以下、本発明の一実施形態による建築物の開口部に設けられる建具の一例として、引き違い窓を図1から図8に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る引き違い窓を屋内側から見た正面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図3は、図1のB−B線断面図である。
図1から図3に示すように、引き違い窓(建具)100は、建築物の開口部に設けられ、四角形枠状に形成された枠体1と、枠体1に対して左右方向にスライド可能に設けられた外障子2A及び内障子2Bと、を備えている。
なお、以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向と称し、外障子2A及び内障子2Bの上下方向と交差して外障子2A及び内障子2Bに沿う方向を左右方向と称する。
枠体1は、左右方向に延在する上枠11及び下枠12と、上枠11の両端部と下枠12の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠13と、を有している。本実施形態では、枠体1は、合成樹脂製の押出成形部材で構成されている。上枠11、下枠12及び縦枠13は、両端部が斜め45°に切断されて、互いの切断面が突き付けられて溶着されて枠体1が構成されている。
外障子2Aは枠体1の屋外側に設けられ、内障子2Bは枠体1の屋内側に設けられている。外障子2A及び内障子2Bが閉じた状態で、枠体1内を閉塞するように配置されている。外障子2A及び内障子2Bは、それぞれ四方枠状に形成された框体20と、框体20内に納められた複層ガラス30と、を有している。
框体20は、左右方向に延在する上框21及び下框22と、上框21の両端部と下框22の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する戸先框23及び召合せ框24(なお、上框21、下框22、戸先框23及び召合せ框24のそれぞれを単に「框」と称することがある。)と、を有している。以下の説明では、框が延びる方向を、長さ方向と称することがある。
図2及び図3に示すように、各框は、それぞれ長さ方向に延びる合成樹脂製の樹脂框25と、それぞれ長さ方向に延びる金属製の第1框芯材110を有している。
各框の樹脂框25は、互いに同じ断面に形成されている。樹脂框25は、内部に長さ方向全体にわたって中空部(框ホロー部S1とする)が形成されている。上框21、下框22、戸先框23及び召合せ框24は、両端部が斜め45°に切断されて、互いの切断面が突き付けられて溶着されて框体20が構成されている。下框22には、下枠12に沿って左右方向に走行可能な戸車(不図示)が設けられている。
第1框芯材110は、樹脂框25の框ホロー部S1に挿入配置されている。第1框芯材110は、樹脂框25よりも長さ方向に若干短く形成されている。
各框には、それぞれ断面略コの字状のガラス保持溝29が形成されている。複層ガラス30の周縁部は、ガラス保持溝29内に嵌め込まれている。複層ガラス30の周縁部の屋内側の面は、框に係止された押縁36で押さえられている。また、複層ガラス30の周縁部の屋外側の面と框との間には、ガラスパッキン37が嵌め込まれている。
図1に示すように、外障子2Aと内障子2Bとは、互いの召合せ框24に設けられたクレセント錠(ロック部)38をロックすることにより、スライド移動がロックされるように構成されている。また、クレセント錠38を解除することにより、スライド移動が可能となるように構成されている。
次に、上記の引き違い窓100の主に召合せ框24の構成について、詳細に説明する。
まず、外障子2Aと内障子2Bのうち、外障子2Aの召合せ框24(以下、召合せ外框24Aと称する)について説明する。
図4は、図3のC部拡大図である。なお、図4では、主に外障子2Aの部材に符号を付している(内障子2Bの部材の符号は、後述する図7に付している)。
図4に示すように、召合せ外框24Aの樹脂框25は、屋外側に配置される外壁部40と、屋内側に配置される内壁部50と、外壁部40と内壁部50を連結する第1連結板部61及び第2連結板部62と、を有している。第1連結板部61は、第2連結板部62よりも複層ガラス30側に配置されている。
外壁部40は、屋外側に配置される外板部41、屋内側に配置される内板部42と、外板部41と内板部42と連結する第1〜第4見込み板部43,44,45,46と、を有している。
外板部41は、平板状に形成され、左右方向に沿って配置されている。内板部42は、屋内外方向に延びる段部42a,42c,42bが左右方向に間隔を有して設けられた板状に形成され、左右方向に沿って配置されている。外板部41は、内板部42よりも左右方向に長く形成されている。
第1〜第4見込み板部43,44,45,46は、それぞれ屋外側の端部が外板部41の屋内側の面と接続され、屋内側の端部が内板部42の屋外側の面と接続されている。第1〜第4見込み板部43,44,45,46は、この順で複層ガラス30と近接する側から離間する側に向かって間隔を有して配置されている。
第1見込み板部43は、外板部41における複層ガラス30側の端部よりも複層ガラス30から離間する側の部分と、内板部42における複層ガラス30側の端部よりもやや複層ガラス30から離間する側の部分とを連結している。
第2見込み板部44は、外板部41と、内板部42の段部42aとを連結している。内板部42では、第2見込み板部44よりも複層ガラス30側の部分が、第2見込み板部44よりも複層ガラス30から離間する側の部分よりも、屋外側に配置されている。
内板部42は、第2見込み板部44と第3見込み板部45との間の部分が、他の部分よりも板厚が薄く形成されている。内板部42における第2見込み板部44よりも複層ガラス30から離間する側では、第3見込み板部45よりも複層ガラス30側の部分と、第3見込み板部45よりも複層ガラス30から離間する側で第4見込み板部46よりも複層ガラス30側の部分とは、屋外側の面が面一となり、屋内側の面が前者よりも後者の方が屋内側に配置されている。このため、内板部42には、第3見込み板部45との接続部分における屋内側に段部42cが形成されている。
第4見込み板部46は、外板部41の複層ガラス30から離間する側の端部よりも内側の部分と、内板部42の複層ガラス30から離間する側の端部よりも内側の部分とを連結している。
内板部42には、第4見込み板部46との接続部分に段部42bが形成されている。内板部42では、第4見込み板部46よりも複層ガラス30側の部分が、第4見込み板部46よりも複層ガラス30から離間する側の部分よりも屋外側に配置されている。
外板部41における複層ガラス30側の端部には、屋内側に延びてその屋内側の先端部から更に複層ガラス30から離間する側に突出する第1突出片41aが設けられている。
第1突出片41aの先端部は、内板部42における複層ガラス30側の端部よりも複層ガラス30側に配置されている。第1突出片41a、外板部41、第1見込み板部43及び内板部42により囲まれた空間には、ガラスパッキン37が嵌め込まれている。
外板部41における複層ガラス30から離間する側の端部には、屋内側に突出する第2突出片41bが設けられている。内板部42における複層ガラス30から離間する側の端部には、屋外側に突出する第3突出片42dが設けられている。第2突出片41bの先端部と第3突出片42dの先端部とは、屋内外方向に間隔を有して対向配置されている。内板部42と外板部41との間における第4見込み板部46よりも複層ガラス30から離間する側の空間には、後述する外框アタッチメント70Aが嵌め込まれている。
内壁部50は、屋外側に配置される外板部51と、屋内側に配置される内板部52と、外板部51と内板部52と連結する第1見込み板部53及び第2見込み板部54と、を有している。
外板部51は、屋内外方向に延びる段部51aが設けられた板状に形成され、左右方向に沿って配置されている。内板部52は、板状に形成され、左右方向に沿って配置されている。外板部51と内板部52とは、左右方向に同じ長さに形成され、両端部の左右方向の位置が揃って配置されている。
第1見込み板部53及び第2見込み板部54は、それぞれ屋外側の端部が外板部51の屋内側の面と接続され、屋内側の端部が内板部52の屋外側の面と接続されている。第1見込み板部53は、第2見込み板部54よりも、複層ガラス30側に配置されている。
第1見込み板部53は、外板部51における複層ガラス30側の端部よりも複層ガラス30から離間する側の部分と、内板部52における複層ガラス30側の端部よりも複層ガラス30から離間する側の部分とを連結している。
内板部52における複層ガラス30側の端部には、屋外側に延びる第1突出片52aが設けられている。第1突出片52aの先端部は、外板部51における複層ガラス30側の端部と屋内外方向に間隔を有して対向配置されている。第1突出片52a、内板部52、第1見込み板部53、及び外板部51に囲まれた空間には、押縁36が嵌め込まれている。
外板部51には、第2見込み板部54との接続部分に段部51aが形成されている。外板部51では、第2見込み板部54よりも複層ガラス30から離間する側の部分が、第2見込み板部54よりも複層ガラス30側の部分よりも屋外側に配置されている。
外板部51における複層ガラス30から離間する側の端部には、屋内側に突出する第2突出片51bが設けられている。内板部52における複層ガラス30から離間する側の端部には、屋外側に突出する第3突出片52bが設けられている。第2突出片51bの先端部と第3突出片52bの先端部とは、屋内外方向に間隔を有して対向配置されている。外板部51と内板部52との間における第2見込み板部54よりも複層ガラス30から離間する側の空間には、後述する外框アタッチメント70Aが嵌め込まれている。
外壁部40における複層ガラス30から離間する側の端部と、内壁部50における複層ガラス30から離間する側の端部とは、左右方向の位置が揃って配置されている。外壁部40における複層ガラス30側の端部は、内壁部50における複層ガラス30側の端部よりも複層ガラス30側に配置されている。
第1連結板部61は、外壁部40の第2見込み板部44と左右方向に同じ位置で、外壁部40の内板部42と連結されている。第1連結板部61は、内壁部50の外板部51と、外板部51における複層ガラス30側の端部よりもやや複層ガラス30から離間する側において連結されている。
第2連結板部62は、外壁部40の第3見込み板部45と左右方向に同じ位置で、外壁部40の内板部42と連結されている。第2連結板部62は、内壁部50の外板部51と、内壁部50の第1見込み板部53と第2見込み板部54との間の左右方向の位置において連結されている。
樹脂框25には、外壁部40の内板部42、内壁部50の外板部51、第1連結板部61及び第2連結板部62に囲まれて、框ホロー部S1が形成されている。
框ホロー部S1の内部には、第1框芯材110が設けられている。第1框芯材110は、水平断面形状が略コ字形状(C字形状)をなし、屋内側に開口する向きで配置されている。
第1框芯材110は、底面部111と、第1側面部112及び第2側面部113と、を有する。底面部111は、外壁部40の内板部42における屋内側を向く面に沿って配置されている。第1側面部112及び第2側面部113は、底面部111の左右方向の両端部からそれぞれ屋内側に延びている。第1側面部112は、第1連結板部61における複層ガラス30から離間する側を向く面に沿って配置されている。第2側面部113は、第2連結板部62における複層ガラス30側を向く面に沿って配置されている。
第1框芯材110の底面部111における屋内側を向く面には、加熱発泡材F1が設けられている。加熱発泡材F1は、長尺状に形成され、厚さ方向(発泡する方向)を屋内外方向に向けて配置されている。加熱発泡材F1は、樹脂框25の長さ方向(上下方向)の両端部を除いて略全長にわたって配置されている。
また、樹脂框25には、第2連結板部62よりも複層ガラス30から離間する側に、外壁部40の内板部42、内壁部50の外板部51及び第2連結板部62に囲まれて、複層ガラス30から離間する側に開口する框凹部空間S2が形成されている。
框凹部空間S2の内部には、第2框芯材(框補強部材)120が設けられている。第2框芯材120は、水平断面形状が略コ字形状(C字形状)をなし、複層ガラス30から離間する側に開口する向きで配置されている。
第2框芯材120は、底面部121と、第1側面部122及び第2側面部123と、を有する。底面部121は、第2連結板部62における複層ガラス30から離間する側を向く面に当接配置されている。第1側面部122及び第2側面部123は、底面部121の屋内外方向の両端部からそれぞれ複層ガラス30から離間する側に延びている。第1側面部122は、内壁部50の外板部51の段部51aにおける屋外側を向く面に当接配置されている。第2側面部123は、外壁部40の内板部42の段部42bにおける屋内側を向く面に当接配置されている。
螺子121zが、第2框芯材120の底面部121及び第2連結板部62に挿通され、第1框芯材110の第2側面部113に螺合されている。螺子121zは、第1框芯材110の上下両端部近傍に設けられている。
第2框芯材120の第2側面部123における屋内側を向く面には、加熱発泡材F2が設けられている。加熱発泡材F2は、長尺状に形成され、厚さ方向(発泡する方向)を屋内外方向に向けて配置されている。加熱発泡材F2は、樹脂框25の長さ方向(上下方向)の両端部を除いて略全長にわたって配置されている。
框凹部空間S2の外壁部40側において、内板部42に段部42bが設けられることにより、第2連結板部62、内板部42及び段部42bに囲まれて、第1凹溝S11が形成されている。框凹部空間S2の内壁部50側において、外板部51に段部51aが設けられることにより、第2連結板部62、外板部51及び段部51aに囲まれて、第2凹溝S12が形成されている。
第2凹溝S12には、内壁部50の内板部52における屋外側を向く面には、加熱発泡材F3が設けられている。加熱発泡材F3は、長尺状に形成され、厚さ方向(発泡する方向)を屋内外方向に向けて配置されている。加熱発泡材F3は、樹脂框25の長さ方向(上下方向)の両端部を除いて略全長にわたって配置されている。
また、樹脂框25には、第1連結板部61よりも複層ガラス30側に、外壁部40、第1連結板部61及び内壁部50に囲まれて、複層ガラス30側に開口するガラス保持溝29が形成されている。
ガラス保持溝29には、複層ガラス30の周縁部が嵌め込まれている。ガラス保持溝29には、第1連結板部61における複層ガラス30側に加熱発泡材F4が設けられている。加熱発泡材F4は、長尺状に形成され、厚さ方向(発泡する方向)を左右方向に向けて配置されている。加熱発泡材F4は、樹脂框25の長さ方向(上下方向)の両端部を除いて略全長にわたって配置されている。
外壁部40における複層ガラス30から離間する側の端部から内壁部50における複層ガラス30から離間する側に端部にまたがって、外框アタッチメント70Aが嵌め込まれている。外框アタッチメント70Aは、樹脂框25の長さ方向(上下方向)にわたって配置されている。
外框アタッチメント70Aは、閉塞板部71と、第1折曲板部72と、第2折曲板部73と、第3折曲板部74と、第4折曲板部75と、端部板部(障子移動規制部)76と、を有している。
閉塞板部71は、板状に形成され、屋内外方向に沿って配置されている。閉塞板部71における複層ガラス30側の面には、複層ガラス30側に向かって突出する第1係止片71a及び第2係止片71bが設けられている。第1係止片71aは、第2係止片71bよりも屋外側に配置されている。
第1係止片71aは、樹脂框25の外壁部40の第2突出片41bと第3突出片42dとの間に係止されている。第2係止片71bは、樹脂框25の内壁部50の第2突出片51bと第3突出片52bとの間に係止されている。
第1折曲板部72は、閉塞板部71の屋内側の端部から複層ガラス30側に延びている。第1折曲板部72の屋内側の面には、屋内側に向かって突出する第1封止片72a及び第2封止片72bが設けられている。
第1封止片72aは、第2封止片72bよりも複層ガラス30側に配置されている。第2封止片72bの突出長さは、第1封止片72aの突出長さよりも長い。外障子2A及び内障子2Bが閉じられた状態で、第1封止片72aの先端部は、内障子2Bの召合せ框24の外壁部40の外板部41における複層ガラス30側の端部よりも複層ガラス30から離間する側の部分に当接している(図7参照)。第2封止片72bの先端部は、後述する内障子2Bの召合せ框24の外壁部40の外板部41における複層ガラス30側の端部(第1突出片41a)に当接している(図7参照)。
第2折曲板部73は、第1折曲板部72における複層ガラス30側の端部から屋外側に延びている。第2折曲板部73の屋外側の端部は、樹脂框25の内壁部50の内板部52の屋内側の面に達している。
第3折曲板部74は、第2折曲板部73の屋外側の端部から複層ガラス30側に延びている。第3折曲板部74は、樹脂框25の内壁部50の内板部52の屋内側の面に当接配置されている。
第4折曲板部75は、第3折曲板部74における複層ガラス30側の端部から屋内側に延びている。端部板部76は、第4折曲板部75の屋内側の端部から複層ガラス30側に延びている。
第2折曲板部73、第3折曲板部74及び第4折曲板部75により、屋外側に凹むアタッチメント凹部S4が形成されている。
図5は、引き違い窓100の外障子2Aを屋内側から見た斜視図である。
図5に示すように、外框アタッチメント70Aには、上部に2箇所及び下部で1箇所において、第4折曲板部75及び端部板部76が設けられていない(切り欠かれた)切欠き部79が形成されている。
図6は、引き違い窓100において、開き防止金具80がある位置での水平断面図である。
図6に示すように、第3折曲板部74から切欠き部79にまたがって、開き防止金具80が設けられている。開き防止金具80は、取付壁部(取付部)81と、第1折曲壁部(延出部)82と、第2折曲壁部(端部、当接部)83と、を有している。開き防止金具80は、外框アタッチメント70Aの切欠き部79に、つまり上部に2箇所及び下部で1箇所に設けられている。上側に配置された開き防止金具80は、クレセント錠38(図1参照)よりも上方に配置されている。
取付壁部81は、外框アタッチメント70Aの第3折曲板部74の屋内側の面に当接配置されている。
第1折曲壁部82は、取付壁部81における複層ガラス30側の端部から屋内側に延びている。第1折曲壁部82は、切欠き部79に配置され、外框アタッチメント70Aの第4折曲板部75と複層ガラス30側の面が面一となっている。
第2折曲壁部83は、第1折曲壁部82の屋内側の端部から複層ガラス30側に延びている。第2折曲壁部83は、切欠き部79に配置され、外框アタッチメント70Aの端部板部76(図4参照)と面一となっている。
外框アタッチメント70Aのアタッチメント凹部S4において、開き防止金具80の屋内側の面には、金属製の補強材90が設けられている。補強材90は、長尺状に形成され、厚さ方向を屋内外方向に向けて配置されている。補強材90は、樹脂框25の長さ方向(上下方向)にわたって配置されている。
補強材90の屋内側の面には、高温加熱発泡材(第一加熱発泡材)F5が設けられている。高温加熱発泡材F5は、長尺状に形成され、厚さ方向(発泡する方向)を屋内外方向に向けて配置されている。高温加熱発泡材F5は、樹脂框25の長さ方向(上下方向)の両端部を除いて略全長にわたって配置されている。
高温加熱発泡材F5の屋内側の面には、低温加熱発泡材(第二加熱発泡材)F6が設けられている。低温加熱発泡材F6は、長尺状に形成され、厚さ方向(発泡する方向)を屋内外方向に向けて配置されている。低温加熱発泡材F6は、樹脂框25の長さ方向(上下方向)の両端部を除いて略全長にわたって、高温加熱発泡材F5に積層配置されている。
低温加熱発泡材F6の発泡温度は、高温加熱発泡材F5の発泡温度よりも低い。例えば、低温加熱発泡材F6としてエポキシ樹脂で構成されたものが採用され、高温加熱発泡材F5としてポリ塩化ビニル樹脂で構成されたものが採用される。高温加熱発泡材F5の発泡開始温度は、低温加熱発泡材F6の発泡開始温度よりも高い。
螺子122zが、低温加熱発泡材F6、高温加熱発泡材F5、補強材90、開き防止金具80の取付壁部81、外框アタッチメント70Aの第3折曲板部74、召合せ外框24Aの内壁部50の内板部52、外板部51及び加熱発泡材F3に挿通され、第2框芯材120の第1側面部122に螺合されている。螺子122zは、各開き防止金具80の上下2箇所に設けられている。
図7は、図3のC部拡大図である。なお、図7では、主に内障子2Bの部材に符号を付している。
図7に示すように、内障子2Bの召合せ框24(以下、召合せ内框24Bと称する)の樹脂框25は、召合せ外框24Aの樹脂框25と基本的に同様の構成であり、異なる構成のみ説明し、同様の構成は同一の符号を付してその説明を省略する。
召合せ内框24Bでは、第2凹溝S12には加熱発泡材F3(図4参照)が設けられていない。
召合せ内框24Bでは、外壁部40の外板部41、第4見込み板部46、内板部42及び第3見込み板部45に囲まれて、屋外側ホロー部S5が形成されている。
外板部41における屋内側を向く面(屋外側ホロー部S5側の面)には、加熱発泡材F20が設けられている。加熱発泡材F20は、長尺状に形成され、厚さ方向(発泡する方向)を屋内外方向に向けて配置されている。加熱発泡材F20は、樹脂框25の長さ方向(上下方向)の両端部を除いて略全長にわたって配置されている。
内框アタッチメント70Bは、召合せ外框24Aの外框アタッチメント70Aを屋内外方向及び左右方向に反転して(屋外側と屋内側とが逆になるとともに、左右逆になるように)配置されている。内框アタッチメント70Bの第1係止片71aは、樹脂框25の内壁部50の第2突出片51bと第3突出片52bとの間に係止さている。内框アタッチメント70Bの第2係止片71bは、樹脂框25の外壁部40の第2突出片41bと第3突出片42dとの間に係止されている。また、内框アタッチメント70Bでは、第1封止片72a及び第2封止片72bが設けられていない。
内框アタッチメント70Bでは、第1折曲板部72には、屋内側に延びる第1壁部72cが設けられている。第1壁部72cの屋内側の端部には、複層ガラス30側に延びる第2壁部72dが設けられている。第2壁部72dにおける複層ガラス30側の端部は、第2折曲板部73に接続されている。第1折曲板部72には、屋内外方向に貫通し、上下方向に延びるスリット72sが形成されている。
第1壁部72c、第2壁部72d、第2折曲板部73の第2壁部72dよりも屋外側の部分及び第1折曲板部72のスリット72sの両側の部分により、凹溝S6が形成されている。凹溝S6内には気密材95が配置され、気密材95の屋外側の端部は外障子2Aの押縁36の屋内側の面に当接している。
外障子2A及び内障子2Bに屋外側に圧力が生じたり屋内側に圧力が生じたり際には、外障子2A及び内障子2Bが屋内外方向にわずかに変位する。これにより、外框アタッチメント70A及び内框アタッチメント70Bの端部板部76どうしが屋内外方向に当接(係合)し、外障子2A及び内障子2Bを互いに拘束する。
図8は、引き違い窓100において、開き防止金具80がある位置での水平断面図である。
図8に示すように、内障子2Bの開き防止金具80の第2折曲壁部83は、内框アタッチメント70Bの端部板部76よりも屋外側に配置されている。開き防止金具80に沿って配置された高温加熱発泡材F5及び低温加熱発泡材F6は、内障子2Bの召合せ内框24Bに設けられた不図示の芯材に螺子123zで固定されている。
召合せ外框24Aに設けられた開き防止金具80の第2折曲壁部83と、召合せ内框24Bに設けられた開き防止金具80の第2折曲壁部83とは、屋内外方向に離間して配置されている。召合せ外框24Aに設けられた開き防止金具80の第2折曲壁部83と、召合せ内框24Bに設けられた開き防止金具80の第2折曲壁部83とは、平面視で、屋内外方向に重なって配置されている。
本実施形態に係る引き違い窓100において、火災が発生した場合には、各加熱発泡材が発泡する。具体的には、加熱発泡材F1,F2は、屋内側に発泡して、それぞれ框ホロー部S1及び框凹部空間S2を塞ぐ。また、加熱発泡材F3は、屋外側に発泡して、内壁部50の外板部51と第2框芯材120の第1側面部122との間の隙間(第2凹溝S12)を塞ぐ。また、加熱発泡材F4は、複層ガラス30側に発泡して、内壁部50の外板部51と第2框芯材120の第1側面部122との間の隙間(第2凹溝S12)を塞ぐ。
また、火災時には、火災温度が所定の温度まで達すると、加熱発泡材F4が屋内側に発泡して、ガラス保持溝29において、第1連結板部61と複層ガラス30の端面との間の隙間を埋める。また、内障子2Bにおいて、加熱発泡材F20は、屋内側に発泡して、屋外側ホロー部S5の内部を塞ぐ。
また、外障子2Aでは、火災温度が所定の温度まで達すると、低温加熱発泡材F6が屋内側に発泡して、外框アタッチメント70Aのアタッチメント凹部S4と内障子2Bの召合せ内框24Bの外壁部40の外板部41との間の隙間を埋める。さらに、火災温度が上昇すると、高温加熱発泡材F5が屋内側に発泡する。このため、低温加熱発泡材F6の発泡が完了して隙間を埋めた後に、火災温度がさらに上昇して、召合せ外框24A及び召合せ内框24Bが変形して、召合せ外框24Aと召合せ内框24Bとの間に隙間が生じた場合でも、高温加熱発泡材F6が発泡して、当該隙間を埋める。
内障子2Bでは、火災温度が所定の温度まで達すると、低温加熱発泡材F6が屋外側に発泡して、内框アタッチメント70Bのアタッチメント凹部S4と外障子2Aの召合せ外框24Aの内壁部50の内板部52との間の隙間を埋める。さらに、火災温度が上昇すると、高温加熱発泡材F5が屋外側に発泡する。このため、低温加熱発泡材F6の発泡が完了して隙間を埋めた後に、火災温度がさらに上昇して、召合せ外框24A及び召合せ内框24Bが変形して、召合せ外框24Aと召合せ内框24Bとの間に隙間が生じた場合でも、高温加熱発泡材F6が発泡して、当該隙間を埋める。
また、火災時に、外障子2Aが屋外側に変位したり、内障子2Bが屋内側に変位したりすると、各開き防止金具80の第2折曲壁部83が屋内外方向に当接する(係合する)。換言すると、外障子2Aの開き防止金具80の第2折曲壁部83の屋外側の面に、内障子2Bの開き防止金具80の第2折曲壁部83の屋内側の面が当接する。このため、外障子2Aが屋外側に倒れたり、内障子2Bが屋内側に倒れたりすることが抑制される。
このように構成された引き違い窓100では、召合せ框24における他の障子2A,2Bを向く側に設けられ開き防止金具80は、左右方向に延びている。開き防止金具の第2折曲壁部(左右方向の端部)83は、互いに屋内外方向に離間して配置されているため、開閉時に接触することがない。
また、外框アタッチメント70A及び内障子アタッチメント70Bの端部板部76どうしは屋内外方向に係合するため、外障子2a及び内障子2Bは互いに拘束される。火災時に樹脂製の外框アタッチメント70A及び内障子アタッチメント70Bが溶融した場合であっても、開き防止金具80の第2折曲壁部83は、互いに屋内外方向に当接するため、障子を互いに拘束することができる。
また、外障子2Aに設けられた開き防止金具80は第2框芯材120に螺子122zで固定されているため、火災時に高温になり万が一樹脂框25が溶融しても、開き防止金具80が召合せ框24から脱落したり、外れたりすることが抑制される。
また、第1折曲壁部82は召合せ框24における他の障子2A(または2B)を向く側に取り付けられた取付壁部81から他の障子2A,2B側に延びるため、取付壁部81から戸先框23側に延びる第2折曲壁部83を一の障子2B(または2A)から屋内外方向に離間して設けることができる。よって、第1折曲壁部82で形成される空間に他方の第2折曲壁部83を配置することにより、第2折曲壁部83どうしが屋内外方向に離間して配置されるため、開閉時に第2折曲壁部83どうしが接触することがなく、開閉動作の妨げとなることがない。
また、第2折曲壁部83は戸先框23側に延びるため、火災時に、開き防止金具80の第2折曲壁部83どうしが当接する面積を大きく確保でき、障子2A,2Bを互いに確実に拘束することができる。
火災時には、火災温度が所定の温度に達すると、低温加熱発泡材F6が、屋内外方向に発泡し、召合せ外框24Aと召合せ内框24Bの間の隙間が塞がれる。さらに、火災温度の上昇に伴い外障子2A及び内障子2Bが変形して、召合せ外框24Aと召合せ内框24Bの間に隙間が生じた場合でも、低温加熱発泡材F6よりも発泡温度が高い高温加熱発泡材F5が、屋内外方向に発泡し、当該隙間が塞がれる。よって、火災時に、召合せ外框24Aと召合せ内框24Bの間の隙間を塞ぐことができる。
また、召合せ框24に、当該障子2A(または2B)側から他の障子2B(または2A)側へ、高温加熱発泡材F5及び低温加熱発泡材F6が、この順で設けられている。よって、低温加熱発泡材F6が露出しているため、火災時に、低温加熱発泡材F6から順に確実に発泡させることができる。
また、開き防止金具80はクレセント錠38よりも上方に設けられているため、火災時に最も反りが大きい框体20の上部を確実に拘束することができる。
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記に示す実施形態において、開き防止金具80は、戸先框23側に延びるように設けられているが、本発明はこれに限られず、戸先框23から離間する側に延びていてもよい。
また、上記に示す実施形態では、開き防止金具80は、外框アタッチメント70A及び内框アタッチメント70Bの第3折曲板部74に沿って配置されているが、本発明はこれに限られない。開き防止金具80は、召合せ框24における他方の障子2A,2Bを向く側に設けられていればよく、外框アタッチメント70A及び内框アタッチメント70Bにおける他方の障子2A(または2B)を向く面や、召合せ框24における他方の障子2A(または2B)を向く面に直接設けられていてもよい。
また、上記に示す実施形態では、開き防止金具80の取付壁部81が召合せ框24における他方の障子2A(または2B)を向く側に取り付けられているが、本発明はこれに限られない。開き防止金具80が召合せ框24における他方の障子2A(または2B)を向く側に設けられ、左右方向に延びていればよく、例えば、開き防止金具が召合せ框24における屋内外方向に沿う端面に取り付けられ、当該端面から他の障子2A(または2B)側に延びて、先端部が戸先框23側に延びるように折れ曲がったL字状をなす形状であってもよい。
また、上記に示す実施形態において、第一加熱発泡材、第二加熱発泡材等の加熱発泡材が設けられているが、本発明はこれに限られず、加熱発泡材が設けられていなくてもよい。
また、上記に示す実施形態では、枠体1内に2枚の障子2A,2Bが設けられた引き違い窓を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。枠体内に3枚以上の障子が設けられた引き違い戸であってもよい。また、枠体内に障子が2枚設けられ、1枚はスライド可能に設けられ、もう1枚は嵌め殺しで設けられていてもよい。また、枠体内に障子が1枚設けられた片引き戸であってもよい。片引き戸等のように、閉鎖時に障子が壁部(袖壁)に引き込まれる構成では、召合せ框及び方立に障子移動規制部が設けられ、障子移動規制部が樹脂製であるとともに対向配置された障子移動規制部と屋内外方向に係合可能に構成され、開き防止金具の左右方向の端部が、互いに屋内外方向に離間しつつ、平面視で屋内外方向に重なって配置されるとともに、火災時にのみ屋内外方向に当接可能に構成されていればよい。
また、上記に示す実施形態では、框体20は、樹脂框25と、樹脂框25の内部に挿入配置された金属製の第1框芯材110と、を有する構成であるが、本発明はこれに限られない。障子の框体は、樹脂框25と第1框芯材110の他に、樹脂框25の屋外側及び屋内側の少なくとも一方に配置された金属製の形材を有する構成であってもよい。