JP6849845B1 - 釘打ち用樹脂シート - Google Patents

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Abstract

【課題】釘打ち時の衝撃による樹脂割れの発生を抑制し、さらに、釘が打ち込まれたシート面の洗浄時のひび割れを抑制することが可能な、釘打ち用樹脂シートを提供する。【解決手段】アクリル系樹脂と、多層構造を有するアクリル系ゴム粒子と、を含み、アセトン不溶分が平均で30.5〜40質量%である、釘打ち用樹脂シート。【選択図】図1

Description

本発明は、釘打ち用樹脂シートに関し、例えば弾球遊技機の面板に使用することのできる釘打ち用樹脂シートに関するものである。
弾球遊技機では、遊技盤に対してNC加工(多軸穴あけ加工)等により形成された複数の貫通孔等の孔内に、遊技球の落下方向を変化させるための釘が打ち込まれる。弾球遊技機の構成としては、近年、遊技盤の素材として透明樹脂シートを用い、さらに液晶表示パネル等の表示パネルおよび/またはLED(発光ダイオード)等の照明装置を組み合わせた構成が検討されている。
透明樹脂シートに用いられる、透明樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂やメタクリル系樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂シートは、表面硬度が比較的低いため、遊技球との摩擦または遊技球の衝突で傷が付きやすい傾向がある。
一方で、メタクリル系樹脂シートは、表面硬度がポリカーボネート系樹脂と比べて高く、遊技球との摩擦または遊技球の衝突でも、傷が付きにくい。しかしながら、一般的なメタクリル系樹脂は耐衝撃性が不充分であり、釘打ち時に樹脂割れが生じる恐れがある。この樹脂割れを考慮して、例えば特許文献1、2では、釘打ち時の樹脂割れを抑制するために、メタクリル系樹脂にアクリル系ゴム粒子を添加して、耐衝撃性を改善した釘打ち用樹脂シートとしている。
特開2006−320705号公報 特開2008−049137号公報
釘打ち用樹脂シートは、釘打ち時の衝撃により樹脂割れが発生する場合があった。また、釘が打ち込まれた釘打ち用樹脂シートは、溶剤を含む洗浄剤を用いて釘が打ち込まれたシート面を洗浄した場合に、そのシート面にひび割れが生じる恐れがあった。このひび割れは、特にシート面において釘の周辺で生じやすいものであった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、釘打ち時の衝撃による樹脂割れの発生を抑制し、さらに、釘が打ち込まれたシート面の洗浄時のひび割れを抑制することが可能な、釘打ち用樹脂シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の釘打ち用樹脂シートは、アクリル系樹脂と、多層構造を有するアクリル系ゴム粒子と、を含み、アセトン不溶分が平均で30.5〜40質量%である。
前記アセトン不溶分が前記平均の±5質量%以内であってもよい。
前記アクリル系ゴム粒子の含有量が、31〜55質量%であってもよい。
前記アクリル系樹脂が、メタクリル酸エステルの含有割合が50質量%以上である単官能単量体の重合体を含んでもよい。
本発明の釘打ち用樹脂シートは、厚みが3〜20mmであってもよい。
本発明であれば、釘打ち時の衝撃による樹脂割れの発生を抑制し、さらに、釘が打ち込まれたシート面の洗浄時のひび割れを抑制することが可能な、釘打ち用樹脂シートを提供することができる。
貫通穴を形成した釘打ち用樹脂シート(図1(a))、およびネジリ釘を打ち込んだ釘打ちシート(図1(b))の斜視図である。 100%エタノールを塗付後30分放置後の釘打ち樹脂シートを正面から撮影した写真である。 一実施形態のアクリル系ゴム粒子の断面図である。
本発明の釘打ち用樹脂シートは、アクリル系樹脂とアクリル系ゴム粒子とを含む。そして、釘打ち用樹脂シートの表面に保護フィルムを設けて弾球遊技機面板用複合シートとして用いることができる。
[アクリル系樹脂]
アクリル系樹脂は、メタクリル酸メチル単量体単位85〜100質量%を含有する重合体である。なお、後述のアクリル系ゴム粒子とは異なるものである。
アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチル単量体単位のみからなる単独重合体、メタクリル酸メチル単量体単位とメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体等が挙げられ、メタクリル酸メチ ル単量体単位とメタクリル酸メチル単量体単位以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とからなる共重合体が好ましい。これらは、1種用いても2種以上併用してもよい。上記メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、または(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸メチルまたは(メタ)アクリル酸エチルがより好ましい。
アクリル系樹脂は、上記メタクリル酸メチル単量体単位以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を一種有する重合体であっても、2種以上有する重合体であってもよい。またアクリル系樹脂は、上記メタクリル酸メチル単量体単位以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位の種類が互いに異なる「メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体」を、2種以上含む混合物でもよい。
メタクリル酸メチル単量体単位の含有量は、85〜100質量%であり、87〜99.5質量%が好ましく、89〜99質量%がより好ましい。上記のメタクリル酸メチル単量体単位以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位の含有量は、0〜15質量%であり、0.5〜13質量%が好ましく、1〜11質量%がより好ましい。ただし、上記メタクリル酸メチル単量体単位以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とメタクリル酸メチル単量体単位との合計量を100質量%とする。メタクリル酸メチルの含有量と、上記メタクリル酸メチル単量体単位以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位の含有量を上記の範囲にすることで、耐熱性や機械強度に優れる成形体を得ることができる。
アクリル系樹脂を得るための重合方法は特に限定されないが、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合等が挙げられる。
アクリル系樹脂は市販品を用いることができ、例えば住友化学(株)製「スミペックス(登録商標)」、三菱レーヨン(株)製「アクリペット」、(株)クラレ製「パラペット」、旭化成(株)製「デルペット」等が挙げられる。例えば、スミペックスEXを用いることができる。
アクリル系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜25g/10分が好ましく、1〜8g/10分が好ましい。なお、MFRは、JIS K 7218に基づき、測定温度230℃、荷重37.3Nで測定される。アクリル系樹脂のMFRが上記の範囲であれば、より耐溶剤性に優れる成形体を得ることができ、成形時の反りをより抑制することができる。
[アクリル系ゴム粒子]
アクリル系ゴム粒子は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、スチレン、α−アルキルスチレン、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルからなる群から選ばれる少なくとも一種の単量体に由来する単量体単位と、炭素−炭素二重結合を二つ以上有する多官能単量体に由来する多官能単量体単位とを有する樹脂を含むゴム粒子である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。α−アルキルスチレンとしては、例えば、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられる。
炭素−炭素二重結合を二つ以上有する多官能単量体としては、例えば、マレイン酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアネート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種のみ用いても、2種以上用いてもよい。
アクリル系ゴム粒子は、単層のゴム粒子であっても多層のゴム粒子であってもよい。アクリル系ゴム粒子としては、軟質層と硬質層をそれぞれ一層以上有する二層以上のゴム粒子が好ましく、成形加工時の熱劣化や加熱によるゴム粒子の変形が抑制され、成形体の耐熱性を向上させることができる傾向にあるため、軟質層と硬質層をそれぞれ一層以上有する三層以上の有機ゴム粒子がより好ましい。
軟質層と硬質層をそれぞれ一層以上有する三層以上の有機ゴム粒子は、図3に示すように、粒子の中心から外側に向かって順に、最内層4、中間層3、および最外層2を有する構造であることが好ましい。ここで、最内層とは粒子の最も中心に存在する層であり、最外層とは粒子の最も中心から離れて存在する層である。また中間層とは、最内層と最外層の間に存在する層であり、2層以上有していてもよい。三層以上の有機ゴム粒子において 、最内層および最外層は、軟質層であっても硬質層であってもよく、中間層は、軟質層であっても硬質層であっても、軟質層と硬質層の積層体であってもよい。三層以上の有機ゴム粒子の構造としては、例えば、粒子の中心から外側に向かって順に、軟質層−硬質層−軟質層−硬質層、軟質層−硬質層−硬質層、軟質層−軟質層−硬質層、硬質層−軟質層−硬質層、硬質層−硬質層−軟質層−硬質層、硬質層−軟質層−硬質層−硬質層を有する構造等が挙げられ、好ましくは、粒子の中心から外側に向かって順に、硬質層−軟質層−硬質層を有する三層構造、硬質層−硬質層−軟質層−硬質層を有する四層構造、または硬質層−軟質層−硬質層−硬質層を有する四層構造である。三層以上の有機ゴム粒子として、好ましくは、最内層および最外層が硬質層であり、中間層が軟質層である三層構造の有機ゴム粒子である。最内層と最外層が硬質層であることにより、有機ゴム粒子の変形が抑制される傾向にあり、中間層が軟質層であることにより、有機ゴム粒子の靭性が向上する傾向にある。
硬質層に含まれる樹脂が有する単量体単位としては、上記多官能単量体単位、メタクリル酸メチル単量体単位、メタクリル酸エチル単量体単位、メタクリル酸n−プロピル単量体単位、メタクリル酸イソプロピル単量体単位、メタクリル酸n−ブチル単量体単位、メタクリル酸sec−ブチル単量体単位、メタクリル酸t−ブチル単量体単位、メタクリル酸2−エチルへキシル単量体単位、メタクリル酸シクロヘキシル単量体単位、α−メチルスチレン単量体単位、t−ブチルスチレン単量体単位、アクリロニトリル単量体単位、メタクリロニトリル単量体単位等が挙げられる。これらは、1種のみ含んでいても、2種以上用いてもよい。最内層として硬質層が形成される場合、該硬質層に含まれる樹脂が有する単量体単位として好ましくは、上記多官能性単量体単位、および、メタクリル酸メチル単量体単位またはメタクリル酸エチル単量体単位である。最内層として形成される硬質層に含まれる上記多官能単量体単位の含有量は、好ましくは0.0001質量%以上10質量%以下である。ただし、最内層として形成される硬質層の樹脂が有する全単量体単位の合計量を100質量%とする。最外層として硬質層が形成される場合、該硬質層に含まれる樹脂が有する単量体単位として、好ましくは、メタクリル酸メチル単量体単位またはメタクリル酸エチル単量体単位である。
軟質層に含まれる樹脂が有する単量体単位としては、上記多官能単量体単位、アクリル酸n−ブチル単量体単位、アクリル酸2−エチルへキシル単量体単位等の炭素数が4〜11のアクリル酸アルキルエステル単量体単位、スチレン単量体単位、イソプレン単量体単位、クロロプレン単量体単位等が挙げられ、好ましくは上記多官能単量体単位、炭素数が4〜11のアクリル酸アルキルエステル単量体単位、またはスチレン単量体単位であり、さらに好ましくは、上記多官能性単量体単位、アクリル酸n−ブチル単量体単位、またはスチレン単量体単位である。軟質層に含まれる樹脂が有する上記多官能単量体単位の含有量は、好ましくは0.0001質量%以上10質量%以下である。ただし、軟質層に含まれる樹脂が有する全単量体単位の合計量を100質量%とする。
アクリル系ゴム粒子の製造方法は、特に限定されないが、特開昭55−27576に記載の方法等が挙げられる。また、アクリル系ゴム粒子は市販品を用いることができ、例えば、スミペックスHT01Xや、スミペックスHT084Sを用いることができる。
[アクリル系ゴム粒子の含有量]
本発明の釘打ち用樹脂シートにおいて、アクリル系ゴム粒子の含有量は、例えば31〜55質量%である。当該含有量がこの範囲であれば、材料のコスト増とならず、耐溶剤性および釘打ち性が良好となる。当該含有量が31質量%未満の場合、耐溶剤性や釘打ち性を満足しないおそれがある。また、当該含有量が55質量%を超えるとコスト増となるおそれがある。コストと性能を両立することを考慮すれば、アクリル系ゴム粒子の好ましい含有量は、33〜50質量%である。なお、当該含有量が15質量%より少ない場合は、弾球遊技機面板用複合シートとした場合における釘打ち時のクラックの発生を十分に抑制できないおそれがあり、また、当該含有量が70質量%より多いと、得られる釘打ち用樹脂シートの耐熱性の低下、表面硬度の低下、及び透明性の低下を招くおそれがある。
[アクリル系樹脂の含有量]
該釘打ち用樹脂シートに含まれる前記アクリル系樹脂の含有割合は、前記アクリル系樹脂及び前記アクリル系ゴム粒子の合計100質量部に対して、通常3〜30質量部であり、好ましくは5〜25質量部である。
[アセトン不溶分]
本発明の釘打ち用樹脂シートでは、アセトン不溶分が平均で30.5〜40質量%である。アセトン不溶分がこの範囲であれば、材料のコスト増とならず、耐溶剤性および釘打ち性が良好となる。アセトン不溶分が平均で30.5質量%未満の場合、耐溶剤性や釘打ち性を満足しないおそれがある。また、アセトン不溶分が平均で40質量%を超えるとコスト増となるおそれがある。コストに加え、耐熱性、表面硬度、及び透明性等の性能を両立することを考慮すれば、アセトン不溶分の好ましい範囲は、平均で30.5〜36質量%である。
なお、アセトン不溶分は以下の手順で求めることができる。
まず、釘打ち用樹脂シートの一片を試験片としてサンプリングし、それを充分乾燥して水分を除去した後、その質量(W1)を測定する。次に、W1を測定した釘打ち用樹脂シート片を試験管に入れ、アセトンを加えて溶解し、アセトン可溶部を除去する。その後、試験管よりアセトンに不溶の残留物を取り出し、真空加熱乾燥機を使用して残留物に付着したアセトンを除去してから、残留物の質量(W2)を測定する。W1とW2を測定したら、以下の式に基づいて、アセトン不溶分を求める。
[式1]
[アセトン不溶分]=(W2/W1)×100(%)・・・(1)
なお、アセトン不溶分は、釘打ち用樹脂シートの一片をサンプリングした場所によりバラつきが生じるおそれがある。そのため、釘打ち用樹脂シートのサンプリングする場所を考慮しつつ、試験片を10点サンプリングして、10点の試験片のそれぞれについてアセトン不溶分を求め、10点のアセトン不溶分の平均を算出する。
また、アセトン不溶分は平均の±5質量%以内であることにより、釘打ち用樹脂シートの局部的な品質のバラつきが抑制される。例えば、アセトン不溶分が平均で31質量%の場合、アセトン不溶分の下限値は26質量%であり、上限値は36質量%であれば、かかるバラつきが抑制され得る。さらに、アセトン不溶分は平均の±3質量%以内であることにより、釘打ち用樹脂シートの局部的な品質のバラつきがさらに抑制される。
前記釘打ち用樹脂シートは、必要に応じて、通常の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤等を含有してもよい。中でも、紫外線吸収剤は、耐候性を向上させるうえで好ましく用いられる。添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、釘打ち用樹脂シートに添加剤を含有させるには、前記ゴム粒子や前記アクリル系樹脂の調製における重合の際に添加してもよいし、前記ゴム粒子と前記アクリル系樹脂との混合時や、その後の成形時に添加してもよい。
本発明の釘打ち用樹脂シートの厚みは、3〜20mmが好ましく、より好ましくは5〜10mmであり、さらに好ましくは7〜10mmである。3mmより薄いと、釘の打ち込みが十分に行えず、保持力が低下すると共に、遊技機基盤としての自立性(つまり垂直に起立させた状態での撓みによる形状変化性能)も低下する。20mmより厚いと、遊技機自体の重さが増し、釘打ちの保持力としても不必要な厚みとなる。該厚みは、例えば、溶融押出法により成形する場合には、押出成形時の押出量とライン速度により調整することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
[釘打ち用樹脂シートの作製]
〈実施例1〉
2層構造のアクリル系ゴム粒子としてスミペックス(登録商標)HT01X(住友化学株式会社製、ゴム分60質量%、ゴム分のアセトン不溶分67質量%)77.5質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX22.5質量部とをスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混錬して、ペレット状の混合物を得た。得られたペレット状の混合物を、40mmφ一軸押出機((株)田辺製作所製)を用い、設定温度275℃のT型ダイを介して溶融押出を行い、得られた板状物の両面を100℃に温度設定した鏡面を有する二本のポリシングロールで押し付けて挟み込んで冷却し、幅200mm、厚み3mmの釘打ち用樹脂シートを得た。
〈実施例2〉
スミペックスHT01X82.0質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX18.0質量部とした他は、実施例1と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈実施例3〉
スミペックスHT01X89.4質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX10.6質量部とした他は、実施例1と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈実施例4〉
2層構造のアクリル系ゴム粒子としてスミペックスHT01Xに代えて、スミペックスHT084S(住友化学株式会社製、ゴム分40質量%、ゴム分のアセトン不溶分96質量%)80.8質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX19.2質量部とした他は、実施例1と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈実施例5〉
スミペックスHT084S86.0質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX14.0質量部とした他は、実施例4と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈実施例6〉
スミペックスHT084S93.8質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX6.2質量部とした他は、実施例4と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈比較例1〉
アクリル系ゴム粒子を使用せず、アクリル系樹脂としてスミペックスEX100.0質量部とした他は、実施例1と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈比較例2〉
スミペックスHT01X20.0質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX80.0質量部とした他は、実施例1と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈比較例3〉
スミペックスHT01X50.0質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX50.0質量部とした他は、実施例1と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈比較例4〉
スミペックスHT01X70.0質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX30.0質量部とした他は、実施例1と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
〈比較例5〉
スミペックスHT084S73.0質量部と、アクリル系樹脂としてスミペックスEX27.0質量部とした他は、実施例4と同様にして、釘打ち用樹脂シートを得た。
表1に、実施例1〜6、比較例1〜5におけるアクリル系樹脂とアクリル系ゴム粒子の混合量、および得られた釘打ち用樹脂シートのゴム粒子量(理論値)とアセトン不溶分(理論値)を示す。
Figure 0006849845
得られた釘打ち用樹脂シートの各種物性の測定及び評価は下記の方法で行った。
[釘打ち性]
実施例1〜6、比較例1〜5の釘打ち用樹脂シートに対し、図1(a)に示すように直径1.77mmのドリル刃を使用し、15mm間隔で2個の貫通穴を形成し、その後、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室で24時間養生して貫通孔の状態を調整した。その後、図1(b)に示すように、釘打ち用樹脂シートの各貫通穴に対して、インストロン社製「万能試験機 1122型」を用い、150mm/minのスピードで、真鍮製ネジリ釘丸先(1.84mmφ径、釘頭込みの長さ27.7mm、ネジ部の長さ3.74mm)をシート厚の深さ分だけ打ち込んだ釘打ちシートを作成した。
釘打ち後の釘打ち樹脂シートの状況を目視で確認した。問題ない場合を○、僅かなクラックもしくは白化が発生した場合を△、明らかなクラックもしくは白化が発生した場合を×と評価した。
[アセトン不溶分]
実施例1〜6、比較例1〜5の釘打ち用樹脂シートの一片を試験片として10点サンプリングし、充分乾燥して水分を除去した後、各試験片の質量(W1)を測定した。次に、W1を測定した各試験片を個々に試験管に入れ、アセトンを加えて溶解し、アセトン可溶部を除去した。その後、試験管よりアセトンに不溶の残留物を取り出し、真空加熱乾燥機を使用して残留物に付着したアセトンを除去してから、残留物の質量(W2)をそれぞれ測定した。W1とW2を測定した後、以下の式に基づいて、アセトン不溶分を求めた。また、10点のアセトン不溶分の平均値を算出した。
[式1]
[アセトン不溶分]=(W2/W1)×100(%)・・・(1)
[耐溶剤性]
釘打ち後の釘打ち樹脂シートの釘打ち部分に100%エタノールを塗布し、1mm以上のクラックが発生する時間を測定し、以下の基準で耐溶剤性を評価した。
〈評価基準〉
塗布後30秒以内にクラックが発生:×
塗布後30秒を越え90秒以内にクラックが発生:△
塗布後90秒を越え3分以内にクラックが発生:〇
塗布後3分を越えてもクラックが発生しなかった:◎
また、塗付後30分放置後の段階で、
発生したクラックが著しく広がった場合:×
発生したクラックがやや広がった場合:△
発生したクラックがほとんど広がらなかった場合:〇
と、評価した。
実施例1〜6、比較例1〜5における釘打ち用樹脂シートの各評価結果を表2に示す。また、100%エタノールを塗付後30分放置後の釘打ち樹脂シートを正面から撮影した写真を、図2に示す。
Figure 0006849845
アセトン不溶分の測定値は、理論値よりも低くなる傾向が認められた。実施例1〜6、比較例1〜5における釘打ち用樹脂シートのいずれも、釘打ち性は問題無かった。ただし、実施例1〜6のアセトン不溶分が測定値で30.5質量%以上の釘打ち用樹脂シートであれば、クラックの発生までの時間を長くすることができ、クラックの広がりを抑制できた(表2、図2)。
なお、現状では比較例3に示すアセトン不溶分が約20質量%の釘打ち用樹脂シートが市場において用いられており、実施例1〜6の釘打ち用樹脂シートは、比較例3の釘打ち用樹脂シートよりもクラックの発生までの時間を長くすることができ、クラックの広がりを抑制できた効果が顕著に認められた(表2、図2)。
1…アクリル系ゴム粒子
2…最外層
3…中間層
4…最内層

Claims (4)

  1. アクリル系樹脂と、
    多層構造を有するアクリル系ゴム粒子と、を含み、
    前記アクリル系樹脂の含有量が、6.2〜22.5質量%であり、
    前記アクリル系ゴム粒子の含有量が、77.5〜93.8質量%であり、
    アセトン不溶分の測定値の平均が30.5〜35.4質量%であり、
    アセトン不溶分の測定値の上限値が35.9質量%であり、
    アセトン不溶分の測定値の下限値が30.4質量%である、釘打ち用樹脂シート。
  2. 前記アセトン不溶分が前記平均の±5質量%以内である、請求項1に記載の釘打ち用樹脂シート。
  3. 前記アクリル系樹脂が、メタクリル酸エステルの含有割合が50質量%以上である単官能単量体の重合体を含む、請求項1または2に記載の釘打ち用樹脂シート。
  4. 厚みが3〜20mmである請求項1〜のいずれかに記載の釘打ち用樹脂シート。
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