JP6464588B2 - 眼内レンズ挿入器具 - Google Patents

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本発明は、眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具関する。
従来、白内障の手術方法の1つとして水晶体を摘出した後、水晶体の代わりとして眼内レンズを挿入する手法が一般的に用いられている。眼内レンズは患者眼の切開創から眼内に挿入される。切開創を小さくするために軟性の眼内レンズを用い、眼内レンズ挿入器具で眼内レンズを小さく折り曲げて眼内に挿入する手法が広く用いられている。軟性の眼内レンズとして、患者眼の視度を提供する光学部と、光学部を眼内で支える支持部を有する眼内レンズが広く用いられている。
軟性の眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具として、支持部を曲げ、眼内レンズの光学部の光学面の上方に支持部の一部を位置させた後、光学部を変形させて眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具が知られている(特許文献1)。また、支持部を曲げて、光学部の基端と押出部材の先端との間に挟み込み、光学部と押出部材との間に支持部を挟み込んだまま支持部を押出部材で押すことで眼内レンズ全体を押し出す眼内レンズ挿入器具が知られている(特許文献2)。
特開2004−351196 WO2011/048631
支持部を好適に曲げないと、眼内レンズの挿入に支障が出る場合がある。例えば、眼内レンズの押し出し中に支持部が破損する可能性がある。また、支持部を好適に曲げないと、眼内で支持部が意図せぬ方向に復元される可能性もある。支持部が意図せぬ方向に復元された場合、術者は鑷子等を用いて眼内で支持部を動かす必要がある。
本開示は、眼内レンズを好適に折り曲げることが可能な眼内レンズ挿入器具提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示に係る眼内レンズ挿入器具は、以下のような構成を備える。
(1) 先端にノズル部を有する筒状の本体部の内部に棒状の押出部材を押出軸に沿って進行させることで光を屈折させる光学面を有する光学部と前記光学部の周囲から外側に延びる一つまたは複数の支持部とを有する変形可能な眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具であって、前記ノズル部より基端側に設けられ、前記ノズル部に向けて先細りとなる内壁を有する先細り部と、前記先細り部より基端側に設けられ、前記押出部材によって押し出される前の前記光学部が設置される光学部設置部と、前記先細り部と前記光学部設置部との間に設けられ、前記光学部設置部から前記先細り部にかけて、前記光学部の幅以上の幅の通路が形成される通路部とを備え、前記光学部設置部において前記光学部の一方の光学面が当接される通路壁を第一底面とし、該第一底面と前記先細り部の底面とを接続する前記通路部の通路壁を第二底面とし、前記第二底面は、前記押出軸の方向から見た場合に前記押出軸から遠ざかる方向に向けて凹状に歪曲する歪曲部が形成され、基端側から先端側に向けて前記歪曲部の歪曲量が増加する形状である、ことを特徴とする。
本開示に係る技術によれば、眼内レンズを容易に射出できる。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具を斜め上方からみた斜視図である。 図1の眼内レンズ挿入器具を斜め下方からみた斜視図である。 図1の眼内レンズ挿入器具の左側面図であり、(a)セット部を押し込んだ後の状態、(b)セット部を押し込む前の状態、の図である。 図1の眼内レンズ挿入器具の部分図面であり、天板部を主とした平面図である。 図1の眼内レンズ挿入器具の部分図面であり、挿入部及び設置部を主としてセット部及び保持部を透視させた状態の底面図である。 図1の眼内レンズ挿入器具の天板部の図であり、(a)斜め下方からみた斜視図であり、(b)底面図である。 図1の眼内レンズ挿入器具の部分図面であり、設置部を主として天板部を透視させた状態の平面図である。 図1におけるXI−XI断面の部分断面図であり、(a)セット部を押し込んだ後の状態、(b)セット部を押し込む前の状態、の図である。 図1の眼内レンズ挿入器具のプランジャーを斜め上方からみた斜視図である。 図9のプランジャーの先端部を主とした部分図であり、(a)正面図であり、(b)平面図であり、(c)左側面図であり、(d)右側面図であり、(e)底面図である。 本実施形態で使用する眼内レンズの図であり、(a)平面図であり、(b)左側面図である。 眼内レンズの押し出し時の変形状態を説明するための概略説明図である。 後方支持部の変形を説明するための概略説明図である。 軸外移動部による後方支持部の変形を説明するための概略説明図である。 応力発生部による軸外移動部の変形を説明するための概略説明図である。 注入口を説明するための概略説明図である。 移動ガイド部を説明するための概略説明図である。 変形抑制部を説明するための概略説明図である。 当接部を説明するための概略説明図である。 変形ガイド部を説明するための概略説明図である。 図8における、(a)XII−XIIに相当する、(b)XIII−XIII断面に相当する、(c)XIV−XIV断面に相当する、(d)XV−XV断面に相当する、(e)XVI−XVI断面に相当する、(f)XVII−XVII断面に相当する、断面図である。 前方支持部の変形を説明するための概略説明図である。
以下図面を参照して、本開示における典型的な実施形態の一つについて説明する。なお、以降の説明では、本体部100のノズル部182の方向(図1の紙面左下側)を先端方向(前方)、プランジャー300の押圧部370の方向(図1の紙面右上側)を基端方向(後方)として説明している。また、図1における紙面上側、下側、右斜め下側、左斜め上側を、それぞれ、眼内レンズ挿入器具10の上方、下方、右方、下方として説明している。
<1−1.全体構成>
図1〜3を用いて本実施形態の眼内レンズ挿入器具10の全体構成について説明する。本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、変形可能な眼内レンズ1を眼内に送り出すために使用される。眼内レンズ挿入器具10は、本体部100とプランジャー300とを備える。本体部100は筒状であり、眼内レンズ1(図11等参照)を小さく折り曲げる変形手段を備える。プランジャー300は棒状であり、押出軸Aに沿って眼内レンズ1を患者眼の眼内へと押し出す押出手段として用いられる。
プランジャー300は本体部100に取り付けられ、プランジャー300は本体部100に対して前後方向に進退移動が可能とされている。プランジャー300を、本体部100の内部に充填された眼内レンズ1に当接させながら先端側に押し出すことで、眼内レンズ1を患者眼の眼内へと排出する。
なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、眼内レンズ1を眼内に挿入する際の挿入状態と、眼内レンズ挿入器具10を搬送及び保管する際の保管状態とに切り換えられる。挿入状態はセット部170(詳細は後述する)が本体部100に近づいた状態(図3(a)参照)であり、保管状態はセット部170が本体部100から遠ざかる状態(図3(b)参照)である。
本実施形態の本体部100及びプランジャー300は樹脂材料で形成されている。眼内レンズ挿入器具10は、モールド成型、樹脂の削り出しによる切削加工などで形成されてもよい。眼内レンズ挿入器具10が樹脂材料で形成されることで、眼内レンズ挿入器具10を使用後、眼内レンズ挿入器具10を容易に廃棄することができる。また、眼内レンズ挿入器具10を樹脂材料で形成することで、眼内レンズ挿入器具10の製造費用を低減でき、眼内レンズ挿入器具10を使用者へ安価に提供することができる。
本実施形態では、粘着性のある軟性の眼内レンズ1を押し出すために、筒状の本体部100の内壁に潤滑コーティング処理が行われている。また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、無色透明又は無色半透明で形成されている。したがって、使用者は、眼内レンズ挿入器具10の内部に充填された眼内レンズ1の変形状態を、眼内レンズ挿入器具10の外から容易に視認することができる。
<1−2.本体部>
本体部100は、本体筒部110と、設置部130と、挿入部180とを備える。本体部100の基端には本体筒部110が位置されている。本体筒部110は先端方向(前後方向)に伸びる筒状形状で形成されている。本体筒部110の先端には、眼内レンズ1が充填される設置部130が接続されている。設置部130の先端には、眼内レンズ1を小さく変形するために先細りの外形形状及び内部空間が形成された挿入部180が接続されている。本体部100の内部には、本体筒部110の基端から挿入部180の先端にかけて貫通する貫通孔が形成されている。
なお、本実施形態の本体部100は、複数の部材を結合して製造している。より詳しくは、本体筒部110と左右壁部140と保持部160と挿入部180とが一体成型された部材に、別部材となるセット部170及び天板部150の各々を結合させる。各部材の説明は後述する。
<1−2−1.本体筒部>
本体筒部110は、張り出し部111と、前方係合部112と、後方係合部113と、前方傾斜部114とを備える。本体筒部110は横断面形状が略矩形形状で形成されている。本体筒部110の基端よりやや先端側の外壁に、使用者が指で把持するための張り出し部111が接続される。張り出し部111は板状の部材であり、押出軸Aと略直交する方向に本体筒部110の外壁から飛び出している。張り出し部111で張り出す面積は、上下方向よりも左右方向の方が大きくされている。
本体筒部110は底面側の外壁に前方係合部112と後方係合部113とを備える。本体筒部110の基端と張り出し部111の間に後方係合部113が形成されている。後方係合部113は、プランジャー300の前方羽根部351(図9を参照して後述する)と係合するための孔である。前方係合部112は本体筒部110の先端と張り出し部111との間に形成されている。前方係合部112には、後方係合部113の孔と同じ開口面積の穴が形成されている。
本体筒部110の下方外壁の先端には前方傾斜部114が形成されている。前方傾斜部114は、本体筒部110を形成する壁部を、前方に傾斜させて形成されている。本体筒部110を先端及び基端の方向からみると、本体筒部110の基端よりも先端の方が、中空面積が前方傾斜部114によって小さくなっている。前方傾斜部114はプランジャー300の進行を規制する進行規制手段として働く。前方傾斜部114と、プランジャー300の前後方向略中心に設けられた傾斜面353(図9参照)とが当接することで、プランジャー300の進行が止まる。
<1−2−2.設置部>
設置部130は、左右壁部140と、天板部150と、保持部160と、セット部170とを備える。
<左右壁部>
本体筒部110の先端に左右壁部140が接続される。左右壁部140は右壁と左壁とを有し、右壁は本体筒部110の先端の右端から先端方向に伸び、左壁は本体筒部110の先端の左端から先端方向に伸びる。右壁と左壁とは互いに平行し、押出軸Aを含む水平平面と直交している。右壁と左壁の距離は眼内レンズ1の最大外形よりも短く、眼内レンズ1の光学部2の直径よりも若干長く形成されている。
<天板部>
天板部150は略平板形状の部材である。天板部150は、本体筒部110の先端上端と、左右壁部140の上端と、挿入部180(詳しくは後述する)の基端上端とに接続される。本体筒部110と左右壁部140と挿入部180とで形成される押出軸Aの上方開口は天板部150で塞がれる。したがって、天板部150の押出軸Aの方向を向く面(光学部2の光学面と面する側の面)は、筒状の本体部100を形成する内壁面(内側の面)となり、他面は本体部100の外壁面(外側の面)となる。詳細には、天板部150の内壁面は、光学部設置部131(図7参照)から先細り部181(図7参照)へ眼内レンズ1を通過させる通路部132(図7参照)の内壁面となる。
<天板部・外壁面>
図4を用いて、天板部150の外壁面側を説明する。図4は天板部150を上方からみた概略説明図である。また、図4の点線は眼内レンズ1の輪郭線であり、眼内レンズ挿入器具10の挿入状態として、プランジャー300での押し出しが可能となった状態での眼内レンズ1の位置を示している。天板部150の外壁面には注入部151と移動規制孔152とが形成されている。
注入部151は針誘導部153と注入口154とを備える。本実施形態では、天板部150の外壁の一部を外方(上方)に突出させて、リブ状の針誘導部153を形成している。針誘導部153は押出軸Aの先端方向に屈曲頂点が位置される逆V字形状で形成されている。なお、針誘導部153の外方への突出は、先端に向かうほど高さが増すように形成されている。逆V字形状の内側であり、かつ頂点部に注入口154が形成されている。天板部150の外側面と内側面とを貫通させることで注入口154が形成されている。注入口154の開口面積は、設置部130に粘弾性物質等の潤滑剤を注入するための注入針が通過できる開口面積となっている。なお、針誘導部153を設ける場合、針誘導部153の形状は適宜変更してもよい。例えば、V字形状でなく環状に針誘導部153を形成してもよい。また、リブの代わりに、天板部150の外壁の一部を陥没させることで針誘導部153を形成してもよい。この場合、陥没によって形成される段差部が針誘導部153となる。
天板部150は更に、一対の移動規制孔152を備えている。天板部150の前後方向の略半分の位置,かつ天板部150の右端及び左端となる位置に一対の移動規制孔152が設けられている。眼内レンズ挿入器具10をケース(図示せず)に収容すると、ケースに設けられている移動規制突起が天板部150の移動規制孔152を貫通する。したがって、ケースに設けられている移動規制突起と天板部150の移動規制孔152とが勘合することで、ケースに収容された眼内レンズ挿入器具10の移動が規制される。
本実施形態では、針誘導部153を形成する逆V字形状の突出部の両側方の各々に、一対の移動規制孔152が形成されている。したがって、移動規制孔152と注入口154との間に、針誘導部153となる逆V字形状の突出部が形成される。換言すると、針誘導部153は、それぞれの移動規制孔152と注入口154とを結ぶ直線に対して交差するように(移動規制孔152と注入口154との間を遮るように)形成されている。したがって、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、注入針の移動規制孔152への誤挿入を、針誘導部153によって抑制することができる。
なお、本実施形態では、挿入時の眼内レンズ挿入器具10を上方からみると、前方支持部3Aの外側(つまり、前方支持部3Aに対して光学部2側とは反対側)に注入口154が形成されている。より詳しくは、光学部2の中心と前方支持部3Aの基端を通る直線を第一直線とし、光学部2の中心を通り押出軸Aと平行する直線を第二直線とすると、前方支持部3Aの外側であって、第一直線と第二直線とで囲まれる領域内に注入口154が形成されている。また、先細り形状の内壁が形成されている先細り部181(詳しくは後述する)よりも基端側に注入口154が形成されている。詳細には、設置部130に設置された眼内レンズ1を挿入部180(図1〜図3等参照)へ通過させるための通路部132(図7参照)の領域に注入口154が設けられている。したがって、注入口154から注入された粘弾性物質は、設置部130に設置された眼内レンズ1と、眼内レンズ1が進行する領域とに同時に充填される。
<天板部・内壁面>
図5,図6を用いて天板部150の内壁面を説明する。なお、図5は説明用として、眼内レンズ挿入器具10から保持部160及びセット部170を取り外し、天板部150を下方からみた状態の説明図である。図6は、説明用に取り外した天板部150の部品図であり、図6(a)は左斜め後方からの斜視図、図6(b)は底面図である。図6の紙面手前側が挿入開始時の下方となる。また、図5及び図6(b)の点線は眼内レンズ1の輪郭線であり、眼内レンズ挿入器具10の挿入状態として、プランジャー300での押出が可能となった状態での眼内レンズ1の位置を示している。
天板部150の内壁面は、変形ガイド部146と、側方変形抑制部149と、応力発生部156と、当接部157と、軸出し溝158と、上方変形抑制部159と、上方陥没部145とを備えている。なお、変形ガイド部146は平行ガイド面146Aと傾斜ガイド面146Bとを備える。
本実施形態では、天板部150の内壁面に形成される凹凸形状は、左右方向が非対称となる凹凸形状である。天板部150の内壁面の左端及び右端には、下方に突出する板形状の左右板148が接続されている。右側の左右板148と左側の左右板148との距離は、眼内レンズ1の最大径よりも狭く、光学部2の直径よりも若干広い幅で形成されている。
天板部150の内壁面の基端側には上方陥没部145が設けられている。セット部170(図8等参照)が押し込まれた状態において、セット部170の第一接触部175A及び第一接触部175B(図7参照)の上方に空間が設けられるように上方陥没部145が形成されている。内壁面を上方に陥没させて上方陥没部145が形成されている。詳細は後述するが、本実施形態では、セット部170が押し込まれて眼内レンズ1が変形され、眼内レンズ1が位置決めされると、眼内レンズ1の後方支持部3Bが上方陥没部145に位置する。
天板部150の内壁面の左端部(図6(a)における右下側端部、及び図6(b)の上側端部)には、側方変形抑制部149が形成されている。図6(b)に示すように、セット部170が押し込まれた際に、眼内レンズ1の後方支持部3Bの根元部4の外側面と面する位置に側方変形抑制部149が形成されている。側方変形抑制部149には右方を向く面が形成されている。本実施形態の側方変形抑制部149は、後方支持部3B(詳細には根元部4)が左方に変形することを抑制する。なお、側方変形抑制部149の右方を向く面は若干下側を向くテーパー形状とされており、眼内レンズ1を押出軸Aの方向へ移動する際に、側方変形抑制部149と眼内レンズ1の端部とが干渉して眼内レンズ1が大きく変形し難いように形成されている。
進行中のプランジャー300の押出部材310及び押出棒330(図9参照)の軸ずれを抑制するために、天板部150の内壁面に軸出し溝158が設けられている。内壁面を上方に湾曲させて軸出し溝158が形成されている。プランジャー300の押出棒330の横断面形状に対応した湾曲形状で軸出し溝158が形成されている。軸出し溝158は押出軸Aと略平行であって、内壁面の中央部を前後方向に伸びるように形成されている。
なお、軸出し溝158は、上方陥没部145の先端側と上方陥没部145の後端側とに分離して形成されている。上方陥没部145の陥没領域内に上方変形抑制部159が形成されている。セット部170が押し込まれた際に、眼内レンズ1の後方支持部3Bの根元部4が位置する箇所の上方に上方変形抑制部159が位置されている。天板部150を基端方向からみて、軸出し溝158の左方(図6(b)における上方)に上方変形抑制部159が形成されている。応力発生部156は、後述する軸外移動部177(図7参照)と干渉する位置に設けられている。軸外移動部177が上方に移動すると、軸外移動部177は応力発生部156に接触して変形し、後方支持部3Bを前方へ押し出す。この詳細は後述する。また、当接部157の詳細な説明も後述する。
上方変形抑制部159は上方陥没部145の陥没面から下方に突出して形成されている。下方に突出する上方変形抑制部159の下端には、眼内レンズ1と当接される略平坦面が形成されている。略平坦面を下方からみると、上方変形抑制部159の略平坦面は、先端方向(前後方向)に長手方向が向く略矩形形状で形成されている。本実施形態の上方変形抑制部159は、後方支持部3Bの上方への変形量が予定の量よりも大きくなることを抑制する。
変形ガイド部146は、平行ガイド面146Aと傾斜ガイド面146Bとを備える。変形ガイド部146は、本体部100の内壁を陥没又は突出させることで形成されてもよい。本実施形態では、天板部150の壁面の一部を下方に突出させることで変形ガイド部146が形成されている。従って、簡易な構成で変形ガイド部146が形成される。平行ガイド面146Aは、湾曲形状の軸出し溝158の右端及び左端の各々に設けられている。軸出し溝158の左右端に設けられている2つの平行ガイド面146Aの各々は、下方に凸形状となる湾曲形状で形成されており、押出軸Aと平行な方向(前後方向)に伸びている。
右側の平行ガイド面146Aの基端に傾斜ガイド面146Bの先端が接続されている。傾斜ガイド面146Bは、天板部150の内壁面を上方に陥没させることで形成されている。傾斜ガイド面146Bは、基端方向を向くガイド斜面を備える。ガイド斜面は、先端側に近づくほど押出軸Aに近づく滑らかな斜面である。基端方向に向かうほど陥没量が増加するように傾斜ガイド面146Bが形成されている。傾斜ガイド面146Bの基端の陥没量は、上方陥没部145の陥没量と略同量とされている。したがって、傾斜ガイド面146Bを形成する陥没底面の基端は、上方陥没部145の陥没底面の先端と滑らかに接続されている。
傾斜ガイド面146Bのガイド斜面は、先端に向かうほど斜面の上下方向の幅が狭くなるように形成されている。天板部150の内壁面の左右端には、外壁面から貫通する移動規制孔152が形成されており、移動規制孔152よりやや先端側に傾斜ガイド面146Bの基端が位置されている。したがって、押出時の眼内レンズ挿入器具10を上方からみると、光学部2の左右方向端部の略上方に傾斜ガイド面146Bの基端が位置されている。また、押出時の眼内レンズ挿入器具10を上方からみると、先端側の軸出し溝158の基端は光学部2の中心の上方に位置されている。変形ガイド部146(本実施形態では平行ガイド面146A及び傾斜ガイド面146Bを含む)は、前方支持部3Aのタッキングを行う際に、前方支持部3Aの変形移動をガイドし、前方支持部3Aを所定の形状に曲げることができる。なお、タッキングとは、支持部3A,3Bの少なくともいずれかを光学部2の光学面と面する位置に変形移動させることで、支持部3A,3Bと光学部2とが重ね合わせられた状態にすることを言う。
<当接部>
天板部150の左右端に設けられる左右板148の各々の基端には、当接部157が形成されている。当接部157は、右側に設けられる当接部157Aと、当接部157Aと対向して左側に設けられる当接部157Bとを備える。左側に設けられる当接部157Bは、押出軸Aよりも、後方支持部3Bの根元部4が位置する側に配置されている。2つの当接部157A,157Bは、曲げられた支持部3による復元力の影響で眼内レンズ1に変形不良が生じることを抑制する。当接部157Aと当接部157Bとは、軸出し溝158に対して略対称な形状で形成されている。本実施形態では、当接部157Aと当接部157Bとは略同形状であるが、当接部157Aよりも当接部157Bの方が若干大きく形成されている。したがって、2つの当接部157A,157Bの各々が眼内レンズ1に与える応力は異なる。つまり、後方支持部3Bの根元部4が位置する左側から当接部157Bによって眼内レンズ1に与えられる応力は、反対側から当接部157Aによって眼内レンズ1に与えられる応力よりも大きい。よって、曲げられた(タッキングされた)後方支持部3Bの復元力の影響で、眼内レンズ1が図6(b)における反時計回りに回転することが、当接部157によって抑制される。なお、2つの当接部157A,157Bの形状は異なっていてもよい。
当接部157は、先端方向を向く脱出斜面143と、基端方向を向く斜面144とを備えている。斜面144は、先端に向かうほど押出軸Aとの距離が近づくように傾斜している。つまり、右側の当接部157Aの斜面144と、左側の当接部157Bの斜面144との間の左右方向(押出軸に対して水平に直交する方向)の距離は、先端側に近づくほど徐々に短くなる。左右板148の軸出し溝158を向く面の基端に脱出斜面143の先端が接続される。脱出斜面143の基端に斜面144の先端が接続される。斜面144の基端は左右板148の基端部となる。なお、脱出斜面143の基端と斜面144の先端との接続部は曲面で形成されている。2つの当接部157A,157Bは、押出軸Aに直交する同一の平面上において、押出軸Aの右側と左側の各々に配置されている。つまり、2つの当接部157A,157Bは、押出軸Aの軸方向において同一の位置に形成されている。
図6(b)に示すように、挿入時の眼内レンズ挿入器具10を下方からみると、押出軸Aから当接部157Aの斜面144の先端までの距離よりも、押出軸Aから当接部157Bの斜面144の先端までの距離の方が短く形成されている。したがって、左側から当接部157Bによって眼内レンズ1に与えられる応力は、反対側から当接部157Aによって眼内レンズ1に与えられる応力よりも大きい。なお、本実施形態では、2つの当接部157A,157Bの大きさと、押出軸Aからの距離とが共に異なる。しかし、2つの当接部157A,157Bの形状、大きさ、押出軸Aからの距離、材質、斜面144の表面の状態(例えば、斜面144の表面の粒度、凹凸の状態、斜面144の表面に付着させる物質等)等のうちの少なくともいずれかを変えれば、2つの当接部157A,157Bの各々が眼内レンズ1に与える応力に差をつけることは可能である。なお、2つの当接部157A,157Bの形状には、押出軸Aに対する斜面144の角度等も含まれる。
また、右側の斜面144の先端と左側の斜面144の先端とを結ぶ直線の距離は、眼内レンズ1の光学部2の直径よりも若干狭い幅で形成されている。一方、右側の斜面144の基端と左側の斜面144の基端とを結ぶ直線の距離は、眼内レンズ1の光学部2の直径よりも若干広い幅で形成されている。なお、押出軸Aと直交する平面に対して、脱出斜面143の交差角度よりも斜面144の交差角度の方が大きく形成されている。また、斜面144は外方に若干湾曲して形成されている。
<保持部>
保持部160を説明する。保持部160は、眼内レンズ挿入器具10が保管状態となっている間に眼内レンズ1を保持する。図3に示すように、左右壁部140の下端に保持部160が接続されている。図8に示すように、保持部160は眼内レンズ保管部163と保持突出部166とを備える。眼内レンズ保管部163及び保持突出部166は、略板状の基盤に形成されている。なお、この基盤には、後述するセット部170の第一接触部175A,175B、第二接触部176A,176B(図7参照)を上下方向に移動可能に貫通させる貫通孔が形成されている。
眼内レンズ保管部163は、保管状態において眼内レンズ1の光学部2の底面に接触し、眼内レンズ1を保持する。詳細には、本実施形態の眼内レンズ保管部163は、光学部2を押出軸Aから離間した位置で保持する。なお、保持突出部166は眼内レンズ挿入器具10の製造時に折り曲げられ、折り曲げられた保持突出部の先端部は眼内レンズ1の光学面2Aの上方に位置し、眼内レンズ1の上方への移動を規制する。
<セット部>
セット部170は、保持部160に保持された眼内レンズ1を、押出部材310によって押し出されることが可能な待機位置に移動させて、眼内レンズ1を待機位置で位置決めする。図7に示すように、眼内レンズ1が待機位置で位置決めされた状態において、眼内レンズ1の光学部2は、設置部130(図1〜図3参照)内の光学部設置部131に設置される。押出部材310が先端側に押し出されると、眼内レンズ1は、通路部132を通過して先細り部181へ移動し、挿入部180のベベル部183(図12参照)から眼内に排出される。通路部132の左右方向(押出軸Aに対して垂直且つ光学部2の光学面と平行な方向)の幅は、光学部2の左右方向の幅以上の幅に形成されている。先細り部181は、先端側に向けて先細りとなる内壁を有する。つまり、押出軸Aに垂直な方向における先細り部181の断面積は、先端側に近づくほど小さくなる。光学部2は、先細り部181によって完全に折り曲げられた状態でベベル部183から排出される。
セット部170は、ベース部171(図8参照)と、回動支基部172(図8参照)と、右側突起部173A(図7及び図8参照)と、左側突起部173B(図7参照)と、歪曲部174(図7、図8、及び図21参照)と、支点部167(図8参照)とを備える。ベース部171は板状の部材であり、保持部160と面する内壁面と、外方(下方)を向く外壁面とを有する。セット部170の内壁面の基端よりやや先端側に回動支基部172が形成されている。回動支基部172は、ベース部171から上方に突出した形状で形成されている。ベース部171の回動支基部172の先端側に、右側突起部173Aと左側突起部173Bとが形成されている。右側突起部173Aと左側突起部173Bとは、ベース部171から上方に突出した形状で形成されている。
図7に示すように、右側突起部173Aは、ベース部171の中心を通る前後方向中心線よりも右側に形成されている。右側突起部173Aは、上端部に第一接触部175Aと第二接触部176Aとを備える。第二接触部176Aは、第一接触部175Aより先端側に形成されている。左側突起部173Bは、ベース部171の中心を通る前後方向中心線よりも左側に形成されている。左側突起部173Bは、上端部に軸外移動部177と第一接触部175Bと第二接触部176Bとを備える。軸外移動部177より先端側に第一接触部175Bが位置され、第一接触部175Bより先端側に第二接触部176Bが位置されている。詳細は後述するが、第一接触部175A,175Bは、ベース部171と共に上方に可動することで、後方支持部3Bを待機位置に位置決めする。第二接触部176A,176Bは、ベース部171と共に上方に可動することで、保持部160で保持されていた光学部2を待機位置まで移動させて位置決めする。図8(a)に示すように、第一接触部175A,175B(図8では175Aのみを図示)のうち後方支持部3Bに接触する部分(上端部分の一部)の高さと、第二接触部176A,176B(図8では176Aのみを図示)のうち光学部2に接触する部分(上端部分の一部)の高さとが異なる。つまり、光学部2の厚み方向中心を通り、且つ光学部2の光軸に垂直な平面を眼内レンズ1の中心平面P(図13(a)参照)とすると、第一接触部175A,175Bのうち後方支持部3Bに接触する部位と、第二接触部176A,176Bのうち光学部2に接触する部位とが、中心平面Pに交差する方向にずれている。したがって、セット部170によって眼内レンズ1が待機位置に位置決めされると、後方支持部3Bは、眼内レンズ1の中心平面Pからずれた位置に保持される。第二接触部176A,176Bは、光学部2を押出軸A上に移動させる。つまり、第二接触部176A,176Bの上面は、待機位置において光学部2が載置される載置面となる。軸外移動部177は、セット部170の上方への可動に伴って変形し、押出軸Aとは異なる方向から後方支持部3Bを押圧することで、後方支持部3Bを変形移動させる。
歪曲部174は、通路部132のうち、光学部2の一方の光学面(本実施形態では下方を向く光学面)に対向する通路壁(つまり、通路部132における下部の内側の通路壁)に形成されている。詳細は図21を参照して後述するが、歪曲部174は、押出軸Aの方向から見た場合に、押出軸Aから遠ざかる方向(本実施形態では下方)に向けて凹状に歪曲している。さらに、本実施形態の歪曲部174は、先端側に近づくほど歪曲量(曲率)が大きくなる。つまり、歪曲部174における凹状の歪曲面の曲率半径は、先端側に近づくほど小さくなる。光学部2は、歪曲部174の歪曲面に摺動することで、粘弾性物質の表面張力の作用によって徐々に曲がる。したがって、光学部2が先細り部181で急激に曲がることが抑制されるので、眼内レンズ1の変形不良の可能性が低下する。
支点部167は、図8に示すように、ベース部171の先端側端部からさらに先端側に突き出た突起状の部材である。支点部167は、設置部130(図1〜図3参照)の先端部近傍に設けられた溝又は穴に、適度な隙間が生じた状態で嵌まる。ベース部171は、支点部167を左右方向に横切る回転軸を中心として、本体部100に対して回動することができる。
<1−2−3.挿入部>
図12に示すように、挿入部180は、先細り部181とノズル部182とを備える。設置部130の先端には挿入部180の後端が接続される。前述したように、先細り部181は、先端に向かうほど先細りとなる形状で形成されている。また、先細り部181は、横断面形状が略楕円形状で形成されている。先細りの形状によって、押出軸Aと内壁との距離は先端に向かうほど短くなる。先細り部181の先端にはノズル部182が接続される。
ノズル部182の横断面形状は略円形状である。ノズル部182の先端側にはベベル部183が形成されている。ベベル部183は、押出軸Aと直交する平面に対して左側に傾斜した開口を形成している。また、ノズル部182の開口は、プランジャー300の押出部材310及び押出棒330が通過できる開口径で形成されている。なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10のベベル部183は、ベベル部183を形成する開口端面の基端を、押出軸Aの基端方向に切り込ませた形状で形成している。ベベル部183の基端側形状を基端方向に切り込ませることで、ノズル部182を患者眼の切開創へ挿入する際に、ノズル部182の横断面の外径を小さく変形させることができる。したがって、患者眼の切開創にノズル部182を挿入し易くできる。
<1−3.プランジャー>
図9,図10を用いて本実施形態のプランジャー300を説明する。本実施形態のプランジャー300は、押出部材310と、押出棒330と、軸基部350と、押圧部370とを備える。なお、本実施形態のプランジャー300は、眼内レンズ1の支持部3を光学部2に近づく方向へ移動させる(つまり、タッキングを行う)移動部301としても働く。
プランジャー300の基端には押圧部370が形成されている。押圧部370は、押出軸Aと直交する方向に伸びる板状の部材である。押圧部370を押出軸Aの基端側からみると、押圧部370は下端部が下方へ突出した凸形状で形成されている。なお、押圧部370には、使用者がプランジャー300を押し出す際に、使用者の指が当接される。
押圧部370の先端側には、押出軸Aの先端方向(前後方向)に伸びる棒状の軸基部350が接続されている。軸基部350は、略全体が略H形状の横断面形状で形成されている。軸基部350は前方羽根部351と後方羽根部352とを備える。前方羽根部351及び後方羽根部352は共に羽根状の形状で形成されており、かつ、共に軸基部350の底面側に形成されている。また、前方羽根部351は軸基部350の先端側に設けられ、後方羽根部352は軸基部350の基端側に設けられている。
本体部100の前方係合部112又は後方係合部113(図2参照)と、前方羽根部351とが係合することで、本体部100にプランジャー300が係止される。さらに、プランジャー300の位置決めが行われると共に、プランジャー300の逆行が防止される。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10では、後方係合部113と前方羽根部351とが係合したプランジャー300の位置が、眼内レンズ1の前方への押し出しを開始する初期位置となる。同様に、前方係合部112と前方羽根部351とが係合したプランジャー300の位置が、眼内レンズ1の患者眼への挿入を開始する待機位置となる。
初期位置では、プランジャー300の先端は、設置部130の基端よりやや先端側に位置されている。待機位置では、プランジャー300の先端は、挿入部180の長さの略中間地点に位置されている。なお、初期位置では、設置部130に充填された眼内レンズ1にプランジャー300は接触していない。
なお、横断面が略矩形形状の本体部100に、横断面が略H形状の軸基部350が挿入される。その結果、本体部100に対するプランジャー300の押出軸Aの周方向の回転が抑制される。
軸基部350の先端には押出棒330が接続されている。押出棒330は、押出軸Aの軸方向に伸びる棒状の部材であり、略全体の横断面形状が略円形状で形成されている。なお、軸基部350の長さは、設置部130の基端から挿入部180の先端までの長さと略同じ長さで形成されている。また、押出棒330は、本体部100の先端のノズル部182の開口を通過できる太さで形成されている。
押出棒330の先端に押出部材310が接続されている。図10に示すように、押出部材310は、軸棒311と先端部312とを備える。軸棒311は押出部材310の基端側に位置され、先端部312は押出部材310の先端側に位置される。軸棒311及び先端部312は、本体部100の先端のノズル部182の開口を通過できる太さで形成されている。つまり、押出軸Aに垂直な方向における押出部材310の断面積は、ノズル部182を通過できる断面積で形成されている。
先端部312は、直線移動部313と、光学部接触部314と、突起部315と、下端突起316と、先端傾斜面317と、右側陥没部318と、左側陥没部319とを備える。先端部312の先端の上方側に直線移動部313が形成され、先端部312の先端の下方側に光学部接触部314が形成されている。
図10(a)に示すように、押出軸Aの先端側からみた先端部312の正面に、光学部接触部314の領域と直線移動部313の領域とが含まれている。したがって、使用者は、プランジャー300を押し出すだけで、後方支持部3Bのタッキングと光学部2の押し出しとを共に行うことができる。また、押出軸Aの先端側からみて、直線移動部313の左右方向の幅よりも、光学部接触部314の左右方向の幅の方が大きく形成されている。直線移動部313は、先端方向に突出した突出形状であり、先端方向に凸となる湾曲形状で形成されている。したがって、後方支持部3Bが傷つきにくい。
押出軸Aの先端側からみて、設置部130に設置される眼内レンズ1の後方支持部3Bの基端が位置される側に偏らせて直線移動部313が形成されている。つまり、本実施形態の直線移動部313の先端側端部は、押出軸Aよりも後方支持部3Bの基端側(左側)に偏って配置されている。したがって、直線移動部313は、後方支持部3Bの基端側に近い位置を押すことができる。よって、先端側に近い位置を押す場合に比べて、後方支持部3Bの変形移動が安定し、且つ、移動量も容易に確保できる。なお、押出軸Aの軸方向において、直線移動部313の先端側端部は、光学部接触部314の先端側端部と同一の位置、若しくは光学部接触部314の先端側端部よりも先端側に位置してもよい。この場合、後方支持部3Bを先端側に遠くまで伸ばすことができるので、良好なタッキングを行いやすい。なお、本実施形態では、光学部接触部314の先端側端部よりも先端側に、直線移動部313の先端側端部が形成されている。したがって、より精度良くタッキングが行われる。
押出軸Aの側方からみた直線移動部313の稜線の長さは、当接する支持部3の厚さよりも長く形成されている。つまり、上下方向(光学部2の光軸に平行な方向)における直線移動部313の先端傾斜面317の距離は、支持部3の上下方向の厚さよりも長い。また、押出軸Aの側方からみた光学部接触部314の稜線の長さは、当接する光学部側面2Cの厚さよりも長く形成されている。
直線移動部313のうち、光学部接触部314側を向く面321(つまり、直線移動部313の底面)は、押出軸Aの先端方向(前方)を向くように傾斜している。直線移動部313の底面が傾斜していることで、直線移動部313の底面に当接した光学部2は光学部接触部314の方向へ誘導される。また、直線移動部313の左右各々の端部は、先端傾斜面317と左側陥没部319とに滑らかに接続されている。
光学部接触部314の先端面は、押出軸Aと略直交する平面で形成されている。光学部接触部314の左右各々の端部は、曲面で形成されており、右側陥没部318と左側陥没部319とに滑らかに接続されている。したがって、光学部2が傷つきにくい。
直線移動部313の上端には突起部315が接続されている。突起部315の形状は、押出軸Aの先端方向(前方)に伸びる突起形状である。突起部315は、直線移動部313に当接した後方支持部3Bの上方への移動を抑制する。光学部接触部314の下端には下端突起316が形成されている。下端突起316の形状は、押出軸Aの先端方向に伸びる突起形状である。下端突起316は、光学部接触部314に当接した光学部2の下方への移動を抑制する。
直線移動部313の先端部における先端傾斜面317は、押出軸Aに直行する平面に対して、押出軸Aから離れる方向に傾斜している。つまり、本実施形態の先端傾斜面317は、光学部2の光軸と押出軸Aとに共に直交する左右方向のいずれかを向くように傾斜している。より詳細には、先端傾斜面317は、直線移動部313の先端側端部から、後方支持部3Bの根元部4が位置する方向とは反対の方向(本実施形態では右側)に伸びている。また、先端傾斜面317の先端は、直線移動部313の右端に接続され、先端傾斜面317の基端は右側陥没部318の先端に接続される。先端傾斜面317は、直線移動部313の剛性を増加させる。
先端部312の先端の右側面には、先端傾斜面317の右端から基端方向に陥没させた右側陥没部318が形成されている。また、先端部312の先端の左側面には、直線移動部313及び光学部接触部314の左端から基端方向に陥没させた左側陥没部319が形成されている。
なお、眼内レンズ1の挿入時、左側陥没部319の側壁と本体部100の内壁との間に後方支持部3Bの根元部4を挟み込む。後方支持部3Bの根元部4が左側陥没部319で係止された状態で、折り曲げられた眼内レンズ1をノズル部182から排出する。後方支持部3Bの根元部4を係止した状態で、折り曲げられた眼内レンズ1を排出してゆくため、眼内レンズ1が患者眼の眼内で復元する際の挙動が安定する。
<1−4.眼内レンズ>
図11に示すように、本実施形態の眼内レンズ1は光学部2と支持部3とを備える。また、光学部2と支持部3とは一体成形されている。眼内レンズ1の材料には、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリエート)等の単体や、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの複合材料等の従来、折り曲げ可能な軟性の眼内レンズに用いられている材料を使用してもよい。
光学部2は患者眼に所定の屈折力を与える。光学部2を眼内で支持するために支持部3が形成されている。本実施形態の眼内レンズ1は、一対の支持部3を備える。なお、本実施形態では、眼内レンズ1を設置部130に設置した際に、光学部2からノズル部182の方向に向けられる支持部3を前方支持部3Aと称し、プランジャー300の方向に向けられる支持部3を後方支持部3Bと称する。
一対の支持部3は、光学部2の周辺部から外側に伸びる。支持部3は、周方向に湾曲したループ形状とされており、支持部3の先端は自由端とされている。各々の支持部3(3A,3B)の基端は、光学部2の周辺部から外側に伸びる。また、一対の支持部3は、光学部2の中心に対して対照形状であり、同じ周方向に伸びている。
本実施形態の眼内レンズ1の光学部2は、光学面2Aと光学面2Bと光学部側面2Cとを備える。図11に例示した眼内レンズ1では、光学面2Aと光学面2Bとは異なる屈折力を有している。光学面2Aは眼内で角膜側に向けられ、光学面2Bは眼内で網膜側に向けられる。光学部側面2Cは光学面2Aと光学面2Bとを繋ぐ。
なお、本実施形態の光学面2A及び光学面2Bは、中央部が外方に膨らむ曲面で形成されている。また、本実施形態では、光学面2Aの周縁全周に移行斜面が形成されている。移行斜面は、光学面2Aの屈折力を提供する屈折力領域の外側に設けられている。
光学面2Aの移行斜面は、屈折力領域の端部から光学部側面2Cにかけて、屈折力領域の方向を向いている。したがって、図示しないが、眼内レンズ1を側方からみた断面では、光学面2Aの屈折力領域の外縁の位置の光学部2の厚さより、光学部側面2Cの厚さの方が厚くなっている。
支持部3は、根元部4と、第一腕部5と、第二腕部6と、第一括れ部7と、第二括れ部8とを備える。根元部4は光学部側面2Cに接続される。根元部4は、光学部2の中心を通る直線に沿って、光学部2の中心から遠ざかる方向に伸びる。また、根元部4は先端に向かうほど幅が狭くなるように形成されている。
第一腕部5は根元部4の先端に接続されている。第一腕部5は、光学部2の中心から側方に伸びる直線に対して傾斜している。第一腕部5のうち、光学部2を向く内側面側は、光学部2の方向に凸形状となる湾曲形状で形成されている。したがって、根元部4と第一腕部5とが接続される箇所に、幅狭となる第一括れ部7が形成されている。つまり、支持部3の伸長方向に垂直な断面を比較すると、第一括れ部7の断面積は、第一括れ部7の基端側に隣接する部分(根元部4)の断面積よりも小さい。さらに、本実施形態では、第一括れ部7の断面積は、第一括れ部7の先端側に隣接する部分(第一腕部5)の断面積よりも小さい。換言すると、第一括れ部7の部分が括れて(細くなって)いる。第一括れ部7によって、支持部3の基端で支持部3を好適な形状で光学部2と近づく方向へ大きく曲げることができる。
第二腕部6は第一腕部5の先端に接続されている。第二腕部6は先端に向かうほど光学部2の方向に湾曲するループ形状で形成されており、第二腕部6の幅は第一腕部5の幅よりも狭い幅で形成されている。したがって、第一腕部5と第二腕部6とが接続される箇所の光学部2と近い方向の端部に、幅狭となる第二括れ部8が形成されている。第二括れ部8によって、眼内レンズ1が患者眼の嚢内に設置された際に、第二腕部6を患者眼の嚢の外縁に好適に這わせることができる。
なお、本実施形態の眼内レンズ1の支持部3は、先端に向かうほど厚さが薄くなるように形成されている。したがって、眼内レンズ1を小さく折り畳むことができ、ノズル部182の内径を小さくすることができる。
なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、眼内レンズ1を押し出す際に、光学面2Aが上方を向くように設置部130に設置される。
<2.使用方法>
<2−1.眼内レンズ挿入器具の製造>
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、本体筒部110と左右壁部140と保持部160と挿入部180とが一体成型されたベース部材に、天板部150とセット部170とプランジャー300とを組み付けることで製造される。なお、眼内レンズ挿入器具10を組み立てる際に、保持部160で眼内レンズ1を保持させて、眼内レンズ挿入器具10の内部に眼内レンズ1を充填しておく。つまり、本実施形態では、眼内レンズ挿入器具10と、この眼内レンズ挿入器具10に予め充填された眼内レンズ1とによって、プリセット型の眼内レンズ挿入システムが構築される。ただし、本実施形態で例示した技術は、眼内レンズ1が予め充填されずに出荷される眼内レンズ挿入器具にも適用できる。また、筒状の本体部100の内壁には潤滑コーティングが行われる。
眼内レンズ1の充填された眼内レンズ挿入器具10を、1枚の樹脂シートを凹凸変形させたブリスターパック等のケースに収容させる。なお、眼内レンズ1の移動を規制するための移動規制突起がケースに組み付けられている。ケースに眼内レンズ挿入器具10を収容させた後、滅菌用のガスを通過する可撓性シートをケースの開口部に貼り付けて密閉する。可撓性シートで密閉されたケースに滅菌処理を行う。滅菌処理の行われたケースは使用現場へと搬送される。
<2−2.ケースからの取り出し>
使用現場で使用者(例えば術者又は介助者)は、可撓性シートを剥がし、ケースから眼内レンズ挿入器具10を取り出す。なお、ケースには、セット部170が上方(ケースの開口方向)を向くように(つまり、上下方向が反転した状態で)眼内レンズ挿入器具10が収容されている。使用者は、眼内レンズ1が充填されている眼内レンズ挿入器具10をケースから取り出した後、セット部170が下方を向くように眼内レンズ挿入器具10を持ち直す。
なお、本実施形態では、本体部100の後方係合部113とプランジャー300の前方羽根部351とが係合する初期位置にプランジャー300を位置させて眼内レンズ挿入器具10がケースに収容されている。初期位置では、設置部130の基端よりやや先端側にプランジャー300の先端が位置されている。
<2−3.セット部の押込み>
続けて使用者は、セット部170の下方から、セット部170の基端側を押出軸Aに近づく方向(つまり上方)に押す。セット部170の基端側を押出軸Aの方向に押すことで、セット部170の先端側の支点部167(図8参照)を支点として、セット部170の基端側が押出軸Aに近づく方向に回動する。
セット部170が回動することで、保持部160の保持突出部166(図8参照)で規制されていた眼内レンズ1の移動の規制が解除される。また、セット部170が回動することで、保持部160で保持されていた眼内レンズ1にセット部170が当接し、眼内レンズ1はセット部170によって押出軸Aの軸上に向けて移動を始める。なお、使用者がセット部170を押すことで、セット部170の基端と保持部160とが当接する回転角度までセット部170は回動される。
上述したように、セット部170が回動して眼内レンズ1を押すことで、眼内レンズ1は押出軸Aの軸上に移動される。より詳しくは、セット部170を回動すると、光学部2に第二接触部176A及び第二接触部176B(図7,図8参照)が当接する。光学部2に第二接触部176A及び第二接触部176Bが当接した後もセット部170は押し込まれるため、セット部170が光学部2を略押出軸A上に位置させる。
また、セット部170を回動すると、後方支持部3Bに第一接触部175A及び第一接触部175Bが当接する。また、セット部170を回動すると、セット部170の一部が軸外移動部177に接触(干渉)し、軸外移動部177が変形して後方支持部3Bに当接される。第一接触部175A,175B、第二接触部176A,176B、ならびに軸外移動部177が後方支持部3B当接された状態で、セット部170は更に押し込まれる。その結果、後方支持部3Bには、光学部2に近づく第一方向の変形と、第一方向と略直交し上方となる第二方向(つまり、光学部2の光軸に平行な方向)の変形とが生じる。なお、前方支持部3Aは、光学部2の移動に伴って、応力がかからない状態で略押出軸A上に位置される(図7参照)。また、本実施形態では、軸外移動部177だけでは後方支持部3Bのタッキングは完了しないが、後方支持部3Bのタッキングが完了するまで軸外移動部177を移動させてもよい。
後方支持部3Bの第一方向の変形について説明する。図13に示すように、セット部170が押し込まれ、セット部170が回動すると、保持部160で保持されている眼内レンズ1の後方支持部3Bに、セット部170の第一接触部175Aと第一接触部175Bとが当接する。また、第二接触部176Aと第二接触部176B(図7,図8参照)が、眼内レンズ1の光学部2に当接する。
図8に示すように、第一接触部175A,175B(図8では175Aのみを図示)のうち後方支持部3Bに接触する部分(上端部分の一部)は、第二接触部176A,176B(図8では176Bのみを図示)のうち光学部2に接触する部分(上端部分の一部)よりも高い。したがって、セット部170の基端が保持部160に当接した際には、後方支持部3Bは、第一ガイド部178A及び第二ガイド部178Bによって応力がかけられて曲げられた状態となり、押出軸Aの側方側からみて後方支持部3Bの先端側は押出軸Aより上方に位置される。つまり、図13に示すように、後方支持部3Bは、光学部2の中心を通る中心平面Pから上方にずれた状態で位置決めされる。
また、本実施形態では、後方支持部3Bに接触する第一接触部175が複数(本実施形態では2つ)設けられている。したがって、第一接触部175が1つである場合に比べて、後方支持部3Bの位置決めが円滑に行われる。詳細には、図13に示すように、第一接触部175には、後方支持部3Bの一部に接触する右側の第一接触部175Aと、第一接触部175Aが接触する部位よりも根元側の部分に接触する第一接触部175Bとが含まれる。押出軸Aに垂直で、且つ中心平面Pに平行な左右方向において、第一接触部175Aと第一接触部175Bの一方は押出軸Aの右方に位置し、他方は押出軸Aの左方に位置する。したがって、より安定した状態で第一接触部175が後方支持部3Bに接触する。さらに、先端側の第一接触部175Aと中心平面Pの距離が、根元側の第一接触部175Bと中心平面Pの距離よりも大きい。その結果、後方支持部3Bを押出軸Aの基端側からみると、後方支持部3Bは傾斜し、後方支持部3Bの先端側は根元部4よりも上方に位置される。したがって、第一接触部175A,175Bは、後方支持部3Bを緩やかに曲げることができる。
後方支持部3Bを応力をかけて上方に曲げることで、後方支持部3Bを光学部2の上方へ好適に曲げることができる。詳しくは、図17(b)に示すように、後方支持部3Bを光学部2に近づけつつ後方支持部3Bを光学部2の上方へ徐々に曲げる場合、後方支持部3Bを光学部2に近づける応力によって後方支持部3Bが意図せぬ変形を生じてしまう可能性がある。例えば、後方支持部3Bの一部が捻じれてしまう可能性がある(図13(b)参照)。また、例えば、後方支持部3Bの一部が基端側に折れ曲がってしまう可能性がある。また、応力をかけて上方に曲げた後方支持部3Bを、押出部材310で押す間、光学部2は下方(中心平面Pから遠ざかる方向、かつ位置決め部185で後方支持部3Bがずらされる方向とは反対方向)への応力を受けて第二接触部176に押し付けられる。即ち、後方支持部3Bを応力をかけて上方にずらしてから後方支持部3Bを押出部材310で押出軸Aと平行な方向に押すことで、光学部2の上方への移動(変形)を抑制できる。言い換えるなら、後方支持部3Bを光学部2の方向へ曲げる際に光学部2が上方へ浮かび上がり、後方支持部3Bが光学部側面2Cに衝突してしまう可能性を低減できる。したがって、後方支持部3Bを光学部2の光学面2A上へと好適にタッキングさせることができる。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、保管時は少ない応力で眼内レンズ1を保持し、挿入時は後方支持部3Bを応力をかけて上方へ曲げる。後方支持部3Bが伸びる方向と略直交する下方から後方支持部3Bの先端側を上方へ曲げるため、後方支持部3Bの先端側を上方へ持ち上げる際に生じ得る後方支持部3Bの意図せぬ捩じれや折れ曲がりを生じ難くさせることができる。そして、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、図17(a)に示すように、後方支持部3Bを中心平面Pよりも上方にずらした後に、後方支持部3Bを光学部2に近づく方向に変形移動させてタッキングを行う。したがって、図13(b)に例示するような意図せぬ変形が生じる可能性を低下させつつ、後方支持部3Bを好適な形状で光学部2と近づく方向へ曲げることができる。
なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は第一接触部175A,175Bで後方支持部3Bを上方へ曲げるが、これに限るものではない。応力がかかっていない眼内レンズ1の光学部2を下方へ下げて曲げてもよい。また、保管時と挿入時とで後方支持部3Bに対する光学部2の傾斜角度を変えて後方支持部3Bを上方に曲げてもよい。なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、後方支持部3Bを上方へ曲げる形態としているが、前方支持部3Aを上方へ曲げてもよい。支持部3を曲げる方向が上方でなく下方でもよいことは言うまでもない。より詳しくは、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、中央部が谷折りされる光学面2A側に後方支持部3Bを位置決め部185を用いてタッキングする。しかし、これに限るものではない。例えば、谷折りされる光学面2B側に位置決め部185を用いて後方支持部3Bをタッキングさせてもよい。また、プランジャー300の先端傾斜面317は、右方だけでなく上方にも傾いていてもよい。この場合、後方支持部3Bには、ねじれる方向とは逆方向の応力が先端傾斜面317から加えられる。その結果、後方支持部3Bに意図せぬ変形が生じる可能性がさらに低下する。
図14及び図15を参照して、後方支持部3Bの第二方向の変形について説明する。セット部170を押出軸Aの方向に押すことで、天板部150の応力発生部156にセット部170の軸外移動部177が当接する。軸外移動部177は弾性材料で形成されている。軸外移動部177は、応力発生部156に当接することで変形される。詳細には、図15に示すように、本実施形態の応力発生部156の底面はテーパー状に形成されている。軸外移動部177は、応力発生部156のテーパー面に摺動しながら上昇する。その結果、軸外移動部177は、上方に移動するにしたがって、図15の紙面手前側に向かって回動する。つまり、図14(a)に示すように、セット部170が上方に移動すると、軸外移動部177は、押出軸Aに近づく方向に回動する。また、図4,図7に示すように、設置部130には、後方支持部3Bを光学部2よりも基端側を向くように配置した状態で眼内レンズ1が設置される。軸外移動部177が回動することで、軸外移動部177の先端は、設置部130に設置された眼内レンズ1の後方支持部3Bの側面を、押出軸Aと交差する方向に押す。したがって、軸外移動部177によって押された後方支持部3Bは、光学部2と近づく方向に曲げられる(図14(b)参照)。
上述したように、後方支持部3Bの側面を押出軸Aと交差する方向から押すことで、後方支持部3Bを好適に曲げることができる。より詳しくは、押出軸Aと平行な方向に押出部材310を直線移動させるだけで後方支持部3Bを光学部2に近づける場合、後方支持部3Bを光学部2に近づける応力によって、後方支持部3Bが意図せぬ変形を生じてしまう可能性がある。例えば、後方支持部3Bの一部が基端側に折れ曲がってしまう可能性がある(図14(c)参照)。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aとは異なる方向から後方支持部3Bを押すことができるため、後方支持部3Bを好適な形状に曲げることができる。また、軸外移動部177と押出部材310とを組み合わせて眼内レンズ1を曲げるため、眼内レンズ1を小さく折り曲げて患者眼へ好適に挿入することができる。なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は軸外移動部177で後方支持部3Bを押出軸Aと交差する方向へ押すが、軸外移動部177を前方支持部3Aの側に設け、前方支持部3Aを押出軸Aと異なる方向へ押して、前方支持部3Aを光学部2と近づく方向に曲げてもよい。
図7及び図11(a)に示すように、本実施形態の軸外移動部177は、後方支持部3Bのうち第一括れ部7よりも先端側に当接して後方支持部3Bを押圧する。したがって、軸外移動部177は、後方支持部3Bを第一括れ部7で好適に曲げることができる。また、本実施形態の軸外移動部177は、後方支持部3Bの全長の半分より基端側(支持部3の根元側)に当接して後方支持部3Bを押圧する。したがって、軸外移動部177は、後方支持部3Bの全体を容易に曲げることができる。
本実施形態の応力発生部156は、保持部160によって保持された眼内レンズ1を押出軸A上に移動させる応力を利用して、軸外移動部177に応力を提供する。したがって、使用者は、軸外移動部177だけを移動させるための操作を行う必要が無い。また、本実施形態の軸外移動部177は、設置部130を形成するセット部170に接続(固定)されている。したがって、簡単な構成で支持部3に軸外移動部177を精度よく押し当てることができる。また、軸外移動部177のうち、支持部3と接する箇所の少なくとも一部は曲面で形成されている(図14(a)参照)。したがって、軸外移動部177は、支持部3の変形に追従して支持部3に接触し、好適に支持部3を曲げることができる。支持部3に傷等が生じる可能性も低下する。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、後方支持部3Bの根元部4が位置する側から後方支持部3Bを押しているが、後方支持部3Bの先端が位置する側から後方支持部3Bを押出軸Aと交差する方向に押してもよい。また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、眼内レンズ1を押出軸A上に移動するセット部170に応力発生部156を設けている。しかし、使用者がセット部170とは別に部材を操作することで、押出軸Aとは異なる方向からの応力を支持部3に加えるように、軸外移動部177を形成してもよい。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、軸外移動部177と押出部材310とを組み合わせて後方支持部3Bを光学部2に近づく方向へ曲げるが、軸外移動部177だけで後方支持部3Bを曲げてもよい。
<2−4.粘弾性物質の注入>
続けて使用者は、潤滑剤(粘弾性物質)を充填したシリンジ等の注入器を把持する。続けて使用者は、注入器の注入針を天板部150の注入口154へ挿入する。より詳しくは、使用者は、天板部150の外壁面に形成されている針誘導部153(図4参照)の領域内に注入針を当接させ、当接させた注入針の先端を、天板部150の外壁面に当接させたまま注入口154の方向に移動してゆく。針誘導部153によって囲まれる領域の幅は、注入口154に近いほど狭くなる。つまり、本実施形態では、逆V字形状の内側の頂点に注入口154が形成されている。したがって、針誘導部153が注入針を注入口154へとガイドし、注入針は注入口154に挿入される。
なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10では、ケースに設けられている移動規制突起(図示せず)を貫通させる移動規制孔152が、天板部150の外壁面に形成されている(図4参照)。逆V字形状の針誘導部153は、注入口154と移動規制孔152とを結ぶ直線に交差するように形成されている。したがって、注入針が誤って移動規制孔152に挿入されることを抑制できる。
続けて使用者は、注入器に充填されている粘弾性物質等を注入針の先端から排出し、眼内レンズ挿入器具10の内部に粘弾性物質を充填させる。使用者は、粘弾性物質の注入を完了すると、眼内レンズ挿入器具10から注入針を抜き出す。
なお、図4、図5、及び図16に示すように、本実施形態では、前方支持部3Aの外側面が配置される部分よりも外側(つまり、図16(a)の範囲A内)に注入口154が設けてある。図16(a)に示すように、注入口154から粘弾性物質が注入されると、前方支持部3Aは、注入された粘弾性物質によって押され、光学部2と近づく方向に曲げられる(図16(a)の実線参照)。例えば、注入口154を支持部3の真上に位置させていると、注入される粘弾性物質によって支持部3が下方に曲がり、眼内レンズ1を進行させた際に、前方支持部3Aが光学面2Bと底壁との間に入り込み易くなり、前方支持部3Aのタッキング不良が生じる場合がある(図22(a)参照)。本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、注入口154を支持部3の真上から外した位置に設けているため、粘弾性物質の注入によって前方支持部3Aの下方への変形を抑制できる。
例えば、図16(b)に示すように、注入口154が前方支持部3Aの内側に設けられている場合、注入された粘弾性物質によって前方支持部3Aが光学部2から遠ざかる方向へ曲がる可能性がある。前方支持部3Aが光学部2から遠ざかる方向へ曲げられたまま、眼内レンズ1を押出部材310で先端方向へ押すと、前方支持部3Aが意図しない方向へ折れ曲がってしまう可能性がある。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、患者眼に眼内レンズ1を排出する際に曲げる眼内レンズ1の形状に準じた方向へ、粘弾性物質によって前方支持部3A折り曲げることができる。したがって、眼内レンズ1を好適に曲げて患者眼へ排出することができる。
また、図16(a)に示すように、本実施形態の注入口154は、光学部2の中心と前方支持部3Aの基端を共に通る直線と、押出軸Aとで囲まれた領域Bに設けられている。したがって、ループ形状の前方支持部3Aは、基端側から粘弾性物質によって押圧される。よって、前方支持部3Aは、先端側から押圧される場合に比べて好適に曲がる。また、本実施形態の注入口154は、設置部130に設置される光学部2よりも先端側に位置する。したがって、意図しない変形が前方支持部3Aに生じることが抑制されると共に、眼内レンズ1が進行する領域に効率よく粘弾性物質が充填される。
また、本実施形態では、設置される光学部2の押出軸A方向の先端と、挿入部180の基端との間の通路部132(図7参照)に注入口154が設けられる。したがって、粘弾性物質は注入口154から広がり、体積の多い光学部2上と、眼内レンズ1全体が滑動する通路部132に効率よく塗布される。したがって、例えば、高額な粘弾性物質を大量に使用しなくても、眼内レンズ1を好適に滑動させることができる。
なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は注入口154を前方支持部3Aの外側に設けたが、注入口154を後方支持部3Bの外側に設けてもよい。もしくは、注入口154を複数設け、前方支持部3Aの外側と後方支持部3Bの外側とに設けてもよい。即ち、注入口154を支持部3の外側に設ければよい。注入口154を支持部3の外側に設けることで、支持部3の変形不良を抑制するだけでなく、粘弾性物質を注入する際に生じる応力を利用して支持部3を好適に曲げることができる。なお、セット部170を押し込む前(保持部160で眼内レンズ1が保持されている状態)に粘弾性物質を注入してもよい。より詳しくは、保持部160に保持されている眼内レンズ1の支持部3の外側に位置されている注入口154から粘弾性物質を注入して支持部3を光学部2と近づく方向へ曲げてからセット部170を押し込み、粘弾性物質によって支持部3が曲げられた眼内レンズ1を押出軸A上に位置させてもよい。
<2−5.待機位置まで押込み>
使用者はベベル部183(図12参照)の開口が下側を向くように眼内レンズ挿入器具10を向けた状態で、張り出し部111よりやや先端側の本体筒部110を指で上下方向から把持する。続けて使用者は、本体筒部110を把持した指とは異なる指で押圧部370を押すことで、後方係合部113と前方羽根部351とが係合した初期位置から、前方係合部112と前方羽根部351とが係合する待機位置へとプランジャー300を押し進めてゆく。この時、後方支持部3Bは、図13に示すように、第一接触部175A,175Bによって、眼内レンズ1の中心平面Pからずれた位置に位置決めされている。つまり、図17(a)に示すように、第一接触部175A,175Bのうち、タッキングが行われる直前に後方支持部3Bが接触している部分は、後方支持部3Bの位置決めを行う位置決め部185として機能する。
初期位置からプランジャー300を押し進めると、位置決め部185によって位置決めされている後方支持部3Bに、プランジャー300の直線移動部313が当接する(図12(a)参照)。プランジャー300を更に先端方向へ進めると、後方支持部3Bは、第一接触部175A,175Bを滑動して、光学部2と近づく方向に曲げられる。つまり、図17(a)に示すように、第一接触部175A,175Bのうち、位置決め部185と光学部設置部131の間の部分は、移動ガイド部186として機能する。2つの移動ガイド部186の各々は、直線移動部313によって後方支持部3Bが移動する途中で後方支持部3Bに接触することで、直線移動部313による後方支持部3Bの移動をガイドする。直線移動部313は、後方支持部3Bを光学部2に近づく方向へ変形移動させるが、この間、移動ガイド部186が後方支持部3Bに当接する。従って、後方支持部3Bが直線移動部313から光学部接触部314へ移動することが、移動ガイド部186によって防止される。なお、この状態では、光学部2の先端方向の移動は、当接部157(図5及び図6参照)で係止された状態とされている。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、光学部2の厚み方向中心を通り、かつ光学部2の光軸に垂直となる中心平面Pからずれた位置に、後方支持部3Bを位置決めする。次いで、図17(a)に示すように、押出軸Aと平行な面又は稜線(本実施形態では、移動ガイド部186の上端の面)に沿わせて後方支持部3Bを滑動させて、後方支持部3Bを光学部2に近づく方向へ曲げる。したがって、後方支持部3Bを光学部2と近づく方向へ好適に曲げることができる。
より詳しくは、例えば、急な勾配の傾斜に後方支持部3Bを滑動させた場合、後方支持部3Bの前面側が傾斜に突っ掛り、後方支持部3Bがねじれてしまう可能性がある(図17(b)参照)。一方、本実施形態の移動ガイド部186は、図17(a)に示すように、後方支持部3Bと中心平面Pの距離を一定に保った状態で、後方支持部3Bの移動を案内する。つまり、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aと平行な面又は稜線が形成された移動ガイド部186に後方支持部3Bを滑動させるため、後方支持部3Bのねじれを抑制することができる。
なお、移動ガイド部186は、後方支持部3Bが光学部設置部131に近づくほど、後方支持部3Bが中心平面Pに近づくように、後方支持部3Bの移動をガイドしてもよい。例えば、移動ガイド部186を形成する平行な面又は稜線は、押出軸Aに対して傾斜していてもよい。また、移動ガイド部186を、先端方向に向けて段階的に下降する階段状としてもよい。また、「後方支持部3Bと中心平面Pの距離を一定に保つ」とは、後方支持部3Bが中心平面Pに対して厳密に平行に移動することを示すものではない。つまり、後方支持部3Bが光学部設置部131に近づくにしたがって僅かに上昇するように(つまり、徐々に中心平面Pから離間するように)、移動ガイド部186の面又は稜線を形成してもよい。この場合、移動ガイド部186の面又は稜線の上昇勾配(押出軸Aに対する角度)を8度以下とすることで、図17(b)に例示するようなねじれの発生を低減できることを、発明者は実験によって確認している。なお、移動ガイド部186の先端の高さは、光学部2の基端側端部の高さより高い位置に設けられていればよい。
なお、移動ガイド部186の面を曲面で形成してもよい。稜線を曲線としてもよい。また、平面又は曲面で形成した移動ガイド部186を、押出軸Aの方向からみて水平方向に傾斜させてもよい。また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は複数の移動ガイド部186(右側の第一接触部175Aの上面に形成された第一移動ガイド部186と、左側の第一接触部175Bの上面に形成された第二移動ガイド部186)を備える。左側の第二移動ガイド部186は、後方支持部3Bのうち、右側の第一移動ガイド部186が接触する部分よりも根元側の部分に接触する。したがって、後方支持部3Bのガイドがさらに安定する。さらに、図7に示すように、右側の第一移動ガイド部186(第一接触部175Aの上面)は押出軸Aの右方に位置し、左側の第二移動ガイド部186(第一接触部175Bの上面)は押出軸Aの左方に位置する。したがって、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aの左右から後方支持部3Bを押し出してタッキングを行うことができるため、タッキングがさらに安定する。また、図13に示すように、右側の第一移動ガイド部186と中心平面Pの距離が、左側の第一移動ガイド部186と中心平面Pの距離よりも大きい。したがって、本実施形態の第一移動ガイド部186及び第二移動ガイド部186は、後方支持部3Bを緩やかに曲げたまま、タッキング時の変形移動をガイドすることができる。なお、本実施形態では2つの移動ガイド部186が用いられているが、移動ガイド部186は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aの軸外で支持部3に応力をかけずに眼内レンズ1を保管し、支持部3に応力をかけた状態で眼内レンズ1を押出軸Aの軸上へと位置させてから眼内レンズ1を押出軸Aの先端方向に押し出すが、これに限るものではなく、支持部3に応力をかけて保管してもよい。応力がかけられ、変形された状態で保管された支持部3は、応力が解き放たれても直ぐに変形状態が復元されるものではない。例えば、応力が解き放たれてから短時間(例えば20分)は変形状態を維持する。したがって、支持部3に応力をかけた状態で眼内レンズ1を保管し、支持部3が変形状態を維持している間に眼内レンズ1を押出軸A上の挿入開始位置に位置させて押出部材310で眼内レンズ1(支持部3及び光学部2)を押し出してもよい。即ち、後方支持部3Bをずらして位置決めする位置決め部185を保持部160に備えてもよい。また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10はセット部170が回動することで設置部130に位置決め部185を形成するが、これに限るものではない。セット部170を回動させずに位置決め部185を備えてもよい。例えば、非プリセット型眼内レンズ挿入器具10の設置部130に位置決め部185を備えてもよい。この場合、例えば、使用者が設置部130に眼内レンズ1を充填(設置)すると、設置部130に設けられている位置決め部185によって支持部3が変形される。
使用者がプランジャー300を更に先端方向へ進めると、後方支持部3Bは、第一接触部175A,175Bの先端から、光学部2に近づく方向(先端側)に飛び出す。後方支持部3Bは、直線移動部313によって光学部2に近づく方向に曲げられる。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10では、第一接触部175A,175Bの先端(つまり、2つの移動ガイド部186の先端)と、光学部設置部131とが隣接している。したがって、後方支持部3Bが第一接触部175A,175Bの先端から飛び出した状態では、後方支持部3Bの全長の半分以上が光学部2の上方に位置されている。なお、本実施形態の眼内レンズ1は第一括れ部7を有するため、後方支持部3Bは第一括れ部7の位置を支点として容易に大きく曲げることができる。
プランジャー300を更に押し進めると、光学部2の光学部側面2C(図11参照)に、押出部材310の光学部接触部314が当接する。図10に示すように、本実施形態の押出部材310は、後方支持部3Bを先端側に押し出す直線移動部313と、光学部2を先端側に押し出す光学部接触部314とを備える。したがって、使用者は、押出部材310を先端側に押し出すだけで、後方支持部3Bの適切なタッキングと、眼内レンズ1の押し出しとを共に容易に行うことができる。また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、光学部接触部314よりも先端側に直線移動部313を位置させているため、光学部2の基端側端部よりも先端側で後方支持部3Bを押出軸Aの先端方向へ押すことができる。したがって、図12(b)に示すように、後方支持部3Bは、第一接触部175A,175Bから先端側に飛び出した直後よりも更に先端方向へ曲げられ、後方支持部3Bの先端が押出軸Aの先端方向に向くように曲げられる。
また、直線移動部313の先端を、光学部接触部314の先端よりもさらに先端側に設けることで、後方支持部3Bの先端をより先端方向へ伸ばすことができる。言い換えるなら、眼内レンズ挿入器具10を上方からみて、光学部2の光学面2Aの上方により多くの後方支持部3Bを位置させることができる。光学面2Aの上方に多くの後方支持部3Bを位置させることで、光学部2を折り曲げた際に光学部2からはみ出る支持部3の量が少なくなり、押し出し中の眼内レンズ1の変形不良が低減する。さらに、眼内レンズ1を患者眼へ射出した際も、患者眼の嚢内で復元する支持部3の意図せぬ挙動を抑制することができる。
図6(b)に示すように、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、後方支持部3Bの一部の変形を抑制するための変形抑制部(側方変形抑制部149と上方変形抑制部159)を備えている。その結果、後方支持部3Bが好適な形状に曲げられる。変形抑制部を備えない場合、押出部材310で後方支持部3Bを押し出す際に、後方支持部3Bの一部が光学部2と近づく方向とは異なる方向に変形する可能性がある。例えば、図18(a)に示すように、眼内レンズ1の後方支持部3Bの根元部4が、押出軸Aから遠ざかる方向(つまり、本実施形態では直線移動部313から離れる方向)に変形する場合がある。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10では、光学部2は後方支持部3Bを抱えるように挿入部180で変形されるが、後方支持部3Bを光学部2に近づく方向へ好適に曲げないと、光学部2を挿入部180で小さく折り曲げた際に、小さく折り曲げた光学部2の端部から支持部3Bが大量にはみ出てしまう可能性がある。後方支持部3Bが光学部2から大量にはみ出たまま眼内レンズ1を押し出すと、患者眼の眼内で後方支持部3Bが意図せぬ方向に復元してしまい、術者が眼内で眼内レンズ1の向きを調節する必要がある。
図18(b)に示すように、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、後方支持部3Bの根元部4の側方(つまり、眼内レンズ1の側面側と面する位置)に側方変形抑制部149を配置させ、後方支持部3Bの根元部4の押出軸Aから遠ざかる方向への変形を抑制する。側方変形抑制部149は、後方支持部3Bの第一括れ部7(図11参照)に接触する。したがって、後方支持部3Bの基端における変形方向が制限されて、後方支持部3Bが好適に曲がる。また、図18(c)に示すように、後方支持部3Bの根元部4の上方(つまり、眼内レンズ1の前面側及び後面側の少なくとも一方と面した位置)に上方変形抑制部159を配置することで、後方支持部3Bの根元部4(基端)の上方(中心平面Pから遠ざかる方向)への変形も抑制する。したがって、後方支持部3Bの先端を押出軸Aの先端方向に好適に曲げることができる。
使用者がプランジャー300を更に押し進めると、光学部2は、当接部157(図5及び図6参照)による先端方向の移動の係止を脱出する。このとき、光学部2は、2つの当接部157A,157Bによって、左側と右側とで異なる応力が与えられた状態で前進する。より詳しくは、眼内レンズ1の後方支持部3Bの基端(根元部4)が位置される側の応力の方が大きく与えられ、眼内レンズ1は当接部157を通過する。
後方支持部3Bが光学部2の上方へ曲げられた眼内レンズ1には、後方支持部3Bによる復元応力が掛かる。したがって、図19(a)に例示するように、眼内レンズ1が光学部2の幅よりも狭い箇所を通過する際に、後方支持部3Bの復元応力によって、眼内レンズ1が復元する方向(支持部3の基端側)に曲がってしまう場合がある。この場合、眼内レンズ1が押出部材310と左右壁部140の左壁の間に挟まれてしまう可能性がある。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、通路部132(図7参照)のうち、押出軸Aから離れた左右各々の位置に、光学部2の側面の異なる箇所に当接する2つの当接部157A,157Bを備える。2つの当接部157A,157Bが、先端側に向けて移動している眼内レンズ1に与える左右各々の方向からの応力は、眼内レンズ1の右側と左側とで異なる。詳細には、本実施形態では、左右方向のうち、曲げられた状態の後方支持部3Bの根元部4が位置する左側からの応力が、右側からの応力よりも大きくなるように、2つの当接部157A,157Bが設けられている。従って、後方支持部3Bによる復元回転方向とは逆の方向の力が眼内レンズ1に加わる。よって、当接部157を通過する途中もしくは通過した直後に眼内レンズ1が大きく変形してしまう不具合を抑制することができる。
図6(b)に示すように、2つの当接部157A,157Bは、基端方向に向いた斜面144を有している。図19(b)に示すように、眼内レンズ挿入器具10を上方からみて、右側の当接部157Aの斜面における先端部から押出軸Aまでの距離LAよりも、左側の当接部157Bの斜面における先端部から押出軸Aまでの距離LBの方が小さい。これにより、2つの当接部157A,157Bの各々から眼内レンズ1に加わる応力を、簡単な構成で異ならせることができる。
プランジャー300を更に押し進めると、眼内レンズ1は通路部132を先端方向に移動してゆく。図20(a)に示すように、眼内レンズ1が先端方向に移動してゆくと、タッキングされた状態の後方支持部3Bの外側面が、天板部150(図6参照)の内側の面に形成された傾斜ガイド面146Bに当接する(図20(a)の点線を参照)。後方支持部3Bの外側面が傾斜ガイド面146Bに当接したままプランジャー300を押すと、基端方向に傾斜した傾斜ガイド面146Bの斜面によって、後方支持部3Bは押出軸Aの方向に曲げられる(図20(a)の実線を参照)。
プランジャー300を更に進めると、押出軸Aの方向に曲げられた後方支持部3Bの先端は、平行ガイド面146Aに当接する。後方支持部3Bの先端における左方及び右方のずれは、中心軸Aの左右に設けられた平行ガイド面146Aによって抑制される。その結果、先端が先端方向に向いた後方支持部3Bの変形状態を維持したまま、眼内レンズ1は先端方向に移動する。図6(b)に示すように、本実施形態の変形ガイド部146は、眼内レンズ1の光学部2における光学面と面する側の内壁に形成されている。従って、変形ガイド部146は、光学部2に重ねられた状態で行われる後方支持部3Bの移動を適切にガイドすることができる。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、変形ガイド部146(傾斜ガイド面146B及び平行ガイド面146A)によって、タッキングされた後方支持部3Bを好適な形状に維持させて押し出すことができる。より詳しくは、傾斜ガイド面146Bと平行ガイド面146Aによって、後方支持部3Bの先端を先端方向へ好適に向けることができる。
例えば、図20(b)の実線のように、後方支持部3Bの先端が押出軸Aの方向に十分向いていないと、進行中に粘弾性物質によって後方支持部3Bの先端が基端方向へ折れ曲がってしまったり、後方支持部3Bが光学部2の上方から外れたりしてしまう可能性がある。本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、傾斜ガイド面146B及び平行ガイド面146Aによって、図20(b)の点線のように後方支持部3Bの先端を押出軸Aの先端方向に曲げるため、後方支持部3Bを好適な形状に維持して押し出すことができる。なお、傾斜ガイド面146B又は平行ガイド面146Aのいずれか片方だけで変形ガイド部146としてもよい。なお、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は後方支持部3Bを好適に曲げるために変形ガイド部146を設けたが、これに限るものではない。前方支持部3Aを光学部2に近づけるために変形ガイド部146を設けてもよい。
使用者はプランジャー300を更に押し進めてゆき、眼内レンズ1を通路部132に移動させる。通路部132の底面には歪曲部174が設けられている。本実施形態では、歪曲部174は下方に凹となるように歪曲している。図21は、押出軸Aに垂直な方向の眼内レンズ挿入器具10の断面図を示す。図21(a)は、光学部設置部131(図7参照)の先端部における断面図である。図21(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は、(a)の位置から徐々に先端側へ断面位置をずらして作成した断面図である。図21に示すように、歪曲部174の歪曲(曲率)は、先端に向かうほど増加する。したがって、光学部2は粘弾性物質の表面張力によって、歪曲部174の表面の歪曲に沿った形状に変形される。また、眼内レンズ1が先端方向に進むほど、光学部2の変形量が増す。図21(a)に示すように、通路部132の基端部(つまり、光学部設置部131の先端部)における底部の通路壁は平坦に形成されている。従って、曲がっていない状態で光学部設置部131に支持されていた光学部2は、歪曲部174を先端側に移動するにつれて徐々に曲げられる。また、図7に示すように、光学部2が光学部設置部131に設置されると、前方支持部3Aは、歪曲部174が形成された通路部132に配置される。従って、本実施形態の通路部132は、歪曲部174で光学部2を曲げる機能と、タッキングが行われる前の状態で前方支持部3Aを保管する機能とを兼ねる。よって、構成が簡素化される。また、粘弾性物質を注入するための注入口154(図4参照)が通路部132に設けられている。従って、眼内レンズ1は、歪曲部174を有する通路部132を円滑に通過する。さらに、粘弾性物質が不足して表面張力が弱くなる可能性も低下する。
図12(c)に示すように、プランジャー300を更に押し進めると、眼内レンズ1の先端側は先細り部181に侵入してゆく。先細り部181の基端は通路部132と滑らかに接続されている。従って、眼内レンズ1が円滑に先細り部181に移動する。プランジャー300を更に押し進めると、前方支持部3Aの先端が先細り部181の内壁に当接する。プランジャー300を更に押し進めると、前方支持部3Aは光学部2と近づく方向(基端側)に曲げられる。このとき、光学部2は通路部132から滑らかに続く歪曲形状に沿って変形されている。
プランジャー300を更に押し進めると、前方支持部3Aの先端は光学部2の上方に乗り上げる。なお、先細りの内壁によって、光学部2の左右端部は上方に変形されてゆく。本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、歪曲部174を歪曲形状とすることで光学部2を歪曲部174の形状に沿うように曲げる。更に、歪曲部174と先細り部181とが滑らかに接続されているため、前方支持部3Aが光学部2と本体部100の内壁の間に入り込んでしまう状態(図22(a)参照)を抑制でき、前方支持部3Aを光学部2の上方へ好適に位置させることができる(図22(b)参照)。
<2−6.待機位置>
プランジャー300を更に進め、本体部100の前方係合部112(図2参照)とプランジャー300の前方羽根部351(図9参照)とが係合することで、プランジャー300は待機位置に到達する。このとき、図12(d)に示すように、眼内レンズ1の先端はノズル部182の略直前まで達しており、前方支持部3Aは更に光学部2の上方に位置される。また、眼内レンズ1の左右端部は、光学部2の中心方向に丸めこまれた状態となる。
<2−7.切開創に挿入>
眼内レンズ挿入器具10が待機状態にされると、使用者は、患者眼の角膜に設けられた切開創へノズル部182を挿入する。続けて使用者は、ベベル部183の開口の方向が患者眼の水晶体嚢を向くように、眼内レンズ挿入器具10を押出軸Aの周方向に旋回する。続けて使用者は、眼内レンズ挿入器具10全体を水晶体嚢の方向に進め、水晶体嚢よりやや角膜側の位置でベベル部183の開口と水晶体嚢とが向き合う状態にして、眼内レンズ挿入器具10の挿入を止める。
<2−8.眼内レンズの射出>
続けて使用者は、待機位置にあるプランジャー300の押し進めを再開する。プランジャー300を待機位置から押し進めると、光学部2の左右端部が更に丸め込まれ、ノズル部182の開口径と略同じとなるまで光学部2の横断面積が丸め込まれる(図12(e)参照)。プランジャー300を更に進めると、小さく折り曲げられた眼内レンズ1がノズル部182を通過してゆく。
使用者は、プランジャー300の傾斜面353(図9参照)と本体部100の前方傾斜部114(図3参照)とが当接する位置までプランジャー300の押し進めを継続する。なお、プランジャー300の先端がノズル部182の基端に達すると、プランジャー300の後方羽根部352(図9参照)が本体部100の基端に当接し、プランジャー300が進むほど摺動抵抗が増加してゆく。
プランジャー300が押し進められて眼内レンズ1がノズル部182の先端から露出し始めると、眼内レンズ1はベベル部183が向いた方向にあふれだしてゆく。プランジャー300が更に進むと、ノズル部182の内壁とプランジャー300との間に後方支持部3Bの根元部4を挟み込んだ状態のまま、眼内レンズ1が復元してゆく。
より詳しくは、ノズル部182の内壁と、下側に向けられたプランジャー300の左側陥没部319との間に、後方支持部3Bの根元部4が挟み込まれた状態のまま、眼内レンズ1が復元されてゆく。したがって、光学部2は、下方を向くベベル部183の開口と直交する左右平面と平行な面に広がるように復元される。言い換えるなら、眼内レンズ1は、設置部130に充填されていた方向に対して押出軸Aの軸に対して90°右回転させた状態に復元されてゆく。つまり、眼内レンズ1の光学部2の光軸と、患者眼の視軸(網膜と角膜を結ぶ線)とが一致するように、眼内レンズ1が復元されてゆく。また、復元された際に、光学面2Aが患者眼の角膜側を向く。
プランジャー300を更に進め、ノズル部182から左側陥没部319が略すべて露出すると、後方支持部3Bの根元部4の保持が解除され、眼内レンズ1のすべてが眼内レンズ挿入器具10から排出される。プランジャー300の傾斜面353と本体部100の前方傾斜部114とが当接すると、プランジャー300の進行が止まる。プランジャー300の傾斜面353と本体部100の前方傾斜部114とが当接した状態では、ノズル部182の先端から押出部材310が飛び出した状態となる。
術者は、嚢内に排出された眼内レンズ1に、ベベル部183から飛び出した押出部材310を当接させることで、眼内レンズ1の位置調節を行う。眼内レンズ1の嚢内での位置調節が終わると、使用者は、眼内レンズ挿入器具10を患者眼の切開創から取り出す。以上で眼内レンズ1の射出が完了する。
<3−1.作用及び効果:1>
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、軸外移動部177によって押出軸Aとは異なる方向から眼内レンズ1の支持部3を押すことで、支持部3を好適に光学部2の方向に曲げることができる。例えば、支持部3の捻じれを低減でき、支持部3が意図せぬ形状で曲がることを低減できる。したがって、眼内レンズ1を好適に曲げて眼内に射出できる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aとは異なる方向から支持部3を押す軸外移動部177と、押出軸Aと平行な方向に直線移動して支持部3を押す押出部材310とを組み合わせ、軸外移動部177と押出部材310とで支持部3を押す。支持部3を複数の方向から押すことができ、支持部3を好適な形状で曲げることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、支持部3を所定の位置で光学部2の方向へ曲げるための第一括れ部7よりも先端側に軸外移動部177を当接させることで、支持部3を押す。その結果、支持部3が第一括れ部7で曲がり易くなり、支持部3を好適な形状で曲げることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、支持部3の全長の半分より基端側(支持部3の根元部4側)に軸外移動部177を当接させて支持部3を押す。したがって、支持部3全体が曲がり易くなり、支持部3を好適な形状で曲げることができる。
また、本実施形態の軸外移動部177は弾性部材で形成されている。さらに、軸外移動部177とは異なる部材であって、軸外移動部177が支持部3を押すための応力を提供する応力発生部156が、軸外移動部177に接触する。応力発生部156が軸外移動部177に接触することで、軸外移動部177が変形して支持部3を押すことができる。したがって、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、簡単な機構で支持部3を押出軸Aとは異なる方向から押すことができる。
また、本実施形態では、押出軸Aの軸外で保持された眼内レンズ1を押出軸A上に移動させる応力を利用して、応力発生部156から軸外移動部177に応力が提供される。その結果、軸外移動部177によって支持部3が押される。即ち、眼内レンズ1を押出軸Aに移動させる応力を利用して、支持部3を押出軸Aとは異なる方向から押すことができる。1つの操作で眼内レンズ1全体の移動と支持部3の光学部2の方向への曲げを行うことができる。簡単かつ速やかに眼内レンズ1を射出できる。
また、本実施形態では、設置部130を形成する部材(セット部170)に軸外移動部177が接続されている。したがって、複雑又は精密な機構を用いなくとも、軸外移動部177で支持部3を精度よく押すことができる。
また、本実施形態では、軸外移動部177の支持部3と接する箇所の少なくとも一部が曲面で形成されている。したがって、変形する支持部3を軸外移動部177で好適に押すことができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、軸外移動部177の先端を、押出軸Aに近づく方向へ回動する。したがって、軸外移動部177は、支持部3を押す間に支持部3を押す方向を変化させることができる。例えば、軸外移動部177は、支持部3の側面になぞらせつつ支持部3を光学部2の方向へ曲げることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、軸外移動部177が支持部3を押す方向とは異なる方向にかけた応力を利用して、軸外移動部177で支持部3を押すことができる。したがって、押出軸Aとは異なる方向から支持部3を押すために眼内レンズ挿入器具10が大型化してしまうことを避けることができる。
また、本実施形態では、軸外移動部177の先端の幅は、光学部2に垂直な方向の支持部3の幅よりも太い。したがって、支持部3が変形しても、軸外移動部177で支持部3を好適に押すことができる。例えば、変形中に支持部3が上下方向に揺れても、軸外移動部177の先端で支持部3を好適に押すことができる。
<3−2.作用及び効果:2>
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、移動部301によって光学部2に近づく方向に移動する支持部3の少なくとも一部の変形を抑制する変形制御部(本実施形態では側方変形抑制部149と上方変形抑制部159)を備える。変形抑制部を備えることで、支持部3を好適な形状に曲げることができる。例えば、支持部3の一部が過剰に変形し、光学部2の方向に十分曲がらない不具合を抑制することができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、直線移動部313によって押される支持部3の押出軸Aから離れる方向への変形を、側方変形抑制部149で抑制する。したがって、支持部3が押出軸Aから離れる方向に変形してしまう不具合を抑制することができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、直線移動部313によって押される支持部3の直線移動部313から離れる方向への変形を、側方変形抑制部149で抑制する。したがって、支持部3が直線移動部313から離れる方向に変形してしまう不具合を抑制することができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、所定の位置で支持部3を曲げるための第一括れ部7に、側方変形抑制部149を接触させることで、第一括れ部7における支持部3の変形方向を制限する。したがって、第一括れ部7で支持部3が過剰に変形してしまう不具合を抑制することができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、支持部3の基端に上方変形抑制部159を接触させることで、支持部3の基端の変形方向を抑制する。したがって、例えば、支持部3の根元部4の変形によって光学部2が浮き上がってしまう不具合を抑制することができる。例えば、プランジャー300で光学部2を好適に押すことができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、眼内レンズ1の側面側と面する位置に側方変形抑制部149を備える。したがって、眼内レンズ1の側面方向の変形を抑制することができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、眼内レンズ1の前面側及び後面側の少なくとも一方と面した位置に、上方変形抑制部159を備える。したがって、支持部3が好適に曲がらない不具合を抑制できる。例えば、支持部3の基端部の変形によって光学部2が浮き上がってしまう不具合を抑制することができる。例えば、プランジャー300で光学部2を好適に押すことができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、支持部3の少なくとも一部を上方に乗せる光学部2の光学面側に、上方変形抑制部159を形成している。したがって、支持部3を光学部2の上方へ好適に曲げることができる。
<3−3.作用及び効果:3>
本実施形態では、眼内レンズ1が設置部130に設置された際に、ループ形状の支持部3の外側面よりも外側に注入口154が位置する。したがって、粘弾性物質が注入されても支持部3を好適に曲げることができる。例えば、粘弾性物質が注入される応力によって、支持部3を光学部2と近づく方向に曲げることができる。
また、本実施形態では、眼内レンズ1が設置部130に設置された際に、光学部2の中心と支持部3の基端を共に通過する直線と、光学部2の中心から押出軸Aと平行に伸びる直線とによって挟まれる所定の領域内に、注入口154が位置する。したがって、粘弾性物質が注入されても支持部3を好適に曲げることができる。
また、本実施形態では、設置部130に設置される光学部2よりも先端側に注入口154が位置する。したがって、前方支持部3Aを好適に曲げることができる。また、粘弾性物質を大量に注入せずとも、挿入部180と設置部130に粘弾性物質を好適に充填できる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、設置部130に光学部2が設置される領域(光学部設置部131)の先端から挿入部180の基端までの通路部132の領域に注入口154を備える。したがって、粘弾性物質を大量に注入せずとも、挿入部180と設置部130に粘弾性物質を好適に充填することができる。
また、本実施形態では、支持部3の少なくとも1つが押出軸Aの先端方向に向けられた状態で、眼内レンズ1が設置部130に設置される。したがって、設置部130の横幅が狭くても粘弾性物質を好適に注入できる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は針誘導部153を備える。針誘導部153は、注入口154を囲むように本体部100の壁部に形成されており、粘弾性物質を注入するための針の移動を誘導する。したがって、針が壁部に当接しても、使用者は注入口154へ容易に針を移動させることができる。
また、本実施形態では、針誘導部153によって囲まれる領域の幅が、注入口154に近いほど狭く形成されている。したがって、使用者は、壁に当接した針を注入口154へ容易に移動させることができる。
また、本実施形態では、移動規制孔152と注入口154とを結ぶ直線と交差するように針誘導部153が伸びる。したがって、針が誤って移動規制孔152に挿入されることを抑制できる。
また、本実施形態では、光学部2の前面側と面する側の通路部132の内壁(つまり、上方の壁部)に注入口154が設けられている。したがって、粘弾性物質が光学部2の下方に入り込みすぎることが抑制される。よって、眼内レンズ1の上下方向の位置がずれてしまう可能性を低下させることができる。。
<3−4.作用及び効果:4>
本実施形態では、光学部2の幅以上の幅の通路が形成されている通路部132のうち、光学部2の一方の光学面2Bに対向する通路壁に、歪曲部174を備える。歪曲部174は、押出軸Aの方向から見た場合に、押出軸Aから遠ざかる方向に向けて凹状に歪曲する。歪曲部174の歪曲量は、基端側から先端側に近づくほど増加している。
眼内レンズ1が通路部132から挿入部180へと移動した際に、挿入部180の内壁の形状によって眼内レンズ1に急激な応力が掛かることが、歪曲部174によって抑制される。よって、眼内レンズ1を好適に曲げることができる。また、本体部100に充填された粘弾性物質によって発生する表面張力によって、眼内レンズ1は歪曲形状に沿って変形する。つまり、歪曲部174の上面と光学部2との間に隙間が生じにくくなる。したがって、前方支持部3Aの先端が光学部2と内壁との間に入り込むことを低減でき、眼内レンズ1を好適に曲げることができる。
また、本実施形態では、押出軸Aの方向からみた場合に、通路部132の低壁の基端部が平坦に形成されている。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、先端に向かうにつれて光学部2を徐々に変形させることができ、眼内レンズ1の変形不良を抑制することができる。例えば、平坦な通路壁によって、より強い粘弾性物質の表面張力を使って変形前の光学部2を通路壁に張り付かせることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、通路部132に支持部3を配置させた状態で、設置部130に光学部2を設置させる。歪曲部174を有する通路部132に支持部3を配置させることで、歪曲形状による光学部2の好適な曲げを維持しつつ、眼内レンズ挿入器具10の全長を短くすることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、通路部132に注入口154を備える。したがって、注入口154から注入される粘弾性物質の表面張力効果を好適に活用できる。
また、本実施形態では、先細り部181の基端は通路部132と滑らかに接続されている。したがって、プランジャー300で押された眼内レンズ1が通路部132から先細り部181へ移動する際に、内壁の凹凸で眼内レンズ1に意図しない挙動が生じることを低減できる。例えば、内壁の凹凸で光学部2が浮き上がり、光学部2の下方に隙間が生じて、隙間に前方支持部3Aが入り込んでしまう不具合を抑制することができる。
<3−5.作用及び効果:5>
本実施形態では、押出軸Aの先端側からみて、設置部130に設置される眼内レンズ1の支持部3の基端が位置する方向に、直線移動部313の先端側端部を偏らせて配置されている。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aよりも支持部3の基端側で支持部3を押すことができる。よって、支持部3を光学部2に近づく方向に好適に曲げることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aと平行な方向に直線移動する直線移動部313と、光学部2に接触して光学部2を押し出す光学部接触部314とを、共に押出部材310に備える。したがって、簡単な構造で支持部3と光学部2を押すことができる。また、眼内レンズ挿入器具10を大型化することなく、安価で提供することができる。
また、本実施形態では、押出軸Aに垂直な方向における押出部材310の先端部312の断面積が、ノズル部182を通過できる断面積で形成されている。押出部材310がノズル部182を通過できることで、眼内レンズ挿入器具10を複雑な構造にすることなく、支持部3を好適に曲げることができる。
また、本実施形態では、光学部接触部314よりも先端側に直線移動部313が位置されている。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、光学部2の外側面の基端側端部よりも先端側まで支持部3を押し込むことができる。よって、支持部3の先端を好適に曲げることができる。
また、本実施形態では、支持部3の基端方向に偏らせた直線移動部313の先端側端部が曲面で形成されている。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、直線移動部313で支持部3を押している間、支持部3を直線移動部313の先端側端部に滑動させながら曲げることができる。
また、本実施形態の直線移動部313は、押出軸Aと直交する平面に対して押出軸Aから離れる方向(左方および右方のいずれか)に向けて傾斜した斜面を備える。この斜面は、押出軸Aからみて、直線移動部313の先端側端部から、支持部3の基端が位置する方向とは反対の方向に伸びるように形成している。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は左側陥没部319を備える。左側陥没部319は、直線移動部313のうち支持部3の基端に接続され、押出軸Aの基端方向に陥没している。左側陥没部319を備えることで、プランジャー300と本体部100の内壁との間に支持部3を挟み込んで射出することができる。一定の方向に眼内レンズ1を復元させることができ、眼内レンズ1を好適に射出することができる。
<3−6.作用及び効果:6>
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は当接部157を備える。当接部157は、押出軸Aから離れた左右各々の位置に少なくとも設けられ、通路上を通過する光学部2の側面の異なる箇所に当接する。2つの当接部157が眼内レンズ1に与える左右各々の方向からの応力は、眼内レンズ1の右側と左側とで異なる。したがって、例えば、押し出し中の眼内レンズ1が、後方支持部3Bの復元応力によって大きく回転してしまう動作を、2つの当接部157によって抑制することができる。
眼内レンズ1に与える応力を右側と左側とで異ならせることで、支持部3を曲げた眼内レンズ1を押す際に、眼内レンズ1の意図しない変形が抑制される。例えば、眼内レンズ1を押出軸Aの先端方向へ移動する際に、眼内レンズ1が片側の内壁に寄ってしまう現象を低減することができる。したがって、設置部130でプランジャー300と内壁の間に眼内レンズ1が挟まる不具合を抑制することができる。また、例えば、眼内レンズ1を左右応力が異なる当接部157に当接させることで、当接部157に当接した眼内レンズ1を応力が低減される方向に誘導させることができる。したがって、支持部3を曲げられた眼内レンズ1が寄り易い方向(本実施形態の場合、後方支持部3Bの根元部4が位置される側の内壁)とは反対方向に、眼内レンズ1の進行方向を局所的に変更することができ、設置部130でプランジャー300と内壁の間に眼内レンズ1が挟まる不具合を抑制することができる。
また、本実施形態では、右側の当接部157Aと左側の当接部157Bは、形状、大きさ、及び押出軸Aからの距離の少なくともいずれかが互いに異なる。したがって、右側と左側の応力を異ならせて生じさせることができる。なお、当接部157の眼内レンズ1に当接させる面の、表面粗度または表面コーティングを当接部157Aと当接部157Bとで変えることで眼内レンズ1に左右異なる応力を与えてもよい。
また、本実施形態の当接部157は、先端へ向かうほど押出軸Aとの距離が近づく斜面を備える。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、眼内レンズ1を斜面で滑動させながら眼内レンズ1を押し出すことができる。よって、少ない押出力で眼内レンズ1を先端方向に押し出すことができる。また、当接部157を簡単な構造で形成することができる。
また、本実施形態では、押出軸Aに直行する同一平面上であって押出軸Aの右側と左側の各々に斜面が配置されている。したがって、眼内レンズ1の係止と眼内レンズ1の進行とを、共に複雑な構造を設けることなく行うことができる。
また、本実施形態では、右側の斜面と左側の斜面とで、押出軸Aから斜面までの距離が異なる。したがって、左右異なる応力を生じさせることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、曲げられた支持部3の基端が位置する側からの応力を、反対側からの応力よりも大きくしている。したがって、支持部3を曲げた眼内レンズ1を押し出す最中に、眼内レンズ1が意図せぬ変形を生じることを抑制できる。
また、本実施形態では、当接部157を押出軸Aに対して非対称な形状で形成したことで、複雑な構造を設けることなく押し出し中の眼内レンズ1の回転を抑制することができる。
<3−7.作用及び効果:7>
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は変形ガイド部146を備える。変形ガイド部146は、移動部301によって変形移動される支持部3を所定の形状に曲げる。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、支持部3を曲げる際、又は支持部3を曲げた眼内レンズ1を押し出す際に、変形形状のばらつきを抑え、支持部3を好適な形状に曲げることができる。
また、本実施形態の変形ガイド部146は、本体部100の内壁を陥没又は突出させることで形成されている。したがって、複雑な機構を設けることなく変形ガイド部146を設けることができる。例えば、樹脂成型によって容易に製造することができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、本体部100の光学面2Aと面する側の内壁に変形ガイド部146を備える。したがって、例えば、光学面2Aと面する位置(本実施形態では光学面2Aの上方)に好適に支持部3を曲げることができる。
また、本実施形態の変形ガイド部146は、押出軸Aの先端方向に伸びるように形成されている。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aの先端方向に移動する支持部3を好適な形状に曲げることができる。
また、本実施形態の変形ガイド部146は、押出軸Aの基端方向を向いて傾斜した傾斜ガイド面146Bを備える。したがって、変形ガイド部146は、押出軸Aの先端方向に移動する支持部3を容易に好適な形状に曲げることができる。
また、本実施形態の変形ガイド部146は、押出軸Aと平行に伸びる平行ガイド面146Aを備える。したがって、変形ガイド部146は、押出軸Aの先端方向に移動する支持部3に当接することで、支持部3を好適な形状に曲げることができる。
また、本実施形態では、傾斜ガイド面146Bと平行ガイド面146Aとが連結されている。したがって、変形ガイド部146は、眼内レンズ1の進行位置に応じて支持部3を好適な形状に曲げることができる。変形形状を補正することもできる。
<3−8.作用及び効果:8>
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、変形部(本実施形態では第一接触部175A,175B)、及び移動部301を備える。変形部は、眼内レンズ1の中心平面Pに対して交差する方向に可動することで、光学部2から延びる1又は複数の支持部3の少なくともいずれかを、中心平面からずらした状態で待機位置に位置決めする。移動部301は、変形部によって待機位置に位置決めされた支持部3を、光学部2に近づく方向に移動させる。
言い換えるなら、本実施形態の変形部は、載置面(本実施形態では、第二接触部176A,176Bの上面)に対して交差する方向に可動することで、光学部2から延びる支持部3の少なくともいずれかを、載置面からの高さが異なる各々の待機位置に位置決めする。
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、変形部と移動部301によって、光学部2の周囲から外側に伸びる支持部3を容易に曲げることができる。また、容易に支持部3を中心平面Pからずらして待機位置に位置決めすることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は第一接触部175A,175Bを備える。第一接触部175A,175Bは、支持部3の少なくとも一部に接触しながら移動することで、支持部3を待機位置に移動させる。したがって、支持部3を安定して待機位置へ位置させることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は第二接触部176A,176Bを備える。第二接触部176A,176Bは、光学部2の少なくとも一部に接触しながら移動することで、光学部2の位置決めを行う。したがって、光学部2を安定して位置決めすることができる。
また、本実施形態の第二接触部176は、光学部2を押出軸A上に移動させる。支持部3の変形と光学部2の移動を連携することで、支持部3をずらした眼内レンズ1の光学部2を容易に押出軸A上に位置させることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、押出軸Aから離間した位置で光学部2を保持する保持部160を備える。また、第二接触部176は、保持部160によって保持された光学部2に接触して移動することで、光学部2を押出軸A上に移動させる。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、光学部2を押出軸A上に移動させつつ、支持部3を適切な位置(つまり、中心平面Pからずれた位置)に位置決めすることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、第一接触部と第二接触部176を共に保持するベース部171を備えている。したがって、使用者は、ベース部171を可動させるだけで眼内レンズ1を移動させることができる。
また、本実施形態では、第一接触部175のうち支持部3に接触する部位と、第二接触部176のうち光学部2に接触する部位とが、中心平面Pに交差する方向にずれている。したがって、支持部3を待機位置に位置させると、光学部2がずれた位置に位置される。
また、本実施形態のベース部171は、回転軸を中心に回転することで、中心平面Pに交差する方向に移動する。したがって、使用者は、ベース部171を回転させるだけで、光学部2に対して支持部3をずらすことができる。製造者は、眼内レンズ挿入器具10を安く提供できる。
<3−9.作用及び効果:9>
本実施形態の眼内レンズ挿入器具10は、位置決め部185と移動ガイド部186を備える。位置決め部185は、中心平面Pからずれた位置に支持部3を位置決めする。移動ガイド部186は、移動部301による支持部3の移動をガイドする。詳細には、移動ガイド部186は、支持部3と中心平面Pの距離を一定に保った状態で、支持部3の移動をガイドする、又は、支持部3が設置部130に近づく程、支持部3が中心平面Pに近づくように、支持部3の移動をガイドする。したがって、支持部3が光学部2に近づくように移動する途中、支持部3が意図しない形状に変形してしまう不具合が抑制される。
また、本実施形態の移動部301は、直線に沿って移動して支持部3を押し出すことで支持部3を移動させる直線移動部313を含む。したがって、眼内レンズ挿入器具10は、簡単な機構で支持部3を曲げることができる。
また、本実施形態の眼内レンズ挿入器具10の押出部材310は、直線移動部313と光学部接触部314を備える。したがって、使用者は、押出部材310を押し込むだけで、タッキングと、光学部2の押し込みとを共に行うことができる。
また、本実施形態では、移動ガイド部186のうち支持部3に接触する接触部位が、面又は稜線で形成されている。したがって、支持部3の移動を滑らかにガイドすることができる。
また、本実施形態の移動ガイド部186は、支持部3の一部に接触する第一ガイド部と、支持部3のうち第一ガイド部が接触する部分よりも支持部3の基端側の部分に接触する第二ガイド部とを含む。したがって、移動ガイド部186は、支持部3の移動を複数個所でガイドすることができる。中心平面Pからずらした支持部3の形状が安定する。
また、本実施形態では、押出軸Aに垂直かつ中心平面Pに平行な左右方向において、第一ガイド部及び第二ガイド部一方は押出軸Aの右方に位置し、他方は押出軸Aの左方に位置する。したがって、移動ガイド部186は、押出軸Aの左右位置で支持部3に接触することができ、タッキングが安定する。
また、本実施形態では、第一ガイド部と中心平面Pの距離が、第二ガイド部と中心平面Pの距離よりも大きい。したがって、支持部3を適切に傾斜させながら、光学部2からずらした位置に支持部3を位置決めすることができる。
<4.その他>
本実施形態では、眼内レンズ1が製造時に予め充填されるプリセット型の眼内レンズ挿入器具10を用いて説明した。しかし、本実施形態で例示した技術が適用できるのは、プリセット型の眼内レンズ挿入器具10に限るものではない。例えば、使用現場で眼内レンズ1を眼内レンズ挿入器具10に充填する非プリセット型の眼内レンズ挿入器具10であってもよい。
また、挿入部180の先端から設置部130の基端までを有するカードリッジを形成し、カードリッジと、眼内レンズ1を押すための押出手段とを組み合わせて眼内レンズ挿入器具10を製造してもよい。この場合、本実施形態で例示した押出部材310を押出手段として用いてもよい。また、本実施形態で例示した押出部材310をカートリッジに装着し、カートリッジの押出部材310を押出手段によって押してもよい。
なお、「押出軸Aと平行な方向に直線移動する直線移動部313」との表現は、直線移動部313が全ての区間で厳密に直線移動することを示すものではない。例えば、プランジャー300は、挿入部180の先端に向かう際の所定の区間において、押出軸Aから離れる方向に移動してもよい。また、プランジャー300の先端をカーブ形状に沿って(例えば弧を描くように)進行させてもよい。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、今回開示された実施形態の構成全てを適用しなくてもよいと考えられるべきである。言い換えるなら、今回開示された実施形態の構成の一部のみを適用してもよい(つまり、今回開示された実施形態が備える複数の技術的特徴の一部のみを実施してもよい)。例えば、変形ガイド部146だけを適用してもよい。
また、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びこれと均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 眼内レンズ挿入器具
100 本体
110 本体筒部
130 設置部
150 天板部
160 保持部
170 セット部
180 挿入部
300 プランジャー
350 軸基部
370 押圧部

Claims (2)

  1. 先端にノズル部を有する筒状の本体部の内部に棒状の押出部材を押出軸に沿って進行させることで光を屈折させる光学面を有する光学部と前記光学部の周囲から外側に延びる一つまたは複数の支持部とを有する変形可能な眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具であって、
    前記ノズル部より基端側に設けられ、前記ノズル部に向けて先細りとなる内壁を有する先細り部と、
    前記先細り部より基端側に設けられ、前記押出部材によって押し出される前の前記光学部が設置される光学部設置部と、
    前記先細り部と前記光学部設置部との間に設けられ、前記光学部設置部から前記先細り部にかけて、前記光学部の幅以上の幅の通路が形成される通路部とを備え、
    前記光学部設置部において前記光学部の一方の光学面が当接される通路壁を第一底面とし、該第一底面と前記先細り部の底面とを接続する前記通路部の通路壁を第二底面とし、
    前記第二底面は、前記押出軸の方向から見た場合に前記押出軸から遠ざかる方向に向けて凹状に歪曲する歪曲部が形成され、基端側から先端側に向けて前記歪曲部の歪曲量が増加する形状である、
    ことを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
  2. 請求項1に記載の眼内レンズ挿入器具であって、
    前記先細り部の基端は前記通路部と滑らかに接続される形状で形成されていることを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
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