以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1はワイパ装置が搭載された車両の前方部分を示す概略図を、図2はワイパモータの出力軸側を示す平面図を、図3は図2のワイパモータの内部構造を説明する説明図を、図4は防水カバーを表側から見た斜視図を、図5は防水カバーを裏側から見た斜視図を、図6は車両が平坦路を走行している時の図1のA−A線に沿う断面図を、図7は車両が上り坂を走行している時の図6に対応した断面図を、図8(a)は図7の部分拡大図、(b)は車両が下り坂を走行している時の図8(a)に対応した断面図をそれぞれ示している。
図1に示すように、自動車等の車両10の前方側には、フロントウィンドシールド11が設けられている。また、フロントウィンドシールド11の前端部分には、ワイパ装置12が近接して配置されている。ワイパ装置12は、フロントウィンドシールド11上に付着した雨水や埃等を払拭して、これにより運転者や同乗者の視界を良好に確保するものである。
ワイパ装置12は、運転席側と助手席側とで2つのワイパ部材13(詳細図示せず)を備えている。これらのワイパ部材13の基端側は、車両10に設けられた一対のピボット軸14にそれぞれ固定されている。これにより、各ワイパ部材13の先端側は、各ピボット軸14を揺動中心として揺動するようになっている。ここで、ワイパ部材13は、基端部がピボット軸に固定されるワイパアームと、ワイパアームの先端部に装着されるワイパブレードとから構成される。
各ピボット軸14は、一対のピボットホルダ15によって回動自在に支持されている。各ピボットホルダ15は、アルミ材料等を鋳造成形することで所定形状に形成され、車体固定部(固定対象物)10aに固定される固定脚15aをそれぞれ備えている。各ピボットホルダ15の間には、パイプ状のフレーム部材16が設けられており、当該フレーム部材16の両端部は、各ピボットホルダ15にカシメ固定されている。これにより各ピボットホルダ15は一体化(モジュール化)されている。
ワイパ装置12はワイパモータ17を備えている。ワイパモータ17は1つのみ設けられ、当該1つのワイパモータ17により各ワイパ部材13が揺動駆動される。ワイパモータ17は出力軸18(図2参照)を備えており、当該出力軸18と各ピボット軸14との間にはリンク機構19が設けられている。そして、ワイパモータ17を駆動すると、出力軸18の回転運動がリンク機構19によって揺動運動に変換される。これにより、各ピボット軸14が揺動駆動されて、ひいては各ワイパ部材13の先端側がフロントウィンドシールド11上で揺動される。よって、フロントウィンドシールド11上の雨水等が綺麗に払拭される。
図2および図3に示すように、ワイパモータ17は、モータ部20と減速機構部30とを備えている。これらのモータ部20および減速機構部30は、一対の固定ねじSによって互いに強固に固定されている。
モータ部20は、磁性材料よりなる鋼板等を深絞り加工することで有底筒状に形成されたヨーク(モータケース)21を備えている。ヨーク21の内壁には、断面が略円弧形状に形成された複数の永久磁石22(図示では2つのみ示す)が固定されている。複数の永久磁石22の内側には、所定のエアギャップ(隙間)を介してアーマチュア23が回転自在に設けられている。アーマチュア23の回転中心にはアーマチュア軸(回転軸)24が固定されており、アーマチュア軸24はアーマチュア23とともにヨーク21の内部に回転自在に収容されている。
アーマチュア軸24の軸方向一端側(図3中右側)は、ヨーク21の底部に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。アーマチュア軸24の軸方向他端側(図3中左側)は、減速機構部30を形成するハウジング31の内部に配置されている。アーマチュア軸24の軸方向他端側には、減速機構33を構成する一対のウォームギヤ25a,25bが一体に設けられ、各ウォームギヤ25a,25bは、減速機構33を構成する一対のカウンタギヤ34,35の大径歯部34a,35aにそれぞれ噛み合わされている。
アーマチュア軸24の各ウォームギヤ25a,25bとアーマチュア23との間には、アーマチュア23に巻装されたコイル26に電気的に接続されたコンミテータ27が固定されている。コンミテータ27の外周部分には複数のブラシ28(図示では2つのみ示す)が摺接するようになっており、これにより各ブラシ28に駆動電流を供給することで、コンミテータ27を介してコイル26に駆動電流が供給される。これによりアーマチュア23には電磁力が発生し、ひいてはアーマチュア軸24が所定の回転数および回転方向で回転する。ただし、本実施の形態においてはブラシ付きモータを採用しているが、ブラシレスモータ等の他の形式のモータを採用することもできる。
ハウジング31の内部には、減速機構33が回転自在に収容されている。減速機構33は、アーマチュア軸24により回転される2つのカウンタギヤ34,35および1つのスパーギヤ36を備えている。各カウンタギヤ34,35は、一対の支持ピンPN1,PN2にそれぞれ回動自在に支持されている。また、各カウンタギヤ34,35は、それぞれ大径歯部34a,35aと小径歯部34b,35bとを備えている。各大径歯部34a,35aは、アーマチュア軸24の各ウォームギヤ25a,25bに噛み合わされている。一方、スパーギヤ36は、各カウンタギヤ34,35よりも大径に形成され、その外周部分には歯部36aが形成されている。スパーギヤ36の歯部36aは、各カウンタギヤ34,35の各小径歯部34b,35bのそれぞれに噛み合わされている。
スパーギヤ36の回転中心には、出力軸18の基端部が固定され、当該出力軸18の先端側は、ハウジング31の外部に延出されている。つまり、減速機構部30は出力軸18を備えている。出力軸18の先端部にはリンク機構19(図1参照)が連結され、出力軸18の先端部の近傍には、リンク機構19を構成するボールジョイント部19a(図1参照)が配置されている。
そして、図3の太線矢印に示すように、アーマチュア軸24の回転は各カウンタギヤ34,35を介してスパーギヤ36に伝達される。このとき、アーマチュア軸24の回転数は所定の回転数に減速され、出力軸18からは高トルク化された回転力が出力される。よって、ワイパモータ17は小型でありながら高出力が可能であって、車両搭載性に優れた減速機構付モータとなっている。
図2に示すように、減速機構部30は、ハウジング31に加えて、当該ハウジング31の開口部(図中奥側)を閉塞するカバー部材37(詳細図示せず)を備えている。ハウジング31は、溶融したアルミ材料等を鋳造成形することで略バスタブ形状に形成されている。一方、カバー部材37は、溶融したプラスチック材料等を射出成形することで略バスタブ形状に形成されている。
ハウジング31の底壁部31aにおける外周部分には、フレーム部材16の長手方向中央部に固定されるフレーム固定部31bが一体に設けられている。フレーム固定部31bには、一対のボルト孔31cが設けられ、これらのボルト孔31cには、一対のボルトB(図6参照)が固定されるようになっている。このように、ワイパモータ17は、一対のボルトBによってフレーム部材16にがたつくこと無く強固に固定されている。
また、ハウジング31の底壁部31aにおける外周部分で、かつ出力軸18を挟むフレーム固定部31b側とは反対側(図中上側)には、車両10の車体固定部10a(図6参照)に固定された挿入ピンIPに固定されるピン固定部31dが一体に設けられている。ピン固定部31dには、略円盤状に形成されたゴムブッシュRBが装着されている。つまり、ピン固定部31dには、ゴムブッシュRBを介して挿入ピンIPが挿入される。
このように、ワイパ装置12は、図1に示すように、2箇所の固定脚15aと1箇所のピン固定部31dとの合計3箇所により、車体固定部10aに固定されている。ここで、ワイパ装置12を車体固定部10aに固定するには、まず、ピン固定部31dに挿入ピンIPを挿入して仮固定状態とする。その後、各固定脚15aを、一対のボルト(図示せず)を介して、車体固定部10aにそれぞれ固定する。
図2に示すように、ハウジング31の開口部は、カバー部材37によって密閉されている。なお、各カウンタギヤ34,35およびスパーギヤ36(図3参照)は、ハウジング31の開口部からハウジング31の内部に組み込まれる。カバー部材37には、コネクタ接続部37aが一体に設けられており、このコネクタ接続部37aは、ワイパモータ17の長手方向(アーマチュア軸24の軸方向)に沿うモータ部20側とは反対側に突出されている。コネクタ接続部37aには、車両10側に設けられた外部コネクタ(図示せず)が接続され、これによりワイパモータ17は、車両10に搭載されたバッテリやスイッチ等(図示せず)に電気的に接続される。
図1に示すように、ワイパ装置12のワイパモータ17がある部分で、かつワイパモータ17の厚み方向(出力軸18の軸方向)に沿う出力軸18側とは反対側には、防水カバー40が装着されている。具体的には、防水カバー40は、ワイパ装置12のフレーム部材16とワイパモータ17との双方に係合して固定され、ワイパ装置12の上方側に配置されている。この防水カバー40のワイパ装置12への固定構造については、後述する。
図4に示すように、防水カバー40は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで略平板状に形成されている。防水カバー40には、当該防水カバー40をワイパ装置12に装着した状態のもとで、ワイパモータ17およびリンク機構19のボールジョイント部19a(図1参照)を覆う本体部41が設けられている。
本体部41は、ワイパモータ17の上面側、つまりカバー部材37がある側を覆うように、アーマチュア軸24の軸方向(図中左右方向)に延びるとともに、アーマチュア軸24の軸方向と交差する方向(図中上下方向)に延びている。ここで、本体部41のアーマチュア軸24の軸方向と交差する方向に沿う断面形状は略円弧形状に形成されており、これによりワイパモータ17のカバー部材37側が、本体部41に包み込まれるように覆われる。
本体部41の周囲の一部には、縁部42が一体に設けられている。ここで、図4の一点鎖線は、本体部41と縁部42との境界線BLを示している。縁部42は、図1および図6に示すように、ワイパ装置12を車両10に固定した状態のもとで、本体部41のフロントウィンドシールド11側で、かつ所定角度α°で傾斜された本体部41の上方側に配置されている。
縁部42は、本体部41に対して、アーマチュア軸24の軸方向と交差する方向にフランジ状に突出しており、縁部42の突出量は、本体部41のアーマチュア軸24の軸方向と交差する方向に沿う幅寸法の略1/20となっている。このように、縁部42の突出量を最小限に抑えることで、防水カバー40が大型化するのを抑えて、ワイパ装置12の車両10への取り付け作業性が低下するのを抑制している。
図4に示すように、本体部41は、第1本体部41aと第2本体部41bとを備えている。第1本体部41aは、ワイパモータ17のモータ部20(図2参照)を覆い、第2本体部41bは、ワイパモータ17の減速機構部30(図2参照)を覆うようになっている。
また、第1本体部41aと第2本体部41bとの間で、かつ防水カバー40の表側には、第1本体部41aおよび第2本体部41bに対して垂直に突出された垂直壁41cが設けられている。垂直壁41cは、本発明における第2障壁部を構成しており、アーマチュア軸24の軸方向と交差する方向に延ばされている。これにより、垂直壁41cは、第1本体部41aと第2本体部41bとの間での雨水(水)WT(図6参照)の行き来を抑制する。すなわち、垂直壁41cは、第1本体部41aに滴下された雨水WTの第2本体部41bへの到達を抑制するとともに、第2本体部41bに滴下された雨水WTの第1本体部41aへの到達を抑制する。
ここで、垂直壁41cの本体部41からの突出高さH1は、防水カバー40の板厚寸法よりも若干大きい高さに抑えられている。したがって、防水カバー40の大型化が抑制される。なお、垂直壁41cは、第1本体部41aと第2本体部41bとの間での雨水WTの行き来を抑制する機能(第1機能)に加えて、防水カバー40を補強して当該防水カバー40が撓むのを防止する補強リブとしての機能(第2機能)も有している。
第1本体部41aのアーマチュア軸24の軸方向に沿う垂直壁41c側とは反対側(図中右側)には、他の垂直壁41dが設けられている。この垂直壁41dにおいても、垂直壁41cと略同じ突出高さとなっている。垂直壁41dは、第1本体部41aに滴下された雨水WTを所定位置P1(図中破線矢印)に誘導する機能(第1機能)を持っている。さらに、垂直壁41dは、防水カバー40を補強して当該防水カバー40が撓むのを防止する補強リブとしての機能(第2機能)も有している。
第2本体部41bのアーマチュア軸24の軸方向に沿う垂直壁41c側とは反対側(図中左側)には、他の垂直壁41eが設けられている。この垂直壁41eにおいても、垂直壁41cと略同じ突出高さとなっている。垂直壁41eは、第2本体部41bの垂直壁41e寄りに滴下された雨水WTを、所定位置P2(図中破線矢印)に誘導する機能(第1機能)を持っている。さらに、垂直壁41eは、防水カバー40を補強して当該防水カバー40が撓むのを防止する補強リブとしての機能(第2機能)も有している。なお、第2本体部41bに滴下された雨水WTの殆どは、所定位置P3,P4(図中破線矢印)に示す種々の位置に誘導される。
また、第2本体部41bには、切欠部41fが設けられている。この切欠部41fは大きく切り欠かれており、第2本体部41bの平面視において当該第2本体部41bの略1/4を占めている。切欠部41fは、ワイパ装置12を車両10に固定した状態のもとで、図1に示すようにコネクタ接続部37aを外部に露出させるようになっている。これにより、車両メーカー等において、外部コネクタ(図示せず)の接続作業を容易に行うことができる。なお、コネクタ接続部37aと外部コネクタとの接続部分には、Oリング等による防水機能(図示せず)が設けられている。そのため、コネクタ接続部37aが雨水WTに曝されても問題は生じない。
第2本体部41bと縁部42との間で、かつ防水カバー40の表側には、5つのリブ(第1障壁部)43および4つの隙間部44が設けられている。つまり、これらのリブ43および隙間部44は、第2本体部41bと縁部42との境界線BL上に配置されている。各リブ43は、縁部42に対して垂直に設けられ、各隙間部44は、隣り合うリブ43の間に設けられている。
各リブ43は略平板状に形成され、その板厚寸法は、防水カバー40の板厚寸法と略同じ寸法に設定されている。また、各リブ43のアーマチュア軸24の軸方向に沿う幅寸法W1は、各隙間部44のアーマチュア軸24の軸方向に沿う幅寸法W2よりも大きい寸法となっている(W1>W2)。これにより、第2本体部41bに滴下された雨水WTの縁部42への到達を効果的に抑制することができるとともに、縁部42に到達してしまった雨水WTを第2本体部41bへ逃がす(戻す)ことができる。
また、各リブ43の突出高さH2は、垂直壁41c,41d,41eの突出高さH1の略2倍の突出高さとなっている(H2≒2×H1)。このように、各リブ43の突出高さH2を、垂直壁41c,41d,41eの突出高さH1の略2倍程度に抑えることで、ワイパ装置12の車両10への取り付け作業時に各リブ43が邪魔になるのを防止しつつ、各リブ43の後方側(縁部42側)への雨水WTの到達を効果的に抑制可能としている。
そして、図6に示すように、各リブ43および各隙間部44は、ワイパ装置12を車両10に固定した状態のもとで、防水カバー40の上方側に配置される。これにより、雨水WTがワイパ装置12の後方側に回り込むのを効果的に抑制しつつ、ワイパモータ17およびその下方側にあるボールジョイント部19aが被水するのを抑制することができる。
また、各リブ43および各隙間部44は、第2本体部41bと縁部42との間のみに設けられている。これにより、各リブ43および各隙間部44は、防水カバー40の上方側において、ボールジョイント部19aに最も近接した位置に配置される。したがって、ボールジョイント部19aが被水するのを抑制することができ、かつ各リブ43および各隙間部44の個数を必要最小限に抑えて、防水カバー40の形状を簡素化しつつ見栄えを良好にできる。
また、第1本体部41aと第2本体部41bとの間に、垂直壁41c(図4参照)を設けている。これにより、防水カバー40を補強しつつ、第1本体部41a(モータ部20側)に滴下された雨水WTの第2本体部41b(減速機構部30側)への到達が抑制されて、ボールジョイント部19aが被水するのをより抑制することができる。ここで、垂直壁41cを設けることは、上述のように各リブ43および各隙間部44の個数が必要最小限に抑えられることに、貢献している。
図5に示すように、防水カバー40の裏側、つまりフレーム部材16およびワイパモータ17がある側には、2つの固定リング部45と1つの係合爪部46とが設けられている。一対の固定リング部45は、断面が略C字形状に形成されており、いずれも第2本体部41bの裏側に配置されている。一方、係合爪部46は、断面が略三角形形状に形成され、係合爪部46においても第2本体部41bの裏側に配置されている。
各固定リング部45は、防水カバー40の長手方向(アーマチュア軸24の軸方向)に所定の間隔を持って設けられ、各固定リング部45は、フレーム部材16にそれぞれ取り付けられるようになっている。一方、係合爪部46は、各固定リング部45をフレーム部材16に取り付けた状態のもとで、ワイパモータ17のハウジング31(図2参照)に引っ掛けられるようになっている(詳細図示せず)。
このように、防水カバー40は、ワイパ装置12に対して固定ねじ等の締結手段を用いること無く容易に固定することができる。
次に、以上のように形成したワイパ装置12の被水状態について、図6ないし図8に基づいて詳細に説明する。
ここで、車両10が「平坦路」を走行している場合には、図6に示すように、ワイパ装置12の前後方向における傾斜角度(前のめりの角度)はα°となる。また、車両10が「上り坂」を走行している場合には、図7に示すように、ワイパ装置12の前後方向における傾斜角度はβ°(β°<α°)となる。さらに、車両10が「下り坂」を走行している場合には、図8(b)に示すように、ワイパ装置12の前後方向における傾斜角度はγ°(γ°>α°)となる。
車両10が「平坦路」を走行している場合には、図6の太線矢印に示すように、雨水WTはフロントウィンドシールド11の前端部分から本体部41に滴下される。このとき、防水カバー40の傾斜角度はα°であり、本体部41に滴下された雨水WTの殆どは、本体部41の表面に沿って本体部41の前方側に流れる。その後、雨水WTは、車両10の下方側に滴下される。つまり、本体部41から各リブ43および各隙間部44側(後方側)への雨水WTの流れや飛び跳ねは殆ど発生することが無い。
したがって、ワイパ装置12の後方側に回り込む雨水WTは殆ど無いので、ボールジョイント部19a等が被水するのを抑制できる。ここで、仮に、本体部41から各リブ43および各隙間部44側に雨水WTが飛び跳ねたとしても、隙間部44の幅寸法W2よりも大きい幅寸法W1のリブ43(図4参照)が障壁となるため、雨水WTのボールジョイント部19a等への到達は、効果的に抑制される。
これに対し、車両10が「上り坂」を走行している場合には、防水カバー40の傾斜角度がβ°(β°<α°)となり、図7および図8(a)の破線矢印(1)に示すように、雨水WTの一部がフロントウィンドシールド11の前端部分から本体部41の後方側に流れるようになる。このとき、リブ43が障壁となるため、図7および図8(a)の破線矢印(2)に示すような雨水WTの移動が抑えられる。よって、雨水WTのボールジョイント部19a等への到達は、効果的に抑制される。
ここで、隙間部44を通過してしまった雨水WTは、図8(a)の網掛部分に示すように、リブ43の縁部42側に溜まることがある。しかしながら、縁部42の傾斜角度は、車両10の走行状態(平坦路走行,上り坂走行,下り坂走行)に関わらず前方側が下方側に位置するようになっている。そのため、リブ43の縁部42側に溜まった雨水WTは、車両10の振動や車両10の制動時の慣性力等によって、隙間部44を介して本体部41(第2本体部41b)に逃がされる。特に、図8(b)に示すように、車両10が「下り坂」を走行している場合には、防水カバー40の傾斜角度が大きい角度のγ°となって、リブ43の縁部42側に溜まった雨水WTは、図中破線矢印(3)に示すように、本体部41(第2本体部41b)に容易に戻ることができる。
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパ装置12によれば、防水カバー40に、リンク機構19を構成するボールジョイント部19aを覆う本体部41、本体部41の周囲に設けられる縁部42、本体部41と縁部42との間に設けられて本体部41に滴下された雨水WTの縁部42側への到達を抑制する複数のリブ43、隣り合うリブ43の間に設けられて縁部42に到達した雨水WTを本体部41側へ逃がす隙間部44を設けた。
これにより、防水カバー40を大型化させること無く、被水防止性能を向上させることができる。また、隣り合うリブ43の間に設けた隙間部44により、縁部42側に到達してしまった雨水WTを本体部41側へ逃がすことができるので、リブ43の縁部42側に雨水WTが溜まって当該部分が汚れるのを抑制することができる。
また、本実施の形態に係るワイパ装置12によれば、防水カバー40は、ワイパ装置12を車体固定部10aに固定した状態のもとで傾斜して設けられ、防水カバー40の上方側の本体部41と縁部42との間に、リブ43および隙間部44を配置した。
これにより、雨水WTがワイパ装置12の後方側に回り込むのを効果的に抑制しつつ、ワイパモータ17およびその下方側にあるボールジョイント部19aが被水するのを抑制することができる。
さらに、本実施の形態に係るワイパ装置12によれば、ワイパモータ17は、アーマチュア軸24を有するモータ部20と、アーマチュア軸24の回転を減速する減速機構33および出力軸18を備える減速機構部30と、を有し、防水カバー40の本体部41は、モータ部20を覆う第1本体部41aと、減速機構部30を覆う第2本体部41bと、を備え、第2本体部41bと縁部42との間に、リブ43および隙間部44を設けた。
これにより、リブ43および隙間部44は、防水カバー40の上方側で、かつボールジョイント部19aに最も近接した位置に配置される。よって、ボールジョイント部19aが被水するのを抑制しつつ、リブ43および隙間部44の個数を必要最小限に抑えて、防水カバー40の形状を簡素化しつつ見栄えを良好にできる。
また、本実施の形態に係るワイパ装置12によれば、第1本体部41aと第2本体部41bとの間に、第1本体部41aと第2本体部41bとの間での雨水WTの行き来を抑制する垂直壁41cを設けた。
これにより、防水カバー40を補強しつつ、モータ部20側の第1本体部41aに滴下された雨水WTが、減速機構部30側の第2本体部41bに到達するのを抑制して、ボールジョイント部19aが被水するのをより抑制することができる。
次に、本発明の実施の形態2および実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述の実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9(a)は実施の形態2に係る防水カバーの斜視図を、(b)は実施の形態3に係る防水カバーの斜視図をそれぞれ示している。
図9(a)に示すように、実施の形態2に係る防水カバー50は、上述した実施の形態1の防水カバー40(図4参照)に比して、第1障壁部としてのリブ51の数を増やした点と、リブ51の縁部42に対する突出高さH3を高く設定した点(H3>H2)とが異なっている。より具体的には、第1本体部41aと縁部42との間にもリブ51を設けている。第1本体部41aに対応するリブ51は4つ設けられ、第2本体部41bに対応するリブ51は、実施の形態1と同様に5つ設けられている。このように実施の形態2においては、突出高さがH3の大型のリブ51が合計9つ設けられている。
以上のように構成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2においては、リブ51の数が多く、かつその突出高さを高くして大型にしたので、より被水防止性能を向上させることができる。
図9(b)に示すように、実施の形態3に係る防水カバー60は、上述した実施の形態1の防水カバー40(図4参照)に比して、第1障壁部としての2種類の第1リブ61および第2リブ62を設けた点が異なっている。より具体的には、第2本体部41bの垂直壁41c側(図中右側)には、実施の形態1のリブ43(図4参照)よりも大きい幅寸法W3(W3>W1)の第1リブ61が3つ設けられている。一方、第2本体部41bの垂直壁41e側(図中左側)には、実施の形態1のリブ43よりも高い突出高さH4(H4>H2)の第2リブ62が3つ設けられている。
以上のように構成した実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3においては、第1リブ61の幅寸法W3を大きくし、第2リブ62の突出高さH4を高くし、かつこれらのリブ61,62を、第2本体部41bの長手方向に沿う略全域に配置したので、より被水防止性能を向上させることができる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、フロントウィンドシールド11を払拭するワイパ装置12としたものを示したが、本発明はこれに限らず、リヤガラスを払拭するワイパ装置にも適用することができる。
また、上記実施の形態においては、自動車等の車両10に搭載されたワイパ装置12としたものを示したが、本発明はこれに限らず、鉄道車両,航空機,船舶さらには建設機械等に搭載されるワイパ装置にも適用することができる。