JP6853624B2 - 新規な植物性乳酸菌 - Google Patents

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Description

本発明は、植物性乳酸菌に関する。より詳しくは、夕張メロンから単離した新規な植物性乳酸菌であるラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)に関する。また、当該乳酸菌または培養物を含む飲食品、ヨーグルト及び当該乳酸菌または培養物を有効成分とする抗菌剤に関する。
乳酸菌と乳酸菌発酵食品との関係は、ヨーグルトや漬物に見られるように、乳酸菌の生産する乳酸によってpHが低下して雑菌の繁殖を防止し、食品に独特の風味を付与するとともに食品の保存性を高めることが知られている。
しかし、乳酸菌発酵食品を長期間にわたり保存すると、乳酸菌によって産生される乳酸によって、風味や組織の劣化が生じ、食品の価値が減ずるという問題点もある。また、乳酸菌は乳酸のほかにペプチド系の抗生物質を生産して抗菌性を発揮するものもある。
このように、乳酸菌を利用して食品の長期保存安定性を追及する場合、pHの低下は雑菌の繁殖防止には有効であるが、風味や組織の劣化を招き、食品の品質低下をもたらす。
また、抗生物質を食品として常時摂取することは推奨されることではない。
ところで、植物性乳酸菌の代表的な菌株としてラクトバチルス・プランタラムHOKKAIDO株等が知られている(特許文献1)。本文献によれば、当該乳酸菌株は漬物から分離され、豆乳などに高い発酵能を有し、官能的に優れた乳酸発酵豆乳を製造できる乳酸菌であることが記載されている。
しかし、後述する本願実施例中の比較試験に示すように、本HOKKAIDO株によって製造した豆乳ヨーグルトも長期間保存した場合には、pHの低下が起こり、食品としての安定的な保存には向かないことがわかった。
特開2005−224224号公報
このように、従来知られている植物性乳酸菌は、もっぱら漬物などを分離源とすることもあり、当該菌を用いた発酵食品は保存により、序々にpHが低下し、酸味も強くなり、食品としての風味や組織の劣化が生じ、長期間の保存に適するようなものは存在しなかった。
本発明は、上記問題点を解決するためのもので、乳酸菌を利用した食品を長期間保存した場合であっても、pHの低下が非常に穏やかで、風味や組織の劣化が起こらず、かつ、雑菌の繁殖が見られないような植物性乳酸菌の探索を課題とする。
本発明者らは、植物性乳酸菌の分離源として夕張メロンを選択し、乳酸菌の分離を試み、分離した各種乳酸菌でヨーグルトを試作し、pH、離水、風味を観察し、もっとも優れた乳酸菌をスクリーニングした。本乳酸菌により1年以上経過しても風味が維持され離水も生成していないヨーグルトを得ることができた。このヨーグルトに利用した植物性乳酸菌は、新規なラクトバチルス・プランタラム(lactobacillus plantarum)であることがわかり、HOKU−1株と命名し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)。
(2)ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)の菌体または培養物を含む飲食品。
(3)ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)の菌体または培養物を含むヨーグルト。
(4)ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)の菌体または培養物を有効成分とする抗菌剤。
(5)医薬品である(4)に記載の抗菌剤。
(6)ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)の菌体または培養物を有効成分とする飲食品用保存料。
(7)原料にラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)を添加して発酵する工程を含む発酵食品の製造方法。
(8)一般式(I)に示される化合物を有効成分とする抗菌剤。
Figure 0006853624
(9)医薬品である(8)に記載の抗菌剤。
(10)一般式(I)に示される化合物を有効成分とする飲食品用保存料。
Figure 0006853624
本発明の夕張メロンから分離した新規な植物性乳酸ラクトバチルス・プランタラムHOKU−1株によれば、長期間にわたって酸の生成が少なく風味が良く、雑菌の繁殖も少ない発酵飲食品を提供することができる。
また、本HOKU−1株の菌体及び培養物には、抗菌作用があることから、これらを飲食品に添加することで、食品の長期保存安定性を実現することができる。
また、さらに本発明の一般式(I)の化合物にも抗菌作用があることから、同様に飲食品に添加することで、食品の長期保存安定性を実現することができる。
本発明のラクトバチルス・プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株は、完熟した夕張メロンより単離され、独立行政法人製品評価技術基盤機構・特許微生物寄託センターに、2013年12月5日付けで寄託されており、受託番号NITE P−01779を付与された。本菌株の菌学的特性は後述する実施例に記載されたとおりである。
本菌株の培養は、ラクトバチルス・プランタラムの培養に通常用いられる培地であればよく、MRS培地などが挙げられる。培養条件は、37℃付近、数時間〜数日が挙げられる。
本発明のラクトバチルス・プランタラムHOKU−1株は、菌体自体または菌体培養液を各種の飲食品に添加することにより、食品の保存安定性を高めることができる。飲食品としては、パン類、パスタ類、食用粉類、ごはん類、寿司、惣菜、ふりかけ、スープのもと、たれ、調味料、香辛料、茶、菓子、飲料等が挙げられる。
また、豆乳、牛乳、ヨーグルト中間製品などの発酵対象となる食品に添加し、発酵させることにより、菌体または培養液を添加することもできる。
本発明における抗菌剤の有効成分としては、ラクトバチルス・プランタラムHOKU-1株菌体または菌体培養物を使用することができる。菌体は、乳酸菌生菌体調製に用いられる定法によって得ることができ、発酵物、凍結物、凍結乾燥物などの形態が例示される。
培養物としては、当該菌株を培養したもの利用することができ、培養物から生菌体を除去したものであってもよい。また、菌体除去培養液を濃縮したもの、乾燥したもの、あるいは抗菌活性の強い画分を分画したものも利用できる。
また、本発明における抗菌剤の有効成分としては、式(I)に示す化合物を使用することができる。本化合物は、ラクトバチルス・プランタラムHOKU−1株の菌体培養物より分離精製することにより単離されたものであるが、他の植物を由来とするものでも、化学合成により製造されたものであってもよい。また、本化合物を多く含む物質として、ラクトバチルス・プランタラムHOKU−1株の菌体培養物を濃縮、抽出、分画して、本化合物を多く含む画分を利用することもできる。
Figure 0006853624
上記抗菌剤は、サプリメント、特定健康保健用食品、機能表示食品、健康食品のほか医薬品としても利用できる。
本発明の抗菌剤の有効成分は、例えば通常の飲食品や飼料に添加することができる。また、直接経口摂取することもできる。経口摂取する場合の形態としては飲食品以外に、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロッブ剤などをあげることができる。
本発明の抗菌剤の食品への添加量は特に制限はないが、添加する飲食品や飼料の風味を損なわない範囲で、保存期間に応じて選択することができる。
本発明を以下、実施例をもとに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔試験例1〕本発明菌株の分離・同定・特性
1.夕張メロンからの植物乳酸菌の分離
分離源として北海道産の夕張産メロン(完熟)を用いた。メロンをストマッカ―で粉砕後生理食塩水に懸濁、BCP加プレート寒天培地に塗抹して30℃、2〜4日間恒温器に入れて培養した。菌が酸を生成するとBCP培地は黄色に変色することから、この培地の性質を利用して乳酸菌候補菌株の選抜と純化を繰り返した。コロニーの単一性を確認できるまで純化を繰り返し行い、単一に純化された乳酸菌株を取得した。純化の終了した菌株はBCP加プレート寒天培地(斜面)に接種、斜面生育を確認(斜面の黄色化を確認)後、4℃の冷蔵庫に保存した。
2.乳酸菌候補菌株の牛乳・豆乳の凝固試験
夕張メロンから分離した上記植物乳酸菌候補菌株について、牛乳と豆乳に対する凝固能を検討した。保存培地から植物乳酸菌候補菌株を直接牛乳および豆乳に接種し、牛乳および豆乳に対する凝固能、酸度測定、食味試験を行った。
30℃でインキュベート後、24時間、48時間、72時間後の牛乳および豆乳の凝固状態の観察、酸度測定、官能テストを行なった。もっとも風味の優れた株を選抜し、下記同定を行った。
3.菌株の同定
上記で選抜された株は、顕微鏡観察では桿菌、大きさは約1μmであった。また、細胞はグラム陽性、カタラーゼは陰性、生育温度は20〜45℃(30〜40℃が至適)、糖の資化性はブドウ糖を資化して乳酸などを生成するという性質を有する。
DNA分析による菌株の分析では、ラクトバチルス・プランタラムと99%という高い相同性を示したことから、ラクトバチルス・プランタラムに属する植物乳酸菌と同定し、HOKU−1株と命名した。
HOKU−1株は、豆乳を24時間で完全に凝固するが牛乳に対する凝固力は非常に弱く、また酸生産能力はあまり高くないという特性を有する。特に、豆乳に対する凝固能と風味の優れたカードを生成する。また、他の植物乳酸菌と比べ、ヨーグルトカードの安定性、酸生成能と風味及び長期保存性に優れている点で大きく異なっていることから新菌株であると判断し、独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センターに寄託し、受託番号NITE P−01779を付与された。
4.HOKU−1株の特性
HOKU−1株について人口消化液耐性試験を行った。
(1)人工胃液耐性試験
MRS培地で24時間培養したHOKU−1株培養液に4%ペプシンを加え、塩酸でPHを3.0に調整し37℃で3時間インキュベート後その生存率を測定した。
その結果、80%以上の高い生存率を確認した。
(2)人工腸液耐性試験
人工胃液処理(PH3.0で4時間)したHOKU−1株懸濁液にパンクレアチン(1%)と胆汁末(0.3%)を加えて37℃で24時間インキュベートした。その結果、人工腸液による生育阻害は受けなかった。
(3)上記試験結果より、HOKU−1株はヒトが摂取すると生菌のまま大半は腸内に達し生存し、腸内環境の改善に効果があると考えられる。
〔実施例1〕HOKU−1株による豆乳ヨーグルトの製造
市販無調整豆乳を用いて豆乳ヨーグルトを調製した。HOKU−1株を接種後発酵は14日間行った。発酵過程での培養物の生菌数、PH、乳酸生成量、風味について評価した。
なお、比較例として、北海道食品加工研究センターが分離、実用化を図っている植物乳酸菌HOKKAIDO株(FERM P−19645)についても同様に試験を行った。
1.生菌数
各菌株を豆乳に接種後24時間以内に凝固しゲル状になった。また、24時間以内に急速な乳酸菌の増殖が見られた。培養2週間の各培養物の菌数を表1に示す。
徐々に菌数の減少は見られたが、一定数の菌数が保持され。HOKKAIDO株と比較して菌の増殖については大差がなかった。
Figure 0006853624
2.PHの変化
各菌株接種後培養2週間の各培養物のpHを表2に、培養14日目の官能評価を表3に示す。
HOKU−1株は、接種24時間後から徐々にpHが下がり始めて、7日後はpH4.14、14日後は4.14であり、その後、表には記載していないが、3ヵ月後、6ヶ月経過後してもpH4.1とほとんど変動しなかった。また、酸味も非常にマイルドで3ケ月後、6ケ月後でも食味に変化は見られなかった。
一方、HOKKAIDO株は、接種後14日でpH3.89に低下し、強い酸味が感じられた。
これまで報告されている植物乳酸菌の分離源としては漬物由来が多く、豆乳などに接種した場合3、4日で強い酸味が感じられるようになるものが多い。本発明のHOKU−1株は、これらの報告されているような植物性乳酸菌とは異なる特有の性質を有していることがわかった。
Figure 0006853624
Figure 0006853624
3.酸の生成
本発明のHOKU−1株を使用して製造した豆乳ヨーグルトは、一般の豆乳ヨーグルトに比較してコハク酸、乳酸とリン酸の生成が少ない事、リンゴ酸を生成する事を特徴とする。そこで、代表的な有機酸である乳酸の生成量について測定した。
(1)試験方法
有機酸分析システムProminence(島津製作所社製)を使用し、説明書に従って測定した。
(2)試験結果
結果を表4に示す。HOKU−1株の乳酸の生成量は、HOKKAIDO株の生成量の約2/3であった。
Figure 0006853624
〔試験例2〕HOKU−1株の抗菌活性
1.毒性試験
HOKU−1株の凍結乾燥菌体について、ラットを用いた急性毒性試験(雌雄とも2000mg/kg以上)、細菌を用いる復帰突然変異試験を行ったところ、いずれも陰性であった。
2.抗菌活性
(1)Bucillus subtilis を用いた抗菌テスト
HOKU−1株をMRS液体培地で培養し、培養液を遠心分離(7,000rpm、15分)し上清と菌体部に分け、上清の酢酸エチル抽出物と菌体のアセトン抽出物について、Bucillus subtilisを用いた抗菌テスト(ペーパーディスク法.バイオ薄層クロマトグラフィー)を行った。
その結果、HOKU−1株の上清及び菌体部の画分いずれにも般の有機酸以外の抗菌物質の存在が示された。特に培養液である上清部分に多く存在が認められた。
(2)バクテリオシン検定菌を用いたテスト
バクテリオシン抗菌活性試験Direct法(善藤ら、九州大) にて検定菌に対して、バクテリオシンよう抗菌活性を示すかどうかを試験した。検定菌には以下の6種類の菌株を使用した。
Lactococcas lactis subsp.lactis
Lactobacillus sake subsp. Sakei
Pediococcus pentosaceus
Listeria innocua
Bacillus coagulans
Kocuria rhizophila

その結果、HOKU−1株は、バクテリオシン検定菌に対して全く抗菌性を示さなかった。このことは、HOKU−1株の産生する抗菌物質はバクテリオシンなどのペプチド系の抗菌物質ではないことを意味する。また、グリセリンからのロイテリン誘導はできなかったことから、これら既知の抗菌物質以外の比較的低分子の化合物と推定した。
〔試験例3〕HOKU−1株の産生する抗菌物質の同定
1.抗菌物質の分離・精製
(1)HOKU−1培養液をTLC−バイオオートグラフィー(Bacillus subtilis,展開溶媒 CH2Cl2:EtOH7:3V/V)に供した結果、少なくともRf値0.7,0.6、および0.3の領域に抗菌ゾーンが認められその内Rf値0.7がメインの抗菌物質と推定した。
(2)HOKU−1株をMRS培地で、30℃、3〜7日間培養後遠心分離で(7,000rpm、15分間)上清部と菌体部に分けた。培養液上清部に対して活性炭を加え良く攪拌後吸引濾別し、活性炭通過部と吸着部に分け、活性炭吸着部はエタノール溶出した。抗菌性物質は活性炭吸着部に存在した。
前記エタノール溶出液を濃縮後、活性区分のシリカゲルによる分画クロマトを行った。
バイオオートグラフィーの結果から抗菌性物質の本体の存在をチェックしながらリクロマト、調整用薄層クロマトグラフィーを行って抗菌活性物質の精製に成功した。
2.化学構造の同定
上記1.で得られた精製品について、分子量、H1−NMR、C13−CMRによる分析を行ったところ、下記結果が得られた。これより本発明の抗菌活性物質は、式(I)に示す化学構造を有するジラクティックアシッド(Dilactic acid)であることがわかった。

[ M + H ] 163.09
1−NMR δ1.41 d 3H J=6.6
δ4.19 q 1H J=6.6
13−CMR δ 21.0 one methyl
δ 69.0. one methine
δ181.5 quaternary carbon
Figure 0006853624
式(I)の化合物は、下記文献1において報告されているが、本発明の抗菌活性については記載されておらず、当該活性は本発明により初めて明らかにされた特性である。本発明のDilactic acidは食品から得られた安全な化合物であるから、これを飲食品の添加剤、保存料として利用することができる。
文献1:
A new tyrosinase inhibitor from Crinum yemense as potential treatment for hyperpigmentation,O.B. Abdel-Halim,A.M.Marzouk,R.Mothana,N. Awaoh,
Pharmazie 63 (2008) 5
〔実施例2〕本発明のHOKU−1株培養液を添加した食品の保存安定性確認試験
1.製造例
下記組成のうち、HOKU−1株培養液以外の原料を混合してよく攪拌して殺菌した後、HOKU−1株培養液を添加し35℃で24時間発酵させて豆乳ヨーグルトを製造した。豆乳ヨーグルトを5℃の冷蔵庫で6か月間保存し、製造後、7日後、1か月後、3か月後、6か月後のヨーグルトの保存状態を観察した。
HOKU−1株培養液は、HOKU−1株をMRS培地で30℃で4日間培養後、遠心分離して集めた菌体を生理食塩水で洗浄したものを用いた。

原料;
豆乳 40%
牛乳 35%
夕張メロン果汁 10%
砂糖 7%
メロンエキスなど 5%
HOKU−1培養液 3%
2.結果
結果を表4に示す。本発明のHOKU−1株により発酵させた豆乳ヨーグルトは、6か月経過してもpHの低下が起こらず、離水もなく、食味も変化なく、生産時の性状を保持していた。
Figure 0006853624
〔実施例3〕本発明の化合物(I)を添加した生パスタの保存安定性確認試験
1.製造例
試験例3により得られた式(I)の化合物を配合した本発明生パスタを製造した。原料組成を以下に示す。比較のために、式(I)の化合物を含まないこと以外は同様の組成で比較例生パスタを製造した。

原料;
デユラムセモリナ粉 250g
強力粉 250g
卵 5個
オリーブオイル 25ml
食塩 3g
式(I)の化合物 10mg

上記組成の原料をよく攪拌後、生地の圧搾と伸展を繰り返したのち、市販の家庭用パスタマシンで所定の厚さに引き延ばした後カッター(巾4mm)で切った。湯煎後30℃の恒温機に入れて72時間加温し、保存状態を調べた。
2.結果
比較例生パスタには枯草菌などの細菌の生育が見られ、表面にぬめりが見られた。一方、式(I)の化合物を添加した本発明生パスタは、微生物の生育も見られず食用に耐えた。
上記以外に、豆腐、パンおよびプリンの製造時にHOKU−1株培養液を添加してこれらの食品を製造し、製造後約1か月間冷蔵保存した。また、同様に、本発明(I)の化合物(dilactic acid)を添加してこれらの食品を製造し、製造後約1か月間冷蔵保存した。その結果、これらの食品は製造時と同様の性状を示し、本発明の食品添加剤の保存安定性効果を確認することができた。
[寄託生物材料への言及]
(1)HOKU−1
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2013年12月5日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P−01779
夕張メロンより単離したラクトバチルス・プランタラムHOKU−1株の菌体若しくはその培養液ならびに培養液から単離された式(I)の化合物が抗菌性を有すると共に食品の風味と組織の劣化を防止できることがわかった。したがって、本発明により、長期保存安定性を大幅に改善した飲食品を提供することができ、このことは、従来の食品保存の概念を変えることにつながると考えられる。

Claims (10)

  1. ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)。
  2. ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)の菌体または培養物を含む飲食品。
  3. ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)の菌体または培養物を含むヨーグルト。
  4. ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)の菌体または培養物を有効成分とする抗菌剤。
  5. 医薬品である請求項4に記載の抗菌剤。
  6. ラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)の菌体または培養物を有効成分とする飲食品用保存料。
  7. 原料にラクトバチルス プランタラム(lactobacillus plantarum)HOKU−1株(受託番号NITE P−01779)を添加して発酵する工程を含む発酵食品の製造方法。
  8. 一般式(I)に示される化合物を有効成分とする抗菌剤。
    Figure 0006853624
  9. 医薬品である請求項8に記載の抗菌剤。
  10. 一般式(I)に示される化合物を有効成分とする飲食品用保存料。
    Figure 0006853624
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