JP7358859B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
現像剤で形成された画像であって、媒体への転写を目的とする画像と、媒体への転写を目的としない画像とを保持する像保持手段と、
前記媒体への転写を目的とする画像を媒体に転写する転写手段と、
前記媒体への転写を目的としない画像を前記像保持手段から除去する除去手段と、
前記媒体への転写を目的とする画像を形成する画像形成動作が開始される前に、前記像保持手段に現像剤で前記媒体への転写を目的としない画像を形成する形成手段であって、第1の媒体用の第1の形成モードと、前記第1の媒体よりも表面粗さが低いまたは媒体の密度が大きい第2の媒体用の第2の形成モードとを有し、前記第1の形成モードにおいて、前記第2の形成モードに比べて、前記媒体への転写を目的としない画像の形成に使用する現像剤の量を多くする前記形成手段と、
を備えたことを特徴とする。
前記媒体の種類を判別する判別手段、
を備えたことを特徴とする。
表面粗さが予め定められた値よりも高い媒体を前記第1の媒体と判別する前記判別手段、
を備えたことを特徴とする。
媒体の密度が予め定められた値よりも小さい媒体を前記第1の媒体と判別する前記判別手段、
を備えたことを特徴とする。
前記第1の形成モードは、前記第2の形成モードに比べて、前記媒体への転写を目的としない画像の形成頻度を高くする前記形成手段、
を備えたことを特徴とする。
前記第2の媒体の場合、前記媒体への転写を目的としない画像の濃度をゼロにする
ことを特徴とする。
複数の色の現像剤を使用して画像を形成可能な前記形成手段であって、前記媒体への転写を目的としない画像が形成される度に、前記媒体への転写を目的としない画像を構成する現像剤の色が設定される前記形成手段、
を備えたことを特徴とする。
複数の色の現像剤の中で累積の消費量が最も少ない色の現像剤で前記媒体への転写を目的としない画像を形成する前記形成手段、
を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、媒体の種類を判別して、自動的に第1の形成モードと第2のモードを切り替えることができる。
請求項4に記載の発明によれば、媒体の密度に基づいて媒体の種類を自動的に判別することができる。
請求項5に記載の発明によれば、第1の形成モードにおいて形成頻度を高くして、除去手段に現像剤を多く送り込むことができる。
請求項7に記載の発明によれば、現像剤の色が変更されない場合に比べて、特定の色の現像剤が偏って消費されることが抑制される。
請求項8に記載の発明によれば、転写を目的としない画像において、消費量が最も少ない現像剤を使用しない場合に比べて、劣化した現像剤を消費することができる。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図2は実施例1の可視像形成装置の拡大説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としての複写機Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U1、媒体供給装置の一例としてのフィーダ部U2、画像記録装置の一例としての作像部U3、および媒体処理装置U4を有している。
ユーザインタフェースUIは、複写開始や複写枚数の設定などに用いられる入力ボタンUIaを有する。また、前記ユーザインタフェースUIは、前記入力ボタンUIaにより入力された内容や、複写機Uの状態が表示される表示部UIbを有する。
図1において、フィーダ部U2は、媒体収容容器の一例としての複数の給紙トレイTR1,TR2,TR3,TR4を有している。また、前記フィーダ部U2は、前記各給紙トレイTR1~TR4に収容された画像記録用の媒体の一例としての記録用紙Sを取り出して、作像部U3に搬送する媒体供給路SH1等を有している。
図1において、作像部U3は、前記フィーダ部U2から搬送された記録用紙Sにスキャナ部U1により読み取った原稿画像に基づいて画像記録を行う画像記録部U3aを有する。
図1、図2において、作像部U3の潜像形成装置の駆動回路Dは、スキャナ部U1から入力された画像情報に基づいて、それに応じた駆動信号を予め設定された時期に、各色Y~Kの潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。各潜像形成装置ROSy~ROSkの下方には、像保持体の一例としての感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkが配置されている。
なお、現像装置Gy~Gkにおいて、現像により消費された現像剤は、現像剤の収容容器の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkから補給される。トナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkは、現像剤補給装置U3bに着脱可能に装着される。
なお、K色の画像情報のみの場合はK色の感光体ドラムPkおよび現像装置Gkのみが使用され、K色のトナー像のみが形成される。
1次転写後の感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkは、像保持体の清掃器の一例としてのドラムクリーナCLy,CLm,CLc,CLkにより、表面に付着した残留現像剤や紙粉等の残留物が除去される。
また、K色の感光体ユニットUKと、現像剤保持体の一例としての現像ロールR0kを有する現像装置Gkとにより、K色の可視像形成装置UK+Gkが構成される。同様に、Y,M,C色の感光体ユニットUY,UM,UCと、現像ロールR0y,R0m,R0cを有する現像装置Gy,Gm,Gcとにより、それぞれ、Y,M,C色の可視像形成装置UY+Gy,UM+Gm,UC+Gcが構成される。
前記バックアップロールT2a、2次転写ロールT2b及びコンタクトロールT2cにより、転写手段の一例としての2次転写器T2が構成されている。
中間転写ベルトB上のトナー像は、2次転写領域Q4を通過する際に、2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラートナー像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
前記1次転写ロールT1y~T1k、前記2次転写器T2、中間転写ベルトBにより、実施例1の転写装置T1y~T1k+T2+Bが構成されている。
定着装置Fは、加熱部材の一例としての加熱ロールFhと加圧部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。記録用紙Sは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域である定着領域Q5に搬送される。記録用紙Sのトナー像は、定着領域Q5を通過する際に、定着装置Fにより加熱および加圧されて、定着される。
前記可視像形成装置UY+Gy~UK+Gk、転写装置T1y~T1k+T2+B、定着装置Fにより、実施例1の画像形成手段の一例としての画像記録部U3aが構成されている。
このとき、記録用紙Sの画像定着面を下向きに排出する場合には、第2のゲートGT2を記録用紙Sの搬送方向後端が通過した後に、記録用紙Sの搬送方向を逆転させる。ここで、実施例1の第2のゲートGT2は、薄膜状の弾性部材により構成されている。したがって、第2のゲートGT2は、反転路SH4に搬送されてきた記録用紙Sをそのまま一旦通過させ、通過した記録用紙Sが反転、いわゆるスイッチバックされてくると、搬送路SH3,SH5側に案内する。そして、スイッチバックされた記録用紙Sは、カール補正部材U4aを通過して、画像定着面が下を向いた状態で排出トレイTH1に排出される。
前記切替ゲートGT1を通って反転路SH4に搬送された記録用紙Sは、第3のゲートGT3により前記媒体処理装置U4の反転路SH7側に搬送される。実施例1の第3のゲートGT3は、第2のゲートGT2と同様に、薄膜状の弾性部材により構成されている。したがって、第3のゲートGT3は、反転路SH4を搬送されてきた記録用紙Sを、一旦通過させ、通過した記録用紙Sがスイッチバックされてくると、循環路SH6側に案内する。
前記符号SH1~SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH,GT1~GT3で示された要素により、実施例1の用紙搬送装置SUが構成されている。
図3は実施例1の画像形成装置の制御部が備えている各機能をブロック図で示した図である。
図3において、複写機Uの制御手段の一例としての制御部(コントローラ)Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
制御部Cは、ユーザインタフェースUI等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
ユーザインタフェースUIは、入力部材の一例として、コピースタートキーやテンキー、矢印等の入力を行う入力ボタンUIaを有する。
制御部Cは、主駆動源の駆動回路D1や、電源回路E、その他の図示しない制御要素に接続されている。制御部Cは、各回路D1,E等へ、それらの制御信号を出力している。
D1:主駆動源の駆動回路
主駆動源の駆動回路D1は、主駆動源の一例としてのメインモータM1を介して、感光体ドラムPy~Pkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
電源回路Eは、現像用の電源回路Ea、帯電用の電源回路Eb、転写用の電源回路Ec、定着用の電源回路Ed等を有している。
Ea:現像用の電源回路
現像用の電源回路Eaは、現像装置Gy~Gkの現像ロールに現像電圧を印加する。
Eb:帯電用の電源回路
帯電用の電源回路Ebは、帯電ロールCRy~CRkそれぞれに感光体ドラムPy~Pk表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
転写用の電源回路Ecは、1次転写ロールT1y~T1kやバックアップロールT2aに転写電圧を印加する。
Ed:定着用の電源回路
定着用の電源回路Edは、定着装置Fの加熱ロールFhのヒータに電力を供給する。
制御部Cは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能を有している。
C1:画像形成の制御手段
画像形成の制御手段C1は、ユーザインタフェースUIへの入力や外部のパーソナルコンピュータ等からの画像情報の入力に応じて、スキャナ部U1や作像部U3の各部材の駆動や各電圧の印加時期等を制御して、画像形成動作であるジョブを実行する。
駆動源の制御手段C2は、主駆動源の駆動回路D1を介して、メインモータM1の駆動を制御し、感光体ドラムPy~Pk等の駆動を制御する。
C3:電源回路の制御手段
電源回路の制御手段C3は、各電源回路Ea~Edを制御して、各部材へ印加される電圧や、各部材へ供給される電力を制御する。
媒体種類の記憶手段C4は、使用される媒体の一例としての記録用紙Sの種類を記憶する。実施例1の媒体種類の記憶手段C4は、フィーダ部U2の各給紙トレイTR1~TR4に収容された記録用紙Sの種類を、給紙トレイTR1~TR4ごとに記憶する。なお、実施例1では、各給紙トレイTR1~TR4に収容された記録用紙Sの種類は、ユーザインタフェースUIからの入力で設定、登録されたものが記憶される。記録用紙Sの種類は、「薄紙」、「普通紙」、「厚紙」、「エンボス紙」、「和紙」、「コート紙」等から選択して設定することも可能であるし、例えば、「用紙坪量」を直接入力して記録用紙Sの種類を設定することも可能である。
媒体種類の判別手段C5は、印刷に使用される記録用紙Sの種類を判別する。実施例1の媒体種類の判別手段C5は、媒体種類の記憶手段C4に記憶されている各給紙トレイTR1~TR4の記録用紙Sの種類の情報と、印刷に使用される給紙トレイTR1~TR4とに基づいて、記録用紙Sの種類を判別する。さらに、実施例1の媒体種類の判別手段C5は、転写性感度の高い媒体の一例としてのエンボス紙または和紙であるか、転写性感度の低い媒体の一例としての薄紙、普通紙、厚紙、コート紙であるかの判別を行う。
なお、以下の説明において、エンボス紙や和紙を包括して第1の媒体の一例としての「高感度紙」と表記し、普通紙等を第2の媒体の一例としての「低感度紙」と表記する場合がある。
転写回数の計数手段の一例としての印刷枚数の計数手段C6は、転写回数の一例としての印刷枚数を計数する。すなわち、印刷枚数の計数手段C6は、転写を目的とする画像の一例としての印刷画像を何回記録用紙Sに転写したのかを計数する。なお、実施例1では、後述する転写を目的としない画像の一例としてのトナーバンドを形成すると、印刷枚数は初期化、いわゆるリセットされる。
現像剤の消費量の検出手段C7は、画像形成に伴って使用された現像剤の消費量を検出する。実施例1の現像剤の消費量の検出手段C7は、潜像形成装置ROSy~ROSkで書き込まれた画素数に基づいて、各色の現像剤の消費量をそれぞれ演算し、累積することで消費量を検出する。なお、現像剤の消費量は、潜像形成装置ROSy~ROSkで書き込まれた画素数に基づく場合に限定されず、読み取られた画像の濃度や、現像剤が収容された現像装置Gy~Gkの重量の変化等から導出するように構成することも可能である。
C8:トナーバンドの形成時期の判別手段
トナーバンドの形成時期の判別手段C8は、転写を目的としない画像の一例としてのトナーバンド1の形成時期になったか否かを判別する。実施例1では、トナーバンドの形成時期として、低感度紙から高感度紙に変更された場合のジョブ開始時と、高感度紙が使用されるジョブ中のインターイメージ領域3の毎回と、低感度紙が連続して予め定められた枚数印刷された場合と、が設定されている。すなわち、以前のジョブで低感度紙が使用され、今回のジョブから高感度紙に変更される場合には、1枚または複数枚の複写やプリントアウトのような一連の画像形成動作(ジョブ)が開始される前に、トナーバンド1を形成する動作の一例である回復モードが実行される。また、高感度紙でのジョブ中は、転写を目的とする画像の一例としての印刷画像2の間の非画像領域であるインターイメージ領域3に、トナーバンド1が形成されるように設定されている。さらに、低感度紙で連続して予め定められた枚数の一例としての5000枚印刷された場合に、インターイメージ領域3にトナーバンドが形成されるように設定されている。
なお、実施例1では、高感度紙の場合にインターイメージ領域3に毎回トナーバンド1を形成する場合を例示したが、これに限定されない、インターイメージ領域3の2回に1回の頻度でトナーバンド1を形成したり、3回以上に1回の頻度でトナーバンド1を形成することも可能である。
色の決定手段C9は、トナーバンド1を形成する色を決定する。実施例1の色の決定手段C9は、トナーバンドを形成する時期の一例としての高感度紙のジョブ中や低感度紙の印刷時のトナーバンド1について、トナーバンド1を形成する色を決定する。すなわち、トナーバンド1を形成する度に、トナーバンド1の色を決定する。また、実施例1の色の決定手段C9は、現像剤の消費量の検出手段C7で検出された各色の現像剤の消費量に基づいて、現像剤の消費量が最も少ない色を、トナーバンド1を形成する色として決定する。なお、これに限定されず、Y,M,C,Kの4色の中で消費量が少ない順に2つの色にしたり、3つの色とすることも可能である。なお、現像剤の消費量が少ない場合に限定されず、現像剤の劣化に関連する任意のパラメータを使用可能である。例えば、消費量が所定の閾値以下の状態で一定時間以上現像装置Gy~Gkが作動して現像剤が撹拌された場合とか、現像装置Gy~Gkへの現像剤の補給量が少ない場合といったパラメータを使用することも可能である。
トナーバンドの形成手段C10は、清掃手段への現像剤の供給画像の一例としてのトナーバンド1を形成する。実施例1のトナーバンドの形成手段C10は、第1の形成モードの一例としての回復モードでは、記録用紙Sを搬送しない状態で、帯状の画像の一例としてのトナーバンド1として、Y,M,C,Kの各色について10%濃度の画像、すなわち合計の濃度が40%の画像をA4で100ページ相当=A4ベタ10ページ相当を形成し、2次転写領域Q4では2次転写電圧とは逆極性の電圧を印加して、ベルトクリーナCLBにトナーバンド1の現像剤を供給する。
また、実施例1のトナーバンドの形成手段C10では、高感度紙のジョブ中は、第1の形成モードの一例としての高感度紙モードを実行し、色の決定手段C9で決定された色で、トナーバンド1をインターイメージ領域3毎に形成する。さらに、トナーバンドの形成手段C10では、低感度紙の印刷時は、第2の形成モードの一例としての低感度紙モードを実行し、色の決定手段C9で決定された色で、5000ページごとに、トナーバンド1をインターイメージ領域3に形成する。
なお、仮に、低感度紙でのトナーバンド1と高感度紙でのトナーバンド1の濃度が同一でも、トナーバンド1の形成頻度が、高感度紙の方が高頻度であり、全体として使用されている現像剤の量は高感度紙の方が多くなる。
なお、中間転写ベルトBの搬送方向の長さL0や幅L1は、長くするほど現像剤の使用量が増大する。したがって、実施例1では高感度紙の場合に濃度を上昇させているが、濃度を上昇させずに幅L1または長さL0を長くすることも可能であるし、濃度を上昇させつつ長さL0等を長くすることも可能である。
次に、実施例1の複写機Uにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(トナーバンド形成処理のフローチャートの説明)
図5は実施例1のトナーバンド形成処理のフローチャートの説明図である。
図5のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記複写機Uの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は複写機Uの他の各種処理と並行して実行される。したがって、ジョブ開始に伴って各記録用紙Sに画像が形成される処理は、図5のフローチャートとは並行して実行される。
図5に示すフローチャートは複写機Uの電源投入により開始される。
ST2において、記録用紙Sの種類は、低感度紙から高感度紙に変更されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に進み、ノー(N)の場合はST4に進む。
ST3において、印刷画像2の形成前に、回復モードを実行する。すなわち、回復モードでは、濃度が40%の画像をA4で100ページ相当分形成する。そして、ST5に進む。
ST4において、開始されるジョブの記録用紙Sは高感度紙であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に進み、ノー(N)の場合はST7に進む。
ST5において、印刷画像2の形成を開始すると共に、インターイメージ領域3に高感度紙用の高濃度のトナーバンド1を形成する。そして、ST6に進む。
ST6において、ジョブが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST1に戻り、ノー(N)の場合はST6を繰り返す。
ST8において、トナーバンド形成時期になったか否かを判別する。すなわち、カウントされた印刷枚数が、判別用の閾値である5000枚に達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST9に進み、ノー(N)の場合はST10に進む。
ST9において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST10に進む。
(1)低感度紙用の低濃度のトナーバンド1を形成する。
(2)印刷枚数をリセットする。すなわち、初期化する。
ST10において、ジョブが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST1に戻り、ノー(N)の場合はST7に戻る。
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、画像形成動作に伴って、印刷画像2が中間転写ベルトBから記録用紙Sに2次転写される。この時、2次転写領域Q4では、局所的に放電が発生し、中間転写ベルトBに放電生成物が付着していく。放電生成物は、ベルトクリーナCLBで除去されるが、一部の放電生成物は除去しきれず中間転写ベルトBに残り、経時的に放電生成物が増大していく。この結果、中間転写ベルトBと、1次転写された印刷画像2の現像剤との付着力が高くなる。そして、この付着力が上昇すると、2次転写時に記録用紙Sに現像剤が転写されにくくなる。よって、転写不良が発生しやすくなり、画質欠陥が発生しやすくなる。
図6において、普通紙等の低感度紙S1では、表面が平滑であり、内部に空隙もほとんどないため、2次転写領域Q4において、ほぼ均一に2次転写電圧V1が作用する。
一方、図6Bに示すように、高感度紙の一例としてのエンボス紙S2では、表面に凹凸があり、凹部S2aでは、中間転写ベルトBとの間に隙間12が形成される。したがって、隙間12のない凸部S2bと、隙間12がある凹部S2aとでは、厚さ方向の電気抵抗値が変化する。よって、隙間12で放電が発生しやすくなり、凹部S2aでは作用する2次転写電圧V1aが変化する恐れがある。したがって、凹部S2aにおいて、低感度紙S1に比べて転写不良がさらに発生しやすくなる。
図6Cにおいて、高感度紙の一例としての和紙S3では、内部に空隙(隙間)13が発生しやすく、空隙13のある部分では、空隙13が無い部分に比べて、エンボス紙S2の場合と同様に転写不良が発生しやすくなる。すなわち、和紙に限らず、内部に空隙が存在する低密度の記録用紙Sでは、同様に転写不良が発生しやすい。
これに対して、実施例1では、高感度紙S2,S3が使用される場合は、低感度紙S1が使用される場合に比べて、トナーバンド1で使用される現像剤の量を多くしている。すなわち、低感度紙S1の場合に比べて、放電生成物の除去性能を向上させ、中間転写ベルトB上の放電生成物が少ない状態にしている。したがって、従来紙種に関わらず一定のトナーバンドが形成される場合に比べて、高感度紙S2,S3が使用される場合には放電生成物の悪影響が低減され、転写不良が発生しにくくなる。
また、高感度紙S2,S3でのジョブの実行中は、インターイメージ領域3毎にトナーバンド1が形成される。したがって、トナーバンド1が形成されない場合に比べて、ベルトクリーナCLBの清掃能力が高い状態で保持され、ジョブの実行中に中間転写ベルトBの表面の放電生成物が継続的に除去されやすい。すなわち、中間転写ベルトBの表面の放電生成物が少ない状態で保持されやすい。したがって、ジョブ実行中に蓄積した放電生成物で転写不良が発生することが低減される。
さらに、転写不良が発生しにくい低感度紙S1では、低濃度のトナーバンド1が定期的(5000枚ごと)に形成される。したがって、定期的に放電生成物が除去されて転写不良の発生が抑制されると共に、高濃度のトナーバンドが形成される場合に比べてトナーの消費量が抑制される。
図7はエンボス紙を使用した場合の画質(エンボスグレード)の実験例1の説明図であり、図7Aは横軸に印刷枚数を取り縦軸にエンボスグレードを取ったグラフ、図7Bは横軸に付着力を取り縦軸にエンボスグレードを取ったグラフである。
次に、本発明の効果を確認する実験を行った。
(実験例1)
実験例1では、トナーバンドを形成せずにエンボス紙に連続印刷を行った場合で、画質(エンボスグレード)がどのように変化するかについて実験を行った。実験では、エンボス紙として、特種東海製紙社製のレザック66を使用した。なお、黒色のレザック66を「レザックK」、青色のレザック66を「レザックB」として表記している。また、画像形成装置として、富士ゼロックス株式会社製のVersant 3100 Pressを使用した。実験では、新品(印刷枚数0枚)の状態と、画像部21と非画像部22を有する画像(後述する図8参照)を5000枚(5kPV)印刷した状態で、黒色の全面ベタ(濃度100%)と60%濃度のハーフトーン画像および青色の全面ベタ(濃度100%)と60%濃度のハーフトーン画像を形成して、エンボスグレードと、その時の現像剤の中間転写ベルトBへの付着力を測定した。
付着力の測定は、中間転写ベルトBに現像剤が付着している状態で中間転写ベルトBを停止させ、現像剤に空気を吹き付けて、目視で現像剤が吹き飛ぶ際の吹き付ける空気の圧力から、現像剤1個当たりの平均の付着力(nN)を演算した。
エンボスグレードは、画像のがさつき感を目視で観察した。なお、エンボスグレードは3以下を許容範囲としている。
また、実験例1では、図8に示すように、画像として、間隔をあけて配置された3つの画像部21と、画像部21の間の非画像部22とを形成した。すなわち、中間転写ベルトBの幅方向において、画像部21に対応する領域では、ベルトクリーナCLBに現像剤が供給されるが、非画像部22に対応する領域では、ベルトクリーナCLBに現像剤が供給されない状況となっている。
図7Bにおいて、ばらつきはあるが、傾向としては、非画像部22で連続印刷を行うと、中間転写ベルトBにおける現像剤の付着力が高くなり、エンボスグレードが悪化することが確認された。そして、少なくとも付着力が30[nN]よりも低いと、エンボスグレードが許容範囲に収まることも確認された。
図9は実験例2の実験結果の説明図であり、図9Aは横軸にトナーバンドの濃度を取り縦軸にエンボスグレードを取ったグラフ、図9Bは横軸にトナーバンドの濃度を取り縦軸に付着力を取ったグラフである。
実験例2では、トナーバンド1の濃度とエンボスグレードや付着力との関係を観察した。実験例2では実験例1と同様の実験条件で実験を行った。
図9において、トナーバンド1の濃度が「0%」、すなわち、トナーバンド1を形成せずに5000枚印刷した場合は、図9のグラフの「0%」の上段に記載されているように、エンボスグレードが「4」と悪く、付着力も32「nN」であった。なお、この状態から、回復モードを実行した場合は、グラフの「0%」の下段に記載されているように、エンボスグレードが「3」に回復し、付着力も29.7[nN]程度に回復している。
また、トナーバンド1の濃度が「0.5%」で5000枚印刷した場合、「0%」の場合よりも良化しており、「0.75%」以上になるとエンボスグレードも3以下に安定し、付着力も30「nN」以下に安定することが確認された。したがって、エンボス紙の場合はトナーバンドは、0.5%以上であることが好ましく、0.75%以上が特に好適であることが確認された。
図10に示すように、低感度紙の一例としての富士ゼロックス株式会社製のJ紙(普通紙)やOSC紙(コート紙)、高感度紙の一例としての韓国紙のランデブー(ラフ紙)、特殊東海製紙社製のレザック(エンボス紙)とボス雪(エンボス紙)を使用して実験を行った。なお、「レザック」は、実験例1と同様である。
図10の結果から、低感度紙では、画像部21でも非画像部22でも転写不良の発生は見られなかった。すなわち、トナーバンド1は低濃度(0%)でも問題が少ないことが確認された。一方で、高感度紙では、トナーバンド1が低濃度の場合、非画像部で画質低下が発生し、トナーバンド1の濃度が高いほど改善することが確認された。
なお、図10の実験例では、黒色のトナーバンド1と青色のトナーバンド1で結果が異なるかの実験も行ったが、結果として、現像剤の色ではエンボスグレードに違いは見られなかった。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H08)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機Uを例示したが、これに限定されず、FAXに適用したり、FAXや、プリンタ、複写機などの複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、例示した具体的な数値は、設計や仕様の変更に応じて適宜変更可能である。
また、トナーバンドを形成する頻度は、1枚毎や5000枚毎の場合を例示したが、これに限定されず、可変とすることも可能である。例えば、経時的に中間転写ベルトBが劣化することに対応して、中間転写ベルトBの使用回数(新品の状態からの累積印刷枚数)が多くなり、中間転写ベルトBが経時的に劣化していくことに対応して、5000枚毎に行っていたのを、4000枚毎に変更するという補正を行うことも可能である。
他にも、回復モードにおいて、例えば、高感度紙に切り替わる前に、低感度紙をどのくらい連続して使用していたかに応じて、回復モードで形成するトナーバンドの濃度や面積(A4、100ページ相当)を、調整する構成とすることも可能である。すなわち、低感度紙が使用されている期間は、トナーバンド1が低頻度でしか形成されず、長期に渡って低感度紙が使用されていると、中間転写ベルトBに放電生成物が多く蓄積している可能性がある。したがって、高感度紙への切替前の低感度紙の印刷枚数が多いほど、トナーバンド1を高濃度にしたり大面積にすることも可能であるし、低感度紙の印刷枚数が少ないほどトナーバンド1を低濃度にしたり小面積にすることも可能である。
(H06)前記実施例において、回復モードはジョブ開始前に実行する構成が望ましいが、ジョブ終了時に毎回実行する構成とすることも可能である。また、高感度紙での印刷が連続した場合に、所定枚数(例えば、500枚)毎に、印刷を一旦停止して、回復モードを実行するようにすることも可能である。
(H08)前記実施例において、高感度紙の場合の転写不良を抑制するために現像剤の使用量を多くすることを例示したが、例えば、現像剤の像保持手段への付着力を抑制したり、放電生成物の除去能力を向上させて、現像剤が転写されやすくして、転写不良を抑制することも可能である。すなわち、高感度紙で印刷を行う場合は、低感度紙の場合よりも付着力を抑制する動作モードを実行する構成とすることも可能である。なお、この動作モードは、実施例の各形成モードに替えて実行することも可能であるし、各形成モードに加えて実行することも可能である。具体的には、像保持手段から放電生成物を除去する能力を向上させる一例として、トナーバンド1の面積や濃度、頻度の少なくとも1つを多くすることが可能である。他の一例として、ベルトクリーナ(清掃手段)における回転ブラシの回転数を増加させたり、接触圧を高めたりすることも考えられる。
2…媒体への転写を目的とする画像、
B…像保持手段、
C5…判別手段、
C10…形成手段、
CLB…除去手段、
S,S1,S2,S3…媒体、
S1…第2の媒体、
S2,S3…第1の媒体、
T2…転写手段、
U…画像形成装置。
Claims (8)
- 現像剤で形成された画像であって、媒体への転写を目的とする画像と、媒体への転写を目的としない画像とを保持する像保持手段と、
前記媒体への転写を目的とする画像を媒体に転写する転写手段と、
前記媒体への転写を目的としない画像を前記像保持手段から除去する除去手段と、
前記媒体への転写を目的とする画像を形成する画像形成動作が開始される前に、前記像保持手段に現像剤で前記媒体への転写を目的としない画像を形成する形成手段であって、第1の媒体用の第1の形成モードと、前記第1の媒体よりも表面粗さが低いまたは媒体の密度が大きい第2の媒体用の第2の形成モードとを有し、前記第1の形成モードにおいて、前記第2の形成モードに比べて、前記媒体への転写を目的としない画像の形成に使用する現像剤の量を多くする前記形成手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記媒体の種類を判別する判別手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 表面粗さが予め定められた値よりも高い媒体を前記第1の媒体と判別する前記判別手段、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。 - 媒体の密度が予め定められた値よりも小さい媒体を前記第1の媒体と判別する前記判別手段、
を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。 - 前記第1の形成モードは、前記第2の形成モードに比べて、前記媒体への転写を目的としない画像の形成頻度を高くする前記形成手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記第2の媒体の場合、前記媒体への転写を目的としない画像の濃度をゼロにする
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。 - 複数の色の現像剤を使用して画像を形成可能な前記形成手段であって、前記媒体への転写を目的としない画像が形成される度に、前記媒体への転写を目的としない画像を構成する現像剤の色が決定される前記形成手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。 - 複数の色の現像剤の中で累積の消費量が最も少ない色の現像剤で前記媒体への転写を目的としない画像を形成する前記形成手段、
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
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