本発明の実施の形態による切断機の一例である卓上丸鋸1について、図1乃至図7を参照しながら説明する。卓上丸鋸1は、木材やアルミサッシ等(被切断材)を切断するための電動式の切断機であり、図1及び図2に示されているように、ベース部2、ホルダ3、丸鋸刃Pを装着可能な切断部4、モータ5、トーションバネ6、付勢力調整部7を含んで構成されている。
以下の説明において、図1に示されている「上」を上方向、「下」を下方向、「右」を右方向、「左」を左方向と定義する。また、図1において紙面から手前に向かう方向を前方向、紙面から奥に向かう方向を後方向と定義する。本明細書において寸法、数値等について言及した場合には、当該寸法及び寸法等と完全に一致する寸法及び数値だけでなく、略一致する寸法及び数値等(例えば、製造誤差の範囲内である場合)を含むものとする。「同一」、「直交」、「平行」、「一致」、「面一」、「一定」等についても同様に「略同一」、「略直交」、「略平行」、「略一致」、「略面一」、「略一定」等を含むものとする。
図1及び図2に示されているように、ベース部2は、ベース21と、ターンテーブル22と、フェンス23とを有している。ベース部2は、本発明における「ベース部」の一例である。
ベース21は、金属製であり、床面等に載置可能な部分である。ターンテーブル22は、金属製であり、上面に直交する図示せぬ回動軸を介してベース21と接続され、図1に示されているように、当該上面がベース21の上面と面一となるように配置されている。ベース21の上面とターンテーブル22の上面とによって被切断材(被加工材)を載置可能な載置面2Aが規定されている。ベース21及びターンテーブル22には、切断作業時に切断部4が下降(揺動)した際に、丸鋸刃Pの進入を許容する図示せぬ溝部が形成されている。載置面2Aは、本発明における「載置面」の一例である。
フェンス23は、ベース21に設けられ、載置面2Aに直交する押さえ面23aを有している。被切断材を切断加工する際には、フェンス23の押さえ面23aに被切断材の一面を当接させることによって、安定した切断加工を行うことが可能となる。
図1及び図2に示されているように、ホルダ3は、ベース21と切断部4との間に設けられている。ホルダ3は、ベース部2に対して傾動可能にベース部2に支持されるとともに、切断部4をベース部2に対して傾動可能且つ揺動可能に支持している。ホルダ3は、傾動軸31と、基部32と、揺動軸33とを有している。ホルダ3は、本発明における「支持部」の一例である。
傾動軸31は、ターンテーブル22の後部において、ベース部2の載置面2Aと平行且つ前後方向に延びており、基部32をベース部2に対して左右方向に傾動可能に支持している。
基部32は、ターンテーブル22の後部に位置している。基部32には、ホルダ3が支持する切断部4の傾動角度(正面視において切断部4がベース部2の載置面2Aに対して傾く角度)を所望の傾動角度で固定するための図示せぬクランプレバーが設けられている。揺動軸33は、左右方向に延びる略円筒形状をなし、基部32及び切断部4のそれぞれに形成された挿通孔に挿通されている。これにより、切断部4は、ホルダ3にベース部2に対して揺動軸33の軸心を中心に揺動可能に支持されている。基部32及び揺動軸33の詳細な構成については、後述する。
図1に示されているように、トーションバネ6は、上下方向及び左右方向において切断部4及びホルダ3の基部32によって囲まれた空間内に位置している。トーションバネ6は、ベース部2に対して切断部4を離間させる方向に切断部4を付勢している。以下の説明においては、特に断らない限り、ベース部2に対して切断部4が最も離間した状態(図2に示されている状態)を基準に説明を行う。また、本明細書中において、ベース部2に対して切断部4が最も離間した状態における切断部4の位置(図2参照)を上死点位置とし、ベース部2に対して切断部4が最も近接した状態における切断部4の位置(図5参照)を下死点位置とする。切断部4は、ベース部2と最離間する上死点とベース部2と最近接する下死点との間で揺動可能にホルダ3に支持されている。なお、本実施の形態において、トーションバネ6の付勢力は、切断部4がベース部2に対して揺動する角度に比例して大きくなるように構成されている。トーションバネ6の詳細な構成については、後述する。上死点位置は、本発明における「上死点」の一例であり、下死点位置は、本発明における「下死点」の一例である。
付勢力調整部7は、図2に示されているように、ホルダ3及び切断部4に支持されている。言い換えると、付勢力調整部7は、ホルダ3と切断部4との間に介在している。付勢力調整部7の詳細な構成については、後述する。
図1に示されているように、切断部4は、その下端部をなす被支持部41と、上部の外郭をなすハウジング42と、出力軸43とを有している。切断部4は、被支持部41形成された挿通孔にホルダ3の揺動軸33が挿通されることによりホルダ3にベース部2に対して揺動可能に支持されている。被支持部41のより詳細な構成については、後述する。
図1に示されているように、ハウジング42は、モータ収容部42A、ハンドル42B、ソーカバー42C及び保護カバー42Dを有している。
モータ収容部42Aは、左右方向に延びる略円筒形状に形成されている。モータ収容部42Aは、内部にモータ5を収容している。図1に点線で示されているモータ5は、交流整流子モータであり、左右方向に延びる回転軸51を有している。
ハンドル42Bは、作業者が切断部4を揺動又は傾動させる際に把持される部分であり、モータ収容部42Aに接続されている。ハンドル42Bには、モータ5の始動及び停止を制御する手動操作可能な図示せぬトリガスイッチが設けられている。
ソーカバー42Cは、丸鋸刃Pの上部を覆い、モータ収容部42Aの右端部に接続され、図示せぬ動力伝達機構を収容している。図示せぬ動力伝達機構は、モータ5の回転を減速して出力軸43に伝達する。
保護カバー42Dは、切断部4がベース部2から最も離間した位置に位置している場合において丸鋸刃Pの下部を覆っている(図2参照)が、ホルダ3と保護カバー42Dとの間に設けられた図示せぬリンク機構によって切断部4の揺動に連動して右側面視における反時計回りに回動し、丸鋸刃Pの下部を露出させる。
出力軸43は、左右方向に延びる略円柱形状をなしており、ハウジング42に回転可能に支承されている。出力軸43は、図示せぬ動力伝達機構を介してモータ5の回転軸51と連結されている。出力軸43の右端部には、ボルト及びフランジを介して丸鋸刃Pが固定される。出力軸43に丸鋸刃Pが固定された状態において、出力軸43と丸鋸刃Pとは、一体に軸線Aを中心として回転可能である。丸鋸刃Pは、本発明における「鋸刃」の一例である。
次に、図3及び図4を参照しながら、ホルダ3の基部32、揺動軸33、切断部4の被支持部41、トーションバネ6、付勢力調整部7の詳細な構成について説明する。
図3に示されているように、基部32は、略左右対称に構成され、右壁321と、左壁322とを有している。基部32の上部において、前後方向の略中央部には、右壁321及び左壁322を左右方向に貫通する挿通孔32aが形成されている。
図4に示されているように、右壁321の下部には、右壁321を左右方向に貫通し、円弧状をなす円弧溝321aが形成されている。右壁321の前部には、右壁321を左右方向に貫通する挿通孔32bが形成されている。また、左壁322の前部には、左壁322を左右方向に貫通し挿通孔32bと側面視において略重なる位置に挿通孔が形成されている。円弧溝321aは、本発明における「溝部」の一例である。
図1及び図3に示されているように、被支持部41は、略左右対称に構成されている。被支持部41の前後方向の略中央部には、被支持部41を左右方向に貫通する挿通孔41aが形成されている。挿通孔41aと基部32の挿通孔32aとは、略同径に形成され、前後方向及び上下方向において略同位置に位置している。被支持部41の右端部には、被支持部41の後壁に開口を形成するように前後方向に延びる挿通孔41bが形成されている。また、図4(b)に示されているように、被支持部41には、その後壁の内面から前方へ突出する被当接部411が設けられている。
図3に示されているように、揺動軸33は、左右方向に延びる略円筒形状をなしている。揺動軸33の内周面によって挿通孔33aが規定されている。揺動軸33の外径は、挿通孔32a及び挿通孔41aの直径と略同径に構成され、揺動軸33は、挿通孔32a及び挿通孔41aに挿通されている。揺動軸33の右部の後部には、揺動軸33の内部と外部とを連通するように揺動軸33を前後方向に貫通する挿通孔33bが形成されている。挿通孔33bと被支持部41の挿通孔41bとは、左右方向及び上下方向において略同位置に位置している。
図3及び図4に示されているように、付勢力調整部7は、伝達部71と、当接部72と、回動軸73とを有している。付勢力調整部7は、本発明における「調整部」の一例である。
図4に示されているように、伝達部71は、アーム部711と、リンク部712と、接続ピン713及び714とを有している。伝達部71は、本発明における「伝達部」の一例である。
図3に示されているように、アーム部711は、円柱部711Aと、アーム711Bとを有している。
円柱部711Aは、左右方向に延びる略円柱形状をなしている。円柱部711Aの外径は、揺動軸33の挿通孔33aの直径と略同径に構成されている。円柱部711Aは、揺動軸の挿通孔33aに右側から挿通されている。円柱部711Aの左部には、挿通孔711aが形成されている。挿通孔711aは、円柱部711Aの外周に開口を形成し、円柱部711Aの径方向において円柱部711Aの略中心部まで延びている。
挿通孔711aは、揺動軸33の挿通孔33b及び被支持部41の挿通孔41bと左右方向及び上下方向において略同位置に位置している。図3に示されているように、挿通孔33b、挿通孔41b及び挿通孔711aには、棒状のピン1Aが挿通されている。これにより、揺動軸33、被支持部41(切断部4)及びアーム部711は、軸線Bを中心として一体に回動可能に構成されている。
アーム711Bは、アーム部711の右端部をなし、前後方向に延びている。アーム711Bの前部には、アーム711Bを左右方向に貫通する挿通孔711bが形成されている。
図4に示されているように、リンク部712は、棒状に形成されている。リンク部712の一端部には、リンク部712の一端部を左右方向に貫通する挿通孔712aが形成され、他端部には、リンク部712の他端部を左右方向に貫通する挿通孔712bが形成されている。図3に示されているように、挿通孔712bは、アーム711Bの挿通孔711bと略同径に構成され、前後方向及び上下方向において略同位置に位置している。挿通孔711b及び挿通孔712bには、接続ピン713が嵌め込まれている。これにより、リンク部712は、接続ピン713を支点としてアーム部711に対して相対回動可能に構成されている。
図4(b)に示されているように、当接部72は、回動部721と、ローラ722とを有している。
回動部721は、側面視略L字状をなしている。回動部721は、第1部分721Aと、第2部分721Bとを有している。
第1部分721Aは、左右方向及び前後方向に延びる板状をなしている。第1部分721Aの後端部には、第1部分721Aを左右方向に貫通する挿通孔721aが形成されている。挿通孔721aは、リンク部712の挿通孔712aと略同径に構成され、前後方向及び上下方向において略同位置に位置している。挿通孔721aと挿通孔712aには、基部32の右壁321の円弧溝321aを介して接続ピン714が嵌め込まれている。これにより、リンク部712の他端部が円弧溝321aと左右方向において重なり合う範囲において、リンク部712と回動部721とは接続ピン714を支点として相対回動可能に構成されている。
第2部分721Bは、第1部分721Aの上面から上方に延出している。第2部分721Bの上端部には、第2部分721Bを左右方向に貫通する挿通孔721bが形成されている。図には表れていないが、第2部分721Bは、左右方向において略対称の右壁及び左壁を有するように構成され、挿通孔721bは、当該右壁及び左壁に略左右対称に設けられている。
ローラ722は、左右方向に延びる略円柱形状に形成されている。ローラ722の左右方向における側面には、左右方向に延出する回転軸722Aが略左右対称に設けられている。左右対称に設けられた回転軸722Aは、左右対称に設けられた第2部分721Bの挿通孔721bに挿通されている。これにより、ローラ722は、回動部721に対して回転可能に支承されている。
回動軸73は、左右方向に延びる円柱形状をなしており、第2部分721Bの右壁及び左壁に略左右対称に設けられている。回動軸73は、基部32の右壁321及び左壁322に左右対称に設けられた挿通孔32bに挿通されている。これにより、回動部721は、回動軸73を軸心として、ホルダ3に対して回動可能に支承されている。言い換えると、回動部721は、回動軸73に回動可能に設けられている。回動軸73は、本発明における「回動軸部」の一例である。
図3に示されているように、トーションバネ6は、コイル部61と、第1直線部62と、第2直線部63とを有している。トーションバネ6は、本発明における「弾性体」の一例である。第1直線部62は、本発明における「第1直線部」の一例であり、第2直線部63は、本発明における「第2直線部」の一例である。
コイル部61の内径は、揺動軸33の外径よりも僅かに大きく構成され、コイル部61は、揺動軸33の外周に巻回されている。
第1直線部62は、トーションバネ6の一端部をなし、コイル部61の径方向外方に突出する棒状をなしている。図4(b)に示されているように、第1直線部62は、当接部72のローラ722と当接し、付勢力を作用している。
第2直線部63は、トーションバネ6の他端部をなし、コイル部61の径方向外方に突出する棒状をなしている。図4(b)に示されているように、第2直線部63は、被支持部41の被当接部411と当接し、付勢力を作用している。
本実施の形態においては、トーションバネ6は、第1直線部62が付勢力調整部7のローラ722と当接し、且つ、第2直線部63が切断部4の被当接部411と当接することによりホルダ3と切断部4とを互いに離間する方向に付勢している。
次に卓上丸鋸1を用いた切断作業について説明する。
作業者が切断作業を行う場合、ベース部2の載置面2Aに被切断材を載置した状態でハンドル42Bを把持し、ハンドル42Bを把持した手の指でトリガスイッチに対して始動操作(引操作)を行うことによってモータ5を駆動させる。モータ5が駆動を開始すると、モータ5の回転軸51が回転し図示せぬ動力伝達機構を介して出力軸43が回転を開始する。この出力軸43の回転に伴い、出力軸43に支持された丸鋸刃Pが軸線Aを中心に回転する。
この状態において、載置面2Aに対して直角な切断角度で被切断材を切断する場合には指でトリガスイッチを押し込んだ状態のままでハンドル42Bをトーションバネ6の付勢力及び被切断材の切断に伴う負荷に抗して押下げて、切断部4を揺動させる。これにより、ベース部2に載置された被切断材が回転中の丸鋸刃Pによって載置面2Aに対して直角な切断角度で切断される。
これに対し、ベース部2の載置面2Aに対して直角でない切断角度で被切断材を切断する場合には、作業者はホルダ3のクランプレバーを操作してホルダ3のベース部2に対する固定を解除する。この状態において、作業者は、把持しているハンドル42Bを右方へと移動させる。ハンドル42Bの右方への移動に伴い、ホルダ3及び切断部4が傾動軸31の軸心を中心に傾動する。この状態において、作業者は、クランプレバーを用いて所望の傾動角度でホルダ3をベース部2に対して固定し、切断部4を揺動させて切断作業を行う。
次に、付勢力調整部7の動作及び当該動作とトーションバネ6の付勢力との関係について、図16に示される従来の卓上丸鋸と比較しながら詳細に説明する。また、適宜、図15に示されているグラフを参照する。図15は、丸鋸刃の回転軸心と揺動軸がベース部の載置面に対してなす角度と、切断部4を上死点位置から下死点位置まで揺動させる場合に作業者の受ける力との関係を示すグラフである。なお、以下の説明において、丸鋸刃Pの回転軸心Aと揺動軸がベース部の載置面に対してなす角度のことを「揺動角度」と言い表す。言い換えると、「揺動角度」とは、揺動軸33の軸線Bと丸鋸刃Pの回転軸心Aとを結んだ仮想直線Xと軸線Bを通りベース部2の載置面2Aに平行な仮想直線Yとのなす角度である。
図16に示されている、従来の卓上丸鋸においては、本実施の形態における付勢力調整部7に相当する構成は設けられておらず、トーションバネ96の第1直線部962は、ホルダ93の被当接部931に当接している。被当接部931は、ホルダ93の他の構成要素と一体に形成され、当該他の構成要素に対して相対移動不能に構成されている。また、トーションバネの第2直線部963は、切断部94の被当接部941に当接している。
ここで、従来の卓上丸鋸の切断部94をベース部92に対して上死点位置から下死点位置に向けて揺動させる場合には、トーションバネ96の第1直線部962がホルダ3の他の構成要素に対して相対移動不能な被当接部931に当接しているため、トーションバネ96の圧縮角度の変化量は、切断部94の揺動角度の変化量に略等しかった。より具体的には、切断部94が揺動する場合において、トーションバネ96の第1直線部962と第2直線部963とのなす角度の変化(図16中の角度β1´と角度β2´との差分)は、揺動軸933の軸心と丸鋸刃の回転軸心とを結んだ仮想直線と揺動軸933の軸心を通りベース部92の載置面に平行な仮想直線とのなす角度の変化に略等しくなっていた。このような場合には、トーションバネの付勢力は圧縮量に比例して大きくなるため、図15に点線で示されているように、作業者の手にかかる負担は切断部をベース部に近接させる方向に移動させるに伴い急激に増加してしまっていた。
特に、切断部をベース上面と平行にスライドさせて切断する切断機の場合には、作業者は切断部をベース部に最近接させた下死点位置で維持しながらスライドさせる必要があり、作業者に疲労が蓄積し作業を継続することが困難になってしまう可能性があった。
なお、切断部の揺動に伴い、トーションバネの圧縮方向(下方向)と切断部の重力方向とが略一致し、トーションバネが切断部の自重により圧縮されるため、図15に示されているように、揺動角度が大きい領域においては揺動角度の変化に対して作業者の受ける力の変化の割合が小さくなっている。
一方で、本実施の形態における卓上丸鋸1の切断部4をベース部2に対して上死点位置から下死点位置まで揺動させる場合には、図5乃至7に示されているように、被支持部41及び揺動軸33と一体にアーム部711が、軸線Bを中心に図5乃至7における時計回り方向に回動する。この状態において、図7に示されているように、アーム711Bの前端部が下方に移動することに伴い、アーム711Bと接続ピン713で接続されたリンク部712の一端部がアーム711Bの前端部に対して僅かに回動しながら下方に移動する。これと同時に、リンク部712の他端部が基部32の円弧溝321aと重なり合いながら円弧溝321aに沿って下方へ移動する。
この状態において、図6(b)及び図7(b)に示されているように、リンク部712の他端部と接続された回動部721の第1部分721Aの後端部が下方に移動することに伴い、回動部721は回動軸73を中心に反時計回り方向に回動する。このときに、図7(b)に示されているように、ローラ722がトーションバネ6の第1直線部62の外周面を転がりながら下方に移動することに伴い、ホルダ3に対する第1直線部62とローラ722との当接点は下方に移動する。言い換えると、ホルダ3に対する付勢力調整部7とトーションバネ6との当接位置が下方に変化している。また、伝達部71は、切断部4のホルダ3に対する相対移動に伴い当接部72の姿勢を変化させることにより当接位置を変更する。
この状態において、トーションバネ6の圧縮角度の変化量は、切断部4の揺動角度の変化量よりも小さくなる。つまり、図7(b)に示されているように、第1直線部62が下方に移動することにより、当該移動量の分だけ圧縮量が緩和されている。より具体的には、切断部4が揺動する場合において、トーションバネ6の第1直線部62と第2直線部63とのなす角度の変化(図7(b)中の角度β1と角度β2との差分)は、揺動軸33の軸線Bと丸鋸刃Pの回転軸心Aとを結んだ仮想直線Xと軸線Bを通りベース部2の載置面2Aに平行な仮想直線Yとのなす角度の変化(図2中の角度α1と図5中の角度α2との差分)よりも小さくなっている。これにより、図15に破線で示されているように、従来例と比較して、切断部の揺動に伴い作業者の手にかかる負担が切断部をベース部に近接させる方向に移動させるに伴い増加してしまうことが抑制されている。つまり、付勢力調整部7は、ホルダ3に対するトーションバネ6との当接位置を変化させることによりトーションバネの付勢力の上昇を抑えるように構成されている。これにより、作業者に疲労が蓄積することが抑制されるため、作業性が向上する。なお、本実施の形態においては、従来例と比較して、下死点におけるトーションバネ6の圧縮量を約25パーセント抑えることが可能である。仮想直線Xは、本発明における「第1仮想直線」の一例であり、仮想直線Yは、本発明における「第2仮想直線」の一例である。
本実施の形態においては、切断部4がベース部2に近接する方向に上死点位置と下死点位置との間の任意の範囲で揺動する際に、ホルダ3に対するトーションバネ6と付勢力調整部7との当接位置を変化させることによりトーションバネ6の付勢力の上昇を抑えることが可能に構成されている。つまり、本実施の形態においては、上死点位置から下死点位置までの全揺動範囲においてトーションバネ6の付勢力の上昇を抑制することが可能である。なお、本実施の形態においては、上死点位置と下死点位置までの全揺動範囲においてトーションバネ6の付勢力の上昇を抑制することが可能であるが、少なくとも上死点位置と下死点位置との間の少なくとも所定範囲においてトーションバネの付勢力の上昇を抑制するように構成しても良い。
なお、作業者がハンドル42Bから手を離すと、切断部4は、トーションバネ6の付勢力により上死点位置に復帰する。より具体的には、図7に示されているように、トーションバネ6の付勢力により第2直線部63と当接する被支持部41(切断部4)が揺動軸33及びアーム部711と一体に上死点位置に向けて回動する。この状態において、アーム711Bの前端部が上方に移動することに伴い、アーム711Bと接続ピン713で接続されたリンク部712の一端部がアーム711Bの前端部に対して僅かに回動しながら上方に移動する。これと同時に、リンク部712の他端部が基部32の円弧溝312aと重なり合いながら円弧溝312a に沿って上方へ移動する。
この状態において、リンク部712の他端部と接続された回動部721の第1部712Aの後端部が上方に移動することに伴い、回動部721は回動軸73を中心に時計回り方向に回動する。このときに、ローラ722がトーションバネ6の第1直線部62の外周面を転がりながら上方に移動することに伴い、ホルダ3に対する第1直線部62とローラ722との当接点は上方に移動する。
次に、図8乃至図10を参照しながら、本発明の第2の実施の形態による切断機の一例である卓上丸鋸について説明する。第2の実施の形態にかかる卓上丸鋸は、基本的に第1の実施の形態にかかる卓上丸鋸1と同一の構成を有しており、卓上丸鋸1と同一の構成については同一の参照番号を付し説明を適宜省略し、相違する構成について主に説明する。
図8に示されているように、第2の実施の形態にかかる卓上丸鋸においては、付勢力調整部7に替えて付勢力調整部17が設けられている。なお、その他の構成については、第1の実施の形態にかかる卓上丸鋸1と同一の効果を奏する。
付勢力調整部17は、伝達部171と、当接カム172と、回動軸173とを有している。付勢力調整部17は、本発明における「調整部」の一例である。
伝達部171は、第1ギヤ1711と、第2ギヤ1712とを有している。伝達部171は、本発明における「伝達部」の一例である。
第1ギヤ1711は、側面視略扇状に形成され、その円弧部分には複数のギヤ歯が設けられている。第1ギヤ1711は、揺動軸33に接続され、被支持部41(切断部4)及び揺動軸33と一体に回動可能に構成されている。
第2ギヤ1712は、側面視略扇状に形成され、その円弧部分には第1ギヤ1711の複数のギヤ歯と噛合する複数のギヤ歯が設けられている。また、第2ギヤ1712には、回動軸173が接続され、回動軸173の軸心を中心に回動可能に基部32に支持されている。
当接カム172は、左右方向に延び、側面視略卵形状に形成されている。当接カム172は、本発明における「当接部」の一例である。
回動軸173は、左右方向に延びる略円柱形状に形成され、当接カム172の右側面及び左側面において略左右対称に設けられている。回動軸173は、上下方向における当接カム172の中央部から下方にずれた位置に位置している。回動軸173は、ホルダ3に対して回転可能に支承されている。また、回動軸173は、当接カム172と一体に形成され、回動軸173、当接カム172及び回動軸173に接続された第2ギヤ1712は、一体に回動可能である。回動軸173は、本発明における「回動軸部」の一例である。
なお、本実施の形態において、切断部4が上死点位置にある場合には、図8に示されているように、回動軸173から最も離れた当接カム172の端面172Aが、回動軸173に対して略上方に位置し、端面172Aとトーションバネ6の第1直線部62が当接するように構成されている。
次に、付勢力調整部17の動作及び当該動作とトーションバネ6の付勢力との関係について説明する。
図8乃至図10に示されているように、切断部4を揺動させると、被支持部41及び揺動軸33と一体に第1ギヤ1711が、軸線Bを中心に図8乃至図10における時計回り方向に回動する。この状態において、図10に示されているように、第1ギヤ1711が時計回り方向に回動することに伴い、第1ギヤ1711と噛合する第2ギヤ1712が反時計回り方向に回動する。
このときに、図10(b)に示されているように、第2ギヤ1712と一体に当接カム172が回動軸173を中心に反時計回り方向に回動する。この状態において、当接カム172の端面172Aが後方且つ下方に移動するため、回動軸73の上方において、端面172Aと比較して回動軸173から近い当接カム172の端面とトーションバネ6の第1直線部62とが当接する。これにより、ホルダ3に対する第1直線部62と当接カム172との当接点は下方に移動する。言い換えると、ホルダ3に対する付勢力調整部7とトーションバネ6との当接位置が下方に変化している。
この状態において、トーションバネ6の第1直線部62と第2直線部63とのなす角度の変化は、揺動軸33の軸線Bと丸鋸刃Pの回転軸心Aとを結んだ仮想直線と軸線Bを通りベース部2の載置面2Aに平行な仮想直線とのなす角度の変化よりも小さくなる。これにより、図15に破線で示されているように、従来例と比較して、切断部の揺動に伴い作業者の手にかかる負担が切断部をベース部に近接させる方向に移動させるに伴い増加してしまうことが抑制されている。つまり、付勢力調整部7は、ホルダ3に対するトーションバネ6との当接位置を変化させることによりトーションバネの付勢力の上昇を抑えるように構成されている。これにより、作業者に疲労が蓄積することが抑制されるため、作業性が向上する。
本実施の形態においては、切断部4がベース部2に近接する方向に上死点位置と下死点位置との間の任意の範囲で揺動する際に、ホルダ3に対するトーションバネ6と付勢力調整部17との当接位置を変化させることによりトーションバネ6の付勢力の上昇を抑えることが可能に構成されている。つまり、本実施の形態においては、上死点位置から下死点位置までの全揺動範囲においてトーションバネ6の付勢力の上昇を抑制することが可能である。なお、本実施の形態においては、上死点位置と下死点位置までの全揺動範囲においてトーションバネ6の付勢力の上昇を抑制することが可能であるが、少なくとも上死点位置と下死点位置との間の少なくとも所定範囲においてトーションバネの付勢力の上昇を抑制するように構成しても良い。
次に、図11乃至図13を参照しながら、本発明の第3の実施の形態による切断機の一例である卓上丸鋸について説明する。第3の実施の形態による卓上丸鋸は、基本的に第1の実施の形態にかかる卓上丸鋸1と同一の構成を有しており、卓上丸鋸1と同一の構成については同一の参照番号を付し説明を適宜省略し、相違する構成について主に説明する。
図11に示されているように、第3の実施の形態にかかる卓上丸鋸においては、ホルダ3に替えてホルダ231が設けられ、切断部4に替えて切断部24が設けられ、付勢力調整部7に替えて付勢力調整部27が設けられている。なお、その他の構成については、第1の実施の形態にかかる卓上丸鋸1と同一の効果を奏する。
図11(b)に示されているように、ホルダ231は、基部232を有している。
基部232は、被当接部232Aを有している。被当接部232Aは、トーションバネ6の第1直線部62と当接している。ホルダ231は、本発明における「支持部」の一例である。
図11(a)に示されているように、切断部24は、被支持部241を有している。切断部24は、本発明における「切断部」の一例である。
被支持部241の後部は上方に突出し、当該後部の内面によってカム収容空間241bが画成されている。また、被支持部241には、円弧溝241aが形成されている。円弧溝241aは、本発明における「溝部」の一例である。
付勢力調整部27は、伝達部271と、当接カム272と、回動軸273とを有している。付勢力調整部27は、本発明における「調整部」の一例である。
伝達部271は、リンク部2711と、接続ピン2712及び2713とを有している。伝達部271は、本発明における「伝達部」の一例である。
リンク部2711は、棒状に形成されている。リンク部2711の一端部は、接続ピン2712によりホルダ231に接続され、これにより、リンク部2711は、ホルダ231に回動可能に支持されている。また、リンク部2711の他端部は、円弧溝241aを介して接続ピン2713によって当接カム272と接続されている。
当接カム272は、左右方向に延び、側面視略卵形状に形成されている。当接カム272は、被支持部241の内面によって画成されたカム収容空間241b内に位置している。当接カム272は、本発明における「当接部」の一例である。
回動軸273は、左右方向に延びる略円柱形状に形成され、当接カム272の右側面及び左側面において略左右対称に設けられている。回動軸273は、上下方向における当接カム272の中央部から下方にずれた位置に位置している。回動軸273は、切断部24に対して回転可能に支承されている。また、回動軸273は、当接カム272と一体に形成され、回動軸273及び当接カム272は、一体に回動可能である。回動軸273は、本発明における「回動軸部」の一例である。
なお、本実施の形態において、切断部24が上死点位置にある場合には、図11に示されているように、回動軸273から最も離れた当接カム272の端面272Aが、回動軸273に対して略前方に位置し、端面272Aと第2直線部63とが当接するように構成されている。
本実施の形態においては、トーションバネ6は、第2直線部63が付勢力調整部27の当接カム272と当接し、且つ、第1直線部62がホルダ231の被当接部232Aと当接することによりホルダ231と切断部24とを互いに離間する方向に付勢している。なお、本実施の形態においては、第2直線部63が本発明における「第1直線部」に相当し、第1直線部62が本発明における「第2直線部」に相当している。
次に、付勢力調整部27の動作及び当該動作とトーションバネ6の付勢力との関係について説明する。
図11乃至図13に示されているように、切断部24を揺動させると、リンク部2711の他端部は、円弧溝241aと重なり合いながら円弧溝241aに沿って、被支持部241に対して相対的に移動する。この状態において、図13(b)に示されているように、リンク部2711の他端部と接続ピン2713により接続された当接カム272が被支持部241に対して相対的に時計回り方向に回動する。このときに、当接カム272の端面272Aが被支持部241に対して相対的に下方に移動するため、回動軸273の前方において、端面272Aと比較して回動軸273から近い当接カム272の端面とトーションバネ6の第2直線部63とが当接する。これにより、被支持部241を基準とした付勢力調整部27とトーションバネ6との当接位置が略後方に変化している。
この状態において、トーションバネ6の第1直線部62と第2直線部63とのなす角度の変化は、揺動軸33の軸線Bと丸鋸刃Pの回転軸心Aとを結んだ仮想直線と軸線Bを通りベース部2の載置面2Aに平行な仮想直線とのなす角度の変化よりも小さくなる。これにより、図15に破線で示されているように、従来例と比較して、切断部の揺動に伴い作業者の手にかかる負担が切断部をベース部に近接させる方向に移動させるに伴い増加してしまうことが抑制されている。つまり、付勢力調整部27は、切断部4に対するトーションバネ6との当接位置を変化させることによりトーションバネ6の付勢力の上昇を抑えるように構成されている。これにより、作業者に疲労が蓄積することが抑制されるため、作業性が向上する。
本実施の形態においては、切断部24がベース部2に近接する方向に上死点位置と下死点位置との間の任意の範囲で揺動する際に、切断部24に対するトーションバネ6と付勢力調整部27との当接位置を変化させることによりトーションバネ6の付勢力の上昇を抑えることが可能に構成されている。つまり、本実施の形態においては、上死点位置から下死点位置までの全揺動範囲においてトーションバネ6の付勢力の上昇を抑制することが可能である。なお、本実施の形態においては、上死点位置と下死点位置までの全揺動範囲においてトーションバネ6の付勢力の上昇を抑制することが可能であるが、少なくとも上死点位置と下死点位置との間の少なくとも所定範囲においてトーションバネの付勢力の上昇を抑制するように構成しても良い。
次に、図14を参照しながら、本発明の第4の実施の形態による切断機の一例である卓上丸鋸について説明する。卓上丸鋸は、基本的に第3の実施の形態にかかる卓上丸鋸1と同一の構成を有しており、第3の実施の形態における卓上丸鋸と同一の構成については同一の参照番号を付し説明を適宜省略し、相違する構成について主に説明する。
図14に示されているように、第4の実施の形態にかかる卓上丸鋸においては、ホルダ231に替えてホルダ331が設けられ、切断部24に替えて切断部34が設けられ、付勢力調整部27に替えて付勢力調整部37が設けられている。なお、その他の構成については、第3の実施の形態にかかる卓上丸鋸1と同一の効果を奏する。ホルダ331は、本発明における「支持部」の一例である。
切断部34は、被支持部341を有している。切断部34は、本発明における「切断部」の一例である。
被支持部341の後部は上方に突出し、当該後部の内面によってカム収容空間341bが画成されている。また、被支持部341には、円弧溝341aが形成されている。円弧溝341aは、本発明における「溝部」の一例である。
付勢力調整部37は、伝達部371と、当接カム372と、回動軸373とを有している。付勢力調整部37は、本発明における「調整部」の一例である。
伝達部371は、リンク部3711と、接続ピン3712及び3713とを有している。伝達部371は、本発明における「伝達部」の一例である。
リンク部3711は、棒状に形成されている。リンク部3711の一端部は、接続ピン3712によって被支持部332に接続され、これにより、リンク部3711は、ホルダ331に回動可能に支持されている。また、リンク部3711の他端部は、円弧溝341aを介して接続ピン3713によって当接カム372と接続されている。円弧溝341aは、本発明における「溝部」の一例である。
当接カム372は、側面視において、図14(b)に示される形状に形成され、左右方向に延びている。当接カム372は、左右方向に延びる面372A、面372B及び面372Cを有している。また、当接カム372は、被支持部341の内面によって画成されたカム収容空間341b内に位置している。当接カム372は、本発明における「当接部」の一例である。
回動軸373は、左右方向に延びる略円柱形状に形成され、当接カム372の右側面及び左側面において略左右対称に設けられている。回動軸373は、上下方向における当接カム372の中央部から下方にずれた位置に位置している。回動軸373は、切断部34に対して回動可能に支承されている。また、回動軸373は、当接カム372と一体に形成され、回動軸373及び当接カム372は、一体に回動可能である。回動軸373は、本発明における「回動軸部」の一例である。
面372A、面372B及び面372Cは、左右方向に延びている。面372A、面372B及び面372Cは、側面視における回動軸373からの距離が互いに異なる。回動軸373から面372Aまでの距離は最も長く構成され、回動軸373から面372Cまでの距離は最も短く構成されている。回動軸373から面372Bまでの距離は、回動軸373から面372Aまでの距離よりも短く且つ回動軸373から面372Cまでの距離よりも長く構成されている。
なお、本実施の形態において、切断部34が上死点位置にある場合には、図14(b)に示されているように、面372Bが回動軸373に対して略前方に位置し、面372Bと第2直線部63とが当接するように構成されている。
本実施の形態においては、トーションバネ6は、第2直線部63が付勢力調整部27の当接カム372と当接し、且つ、第1直線部62がホルダ331の被当接部232Aと当接することによりホルダ331と切断部34とを互いに離間する方向に付勢している。なお、本実施の形態においては、第2直線部63が本発明における「第1直線部」に相当し、第1直線部62が本発明における「第2直線部」に相当している。
次に、付勢力調整部37の動作及び当該動作とトーションバネ6の付勢力との関係について説明する。
図14に示されているように、切断部34を揺動させると、リンク部3711の他端部は、円弧溝341aと重なり合いながら円弧溝341aに沿って、被支持部341に対して相対的に移動する。この状態において、図14(b)に示されているように、リンク部3711の他端部と接続ピン3713により接続された当接カム372が被支持部341に対して相対的に時計回り方向に回動する。このときに、側面視において回動軸373からの距離が最も長い面372Aが第2直線部63と当接する。これにより、被支持部341を基準とした付勢力調整部37とトーションバネ6との当接位置が略前方に変化している。
この状態において、トーションバネ6の第1直線部62と第2直線部63とのなす角度の変化は、揺動軸33の軸線Bと丸鋸刃Pの回転軸心Aとを結んだ仮想直線と軸線Bを通りベース部2の載置面2Aに平行な仮想直線とのなす角度の変化よりも大きくなる。図15に実線で示されているように、切断部34が上死点位置から切断開始位置まで揺動する範囲において、トーションバネ6の付勢力の上昇を促進させることが可能に構成されている。つまり、付勢力調整部37は、切断部34に対するトーションバネ6との当接位置を変化させることによりトーションバネ6の付勢力の上昇を促進可能に構成されている。
作業者が、切断部34を切断開始位置からさらに切断部34を揺動させると、図14(b)に示されているように、当接カム372が被支持部341に対して相対的に時計回り方向に回動する。このときに、側面視において回動軸373からの距離が最も短い面372Cが第2直線部63と当接する。このため、被支持部341を基準とした付勢力調整部37とトーションバネ6との当接位置が略後方に変化している。これにより、切断部34がベース部2に近接する方向に上死点位置から揺動する際に切断部34に対するトーションバネ6と付勢力調整部37との当接位置を変化させることによりトーションバネ6の付勢力の上昇を抑制させることが可能である。
本実施の形態においては、図15に実線で示されているように、切断部34が切断開始位置から下死点位置まで揺動する範囲において、トーションバネ6の付勢力の上昇を抑えることが可能に構成されている。言い換えると、上死点位置から下死点位置に向かう特定回動位置から下死点までを含む所定範囲においてトーションバネ6の付勢力を抑えることが可能に構成されている。
以上より、本実施の形態においては、切断部34がベース部2に近接する方向に揺動する際に、上死点位置を含む所定範囲以外の揺動範囲において、切断部34に対するトーションバネ6と付勢力調整部37との当接位置を変化させることによりトーションバネ6の付勢力の上昇を促進するように構成され、切断開始位置から下死点までの所定範囲においてはトーションバネ6の付勢力を一定とするように構成されている。これにより、作業者が上死点位置から切断部を揺動させる場合において、切断開始位置までの揺動により弾性体に蓄積されたエネルギーに起因する付勢力により好適に付勢された状態で被切断材に対する切り込みの位置の調整を精密に行うことが可能となる。なお、本実施の形態においては、トーションバネ6の一方の直線部が切断部34に当接するように構成されているが、ホルダ331に当接するように構成しても良い。
本実施の形態においては、切断機として卓上丸鋸を例に説明したが、本発明は卓上丸鋸以外のモータで駆動される切断機、例えば、定置式で使用するバンドソー等の切断機にも適用可能である。