JP6841312B2 - 眼内レンズ挿入器具 - Google Patents

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Description

本開示は、眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具に関する。
従来、白内障の手術方法の一つとして、水晶体の代わりに折り曲げ可能な軟性の眼内レンズを眼内に挿入する手法が一般的に用いられている。また、眼の屈折力を矯正するために、水晶体よりも前側に眼内レンズが挿入される場合もある。眼内レンズの眼内への挿入には、インジェクターと呼ばれる眼内レンズ挿入器具が用いられる場合がある。
このようなインジェクターとして、先端に切欠きが形成される挿入部において、先端に向かい内径が徐々に小さくなる通路の内部にて眼内レンズを押し出すことにより、眼内レンズが小さく折り畳まれて先端から外部に射出するインジェクターが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−94406号公報
前記のようなインジェクターにおいて、通路の内部にて前側の支持部を折り曲げて光学部に収容しながら眼内レンズを折り畳もうとするときに、畳み込まれた光学部に先端側の支持部が収容されずに眼内レンズが射出されてしまう事象が生じる場合があった。
そこで、本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、眼内レンズを好適に変形して射出できる眼内レンズ挿入器具を提供することを目的とする。
本開示の典型的な実施形態は、円盤形状の光学部と前記光学部の外周部分から外側に延びる支持部とを備える眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具であって、前記眼内レンズを折り畳むために先端に向かうに従って前記眼内レンズが通過する空間が狭くなる先細り形状部を含む通路と、前記先細り形状部に設けられる突出部であって、前記通路内に向かって突出し、前記通路内にて前記光学部よりも前記先端側に配置される前記支持部に接触して前記支持部を変形させることにより、前記支持部の先端部分の少なくとも一部を、前記光学部における光軸方向の端面であって前記通路を形成する面と接触する第1面の反対側に形成される第2面よりも、前記第1面が配置される側とは反対側の位置に配置させる突出部と、を有することを特徴とする。
本開示の眼内レンズ挿入器具によれば、眼内レンズを好適に変形して射出できる。
眼内レンズ挿入器具の平面図である。 眼内レンズ挿入器具の側面図である。 図2のA−A断面図である。 図2のB−B断面図である。 図4のC−C断面図である。 眼内レンズの平面図である。 眼内レンズの右側面図である。 前方支持部の先端部分が光学部の外周部分に接近したときの状態を示す断面図である。 図8の状態のときの眼内レンズの形状を表す図であり、(a)が眼内レンズの平面図であり、(b)が眼内レンズを挿入部の先端側からみたときの図である。 前方支持部の先端部分が光学部の外周部分に接触したときの状態を示す断面図である。 図10の状態のときの眼内レンズの形状を表す図であり、(a)が眼内レンズの平面図であり、(b)が眼内レンズを挿入部の先端側からみたときの図であり、(c)が(b)において前方支持部の先端部分周辺を拡大した図である。 前方支持部の先端部分が光学部の第2面よりも天井面側の空間内に入り込むときの状態を示す断面図である。 図12の状態のときの眼内レンズの形状を表す図であり、(a)が眼内レンズの平面図であり、(b)が眼内レンズを挿入部の先端側からみたときの図である。 眼内レンズが小さく折り畳まれた状態を示す断面図である。 変形例の断面図(図16のE−E断面図)である。 変形例の断面図(図15のD−D断面図)である。 変形例において、前方支持部の先端部分が光学部の外周部分に接触したときの状態における眼内レンズの形状を表す図であり、(a)が眼内レンズの平面図であり、(b)が眼内レンズを挿入部の先端側からみたときの図であり、(c)が(b)において前方支持部の先端部分周辺を拡大した図である。 比較例における眼内レンズの形状を表す図であり、(a)が眼内レンズの平面図であり、(b)が眼内レンズを挿入部の先端側からみたときの図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、眼内レンズ挿入器具であるインジェクター1の構造について説明する。図1と図2に示すように、本実施形態のインジェクター1は、筒部本体(以下、「本体」という)10と、プランジャー12などから構成されている。本体10は、挿入部20と載置部22などを備えている。このようなインジェクター1は、例えば、樹脂材料(例えば、ポリプロピレン)等を用いた射出成形などによって形成される。また、インジェクター1は、樹脂の削り出しによって形成されたものであってもよい。なお、インジェクター1は、挿入部20が交換可能なカートリッジタイプのものであってもよい。
挿入部20は、挿入部本体30と天板部32などを備えている。そして、挿入部20は、中空の筒形状に形成されている。この挿入部20(挿入部本体30)は、通路20bを備えている。通路20bは、眼内レンズ100を折り畳むために挿入部20の先端20aに向かうに従って、眼内レンズ100が通過する空間が狭くなっている。すなわち、先端20aに向かうにつれて通路面積が徐々に小さくなっている。なお、通路面積とは、眼内レンズ100の押し出し方向(図3や図4の左方向)に直交する断面における通路20bの断面積である。
また、挿入部20の先端20aには、眼内レンズ100を外部に送出するための切欠き(ベベル)が形成されている。そして、通路20b内を通過した眼内レンズ100は、内壁面20cに沿って小さく折り畳まれて、先端20aの切欠きから外部に送出され、眼内に挿入される。
ここで、図3〜図5などに示すように、互いに直交するX軸とY軸とZ軸を想定し、眼内レンズ100の押し出し方向に平行な方向(通路20bの軸線方向)をX軸方向と定義する。すると、通路20bは、Y軸方向の両側に形成される2つの内壁面20c(第1内壁面24aと第2内壁面24b)と、Z軸方向の両側に形成される天井面20d(第2軸方向面)と底面20e(第1軸方向面)(図5参照)などに囲まれて形成されている。なお、天井面20dと底面20eは、挿入部本体30に形成されている。
図5に示すように、底面20eは、通路20bの外側(図5の下側)に凹状に湾曲している。すなわち、底面20eは、天井面20dや後述する天板部32の第1突起42と第2突起44に対向する面であり、第1突起42と第2突起44の突出方向に凹んでいる。
なお、「天井面20d」、「底面20e」、「天板部32」、後述する「上端面122」等の名称は便宜的なものであり、インジェクター1の上下方向を厳密に規定するものではない。例えば、底面20eは眼内レンズ100の下方に常に位置するわけではない。つまり、運搬時、インジェクター1への粘弾性物質の充填時、眼内への眼内レンズ100の挿入時等の各々において、インジェクター1の上下方向は変化し得る。
載置部22は、挿入部20よりもプランジャー12の押し出し方向の後方(図1〜図4の右方向)の位置に形成されている。載置部22は、載置部本体34と天板部32などを備えている。このような載置部22において、プランジャー12により押し出される前の眼内レンズ100が、載置部本体34の内部に配置されている(図4参照)。
天板部32は、挿入部20の一部も構成しており、挿入部20と載置部22に配置される蓋部材である。本実施形態の天板部32は、図3や図5に示すように、板状部36と、案内部40と、第1突起42と、第2突起44などを備えている。天板部32は、樹脂材料(例えば、ポリプロピレン)を用いた射出成形などによって形成されている。板状部36は、平板状に形成されている。案内部40は、溝状に形成されており、プランジャー12の押し出し方向を案内する。
第1突起42と第2突起44は、プランジャー12の押し出し方向に沿って形成されている。第1突起42は、案内部40の一方(図3の下側)の壁面を構成しており、板状部36から眼内レンズ100が配置される側(図3の紙面手前側)に突出している。第2突起44は、案内部40の他方(図3の上側)の壁面を構成しており、板状部36から眼内レンズ100が配置される側(図3の紙面手前側)に突出している。
本実施形態では、図3や図5に示すように、第1突起42は、突出部46を備えている。この突出部46は、第1突起42における挿入部20の先端20a側の位置に形成されている。詳しくは、突出部46における先端20a側の前端部46aは、第1突起42における先端20a側の前端部42aの位置に形成されている。
図5に示すように、突出部46は、通路20b内に向かって突出している。すなわち、突出部46は、天井面20d側から底面20eに向かって突出している。また、突出部46は、挿入部20の先端20a側からみたときに、通路20b内に配置される眼内レンズ100の光学部110の径方向(Y軸方向)について、通路20bの中央部Ceよりも前方支持部112Aの根元部分116A側の位置にて突出している。また、突出部46は、第1突起42における突出部46以外の後方部分42b(図3参照)よりもさらに底面20eに向かって突出している。
次に、本実施形態で使用される眼内レンズ100について説明する。図6と図7に示すように、本実施形態で使用される眼内レンズ100は、光学部110と、一対の支持部である前方支持部112Aおよび後方支持部112Bと、が柔軟な素材で一体成形されたワンピースタイプの眼内レンズである。
光学部110は、円盤形状に形成されている。また、前方支持部112Aと後方支持部112Bは、光学部110の外周部分110aから外側に延び、光学部110の中心を基準として点対称の位置に形成されている。そして、前方支持部112Aは、根元部分116Aが接続部分114Aを介して光学部110の外周部分110aに接続されており、先端部分118Aが開放されている。(つまり、先端部分118Aは自由端となっている)。また、後方支持部112Bは、根元部分116Bが接続部分114Bを介して光学部110の外周部分110aに接続されており、先端部分118Bが開放されている。また、光学部110は、光軸L方向の端面として、後述するように挿入部20の底面20eと接触する第1面110bと、第1面110bの反対側に形成される第2面110cとを備えている。
次に、インジェクター1の作用として、インジェクター1を使用した眼内レンズ100の眼内への挿入方法について説明する。
まず、インジェクター1を操作する術者は、前記の図4のように、載置部本体34内にて、眼内レンズ100を、前方支持部112Aが光学部110よりも挿入部20の先端20a側に位置するようにして配置する。そして、術者は、プランジャー12により、眼内レンズ100の後方支持部112Bを押す。これにより、後方支持部112Bの根元部分116Bは湾曲して、後方支持部112Bが光学部110の外周部分110aの内側に折り曲げられ、光学部110の上に載せられる。
その後、さらに、術者が、プランジャー12により、眼内レンズ100の光学部110の外周部分110aを押すことにより、眼内レンズ100は挿入部20の先端20a側に向かって押し出される。すると、図8に示すように、前方支持部112Aと光学部110が、通路20b内に挿入される。そして、光学部110の外周部分110aは内壁面20c(第1内壁面24aと第2内壁面24b)に接触する。これにより、光学部110は、内壁面20cから応力を受けるので、底面20e側(図8の紙面奥側)に谷折りされるようにして折り曲げられる。なお、このとき、光学部110の第1面110bの一部または全面が、底面20eに接触する。
このとき、同時に、眼内レンズ100の前方支持部112Aは、挿入部20の内壁面20cに接触し、内壁面20cから加えられる応力によって、根元部分116Aが湾曲して、光学部110側に向かって折り曲げられる。そして、図8に示すように、前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接近する。
また、このとき、光学部110が谷折りされるようにして折り曲げられると、図9に示すように、光学部110の外周部分110aにおける第1内壁面24aとの接触箇所Tが天井面20d側(図9(b)の上側)に移動する。これにより、前記の接触箇所Tに近い位置にある前方支持部112Aの根元部分116Aは、天井面20d側に浮き上がろうとする。
このとき、突出部46がない比較例を想定する。すると、この比較例では、図18に示すように、突出部46がないので、前方支持部112Aの根元部分116Aは、天井面20d側(図18(b)の上側)に浮き上がる。そうすると、前方支持部112Aの先端部分118Aは、底面20e側(図18(b)の右下側)を向いて、光学部110の第2面110cよりも底面20e側(図18(b)の下側)の位置に配置されるおそれがある。すると、その後、眼内レンズ100が先端20a側に向かって押し出されるときに、前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに押された状態で眼内レンズ100が進んでしまう。そのため、前方支持部112Aが光学部110の内側に入り込まない状態で、そのまま眼内レンズ100が射出されてしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態では、図9(b)に示すように、突出部46は、前方支持部112Aの根元部分116A付近(根元部分116A、あるいは、根元部分116Aよりも中央部120側の部分)に接触する。これにより、突出部46は、前方支持部112Aに押圧力Pを作用させて、前方支持部112Aを底面20e側(図9(b)の下側)に押さえる。そのため、前方支持部112Aの根元部分116Aが天井面20d側に浮き上がることが抑制される。そして、前方支持部112Aは、底面20e側に向かって湾曲する。
これにより、前方支持部112Aの先端部分118Aは、底面20eに接触、詳しくは、底面20eにおける第2内壁面24b側の端部21(図9(b)では「21a」と表記)に接触する。そして、前方支持部112Aの先端部分118Aは、底面20eの端部21の湾曲形状に沿って、第2内壁面24bよりも天井面20d側の方向(図9(b)の矢印α方向)を向く。なお、図9(b)においては、後方支持部112Bを省略して示している。
そして、その後、さらに、眼内レンズ100が挿入部20の先端20a側に向かって押し出されると、図10に示すように、前方支持部112Aは、さらに根元部分116Aから折れ曲って、先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接触する。また、光学部110は、さらに底面20e側に谷折りされるようにして折り曲げられる。このとき、前記のように突出部46が前方支持部112Aを底面20e側に押さえているので、前方支持部112Aの先端部分118Aは、第2内壁面24bよりも天井面20d側の方向(図11(b)の矢印α方向)を向いた状態を維持している。
ここで、通路20bは先端20a側に向かうに従ってその空間が狭くなっており、底面20eの端部21における曲率(底面20eの端部21が形成する湾曲形状の曲率)は、先端20a側に向かうに従って大きくなっている。換言するなら、底面20eの端部21が形成する湾曲形状の曲率半径は、先端20a側に向かうに従って小さくなっている。また、本実施形態では、前方支持部112Aは、光学部110よりも先端20a側に配置されている。そのため、前方支持部112Aの先端部分118Aが接触する位置の底面20eの端部21(図11(b)(c)では「21a」と表記)における曲率は、光学部110が接触する位置の底面20eの端部21(図11(b)(c)では「21b」と表記)における曲率よりも大きくなっている(図11(b)(c)参照)。そのため、前方支持部112Aの先端部分118Aは、光学部110よりも天井面20d側の位置へと誘導される。さらに、前記のように、前方支持部112Aの先端部分118Aは、底面20eの端部21に接触して、第2内壁面24bよりも天井面20d側の方向(図11(b)の矢印α方向)を向いている。これにより、前方支持部112Aの先端部分118Aの上端面122は、光学部110の第2面110cよりも、天井面20d側(図11(b)(c)の上側)の位置に配置される。
なお、前方支持部112Aが例えば略円柱状に形成されている場合には、少なくとも先端部分118Aにおける上端部(天井面20d側の端部)が、光学部110の第2面110cよりも、天井面20d側の位置に配置される。なお、図11(b)においては、後方支持部112Bを省略して示している。
そして、その後、さらに、眼内レンズ100が挿入部20の先端20a側に向かって押し出されると、図12に示すように、前方支持部112Aはさらに根元部分116Aから折れ曲り、光学部110はさらに底面20e側に谷折りされるようにして折り曲げられる。このとき、前記の図11(b)(c)に示すように、前方支持部112Aの先端部分118Aの上端面122は、光学部110の第2面110cよりも天井面20d側の位置に配置されている。そのため、前方支持部112Aの先端部分118Aは、光学部110の外周部分110aに接触しながら、図13に示すように、光学部110の第2面110cよりも天井面20d側の空間内に入り込む。このようにして、本実施形態では、前方支持部112Aは、光学部110の内側に入り込むことができる。なお、図13(b)においては、後方支持部112Bを省略して示している。
そして、その後、さらに、眼内レンズ100が挿入部20の先端20a側に向かって押し出されると、図14に示すように、前方支持部112Aは、光学部110の第2面110cの上に載せられた状態で、根元部分116Aがさらに湾曲して折り曲げられる。また、光学部110は、さらに、図14の紙面奥側に向かって谷折りされるようにして、小さく折り曲げられる。
そして、その後、さらに、眼内レンズ100が挿入部20の先端20a側に向かって押し出されると、前方支持部112Aと後方支持部112Bが光学部110の第2面110cの上に載せられ、かつ、光学部110が底面20e側に向かって谷折りされて小さく折り曲げられた状態で、挿入部20の先端20aから挿入部20の外部へ押し出されて、眼内に移動する。このようにして、好適に変形させた眼内レンズ100は、射出され、眼内に挿入される。
なお、突出部46は、前方支持部112Aにおける中央部120(根元部分116Aと先端部分118Aと間の中央部分)の位置から根元部分116Aの位置までの区間内のいずれかの位置に接触していればよい。
また、前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接触したとき(図11の状態のとき)に、先端部分118Aの厚み方向の全体が、光学部110の第2面110cよりも、天井面20d側(図11(b)(c)の上側)の位置に配置されていてもよい。換言するなら、前方支持部112Aの先端部分118Aの下端面(上端面122の反対側の面,底面20eを向く面)が、光学部110の第2面110cよりも、天井面20d側(図11(b)(c)の上側)の位置に配置されていてもよい。
また、突出部46は、必ずしも、前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接触したとき(図11の状態のとき)に、前方支持部112Aに接触していなくてもよい。すなわち、突出部46は、前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接触する前のいずれかのときに、前方支持部112Aに接触するとしてもよい。このように、突出部46は前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接触する前のいずれかのときに前方支持部112Aに接触して、一旦、前方支持部112Aの先端部分118Aが天井面20d側を向いた状態に前方支持部112Aの形状を変形させれば、その前方支持部112Aの形状をそのまま維持できる可能性がある。
また、変形例として、図15や図16に示すように、突出部46の代わりに、底面20eに突出部48が形成されていてもよい。この突出部48は、通路20bの内側に突出している。すなわち、突出部48は、底面20eから天井面20d側に突出している。また、突出部48は、挿入部20の先端20a側からみたときに、図15に示すように、通路20bの中央部Ceに対して前方支持部112Aの先端部分118Aが配置される側(第2内壁面24b側)の位置にて突出している。
なお、図15に示す点線は、通路20bの中央部Ceに対して、第1内壁面24a側の領域内の底面20eの形状と、第2内壁面24b側の領域内の底面20eの形状とを対称にした場合の底面20eの形状を示している。そして、突出部48の突出量とは、第2内壁面24b側の領域内の底面20eの形状を第1内壁面24a側の領域内の底面20eの形状と対称な形状としたときの底面20eの位置から、通路20b内に突出した量である。
また、図16に示すように、突出部48は、その突出量が挿入部20の先端20a側に向かうにつれて徐々に増加した後、徐々に減少する(徐々に対称な形状に近づく)ように形成されている。さらに、突出部48は、前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接触したとき(図17の状態のとき)に、前方支持部112Aの先端部分118Aが突出部48における突出量の最も大きい位置に配置されるようにして、形成されている。すなわち、図17は、図16のE−E指示線に相当する位置の突出部48に前方支持部112Aが接触した状態における眼内レンズ100の形状を示している。
このように、底面20eに突出部48が形成されていることにより、前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接触したときに、前方支持部112Aの先端部分118Aは突出部48に接触して突出部48より天井面20d側(図17(b)の上側)に向かって押し出される。このとき、前方支持部112Aの先端部分118Aは、突出部48の湾曲形状に沿って第2内壁面24bよりも天井面20d側の方向(図17(b)の矢印α方向)を向く。
ここで、通路20bは先端20a側に向かうに従ってその空間が狭くなっており、突出部48における曲率(突出部48における通路20bとの境界部分が形成する曲線形状の曲率)は、先端20a側に向かうに従って大きくなっている。そして、本実施形態では、前方支持部112Aは光学部110よりも先端20a側に配置されているので、前方支持部112Aの先端部分118Aが接触する位置の突出部48(図17(b)(c)では「48a」と表記)における曲率は、光学部110が接触する位置の突出部48(図17(b)(c)では「48b」と表記)における曲率よりも大きくなっている(図17(b)(c)参照)。これにより、前方支持部112Aの先端部分118Aの上端面122は、光学部110の第2面110cよりも、天井面20d側(図17(b)(c)の上側)の位置に配置される。なお、図17(b)においては、後方支持部112Bを省略して示している。
このように、変形例においても、前方支持部112Aの先端部分118Aが光学部110の外周部分110aに接触したときに、前方支持部112Aの先端部分118Aの上端面122は光学部110の第2面110cよりも天井面20d側の位置に配置される。そのため、前記の実施形態と同様に、その後、さらに、眼内レンズ100が挿入部20の先端20a側に向かって押し出されると、前方支持部112Aは、光学部110の内側に入り込むことができる。そのため、好適に変形させた眼内レンズ100は、射出され、眼内に挿入される。
以上のように、本開示によれば、突出部46は、挿入部20において通路20b内に向かって突出しており、前方支持部112Aに接触して前方支持部112Aを変形させる。そして、このようにして、突出部46は、前方支持部112Aの先端部分118Aの少なくとも一部を、光学部110の第2面110cよりも、第1面110bが配置される側(底面20e)とは反対側(天井面20d側)の位置に配置させる。
これにより、その後、さらに、眼内レンズ100が挿入部20の先端20a側に向かって押し出されて光学部110が谷折りに折り曲げられるときに、前方支持部112Aの先端部分118Aは、光学部110の第2面110cよりも天井面20d側の空間内に入り込み易くなる。そのため、その後、さらに、眼内レンズ100が挿入部20の先端20a側に向かって押し出されると、前方支持部112Aが光学部110の第2面110cの上に載せられた状態で、光学部110が底面20e側に向かって小さく谷折りに折り曲げられる。したがって、眼内レンズ100を好適に変形させて射出させることができる。
なお、「先端部分118Aの少なくとも一部」とは、先端部分118Aの厚み方向の全体という意味だけではなく、例えば、先端部分118Aの上端面122のみという意味を含む。また、光学部110の第1面110bは、一部が底面20eと接触する場合もあり、全面が底面20eと接触する場合もある。
また、突出部46は、通路20b内にて光学部110よりも先端20a側に配置される前方支持部112Aが光学部110側に折れ曲がるときに、前方支持部112Aと接触する位置に形成されている。これにより、前方支持部112Aが光学部110側に折れ曲がるときに、突出部46により前方支持部112Aの浮き上がりを抑制できる。そのため、前方支持部112Aの先端部分118Aの少なくとも一部を、光学部110の第2面110cよりも天井面20d側の位置に配置させることができる。
また、突出部46は、先端20a側からみたときに、通路20bの中央部Ceよりも前方支持部112Aの根元部分116A側の位置にて、天井面20dから底面20e側に突出している。これにより、突出部46は、前方支持部112Aの中央部120よりも根元部分116A側の部分に接触することができる。そのため、光学部110の折り曲げ時に天井面20d側に浮き上がり易い前方支持部112Aの根元部分116Aを、突出部46により底面20e側に押さえることができる。したがって、前方支持部112Aの根元部分116Aにおける天井面20d側への浮き上がりを抑制できる。そして、このように前方支持部112Aの根元部分116Aの浮き上がりを抑制することにより、前方支持部112Aの先端部分118Aを底面20eに接触させて底面20eの湾曲形状に沿わして第2内壁面24bよりも天井面20d側の方向に向けることができる。
そして、前方支持部112Aの先端部分118Aが接触する位置の底面20eの端部21における曲率は、光学部110が接触する位置の底面20eの端部21における曲率よりも、大きくなっている。これにより、前方支持部112Aの先端部分118Aの少なくとも一部を、光学部110の第2面110cよりも、天井面20d側の位置に配置させることができる。
また、突出部48は、先端20a側からみたときに、通路20bの中央部Ceよりも前方支持部112Aの先端部分118A側の位置にて、底面20eから天井面20d側に突出している。これにより、突出部48は、前方支持部112Aの中央部120よりも先端部分118A側の部分に接触して、前方支持部112Aの先端部分118Aを天井面20d側に押し上げることができる。これにより、前方支持部112Aの先端部分118Aを突出部48の湾曲形状に沿わして第2内壁面24bよりも天井面20d側の方向に向けることができる。
そして、前方支持部112Aの先端部分118Aが接触する位置の突出部48における曲率は、光学部110が接触する位置の突出部48における曲率よりも、大きくなっている。これにより、前方支持部112Aの先端部分118Aの少なくとも一部を、光学部110の第2面110cよりも、天井面20d側の位置に配置させることができる。
上記実施形態で例示した技術は、眼内レンズ100が予め内部に充填されたプリセット型の眼内レンズ挿入器具にも適用できるし、眼内レンズ100が予め充填されずに出荷される眼内レンズ挿入器具にも適用できる。また、上記実施形態で例示した眼内レンズ100は、光学部110と前方支持部112Aと後方支持部112Bとが一体形成されたワンピース型の眼内レンズである。しかし、上記実施形態で例示した技術は、ワンピース型以外の眼内レンズ(例えば、3ピース眼内レンズ等)を眼内に挿入するための眼内レンズ挿入器具にも適用することができる。また、眼内レンズ100の根元部分116A,116Bは、接続部分114A,114Bを介さずに、光学部110の外周部分に直接接続されていてもよい。なお、インジェクター1は、挿入部20が交換可能なカートリッジタイプのものであってもよい。
また、先端20aから見たときの通路20bの外形は、円形状または略円形状に形成されていてもよい。
1 インジェクター
10 筒部本体(本体)
12 プランジャー
20 挿入部
20a 先端
20b 通路
20c 内壁面
20d 天井面
20e 底面
21,21a,21b 端部
22 載置部
24a 第1内壁面
24b 第2内壁面
30 挿入部本体
32 天板部
42 第1突起
44 第2突起
46 突出部
48,48a,48b 突出部
100 眼内レンズ
110 光学部
110a 外周部分
110b 第1面
110c 第2面
112A 前方支持部
112B 後方支持部
116A 根元部分
116B 根元部分
118A 先端部分
118B 先端部分
120 (前方支持部の)中央部
122 上端面
P 押圧力

Claims (4)

  1. 円盤形状の光学部と前記光学部の外周部分から外側に延びる支持部とを備える眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具であって、
    前記眼内レンズを折り畳むために先端に向かうに従って前記眼内レンズが通過する空間が狭くなる先細り形状部を含む通路と、
    前記先細り形状部に設けられる突出部であって、前記通路内に向かって突出し、前記通路内にて前記光学部よりも前記先端側に配置される前記支持部に接触して前記支持部を変形させることにより、前記支持部の先端部分の少なくとも一部を、前記光学部における光軸方向の端面であって前記通路を形成する面と接触する第1面の反対側に形成される第2面よりも、前記第1面が配置される側とは反対側の位置に配置させる突出部と、
    を有することを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  2. 請求項1の眼内レンズ挿入器具において、
    前記通路を形成する面であって、前記光学部の前記第1面に接触する第1軸方向面と、
    前記第1軸方向面に対向する第2軸方向面と、を有し、
    前記突出部は、前記先端側からみたときに、前記通路の中央部よりも前記支持部の根元部分が配置される側の位置にて、前記第2軸方向面から前記第1軸方向面側に突出していること、
    を特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  3. 請求項1の眼内レンズ挿入器具において、
    前記通路を形成する面であって、前記光学部の前記第1面に接触する第1軸方向面と、
    前記第1軸方向面に対向する第2軸方向面と、を有し、
    前記突出部は、前記先端側からみたときに、前記通路の中央部よりも前記支持部の先端部分が配置される側の位置にて、前記第1軸方向面から前記第2軸方向面側に突出していること、
    を特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つの眼内レンズ挿入器具において、
    前記突出部は、前記支持部が前記光学部側に折れ曲がるときに前記支持部と接触する位置に形成されること、
    を特徴とする眼内レンズ挿入器具。
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