上述のような切断機では、重量のある本体の角度を直接調節するため、角度調整が困難になる虞がある。また、重量のある本体の支持部において、変位・変形を許容する角度調整機構を備えるため、誤差も生じやすい。さらに、誤差を低減するためには、角度調整機構を大きく複雑なものとする必要があり、製造が難しい、若しくは製造コストが上昇しやすい等の課題があった。上記を踏まえ、本発明は、簡易な構造と簡便な操作によって切断刃の角度調整が可能な、操作性の優れた切断機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、モータと、該モータの回転により回転し切断刃を着脱可能に取付る出力軸と、該モータ及び該出力軸を支持するハウジングと、該ハウジングと接続され被加工材と当接可能な接触面を有するベースと、を有する切断機であって、該ハウジングは、第1ハウジングと、第2ハウジングと、を有し、該第1ハウジングは、該出力軸を軸支する第1軸受を有し、該第2ハウジングは、該出力軸を軸支する第2軸受を有し、該第1軸受に対する該第2軸受の位置を調整可能なように、該第1ハウジングに対する該第2ハウジングの位置を調整可能とする調整手段を備えることを特徴とする切断機を提供する。
このような構成の切断機によれば、第1ハウジングに対する第2ハウジングの位置を調整可能なことで、第1軸受と第2軸受の相対位置の調整が可能となる。これによりユーザは、出力軸の方向を変更することが出来る。そのためユーザは、出力軸に取付けられた切断刃と、接触面との角度を簡易な操作で調節することができる。なお、第1ハウジングと第2ハウジングの位置調整は、互いに水平に変位させて調整するものと、互いの角度を変更するものと、これらの複合したものとが考えられる。
また、このような構成の切断機は、従来技術にみられるようにハウジングやスライド機構等の方向を調整するのではなく、出力軸の方向を調整するという簡便な方法により、切断刃の角度調整を実現したものである。そのため質量の大きなハウジング等を移動させる必要がなく、簡易な構成によって誤差の生じにくい角度調整機構が実現できる。したがって、製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。
さらに、該第1軸受は、該出力軸に取付けられる第1内輪と、第1ハウジングに取付けられる第1外輪と、該第1内輪と該第1外輪間に設けられる複数のボールとを有するボールベアリングであり、該第2軸受は、該出力軸に取付けられる第2内輪と、第2ハウジングに取付けられる第2外輪と、該第2内輪と該第2外輪間に設けられる複数のボールとを有するボールベアリングであることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、軸受としてボールベアリングを使用することにより、内輪と外輪との軸心の方向が一致せずとも出力軸の回転を可能とする。したがって簡易な構成によって切断刃の角度調整機構が実現できる。
さらに該調整手段は該第1ハウジングと該第2ハウジングとを連結するとともに該第1ハウジングと該第2ハウジングとの互いの位置関係を調整可能な取付部材であることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、取付部材が第1ハウジングと第2ハウジングとを連結し、両者の相対位置関係が調整された状態で、第1ハウジングと第2ハウジングの相対的な変位を防ぐことが出来る。そのため、切断刃の角度が作業中に変化することが防がれ、加工精度を維持することが出来る。すなわち、作業の品質向上を図ることが出来る。また製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。
さらに、該取付部材は、該第1ハウジングに該第2ハウジングを取付けるように構成され、該取付部材を操作することで、該第1ハウジングに対する該第2ハウジングの位置を調整可能であることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、取付部材を操作することで、第1ハウジングに対する第2ハウジングの位置調整が可能となる。そのため、簡易な構造と操作で切断刃の角度調整が可能である。したがって、製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。
さらに、該取付部材は、少なくとも3個設けられ、少なくとも1つの該取付部材を操作することで、該第1ハウジングに対する該第2ハウジングの位置を調整可能であることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、取付部材を少なくとも3つとすることで、切断刃の角度調整を全ての方向について容易にすることが出来る。そのため、簡易な構造と容易な操作で、切断刃の全方向の角度調整が可能である。したがって、製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。
さらに、該取付部材は、該出力軸の軸方向に延びるねじ部材を有することが好ましい。
このような構成の切断機によれば、取付部材がねじを有することで、ドライバーなどの工具を用いた容易な操作で切断刃の角度調整を行うことが出来る。したがって、製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。
さらに、該取付部材は、該出力軸の直交方向に延びるねじ部材を有することが好ましい。
このような構成の切断機によれば、取付部材が出力軸の直交方向に延びているため、切断刃と干渉せずに調整を行うことが可能となる。したがって、製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。また、取付部材がねじを有することで、ドライバーなどの工具を用いた容易な操作で切断刃の角度調整を行うことが出来る。
さらに、該調整手段は、該第1ハウジングと該第2ハウジングとの間に位置し変形可能な介在部材をさらに有することが好ましい。
このような構成の切断機によれば、第1ハウジングと第2ハウジングとの間に介在部材が存在することにより、第1ハウジングと第2ハウジングの隙間に対応して介在部材が変形し、反力を発生させることが出来る。このことによって、第1ハウジングと第2ハウジングとの取付の緩みを防ぐことが可能となる。したがって、切断刃の角度が作業中に変化することが防がれ、加工精度を維持することが出来る。すなわち、作業の品質向上を図ることが出来る。また製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。
さらに、該介在部材は、弾性体であることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、第1ハウジングと第2ハウジングとの間の介在部材が板バネやゴム、樹脂などの弾性体であることにより、第1ハウジングと第2ハウジングの取付の緩みを防ぐことが可能となる。したがって、切断刃の角度が作業中に変化することが防がれ、加工精度を維持することが出来る。すなわち、作業の品質向上を図ることが出来る。また製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。
さらに、該第2ハウジングは該第1ハウジングに対して回転可能に設けられ、該第2軸受は、該第2軸受の軸心と該第2ハウジングの回転の中心とが一致しないように設置され、該第2ハウジングを第1ハウジングに対して回転させることで、該第2軸受の位置を該第1軸受に対して調整可能であることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、第2軸受を第2ハウジングに対して偏心して設けることで、第2ハウジングの回転によって第2軸受の位置調整が可能となる。したがって、切断刃を取り外すことなく簡易な操作で、切断刃の角度調整が容易である。また、簡易な構成によって切断刃の角度調整機構を実現できる。
さらに、該ハウジングは切断刃側の面と反切断刃側の面を有し、該ハウジングは、該取付部材が反切断刃側の面側から操作可能であるように構成されていることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、切断刃と干渉することなく調整作業が可能となる。そのため、ユーザは、切断刃を取り外すことなく簡易な操作で、切断刃と接触面との角度調整を行うことが出来る。また、製造が容易で製造コストが低廉な、切断刃と接触面との角度調整機構を実現できる。
さらに、該ベースと該切断刃との間に設けられて該ベース上で該ハウジングを支持する支持部をさらに有し、該ベースの該接触面は、該切断刃側に位置し、該支持部は、該ハウジングを該ベースに対して近接離間するように揺動可能に軸支する揺動支持部を有することが好ましい。
このような構成の切断機によれば、切断機が支持部と揺動支持部を有することで、ハウジングがベースから離間した状態とベースに近接した状態とを作り出すことが出来る。そのため、ユーザは、簡易な操作で被加工材を設置し、加工することが可能となる。また、そのような構成の切断機においても、製造が容易で製造コストが低廉な、切断刃と接触面との角度調整機構を実現できる。
さらに、該支持部は、該ベースから延びるホルダと、該ホルダに支持されて該接触面と平行に延びるスライドパイプとを有し、該ハウジングは、該スライドパイプに対してスライド可能に設けられていることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、ユーザは、切断刃をスライドパイプに対してスライドさせながら被加工材を切断することが可能となる。そのため、ユーザは、簡易な操作で被加工材を加工することが可能となる。また、そのような構成の切断機においても、製造が容易で製造コストが低廉な、切断刃又はスライド方向と接触面との角度調整機構を実現できる。
さらに、該支持部は、該ベースから延びるホルダと、該ホルダにスライド可能に支持されて該接触面と平行に延びるスライドパイプとを有し、該ハウジングは、該スライドパイプに固定されていることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、ユーザは、切断刃をホルダに対してスライドパイプと一体にスライドさせながら被加工材を切断することが可能となる。そのため、ユーザは、簡易な操作で被加工材を加工することが可能となる。また、そのような構成の切断機においても、製造が容易で製造コストが低廉な、切断刃又はスライド方向と接触面との角度調整機構を実現できる。
さらに、該ベースは該接触面上に、傾斜軸をさらに有し、該傾斜軸は、該傾斜軸の軸心を中心として該ハウジングが該接触面に対して傾斜することが可能なように、該ホルダを保持することが好ましい。
このような構成の切断機によれば、ユーザは、切断刃を接触面に対して傾斜させることが可能となる。そのため、ユーザは、簡易な操作で、被加工材を任意の角度の切断面で加工する、いわゆるべベル切断を行うことが可能となる。また、そのような構成の切断機においても、製造が容易で製造コストが低廉な、切断刃又はスライド方向と接触面との角度調整機構を実現できる。
さらに、該接触面は、該ベースに対して該ハウジングの反対側に位置し、該切断刃は該接触面に対して該ハウジングの反対側に突出し、該被加工材上で該ベースの該接触面を摺動させることで該切断刃が該被加工材を切断可能であることが好ましい。
このような構成の切断機によれば、切断機の持ち運びが可能となる。そのため、ユーザは、場所を選ばずに簡易な操作で被加工材を加工することが可能となる。また、そのような構成の切断機においても、製造が容易で製造コストが低廉な、切断刃と接触面との角度調整機構を実現できる。
本発明によれば、簡易な構造と簡便な操作によって切断刃の角度調整が可能な、操作性の優れた切断機を提供できる。
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る卓上切断機について、図1乃至図13に基づき説明する。図1に示される切断工具である卓上切断機1は、ベース部2と、支持部3と、ハウジング4と、により主に構成され、ハウジング4に切断刃7が装着され、ベース部2に対してハウジング4を切断刃7の側面に直交する方向に傾動可能、ベース部2に対して切断刃7を回転軸と直交する方向に揺動可能、更に後述のベース部2に対して切断刃7(ハウジング4)を上下方向に回動可能に構成されている。切断刃7は互いに平行な一側面及び他側面を有する円板状に構成されると共に、中央にボルトが貫通する貫通孔を有する基部と、基部の外周に被加工材である木材Wを切削する刃部を備えている。
ベース部2は、被ハウジング材である木材Wを担持するベース21と、ベース21上に後述の上下方向に伸びる図示せぬ回動軸で回動可能に担持されたターンテーブル22と、ベース21に設けられたフェンス23を有する。また、ベース21やターンテーブル22の上面は、木材W(図1)を載置する接触面25をなす。ベース21は、図2に示されるように、一対の左ベース21Aと右ベース21Bにより構成されている。これら左ベース21Aと右ベース21Bとが並んでいる方向を左右方向と定義し、ベース部2に対して接触面25がある方を上方、反対を下方と定義する。
図1及び図2に示されるように、ターンテーブル22は、右ベース21Bと左ベース21Aとの間に配置されている。ターンテーブル22は、略円台状のターンテーブル本体部22Aと、ターンテーブル本体部22Aから図示せぬ回動軸の軸方向と直交する一方に突出する突出部24と、ターンテーブル本体部22Aの他方に設けられて後述の支持部3を支持するハウジング支持部27により構成されている。この突出部24がターンテーブル本体部22Aより突出している方向であって左右方向と直交する方向を前方、反対を後方と定義する。
また、ターンテーブル22の上面には、ハウジング支持部27近傍位置から突出部24にかけて一連の図示せぬ溝部が形成されている。この図示せぬ溝部は、切断刃7(図1)が下方に揺動してターンテーブル22と交わった際の交線位置と同一位置にあり切断刃7の刃先が収容されて通過する箇所である。
図1及び図2に示されるように、突出部24には、ターンテーブル22のベース21に対する回動を規制する際の操作部となる規制操作部28が設けられている。規制操作部28は突出部24に支持されるとともに、突出部24から前方へと延出されて使用者が把持可能な把持部28Aと、把持部の回転操作により螺進退して突出部24内においてターンテーブル本体部22A方向及び反ターンテーブル本体部22A方向に移動可能で、ベース21に当接・離反可能な後端面を備えた規制部28Bを有する。規制部28Bの図示せぬ後端面がベース21に押圧されることで、ターンテーブル22がベース21に対して固定され、ターンテーブル22のベース21に対する回動が抑制される。
図1に示されるようにハウジング支持部27は、ターンテーブル22の図示せぬ回動軸に関して突出部24の反対位置(図示せぬ回動軸回りに180°回転した位置)に配置されている。即ち、ターンテーブル22の後端側に配置されている。ハウジング支持部27には、図示せぬ溝部の延長線上に位置する傾動軸部27Aと、最後端部から上方へ向けて直立する傾動支持部27Bとを有しており、図2に示されるように、傾動軸部27Aの左右両隣に、それぞれボルト27C、27Cがターンテーブル22の上面に螺合して設けられている。傾動軸部27Aは、本発明における傾斜軸に相当する。
傾動支持部27Bには図1及び図2に示されるように、前後方向に貫通し左右方向に延びる円弧状の長孔27bが形成されている。この長孔27b内に後述のクランプ31Aが挿入されている。傾動支持部27Bに形成された孔には、直角時の位置決め部材となるストッパピン29が装着されている。
図2に示されるボルト27C、27Cはそれぞれ後述のホルダ31と当接可能であり、ホルダ31の左右方向への最大傾動位置を規定している。
図1及び図2に示されるように、フェンス23は、ベース21上であって、ターンテーブル22の上方位置に設けられている。フェンス23は、図2に示されるように、左ベース21A及び右ベース21Bに対応して左フェンス23A及び右フェンス23Bを有し、左フェンス23A及び右フェンス23Bの前面は、互いに同一平面上に位置するように配置されて、木材W(図1)の位置を規定している。
図1、図2及び図11に示されるように、支持部3は、ホルダ31と、スライド支持部33と、揺動支持部35と、スライド部36により主に構成されている。ホルダ31は傾動軸部27Aによりハウジング支持部27に支持されている。ホルダ31には、クランプ31Aが螺合しており、クランプ31Aは、傾動支持部27Bの長孔27b(図2)に挿入され、クランプ31Aを締めることにより、ホルダ31が傾動支持部27Bに固定され、クランプ31Aを緩めることによりホルダ31が左右方向に傾動可能である。またクランプ31Aが長孔27bに挿入されているため、ホルダ31が傾動支持部27Bに対して傾動可能な角度は、クランプ31Aが長孔27b内で移動可能な範囲に限定される。
図1及び図2に示されるように、スライド支持部33は、二本のガイドバー33A、33B(図2)を有する。ガイドバー33A、33Bは、いずれも略同形のパイプ状を成し、図1に示されるように上下方向に並列してベース部2上面と平行かつそれぞれの軸方向が前後方向と一致するように、ホルダ31に固定されている。具体的には、これらガイドバー33A、33Bはそれぞれホルダ31に螺合した図示せぬボルトにより、ホルダ31に脱着不能に固定されている。なお、ガイドバー33A、33Bは、本発明におけるスライドパイプに相当する。
2本のガイドバー33A,33Bの前端部には、連結部材33Cが設けられている。連結部材33Cによって2本のガイドバー33A、33Bが互いに接続されている。具体的には、連結部材33Cには前後方向に延びる二つの孔が形成されており、この孔内に二本のガイドバー33A、33Bの前端部が挿入、固定される。
図1及び図2に示されるように、スライド部36は、前後方向に平行に延びる二本の貫通孔を有し、この貫通孔内に二本のガイドバー33A、33Bが挿入されている。このスライド部36が二本のガイドバー33A、33Bに対してスライドすることにより、揺動支持部35が前後移動可能になる。またスライド部36には、螺進してスライド部36内に突出可能なノブ36A(図2)が螺合している。よってノブ36Aを螺進させることにより、ガイドバー33A、33Bに対してスライド部36を固定することが可能である。 揺動支持部35は、図2に示されるように、前後方向矢視において上方に開口する略コの字形を成して一対の腕部35Bを有し、スライド部36と一体移動するように構成されており、一対の腕部35Bの間に軸35Aが渡されてハウジング4を揺動可能に軸支するように構成されている。また揺動支持部35には図示せぬバネが装着されており、ハウジング4が上方へと移動する(ベース部2の上面から離間する)ような付勢力をハウジング4に与えている。
ハウジング4は、揺動支持部35に軸支される第1ハウジング41と、第2ハウジング45と、ハンドル4Bとを有する。図3に示されるように第1ハウジング41は、ギア収容部41Aと、モータ収容部41Bと、ソーカバー41Cとを有する。ギア収容部41Aは、腕部35Bで揺動可能に支持され、図3に示されるように、内部にギア機構42と第1ボールベアリング43とを備えている。第1ボールベアリング43は本発明における、第1軸受に相当する。
図3に示されるようにギア機構42は、プーリ42Aと、プーリ42Aより小径かつプーリ42Aと同軸一体回転する第一ギア42Bと、第一ギア42Bより大径で第一ギア42Bと噛合する第二ギア42Cと、第二ギア42Cと同軸一体回転するスピンドル42D(図9)により構成されている。なお、スピンドル42Dは本発明における出力軸に相当する。第1ハウジング41にはねじ41Fにより支持部材41Gが固定され、支持部材41Gには軸受41Hが支持されている。プーリ42Aは、軸受41Hによって回転可能に支承された回転軸41Jと同軸一体回転可能に設けられている。プーリ42Aに関して軸受41Hの反対側には、第1ハウジング41に支持され回転軸41Jを支承するための軸受41Kが設けられている。そして、第一ギア42Bは、回転軸41Jと同軸一体回転可能に設けられている。第1ボールベアリング43は、その外輪が第1ハウジング41に固定されている。また、内輪は、スピンドル42Dに固定される。第1ボールベアリング43は、その外輪と内輪との間に、複数のボールを備える。
また図1に示されるように、ギア収容部41Aには、ハンドル4Bが接続され、ハンドル4Bには、モータ5の回転オン・オフを制御するトリガ4Cが設けられている。
ソーカバー41Cは、ギア収容部41Aの左側面に装着されており、切断刃7の上半分を覆うように構成されている。また、ソーカバー41C内にはソーカバー41Cから露出する切断刃7の下側の外周を覆う形状をした鋸カバー41Eが切断刃7の回転軸を中心に回動可能に設けられている。鋸カバー41Eは、図1に示すように、ハウジング4が上方に揺動している状態では、ソーカバー41Cから露出する切断刃7の部分の外周を覆う位置に回動しており、図11に示すように、ハウジング4が下方に揺動している状態では図示しないリンク機構によって回動してソーカバー41C内に収納され、切断刃7の下半分をソーカバー41Cから露出させる。
モータ収容部41Bは、ギア収容部41Aの上部から左側に延出された形状を有し、切断刃7の上方に配置される。モータ収容部41Bの内部にはモータ5が収容されている。またモータ収容部41Bにおいて、図11に示されるように、ハウジング4が最も下方に揺動した状態で最上部となる位置にサブハンドル4Dが設けられている。
図3に示されるようにモータ5は、モータ収容部41B内に配置されており、右側に向けて突出する出力軸部51を有し、その出力軸部51にファン52及びモータ側プーリ53が同軸一体回転するように装着されている。モータ側プーリ53は、左右方向において、プーリ42Aと同位置に配置されており、プーリ42Aとの間にベルト54が掛けられてプーリ42Aに駆動力を伝達する。
回転軸41Jは、プーリ42Aと同軸一体回転することによって駆動力を受取り、さらに第一ギア42Bを介して第二ギア42Cへと駆動力を伝達する。駆動力を受取った第二ギア42Cは、同軸一体に接続するスピンドル42Dへと駆動力を伝達する。さらに、スピンドル42Dは、左端に接続された切断刃7へ駆動力を伝達し、切断刃7を回転させる。
図3に示すように、第2ハウジング45は、ギア機構42を覆うように、第1ハウジング41に取付けられている。また第2ハウジング45は内部に、左右に延びるスピンドル42Dと、スピンドル42Dの左側軸を回転可能に支持する第2ボールベアリング44とを有している(図3)。第2ボールベアリング44の外輪は第2ハウジング45に固定され、内輪は、スピンドル42Dに固定される。第2ボールベアリング44は、その外輪と内輪との間に、複数のボールを備える。スピンドル42Dは、その左側端部が、ギア収容部41Aの左側面から左側に突出しており、この左側端部には切断刃7がボルト及びフランジを介して装着されている。第2ボールベアリング44は、本発明における第2軸受に相当する。スピンドル42Dの右側端部は第1ボールベアリング43に回転可能に支承されている。
図6に示すように、第2ハウジング45は第1ハウジングに、3本のねじ6によって取付けられている。3本のねじ6は、スピンドル42Dを中心にして円周方向に略等間隔に配置されている。第2ハウジング45と第1ハウジング41の取付け部分を拡大した図を、図4に示す。3本のねじ6は、第2ハウジング45の左側の面から取付けられるように構成されている。即ち第2ハウジング45から第1ハウジング41に向かう方向に、第2ハウジング45の切断刃7側の面から取付けられる。一方図5に示される変形例では、3本のねじ6Aは、第1ハウジング41の右側の面から取付けられるように構成されている。即ち第1ハウジング41から第2ハウジング45に向かう方向に取付けられる。
第2ハウジング45と第1ハウジングとの間にはゴム等樹脂製の弾性体により構成される介在部材8が介在し、第2ハウジング45は介在部材8の弾性変形による反力に抗し、ねじ6によって第1ハウジングに取り付けられている。なお、ねじ6と介在部材8とは、本発明の調整手段に相当する。
3本のねじ6の締付けを調整することによって、接触面25に対する切断刃7の角度を調整することが出来る。ここで、切断刃7の代わりに調整用切断刃7Aを用いることで、容易に角度調整を行うことが可能となる。図6に示すように、調整用切断刃7Aには調整用の孔が開いており、孔の位置はねじ6の位置と略一致する。図7に示すように、この孔を介し、工具を用いてねじ6の締付けを調整することが可能である。また図5のようにねじ6の頭が切断刃7とは反対側に位置している場合は、調整用切断刃7Aを用いることなく、切断刃7の角度調整が可能となる。スピンドル42Dを中心に、3つのねじ6が円周方向に略等間隔で配置されているため、切断刃7の角度調整は、各方向について容易に行うことが出来る。
切断刃7の角度調整の一例を詳細に示したものを、図8乃至図10に示す。いずれの図も、角度調整の様子を明瞭に記載するため、調整によって得られるスピンドル42Dの角度を強調して示す。個々のねじ6の締付けを調整し、第2ハウジングの角度を第1ハウジングに対して変えることで、スピンドル42Dの軸心の角度が調整される。図8乃至図10は、下部のねじ6を緩め、上部のねじ6を締め付けた状態を示したものであるが、この場合、第1ハウジングに対して第2ハウジングが上向きに傾く。そのため、スピンドル42Dの軸心は、左端が上向きとなるように調整される。
詳細には、図9及び図10に示すように、第2ボールベアリング44の内輪の軸心は、その右端が下側に、左端が上側に傾き、これに伴ってスピンドル42Dの軸心も傾けられる。スピンドル42Dの軸心の傾きに伴い、第1ボールベアリング43の内輪の軸心もスピンドル42Dと同方向に傾く。一方、第2ボールベアリング44の外輪は第2ハウジング45に固定されるため、外輪の軸心の角度は変化しない。同様に、第1ベアリングの外輪は第1ハウジング41に固定されるため、軸心の角度は変化しない。このように、第1ボールベアリング43及び第2ボールベアリング44のそれぞれについて外輪と内輪との軸心の角度がずれることにより、スピンドル42Dの角度を変化させることが可能となる。また、軸受としてボールベアリングを用いることにより、外輪と内輪との角度がずれても、スピンドル42Dを回転可能に支承することができる。
卓上切断機1の切断動作について説明する。ユーザは、ハンドル4Bを握って下に押下げることで、ハウジング4を下方へ移動させることが出来る。このとき、揺動支持部35を中心としてハウジング4が回動することにより、ハウジング4は下方へ移動する。その後ユーザは木材Wと接触した状態でトリガ4Cを押し込み、モータ5を始動し、切断刃7を回転させる。さらにユーザは、揺動支持部35をスライド支持部33(ガイドバー33A、33B)に対してスライドさせてハウジング4を後方へと移動させ、木材Wの切断を開始する。
木材Wを斜めに切断すべく、切断刃7の両側面を接触面25に対して傾斜させる、即ち図12及び図13に示されるように左右方向の何れかにハウジング4を傾かせる場合には、ストッパピン29をホルダ31内から完全に退避させると共にクランプ31Aを緩めればよい。これによって、ベース部2に対して支持部3及びこれに担持されるハウジング4が左右いずれにも傾動可能になる。左右何れかに傾いたハウジング4は、ホルダ31が左右の何れかのボルト27Cに当接することにより、その最大傾斜角が定められている。よって、例えば最大傾斜角を45°とするには、ホルダ31が45°に傾いた状態でホルダ31に当接するように、ボルト27Cの突出量を定めればよい。
<第2の実施の形態>
本発明は、卓上切断機に限られず、携帯用切断機についても実施が可能である。第2の実施の形態として携帯用丸鋸100を図14乃至図16に示す。なお第2の実施の形態において、図1〜図13に示される第1の実施の形態による卓上切断機1を構成する部品や部材と対応する部品・部材には、第1の実施の形態の図面参照番号に100を加算して、説明を省略する。
携帯用丸鋸100においては、ベース部102の下面が接触面125であり、この接触面125を木材Wと接触させつつ前方へ摺動させることにより、ユーザは加工作業を行う。このような携帯用丸鋸100においても、複数のねじ106と複数の介在部材108を用いて切断刃107または調整用切断刃107Aを装着し、切断刃107、107Aの角度調整を行うことが可能である。具体的には、ユーザは、調整用切断刃107Aの孔を介してねじ106の締付けを調整することによって、切断刃107又は107Aの角度調整を行う(図15、図16)。変形例として、図5と同様に、ねじ106を切断刃107の反対側から取り付けることによって、ユーザは、切断刃107と干渉することなく角度調整を行うことも可能である。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態として、本発明は、スピンドル42Dの軸心に対して直交する方向に、調整手段としての直交ねじ209を設置することもできる。第3の実施の形態の説明において、図1〜図13に示される第1の実施の形態による卓上切断機1を構成する部品や部材と対応する部品・部材には、第1の実施の形態の図面参照番号に200を加算して、説明を省略する。
図17及び図18に示すように、直交ねじ209を用いてスピンドル42Dの軸心の方向を調整することにより、切断刃7と干渉することなく、簡易に切断刃7の接触面25に対する角度調整が可能となる。ねじ206は、そのねじの頭部が第2ハウジング245に面圧接するように、且つねじ部は、第2ハウジング245に螺合せず、第1ハウジング241のみに螺合するように構成されている。またねじ206を挿通させるための第2ハウジング245の孔部の内径は、ねじ部206の外径よりも大きく構成されており、それによって、第1ハウジング241に対して第2ハウジング245は、図18における左右方向に移動可能である。
なお本実施の形態においては、直交ねじ209は2個であるが、本発明では任意の数での設定が可能である。例えば、任意の方向に角度調整が可能となるように、3個の直交ねじ209を円周方向に等分布に配置することも可能である。また、第2ハウジング245の第1ハウジング241に対する取付を直交ねじ209のみで行い、角度調整を可能とすることもできる。その場合には、複数の直交ねじ209の先端面が、第2ハウジング245を圧接することで、第1ハウジング241と第2ハウジング245との相対位置関係が固定される。
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態として、長孔を有する介在部材308を用いることもできる。介在部材308は、正面視では長孔を有し(図19)、断面視楔形の形状を有している(図20)。介在部材308を長孔に沿って移動させることで第2ハウジング45のギア収容部41Aに対する位置を変化させ、これによりスピンドル42D及び切断刃7、7Aの角度調整を行うことが出来る。変形例として、図5と同様に、ねじ6を切断刃7の反対側から取り付けることによって、ユーザは、切断刃7と干渉することなく角度調整を行うことも可能である。
<第5の実施の形態>
第1の実施の形態では汎用の第2ボールベアリング44を用いたが、この代わりに、偏心ベアリング444を用いることも可能である。偏心ベアリング444を用いた第5の実施の形態を図21及び図22に示す。第5の実施の形態の説明において、図1〜図13に示される第1の実施の形態による卓上切断機1を構成する部品や部材と対応する部品・部材には、第1の実施の形態の図面参照番号に200を加算して、説明を省略する。
第5の実施の形態では、円周方向に延びる長孔を有する第2ハウジング445が、ねじ6を用いてギア収容部41Aに固定されている。第2ハウジング445は、その内部にスピンドル42Dを軸支する偏心ベアリング444を有している。偏心ベアリング444の軸心は、第2ハウジング445の中心に対して偏心した位置に設けられている。調整を行う場合、ユーザはねじ6の締付けを緩め、第2ハウジング445を長孔に沿って回転させればよい。このとき偏心ベアリング444の軸心が、第1ハウジング41に対して相対的に移動することになる。そのため、偏心ベアリング444に支承されるスピンドル42Dの軸心の方向が変化し、スピンドル42Dに取付けられた切断刃7または7Aの、接触面25に対する角度調整を行うことが可能となる。
これらの実施の形態によれば、ハウジングやスライド機構等の方向ではなく、出力軸の方向を変更するという簡便な方法により、切断刃の角度調整を実現することが可能となる。そのため簡易な構成によって角度調整機構が実現できる。したがって、製造が容易であり、低廉な製造コストによって、切断刃の角度調整機構を実現できる。また、切断刃の角度調整手段として介在部材8や、ねじ6、直交ねじ209を用いて切断刃の軸受の角度を調節するため、調節が容易であり、また誤差が生じにくい設計とすることが出来る。
なお、上記実施の形態では介在部材8としてゴム等樹脂製の弾性体を用いたが、本発明はこの実施の形態に限られない。介在部材として金属製ライナー、つるまきバネ、空気ばね、皿ばね、平座金、ばね座金、スプライスプレートなどを用いることも可能である。
上記実施の形態では軸受としてボールベアリングを用いたが、本発明はこの実施の形態に限られない。摺動による軸受等を用いることも可能である。
また、本実施の形態ではスライド式、または傾斜可能な卓上切断機1を用いたが、これに限らずスライド機構を用いない、または傾斜しない切断機においても、本発明の適用は可能である。
本実施の形態では、スライド支持部33をホルダ31に固定したが、これに限らず、スライド支持部33をハウジング4に固定しても良い。この場合、スライド支持部33をホルダ31にスライド可能に保持することにより、スライド機能を実現することができる。
更に本発明は、卓上切断機や携帯用丸鋸に限らず、刈り払い機等の動力工具に適用して回転体である刈り刃の取付け角度を調整したり、電動工具に適用して回転体としての先端工具を取付けるための出力軸の角度を調整することも可能である。