JP5366368B2 - 弾球遊技機基盤用複合シート - Google Patents
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Description
そこで、これらの問題や要求を解決するために遊技盤の素材を、ベニア合板に代え、透明メタクリル樹脂シートとし、更にこの遊技盤に液晶表示装置やLED照明装置(発光ダイオード)等を組み込んで、より面白く、魅力的なものにすることが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
これを解消するために、メタクリル樹脂にアクリル系ゴムからなる多層構造粒子を配合し耐衝撃性を向上させる改善方法が考えられる。
また一方、該遊技盤表面にNC加工機(多軸穴あけ機)で穴あけ或いはルーター(トリミング)で切削する際には、該遊技盤表面のキズ発生防止の為に、粘着剤としてエチレン−酢酸ビニルコポリマー共重合体を用いた表面保護フィルムを付けたまま機械加工するのが一般的だが、フィルムを貼り付ける際の該遊技盤表面温度によって粘着強さが左右され、粘着強さにバラツキを生じるという大きな問題がある。
そこで、機械加工途中での表面保護フィルム捲れ或いは浮き等を防止させることにより、キズや汚れを発生させることなく、該遊技盤表面の不具合を低減させ、ベニア合板以上の釘の保持力及び耐久性を有することになれば、パチンコを始めとして、その他スロットマシーン等を含めての弾球遊技機一般用の樹脂基盤(以下、弾球遊技機用基盤という。)として、産業上貢献すること大である。
を改善することにより打った釘周辺に白化やクラックを発生させることなく、弾球遊技機用基盤に表面保護フィルムを貼りあわせ機械加工でのフィルムの剥がれ或いは、浮き等が発生しにくく、切粉が付着することによりキズ発生等の不具合を抑え、且つ釘の保持力や切削加工性に優れ、素材の供給も安定している、弾球遊技機基盤用複合シートを提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
[1]アセトン不溶部が24〜29重量%であるアクリル系ゴムからなる多層構造粒子を含有する透明メタクリル樹脂シートの少なくとも片面に、アクリル酸エステル共重合体を含む粘着層を介して、該粘着層とポリエチレン樹脂からなる表面保護フィルムを有し、該表面保護フィルムと該粘着層とのマイクロメーターによる合計厚みが50〜200μmであり、かつ、該表面保護フィルムの粘着強さが203〜300g/50mm幅である弾球遊技機基盤用複合シートであって、該透明メタクリル樹脂シートのシート厚が8〜19mmである弾球遊技機基盤用複合シート。
(1)透明メタクリル樹脂
本発明の弾球遊技機用基盤は、アクリル系ゴムからなる多層構造粒子を含有する透明メタクリル樹脂からなる。
透明メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル70〜100重量%と、これと共重合する単量体30〜0重量%とを(共)重合したものが好ましい。
重量平均分子量は80,000〜220,000が好ましく、さらに好ましくは90,000〜200,000である。
共重合できる単量体としては、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸、スチレン、無水マレ
イン等が挙げられる。
上記重合方法については何ら限定されるものではなく、従来公知の方法が採用できる。
本発明に用いられるアクリル系ゴムからなる多層構造粒子(以下、単にアクリル系ゴム粒子ということもある。)とは、中心硬質層、軟質層、最外硬質層からなる3層構造、更に軟質層と最外硬質層との間に中間硬質層を有する4層構造等の多層構造を有するゴム粒子で、公知のアクリル系ゴム粒子を用いることができる。
具体的には以下のアクリル系ゴム粒子が例示できる。
「(A)メチルメタクリレート単独又はメチルメタクリレートとこれと共重合可能な単量体との混合物を乳化重合させて、25℃以上のガラス転移点をもつ、メチルメタクリレートを主体とした重合体の分散液を形成させる第一層形成工程、
(B)この生成物に、単独で重合させたときにガラス転移点が25℃以下の共重合体を形成する、アルキルアクリレートを主体とし、さらにこれと共重合可能な単量体及び多官能性架橋剤の少なくとも一方と、混合物全重量に基づき0.1〜5重量%の多官能グラフト剤を含有する混合物を加えて乳化重合させる第二層工程、及び
(C)この生成物に、単独で重合させたときに25℃以上のガラス転移点をもつ重合体を形成する、メチルメタクリレート又はこれを主体とする単量体混合物に連鎖移動剤を段階的に増加させ、多段階で乳化重合させる第三層形成工程から成る、第三層の分子量が内側から外側に向かって次第に小さくなっている多層構造アクリル系樹脂成形材料の製造方法。」によって得られるアクリル系ゴムからなる多層構造粒子。
「ポリマーの溶融開始温度が235℃以上であり、かつ、内層に単独で重合した場合のガラス転移温度Tgが25℃以下あるポリマーを含む少なくとも1層の軟質重合体層と、および最外層に単独で重合した場合にTgが50℃以上であるポリマーを含む硬質重合体層とを有するアクリル系多層構造ポリマーの乳化ラテックスを凝固して得られる凝固粉を含むアクリル系多層構造ポリマー粉体であって、乾燥後の凝固粉の粒径212μm以下の微粉の割合が40重量%であり、かつ、乾燥後の凝固粉の水銀圧入法で測定した孔径5μm以下の空隙体積が単位面積当たり0.7cc以下であるアクリル系多層構造体ポリマー粉体。」
「(a)メチルメタクリレート90〜99重量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート1〜10重量%及び、これらと共重合可能なα,β−不飽和カルボン酸のアリル、メタリル、またはクロチルエステルから選ばれる少なくとも1種からなるグラフト結合性単量体0.01から0.3重量%からなる単量体混合物を重合して得られる最内硬質層重合体25〜45重量%、
(b)上記最内硬質層重合体存在下に、n−ブチルアクリレート70〜90重量%、スチレン10〜30重量%及びこれらと共重合可能なα,β−不飽和カルボン酸のアリル、メタリル、またはクロチルエステルから選ばれる少なくとも1種からなるグラフト結合性単量体1.5から3.0重量%からなる単量体混合物を重合して得られる軟質層重合体35〜45重量%、
(d)軟質層重合体/(最内硬質層重合体+軟質層重合体)の重量比が0.45〜0.5
7であり、
(e)平均粒子径が0.2〜0.3μmである、多層構造アクリル系重合体であって、さらに当該多層構造アクリル系重合体をアセトンにより分別した場合に、
(f)グラフト率が20〜40重量%であり、
(g)当該アセトン不溶部の引っ張り弾性率が1000〜4000kg/cm2 、であることを特徴とする多層構造アクリル系重合体。」
本発明に用いるアクリル系ゴム粒子としては、三菱レイヨン株式会社製「ゴムIR377(商品名)」、「ゴムIR441(商品名)」等が挙げられる。
透明メタクリル樹脂シートの一部を精秤後の重量(W1)、遠沈管に入れた後、アセトンを加えて溶解し、アセトン可溶部を除去する。真空乾燥機にて溶媒を飛ばし冷却後、秤量した残留物をアセトン不溶部とする(W2)。
ゴム配合量とアセトン不溶部とは一致せず、同一サイズでもゴム粒子構造(最外硬質層:アセトンに溶解)が異なると、得られる物性も異なるため、耐衝撃性に寄与するゴム分をアセトン不溶部として定義した。
次式により、アセトン不溶部(重量%)(X)を算出する。
アセトン不溶部(X)=(W2/W1)×100
本発明に使用するメタクリル樹脂中のアセトン不溶部は、光学特性(全光線透過率)、鉛筆硬度、切削加工性(フィルム捲れ、バリ及びカケ等の発生)、釘打ち後(白化発生の有無、クラック発生の有無)等の観点から15〜50重量%が好ましく、より好ましくは20〜45重量%である。
本発明に使用する粘着層は、アクリル酸エステル共重合体を含む。アクリル酸エステル共重合体中のアルキル基としては、メチル、エチル、ブチル及び2−エチルヘキシル等があるが、何れも問題無く使用が可能で、その中でアクリル酸エチルが好ましい。アクリル酸エステル共重合体を使用することにより、常温でも粘着層としての機能を発揮することができ、接着する際に、熱をかけても、フィルム剥がれが起こらない。
本発明使用の表面保護フィルムはポリエチレン樹脂からなり、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン等が挙げられる。好ましくはフィルム毛羽(切削加工時の切削屑)或いは切粉による打痕発生防止の切削加工性より、結晶化度及び融点の高い直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンが好ましく、更に好ましくは高密度ポリエチレンである。
融点と密度は比例関係にあり、高密度ポリエチレンは密度が高い所謂、結晶化度が高いことにより融点が高い関係にあり、表面保護フィルムの融点としては、高い方が望ましい。融点が高いと切削途中の切れ味が良く刃物に付着せず、刃物に巻き付く或いは切削面に付着するという問題が少ない。
表面保護フィルムの融点としては、100〜140℃が好ましく、より好ましくは105〜135℃、更に好ましくは110〜130℃である。
表面保護フィルムと粘着層の合計厚みは、薄過ぎると剥離時に伸び易く破れ使い難いことがあげられ、厚過ぎると腰が強いことより機械加工中に浮き或いは剥がれ易いことがあることから、合計厚みとしては、好ましくは50〜200μm、より好ましくは70〜150μmである。
(7)表面保護フィルムの粘着強さ
表面保護フィルムの粘着強さは、弱いと保管中或いは機械加工途中に剥がれ易く、切削工具に巻き付く危険を伴うことが多い。強いと剥がれ難く作業性が低下し、粘着剤の添加物によるシート表面の汚染等が懸念される。
粘着強さとしては好ましくは100〜300g/50mm幅で、より好ましくは150〜300g/50mm幅である。
アクリル酸エステル共重合体を含む粘着層を使用した場合とEVA(エチレン−酢酸ビニルコポリマー共重合体)を含む粘着層を使用した場合、ほぼ同一の粘着強さを相対比較すると前者のアクリル系粘着剤の方が表面になじみ易く、剥離した時にスムーズに剥離が出来、優れている。
表面保護フィルムは、シートの片面に貼り合わせても両面に貼り合わせてもよい。
本発明の透明メタクリル樹脂シートの製法としては、押出シート法及びキャストシート法のいずれについても採用でき、アクリル系ゴムからなる多層構造粒子の均一分散等を図る上で、押出シート法が好ましい。
本発明の透明メタクリル樹脂シートは耐衝撃性を有し、シート表面にNC加工機(多軸穴あけ機)にて穴加工する際、厚み5〜15mmのシートの場合に、特に良好にパチンコ釘(特に、真鍮製パチンコ釘)を打ち込むことができ、厚み19mmまでパチンコ釘の打ち込みが可能である。
このことから、本発明の透明メタクリル樹脂シートは、ベニア合板以上の釘打ち加工性を有すると言える。
本発明の透明メタクリル樹脂シート厚は、5〜19mmが好ましく、より好ましくは8〜12mmである。シート厚みが5mm以上であれば、シート表面に釘抜き時の保持力が向上し、19mm以下であれば全光線透過率が高いことより、液晶表示が明るく見え易くなる。
特性試験項目としては、表面保護フィルムに使用するポリエチレン樹脂の融点(MP)、樹脂シートのゴム成分を把握するためのアセトン不溶部、光学特性(全光線透過率)、シート表面硬さ(鉛筆硬度)、フィルム厚み(表面保護フィルムの基材層と粘着層との合計厚み)、フィルム粘着強さ(表面保護フィルムと透明樹脂シートとの粘着強さ)、切削加工性〔フィルム捲れ、フィルム毛羽(屑)、バリ、カケ等の発生〕、作業性(キズ発生、フィルムの破れ及びフィルム剥離)および釘打ち後(白化発生の有無、クラック発生の有無)について比較評価を実施した。
(1)表面保護フィルムの融点(mp)
各々フィルム素材の融点(mp)を株式会社パーキンエルマージャパン製 機種:Pyris1を使用し、サンプル量:約0.5mgを用い、DSC(示差走査熱量測定 昇温速度:20℃/mim)にて求めた。融点(mp)℃は、チャートに描かれたピーク温度と採用した。
表面保護フィルムを剥がした透明樹脂シートを一昼夜(約80℃、約12時間以上)乾燥後、透明樹脂シートの一部を切出し約1.00g精秤後(W1)、遠沈管(金属製チューブ)に試料を入れた後にアセトン20mlを加え室温で約1日静置後、振とう機にて2時間振とうする。次に日立工機(株)製 真空式高速冷却遠心機 機種:CR26Hを使用し、5℃、24000rpmに条件設定し、1時間遠心分離する。
振とう後、上澄み液をデカンテーションして除いた後、新たにアセトン20mlを加え室温で1時間振とうする。振とう後、5℃、24000rpmの条件にて1時間遠心分離する。再度、同一方法及び条件で繰り返し合計3回行った。上澄み液をデカンテーションして除き、一晩風乾する。
真空乾燥機を100℃に設定し、一昼夜(約12時間以上)真空乾燥後に取出し、デシケーター内で室温まで冷却後、残留物の重量を秤量した(W2)。
次式により、アセトン不溶部(重量%)を算出する(X)。
アセトン不溶部(X)=(W2/W1)×100
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」の規定方法に準じ、表面保護フィルムを剥がした透明樹脂シートを50×50mmの試料サイズに切り出し後、日本電色工業(株)製 濁度計型式:1001DPを使用して測定した。
(4)鉛筆硬度
JIS K 5400「塗料一般試験法」の規定方法に準じ、表面保護フィルムを剥がした透明樹脂シートを100×150mmの試料サイズに切り出し後、約80℃の乾燥機の中に12時間以上
放置し取出後、デシケーター中にて自然冷却させた。(株)東洋精機製作所製 鉛筆引掻き硬さ試験機を使用し、引掻き角度:45度 荷重(重り):1kgの条件下にて測定した。
表面保護フィルムと粘着層との合計厚みをマイクロメーターにてフィルム厚みを測定した。
(6)接着性(フィルム粘着強さ)
表面保護フィルムを貼り合せた透明樹脂シートを幅60mm、長さ150mmに切断後、幅方向の両端5mmにカッターナイフにてカットし幅50mmの試料を得た。
その後、インストロン社製型式5582(床置きモデル)試験機を用い、180度剥離した表面保護フィルムをチャックに固定し、もう一方の透明樹脂シートも別なチャックに固定した。毎分300mm/minの引張速度でフィルムを剥離させ、剥離後の10mmから30mmの平均の荷重を求め、フィルムの180度剥離時の粘着強さとした。
NC加工機、ルーター加工機を使用し一般的な木工用(ベニア合板)の条件に設定後、シートに表面保護フィルムを付けたまま毎葉にて切削加工を行い、問題が無くほぼ良好に加工が出来た場合を○、カケ(バリ)或いはフィルムの剥がれが僅かに認められる場合を△とし、明らかにカケ(バリ)或いはフィルムが剥がれた場合を×とする相対比較をした。
(8)作業性(表面保護フィルムの破れ、透明樹脂シート表面のキズ発生の有無及びフィルムの剥離)
透明樹脂シートサイズ:板厚10mmの500×500mmの両面に表面保護フィルムを貼付けた試料を2枚準備後、積層させシートとシートの間にシートの切粉(切削屑)を約10個敷き、左右前後にシートをずらし、表面保護フィルムの破れ及び透明樹脂シート
表面へのキズ発生有無を調べた。
問題が無い場合を○、表面保護フィルムの破れが一部に認められ場合を△とし、破れ及び透明樹脂シート表面にキズ発生等がある場合に×とした。
上記試料を使用しコーナー部の一部を捲り、手で表面保護フィルムの剥離作業を実施した。
何ら問題無くスムーズに剥離が可能な場合を○とし、粘着が強く剥離作業が困難な場合は、△、表面保護フィルム剥離の途中にフィルムが破れたもの或いは剥離が困難な場合を×とした。
透明樹脂シートサイズ50×150mmを準備し、ストレートシャンクドリルφ1.73mmを使用しボール盤で貫通させた穴を10箇所以上あけ、真鍮製釘φ1.83mm全長33.3mm、頭部分引いた長さ31.2mm、テーパー部分3mm、φ1.83mmの真鍮製パチンコ釘(捻子無し)を穴の中央に釘をセット後、インストロンジャパン社製型式5582(床置きモデル)の試験機を用い、毎分50mmの速度で釘を打ち、シート厚みに対し釘の平行部分を貫通後(透明樹脂シート厚み10mmの場合は13mm)、釘周辺の白化発生の有無及びクラック発生の有無を評価した。ベニア合板については合板の板厚19mmを使用し表面に直接、全長16.5mmの真鍮釘を釘打ちした。
次に、アクリル系ゴム粒子の製造例1〜2を示すと共に、本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。
内容積10Lの還流冷却器付反応器に、イオン交換水6860ml、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム13.7gを投入し、250rpmの回転数で攪拌しながら、窒素雰囲気下75℃に昇温し、酸素の影響が事実上無い状態にした。
MMA907g、BA33g、HMBT0.28g及びALMA0.93gからなる混合物(I−1)のうち222gを一括添し、5分後に過硫酸アンモニウム0.22gを添加した。その40分後から(I−1)の残りの719gを20分間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに60分間保持した。次に、過硫酸アンモニウム1.01gを添加した後BA1067g、St219g、HMBT0.39g、ALMA27.3gからなる混合物(I−2)を140分間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに180分間保持した。
得られたラテックスを3重量%硫酸ナトリウム温水溶液中へ投入して、塩拆・凝固させ、次いで、脱水・洗浄を繰り返したのち乾燥し、多層構造アクリル系重合体(I)を得た。
尚、上記略号は以下の化合物を示す。
MMA;メチルメタクリレート、BA;n−ブチルアクリレート、St;スチレン、MA;メチルアクリレート、ALMA;アリルメタクリレート、PEGDA;ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量200又は600)、n−OM;n−オクチルメルカプタン、HMBT;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
かきまぜ機、コンデンサーを備えた10Lビーカーに蒸留水5.7L、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ソーダ20g、還元剤としてロンガリットl.2gを加え均一に溶解する。第一層としてメチルメタクリレート(以下MMAと略す)220g、n−ブチ
ルアクリレート(以下BAと略す)30g、アリルメタクリレート(以下ALMAと略す)0.8g、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド(以下PBPと略す)0.2gの均一溶液を加え80℃で重合した。約15分で反応は完了した。
得られた重合体はTgは108℃であった。次いで第二層としてBA1270g、スチレン(以下stと略す)320g、ジエチレングリコールジアクリレート(以下DEGAと略す)20g、ALMA13.0g、PBP1.6gの均一温度を1時間にわたって滴下した。滴下終了後40分で反応は完了した。このものを単独で重合して得られた重合体のTgは−38℃であった。
次に、第三層2段としてOMの量を1.0gにした他は第三層1段と同じ組成の溶液を加えた。このものを単独で重合させて得た重合体の分子量は、117,000、Tgは108℃であった。この段階は約15分で反応が完了した。次いで温度を95℃に上げ、1時間保持した。得られたラテックスを0.5%塩化アルミニウム水溶液中に投入して重合体を凝集させ、温水で5回洗浄後、乾燥して白色フロック状の成形材料を得た。
メタクリル樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製 商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)80重量%と上記製造例1のアクリル系ゴム粒子20重量%になるように重量調整を行いホッパー投入後、均一分散になるように混合した。
次に、この樹脂混合物を150φ、L/D=34の押出機に供給し、厚み10mm、幅1000mmのシートに押出した。
押出機の温度は約280℃、ダイの温度は約260℃、ポリッシングロール温度は約80℃であった。得られた押出シートに大王加工紙工業株式会社製 表面保護フィルム「FM−840(実測値:110μm)、基材:ポリエチレン、粘着剤:アクリル酸エステル共重合体」をインライン工程内にて両面に貼り付け(貼付時の圧力:2kg/cm2 テンション:約6kg)後、工程内にてシートを一定寸法に切断した。
表面保護フィルム貼付け後のシートを丸鋸にて上記特性試験項目用サンプルを切り出し、各評価項目に従って測定した。
メタクリル樹脂70重量%に対しアクリル系ゴム粒子30重量%を配合した以外は、参考実施例1と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
[参考実施例3]
メタクリル樹脂50重量%に対しアクリル系ゴム粒子50重量%を配合した以外は、参考実施例1と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
[実施例4]
上記製造例2のアクリル系ゴム粒子を用いた以外は、実施例2と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
アクリル系ゴム粒子として、三菱レイヨン株式会社製 製品名(商品名)IR441(フレーク状アクリルゴムの多層構造粒子)を用いる以外は、実施例2と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
[実施例6]
表面保護フィルムとして、大王加工紙工業株式会社製 表面保護フィルム「FM−830(実測値:105μm)、基材:ポリエチレン、粘着剤:アクリル酸エステル共重合体
」を使用した以外は、実施例2と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
表面保護フィルムとして、大王加工紙工業株式会社製 表面保護フィルム「FM−835(実測値:104μm)、基材:ポリエチレン、粘着剤:アクリル酸エステル共重合体」を使用した以外は、実施例2と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
[参考実施例8]
表面保護フィルムとして、株式会社サンエー化研 表面保護フィルム「サニテクト Y06F(実測値:62μm)、基材:ポリエチレン、粘着剤:アクリル酸エステル共重合体」を使用した以外は、実施例2と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
表面保護フィルムとして、株式会社スミロン製「EC−6220(実測値:89μm)、基材:ポリエチレン、粘着剤:アクリル酸エステル共重合体」をインライン工程内にてシートの両面に貼り付けた以外は、実施例2と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
[比較例1]
アクリル系ゴム粒子を配合しない以外は、参考実施例1と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
表面保護フィルムとして、大王加工紙工業株式会社製 表面保護フィルム「自己粘着タイプ FM−4090S(実測値:89μm)、基材層:高密度ポリエチレン、粘着層:EVA系(エチレン−酢酸ビニルコポリマー共重合体)」をインライン工程内にてシートの両面に貼り付けた以外は、実施例2と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
[比較例3]
表面保護フィルムとして、エンシュー化成工業製 表面保護フィルム「自己粘着タイプ
PEマスキングフィルム(実測値:62μm)、基材層:低密度ポリエチレンベースの混合物、粘着層:EVA系(エチレン−酢酸ビニルコポリマー共重合体)」を貼り付けた以外は、実施例2と同一方法にて評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
メタクリル樹脂シートに代えて、市販品の透明ポリカーボネート樹脂シート(旭ガラス株式会社製 商品名:レキサン、板厚10mm)を入手し、透明ポリカーボネート樹脂シートに貼り付けていたフィルムを剥がし、実施例1で使用した大王加工紙工業株式会社製表面保護フィルム「FM−840(実測値:110μm)、基材:ポリエチレン、粘着剤:アクリル酸エステル共重合体」を使用し、大成ラミネーター株式会社製のラミネーター機にて幅500mm、長さ1000mmの寸法にカットした原板に貼付け評価用サンプルを得、各評価項目に従って測定した。
[比較例5]
現行使用の板厚19mmベニア合板(ラワン)のみを用いて各評価項目に従って測定した。但し、ベニア合板の場合は、ボール盤で穴あけ加工せず合板表面に直接、16.5mmを釘打ちした。
次に、実施例2,4〜7、参考実施例1,3,8,9及び比較例1〜5の結果を表1に示す。
Claims (1)
- アセトン不溶部が24〜29重量%であるアクリル系ゴムからなる多層構造粒子を含有する透明メタクリル樹脂シートの少なくとも片面に、アクリル酸エステル共重合体を含む粘着層を介して、該粘着層とポリエチレン樹脂からなる表面保護フィルムを有し、該表面保護フィルムと該粘着層とのマイクロメーターによる合計厚みが50〜200μmであり、かつ、該表面保護フィルムの粘着強さが203〜300g/50mm幅である弾球遊技機基盤用複合シートであって、該透明メタクリル樹脂シートのシート厚が8〜19mmである弾球遊技機基盤用複合シート。
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