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本発明は、乳酸菌の発酵促進剤に関し、詳しくはココアマスを含有することを特徴とする乳酸菌の発酵促進剤に関する。さらに、該発酵促進剤を利用して酸乳、ヨーグルト、発酵ココア飲料などを製造する方法に関する。さらに、本発明は、ココアマスにより乳酸菌の増殖を促進させることにより、発酵乳製品を製造する際の発酵時間を短縮する方法や、風味に優れた発酵乳製品並びにこれらを含む食品、菓子などを提供するものである。
乳酸菌を用いた発酵飲食品は保存性に優れているため、乳酸発酵は種々の食品等の保存方法として発展してきた。東洋あるいは西洋を問わず乳酸発酵が食品保存法として定着しており、発酵飲食品として、例えばヨーグルト、チーズに代表される哺乳動物の乳を原料とした発酵乳製品、各種の漬物・らっきょうに代表される野菜等の植物を原料とした漬物類、さらには味噌、醤油類が知られている。
近年、多くの研究者により、これらの発酵飲食品から乳酸菌が分離同定されている。これらの研究結果から、乳酸菌は発酵により乳酸を生産する微生物の総称であると認識されている。
哺乳動物の乳やソーセージなどの食肉製品から分離された乳酸菌は、その分離源が動物起源であることから動物乳酸菌と呼ばれ、例えばStreptococcus thermophilus, Lactobacillus delbrueckii, Lactobacillus acidophilus, Lactobacillus salvalius, Lactobacillus bulgaris などが知られている。一方、樹皮、果物、野菜、漬物など植物起源とした植物乳酸菌として、例えばLactobacillus plantarum, Lactobacillus rhamnosus, Lactobacillus sanfranciscensis Lactobacillus curvantus, Lactobacillus sakei, Lactobacillus brevis などが知られている。
タイ国で作られるナムと呼ばれるソーセージは、調味料を加えた豚肉のミンチを熱帯雨林の中に生息する植物の葉に包み、太陽光で1〜2日間発酵させたものである。発明者らは、既に該ナムから酸生産性の特に強い乳酸菌Lactobacillus plantarum SN13T, Lactobacillus plantarum SN26Tを分離することに成功している。
一般に、動物乳酸菌は生育に哺乳動物の乳を必要とし、哺乳動物の乳中で旺盛な増殖を示す。しかし、該動物乳酸菌を用いて野菜などの植物原料の発酵を試みても、発酵できない場合がある。逆に、Lactobacillus plantarumに代表される植物由来の乳酸菌を用いて牛乳などの哺乳動物の乳を発酵させようとすると、発酵が困難なことが多い。
このように、乳酸菌は、その由来によって発酵可能な飲食品原料が相違し、明確な棲み分けがなされている。
近年、乳酸菌または乳酸菌を用いて得られる発酵飲食品の機能性研究が国内外で幅広く展開されており、数々の機能性が解明されている。その一例として、胃がん抑制、大腸がん抑制、整腸機能、コレステロール値低減作用、免疫賦活機能などを挙げることができる。これら機能の多くは、Lactobacillus gasseri, Lactobacillus jensenii, Lactobacillus casei など発酵乳由来の動物乳酸菌に関して調べられており、Lactobacillus plantarumをはじめとする植物乳酸菌については検討が進んでいない。
一方、ポリフェノールの機能性研究も進んでおり、植物由来のポリフェノール類(フラボノイド類、アントシアニン類、カテキン類など)に多種の機能性が認められているが、動物乳酸菌は該ポリフェノールの存在下では、増殖が抑制されることが知られている。
このような状況下、ポリフェノールの機能性と乳酸菌の機能性を兼ね備えた飲食品の出現が望まれていた。
また、ヨーグルトに代表される発酵乳は、品質の担保が重要な課題であり、雑菌の繁殖を防止するため速やかな初期発酵が求められている。そのため、発酵促進作用を有する物質、とりわけ風味に優れた発酵促進物質へのニーズも高い。
また、前記した広汎な機能性研究に伴い、野菜などの植物原料と乳などの動物原料を組み合わせて製造する、ヨーグルト等の発酵飲食品製造へのニーズが高い。しかし、先に述べたような課題があり、乳酸菌による植物原料と動物原料の両者の発酵を促進する物質の開発が望まれていた。
これまでに、ビフィドバクテリウム属細菌の増殖を促進する物質として、カボチャなどの植物成分を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−250528号公報
プロバイオティクスとして、未利用の植物乳酸菌を用い原料乳からヨーグルトや酸乳などへ加工する場合、前記したように、Lactobacillus plantarum などの植物乳酸菌は哺乳動物の乳中で旺盛な増殖をさせることが困難であることから、該植物乳酸菌の増殖を促進する方法または増殖を促進する物質の探索が望まれている。
また、原料乳を野菜などの植物原料と共存させると、乳酸菌によるヨーグルト発酵が難しい上に、雑菌汚染などの危険性にさらされることがある。そのため、発酵を短時間で効率よく実現するために有効な発酵促進剤の開発が期待されている。また、ポリフェノール類の機能性と、乳酸菌による発酵生産物の機能性を兼備した機能性飲食品の開発が望まれている。
発明者らは、植物乳酸菌の代表としてLactobacillus plantarum を選択し、本菌を脱脂粉乳中で培養する際に、様々な添加物を加えて本菌による発酵を促進する物質の検討を行なった。
この結果、驚くべきことに脱脂粉乳に2%ココアマスを添加することによりLactobacillus plantarum が旺盛な発酵を行なうことを見出した。すなわち、ココアマスの添加により、Lactobacillus plantarum の発酵が促進され、ココアマス非添加時に比べて4倍の乳酸生成を達成することが分かった。また、本条件下では、発酵生産物は、ヨーグルトの様に固形化することから、植物乳酸菌を用いてココア風味を有するヨーグルトが得られ、さらには発酵ココア飲料も製造できることを見出した。
しかも、原料乳にココアマスを添加することにより、発酵が迅速に行なわれ、発酵飲食品の製造時間を実質的に短縮することができる。
また、前記ナムから分離したLactobacillus plantarum SN13T を検定菌として、上記と同様の実験を行なったときの乳酸生成量を、MRS培地で旺盛に発酵したときの乳酸生成量をコントロールとして比較したところ、本菌の生育は極めて良好で、発酵が促進され、この場合も固形化したヨーグルトが得られた。
これらのことから、ヨーグルト等の発酵飲食品の製造に植物乳酸菌をスターターとして用いることができることが明らかとなった。
一方、ヨーグルトの製造に一般的に用いられる動物乳酸菌は、植物由来のポリフェノール類の存在により増殖が阻害されることが知られている。そこで、ヨーグルトの製造に広汎に利用されているLactobacillus casei を検定菌として用い、原料乳と野菜などの植物原料を発酵させる場合に、ココアマスを添加することが発酵を促進するかどうかの検討を行なった。
この結果、2%ココアマス添加により、Lactobacillus casei の発酵が Lacatobacillus plantarumの場合と同様に促進されることを見出した。この場合、ココアマスの添加濃度を増せば、ココア風味のヨーグルトなどを容易に得ることができる。また、ココアマス懸濁液あるいは調湿したココアマスを使用したときは、乳酸菌による発酵が進み風味良好な発酵ココア飲料または発酵ココアマスを得ることができる。
得られた発酵ココア飲料に適宜甘味料を添加することにより、風味が良く飲み易い飲料とすることができる。一方、発酵ココアマスは、適宜ビスケット、クラッカーなどの焼き菓子やスナック類、ガム、キャンディーなど各種の菓子類にも応用が可能である。また、清涼飲料やヨーグルトなどの発酵乳製品、さらには漬物、ピクルスなどの風味付けにも利用が可能である。
本発明は、上記した様々な知見に基づいて完成されたものである。
請求項1に記載の本発明は、増殖促進剤としてココアマスを含有することを特徴とする乳酸菌の発酵促進剤である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1記載の発酵促進剤を用いることを特徴とするココア風味発酵乳飲料の製造法である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1記載の発酵促進剤を用いることを特徴とする酸乳またはヨーグルトの製造法である。
請求項4に記載の本発明は、酸乳またはヨーグルトの製造にあたり、植物乳酸菌をスターターとして用いることを特徴とする請求項3記載の酸乳またはヨーグルトの製造法である。
請求項5に記載の本発明は、ココアマスを原料とし、植物乳酸菌をスターターとして用いることを特徴とする発酵ココア飲料の製造法である。
請求項6に記載の本発明は、植物原料及び/又は動物原料を発酵原料とし、これにココアマスを添加し、乳酸菌を用いて発酵させることにより調製された発酵飲食品である。
請求項7に記載の本発明は、乳酸菌が植物乳酸菌及び/又は動物乳酸菌である請求項6記載の発酵飲食品である。
請求項8に記載の本発明は、乳を発酵原料とし、これにココアマスを添加し、植物乳酸菌及び/又は動物乳酸菌を用いて発酵させることにより調製された発酵乳製品である。
請求項9に記載の本発明は、調製された乳製品が酸乳又はヨーグルトである請求項8記載の発酵乳製品である。
請求項10に記載の本発明は、乳を発酵原料とし、これにココアマスを添加し、植物乳酸菌を用いて発酵させることにより調製されたヨーグルトである。
請求項11に記載の本発明は、植物乳酸菌がラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)である請求項10記載のヨーグルトである。
請求項12に記載の本発明は、ココアマスを植物原料とし、植物乳酸菌を用いて発酵させることにより調製された発酵ココア飲料である。
請求項13に記載の本発明は、植物乳酸菌がラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)である請求項12記載の発酵ココア飲料である。
本発明により、乳酸菌の発酵促進剤が提供される。この発酵促進剤を用いると、乳酸菌による発酵時間が短縮され、発酵飲食品を効率的に製造することができる。
しかも、発酵促進剤の添加により、これまで未利用であった原料に乳酸菌を作用させて発酵食品を製造することができる。また、得られた発酵飲食品は風味が良好である上に、他の菓子類に応用が可能である。
本発明に用いることのできる乳酸菌は、前記の動物乳酸菌および植物乳酸菌のいずれでもよく、ヨーグルトスターターとして用いることのできる乳酸菌は好適に用いることができる。
本発明に用いることのできる動物乳酸菌を例示すると、Lactobacillus bulgaricus, Lactobacillus acidophilus, Lactobacillus helveticus, Lactobacillus juguiri, Lactobacillus lactis, Lactobacillus leichmannii, Lactobacillus delbrueckii, Lactobacillus salvarius var. salivarius, Lactobacillus salivarius var. salicinius, Lactobacillus plantarum, Lactobacillus casei var. casei, Lactobacillus casei var. rhamnosus, Lactobacillus casei var. alactosus, Lactobacillus fermenti, Lactobacillus buchneri, Lactobacillus brevis, Lactobacillus cellobiosus,Lactobacillus viridescens, Streptococcus diacetilactis, Streptococcus lactis var. taette, Streptococcus thermophilus などを挙げることができる。
さらに、本発明では植物乳酸菌も用いることができる。漬物由来の植物性の乳酸菌としては、例えばLactobacillus plantarum, Lactobacillus brevis, Leuconostoc mesenteroides, Teragenococcus halophilus, Lactobacillus curvatus, Lactobacillus fermentum, Pedeococcus pentosaceus, Pedeococcus acidilactici Bacillus coagulans などを挙げることができる。また、果物のメロンから分離したLactobacillus plantrum SN35M 、梨から分離したLactobacillus plantarum SN26N, Lactobacillus plantarum SN35N, Enterococcus mundtii SN29Nなどの乳酸菌を用いることもできる。
以上に示した各種乳酸菌は、スターターとして使用することができ、これらは必要に応じ単独で、または複数種を適宜組み合わせて用いることが可能である。これらの乳酸菌を利用したスターターは、牛乳や脱脂粉乳の溶液やココアマス懸濁液を用いることが可能であることは言うまでもない。
本発明に用いることのできる原料乳としては、哺乳動物、例えば牛、馬、ロバ、ヤギ、水牛、ヤク、羊、トナカイなどの乳の他、植物起源の大豆乳などを挙げることができる。
また、牛乳成分として、例えば生乳、加工乳、生クリームの他、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等のカゼイン類、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等の粉乳等、あるいは乳清蛋白質等の乳製品の一種または二種以上も使用できる。
さらには、発酵副原料として糖類も使用することができる。本発明に用いることのできる糖類としては、供試乳酸菌が資化できる糖類であればいずれも用いることができる。例えば、オリゴ糖、デキストリン、澱粉である。また、乳酸菌による資化性のない糖類、例えば難消化性デキストリンについても、必要に応じて甘味料として用いることができる。 その他、アスパルテーム、サッカリン、ステビオサイド等の低カロリー甘味料を使用することができる。さらに、離水防止剤や安定性向上を目的として、公知の寒天、ペクチン、ゼラチン、グアガム、カラギーナン、ローカストビーンガムなどの増粘多糖類、油脂類を加えたり、好みにより風味付け用の果実、香料などを適宜添加してもよい。その他、植物原料も所望により適宜用いることができる。
本発明で用いることのできるココアマスとしては、特に制限はないが、通常用いられるカカオバター含量が10〜24重量%のココアパウダーを使用することが好ましい。カカオバターの代わりに、パーム油、シェア脂、イリッペ脂、サルバター、やし油、パーム核油等を精製分別、硬化などの操作などを施して得た融点25〜42度程度のカカオバター様油脂を用いることができる。
乳酸発酵は、10〜45℃で行なうことができるが、得られる発酵ココア等の発酵飲食品の風味を考慮して適切な温度を決定することが可能である。原料乳については、特段pH調整を行なう必要はない。なお、原料乳は必要に応じオートクレーブ滅菌やパストリゼーションに代表される低温短時間殺菌などの通常一般的に用いられる滅菌法を適用することにより、異常発酵を抑えることが可能である。
本発明を以下の実施例等によって更に詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ココアマス(明治製菓(株)製)を2%添加または添加しない脱脂粉乳(明治乳業(株)製)の13%溶液を培地とした。この培地は、各々115℃、20分間のオートクレーブ滅菌を行ない試験に用いた。
一方、Lactobacillus plantarum SN13T (以下、Lb. plantarum SN13Tと略記)を別途調製した13%脱脂粉乳溶液4mlを含む20ml容量の試験管に接種して37℃、20時間静置培養したものを種菌培養液とし、これを13%脱脂粉乳溶液に2%(80μl)となるように接種し、37℃で40時間静置培養を行なった。
その培養0時間目と40時間目にサンプルを採取し、生成した乳酸量を酵素法にて定量し、発酵度を評価した。すなわち、市販の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を用い、NADHの産生量を340nmの吸光度で定量し、得られた値について、あらかじめ作製した検量線から乳酸量を定量した。結果を表1に示す。
Figure 0004883919
表から明らかなように、ココアマス添加により乳酸菌の発酵は約4培に促進されたことが分かった。また、2%ココアマス添加試験区からは、約30時間の培養で固化したココア風味のヨーグルトが得られたが、ココアマス無添加の場合は、40時間培養後も固化は見られなかった。なお、ココアマス添加量を1%としたこと以外は同様にして実施した場合も、約30時間の培養で固化したココア風味のヨーグルトが得られた。
(実施例2)
ココアマス(明治製菓(株)製)を10重量%となるように蒸留水に懸濁したのち、50℃で1時間攪拌後、遠心分離により浮遊物を除去したココア抽出液を調製した。このココア抽出液を10%添加(ココアマス添加量として最終濃度1%に相当)または添加しない脱脂粉乳(明治乳業(株)製)の13%溶液を培地とした。この培地は、各々115℃、20分間のオートクレーブ滅菌を行なったのち試験に用いた。
供試菌として、Lb. plantarum SN13T, Streptococcus lactis subsp. lactis 527(以下、Sc. lactis 527と略記), Lb. delbrueckii subsp. bulgaricus B-5b(以下、Lb. bulgaricus B-5bと略記)を用い、実施例1と同様にして別途作製した種菌培養液を、本培養培地容積の2%となるように接種し、Lb. plantarum SN13T, Sc. lactis 527は、37℃で20時間、Lb. bulgaricus B-5bは30℃で20時間静置培養を行なった。
培養0時間目と20時間目にサンプルを採取し、生成した乳酸量を実施例1と同様の酵素法にて定量し、供試菌の増殖度合いを評価した。結果を表2に示す。表中の数値は生成乳酸量を示す。
その結果、ココア抽出液添加試験区は、いずれの乳酸菌でも増殖促進効果が見られた。特に、Lb. plantarum SN13Tでは増殖が4倍に、Lb. bulgaricus B-5bでは増殖が1.25倍に促進された。なお、いずれもココアマスによる増殖阻害効果は認められなかった。Lb. bulgaricus B-5bを供試したココア抽出液添加試験区では、培養後20時間以内に乳酸生成量が60mMに到達したのに対して、対照のココア抽出液無添加区では、培養時間が30時間以上でないと、乳酸生成量が60mMに到達しなかった。
Figure 0004883919
(実施例3)ココア風味ヨーグルトの製造
牛乳 100mLにココアマス(明治製菓(株)製) 2gを懸濁した。このココア入り牛乳95mLにスターター(動物乳酸菌 Sc. lactis 527または植物乳酸菌 Lb. plantarum SN13T)5mLを接種し、清浄な滅菌容器に移し、37℃で20時間静置培養して、ハードタイプ(固形)ヨーグルトを調製した。
調製したヨーグルトの風味を15名のパネラーにより官能試験を行ない、5段階評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004883919
以上の結果より、ココアマスと植物性乳酸菌の組み合わせにより調製されたヨーグルトのおいしさが改善されることが分かった。
(実施例4)発酵ココア飲料の製造
10%ココアマス水溶液にスターターを5%接種し、37℃で24時間培養した。得られた発酵ココア飲料を、冷蔵庫で3時間冷却した後、味の評価を行なった。なお、スターターは、発酵前日に2%ココアマス含有脱脂粉乳の13%溶液からなる培地でLb. plantarum SN13T を37℃にて20時間培養したものを使用した。また、得られた発酵ココア飲料に砂糖を5%添加したもの、またはコーヒーミルクを5%添加したもの、あるいは両者を添加したものを調製し(表4参照)、発酵前のココアとの比較で実施例3と同様に5段階評価した。結果を表5に示す。
Figure 0004883919
Figure 0004883919
表5から明らかなように、本発明によりおいしい発酵ココア飲料が得られることが示された。
本発明に係る乳酸菌の発酵促進剤を用いることにより、発酵飲食品を短時間で効率的に製造することができる。特に、従来は発酵飲食品に製造に利用されていなかった植物起源の乳酸菌を用いて風味の改善された発酵飲食品を得ることができる。

Claims (6)

  1. ココアマスを含有することを特徴とする植物乳酸菌ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)による乳発酵促進剤。
  2. ココアマスが、カカオバター含量が10〜24重量%のココアパウダーである請求項1記載の乳発酵促進剤。
  3. 乳を発酵原料とし、これにココアマスを添加し、植物乳酸菌ラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を用いて発酵させることを特徴とする、発酵乳製品の製造方法。
  4. ココアマスが、カカオバター含量が10〜24重量%のココアパウダーである請求項記載の発酵乳製品の製造方法。
  5. 発酵乳製品が酸乳又はヨーグルトである請求項3又は4記載の発酵乳製品の製造方法。
  6. 請求項3〜5の何れか1項記載の方法により製造された発酵乳製品。
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