JP6854884B2 - 塗布処理装置、塗布処理方法及び光学膜形成装置 - Google Patents

塗布処理装置、塗布処理方法及び光学膜形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理装置、当該塗布処理装置を用いた塗布処理方法及び当該塗布処理装置を用いた光学膜形成装置に関する。
例えば有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)には、外光の反射防止のために円偏光板が用いられている。円偏光板は、直線偏光板と波長板(位相差板)を、その偏光軸が45度で交差するように積層して作製される。また、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)にも、表示における旋光性や複屈折性を制御するために、これら直線偏光板と波長板が用いられている。
また、例えば波長板のみを、その偏光軸が15度や75度に傾くように形成する場合もある。したがって、偏光板や波長板を任意の角度で形成する必要がある。さらに、偏光板や波長板の偏光軸を任意の角度で交差させるため、これら偏光板や波長板を個別に形成する必要もある。
従来、このような偏光板や波長板は、例えば延伸フィルムを用いて作製されている。延伸フィルムは、フィルムを一方向に延伸させて貼り付けることで、その材料中の分子を一方向に配向させたものである。
ところで、近年、OLEDやLCDの薄型化に伴い、偏光板や波長板の薄膜化も求められている。しかしながら、偏光板や波長板を作製するにあたり、従来のように延伸フィルムを用いた場合、延伸フィルム自体の膜厚を薄くするのに限界があり、十分な薄膜を得ることができない。
そこで、基板上に所定材料を有する塗布液を塗布し、必要な膜厚の偏光板や波長板を形成することで、薄膜化が図られている。具体的には、例えば所定材料として液晶性を有する塗布液を基板に塗布し、流延・配向させる。液晶化合物は塗布液中で超分子会合体を形成しており、せん断応力を加えながら塗布液を流動させると超分子会合体の長軸方向が流動方向に配向する。
このように基板に対して塗布液を塗布できるようにするため、従来、種々の装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載された偏光膜印刷装置は、基板を保持するためのテーブルと、基板にインク液を吐出するスロットダイとを有している。テーブルは、定盤の部分をくり抜いた枠板に定盤を嵌め込む構成で、これにより定盤周辺部の高さを定盤に定着した基板の表面と同じ高さにする。スロットダイは、少なくとも定盤を覆うように延伸している。そして、定盤を印刷方向に配置した状態で基板を定着させ、さらにその定盤を回転させて、基板を印刷方向に対して所定の角度傾けた後、スロットダイを印刷方向に移動させて基板にインク液を塗布する。
また、例えば、特許文献2に記載された塗布装置では、上方に向って開口すると共に水平方向に延びる帯状のスリットを備えた塗布ヘッドに塗布液を供給し、この塗布液をスリットから吐出させてビードを形成し、平面形状が矩形の被塗布基板をその1つの対角線方向にほぼ沿って塗布ヘッドの上方を斜め上方向に相対的に移動させ、塗布ヘッドと被塗布基板との間に形成されたビードから被塗布基板の塗布面に塗布液を付着させている。
特開2005−62502号公報 特開平10−5677号公報
しかしながら、特許文献1に記載された偏光膜印刷装置を用いた場合、スロットダイが少なくとも定盤を覆うように延伸しているので、基板にインク液を塗布する際、定盤に定着された基板にインク液が吐出されると共に、定盤周囲の枠板にもインク液が吐出されて付着する。このため、基板の塗布処理毎に枚葉で枠板を洗浄する必要があり、手間がかかる。
また、特許文献1の偏光膜印刷装置では、基板を定着させた定盤を回転させているが、この定盤の回転は基板を所定の位置(印刷方向と平行になる位置)で受け取るためのものであって、塗布方向を制御するものではない。換言すれば、基板に対するインク液の塗布方向は固定されており、その塗布方向を自由に制御することはできない。
また、特許文献2に記載された塗布装置を用いた場合、表面張力を用いて基板に塗布液を塗布する。かかる場合、塗布液が基板に付着している面積に応じて、すなわち、塗布液を塗布する角度に応じて、塗布ヘッドからの塗布液の吐出圧力などの塗布条件を調整する必要があり、その制御が煩雑になる。
ここで、塗布時のせん断応力(シアレート)は、塗布速度を、基板と塗布ヘッドの距離(ギャップ)で割った値である。しかしながら、特許文献2の塗布装置では、表面張力を用いるため、基板への塗布液の塗布速度を大きくするには限界がある。このため、十分なせん断応力が得られないおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、光学材料を含む塗布液を、基板に対して任意の角度で適切に塗布することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理装置であって、前記基板を保持して水平な一方向に移動させる基板移動部と、前記基板移動部の移動方向と直交する方向に延伸し、前記基板移動部に保持された前記基板に対して前記塗布液を吐出する長尺状の塗布ノズルと、前記塗布ノズルの延伸方向に前記塗布ノズルを移動させる塗布ノズル移動部と、前記基板移動部および前記塗布ノズル移動部の移動速度を制御することで、前記基板移動部に保持された前記基板に対する塗布方向を制御する制御部と、を有する。
別な観点による本発明は、基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理方法であって、長尺状に延伸する塗布ノズルを、前記基板の一端に配置する第1の工程と、前記塗布ノズルから、前記塗布液を吐出させる第2の工程と、前記塗布液を吐出している前記塗布ノズルを前記塗布ノズルの延伸方向に移動させながら、前記延伸方向と直交する方向に前記基板を移動させて該基板に塗布処理を行う第3の工程と、を含む。
また、他の観点による本発明は、基板に光学膜を形成する光学膜形成装置であって、前述の塗布処理装置と、前記塗布処理装置で塗布された前記塗布液からなる光学膜を乾燥させる乾燥処理装置と、前記光学膜の所定領域に、前記光学膜の定着材を塗布する膜定着装置と、前記定着材を塗布していない領域の前記光学膜を除去する膜除去装置と、を有する。
本発明によれば、光学材料を含む塗布液を、基板に対して任意の角度で適切かつ効率よく塗布することができる。また、本発明によれば、基板に光学膜を適切に形成することができる。
図1は、本実施の形態にかかる光学膜形成装置の構成の概略を示す平面図である。 図2は、本実施の形態にかかる塗布処理装置の構成の概略を示す横断面図である。 図3は、本実施の形態にかかる塗布処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。 図4Aは、工程S1におけるガラス基板と塗布ノズルの動作を示す説明図である。 図4Bは、工程S1におけるガラス基板と塗布ノズルの動作を示す説明図である。 図4Cは、工程S1におけるガラス基板と塗布ノズルの動作を示す説明図である。 図5Aは、工程S1におけるガラス基板と塗布ノズルの動作を示す説明図である。 図5Bは、工程S1におけるガラス基板と塗布ノズルの動作を示す説明図である。 図6Aは、工程S6におけるガラス基板と塗布ノズルの動作を示す説明図である。 図6Bは、工程S6におけるガラス基板と塗布ノズルの動作を示す説明図である。 図6Cは、工程S6におけるガラス基板と塗布ノズルの動作を示す説明図である。 図7は、他の実施の形態にかかる塗布処理装置の構成の概略を示す横断面図である。 図8は、他の実施の形態にかかる塗布処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。 図9は、他の実施の形態にかかる塗布処理装置における洗浄処理部の概略を示す縦断面図である。 図10は、本実施の形態にかかる減圧乾燥装置の構成の概略を示す縦断面図である。 図11は、本実施の形態にかかる加熱処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。 図12は、本実施の形態にかかる膜定着装置の構成の概略を示す縦断面図である。 図13は、本実施の形態にかかる膜除去装置の構成の概略を示す縦断面図である。 図14は、本実施の形態にかかる光学膜形成処理の主な工程の例を示すフローチャートである。 図15Aは、工程S4において定着材を塗布して直線偏光膜を定着させた様子を示す説明図である。 図15Bは、工程S4において定着材を塗布して直線偏光膜を定着させた様子を示す説明図である。 図16Aは、工程S5において定着していない直線偏光膜を除去した様子を示す説明図である。 図16Bは、工程S5において定着していない直線偏光膜を除去した様子を示す説明図である。 図17Aは、工程S9において定着材を塗布してλ/4波長膜を定着させる様子を示す説明図である。 図17Bは、工程S9において定着材を塗布してλ/4波長膜を定着させる様子を示す説明図である。 図18Aは、工程S10において定着していないλ/4波長膜を除去した様子を示す説明図である。 図18Bは、工程S10において定着していないλ/4波長膜を除去した様子を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本実施の形態における光学膜形成装置の構成について説明する。本実施の形態では、OLEDに用いられる円偏光板を作製する場合において、光学膜として、直線偏光膜(直線偏光板)とλ/4波長膜(λ/4波長板)を矩形のガラス基板(以後、基板Gと表記)に形成する場合を例にとって説明する。なお、直線偏光膜とλ/4波長膜が形成される前の基板上には、例えば複数の有機膜(図示せず)などが積層して形成されている。
図1に示すように、光学膜形成装置1は、塗布処理装置10、減圧乾燥装置100、加熱処理装置300、膜定着装置400、及び膜除去装置500を有する。また、光学膜形成装置1は、基板を搬送するための図示しない基板搬送部を有し、塗布処理装置10、減圧乾燥装置100、加熱処理装置300、膜定着装置400、及び膜除去装置500の順に基板を搬送可能である。
また、光学膜形成装置1は、制御部18を有し、制御部18により光学膜形成装置1の動作の制御を行う。制御部18は、例えば塗布処理装置10、減圧乾燥装置100、加熱処理装置300、膜定着装置400、膜除去装置500および図示しない基板搬送部などの動作を制御する。
<塗布処理装置>
次に、塗布処理装置10の構成について説明する。塗布処理装置10において、基板Gの上面に塗布液の塗布処理を行う。図2は、塗布処理装置10の構成の概略を示す横断面図である。図3は、塗布処理装置10の構成の概略を示す縦断面図である。
塗布処理装置10は、処理容器11を有する。処理容器11の側面には図示しない基板Gの搬入出口が形成されている。
処理容器11の内部には、基板Gを保持する保持部であるステージ12が設けられる。ステージ12は、塗布液が塗布される基板Gの表面を上向きに保持する。また、ステージ12は、平面視(XY平面)において基板Gよりも小さい形状を有する。
塗布処理装置10は、ステージ12をX軸方向に移動させるためのステージ駆動部13を有し、ステージ駆動部13によりステージ12はX軸方向に往復移動自在に構成されている。ステージ12は、X軸負方向側の端部(一端、基板位置A1)とX軸正方向側の端部(他端、基板位置A2)との間を移動する。また、ステージ12は、基板Gの2枚の長さより長い距離を移動できるように構成されており、基板位置A1における基板Gと基板位置A2における基板Gとは、平面視において重なる部分が無い。なお、ステージ12およびステージ駆動部13が、基板Gを保持し、水平かつ直線に移動させる基板移動部に相当する。
ステージ12の上方には、ステージ12に保持された基板Gに塗布液を塗布する塗布ノズル14が設けられている。塗布ノズル14は、ステージ12に保持された基板Gの移動方向(X軸方向)と直交する方向であるY軸方向に延伸する長尺状のスリットノズルである。塗布ノズル14の下端面には、基板Gに塗布液を吐出する吐出口15が形成されている。図2に示すように、吐出口15は、塗布ノズル14の長手方向(Y軸方向)に、基板GのY軸方向の幅より長く延伸するスリット状の吐出口である。
塗布処理装置10は、塗布ノズル14を塗布ノズル14の延伸方向(Y軸方向)に移動させるためのノズル駆動部16(塗布ノズル移動部に相当)を有する。ノズル駆動部16により、塗布ノズル14は、塗布ノズル14の延伸方向(Y軸方向)に往復移動自在に構成されている。塗布ノズル14は、Y軸負方向側の端部(一端、ノズル位置B1)とY軸正方向側の端部(他端、ノズル位置B2)との間を移動する。
上述したように、ステージ12はX軸方向に、塗布ノズル14はY軸方向にそれぞれ移動自在であり、ステージ12および塗布ノズル14の移動方向は、直交している。そして、塗布ノズル14から塗布液を吐出しつつ、塗布ノズル14とステージ12とを相対移動させることにより、ステージ12に保持された基板G上に塗布液を塗布することができる。また、ステージ12の移動速度と塗布ノズル14の移動速度を制御することで、基板Gに塗布される塗布液の塗布方向(ステージ12と塗布ノズル14との相対移動方向)を任意に制御することができる。
なお、吐出口15から吐出される塗布液は、光学材料を含む塗布液である。具体的には、直線偏光膜を形成するための偏光膜用塗布液と、λ/4波長膜を形成するための波長膜用塗布液であり、それぞれ例えば光学材料としてリオトロピック液晶化合物やサーモトロピック液晶化合物など、任意の液晶化合物が含まれる。
ステージ12及び塗布ノズル14の下方には、塗布液を回収する回収部17が設けられる。塗布ノズル14から吐出され、基板Gに塗布されなかった塗布液は、回収部17で回収され、次回以降に処理される基板Gに再利用される。
塗布処理装置10の動作は、前述した制御部18により制御される。制御部18は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するコンピュータであり、ROM(プログラム格納部)に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、塗布処理装置10における塗布処理を制御する。このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部18にインストールされたものでもよい。
次に、塗布処理装置10を用いて行われる光学膜の塗布方法について説明する。
<塗布工程(工程S1)>
まず、直線偏光膜の塗布について説明する。図4A〜図5Bは、直線偏光膜の塗布工程である工程S1における、基板Gと塗布ノズル14の動作を示す説明図である。
図4Aに示すように、ステージ12を基板位置A1に位置させ、ステージ12に基板Gが受け渡される。次に、塗布ノズル14をノズル位置B1に位置させる。このとき、塗布ノズル14は、基板Gの一端に位置する。塗布ノズル14をノズル位置B1に配置する際、塗布ノズル14は、後述する塗布液P1の目標膜厚に応じた高さに配置される。
続いて、図4B及び図5Aに示すように、吐出口15から塗布液P1を吐出させ、基板GをX軸正方向に移動させる。基板Gは、基板位置A1から基板位置A2に向けて移動する。このとき、塗布ノズル14の位置は、ノズル位置B1のままとする。そして、基板Gの上面に、塗布液P1が塗布される。この場合の塗布液P1は、直線偏光膜を形成するための偏光膜用塗布液である。
続いて、図4C及び図5Bに示すように、基板Gが基板位置A2まで移動すると、基板Gの上面の全てに塗布液P1が塗布される。
このとき、塗布液P1はせん断応力(図4Bと図4Cの白ヌキ矢印)が加えられながら塗布される。塗布ノズル14は移動せず、基板GはX軸正方向に移動するので、せん断応力はX軸負方向に加えられる。
前述したように、せん断応力(シアレート)は、塗布速度を、基板Gと塗布ノズル14の吐出口15との距離(ギャップ)で割った値である。ギャップに関しては、塗布ノズル14にスリットノズルを用いることで、基板Gを傷つけることなく、塗布ノズル14を基板Gに十分に近接できるので、ギャップを小さくすることができる。そして、基板Gの移動速度(=塗布速度)を制御することで、塗布液P1に十分なせん断応力を加えることができる。またその結果、塗布液P1中の分子を一方向(X軸方向)に配向させることができる。
なお、塗布ノズル14には、スリットノズル以外の他のノズルを用いることもできるが、上述したようにギャップをできるだけ小さくできるという観点から、スリットノズルが好適である。また、基板Gに塗布される塗布液P1の膜厚が薄い(例えば膜厚1〜5μmほど)ので、かかる観点からもスリットノズルが好適である。
なお、塗布ノズル14から吐出された塗布液P1のうち、基板Gに塗布されなかった塗布液P1は、回収部17にて回収される。回収された塗布液P1は、次回以降に処理される基板Gに再利用される。また、ステージ12は基板Gより小さいので、塗布液P1がステージ12に付着することもない。よって、ステージ12を基板G毎に枚葉で洗浄するのを抑制することができる。
<塗布工程(工程S6)>
次に、λ/4波長膜の塗布について説明する。図6A〜図6Cは、λ/4波長膜の塗布工程である工程S6における、基板Gと塗布ノズル14の動作を示す説明図である。
工程S6では、工程S1により直線偏光膜が形成された基板Gの上面に、塗布液の塗布を行う。このときの塗布液は、λ/4波長膜を形成するための、波長膜用塗布液である。
図6Aに示すように、基板位置A1において、既に直線偏光膜が形成された基板Gがステージ12に受け渡される。次に、塗布ノズル14をノズル位置B1に位置させる。このとき、塗布ノズル14は、基板Gの一端に位置する。塗布ノズル14をノズル位置B1に配置する際に、塗布ノズル14は、後述する塗布液Q1の目標膜厚に応じた高さに配置される。
続いて、図6Bに示すように、塗布ノズル14から塗布液Q1を吐出させ、基板Gを基板位置A1から基板位置A2に向けて、X軸正方向に移動させる。それと共に、塗布ノズル14をノズル位置B1からノズル位置B2に向けて、Y軸正方向に移動させる。
続いて、図6Cに示すように、塗布ノズル14から塗布液Q1を吐出させつつ、基板Gを基板位置A2まで移動させる。それと共に、塗布ノズル14をノズル位置B2まで移動させる。すると、基板Gの上面の全てに塗布液Q1が塗布される。
このように、基板Gを基板位置A1から基板位置A2に移動させると共に、塗布ノズル14をノズル位置B1からノズル位置B2に移動させる。そして、基板Gの移動速度および塗布ノズル14の移動速度が、それぞれ所定の速度に制御される。
そして、塗布液Q1はせん断応力(図6Bおよび図6C中の白ヌキ矢印)が加えられながら塗布される。基板Gの移動速度と塗布ノズル14の移動速度とを、それぞれ所定の速度に制御することにより、せん断応力はY軸正方向及びX軸正方向から例えば斜め45度の方向に加えられる。
また、基板Gの移動速度と塗布ノズル14の移動速度を制御することで、塗布液Q1に十分なせん断応力を加えることができる。その結果、塗布液Q1中の分子を一方向(上述した斜め45度方向)に配向させることができる。
このようにして、塗布処理装置10において、基板G上に塗布液Q1が塗布されて、λ/4波長膜が塗布される。
上述した塗布方法により、直線偏光膜の分子の方向(配列方向)に対して、λ/4波長膜の分子の方向は、XY平面において、斜め方向に配置される。そして、塗布液P1の塗布方向と塗布液Q1の塗布方向を斜め方向、例えば45度で交差させ、直線偏光膜P1とλ/4波長膜Q1を、その偏光軸を45度で交差するように形成することができる。
なお、直線偏光膜P1とλ/4波長膜Q1との偏光軸の交差角度は、45度に限定されず、他の角度で交差するように直線偏光膜およびλ/4波長膜を塗布してもよい。
<塗布処理装置の他の実施の形態>
次に、塗布処理装置10の他の実施の形態について説明する。図7は、塗布処理装置10の他の実施の形態の構成の概略を示す横断面図である。図8は、塗布処理装置10の他の実施の形態の構成の概略を示す縦断面図である。
塗布処理装置10は、図7および図8に示すように塗布液を回収する第2の回収部20をさらに有する。
第2の回収部20は、塗布ノズル14から基板Gの外側に吐出され、基板Gに塗布されなかった塗布液を回収する。図7に示すように、各第2の回収部20は、平面視において、基板Gが通過する領域以外の領域、具体的には、長尺状の塗布ノズル14の一端側、例えばノズル位置B1付近、および塗布ノズル14の他端側、例えばノズル位置B2付近に、それぞれ配置される。第2の回収部20は、塗布ノズル14と同様に、Y軸方向に延伸する形状である。そして、第2の回収部20は、ノズル位置B1およびノズル位置B2において、塗布ノズル14から基板Gの外側に吐出された塗布液を回収することができる位置に配置される。また、図8に示すように、第2の回収部20は、塗布ノズル14の下方に位置する。
そして、第2の回収部20は、塗布ノズル14から基板Gの外側に吐出された塗布液を回収し、第2の回収部20で回収された塗布液は、次回以降に処理される基板Gに再利用される。
また、塗布処理装置10は、基板Gの周縁部に所定の処理を行う基板周縁処理部をさらに有する。ここでは、基板周縁処理部の例として、基板Gの周縁部を洗浄する洗浄処理部21を用いて説明する。
例えば、塗布ノズル14から吐出された塗布液が、基板Gの裏面の周縁に回りこんで付着するおそれが考えられる。そこで、図7および図8に示すように、洗浄処理部21を設けて、基板Gの裏面の周縁に付着した塗布液の除去を行う。
洗浄処理部21は、矩形の基板Gの進行方向(X軸方向)と平行な2辺の周縁部およびその付近を洗浄することができる位置に、それぞれ配置される。
本実施の形態では、塗布ノズル14よりも基板Gの進行方向下流側(X軸正方向側)で、かつX軸と平行な2辺が通過する位置の周辺に、洗浄処理部21を配置した。
図9は、洗浄処理部21の概略を示す縦断面図である。洗浄処理部21は、基板Gの表裏面の周縁に洗浄液を吐出する洗浄液吐出部22と、洗浄後の洗浄液を吸引回収する洗浄液回収部23とを有する。
洗浄液吐出部22は、基板Gの表裏面周縁に対して、基板Gの上下から基板Gの表裏面の直交方向または基板Gの外側向きの斜め方向に洗浄液を吐出することができる。また洗浄液回収部23は、基板Gの側方に位置し、使用済みの洗浄液を負圧により吸引し、回収することができる。
次に、洗浄処理部21を用いた基板G周縁の洗浄工程について説明する。基板Gを基板位置A1から基板位置A2に移動させながら、基板Gの上面に塗布液が塗布される。その際に、塗布ノズル14から吐出された塗布液が、基板Gの周縁の裏面に廻りこむおそれも考えられる。そこで、塗布処理中の基板Gの2辺が洗浄処理部21を通過するときに、洗浄液吐出部22から洗浄液を吐出し、基板Gの周縁を洗浄し、使用済みの洗浄液を洗浄液回収部23から吸引回収する。
このように、洗浄処理部21を配置することにより、基板Gに対して塗布処理を行いながら、基板Gの周縁の洗浄処理も同時に行うことが可能であり、基板Gの周縁に付着した余剰な塗布液を除去することができる。
なお、洗浄処理部21の構成は、上述した実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。洗浄処理部21の位置は、一例であって、他の位置に配置してもよい。また、基板Gの表裏面の周縁に洗浄液を吐出して洗浄する例を示したが、基板Gの下側の洗浄液吐出部22のみを用いて、基板Gの裏面の周縁のみに洗浄液を吐出して基板Gの周縁の裏面を洗浄してもよい。
また、基板Gに付着した余剰な洗浄液を乾燥させるために、基板Gの周縁に気体を噴射する、図示しない気体噴射ノズルを、例えば洗浄処理部21にさらに追加してもよい。
基板周縁処理部の一例として、洗浄処理部21を用いて、基板Gの周縁の洗浄処理について説明した。しかし、基板周縁処理部での処理は、洗浄処理に限定されず、例えば基板Gの周縁の塗布膜の膜厚を調整する周縁膜厚調整処理でもよい。
周縁膜厚調整処理を行う周縁膜厚調整部(図示せず)として、例えば基板Gの周縁のみに塗布液または塗布液の溶媒または塗布液の溶媒雰囲気を吐出するノズル等が考えられる。また、周縁膜厚調整部の他の例として、基板の周縁のみを加熱できる加熱部、または基板の周縁のみを冷却できる冷却部など、塗布膜厚を調整できる構成であれば、転用可能である。
基板Gの周縁は、基板Gの他の領域と比較して、塗布膜の膜厚が厚いまたは薄い等の、膜厚の特異点となるおそれがある。そこで、上述した周縁膜厚調整部を用いて、基板Gの周縁の膜厚が基板Gの他の領域と同等になるように、塗布処理中に基板Gの周縁の膜厚の調整も行ってもよい。
なお、基板周縁処理部として、洗浄処理部21と周縁膜厚調整部、どちらも配置してもよい。また、基板周縁処理部が行う処理は、洗浄処理や膜厚調整処理に限定されず、その他の処理であってもよい。他の処理を行う処理部を、洗浄処理部21と同様の位置に配置して、他の処理を基板Gの周縁に行ってもよい。
本実施の形態においては、図7や図8に示すように、塗布処理装置10は、洗浄処理部21(=基板周縁処理部)を配置し易い構成となっている。そして、基板周縁処理部を設けることにより、塗布処理に加え、塗布処理中の基板Gの周縁に対して、基板周縁の処理も同時に行うことができる。
また、基板Gが基板位置A1から基板位置A2に移動する塗布処理装置であれば、上述した塗布処理装置10の構成に限定されずに、本発明を適用可能である。例えば特開2006−199483号公報等に記載された、基板Gを浮上搬送しながら塗布処理を行う塗布処理装置に、本願発明の塗布ノズル14、第2の回収部20、洗浄処理部21等を適用することも可能である。
また、第1の回収部17と第2の回収部20とを設けたが、第1の回収部17を省いてもよい。
このようにして、塗布処理装置10を用いて、基板G上に直線偏光膜およびλ/4波長膜を塗布することができる。
次に、光学膜形成装置1における、塗布処理装置10を除く、残りの装置について説明する。
<減圧乾燥装置>
図10は、第1の乾燥装置である減圧乾燥装置の構成の概略を示す縦断面図である。図10に示す減圧乾燥装置100では、基板Gに塗布された光学膜(直線偏光膜とλ/4波長膜)を減圧乾燥する。
減圧乾燥装置100は、処理容器101を有している。処理容器101は、蓋体102と本体103を有している。蓋体102は、図示しない昇降機構により昇降自在に構成されている。処理容器101に基板Gを搬入出する際には、蓋体102は本体103から上方に分離し、処理容器101の内部で減圧乾燥処理を行う際には、蓋体102と本体103が一体となって、密閉された空間を形成する。
処理容器101の内部には、基板Gを載置する載置台110が設けられている。載置台110は、光学膜が形成された表面が上方を向くように、基板Gを載置する。処理容器101の底部には、ガス供給部120と排気部121が設けられている。ガス供給部120と排気部121は、載置台110を挟んで対向して配置されている。ガス供給部120から不活性ガスを供給して、基板G上で基板Gと平行な気流通過方向(X軸方向)に不活性ガスの気流を通過させることができる。また、排気部121から排気することで、処理容器101の内部を減圧雰囲気とすることができる。
なお、減圧乾燥装置の構成は本実施の形態の減圧乾燥装置100の構成に限定されず、公知の減圧乾燥装置の構成でもよい。
<加熱処理装置>
図11は、第2の乾燥装置である加熱処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。加熱処理装置300では、基板Gに塗布された光学膜(直線偏光膜とλ/4波長膜)を加熱し乾燥する。
加熱処理装置300は、処理容器301を有している。処理容器301は、蓋体302と本体303を有している。蓋体302は、図示しない昇降機構により昇降自在に構成されている。処理容器301に基板Gを搬入出する際には、蓋体302は本体303から上方に分離し、処理容器301の内部で加熱処理を行う際には、蓋体302と本体303が一体となって、密閉された空間を形成する。蓋体302の上面中央部には、排気部304が設けられている。処理容器301の内部は排気部304から排気される。
処理容器301の内部には、基板Gを載置して加熱する熱板310が設けられている。熱板310は、光学膜が形成された表面が上方を向くように、基板Gを載置する。熱板310には、給電により発熱するヒータ311が内蔵されている。
なお、加熱処理装置の構成は本実施の形態の加熱処理装置300の構成に限定されず、公知の加熱処理装置の構成でもよい。
<膜定着装置>
図12は、膜定着装置の構成の概略を示す縦断面図である。膜定着装置400では、インクジェット方式で定着材を所定領域、本実施の形態では基板Gの画素エリアに選択的に塗布する。
膜定着装置400は、処理容器401を有している。処理容器401の側面には基板Gの搬入出口(図示せず)が形成され、搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器401の内部には、基板Gを保持するステージ410が設けられている。ステージ410は、基板Gに定着材が塗布される表面が上方を向くように、その裏面を吸着保持する。
ステージ410は、ステージ410の下面側に設けられ、X軸方向に延伸する一対のレール411、411に取り付けられている。レール411は、X軸方向に延伸するテーブル412に設けられている。そして、ステージ410は、レール411、411に沿って移動自在に構成されている。
また、レール411は、後述する塗布ノズル420を挟んで、少なくとも基板Gの2枚の長さ以上でX軸方向に延伸している。これにより、ステージ410がX軸の−方向の端部に位置している場合の基板G(図中の実線、基板位置C1)と、ステージ410がX軸正方向の端部に位置している場合の基板G(図中の点線、基板位置C2)とが、平面視において重ならない。
ステージ410の上方には、ステージ410に保持された基板Gに定着材を塗布する塗布ノズル420が設けられている。塗布ノズル420は、例えばインクジェットノズルであり、基板Gの所定領域に定着材を選択的に塗布することができる。なお、塗布ノズル420は、図示しない移動機構によって鉛直方向にも移動自在に構成されている。
なお、塗布ノズル420から吐出される定着材は、基板Gの所定領域に光学膜を定着させるものであれば、任意の材料を用いることができる。例えば光学膜の末端の官能基を置換したり、或いは収縮反応を起こして高分子化させて、光学膜を不活性化(不溶化)させて定着させてもよい。或いは光学膜を固めて定着させてもよい。
また、膜定着装置の構成は本実施の形態の膜定着装置400の構成に限定されず、公知のインクジェット方式の装置の構成でもよい。さらに、膜定着装置において定着材を選択的に塗布する方法はインクジェット方式に限定されず、他の方法を用いてもよい。他の方法として、例えば所定領域以外の領域にマスクを設け、その上から定着材を吐出することで、所定領域のみに定着材を選択的に塗布してもよい。
<膜除去装置>
図13は、膜除去装置の構成の概略を示す縦断面図である。膜除去装置500では、基板Gに洗浄液を供給し、膜定着装置400で定着させていない光学膜(本実施の形態では、画素エリアを除く領域の光学膜)を除去する。
膜除去装置500は、処理容器501を有している。処理容器501の側面には基板Gの搬入出口(図示せず)が形成され、搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器501の内部には、基板Gを保持して回転させるスピンチャック510が設けられている。スピンチャック510は、基板Gに洗浄液が供給される表面が上方を向くように、その裏面を吸着保持する。また、スピンチャック510は、例えばモータなどのチャック駆動部511により所定の速度に回転できる。
スピンチャック510の周囲には、基板Gから飛散又は落下する洗浄液を受け止め、回収するカップ520が設けられている。カップ520の下面には、回収した定着材を排出する排出管521と、カップ520の内部を排気する排気管522が接続されている。
スピンチャック510の上方には、スピンチャック510に保持された基板Gに洗浄液を供給する洗浄ノズル530が設けられている。洗浄ノズル530は、移動機構531によって水平方向及び鉛直方向に移動自在に構成されている。
なお、洗浄ノズル530から供給される洗浄液は、膜定着装置400で塗布される定着材の溶媒に応じた材料が用いられる。例えば定着材の溶媒が水であれば、洗浄液には水が用いられ、定着材の溶媒が有機溶剤であれば、洗浄液には有機溶剤が用いられる。
また、膜除去装置の構成は本実施の形態の膜除去装置500の構成に限定されず、公知のスピン塗布方式の装置の構成でもよい。さらに、膜除去装置において光学膜を選択的に除去する方法はスピン塗布方式に限定されず、他の方法を用いてもよい。他の方法として、例えば洗浄液を貯留する洗浄槽に、基板Gを浸漬させて、光学膜を選択的に除去してもよい。また、レーザーアブレーションを行って光学膜を選択的に除去してもよいし、あるいはフォトリソグラフィー処理及びエッチング処理を行って光学膜を選択的に除去してもよい。
次に、以上のように構成された光学膜形成装置1を用いて行われる、光学膜形成方法について説明する。図14は、かかる光学膜形成処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
本実施の形態では、上述したように光学膜として直線偏光膜とλ/4波長膜を、その偏光軸が45度で交差するように基板Gに積層して形成する。工程S1〜S5は直線偏光膜を形成する工程であり、工程S6〜S10はλ/4波長膜を形成する工程である。
<工程S1>
前述したように、塗布処理装置10において、基板Gの全面に直線偏光膜P1を形成するための偏光膜用塗布液を塗布する(工程S1)。
<工程S2>
次に、減圧乾燥装置100において、基板Gの直線偏光膜P1を減圧乾燥させる。具体的には、載置台110に基板Gを載置し、蓋体102を閉じて、処理容器101の内部に密閉された空間を形成する。その後、ガス供給部120から不活性ガスを供給すると共に、排気部121から処理容器101の内部が排気され、処理容器101の内部を減圧雰囲気にする。そして、直線偏光膜P1が乾燥される。
直線偏光膜P1が乾燥されると、膜中の溶媒が除去される。上述した工程S1ではせん断応力を加えることで分子を一方向に配向させているが、そのままの状態で放置しておくと、分子の配向が元に戻って乱れるおそれがある。このため、工程S2で膜中の溶媒を除去することで、分子の配向状態が適切に維持される。
また、分子の配向状態を適切に維持する観点から、塗布処理装置10と減圧乾燥装置100の間は、例えばダウンフローの無い、無風状態で基板Gを搬送する。ダウンフローによって直線偏光膜P1の分子の配向状態が乱れるおそれも無く、分子が一方向に配向した状態で、塗布処理装置10から減圧乾燥装置100に、基板Gが搬送される。
<工程S3>
次に、加熱処理装置300において、基板Gの直線偏光膜P1を加熱し乾燥させる。具体的には、熱板310に基板Gを載置し、蓋体302を閉じて、処理容器301の内部に密閉された空間を形成する。そして、熱板310のヒータ311によって、直線偏光膜P1が所定の温度、例えば50℃で加熱される。
例えば工程S2で直線偏光膜P1を減圧乾燥しても、膜中に溶媒が完全に除去されない場合がある。工程S3における直線偏光膜P1の加熱は、このように膜中に残存する溶媒を確実に除去する。なお、工程S2において膜中の溶媒を完全に除去できる場合には、工程S3は省略してもよい。
<工程S4>
次に、膜定着装置400において、基板Gの所定領域、本実施の形態では画素エリアに定着材を塗布する。
膜定着装置400では、基板位置C1において基板Gがステージ410に保持される。そして、基板Gを基板位置C1から基板位置C2に移動させる。
基板Gの移動中、図15Aに示すように基板Gの画素エリアに形成された直線偏光膜P1に塗布ノズル420から定着材Fを塗布する。このとき、膜定着装置400はインクジェット方式を採用しているため、画素エリアの直線偏光膜P1に正確に定着材Fを塗布することができる。
定着材Fは直線偏光膜P1を不活性化(不溶化)する。具体的には、直線偏光膜P1におけるOH基などの水溶性の末端を、別の官能基に置換する。そして、不活性化された直線偏光膜P1は基板Gに定着する。以下、定着材Fが塗布されて定着した直線偏光膜をP2として説明する。すなわち、基板Gの画素エリアを除く領域において、直線偏光膜P1は不活性化されておらず定着していない。一方、画素エリアにおいて、直線偏光膜P2は不活性化されて定着している。
そして、図15Aおよび図15Bに示すように、基板Gの全ての画素エリアに、不活性化した直線偏光膜P2を形成することができる。なお、図示の都合上、基板Gの画素エリア、すなわち直線偏光膜P2は20箇所である場合を例示しているが、画素エリアの数はこれに限定されない。実際には画素エリアは、1枚の基板Gに対して約100箇所にある。
<工程S5>
次に、膜除去装置500において、基板Gに洗浄液を供給し、工程S4で定着していない直線偏光膜P1を選択的に除去する。
膜除去装置500では、基板Gがスピンチャック510に吸着保持される。その後、スピンチャック510に保持された基板Gを回転させながら、洗浄ノズル530から基板Gの中心部に洗浄液を供給する。供給された洗浄液は、遠心力によって基板G上を拡散する。このとき、定着材Fが塗布された直線偏光膜P2は定着しているので、洗浄液によって除去されない。一方、定着材Fが塗布されていない直線偏光膜P1は定着していないので、洗浄液によって除去される。こうして、図16A及び図16Bに示すように直線偏光膜P1のみが選択的に除去され、基板G上には画素エリアに直線偏光膜P2のみが形成される。
<工程S6>
以上のように基板Gに直線偏光膜P2が形成された後に、基板G上にλ/4波長膜をさらに形成する。前述したように塗布処理装置10にて、直線偏光膜P2が形成された基板Gの上面に塗布液を塗布する。この場合の塗布液は、λ/4波長膜を形成するための波長膜用塗布液である。
<工程S7>
次に、減圧乾燥装置100において、基板Gのλ/4波長膜Q1を減圧乾燥させる。具体的な減圧乾燥処理は、工程S2と同様であるので、説明を省略する。そして、λ/4波長膜Q1の溶媒が除去され、膜中の分子の配向状態が適切に維持される。
<工程S8>
次に、加熱処理装置300において、基板Gのλ/4波長膜Q1を加熱し乾燥する。具体的な加熱処理は、工程S3と同様であるので、説明を省略する。そして、λ/4波長膜Q1の溶媒が完全に除去される。なお、工程S7において膜中の溶媒を完全に除去できる場合には、工程S8は省略してもよい。
<工程S9>
次に、膜定着装置400において、図17Aおよび図17Bに示すように、基板Gの画素エリアに形成されたλ/4波長膜Q1に、塗布ノズル420から定着材Fを選択的に塗布する。具体的な定着材Fの選択的塗布処理は、工程S4と同様であるので、説明を省略する。
定着材Fはλ/4波長膜Q1を不活性化(不溶化)し、不活性化されたλ/4波長膜Q1は基板Gに定着する。以下、定着材Fが塗布されて定着したλ/4波長膜をQ2として説明する。すなわち、基板Gの画素エリアを除く領域において、λ/4波長膜Q1は不活性化されておらず定着していない。一方、画素エリア(直線偏光膜P2)において、λ/4波長膜Q2は不活性化されて定着している。
<工程S10>
次に、膜除去装置500において、基板Gに洗浄液を供給し、工程S9で定着していないλ/4波長膜Q1を選択的に除去する。具体的なλ/4波長膜Q1の選択的除去処理は、工程S5と同様であるので、説明を省略する。そして、図18A及び図18Bに示すように基板G上の画素エリアにλ/4波長膜Q2が形成される。このようにして、基板G上の画素エリアに、直線偏光膜P2とλ/4波長膜Q2とが積層して形成される。
以上の実施の形態によれば、塗布処理装置10において、工程S1における塗布液P1の塗布方向と工程S6における塗布液Q1の塗布方向を45度で交差させ、直線偏光膜P1とλ/4波長膜Q1を、その偏光軸が45度で交差するように形成することができる。
また、工程S2において直線偏光膜P1を減圧乾燥しているので、直線偏光膜P1における分子の配向状態を適切に維持することができる。同様に、工程S7においてλ/4波長膜Q1を減圧乾燥しているので、λ/4波長膜Q1における分子の配向状態を適切に維持することができる。
なお、工程S2と工程S7は、直線偏光膜P1とλ/4波長膜Q1を乾燥させるものであれば、減圧乾燥に限定されない。例えば直線偏光膜P1とλ/4波長膜Q1をそれぞれ、自然乾燥させてもよいし、加熱処理を行って乾燥させてもよいし、或いは気体を吹き付けることで乾燥させてもよい。
但し、減圧乾燥は、自然乾燥よりも短時間で行うことができ、より好ましい。また、例えば加熱処理や気体の吹き付けを行う場合、膜中の溶媒が対流して、膜中の分子の配向状態が乱れるおそれがある。しかし、減圧乾燥は、膜中の溶媒の対流を抑制することができるため、より好ましい。
また、工程S4において画素エリアの直線偏光膜P1に定着材Fを選択的に塗布し、工程S5において定着材Fが塗布されず定着していない直線偏光膜P1を選択的に除去しているので、画素エリアのみに直線偏光膜P2が形成される。同様に、工程S9と工程S10を行うことで、画素エリアのみにλ/4波長膜Q2が形成される。
ここで、例えば円偏光板を作製する場合、直線偏光膜とλ/4波長膜は、画素エリアだけに形成されていればよい。画素エリアを除いた領域に膜が形成されると、画素エリアの周囲に設けられた端子等が適切に機能しないおそれがある。本実施の形態では、画素エリアのみに膜が形成されるので、画素エリアの直線偏光膜P2とλ/4波長膜Q2の機能を発揮させつつ、画素エリアの周囲にある部品の機能も発揮させることができる。
また、工程S1及びS6では、それぞれせん断応力を加えながら塗布液P1、Q1を塗布するが、この際、画素エリアのみに塗布液P1、Q1を塗布するのは困難である。したがって、工程S4、S5、S9、S10を行い、画素エリアに選択的に直線偏光膜P2とλ/4波長膜Q2を形成することは有用である。
さらに、仮に工程S1において基板Gに塗布液P1を塗布して直線偏光膜P1を形成した後、工程S4における定着材Fの選択的塗布を省略した場合、その後の工程S6において基板Gに塗布液Q1を塗布したときに、直線偏光膜P1が塗布液Q1に溶けて、溶けた直線偏光膜P1が塗布液Q1と混ざるおそれがある。この点、本実施の形態のように工程S4を行って不溶化した直線偏光膜P2を形成することで、直線偏光膜P2と塗布液Q1が混ざるのを抑制することができる。その結果、直線偏光膜P2とλ/4波長膜Q2とを適切に形成することができる。
なお、これら工程S4、S5、S9、S10を行うことは必ずしも必須ではない。本実施の形態のように基板Gに複数の画素エリアがある場合、工程S4、S5、S9、S10を行うことは有用であるが、例えば基板Gの全面に直線偏光膜とλ/4波長膜を形成する場合は、工程S4、S5、S9、S10は省略してもよい。
また、工程S4と工程S9において、膜定着装置400では、定着材を塗布することで直線偏光膜とλ/4波長膜を定着させていたが、他の方法を用いることもできる。他の方法として、例えば予め、直線偏光膜とλ/4波長膜に光と反応する材料を添加しておけば、光照射によって、直線偏光膜とλ/4波長膜の結晶を重合させ、直線偏光膜とλ/4波長膜を不溶化させて定着させることができる。
以上の実施の形態では、OLEDに用いられる円偏光板を作製する場合において、ガラス基板に光学膜として、直線偏光膜(直線偏光板)とλ/4波長膜(λ/4波長板)を形成する場合を例にとって説明したが、本発明は他にも適用できる。例えばLCDに用いられる偏光板や波長板にも、本発明を適用することができる。また、波長板もλ/4波長膜に限定されず、例えばλ/2波長膜などの他の波長板にも、本発明を適用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されず、各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属する。
1 光学膜形成装置
10 塗布処理装置
12 ステージ(基板移動部)
13 ステージ駆動部(基板移動部)
14 塗布ノズル
15 吐出口
16 ノズル駆動部(塗布ノズル移動部)
17 回収部
18 制御部
20 第2の回収部(回収部)
21 洗浄処理部(基板周縁処理部)
100 減圧乾燥装置(第1の乾燥装置)
300 加熱処理装置(第2の乾燥装置)
400 膜定着装置
500 膜除去装置
G ガラス基板
P1 直線偏光膜(塗布液)
P2 直線偏光膜
Q1 λ/4波長膜(塗布液)
Q2 λ/4波長膜

Claims (10)

  1. 基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理装置であって、
    前記基板を保持して水平な一方向に移動させる基板移動部と、
    前記基板移動部の移動方向と直交する方向に延伸し、前記基板移動部に保持された前記基板に対して前記塗布液を吐出する長尺状の塗布ノズルと、
    前記塗布ノズルの延伸方向に前記塗布ノズルを移動させる塗布ノズル移動部と、
    前記基板移動部および前記塗布ノズル移動部の移動速度を制御することで、前記基板移動部に保持された前記基板に対する塗布方向を制御する制御部と、
    塗布処理中の前記基板の周縁に所定の処理を行う、基板周縁処理部と
    を有する、塗布処理装置。
  2. 前記基板周縁処理部は、
    塗布処理中の前記基板における周縁を洗浄する洗浄処理部である、請求項に記載の塗布処理装置。
  3. 前記基板周縁処理部は、
    塗布処理中の前記基板における周縁の塗布膜の膜厚を調整する周縁膜厚調整部である、請求項またはに記載の塗布処理装置。
  4. 基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理装置であって、
    前記基板を保持して水平な一方向に移動させる基板移動部と、
    前記基板移動部の移動方向と直交する方向に延伸し、前記基板移動部に保持された前記基板に対して前記塗布液を吐出する長尺状の塗布ノズルと、
    前記塗布ノズルの延伸方向に前記塗布ノズルを移動させる塗布ノズル移動部と、
    前記基板移動部および前記塗布ノズル移動部の移動速度を制御することで、前記基板移動部に保持された前記基板に対する塗布方向を制御する制御部と、
    を有し、
    前記塗布ノズルの前記直交する方向における長さは、前記基板の前記直交する方向における幅よりも長い、塗布処理装置。
  5. 前記制御部は、
    前記基板移動部を用いて前記基板を前記移動方向に移動させるとともに、前記塗布ノズルを前記直交する方向に移動させながら前記基板に対して前記塗布液を吐出させる、請求項4に記載の塗布処理装置。
  6. 前記塗布ノズルの下方に配置され、前記塗布ノズルから前記基板移動部に保持された前記基板の外側に吐出された塗布液を回収する回収部
    をさらに有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の塗布処理装置。
  7. 前記回収部は、
    長尺状の前記塗布ノズルの一端および他端の下方に、それぞれ分割して配置される、請求項に記載の塗布処理装置。
  8. 基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理方法であって、
    長尺状に延伸する塗布ノズルを、前記基板の一端に配置する第1の工程と、
    前記塗布ノズルから、前記塗布液を吐出させる第2の工程と、
    前記塗布液を吐出している前記塗布ノズルを前記塗布ノズルの延伸方向に移動させながら、前記延伸方向と直交する方向に前記基板を移動させて該基板に塗布処理を行う第3の工程と、
    前記基板の周縁に所定の処理を行う基板周縁処理部を用いて、塗布処理中の前記基板の周縁に所定の処理を行う第4の工程と
    を含む、塗布処理方法。
  9. 基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理方法であって、
    前記基板の幅よりも長く延伸する長尺状の塗布ノズルを、前記基板の一端に配置する第1の工程と、
    前記塗布ノズルから、前記塗布液を吐出させる第2の工程と、
    前記塗布液を吐出している前記塗布ノズルを前記塗布ノズルの延伸方向に移動させながら、前記延伸方向と直交する方向に前記基板を移動させて該基板に塗布処理を行う第3の工程と、
    を含む、塗布処理方法。
  10. 基板に光学膜を形成する光学膜形成装置であって、
    前記基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理装置と、
    前記塗布処理装置で塗布された前記塗布液からなる光学膜を乾燥させる乾燥処理装置と、
    前記光学膜の所定領域に、前記光学膜の定着材を塗布する膜定着装置と、
    前記定着材を塗布していない領域の前記光学膜を除去する膜除去装置と、
    を有し、
    前記塗布処理装置は、
    前記基板を保持して水平な一方向に移動させる基板移動部と、
    前記基板移動部の移動方向と直交する方向に延伸し、前記基板移動部に保持された前記基板に対して前記塗布液を吐出する長尺状の塗布ノズルと、
    前記塗布ノズルの延伸方向に前記塗布ノズルを移動させる塗布ノズル移動部と、
    前記基板移動部および前記塗布ノズル移動部の移動速度を制御することで、前記基板移動部に保持された前記基板に対する塗布方向を制御する制御部と、
    を有する、光学膜形成装置。
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