以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係るワイパ装置を搭載した車両を示す概要図を、図2は図1のワイパ装置を拡大して示す斜視図をそれぞれ示している。
図1に示されるように、車両10の前方側には、フロントウィンドシールド11が設けられている。フロントウィンドシールド11上には、当該フロントウィンドシールド11に付着した雨水等(図示せず)を払拭するDR側(運転席側)ワイパ部材12と、AS側(助手席側)ワイパ部材13とが設けられている。
DR側ワイパ部材12は、DR側ワイパブレード12aとDR側ワイパアーム12bとを備え、DR側ワイパブレード12aはDR側ワイパアーム12bの先端に回動自在に設けられている。また、AS側ワイパ部材13は、AS側ワイパブレード13aとAS側ワイパアーム13bとを備え、AS側ワイパブレード13aはAS側ワイパアーム13bの先端に回動自在に設けられている。それぞれのワイパブレード12a,13aは、それぞれのワイパアーム12b,13bの内側に設けられたコイルバネ(図示せず)により、フロントウィンドシールド11に対して弾性接触されている。
一対のワイパブレード12a,13aは、フロントウィンドシールド11上の下反転位置LRPと上反転位置URPとの間に形成される払拭範囲11a,11b(図中二点鎖線の扇形の範囲)を、それぞれ同期して同じ方向に往復払拭動作するようになっている。すなわち、一対のワイパ部材12,13の払拭パターンは、所謂タンデム型の払拭パターンとなっている。
フロントウィンドシールド11の前方側(図中下方側)には、一対のワイパ部材12,13を揺動させるワイパ装置20が設けられている。このワイパ装置20を駆動させることで、一対のワイパ部材12,13は、フロントウィンドシールド11上を往復払拭動作する。
ワイパ装置20は、車両10のフロントウィンドシールド11の車両前方に設けられたカウルトップパネル14(詳細図示せず)内に収容されている。そして、カウルトップパネル14の開口部分(図中手前側)は、ワイパ装置20が被水するのを防止し、かつワイパ装置20を覆い隠して外部からの見栄えを良好にするカウルトップカバー15(詳細図示せず)で閉塞されている。
カウルトップカバー15には、DR側ピボット孔15aおよびAS側ピボット孔15bが設けられている。DR側ピボット孔15aは、車幅方向に沿うDR側(図中左側)に配置され、AS側ピボット孔15bは、車幅方向に沿う略中央部に配置されている。これらのピボット孔15a,15bからは、ワイパ装置20のDR側ピボット軸25aおよびAS側ピボット軸25bの先端側が露出されている。そして、これらのピボット軸25a,25bの先端に、ワイパアーム12b,13bのそれぞれが固定されている。
ワイパ装置20は、車室内等に設けられた操作スイッチ(図示せず)を操作することで、所定の回転速度で回転駆動されるワイパモータ21を備えている。ワイパモータ21は、電動モータ22とギヤケース23とを備え、電動モータ22内には、先端側にウォームが設けられたアーマチュア軸(図示せず)が回転自在に収容されている。なお、電動モータ22には、ブラシ付き電動モータやブラシレス電動モータ等を採用することができる。
ギヤケース23内には、アーマチュア軸のウォームに噛み合わされるウォームホイール(図示せず)が回転自在に収容されている。これらのウォームおよびウォームホイールにより、減速機構(ウォーム減速機)が構成される。減速機構は、アーマチュア軸の回転を所定の回転速度にまで減速し、この減速して高トルク化された回転は、ウォームホイールに設けられた出力軸(図示せず)から外部(リンク機構24)に出力される。
図2に示されるように、ワイパ装置20は、ワイパモータ21の回転運動を揺動運動に変換するリンク機構24を備えている。リンク機構24は、ワイパモータ21の出力軸と、一対のピボット軸25a,25bとの間に設けられている。より具体的には、リンク機構24は、ワイパモータ21側から、クランクアーム24a,駆動ロッド24b,DR側駆動レバー24c,連結ロッド24dおよびAS側駆動レバー24eを備えている。
クランクアーム24aの一端は、ワイパモータ21の出力軸に固定されている。クランクアーム24aの他端は、ボールジョイントBJ1を介して駆動ロッド24bの一端に回動自在に連結されている。DR側駆動レバー24cの一端は、DR側ピボット軸25aの基端(図中下方)に固定されている。DR側駆動レバー24cの他端は、ボールジョイントBJ2を介して駆動ロッド24bの他端に回動自在に連結されている。
AS側駆動レバー24eの一端は、AS側ピボット軸25bの基端に固定されている。AS側駆動レバー24eの他端は、ボールジョイントBJ3を介して連結ロッド24dの一端に回動自在に連結されている。連結ロッド24dの他端は、ボールジョイントBJ4を介してDR側駆動レバー24cの他端に回動自在に連結されている。
これにより、ワイパモータ21を回転駆動させることで、一対のピボット軸25a,25bを同期させて同一方向に揺動させることができる。このように、リンク機構24は、ワイパモータ21の出力軸の回転運動を、一対のピボット軸25a,25bの揺動運動に変換するようになっている。
ここで、ワイパモータ21およびリンク機構24は、一対のピボット軸25a,25bの基端に設けられ、一対のピボット軸25a,25bを揺動させるものである。したがって、ワイパモータ21およびリンク機構24は、本発明における揺動部材を構成している。
図2に示されるように、ワイパ装置20は、アルミ材等の金属材料を鋳造成形等することで所定形状に形成されたDR側ピボットホルダ30と、AS側ピボットホルダ40と、を備えている。そして、これらのピボットホルダ30,40は、互いに中空パイプよりなるフレーム部材50により一体化されている。すなわち、ワイパ装置20は、所謂フレーム一体型の「モジュラー型ワイパ装置」となっている。なお、ワイパモータ21は、フレーム部材50の長手方向に沿う略中央部分に固定されている。
図3はDR側ピボット軸の周辺構造を説明する拡大斜視図を、図4は図3のA−A線に沿う断面図を、図5(a),(b)はDR側ホルダカバーの詳細構造を説明する斜視図を、図6は図3の破線円B部の拡大斜視図を、図7は図6のC−C線に沿う断面図を、図8(a),(b)は掛止構造の変形例を示す図7に対応した断面図をそれぞれ示している。
図3に示されるように、DR側ピボットホルダ30は略筒状に形成され、DR側ピボット軸25aを回動自在に支持している。具体的には、図4に示されるように、DR側ピボットホルダ30の径方向内側でかつ軸方向両側には、一対の軸受31(図示では一方のみを示す)が装着されている。これらの軸受31は、DR側ピボット軸25aの軸方向両側を回転自在に支持している。よって、DR側ピボット軸25aは、DR側ピボットホルダ30に対してスムーズに回転することができる。
なお、一対の軸受31の近傍には、それぞれゴム等よりなるシール部材32(図示では一方のみを示す)が設けられている。これにより、DR側ピボットホルダ30内への雨水等の進入が阻止される。
また、DR側ピボットホルダ30には、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成されたDR側ホルダカバー33が装着されている。具体的には、DR側ピボットホルダ30には、DR側ホルダカバー33のDR側取付筒部33aが、その周囲を覆うようにして設けられている。なお、DR側取付筒部33aは、DR側ピボットホルダ30の軸方向および周方向の双方に対して、移動不能となるように固定されている。
DR側ピボットホルダ30の周囲には、一対のDR側カバー固定凸部30aが一体に設けられている。これらのDR側カバー固定凸部30aは、DR側ピボットホルダ30の径方向外側に所定高さで突出され、DR側ピボットホルダ30の軸方向に延在されている。また、一対のDR側カバー固定凸部30aは、DR側ピボットホルダ30の周方向に等間隔(180度間隔)で設けられている。つまり、一対のDR側カバー固定凸部30aは、DR側ピボット軸25aを中心に対向配置されている。なお、図4では、DR側ピボットホルダ30とDR側カバー固定凸部30aとの境界部分に、一点鎖線を記載している。
そして、これらのDR側カバー固定凸部30aは、DR側取付筒部33aの径方向内側に設けられた一対のDR側カバー固定凹部33bに入り込んでいる。これにより、DR側ホルダカバー33は、DR側ピボットホルダ30に対して回り止めされる。また、DR側取付筒部33aの軸方向先端側(図4中上側)の一部は、ワッシャ34および一対のDR側カバー固定凸部30aにより支持されている。これにより、DR側ホルダカバー33のDR側ピボットホルダ30に対する軸方向への移動が規制される。
ここで、ワッシャ34の外径寸法は、DR側ピボットホルダ30の先端部分の外径寸法よりも大径となっており、歯付き止め輪(ティースワッシャ)35によって抜け止めされている。また、ワッシャ34および歯付き止め輪35は、何れも一般に流通する安価な汎用品となっている。
図3および図6に示されるように、DR側ピボットホルダ30には、当該DR側ピボットホルダ30を車両10(図1参照)に固定するためのDR側固定腕30bが一体に設けられている。DR側固定腕30bは、DR側ピボットホルダ30の軸方向と交差する方向に延在されている。DR側固定腕30bの長手方向基端は、DR側ピボットホルダ30に連結され、DR側固定腕30bの長手方向先端には、切欠部30cが設けられている。切欠部30cの開口OPからは、ゴム等よりなるDR側ブッシュ36が装着される。
ここで、DR側ブッシュ36は、DR側固定腕30b(DR側ピボットホルダ30)と車両10との間に設けられ、ワイパ装置20の振動が車両10に伝達されるのを防止して車室内の静粛性を向上させている。さらには、車両10の振動がワイパ装置20に伝達されるのを防止することもでき、よってワイパ装置20が車両10の振動で損傷することも効果的に抑えられる。
さらに、DR側ピボットホルダ30には、フレーム部材50(図2参照)の一端に差し込まれてフレーム部材50の一端がカシメ固定されるDR側フレーム固定部30dを備えている。このDR側フレーム固定部30dは、DR側ピボットホルダ30を中心に、DR側固定腕30b側とは反対側に配置されている。これにより、DR側ピボットホルダ30は、DR側固定腕30bとDR側フレーム固定部30dとの間の略中央にバランス良く支持されて、DR側ピボット軸25aの揺動時におけるDR側ピボットホルダ30の捩れを効果的に抑えることができる。
図6および図7に示されるように、切欠部30cに装着されるDR側ブッシュ36は、筒状に形成された胴体部36aを備えている。この胴体部36aの径方向内側には、鋼板よりなる筒状のカラー部材36bが装着されている。これにより、固定ボルトBLの過剰な締め付けに起因したDR側ブッシュ36の機能低下や損傷等を防止している。なお、固定ボルトBLはカラー部材36bに挿通され、DR側ブッシュ36を車両10に固定している。
胴体部36aの軸方向一側には、胴体部36aの外径寸法よりも大きい外径寸法の第1環状部36cが一体に設けられている。また、胴体部36aの軸方向他側には、胴体部36aの外径寸法よりも大きい外径寸法の第2環状部36dが一体に設けられている。ここで、第2環状部36dの外径寸法の方が、第1環状部36cの外径寸法よりも大きくなっている。これにより、第2環状部36dは、DR側固定腕30bと車両10(図1参照)との間で柔軟に弾性変形されて、十分な振動吸収機能を発揮することができる。
一方、第1環状部36cは、第2環状部36dよりも小径となっているが、DR側ブッシュ36の切欠部30cからの抜け強度は十分に確保されている。言い換えれば、第2環状部36dは、主に振動吸収機能を発揮する部分となっており、第1環状部36cは、主にDR側ブッシュ36の切欠部30cからの抜け強度を確保する部分となっている。
また、固定ボルトBLの頭部HDと第1環状部36cとの間には、第2環状部36dの外径寸法と略同じ外径寸法のワッシャWSが介在されている。このワッシャWSは、固定ボルトBLの締め付け時において、頭部HDの角部により第1環状部36cに傷が付かないようにするとともに、ワイパ装置20の作動時において、第1環状部36cの一部に大きな負荷が集中的に掛からないようにする機能を有している。言い換えれば、ワッシャWSは、第1環状部36cを保護する機能を備えている。
さらに、図7に示されるように、胴体部36aの軸方向長さは、DR側固定腕30bの厚み寸法と略同じ寸法となっている。これにより、DR側ブッシュ36は、DR側固定腕30bに対して、その軸方向にがたつくことが無い。
図3ないし図7に示されるように、DR側ホルダカバー33は、DR側ピボットホルダ30の周囲を覆うDR側取付筒部33aを備え、当該DR側取付筒部33aの径方向内側には、一対のDR側カバー固定凹部33b(図5(b)参照)が設けられている。これらのDR側カバー固定凹部33bは、DR側取付筒部33aの径方向外側に向けて窪んでおり、かつDR側取付筒部33aの周方向に等間隔(180度間隔)で設けられている。そして、一対のDR側カバー固定凹部33bには、DR側ピボットホルダ30の周囲に設けられた一対のDR側カバー固定凸部30a(図4参照)が入り込んでいる。
DR側取付筒部33aの軸方向基端側(図3中下側)には、DR側取付筒部33aを中心に放射状に広がったDR側傘部33cが一体に設けられている。DR側傘部33cは、DR側取付筒部33aの軸方向と交差する方向に延び、DR側ピボット軸25aの軸方向先端側にあるDR側ピボット孔15aから流れてくる雨水Wを、受け止めるようになっている。ここで、DR側傘部33cの大きさは、DR側ピボットホルダ30をその軸方向先端側(図3中上側)から見たときに、DR側ピボットホルダ30は勿論のこと、DR側固定腕30bも覆う大きさに設定されている。
DR側傘部33cの周囲には、DR側傘部33cのDR側取付筒部33a側に突出するようにして、第1壁部33dが連なって設けられている。第1壁部33dの高さ寸法は、DR側ピボット孔15aに近い部分が高く設定され、DR側ピボット孔15aから離れた部分が低く設定されている。これにより、DR側ピボット孔15aからDR側傘部33cに流れてきて勢いのある雨水Wが、DR側傘部33cで跳ね返って外部に漏れ出ることが効果的に抑えられる。
なお、DR側ピボット孔15aから離れた部分の第1壁部33dの高さを低くしても、そこに到達する雨水Wの勢いは十分に弱められているので、当該部分から雨水Wが外部に漏れ出ることは殆ど無い。そこで、上述のように第1壁部33dの部分に応じて高さを最適に設定することで、DR側ホルダカバー33が無駄に大型化することを抑えている。
DR側傘部33cの周囲の一部には、第1壁部33dが設けられておらず、当該部分には、DR側傘部33cのDR側取付筒部33a側とは反対側(DR側駆動レバー24c側)に突出され、かつ所定角度で傾斜された傾斜壁33eが設けられている。この傾斜壁33eは、ワイパ装置20を車両10(図1参照)に搭載した状態で、車幅方向に延在され、かつ車両前方側に配置される。
これにより、DR側傘部33cに流れ込んだ雨水Wを、車両前方側の外部にスムーズに排出することができる。また、DR側傘部33cより排出される雨水Wが、DR側傘部33cの裏面(DR側傘部33cのDR側取付筒部33a側とは反対側の面)を伝ってDR側ピボット軸25aの方へ流れるのを防ぐ。そして、ワイパ装置20を車両10に搭載した状態で、傾斜壁33eは、DR側ピボットホルダ30から車両前方側に離れた位置に配置されるため、リンク機構24の連結部分(ボールジョイントBJ2,BJ4の部分)に雨水Wが掛かる(被水する)ことが抑制される。
DR側傘部33cは、DR側固定腕30bを覆う大きさに設定されている。そのため、DR側傘部33cにおけるDR側取付筒部33aのDR側固定腕30b側(図3中左側)には、第2壁部33fが一体に設けられている。第2壁部33fは、DR側ピボット孔15aの近傍に配置され、その高さ寸法は、DR側ピボット孔15aの近傍に配置された第1壁部33dの高さ寸法と略同じ寸法となっている。これにより、DR側傘部33cに流れ込んだ雨水Wの跳ね返りが抑えられ、かつ雨水Wが傾斜壁33eに向けて効率良く誘導される。
DR側傘部33cには、DR側ブッシュ36の第1環状部36c(図7参照)が挿通される挿通孔33gが設けられている。より具体的には、挿通孔33gは、DR側傘部33cの板厚方向に貫通して設けられ、第2壁部33fよりもDR側取付筒部33aから離れた位置に配置されている。なお、挿通孔33gは、DR側ブッシュ36の軸方向に延在された円筒部33hを備え、その径方向内側には、内壁33kが設けられている。
また、挿通孔33gの内壁33kには、1つの掛止爪33mが設けられている。ここで、DR側カバー固定凸部30aとDR側カバー固定凹部33b(図4参照)との間で、DR側ピボット軸25aの回転方向への微小なガタつきが生じた場合、DR側ピボット軸25aの径方向外側になるほどガタつきによるズレが大きくなる。しかし、掛止爪33mは、内壁33kから径方向内側に突出して設けられ、かつ内壁33kのDR側ピボット軸25aから最も離れた位置に配置されているため、ガタつきの影響の大きい箇所でDR側ホルダカバー33をDR側ピボットホルダ30に固定し、DR側ピボット軸25aに対する回り止め効果を高めることができる。具体的には、図3に示されるように、掛止爪33mとDR側ピボット軸25aとの離間距離はLとなっている。なお、当該離間距離Lは、DR側ピボット軸25aの長さ寸法の略半分の寸法と等しくなっている。
さらに、図6に示されるように、掛止爪33mは、DR側ピボットホルダ30にDR側ホルダカバー33を装着した状態で、DR側固定腕30bの長手方向先端に設けられた切欠部30cの開口OPの部分に配置されている。そして、掛止爪33mは、図6および図7に示されるように、開口OPの部分で、DR側ブッシュ36の第1環状部36cに掛止されている。具体的には、掛止爪33mには、挿通孔33gの軸方向から第1環状部36cに当接される当接面33nが設けられ、この当接面33nが第1環状部36cに引っ掛けられている。
このように、掛止爪33mは弾性体である第1環状部36cに食い込むようにして掛止されるため、DR側ホルダカバー33のDR側ピボット軸25aに対する回り止め効果を高めることができる。また、掛止爪33mの配置箇所として、DR側ブッシュ36を装着するために設けられた切欠部30cを利用している。これにより、DR側ホルダカバー33を装着するために専用のDR側ピボットホルダを準備する必要が無くなる。したがって、DR側ホルダカバー33を利用することにより、汎用性を高めることが可能となる。さらに、掛止爪33mに対して切欠部30cを大きく形成したことで、掛止爪33mの製造誤差を吸収し、組付けも簡単となる。
また、挿通孔33gの軸方向に沿う掛止爪33mの当接面33n側とは反対側には、案内斜面33pが設けられている。この案内斜面33pは、DR側ピボットホルダ30にDR側ホルダカバー33を装着する際に、掛止爪33mの第1環状部36cへの掛止動作を案内する機能を有している。すなわち、図7の上方からDR側ピボットホルダ30にDR側ホルダカバー33を装着する際に、案内斜面33pの表面に、第1環状部36cの外周部分が弾性変形しつつ摺接するようになっている。
これにより、DR側ピボット軸25aをDR側取付筒部33aに挿入させるという装着動作の制約を受けながらも、DR側ピボットホルダ30にDR側ホルダカバー33を容易に装着することができる。具体的には、挿通孔33gを形成する円筒部33hも若干弾性変形されて、掛止爪33mは第1環状部36cを容易に乗り越えることができる。その後、掛止爪33mの当接面33nが第1環状部36cに軸方向から当接して、掛止爪33mの第1環状部36cに対する掛止動作が完了する。
ここで、挿通孔33gの内径寸法D1よりも、第1環状部36cの外径寸法D2の方が小さくなっており(D2<D1)、その間には比較的大きな環状スペースSPが形成されている。これにより、DR側ブッシュ36の第1環状部36cを挿通孔33gに容易に挿通させることができ、かつ、環状スペースSPを覗き込むことで、掛止爪33mの第1環状部36cに対する掛止状態を容易に把握することができる。つまり、環状スペースSPを設けることで、DR側ホルダカバー33のDR側ピボットホルダ30への装着作業を容易にしている。
なお、ワッシャWSの外径寸法は、第2環状部36dの外径寸法と略同じ外径寸法であり、かつ挿通孔33gの内径寸法D1と略同じ外径寸法に設定されている。したがって、ワッシャWSは、挿通孔33gを通過することはできないが、環状スペースSPを閉塞するように設けられる。したがって、環状スペースSPに埃等が溜まるようなことが防止される。
ここで、固定ボルトBLおよびワッシャWSは、DR側ホルダカバー33をDR側ピボットホルダ30に装着し、掛止爪33mを第1環状部36cに掛止させた後で、かつワイパ装置20を車両10に搭載する際に、図7に示されるようにDR側ブッシュ36に装着される。
また、掛止爪33mは、挿通孔33gの内壁33kから径方向内側に突出されているので、例えば、ワイパ装置20を車両10に搭載する際に、作業者等が掛止爪33mに接触すること等が確実に防止される。よって、DR側ホルダカバー33は、DR側ピボットホルダ30から容易に外れることが無く、ひいてはワイパ装置20の車両10への搭載性を向上させている。
また、図5(b)に示されるように、DR側傘部33cのDR側取付筒部33a側とは反対側で、かつ挿通孔33gの近傍には、DR側固定腕30b(図7参照)の長手方向先端に接触される一対の押圧面33qが設けられている。これらの押圧面33qは、図7に示されるように、掛止爪33mを第1環状部36cに掛止させた状態で、DR側固定腕30bの長手方向先端に押し付けられる。つまり、一対の押圧面33qは、挿通孔33gの軸方向からDR側固定腕30bを押圧するようになっている。
すなわち、図7の破線矢印に示されるように、掛止爪33mの掛止方向DR1および一対の押圧面33qの押圧方向DR2が、互いに相反する方向となっている。具体的には、掛止爪33mの掛止方向DR1は、挿通孔33gの軸方向に沿う第1環状部36c側(図中上側)となり、一対の押圧面33qの押圧方向DR2は、挿通孔33gの軸方向に沿うDR側固定腕30b側(図中下側)となる。
これにより、DR側ホルダカバー33の挿通孔33gがある部分が、DR側ブッシュ36の第1環状部36cとDR側固定腕30bとの間に、がたつくこと無く固定される。よって、DR側ホルダカバー33の挿通孔33gがある部分が、矢印SWのように揺動されることが効果的に抑えられる。
ここで、掛止爪33mの掛止構造は、図8(a),(b)の変形例に示されるように構成することもできる。なお、図8(a),(b)では、掛止爪の形状や位置が異なるが、図7に示される掛止爪33mと同様の機能を有するため、同一の記号を付している。
図8(a)の変形例では、第1環状部36cの外径寸法D2よりも大きい外径寸法D1のワッシャWS(D1>D2)に、掛止爪33mを引っ掛けている。この場合、掛止爪33mの位置を、固定ボルトBLの頭部HD寄りに配置できるので、掛止爪33mの掛止状態をより目視し易くできる。また、掛止爪33mは鋼材よりなるワッシャWSに掛止されるので、DR側ホルダカバー33のDR側ピボットホルダ30に対する「ブレ」をより効果的に抑えることができる。
図8(b)の変形例では、図8(a)の変形例に比して、ワッシャWSを廃止するとともに、第1環状部36cの外径寸法D2よりも大きい外径寸法D1の頭部HD1を備えた固定ボルトBL(D1>D2)に、掛止爪33mを引っ掛けている。この場合、図8(a)の変形例と同様の作用効果を奏することに加えて、ワッシャWSを廃止できるので、部品点数の削減を図ることができる。
なお、ワッシャWSや固定ボルトBLと第1環状部36cとの間に掛止爪33mを配置しても良い。この場合、ワッシャWSや固定ボルトBLによって掛止爪33mが第1環状部36cに押し付けられ、より強固に掛止させることができる上、掛止爪33mの製造誤差を第1環状部36cに吸収させる効果も得られる。
図9はAS側ピボット軸の周辺構造を説明する拡大斜視図を、図10は図9のD−D線に沿う断面図を、図11(a),(b)はAS側ホルダカバーの詳細構造を説明する斜視図を、図12はAS側ホルダカバーに流れ込む雨水の状態を説明する断面図を、図13はAS側ホルダカバーに流れ込む雨水の状態を説明する斜視図をそれぞれ示している。
図9に示されるように、AS側ピボットホルダ40は略筒状に形成され、AS側ピボット軸25bを回動自在に支持している。具体的には、図10に示されるように、AS側ピボットホルダ40の径方向内側でかつ軸方向両側には、一対の軸受41(図示では一方のみを示す)が装着されている。これらの軸受41は、AS側ピボット軸25bの軸方向両側を回転自在に支持している。よって、AS側ピボット軸25bは、AS側ピボットホルダ40に対してスムーズに回転することができる。
なお、一対の軸受41の近傍には、それぞれゴム等よりなるシール部材42(図示では一方のみを示す)が設けられている。これにより、AS側ピボットホルダ40内への雨水等の進入が阻止される。
ここで、AS側ピボット軸25bは、本発明におけるピボット軸を構成し、AS側ピボットホルダ40は、本発明におけるホルダ部材を構成している。
また、AS側ピボットホルダ40には、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成されたAS側ホルダカバー43が装着されている。具体的には、AS側ピボットホルダ40には、AS側ホルダカバー43のAS側取付筒部43aが、その周囲を覆うようにして設けられている。なお、AS側取付筒部43aは、AS側ピボットホルダ40の軸方向および周方向の双方に対して、移動不能となるように固定されている。
ここで、AS側ホルダカバー43は、本発明におけるカバーを構成している。
AS側ピボットホルダ40の周囲には、一対のAS側カバー固定凸部40aが一体に設けられている。これらのAS側カバー固定凸部40aは、AS側ピボットホルダ40の径方向外側に所定高さで突出され、AS側ピボットホルダ40の軸方向に延在されている。また、一対のAS側カバー固定凸部40aは、AS側ピボットホルダ40の周方向に等間隔(180度間隔)で設けられている。つまり、一対のAS側カバー固定凸部40aは、AS側ピボット軸25bを中心に対向配置されている。なお、図10では、AS側ピボットホルダ40とAS側カバー固定凸部40aとの境界部分に、一点鎖線を記載している。
そして、これらのAS側カバー固定凸部40aは、AS側取付筒部43aの径方向内側に設けられた一対のAS側カバー固定凹部43bに入り込んでいる。これにより、AS側ホルダカバー43は、AS側ピボットホルダ40に対して回り止めされる。また、AS側取付筒部43aの軸方向先端側(図10中上側)の一部は、ワッシャ34および一対のAS側カバー固定凸部40aにより支持されている。これにより、AS側ホルダカバー43のAS側ピボットホルダ40に対する軸方向への移動が規制される。
ここで、ワッシャ34の外径寸法は、AS側ピボットホルダ40の先端部分の外径寸法よりも大径となっており、歯付き止め輪(ティースワッシャ)35によって抜け止めされている。
図9および図13に示されるように、AS側ピボットホルダ40には、当該AS側ピボットホルダ40を車両10に固定するためのAS側固定腕40bが一体に設けられている。AS側固定腕40bは、AS側ピボットホルダ40の軸方向と交差する方向に延在されている。AS側固定腕40bの長手方向基端は、AS側ピボットホルダ40に連結され、AS側固定腕40bの長手方向先端には、ゴム等よりなるAS側ブッシュ44が装着されている。
ここで、AS側ブッシュ44は、AS側固定腕40b(AS側ピボットホルダ40)と車両10との間に設けられ、ワイパ装置20の振動が車両10に伝達されるのを防止して車室内の静粛性を向上させている。さらには、車両10の振動がワイパ装置20に伝達されるのを防止することもでき、よってワイパ装置20が車両10の振動で損傷することも効果的に抑えられる。
なお、図2に示されるように、ワイパモータ21についても、ゴム等よりなるブッシュBSを介して車両10に固定される。すなわち、本実施の形態のワイパ装置20は、DR側ブッシュ36,AS側ブッシュ44,ブッシュBS(合計3つ)を介して車両10に3点支持で固定されている。
さらに、AS側ピボットホルダ40には、フレーム部材50(図2参照)の他端に差し込まれてフレーム部材50の他端がカシメ固定されるAS側フレーム固定部40cを備えている。このAS側フレーム固定部40cは、AS側ピボットホルダ40を中心に、AS側固定腕40b側とは反対側に配置されている。これにより、AS側ピボットホルダ40は、AS側固定腕40bとAS側フレーム固定部40cとの間の略中央にバランス良く支持されて、AS側ピボット軸25bの揺動時におけるAS側ピボットホルダ40の捩れを効果的に抑えることができる。
図9ないし図13に示されるように、AS側ホルダカバー43は、AS側ピボットホルダ40の周囲を覆うAS側取付筒部43aを備え、当該AS側取付筒部43aの径方向内側には、一対のAS側カバー固定凹部43b(図11(b)参照)が設けられている。これらのAS側カバー固定凹部43bは、AS側取付筒部43aの径方向外側に向けて窪んでおり、かつAS側取付筒部43aの周方向に等間隔(180度間隔)で設けられている。そして、一対のAS側カバー固定凹部43bには、AS側ピボットホルダ40の周囲に設けられた一対のAS側カバー固定凸部40a(図10参照)が入り込んでいる。
AS側取付筒部43aの軸方向基端側(図9中下側)には、AS側取付筒部43aを中心に放射状に広がったAS側傘部43cが一体に設けられている。つまり、AS側傘部43cは、AS側ピボット軸25bの軸方向と交差する方向に広がっている。
ここで、AS側傘部43cは、本発明における傘部を構成している。
AS側傘部43cは、AS側ピボット軸25bの軸方向先端側にあるAS側ピボット孔15b(図12,図13参照)から流れてくる雨水(流体)W1を、受け止めるようになっている。ここで、AS側傘部43cの大きさは、AS側ピボットホルダ40をその軸方向先端側(図9中上側)から見たときに、AS側ピボットホルダ40を、余裕を持って覆い隠せる大きさに設定されている。
図11に示されるように、AS側傘部43cの周囲の一部には、AS側ピボットホルダ40をその軸方向先端側から見たときに、略円弧形状に形成された円弧状壁部43dが設けられている。また、AS側傘部43cの周囲の一部には、AS側ピボットホルダ40をその軸方向先端側から見たときに、略平板状に形成された平板状壁部43eが設けられている。これらの円弧状壁部43dおよび平板状壁部43eは、いずれもAS側傘部43cからAS側ピボット軸25bの軸方向に突出されている。
ここで、円弧状壁部43dは、本発明における第1壁部を構成し、平板状壁部43eは、本発明における第2壁部を構成している。
そして、AS側ピボット軸25b(AS側取付筒部43a)を中心にAS側傘部43cの一側(車両後方側)と、AS側ピボット軸25b(AS側取付筒部43a)を中心にAS側傘部43cの他側(車両前方側)とを結ぶ線分をLNとしたときに、円弧状壁部43dは、線分LNの延在方向に沿う車両後方側に配置され、平板状壁部43eは、線分LNの延在方向に沿う車両前方側に配置されている。また、円弧状壁部43dは、線分LNの延在方向に沿う平板状壁部43e側とは反対側(車両後方側)に窪んだ円弧形状に形成され、平板状壁部43eは、線分LNと交差する方向(車幅方向)に延びる平板状に形成されている。
円弧状壁部43dの高さ寸法および平板状壁部43eの高さ寸法は、いずれも略同じ高さ寸法に設定されている。具体的には、DR側ホルダカバー33の第1壁部33d(図3参照)の高く設定された部分の高さ寸法および第2壁部33f(図3参照)の高さ寸法と、略同じ高さ寸法に設定されている。
これにより、AS側ピボット孔15b(図12,図13参照)からAS側ホルダカバー43に流れてきて勢いのある雨水W1が、AS側傘部43c,円弧状壁部43d,平板状壁部43e等で跳ね返り、外部に漏れ出ることが効果的に抑えられる。
ここで、図12に示されるように、雨水W1が流れ込んでくる方向にはカウルトップカバー15が設けられ、当該カウルトップカバー15の一部および平板状壁部43eは、車両10の上下方向に対して互いにオーバーラップされている。これにより、AS側ホルダカバー43に流れてきた雨水W1の外部への漏出が、より効果的に抑えられている。
なお、カウルトップカバー15は、本発明における車体パネルを構成している。
図11に示されるように、円弧状壁部43dの両端部分と、平板状壁部43eの両端部分との間には、それぞれ排水口43fが設けられている。言い換えれば、一対の排水口43fは、それぞれAS側傘部43cと円弧状壁部43dと平板状壁部43eとによって形成されている。そして、一対の排水口43fはそれぞれ線分LNと交差する方向(車幅方向)に対向配置され、かつ一対の排水口43fはそれぞれ車幅方向に向けられている。これにより、図13に示されるように、AS側ホルダカバー43のAS側傘部43cに流れてきた雨水W1は、車両10の車両前方では無く、車両10の車幅方向に排出される。
ここで、一対の排水口43fは、本発明における排水部を構成している。
また、図11に示されるように、平板状壁部43eの表面、つまり平板状壁部43eのAS側取付筒部43a(AS側ピボット軸25b)側には、一対の傾斜壁43gが設けられている。これらの傾斜壁43gは、略三角形形状に形成され、平板状壁部43eの略中央部分から、それぞれの排水口43fに向けて滑り台状に下っている。これにより、AS側ホルダカバー43のAS側傘部43cに流れてきた雨水W1は、一対の排水口43fに向けて誘導される(図13参照)。すなわち、一対の傾斜壁43gは、雨水W1を一対の排水口43fから素早く外部に排出させる機能を備えている。
また、一対の傾斜壁43gは、平板状壁部43eとAS側傘部43cとの間に跨がって設けられている。これにより、平板状壁部43eとAS側傘部43cとの間の強度が向上される。このように、一対の傾斜壁43gは、AS側ホルダカバー43の強度を向上させる機能も備えている。ただし、一対の傾斜壁43gを大きくし過ぎると、勢いのある雨水W1が平板状壁部43eを乗り越える可能性が出てくる。したがって、一対の傾斜壁43gの大きさは、大きくし過ぎないように適度な大きさに設定する。
さらに、図11(b)に示されるように、平板状壁部43eの裏面、つまり平板状壁部43eのAS側取付筒部43a(AS側ピボット軸25b)側とは反対側には、略平板状のリブ43hが設けられている。このリブ43hは、平板状壁部43eとAS側傘部43cとの間に配置され、具体的には、一対の傾斜壁43gの裏側に配置されている。リブ43hは、平板状壁部43eの裏面から、AS側ピボット軸25bと略平行となる方向に所定高さで突出されている(図12参照)。また、リブ43hは、平板状壁部43eと同様に、線分LNと交差する方向(車幅方向)に延在されている。
このように、平板状壁部43eの裏面にリブ43hを設けることで、図12に示されるように、平板状壁部43eを乗り越えてしまった雨水W2を、AS側ピボット軸25bの基端側に到達しないようにしている。具体的には、平板状壁部43eを乗り越えて平板状壁部43eの裏面に回り込んだ雨水W2は、リブ43hの表面を伝ってカウルトップパネル14に流れ落ち、AS側ピボット軸25bの基端側にあるリンク機構24(図2参照)に到達することが無い。また、リブ43hをAS側ピボット軸25bと略平行となる方向に設けたことで、リブ43hがAS側ピボット軸25bの径方向外側に大きく出っ張ることを防止し、AS側ホルダカバー43を小型化できる。
さらに、リブ43hは、上述のように雨水W2の流れ方向をコントロールすることに加えて、図11(b)に示されるように、一対の傾斜壁43gと同様に、平板状壁部43eとAS側傘部43cとの間の強度を向上させる機能を備えている。つまり、リブ43hは、補強リブとしての機能も備えている。
一対の排水口43fの周囲には、ワイパ装置20を車両10に搭載した状態で、AS側ホルダカバー43のAS側傘部43cに流れてきた雨水W1の排出方向を、車両10の真下(所定方向)に誘導する誘導壁43kがそれぞれ設けられている。これらの誘導壁43kは、AS側傘部43c,円弧状壁部43d,平板状壁部43eに亘って設けられ、略U字形状に形成されている。
このように、排水口43fの周囲に誘導壁43kを設けることで、排水口43fから車幅方向に雨水W1が勢い良く飛び出るのを防止しつつ、AS側ホルダカバー43の真下にあるカウルトップパネル14に向けて雨水W1を排水させて、リンク機構24への雨水W1の飛散を防止している。また、排水口43fからAS側傘部43cや平板状壁部43eの裏面に雨水Wが回り込むのを防止している。
ここで、AS側ホルダカバー43は、図1に示されるように、車両10の車幅方向に沿う略中央部に設けられている。そして、線分LN(図11(a)参照)と交差する方向が、車幅方向となっている。したがって、図13に示されるように、一対の排水口43fの開口方向には、その他の車体パネル等の種々の部材が存在せず、比較的大きなスペースが確保されている。
よって、仮に、雨水W1が一対の排水口43fから車幅方向に勢い良く飛び出たとしても、その先には種々の部材等(障害物)が存在せず、雨水W1の跳ね返りが防止される。したがって、これによっても雨水W1のリンク機構24(図12参照)への飛散が効果的に抑えられる。
さらに、図12に示されるように、ワイパ装置20が車両10に固定された状態で、AS側ピボット軸25bは、車両前方に所定角度(略45度)で傾斜されている。これは、フロントウィンドシールド11の傾斜に起因している。すなわち、例えば、ワゴン車のようにフロントウィンドシールドが垂直に近い角度の場合には、ピボット軸の傾斜角度は水平に近い角度になる。これとは逆に、スポーツカーのようにフロントウィンドシールドが水平に近い角度の場合には、ピボット軸の傾斜角度は垂直に近い角度になる。
ここで、車両10は、本発明における固定対象物を構成している。
本実施の形態のワイパ装置20では、AS側ピボット軸25bは、車両前方に略45度の角度で傾斜されている。そのため、一対の排水口43fが、AS側ピボット軸25bよりも車両10の上下方向で下方に配置されている。したがって、雨水W1の排水位置を、リンク機構24からより遠ざけられるようになっている。すなわち、リンク機構24は、より被水し難くなっている。
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパ装置20によれば、円弧状壁部43dと平板状壁部43eとの間に、AS側傘部43cに流れ込んだ雨水W1を、線分LNと交差する方向に排出させる一対の排水口43fが設けられているので、雨水W1の排水方向を屈曲させることができる。よって、近くに種々の部材が存在しない比較的大きなスペースに排水させることが可能となり、ひいては信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係るワイパ装置20によれば、円弧状壁部43dが、線分LNの延在方向に沿う平板状壁部43e側とは反対側(車両後方側)に窪んだ円弧形状に形成され、平板状壁部43eが、線分LNと交差する方向に延びる平板状に形成されている。よって、雨水W1が流れ込んでくるAS側傘部43cの面積を、十分な広さにすることができる。また、雨水W1を平板状壁部43eで受け止め、排水口43fへ誘導し易くしている。
さらに、本実施の形態に係るワイパ装置20によれば、平板状壁部43eのAS側ピボット軸25b側とは反対側である裏面に、当該裏面から突出され、かつ線分LNと交差する方向に延びるリブ43hが設けられている。また、リブ43hは、平板状壁部43eの裏面からAS側ピボット軸25bと略平行となる方向に突出されている。よって、平板状壁部43eを乗り越えてしまった雨水W2(図12参照)を、AS側ピボット軸25bの基端側に、より到達しないようにできる。
また、本実施の形態に係るワイパ装置20によれば、平板状壁部43eのAS側ピボット軸25b側である表面に、雨水W1を一対の排水口43fに誘導する傾斜壁43gが設けられている。よって、AS側傘部43cに流れてきた雨水W1が、一対の排水口43fに向けて誘導され(図13参照)、ひいては雨水W1を一対の排水口43fから確実に、かつ素早く外部に排出させることができる。
さらに、本実施の形態に係るワイパ装置20によれば、AS側ホルダカバー43が、車両10の車幅方向に沿う略中央部に設けられ、線分LNと交差する方向が車幅方向となっている。これにより、一対の排水口43fの開口方向には、その他の車体パネル等の種々の部材が存在せず、比較的大きなスペースが確保される(図13参照)。よって、雨水W1が一対の排水口43fから車幅方向に勢い良く飛び出たとしても、その先には障害物が存在せず、雨水W1の跳ね返りが防止され、ひいては雨水W1のリンク機構24への飛散が効果的に抑えられる。
また、本実施の形態に係るワイパ装置20によれば、一対の排水口43fの周囲に、雨水W1の排出方向を車両10の真下に誘導する誘導壁43kが設けられている。よって、排水口43fから車幅方向に雨水W1が勢い良く飛び出ることを防止することができる。
さらに、本実施の形態に係るワイパ装置20によれば、ワイパ装置20が車両10に固定された状態で、一対の排水口43fがAS側ピボット軸25bよりも下方に配置されている。よって、雨水W1の排水方向を、リンク機構24からより遠ざけることができ、ひいてはリンク機構24がより被水し難くなる。
また、本実施の形態に係るワイパ装置20によれば、平板状壁部43eが、雨水W1が流れ込んでくる方向にあるカウルトップカバー15とオーバーラップしている。よって、AS側ホルダカバー43に流れてきた雨水W1の外部への漏出を、より効果的に抑えることができる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では、ピボット軸を揺動させる揺動部材が、ワイパモータ21およびリンク機構24であるものを示したが、本発明はこれに限らず、出力軸の回転が正逆方向に制御される制御型のワイパモータ単体を揺動部材としても良い。この場合、ピボット軸の直下に制御型のワイパモータが配置されることになるため、それに合わせて、ホルダカバー(カバー)の大きさを設定するようにする。
また、上記実施の形態では、ワイパ装置20の払拭パターンがタンデム型であるものを示したが、本発明はこれに限らず、対向払拭型等の他の払拭パターンのワイパ装置にも適用することができる。
さらに、上記実施の形態では、車両10のフロントウィンドシールド11を払拭するワイパ装置20を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、車両10のリヤガラスや、鉄道車両や航空機等のウィンドシールドを払拭するワイパ装置にも適用することができる。
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。