JP6841644B2 - 障子及び建具 - Google Patents
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Description
特許文献1,2において、障子を構成する下框は、当該下框の長手方向に沿って延在する下框中空部を備える。また、戸車は、下框中空部の内部に設けられるとともに、一部が当該下框中空部から下方に突出する。そして、戸車は、下枠に設けられたレールに当接し、当該レール上で転動することにより、障子をスライド移動させる。
したがって、本発明に係る障子によれば、火災等により加熱された場合であっても、戸車部からの発炎を防止することができる、という効果を奏する。
本発明では、戸車対向部において、戸車部に対向する第1面には、第1熱膨張性部材が設けられている。このため、火災等により加熱されると、第1熱膨張性部材が膨張し、戸車部が当該第1熱膨張性部材にて覆われる。したがって、火災等により加熱された場合であっても、戸車部からの発炎を防止することができる、という効果を好適に実現することができる。
具体的に、戸車部と見込み方向に対向するように、下框補強材を下框の長手方向に沿って延在させ、当該下框補強材における戸車部と見込み方向に対向する面に第1熱膨張性部材を設けた場合には、以下の問題が生じてしまう。
すなわち、下框補強材としては、下框の補強を考慮して剛性を高めるために、肉厚を厚くしなければならない。このため、下框補強材を戸車部と見込み方向に対向するように設けた場合には、肉厚の厚い下框補強材が戸車部と見込み方向に並設されるため、下框補強材及び戸車部が収容される下框の見込み方向に沿う寸法が大きくなってしまう。すなわち、下框が大型化してしまう、という問題がある。
これに対して、下框の補強を考慮する必要のない戸車対向部を下框補強材と別体とし、戸車部と見込み方向に対向するように下框補強材に取り付ける。そして、第1熱膨張性部材は、戸車対向部における戸車部と見込み方向に対向する第1面に設けられる。すなわち、肉厚の厚い下框補強材が戸車部と見込み方向に並設する構造ではない。このため、戸車対向部を下框補強材とは別体で構成した場合には、戸車部からの発炎を防止する構造を実現しつつ、下框の大型化も回避することができる。
本発明では、障子の戸尻側に設けられた戸車部に対向する戸車対向部において、第1面とは反対側の第2面には、第2熱膨張性部材が設けられている。このため、例えば、引違い窓等の建具において、外障子及び内障子の少なくとも一方に本発明の障子を採用し、第2面が他方の障子の戸尻側の部位に対向するように戸車対向部を設ける。このように構成すれば、火災等により加熱された場合には、第2熱膨張性部材が膨張し、召合せ部分(外障子及び内障子における戸尻側の各部位)の下部において、外障子及び内障子の隙間が当該第2熱膨張性部材にて閉塞される。このため、召合せ部分の下部において、外障子及び内障子の隙間を介して、火炎が室内外に貫通することを防止することができる。
本発明に係る建具は、上述した障子を備えているので、上述した障子と同様の作用及び効果を奏する。
〔建具の概略構成〕
図1は、本発明の実施の形態1に係る建具1を室内側から見た図である。図2は、建具1の要部拡大縦断面図である。
なお、以下で記載する「見込み方向」は、図2の矢印Arで示すように、建具1の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称し、見込み方向に直交する平面については、見付け面と称する場合がある。
建具1は、引違い窓で構成され、枠体2と、外障子3と、内障子4とを備える。
枠体2は、上枠21、下枠22、図1中、左側に位置する左縦枠23、及び図1中、右側に位置する右縦枠24を四周枠組みすることによって構成され、建物の開口部Opの縁部に沿うように取り付けられる。
これら各枠部材21〜24は、合成樹脂製またはアルミニウム等の金属製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
面材31は、スペーサ311を介して一対のガラス板312,313を互いに間隔を隔てて対面配置した2層の複層ガラスで構成されている。
框体32は、上框33、下框34、戸先框35、及び召合せ框36(図3参照)を框組みすることにより構成され、内部で面材31を保持する。
本実施の形態1では、これら各框部材33〜36は、合成樹脂製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
なお、本発明の要部である下框34の詳細な構成については後述する。
なお、本発明の要部である下框44の詳細な構成については後述する。
先ず、外障子3における下框34の構成について、図2を参照しつつ説明する。
下框34は、下框中空部341と、内周側ヒレ部342と、一対の外周側ヒレ部343とを備える。
下框中空部341は、下框34の長手方向に沿って延在する角筒形状を有する。この下框中空部341において、上方側の見込み面の室外側には、下方側に窪む押縁係合溝344が形成されている。そして、押縁係合溝344には、押縁345が取り付けられる。
内周側ヒレ部342は、下框中空部341において、上方側の見込み面の室内側の縁部から上方側に向けて延在した部分である。
そして、面材31の下端部は、内周側ヒレ部342と押縁345と下框中空部341における上方側の見込み面とで形成されるU字状の溝部に配置された状態で保持される。
一対の外周側ヒレ部343は、下框中空部341において、下方側の見込み面の室内側及び室外側の各縁部から下方側に向けてそれぞれ延在した部分である。
そして、一対の外周側ヒレ部343と下框中空部341における下方側の見込み面とで形成されるU字状の溝部には、下枠22に設けられた金属製の一対のレール5,6のうち、室外側に位置するレール5の一部が挿入される。
図3は、外障子3における戸尻側の下部を室内側から見た図である。
一対の戸車部7は、同一の構成を有し、下框中空部341において、戸先側及び戸尻側のそれぞれに設けられている。
ここで、下框中空部341において、下方側の見込み面を構成する壁部346の戸先側及び戸尻側には、当該下框中空部341の内外を連通する連通孔(例えば、図7に示す連通孔447参照)がそれぞれ形成されている。そして、一対の戸車部7は、下框中空部341の内部に配設されるとともに、一部が当該連通孔を介して下方側(一対の外周側ヒレ部343の間)にそれぞれ突出する。
戸車71は、下枠22に設けられたレール5に当接し、当該レール5上で転動することにより、外障子3を図1中、左右方向にスライド移動させるローラである。本実施の形態1では、戸車71は、樹脂材料で構成されている。
戸車支持部72は、戸車71を回転可能に支持するとともに、当該戸車71を下框中空部341の内部に取り付ける部材である。この戸車支持部72は、樹脂材料またはアルミニウム等の金属材料で構成されている。
なお、図3及び図4では、下框補強材8における室内側から見て右側の部位のみを図示しているが、下框補強材8は、左右対称となる形状であり、室内側から見て左側の部位も室内側から見て右側の部位と同様の形状を有している。
下框補強材8は、アルミニウム等の金属材料で構成され、下框34の長手方向に沿って延在し、下框34を補強する部材である。この下框補強材8は、基部81と、第1,第2延在部82,83とを備え、断面視U字形状を有する。
基部81は、下框34の全長と略同一の全長を有する板体で構成され、下框中空部341における上方側の見込み面を構成する見込み壁部に対向する姿勢で、当該見込み壁部に対して、ネジSc1(図3)により固定され、下框34を補強する。基部81が下框中空部341に固定された状態では、当該基部81における長手方向の両端側(戸先側及び戸尻側)は、一対の戸車部7の上方側にそれぞれ位置する(図3)。そして、当該両端側は、L字状の連結金具84を介して、戸先框35及び召合せ框36の内部に設けられた不燃性または難燃性の補強材(図示略)にそれぞれ連結される。
第2延在部83は、第1延在部82の全長と同一の全長を有する板体で構成され、当該第1延在部82における下方側の端部から室内側に屈曲して延在した部分であり、下框中空部341における下方側の見込み面を構成する見込み壁部に対向する。
一対の戸車対向部9は、同一の構成を有し、下框補強材8(第1延在部82)における長手方向の両端側(戸先側及び戸尻側)にそれぞれ取り付けられ、一対の戸車部7にそれぞれ対向する。そして、一対の戸車対向部9は、取付部91と、接続部92と、対向部93とをそれぞれ備え、断面視Z字形状をそれぞれ有する。
取付部91は、板体で構成され、各板面が室内側及び室外側にそれぞれ臨む姿勢で、下框補強材8における第1延在部82の室内側の面に対し、ネジSc2により固定される。
接続部92は、取付部91における図5中、右側の端部(戸先側の戸車対向部9では戸先側の端部、戸尻側の戸車対向部9では戸尻側の端部)から室外側に屈曲して延在した部分である。
対向部93は、接続部92における室外側の端部から図5中、右側(戸先側の戸車対向部9では戸先側、戸尻側の戸車対向部9では戸尻側)に屈曲して延在した部分であり、戸車部7と見込み方向に対向する。この対向部93における室内側に臨む(戸車部7に対向する)第1面94の略全面には、加熱されることで膨張する熱膨張性部材(加熱発泡材)95が設けられている。この熱膨張性部材95は、本発明に係る第1熱膨張性部材に相当する。
次に、内障子4における下框44の構成について、図2を参照しつつ説明する。
内障子4における下框44は、外障子3における下框34の下框中空部341(押縁係合溝344、押縁345、壁部346、及び連通孔を含む)、内周側ヒレ部342、及び一対の外周側ヒレ部343とそれぞれ同様の下框中空部441(押縁係合溝444、押縁445、壁部446、及び連通孔447を含む)、内周側ヒレ部442、及び一対の外周側ヒレ部443を備える。
そして、面材41の下端部は、内周側ヒレ部442と押縁445と下框中空部441における上方側の見込み面とで形成されるU字状の溝部に配置された状態で保持される。また、一対の外周側ヒレ部443と下框中空部441における下方側の見込み面とで形成されるU字状の溝部には、下枠22に設けられたレール6の一部が挿入される。
本実施の形態1では、下框中空部441の内部には、一対の戸車部10と、下框補強材11と、一対の戸車対向部12とが設けられている。なお、図2では、説明の便宜上、戸車部10を一点鎖線で図示している。
一対の戸車部10は、外障子3に設けられた戸車部7の戸車71及び戸車支持部72とそれぞれ同様の戸車101及び戸車支持部102をそれぞれ備える。
これら一対の戸車部10は、下框中空部441において、戸先側及び戸尻側のそれぞれに設けられるとともに、一部が連通孔447を介して下方側(一対の外周側ヒレ部443の間)にそれぞれ突出する。そして、一対の戸車部10は、戸車101が下枠22に設けられたレール6上でそれぞれ転動することにより、内障子4を図1中、左右方向にスライド移動させる。
そして、下框補強材11は、下框中空部441における上方側の見込み面を構成する見込み壁部に対してネジ(図示略)により固定され、下框44を補強する。基部111が下框中空部441に固定された状態では、基部111における長手方向の両端側(戸先側及び戸尻側)は、一対の戸車部10の上方側にそれぞれ位置する(図6)。そして、当該両端側は、L字状の連結金具114を介して、戸先框45及び召合せ框46の内部に設けられた不燃性または難燃性の補強材(図示略)にそれぞれ連結される。
なお、熱膨張性部材125は、本発明に係る第1熱膨張性部材に相当する。
そして、一対の戸車対向部12(取付部121)は、下框補強材11(第1延在部112の室内側の面)における長手方向の両端側(戸先側及び戸尻側)にネジSc4によりそれぞれ取り付けられる。この状態では、各対向部123は、一対の戸車部10と見込み方向にそれぞれ対向する。
ここで、一対の戸車対向部12のうち、下框補強材11の戸尻側に取り付けられる戸車対向部12aは、戸先側に取り付けられる戸車対向部12とは異なる形状を有する。具体的に、戸車対向部12aにおいて、対向部123は、図7に示すように、先端側が基端側に対して、室内側にオフセットした段付き状に形成されている。そして、当該先端側における室外側(第1面124とは反対側)の第2面126には、加熱されることで膨張する熱膨張性部材(加熱発泡材)127が設けられている。この熱膨張性部材127は、本発明に係る第2熱膨張性部材に相当する。
本実施の形態1に係る建具1では、下框中空部341,441の内部には、アルミニウム等の金属製の下框補強材8,11がそれぞれ設けられている。そして、下框補強材8,11には、戸車部7,10に対向するアルミニウム等の金属製の戸車対向部9,12がそれぞれ設けられている。このため、戸車部7,10に向かう火炎を遮る遮炎機能を戸車対向部9,12に持たせることができる。
したがって、本実施の形態1に係る建具1によれば、火炎等により加熱された場合であっても、戸車部7,10からの発炎を防止することができる、という効果を奏する。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
以下の説明では、実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る建具1Aを構成する下框補強材8Aを室内側から見た斜視図である。図9は、建具1Aにおける外障子3の戸尻側の下部を室内側から見た図である。
なお、図8及び図9では、下框補強材8Aにおける室内側から見て右側の部位のみを図示しているが、下框補強材8Aは、左右対称となる形状であり、室内側から見て左側の部位も室内側から見て右側の部位と同様の形状を有している。
本実施の形態2に係る建具1Aでは、上述した実施の形態1で説明した建具1に対して、戸車対向部9,12が省略されている。また、本実施の形態2に係る建具1Aでは、上述した実施の形態1で説明した建具1に対して、下框補強材8,11とは異なる形状の下框補強材8Aを採用している。
下框補強材8Aには、戸車対向部9,12の省略に伴い、上述した実施の形態1で説明した下框補強材8に対して、第2延在部83に一対の戸車対向部86が設けられている。
一対の戸車対向部86は、下框補強材8Aの一部を折り曲げることでそれぞれ形成されている。具体的に、一対の戸車対向部86は、第2延在部83における長手方向の両端(戸先側及び戸尻側の各端部)から上方側に屈曲してそれぞれ延在し、一対の戸車部7と下框34の長手方向にそれぞれ対向する。
そして、一対の戸車対向部86において、一対の戸車部7にそれぞれ対向する第1面87には、加熱されることで膨張する熱膨張性部材(加熱発泡材)88が設けられている。この熱膨張性部材88は、本発明に係る第1熱膨張性部材に相当する。
本実施の形態2に係る建具1Aでは、戸車対向部86は、下框補強材8Aに一体形成され、戸車部7,10と下框34,44の長手方向にそれぞれ対向する。そして、熱膨張性部材88は、戸車対向部86における戸車部7,10と下框34,44の長手方向にそれぞれ対向する第1面87に設けられている。すなわち、肉厚の厚い下框補強材8Aが戸車部7,10と見込み方向に並設する構造ではない。このため、戸車部7,10からの発炎を防止する構造を実現しつつ、下框34,44の大型化も回避することができる。また、戸車対向部を下框補強材とは別体とした構成と比較して、部品点数を削減し、外障子3及び内障子4の組立作業を容易に実行することができる。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1,2によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1,2では、本発明に係る障子を引違い窓に採用していたが、これに限らない。例えば、3枚以上の障子が左右方向にスライドする引違い方式の窓や両袖片引き窓や引き分け窓、枠体内の領域が縦骨により区分けされ、区分けされた一方の領域がFIX窓や壁をなす片引き窓等、各種の建具に本発明の障子を採用しても構わない。
上述した実施の形態1,2において、下框補強材8,8A,11及び戸車対向部9,12の材料は、不燃性または難燃性の材料であれば、いずれの材料を採用しても構わない。
上述した実施の形態1,2では、框体32,42を樹脂材料で構成していたが、これに限らず、アルミニウム等の金属材料で構成しても構わない。
上述した実施の形態2では、戸車対向部86を下框補強材8Aに一体形成していたが、これに限らず、戸車対向部86を下框補強材8Aとは別体で構成しても構わない。
Claims (4)
- 下框に設けられるとともに少なくとも一部が樹脂材料で構成された戸車部により前記下框の長手方向に沿って移動可能とする障子であって、
前記下框は、
当該下框の長手方向に沿って延在する下框中空部を備え、
前記下框中空部における下方の壁部には、
当該下框中空部と外部とを連通する連通孔が形成され、
前記戸車部は、
前記下框中空部の内部に設けられ、一部が前記連通孔を介して下方に突出し、
前記下框中空部の内部には、
前記下框の長手方向に沿って延在し、前記下框を補強する不燃性または難燃性の下框補強材が設けられ、
前記下框補強材には、
当該下框補強材よりも肉厚が薄く、前記戸車部と見込み方向に対向する不燃性または難燃性の戸車対向部が取り付けられている
ことを特徴とする障子。 - 前記戸車対向部における前記戸車部と見込み方向に対向する第1面には、
加熱されることで膨張する第1熱膨張性部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の障子。 - 前記戸車部は、
当該障子における戸尻側に設けられ、
前記戸車対向部における前記第1面とは反対側の第2面には、
加熱されることで膨張する第2熱膨張性部材が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の障子。 - 請求項1〜3のいずれか一つに記載の障子と、
建物の開口部に取り付けられ、前記障子を移動可能に支持する枠体とを備える
ことを特徴とする建具。
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