JP6813404B2 - 障子及び建具 - Google Patents

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Description

本発明は、障子及び建具に関するものである。
建具には、障子の框を室外側の金属框部分と、室内側の樹脂框部分とによって構成したものが提供されている。この種の障子においては、室外の空気に触れる金属框部分が室内に露出せず、しかも金属框部分から樹脂框部分への熱伝達率も小さいため、例えば室外の気温が室内に比べて低い場合にも、框の室内に露出する部分に結露が発生する等の問題を招来するおそれがなくなる(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−145503号公報
上述した障子においては、樹脂框部分の割合を多くすれば、より断熱性の向上を図ることが可能となる。しかしながら、障子の框には、その内部に建具を構成するための部品が収容される場合がある。例えば、戸車を備える引き違い窓の障子においては、下方の横框における金属框部分が戸車を収容できるだけの幅(建具の奥行き方向に沿った寸法)を有している必要がある。
こうした要求に対しては、下方の横框のみ戸車が収容できる幅に構成し、縦框についてはこれよりも小さい幅に構成することで断熱性を考慮した障子を提供することが可能となる。すなわち、框全体としては、樹脂框部分の幅を変更することで、同じ幅に構成することができるため、必要に応じて金属框部分の幅を横框と縦框とで異なる幅に設定することが可能である。
ところで、上記のように構成した障子にあっては、縦框の金属框部分よりも横框の金属框部分の幅が大きいため、縦框の相互間に横框を設けた場合、縦框の金属框部分から横框における金属框部分の小口が突出することになる。上述したように、縦框から突出する横框の金属框部分は、樹脂框部分によって覆われるため、通常の使用時に問題になることはない。しかしながら、火災発生時等において樹脂框部分が溶融したり、焼失したりすると、横框における金属框部分の小口が外部に露出して火炎の貫通口となるおそれがあり、建具の防火性を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。なお、上述の問題は、縦框における金属框部分の幅に対して横框における金属框部分の幅が大きい場合にのみ生じるものではない。すなわち、横框の金属框部分よりも縦框の金属框部分の幅が大きく、横框の相互間に縦框を設けた障子にあっても同様に生じ得る。
本発明は、上記実情に鑑みて、防火性を損なうことなく断熱性の向上を図ることのできる障子及び建具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る障子は、矩形状を成す面材の互いに平行に延在した第1の縁部に装着される2つの第1方向框と、前記第1方向框の相互間に配置され、前記面材の第1の縁部に直交した第2の縁部に装着される2つの第2方向框とを備え、前記2つの第1方向框の少なくとも一方及び前記2つの第2方向框の少なくとも一方がそれぞれ室外側に配置される金属框部分と、室内側に配置される樹脂框部分とを有し、前記第2方向框の金属框部分が前記第1方向框の金属框部分よりも見込み方向に沿った寸法が大きく構成された障子であって、前記第2方向框における金属框部分の小口において前記第1方向框における金属框部分の見付け面から突出する部分を覆う金属製の遮断部材を備えることを特徴とする。
この発明によれば、第2方向框における金属框部分の小口が遮断部材によって覆われるため、樹脂框部分が溶融したり、焼失したりしても小口が貫通口となることはなく、障子の防火性を損なうおそれがない。
また本発明は、上述した障子において、前記遮断部材は、平板状を成し、前記第1方向框の金属框部分において前記第2方向框の小口に対向する見込み面に配設されていることを特徴とする。
この発明によれば、第1方向框の金属框部分と第2方向框の金属框部分との間に遮断部材を配設することができるため、取付強度の点で有利となる。
また本発明は、上述した障子において、前記遮断部材は、前記第1方向框における金属框部分の見付け面に沿って配置される取付板部と、前記取付板部の縁部から屈曲するように延在し、前記第2方向框における金属框部分の小口を覆うカバー板部とを有していることを特徴とする。
この発明によれば、第1方向框の金属框部分と、第2方向框の金属框部分とを接続した後に遮断部材を取り付けることができるため、第2方向框における金属框部分の小口を確実に覆うことが可能となる。
また本発明は、上述した障子において、前記第1方向框は、上下に沿って延在する縦框を構成するものであり、前記第2方向框において下方に配置されるものの金属框部分には、戸車が配設されていることを特徴とする。
この発明によれば、枠体に対してスライド移動する障子に対して防火性及び断熱性の向上を図ることが可能となる。
また本発明に係る建具は、上述したいずれか一つに記載の障子を枠体に配設することによって構成したことを特徴とする。
この発明によれば、第2方向框における金属框部分の小口が遮断部材によって覆われるため、樹脂框部分が溶融したり、焼失したりしても小口が貫通口となることはなく、建具の防火性を損なうおそれがない。
本発明によれば、第2方向框における金属框部分の小口が遮断部材によって覆われるため、樹脂框部分が溶融したり、焼失したりしても小口が貫通口となることはなく、防火性を損なうおそれがない。
図1は、本発明の実施の形態である障子を適用した建具を室内側から見た図である。 図2は、図1に示した建具の縦断面図である。 図3は、図1に示した建具の横断面図である。 図4は、図1に示した建具に適用する障子の縦框を示すもので、(a)は内周側の見込み面から見た図、(b)は横断面図である。 図5は、図1に示した建具に適用する障子の縦框と下方の横框との接合部分を示すもので、(a)は遮断部材を設ける以前において樹脂框部分を省略した状態を示す斜視図、(b)は遮断部材を設けた後において樹脂框部分を省略した状態を示す斜視図である。 図6は、図1に示した建具の縦框を内周側見込み面から見たもので、樹脂框部分を省略した斜視図である。 図7は、本発明の変形例である障子の縦框を示すもので、(a)は内周側の見込み面から見た図、(b)は横断面図である。 図8は、図7に示した変形例の障子において縦框と下方の横框との接合部分において樹脂框部分を省略した状態の斜視図である。 図9は、図7に示した変形例の障子において縦框を内周側見込み面から見たもので、樹脂框部分を省略した斜視図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る障子及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態)
図1〜図3は、本発明の実施の形態である障子を適用した建具を示したものである。ここで例示する建具は、枠体10に対して2枚の障子20A,20Bをスライド可能に配設した、いわゆる引き違い窓と称されるものである。枠体10は、上下の横枠11,12及び左右の縦枠13,14を四周枠組みすることによって構成した矩形状を成すものである。枠体10の縦枠13,14は、アルミニウム合金等の金属によって一体に成形した押し出し形材である。これに対して枠体10の横枠11,12は、室外側の金属枠部分11a,12a及び室内側の金属枠部分11b,12bを有し、これら金属枠部分11a,11b、12a,12bの間に樹脂から成る断熱材11c,12cを介在させることによって構成してある。横枠11,12を構成する金属枠部分11a,11b、12a,12bは、縦枠13,14と同様、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。これら上下の横枠11,12には、2枚の障子20A,20Bを個別にガイドするためのレール11d,11e,12d,12eが室外側の金属枠部分11a,12a及び室内側の金属枠部分11b,12bのそれぞれに設けてある。
室内側に配置される一方の障子(以下、区別する場合に内障子20Aという)は、矩形状を成す面材21Aに対して上下に延在される縁部(第1の縁部)21Aaに左右の縦框(第1方向框)22A,23Aを装着し、左右に延在される縁部(第2の縁部)21Abに上下の横框(第2方向框)24A,25Aを装着することによって構成したものである。室外側に配置されるもう一方の障子(以下、区別する場合に外障子20Bという)は、矩形状を成す面材21Bに対して上下に延在される縁部(第1の縁部)21Baに左右の縦框(第1方向框)22B,23Bを装着し、左右に延在される縁部(第2の縁部)21Bbに上下の横框(第2方向框)24B,25Bを装着することによって構成したものである。本実施の形態では特に、左右の縦框22A,23A、22B,23Bの相互間に上方の横框24A,24B及び下方の横框25A,25Bを配設した、いわゆる縦通しと称される組み方で障子20A,20Bが構成してある。障子20A,20Bの面材21A,21Bとしては、いずれも複層ガラスから成るものを適用している。
内障子20Aは、左右の縦框22A,23A及び上下の横框24A,25Aがそれぞれ室外側の金属框部分22Aa,23Aa,24Aa,25Aa及び室内側の樹脂框部分22Ab,23Ab,24Ab,25Abを備えて構成してある。一方、外障子20Bは、戸先となる縦框22B及び上下の横框24B,25Bがそれぞれ室外側の金属框部分22Ba,24Ba,25Ba及び室内側の樹脂框部分22Bb,24Bb,25Bbを備えて構成してあるものの、召合せとなる縦框23Bは金属框部分23Baのみを有して構成してある。金属框部分22Aa,23Aa,24Aa,25Aa、22Ba,24Ba,25Ba、23Baは、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、室外側の外壁部26と室内側の内壁部27との間に中空部を有するように構成してある。上方の横框24A,24Bについては、この中空部の上方が開口しており、上方の横枠11に設けたレール11d,11eを受け入れるガイド溝24Ac,24Bcを構成している。一方、下方の横框25A,25B及び左右の縦框22A,23A、22B,23Bについては、中空部の外周側に外周壁部28が設けられ、上述の中空部が閉じた空間として構成してある。障子20A,20Bを構成する各框22A,23A,24A,25A、22B,24B,25Bの樹脂框部分22Ab,23Ab,24Ab,25Ab、22Bb,24Bb,25Bbは、いずれも筒状部分29を有して構成したものである。
上述したように、外障子20Bの召合せとなる縦框23Bは、金属框部分23Baのみを有して構成してあるため、その見込み方向に沿った寸法が面材21Bよりも大きくなるように構成してある。内障子20Aの召合せとなる縦框23Aは、外障子20Bの召合せとなる縦框23Bに重ね合わされるものであるため、耐風圧強度を重視して、それぞれの障子20A,20Bの戸先となる縦框22A,22Bの金属框部分22Aa,22Baよりも金属框部分23Aaの見込み方向に沿った寸法が大きく構成してある。このうち、内障子20Aの召合せとなる縦框23A及び2つの障子20A,20Bの戸先となる縦框22A,22Bについては、室内側に配置される樹脂框部分22Ab,22Bbの見込み方向に沿った寸法が適宜調整してあり、縦框22A,23A、22B,23B全体の見込み方向に沿った寸法としては互いにほぼ等しくなるように構成してある。
ここで、上述した見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、上下の横枠11,12や上下の横框24A,25A、24B,25Bのように水平に沿った部材の場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向であり、縦枠13,14や縦框22A,23A、22B,23Bのように上下に沿った部材の場合、見込み方向に直交した水平に沿う方向である。見付け方向に沿った面については見付け面と称する場合がある。
一方、上下の横框24A,25A、24B,25Bについては、金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baの見込み方向に沿った寸法が互いにほぼ等しく構成してある。この横框24A,25A、24B,25Bにおける金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baの見込み方向に沿った寸法は、内障子20Aの召合せとなる縦框23Aの金属框部分23Aaよりも小さく、かつ戸先となる縦框22A,22Bの金属框部分22Aa,22Baよりも大きく構成してある。すなわち、上方の横框24A,24Bには、上方の横枠11に設けたレール11d,11eが収容されるため、また、下方の横框25A,25Bには、後述する戸車30が配設されるため、戸先となる縦框22A,22Bの金属框部分22Aa,22Baよりも大きな見込み方向に沿った寸法が確保してある。
図2に示すように、下方の横框25A,25Bには、それぞれの金属框部分25Aa,25Baの中空部において長手の両端となる部位に戸車30が配設してある。戸車30は、ケース31の内部に車輪32を回転可能に配設したもので、下方の横框25A,25Bにおける金属框部分25Aa,25Baの外周壁部28に切欠28a(図5a参照)を設けることにより、ケース31を介して金属框部分25Aa,25Baの中空部に収容してある。この戸車30は、枠体10の内部に障子20A,20Bを建て込んだ場合に車輪32が下方の横枠12に設けたレール12d,12eに載置された状態となり、車輪32が適宜回転することにより、枠体10に対して障子20A,20Bをスライドさせることが可能となる。本実施の形態では、ケース31及び車輪32をそれぞれポリアセタール等の樹脂によって成形した戸車30を適用し、ケース31の一方の表面が内壁部27に接した状態で下方の横框25A,25Bに配設してある。ケース31の見込み方向に沿った寸法は、下方の横框25A,25Bにおける内壁部27と外壁部26との相互間隔よりもわずかに小さい。
また、図2〜図4に示すように、上下の横框24A,25A、24B,25B及び戸先となる縦框22A,22Bには、面材21A,21Bの端面に対向する内周側の見込み面にはそれぞれ補強部材40を介して熱膨張性部材50が配設してある。補強部材40は、ステンレス等の金属によって成形した薄板状部材であり、横框24A,25A、24B,25B及び縦框22A,22Bにおいて面材21A,21Bの端面及び周縁部表面に対向するように設けてある。熱膨張性部材50は、熱により膨張する不燃性または難燃性の部材であり、例えば、熱膨張性の黒鉛を含有した発泡材を適用することができる。本実施の形態では、それぞれの補強部材40の内周側となる見込み面において室内側となる部位に熱膨張性部材50が配設してある。
さらに、上下の横框24A,25A、24B,25Bには、それぞれの中空部に熱膨張性部材50が配設してある。上方の横框24A,24Bには、内壁部27の長手に沿った全長に熱膨張性部材50が配設してあり、下方の横框25A,25Bには、外壁部26の長手に沿った全長に熱膨張性部材50が配設してある。下方の横框25A,25Bには、中空部の外部において内壁部27の長手に沿った全長にも熱膨張性部材50が配設してある。
ここで、上下の横框24A,25A、24B,25Bの金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baは、見込み方向に沿った寸法が戸先となる縦框22A,22Bの金属框部分22Aa,22Baに対して大きく構成してあるため、互いに接合した場合、図4及び図5の(a)に示すように、横框24A,25A、24B,25Bにおける金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baの小口が縦框22A,22Bにおける金属框部分22Aa,22Baの見付け面から突出することになる。この縦框22A,22Bの見付け面から突出する横框24A,25A、24B,25Bの金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baは、樹脂框部分24Ab,25Ab、24Bb,25Bbによって覆われるため、通常使用時において外部に露出することはない。しかしながら、この実施の形態では、図4、図5の(b)、図6に示すように、縦框22A,22Bの内周側となる見込み面において上方の横框24A,24B及び下方の横框25A,25Bに対向する部位にそれぞれ遮断部材60を配設するようにしている。遮断部材60は、ステンレスによって成形した薄板の平板状を成すもので、金属框部分22Aa,22Baから樹脂框部分22Ab,22Bbにわたる部位にネジによって取り付けてある。遮断部材60において横框24A,25A、24B,25Bの内周側見込み面よりも内周側となる部位には、熱膨張性部材50が配設してある。なお、遮断部材60の材質としては、金属框部分22Aa等を構成するアルミニウム合金と同等、もしくはアルミニウム合金よりも融点の高い金属であれば、ステンレスに限らない。また、図2中の符号51は、上方の横枠11において断熱材11cを覆うように設けた熱膨張性部材である。
上記のように構成した障子20A,20Bによれば、室外の空気に触れる金属框部分22Aa,24Aa,25Aa、22Ba,23Ba,24Ba,25Baが室内に露出せず、しかも金属框部分22Aa,24Aa,25Aa、22Ba,24Ba,25Baから樹脂框部分22Ab,24Ab,25Ab、22Bb,24Bb,25Bbへの熱伝達率も小さいため、例えば室外の気温が室内に比べて低い場合にも、障子20A,20Bの室内に露出する部分に結露が発生する等の問題を招来するおそれがなくなる。しかも、戸先に位置する縦框22A,22Bの樹脂框部分22Ab,22Bbは、上下の横框24A,25A、24B,25Bの樹脂框部分24Ab,25Ab、24Bb,25Bbや召合せとなる縦框23Aの樹脂框部分23Abに比べて見込み方向に沿った割合が大きく構成してあるため、また樹脂框部分22Ab,23Ab,24Ab,25Ab、22Bb,24Bb,25Bbのそれぞれが筒状部分29を有するように構成してあるため、その内部が断熱空間となり、断熱性の向上を図ることが可能である。
さらに、上方の横枠11に設けたレール11d,11eが収容される上方の横框24A,24B及び戸車30が配設される下方の横框25A,25Bは、それぞれの金属框部分24Aa,24Ba、25Aa,25Baが戸先となる縦框22A,22Bの金属框部分22Aa,22Baよりも大きな見込み方向に沿った寸法に構成してあるため、十分な耐久性や強度を有した戸車30を配設することができる等、引き違い窓としての機能は何ら損なわれるおそれはない。
加えて、戸先となる縦框22A,22Bにおける金属框部分22Aa,22Baの見付け面から突出する横框24A,25A、24B,25Bの金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baに対しては、その小口を覆うように遮断部材60を配設しているため、火災発生時等において樹脂框部分22Ab,22Bb、24Ab,25Ab、24Bb,25Bbが溶融したり、焼失したりした場合であっても、遮断部材60によって覆われた状態を維持する。これにより、例えば、高温状態になった戸車30から可燃ガスが発生したとしても、これが室内側に漏出することはなく、また、金属框部分25Aa,25Baの室外側となる外壁部26が溶融したとしても、小口が火炎の貫通口となることもなく、防火性の点で極めて有利となる。
なお、上述した実施の形態では、遮断部材60として平板状を成すものを適用しているため、遮断部材60が縦框22A,22Bと横框24A,25A、24B,25Bとの間に介在されることになり、取付強度の点で有利となる。しかしながら、本発明では遮断部材60として必ずしも平板状を成すものを適用する必要はなく、例えば、以下に説明する変形例のように、断面がL字状を成す遮断部材を適用することも可能である。
(変形例)
図7、図8、図9は、本発明の変形例である障子20A,20Bを示したものである。ここで例示する障子20A,20Bは、実施の形態と同様、引き違い窓として適用されるもので、実施の形態とは遮断部材の形状のみが異なっている。以下、遮断部材の構成について詳述し、実施の形態と同一の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
図からも明らかなように、変形例の遮断部材160は、金属框部分22Aa等を構成するアルミニウム合金と同等、もしくはアルミニウム合金よりも融点の高い金属、例えばステンレスによって成形した薄板状を成すもので、取付板部161及びカバー板部162を有している。取付板部161は、戸先となる縦框22A,22Bにおける金属框部分22Aa,22Baの室内に臨む見付け面に取り付けられる平板状部分である。カバー板部162は、取付板部161の縁部から室内側に向けてほぼ直角に屈曲して延在した平板状部分であり、縦框22A,22Bにおける金属框部分22Aa,22Baの室内に臨む見付け面から突出する横框24A,25A、24B,25Bの金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baに対してその小口を覆うことのできる寸法に構成してある。この遮断部材160は、取付板部161を介して縦框22A,22Bにおける金属框部分22Aa,22Baの室内に臨む見付け面にネジによって取り付けてある。
この変形例の障子20A,20Bにおいても、縦框22A,22Bにおける金属框部分22Aa,22Baの見付け面から突出する横框24A,25A、24B,25Bの金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baに対しては、その小口を覆うように遮断部材160を配設するようにしているため、火災発生時等において樹脂框部分22Ab,22Bb、24Ab,25Ab、24Bb,25Bbが溶融したり、焼失したりした場合であっても、遮断部材160によって覆われた状態を維持する。これにより、例えば、高温状態になった戸車30から可燃ガスが発生したとしても、これが室内側に漏出することはなく、また、金属框部分25Aa,25Baの室外側となる外壁部26が溶融したとしても、小口が火炎の貫通口となることもなく、防火性の点で極めて有利となる。
さらに、変形例によれば、縦框22A,22Bと横框24A,25A、24B,25Bとを接続した後においても遮断部材160を取り付けることが可能である。従って、横框24A,25A、24B,25Bにおける金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baの小口を遮断部材160のカバー板部162によってより確実に覆うことができる。
なお、上述した実施の形態及び変形例では、引き違い窓に適用される障子20A,20Bを例示しているが、本発明は必ずしもこれに限らず、框が室外側の金属框部分と室内側の樹脂框部分とを有するものであればその他ものにも適用することが可能である。この場合、枠体10を構成する横枠11,12及び縦枠13,14の構成は、実施の形態のものに限らない。例えば、横枠としては、縦枠と同様、アルミニウム合金等の金属によって一体に成形されたものや、框と同様、金属枠部分と樹脂枠部分とによって構成される複合タイプのものであっても良い。なお、横枠と縦枠とが異なる構成である必要もなく、同じ構成のものでも構わない。
また、戸先となる縦框22A,22Bにおける金属框部分22Aa,22Baに対して横框24A,25A、24B,25Bにおける金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baの見込み方向に沿った寸法が大きい障子20A,20Bを例示しているが、本発明はこれに限定されず、横框の金属框部分に対して縦框における金属框部分の見込み方向に沿った寸法が大きい障子にも適用することが可能である。この場合、上下の横框の相互間に左右の縦框を配設した、いわゆる横通しと称される組み方で障子が構成されることになる。さらに、障子20A,20Bの面材21A,21Bとしては、必ずしも複層ガラスから成るものである必要はない。
また、上述した実施の形態及び変形例では、戸先となる縦框22A,22Bと上下の横框24A,25A、24B,25Bとの間に遮断部材60,160を設けるようにしているが、召合せとなる縦框23A,23Bの金属框部分23Aa,23Baが上下の横框24A,25A、24B,25Bにおける金属框部分24Aa,25Aa、24Ba,25Baの見込み方向に沿った寸法よりも小さい場合には、これら召合せとなる縦框23A,23Bと上下の横框24A,25A、24B,25Bとの間に遮断部材を設けてももちろん良い。
10 枠体、20A,20B 障子、21A,21B 面材、21Aa,21Ba 面材の縁部、21Ab,21Bb 面材の縁部、22A,23A、22B,23B 縦框、22Aa,23Aa,24Aa,25Aa、22Ba,24Ba,25Ba、23Ba 金属框部分、22Ab,23Ab,24Ab,25Ab、22Bb,24Bb,25Bb 樹脂框部分、24A,25A、24B,25B 横框、30 戸車、60,160 遮断部材、161 取付板部、162 カバー板部

Claims (5)

  1. 矩形状を成す面材の互いに平行に延在した第1の縁部に装着される2つの第1方向框と、前記第1方向框の相互間に配置され、前記面材の第1の縁部に直交した第2の縁部に装着される2つの第2方向框とを備え、前記2つの第1方向框の少なくとも一方及び前記2つの第2方向框の少なくとも一方がそれぞれ室外側に配置される金属框部分と、室内側に配置される樹脂框部分とを有し、前記第2方向框の金属框部分が前記第1方向框の金属框部分よりも見込み方向に沿った寸法が大きく構成された障子であって、
    前記第2方向框における金属框部分の小口において前記第1方向框における金属框部分の見付け面から突出する部分を覆う金属製の遮断部材を備えることを特徴とする障子。
  2. 前記遮断部材は、平板状を成し、前記第1方向框の金属框部分において前記第2方向框の小口に対向する見込み面に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の障子。
  3. 前記遮断部材は、前記第1方向框における金属框部分の見付け面に沿って配置される取付板部と、前記取付板部の縁部から屈曲するように延在し、前記第2方向框における金属框部分の小口を覆うカバー板部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の障子。
  4. 前記第1方向框は、上下に沿って延在する縦框を構成するものであり、前記第2方向框において下方に配置されるものの金属框部分には、戸車が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の障子。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の障子を枠体に配設することによって構成したことを特徴とする建具。
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