触する位置との間でトナー担持ベルトに接触するよう構成されたものである。
その画像形成装置は、像担持体上に担持されたトナー像を転写電界付与手段により形成された転写領域内で転写媒体上に転写する転写装置を有する画像形成装置であって、その転写装置は、転写領域内の像担持体に対し転写電界を付与する2つの転写電界付与手段と、振動を付与する振動付与手段とを備え、その振動付与手段は、2つの転写電界付与手段により形成される2つの電界の中間位置で、像担持体に振動を付与するよう構成されたものである。
その転写装置は、像担持体と被転写体とをニップを介して密着させてトナー像に転写電界を作用させる電界形成手段と、像担持体の内面から電界形成手段と係合または近傍に位置する超音波周波数域の振動手段と、像担持体の内面側でニップの上流側または下流側の少なくとも1つの側に配置される被転写体の幅以上の長さを有するガイド部材と、そのガイド部材の像担持体内面との接触部に置かれる防振部材とを有し、その防振部材の像担持体と当接する部分は、像担持体の回転方向とは直角方向に投影した投影線が曲線状でかつ周期性を持たないよう構成されたものである。また、その画像形成装置は、前記構成からなる転写装置を有するものである。
トナー像を保持して回転するベルト状の像保持体と、
前記像保持体の外周面と接触して記録媒体を通過させる転写部を形成する回転体と、
前記像保持体の内周面側の前記回転体と対向する位置で振動する振動体と、
前記像保持体と前記振動体の間に介在して当該振動体の振動を当該像保持体に伝達する振動伝達部材と、
前記振動伝達部材に転写電流又は電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記振動伝達部材は、前記振動体が接触する側の表面抵抗率が前記像保持体の内周面の表面抵抗率よりも小さく、
前記振動伝達部材と前記振動体の間が非導電性の関係になるよう構成されているものである。
この発明(3)の画像形成装置は、上記発明(1)又は(2)の画像形成装置において、前記振動体は、前記像保持体が当該振動体の前記振動伝達部材を介して最初に接触する位置から前記回転体の回転方向上流側において当該回転体に接触している領域を有する状態になるよう配置されているものである。
この発明(5)の画像形成装置は、上記発明(1)から(3)のいずれかの画像形成装置において、前記振動伝達部材が、前記像保持体に接触する環状の外層材と、前記外層材の内側に配置されて前記振動体と接触する内層材と、前記外層材と前記内層材の間に介在して当該外層材を当該内層材に対して回転自在に支持する回転支持材とを有する構造物として構成されているものである。
この発明(6)の画像形成装置は、上記発明(1)から(5)のいずれかの画像形成装置において、前記振動体は、振動の有無及び強弱の少なくとも一方が記録媒体の種類に応じて変更されるよう構成されているものである。
上記発明(3)の画像形成装置では、振動体が、像保持体が当該振動体の振動伝達部材を介して最初に接触する位置から回転体の回転方向上流側において当該回転体に接触している領域を有しない状態で配置されている場合に比べて、転写部でのトナー像の転写が行われる前のトナー飛び散りの発生を抑制することができる。
上記発明(5)の画像形成装置では、振動伝達部材が環状の外層材と内層材と回転支持材とを有する構造物として構成されていない場合に比べて、像保持体の内周面に振動伝達部材が摺接することで傷が生じることを抑制することができる。
上記発明(6)の画像形成装置では、振動体の振動の有無及び強弱の少なくとも一方が記録媒体の種類に応じて変更されるよう構成されていない場合に比べて、記録媒体の種類に応じた振動の付与を行うことができる。
図1及び図2は、実施の形態1に係る画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の構成を示し、図2はその画像形成装置における一部(振動付与装置を含む二次転写部など)の構成を示している。
実施の形態1に係る画像形成装置1は、全体が箱状の外観からなる筐体10内に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成する作像装置20と、作像装置20で形成されたトナー像を一次転写により保持した後に記録用紙9に二次転写するための二次転写位置まで搬送する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置に供給する記録用紙9を収容するとともに供給する給紙装置40と、中間転写装置30で二次転写されたトナー像を記録用紙9に定着する定着装置50、中間転写装置30の二次転写位置で振動を(中間転写ベルト31に)付与する振動付与装置60等が配置されている。
筐体10は、支持部材、外装材等の材料を用いて支持構造部や外装部が形成されている。図1の筐体10内に示す一点鎖線は、記録用紙9の主な搬送経路である。
この4つの作像装置20(Y,M,C,K)はいずれも、図1に示されるように、矢印Aで示す方向に回転駆動する感光ドラム21と、感光ドラム21の外周面における像保持面を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電後の像形成面に画像情報に基づいて各色成分(Y,M,C,K)に分解された光(矢付き点線)を照射して各色成分の静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する各色成分のトナーを供給して現像することにより上記各色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化する現像装置24(Y,M,C,K)と、感光ドラム21上のトナー像を中間転写装置30(の中間転写ベルト31)に一次転写させる一次転写装置25と、感光ドラム21の外周面に残留するトナー等の不要物を除去して清掃するドラム用清掃装置26等を備えている。
帯電装置22は、感光ドラム21の少なくとも像保持面に所要の間隔をあけて配置されて帯電電流が供給される放電部材を備えたコロナ放電式の非接触型の帯電装置が採用されている。この帯電装置22としては、感光ドラム21の少なくとも像保持面に接触した状態で配置されて帯電電流が供給される帯電ロール等の接触部材を備えた接触型の帯電装置を採用してもよい。
現像装置24(Y,M,C,K)は、前記4色(Y,M,C,K)のいずれか1色の非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を利用する現像装置が採用されている。また、現像装置24(Y,M,C,K)は、筐体内に収容されている二成分現像剤を保持して感光ドラム21と対向する現像領域に搬送する現像ロールや、筐体内の二成分現像剤を撹拌しながら現像ロールを通過するよう搬送するスクリューオーガー等の搬送部材や、現像ロールに保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材等を備えている。現像ロールには、接地処理される感光ドラム21との間に現像電流が供給される。
ドラム用清掃装置26は、筐体の清掃作業用開口において感光ドラム21の少なくとも一次転写後の像保持面部分に接触して残留トナー等の不要物を除去して清掃する弾性清掃板及び回転清掃ブラシや、その除去して筐体内に回収されるトナー等の除去物を図示しない回収容器にむけて送り出すスクリューオーガー等の送出部材等を備えている。
また、中間転写装置30は、上記複数の支持ロール32a〜32c,32e、二次転写ロール35、ベルト用清掃装置36等が、図示しない中間転写装置30専用の支持フレームの所定箇所に回転自在に又は固定した状態で取り付けられている。上記支持フレームは、筐体10に例えば引き出し自在に取り付けられている。
ベルト用清掃装置36は、ドラム用清掃装置26とほぼ同様に、筐体の清掃作業用開口において感光ドラム21の少なくとも一次転写後の像保持面部分に接触して残留トナー等の不要物を除去して清掃する弾性清掃板及び回転清掃ブラシや、その除去して筐体内に回収されるトナー等の除去物を図示しない回収容器にむけて送り出すスクリューオーガー等の送出部材等を備えている。
この給紙装置40は、筐体10に対して引出し自在に取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9が図示しない積載板の上に積み重ねた状態で収容される収容体41と、その収容体41から記録用紙9を1枚ずつ給紙搬送路にむけて送り出す送出装置42を備えている。収容体41及び送出装置42は、必要に応じて複数装備される。
この定着装置50は、記録用紙9の導入口及び排出口が設けられた筐体51の内部に、所要の方向に回転駆動するとともに図示しない加熱手段により加熱されて表面温度が所要の温度に保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱用回転体52と、この加熱用回転体52の回転軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト−パット形態等の加圧用回転体53等を設置して構成されている。この定着装置50では、加熱用回転体52と加圧用回転体53が接触する接触部が、トナー像を保持する記録用紙9が導入されて定着処理(加圧及び加熱)される定着処理部となる。
つまり、振動体61は、図3等に示されるように、その振動補助部材63の先端部63aが、円筒状部材からなる振動伝達部材65に支持された中間転写ベルト31部分の外周面31aの二次転写ロール35(弾性層352の弾性変形した部分)に最初に接触する位置J1から二次転写ロール35の矢印で示す(従動)回転方向の下流側に少しずれた位置で接触するよう配置されている。図2、図3等における二点鎖線VLは、二次転写ロール35の回転中心点E1と上記最初に接触する位置J1とを結ぶ直線を示す。また、図2等における一点鎖線ELは、二次転写ロール35の回転中心点E1と円筒状部材からなる振動伝達部材65の回転中心点E2とを結ぶ直線を示す。さらに、図3等における符号S1は、振動補助部材63の先端部63aが振動伝達部材65を介して中間転写ベルト31の内周面31bに最初に接触するとみなす位置を示す。
また、移動体61は、振動補助部材63の先端部63aが、振動伝達部材65の従動回転方向Dに沿う先端幅の中央が上記一点鎖線ELとほぼ一致する状態になるよう配置されている。
二次転写電流は、振動伝達部材65の円筒状部材の外周面65aに接触する給電接触材39(給電ロールなど)を介して供給される。二次転写用電流又は電圧としては、例えば、トナーの帯電極性(本例では前述した通りマイナス極性)と同じ極性の電流又は電圧が供給される。このような二次転写電流又は電圧の供給に関する構成を採用する場合、二次転写ロール35は接地処理される。また、振動体61においては、振動補助部材63の振動伝達部材65に接触する先端部63aが、振動伝達部材65との間で非導電性の関係になるよう、その先端部63aやその先端部63aを含む近傍周囲に電気絶縁層を設ける等の絶縁処理が施される。
振動付与装置60の更なる詳細については後述する。
給紙搬送路は、複数の搬送ロール対44a〜44cと図示しない搬送ガイド材等で構成されている。特に搬送ロール対44cは、記録用紙9の二次転写位置への搬送時期の調整やその搬送姿勢(斜行)の矯正等を行う機能を有するレジストロール対として構成されている。中継搬送路は、記録用紙9の搬送方向に沿って搬送ベルトが回転する吸引式のベルト搬送装置45で構成されている。排紙搬送路は、搬送ロール対46等と図示しない搬送ガイド材等で構成されている。搬送ロール対46は、記録用紙9を筐体10の排出口12から図示しない排紙収容部に送り出すよう搬送する排出ロールとして構成されている。
この画像形成装置1では、以下に説明する基本的な画像形成動作が行われる。ここでは代表して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成される多色画像、いわゆるフルカラー画像を形成する場合を説明する。
この帯電後、露光装置23が、その各感光ドラム21の帯電された像保持面に対して画像情報に基づいて4つの色成分(Y,M,C,K)に分解されて送信される画像信号に対応した露光(光の照射)をそれぞれ行う。この露光により、各感光ドラム21の像保持面には、反転現像用の電位からなる各色成分の静電潜像が個別に形成される。
最初に、各作像装置20(Y,M,C,K)では、その各感光ドラム21上に形成された各色のトナー像が各感光ドラム21の回転によって中間転写ベルト31と向き合う各一次転写位置まで搬送された後、その各一次転写位置で一次転写装置25による転写作用(主に一次転写用の転写電界による静電的作用)を受けることにより、その各色のトナー像が中間転写ベルト31の外周面31aに対してそれぞれ静電的に一次転写される。
またこのとき、振動付与装置60における振動体61が二次転写タイミングに合わせて振動する。これにより、二次転写位置では、その振動体61による振動(実際には振動子62で発生した振動が振動補助部材63を介して集中されられて伝達される振動)が、矢印D方向に従動回転する振動伝達部材65を介して中間転写ベルト31に付与される。また、この振動の付与により、中間転写ベルト31の外周面31aに保持されているトナー像のトナーが加速度を受け、その加速度とトナーの重量との積で示される力がトナーに働き、その結果として、トナーの中間転写ベルト31に対する付着力が低減してトナーが記録用紙9側に移行しやすい状態になる。
このため、二次転写位置においては、トナー像の転写が上記転写電界による静電性作用(静電気力)と振動付与による力を併せた力を受けて行われることになり、トナー像が記録用紙9側に二次転写される性能である二次転写性が向上する。
まず、中間転写装置30において二次転写が終了した記録用紙9は、その中間転写ベルト31の外周面31aから剥離された後に中継搬送路を経由して定着装置50に搬送される。続いて、定着装置50では、トナー像が転写された記録用紙9が加熱用回転体52と加圧用回転体53の間の定着処理部に導入されて加熱及び加圧させる。これにより、トナー像を構成するトナーが溶融されて記録用紙9に定着される。
この定着が終了した後の記録用紙9は、その片面への画像形成を行うだけの場合には、排紙搬送路を経由して筐体10の排出口12まで搬送された後、図示しない排出収容部に排出されて収容される。
つまり、この画像形成装置1では、この種の特殊な記録媒体を使用して画像形成を行った場合でも、二次転写不良に起因したような像の欠け、濃度の低下等の画質不良も発生しない良好な画像の形成が可能になる。
ところで、画像形成装置1においては、例えば、図18(a)に例示するように、仮に振動体61を中間転写ベルト31の内周面31bに直接、接触させる構成からなる振動付与装置600を使用した場合、以下に説明する不具合がある。
このため、振動付与装置600を備えた画像形成装置では、図18(b)に概念的に例示するように、中間転写ベルト31の内周面31bに振動体61との擦れによる傷100が発生することがあり、その傷100が発生した後に得られる画像(記録用紙9に定着されるトナーからなる画像)中に傷100に対応した画質不良が発生することがある。
このときの傷100は、主に、中間転写ベルト31の回転方向Bに沿って延びるような擦り傷である。また、そのときの画質不良は、例えば、傷100の位置や形状に対応した筋状のむら(画像濃度の低下や画像の一部欠けによる筋状のむら)である。
なお、この振動付与装置600の場合、給電装置38からの二次転写電流は二次転写ロール35のロール芯材351に供給される。また、振動体61の振動補助部材63は接地処理される。
つまり、図18(b)に例示するように、一般的に半導電性を示す比較的高い電気抵抗の中間転写ベルト31に傷100が発生すると、その傷100の箇所が相対的に低い電気抵抗を示す部分(電気抵抗が異なる部分)になる。これにより、傷100の箇所での中間転写ベルト31の電気抵抗特性が他の部位と比べて異なることとなり、かかる中間転写ベルト31と二次転写ロール35との間で転写電界EFが局所的に正常に形成されなくなる。この結果、中間転写ベルト31の傷100が発生している部分と対応する外周面31aの部分に存在するトナー像Tの一部が、正規の静電的作用を受けられなくなって記録用紙9に二次転写されず二次転写不良を起こすためであると考えられる。
また特に、実施の形態1における振動伝達部材65は、矢印Bで示す方向に回転移動する中間転写ベルト31の内周面31bに接触するように配置されて、中間転写ベルト31の回転に追従して矢印Dで示す方向に従動回転する円筒状部材で構成されているので、中間転写ベルト31の内周面31bと擦れる(摺擦する)ことがない。
このことによっても、中間転写ベルト31の内周面31bには、振動体61との擦れによる傷(100)が発生するおそれがなくなる。
まず、実施の形態1のように、振動伝達部材65の全体が導電性の金属から構成されている一方で、中間転写ベルト31の全体が半導電性を示す構成になっている場合は、表面抵抗率を調整するための特別な対処をする必要がない。この場合は、上記表面抵抗率の大小関係(ρs1<ρs2)が自然に成立する。
一方、振動伝達部材65の材料や中間転写ベルト31の導電特性などの関係により、上記表面抵抗率の大小関係(ρs1<ρs2)が自然に成立しない場合は、振動伝達部材65の内周面65bや中間転写ベルト31の内周面31bに電気特性を調整する層を形成したり、あるいは、振動伝達部材65全体や中間転写ベルト31全体の電気特性の少なくとも一方をその振動伝達部材65又は中間転写ベルト31の形成材料を調整(成分調整)することで対応する。
図6は、実施の形態2に係る画像形成装置の構成の一部(振動付与装置を含む二次転写部に関する構成部分)を示すものである。
実施の形態2に係る画像形成装置は、一部の構成を変更した振動付与装置60Bを適用した以外は実施の形態1に係る画像形成装置1と同じ構成からなるものである。
なお、実施の形態1における振動付与装置60においても、中間転写ベルト31のプレラップ領域が存在している(図3)。しかし、そのプレラップ領域の長さ(L)は、実施の形態2における中間転写ベルト31のプレラップ領域の長さLよりも短い設定になっている。
すなわち、振動体61の振動補助部材63の先端部63aを、図7に例示されるように、その中間転写ベルト31と最初に接触する位置S1が中間転写ベルト31の二次転写ロール35に接触する最終位置(二次転写ロール35から離間する位置でもある)J2に対してより近づく側にずらした状態にするよう配置すればよい。
実際、実施の形態2における振動体61の振動補助部材63の先端部63aは、実施の形態1における振動体61の場合(図2)と異なり、図6に示されるように、前記直線ELよりも振動伝達部材65の回転方向Dの下流側にずれた状態になっている。
なお、この振動付与装置610では、振動体61の振動補助部材63の先端部63aが振動伝達部材65を介して中間転写ベルト31と接触する最終の位置S2から二次転写ロール35の回転方向Cの下流側において二次転写ロール35と接触している中間転写ベルト31の領域(長さMに相当するいわゆるポストラップ領域)31eが、比較的多く存在する。
これにより、この画像形成装1においては、二次転写前におけるトナー像Tの一部のトナーが振動Vbhの影響を受けて飛び散ることや脱落することが抑制され、かかるトナーの飛び散りや脱落に起因したトナー像Tの滲みや欠落という画質不良が発生しない画像を形成することができる。
図9は、実施の形態1に係る画像形成装置1(実施例)等を用いて行った試験1の結果を示すものである。
試験1は、実施例等の画像形成装置によりテスト画像を記録用紙9に図9に示す枚数(100枚、1k枚、50k枚及び100k枚:k=1000枚)ずつそれぞれ連続して形成し、その各枚数のテスト画像形成が終了した時点ごとに最終の画像中における筋状のむらの発生状況について調べた。筋状のむらについては、A3判サイズの記録用紙9の片面全面に画像濃度が50%からなるハーフトーンのテスト画像を各色(Y,M,C,K)分形成した後、その形成された画像を目視観察することにより筋状のむらの有無やその実状を確認することで調べた。
振動体61は、ランジュバン型振動子62と、先端部63aの中間転写ベルト31の回転方向Bと直交する幅方向に沿う寸法を350mmに拡大し、先端部63aにおける中間転写ベルト31の回転方向Bに沿う寸法である先端幅を2mmとしたアルミニウムからなる振動補助部材(ホーン)63とを組み合わせたものを適用した。
振動伝達部材65は、ステンレスからなる外径50mm、肉厚1mmの円筒状部材を適用した。振動伝達部材65の振動体61が接触する側の内周面65bは、その表面抵抗率(ρs1)が図9に示す値である。また、この振動伝達部材65の体積抵抗率についても測定したところ、図9に示す値であった。
このときの表面抵抗率及び体積抵抗率はいずれも、日本工業規格におけるJIS K6911に示される方法に準拠した方法で測定した。ただし、振動伝達部材65の測定については、その円筒状部材と同じ材質の平板を別途用意し、その平板を代用して行った。
また、振動体61は、ランジュバン型振動子62にピーク間電圧が30Vp-p、周波数が約40kHzである正弦波からなる電流を供給することにより振動させた。この場合、周波数は、振動子62の共振ポイントに一致するよう設定している。また、このときの振動体61における振動補助部材63の先端部63aでの加速度について加速度計を用いて測定したところ、瞬間最大値で2万G(=196,000m/s2)程度の加速度が得られた。
さらに、振動体61における振動補助部材63の先端部63aとその周辺部には、電気絶縁層を形成した。振動補助部材63には、接地処理を施した。
この中間転写ベルト31は、その外周面31aの移動速度が410mm/sになる速度で矢印Bの方向に回転させた。
記録用紙9としては、その表面がエンボス加工されたエンボス紙(特殊東海製紙株式会社製:レザック66 、坪量204gsm)を使用した。
二成分現像剤としては、結着樹脂、着色剤、離型剤等を含んでなる平均粒径が5.8μmの非磁性トナーと、磁性粉、磁性粉分散型樹脂粒子や、それらを芯材としてその表面に樹脂被覆層を形成した材料からなる平均粒径が35μmの磁性キャリアを含むものを使用した。
テスト画像は、色と濃度がそれぞれ異なる複数の四角形のパッチ画像と前記4色(Y,M,C,K)の細線とを含むチャート画像を適用した。
さらに比較のために、振動付与装置60における振動伝達部材65の内周面65bの表面抵抗率を図9に示す値に設定した点のみを異ならせた比較例2の画像形成装置を用意し、試験1を同様に行った。
これら比較例1,2の結果についても図9に併せて示した。
○:筋状のむらの発生が視認されなかった。
△:筋状のむらの発生が視認できるが、実用上問題にならないむらであった。
×:筋状のむらの発生が容易に視認でき、しかも実用上問題になるむらであった。
これに対して比較例1では、テスト画像の枚数が一定の枚数を超えて増えるにつれて筋状のむらが発生し始め、その発生度合も増える傾向にあることがわかる。この場合、中間転写ベルト31の内周面31bを観察したところ、筋状のむらが発生している位置に対応した内周面31bの部分に深さ10μm前後の傷が複数存在していることが確認された。
また比較例2では、テスト画像の枚数が比較的少ない段階では筋状のむらが発生しないが、その枚数が比較的多い段階になると筋状のむらが発生するようになることがわかる。
この他、実施例と比較例2の結果を対比すると、実施例のように振動伝達部材65の体積抵抗率(ρv1)が中間転写ベルト31の体積抵抗率(ρv2)よりも小さい関係(ρv1<ρv2)になっている場合に、テスト画像の形成枚数にかかわらず筋状のむらが発生していないともいえる。
図10は、実施の形態1、2に係る画像形成装置1(実施例)等を含む装置を用いて行った試験2の結果を示すものである。
テスト画像は、画像濃度が100%〜10%の間で段階的に異なる四角形からなる複数のパッチ画像と前記4色(Y,M,C,K)の細線とを含むチャート画像を適用した。また、テスト画像の形成は前記記録用紙9の10枚に対して行った。
試験2における振動付与装置60(60B)から付与される振動は、中間転写ベルト31における伝播波長λが10.6mmであった。この伝播波長λの測定は、中間転写ベルト31の外周面31aにトナーをまぶすように散りばめ、その状態で振動子61を試験条件で振動させることで発生するトナー粒子からなる波紋の間隔(λ/2)を調べることで行った。
◎:目視ではトナー飛び散りが確認できない(ルーペで観察すれば僅かに確認される)
○:目視で、細線とハーフトーンのパッチ画像でトナー飛び散りが確認される(但し 実用上許容できる画質レベルである)
×:目視で、画像全体にわたりトナー飛び散りによる滲みが確認される(実用上許容 できない画質レベルである。)
これに対してプレラップ領域の長さLが存在していると、トナー飛び散りが発生しなくなることがわかった。特にプレラップ領域の長さLが5.5mm以上になると、その長さLが5.5mmよりも小さい値になる場合(実施の形態1における振動付与装置60Bの振動体61の接触位置が含まれる)に比べて、トナー飛び散りの発生が的確に抑制又は防止されることがわかった。ちなみに、L=5.5mmの値は、伝播波長λの1/2の値(5.3mm)よりも大きい値に相当する。
つまり、図11に模式的に示すように、中間転写ベルト31にプレラップ領域に相当する部分31cが存在すると(L>0)、そのプレラップ領域に相当する部分31cが二次転写ロール53に接触した状態になっているので、振動体61(振動補助部材63)から振動伝達部材65を介して付与される(正弦波の)振動(の伝播)が、そのプレラップ領域に相当する部分31cと重複して発振(伝播)する時期に、中間転写ベルト31等に一部吸収されて減衰されるという効果(振動減衰効果)が得られることがあるためと考えられる。
そして、プレラップ領域の長さLが「L>λ/2」の条件を満たすようになると、その振動減衰効果が得られる部分(図中の正弦波曲線において太線で描かれている部分)が「L≦λ/2」の場合に比べて相対的に増えるため、振動減衰効果が相対的に多く得られようになってトナー飛び散りの抑制効果が高まることにつながっているものと考えられる。図11(a)はL≦λ/2の場合における振動減衰効果の状態を示し、同図(b)はL>λ/2の場合における振動減衰効果の状態を示す。
なお、振動体61は、中間転写ベルト31の内周面31bのほぼ垂直方向に沿って微細に上下移動するように振動するものであり、図11中の0°の位置から始まって90°(最下点の位置)、180°(0°の位置と同じ位置)、270°(最上点の位置)を経て再び0°の位置に戻るよう上下移動することを高速で繰り返すことで1波長(λ)の振動を発生する。
まず、中間転写ベルト31に未定着のトナー像が保持された状態にあるときに画像形成装置の主電源をOFFして強制的に動作を停止させる。続いて、中間転写ベルト31上のトナー像が振動付与装置60(60B)との接触する位置(手前)に存在するように中間転写ベルト31を回転させて調整した後、振動付与装置60(60B)の振動体61のみを単体で振動させる。これにより、中間転写ベルト31上にトナー像の波紋状の筋が形成される。そして、この波紋状の筋と筋の間の距離はλ/2にほぼ相当するため、その距離を実測した後にλの値を算出する。この算出した値が伝播波長λになる。
この確認の方法は、振動体61からの振動の波が、振動伝達部材65を介して中間転写ベルト31や二次転写ロール35に伝播するよう進行する進行波と、矢印B方向に回転して移動する中間転写ベルト31を伝播した進行波が二次転写位置に近い位置で中間転写ベルト31を支持する支持ロール32cで反射して戻る反射波となり、そのときの進行波とその反射波とが干渉して合成波を形成するという原理を利用したものである。つまり、波の干渉現象により伝播波長λの1/2毎に強い波を起こす部分が発生するので、そのλ/2毎の強い波によりトナーの飛散(移動)が起こって上記波紋の筋が形成されている。
図12は、実施の形態3に係る画像形成装置の構成の一部(振動付与装置を含む二次転写部に関する構成部分)を示すものである。
実施の形態3に係る画像形成装置は、一部の構成を変更した振動付与装置60Cを適用した以外は実施の形態2に係る画像形成装置(1)と同じ構成からなるものである。
この結果、その振動伝達部材65Cを適用する振動付与装置60Cにおいては、振動体61に要求される振動量が少なくなり、その振動体61の駆動に必要な電源装置を簡素化することが可能になる。これにより、振動付与装置60Cについて省エネ化や低コスト、場合によっては省スペース化を実現しやすくなる。
図14は、実施の形態4に係る画像形成装置の構成の一部(振動付与装置を含む二次転写部に関する構成部分)を示すものである。
実施の形態4に係る画像形成装置は、一部の構成を変更した振動付与装置60Dを適用した以外は実施の形態2に係る画像形成装置(1)と同じ構成からなるものである。
また、振動付与装置60Dにおいては、上記大小関係(ρs1<ρs2)に加えて、内層材652の体積抵抗率(ρv1)が中間転写ベルト31の体積抵抗率(ρv2)よりも小さい値になる関係(ρv1<ρv2)に保たれるよう設定することが好ましい。
その絶縁処理としては、例えば、振動体61の先端部63aやその近傍周囲に電気絶縁層を設けること、振動伝達部材65Dにおける内層材652の内周面652bに電気絶縁層を設けるか内層材652全体の電気抵抗特定の調整をすること、振動伝達部材65Dにおける回転支持材653の全体又は表面部分を絶縁処理すること等の処理が挙げられる(少なくともいずれか1つの処理を採用すればよい)。
特に振動付与装置60Dでは、固定された状態の振動体61が、振動伝達部材65Dにおいて固定された状態にある内層材652の内周面652bに接触するので、その両者間において摺擦される現象が発生しないので、そもそも傷200が発生するおそれもない。このため、この画像形成装置(1)によれば、実施の形態1〜3等に係る画像形成装置の場合に比べて、傷200に起因した二次転写不良が誘発されるおそれが的確になくなり、その二次転写不良に対応した画質不良の発生も的確に抑制される。
図15は、実施の形態1〜4に係る画像形成装置の構成の一部(振動付与装置の制御に関する構成部分)を示すものである。
実施の形態5に係る画像形成装置(1)は、振動付与装置60〜60Dの動作を制御する制御手段70を追加した以外は実施の形態1〜4に係る画像形成装置1と同じ構成からなるものである。
そして制御手段70は、その記憶手段に格納される制御プログラム、データ等に従って制御動作が実行される。データのなかには、例えば、振動を付与すべき紙種、その紙種と振動の強さ度合の対照データなどが含まれる。この制御手段70は、振動付与装置60〜60Dの専用の制御手段として機能するよう構成するか、あるいは、画像形成装置1の全体を制御する図示しない中央制御部の一部として機能するよう構成される。
ステップ11において振動を付与すべき種類であると判断された場合には、その種類が振動の強弱を変更すべき紙種か否かを判断する(S12)。この際、振動の強弱を変更すべき紙種であると判断された場合は、紙種と振動の強さ度合の対照データから、そのときの紙種に応じた振動の強さ度合に変更(設定)される(S13)。
また、振動の強弱については、例えば、転写電界が所望通りに形成されにくい種類の記録用紙9である場合には相対的に強い振動(例えば周波数の高くする)に設定し、その転写電界が所望通りに少しだけ形成されにくい種類の記録用紙9である場合には相対的に弱い振動(例えば周波数の低くする)に設定するよう構成される。なお、振動の強弱は、初期設定では比較的弱い振動に設定されている。
また、ステップ12において振動の強弱を変更すべき種類でないと判断された場合には、その振動の強弱に関する変更が行われず、例えば初期設定の強さのままに維持される。
振動付与装置における振動伝達部材としては、図17に例示するように、振動体61の先端部(振動補助部材63の先端部63a)と中間転写ベルト31の内周面31bとの間に介在して回転する回転ころ67を適用してもよい。
また、この回転ころ67を適用する場合、振動体61の先端部となる振動補助部材63の先端部63aは、例えば、回転ころ67の外表面に対応させて内部側に窪んだ曲面形状にされる。
この回転ころ67を適用する振動付与装置においては、図17(a)に例示するように、回転ころ67が二次転写位置で中間転写ベルト31の内周面31bを回転自在に支持する回転支持体として機能するように構成してもよい。
9 …記録用紙(記録媒体の一例)
31…中間転写ベルト(ベルト状の像保持体の一例)
31b…内周面
31c…プレラップ領域に相当する部分
35…二次転写ロール(回転体の一例)
61…振動体
65,65C,65D…振動伝達部材
67…回転ころ(振動伝達部材の一例)
38…給電装置(給電手段の一部)
39…給電接触材(給電手段の残りの一部)
651…外層材
652…内層材
653…回転支持材
B …中間転写ベルトの回転方向
C …二次転写ロールの回転方向
T …トナー像
TP2…二次転写部(転写部の一例)
Claims (6)
- トナー像を保持して回転するベルト状の像保持体と、
前記像保持体の外周面と接触して記録媒体を通過させる転写部を形成する回転体と、
前記像保持体の内周面側の前記回転体と対向する位置で振動する振動体と、
前記像保持体と前記振動体の間に介在して当該振動体の振動を当該像保持体に伝達する振動伝達部材と、
前記振動伝達部材に転写電流又は電圧を供給する給電手段と、
を備え、
前記振動伝達部材は、前記振動体が接触する側の表面抵抗率が前記像保持体の内周面の表面抵抗率よりも小さく、
前記振動伝達部材と前記振動体の間が非導電性の関係になるよう構成されている画像形成装置。 - 前記振動伝達部材の体積抵抗率は、前記像保持体の体積抵抗率よりも小さい請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記振動体は、前記像保持体が当該振動体の前記振動伝達部材を介して最初に接触する位置から前記回転体の回転方向上流側において当該回転体に接触している領域を有する状態になるよう配置されている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記振動伝達部材は、前記像保持体の回転に従って従動回転する部材として構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記振動伝達部材は、前記像保持体に接触する環状の外層材と、前記外層材の内側に配置されて前記振動体と接触する内層材と、前記外層材と前記内層材の間に介在して当該外層材を当該内層材に対して回転自在に支持する回転支持材とを有する構造物として構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記振動体は、振動の有無及び強弱の少なくとも一方が記録媒体の種類に応じて変更されるよう構成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
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