JP6839643B2 - pH調整資材、pH調整シート、建設発生土の処理方法 - Google Patents

pH調整資材、pH調整シート、建設発生土の処理方法 Download PDF

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本発明は、pH調整資材、pH調整シート、及び、建設発生土の処理方法に関する。
トンネル、ダム、造成等の各種工事に伴って発生する建設発生土は、酸性又はアルカリ性である場合がある。また、掘削時は中性であったとしても、建設発生土が空気や雨水に晒されるうちに、含有されている硫化物が酸分解反応を起こし、建設発生土が酸性化する場合がある。
このような建設発生土を盛土として処理する場合、長期にわたって周辺環境に影響を与えないことが求められる。建設発生土から酸性又はアルカリ性の水が滲出すると、これを受けた建設発生土自体と原地盤が酸性又はアルカリ性となり、例えば重金属が溶出しやすくなる。この対策として、例えば特許文献1では、アルカリ性土壌に酸性リン酸塩溶液を添加・混合することで対象土壌を中性化する地盤改良工法が提案されている。また、特許文献2では、掘削残土の側面及び底面を覆う中和層を設けて掘削残土から滲出する酸性水を中和する残土処分構造が提案されている。
特開2002−188086号公報 特許第5525218号公報
しかしながら、特許文献1の地盤改良工法では、酸性リン酸塩溶液を添加・混合する作業が負担となる。また、特許文献2の残土処分構造では、中和剤の量的関係が不均衡である中性を越えてアルカリ性側へ移行する虞があり、量的な調整が困難となる場合がある。
そこで本発明は、建設発生土から滲出する酸性又はアルカリ性の水を処理するための、使用が簡便で、量的許容度の高いpH調整資材及びpH調整シート、並びに、これらを用いた建設発生土の処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、建設発生土から滲出する酸性又はアルカリ性の水を処理するpH調整資材であって、無機資材と、汚染物質を吸着する吸着剤と、pH緩衝剤とを有し、吸着剤及びpH緩衝剤は、無機資材に担持されている、pH調整資材を提供する。
このpH調整資材は、処理対象とする建設発生土を盛土する場合に、例えば原地盤に混合せず薄層として敷設するだけでも使用することができるので、使用が簡便である。また、pH調整資材が有するpH緩衝剤の緩衝作用によって滲出水のpHを調整できるので、滲出水のpHとpH調整資材との量的関係を厳密に考慮しなくても、緩衝剤としての本来の性質から滲出水のpHが所定の範囲内に収まる。従って、pH調整資材の量的許容度が高いといえる。また、本発明のpH調整資材は吸着剤も含んでいるので、滲出水に重金属のような汚染物質が含まれている場合にこれを吸着することができる。
ここで、pH緩衝剤は、リン酸緩衝液、炭酸−重炭酸緩衝液又はトリス塩酸緩衝液に由来する成分を含むことが好ましい。pH緩衝剤がこれらの緩衝液由来である場合、調整される滲出水のpHの範囲が、周辺環境への影響が小さい領域に収まるので都合がよい。
また、本発明は、第1シートと、第2シートと、第1シート及び第2シートによって挟まれた資材層とを備え、資材層は、上記pH調整資材を含む、pH調整シートを提供する。このpH調整シートによれば、pH調整資材の取扱いが一層簡便となる。
このpH調整シートにおいては、資材層は、金属カチオンを放出する中和剤を更に含み、中和剤は、pH調整資材と混合された状態で資材層に含まれていてもよい。また、pH調整資材と中和剤とは、第1シート側から第2シート側へ向けてこの順に互いに別々の層を形成していてもよい。中和剤は、建設発生土からの滲出水を中和することでpH調整資材の負担を軽減して延命化するとともに、その金属カチオンがpH調整資材中のpH緩衝剤の流出を防止する効果を奏する。
また、本発明は、原地盤の上方に上記pH調整資材を敷設し、pH調整資材の上方に建設発生土を堆積して盛土を形成する、建設発生土の処理方法を提供する。このとき、pH調整資材には、金属カチオンを放出する中和剤が混合されていてもよく、又は、敷設されたpH調整資材の上方に、金属カチオンを放出する中和剤が敷設されていてもよい。
更に本発明は、原地盤の上方に上記pH調整シートを、第1シートが原地盤側に向くように敷設し、pH調整シートの上方に建設発生土を堆積して盛土を形成する、建設発生土の処理方法を提供する。
これらの処理方法では、盛土された建設発生土から滲出した酸性又はアルカリ性の水がpH調整資材を通過する際にpH緩衝剤の作用を受けてpHが所定の範囲内に調整される。従って、当該滲出水がpH調整資材を通過した後は、例えば地下水のような周辺環境に悪影響を与えない程度のpHとなっている。ここで、pH調整資材は建設発生土を盛土する場合に原地盤に混合せず薄層として敷設するだけで使用することができるので使用が簡便であり、特にシートを構成している場合は運搬や設置が容易である。また、pH調整資材が有するpH緩衝剤の緩衝作用によって滲出水のpHを調整できるので、滲出水のpHとpH調整資材との量的関係を厳密に考慮しなくても、緩衝剤としての本来の性質から滲出水のpHが所定の範囲内に収まる。従って、pH調整資材の量的許容度が高いといえる。また、pH調整資材は吸着剤も含んでいるので、滲出水に重金属のような汚染物質が含まれている場合にこれを吸着することができる。
本発明によれば、建設発生土から滲出する酸性又はアルカリ性の水を処理するための、使用が簡便で、量的許容度の高いpH調整資材及びpH調整シート、並びに、これらを用いた建設発生土の処理方法を提供することができる。
第1の実施形態における建設発生土の側断面図である。 第2の実施形態における建設発生土の側断面図である。 (A),(B)のいずれも、第2の実施形態におけるpH調整シートの断面図である。 第3の実施形態における建設発生土の側断面図である。 pH調整資材の評価に用いたカラム装置の概略図である。 実施例1及び2、比較例1及び2の評価結果を示すグラフである。 実施例3及び4の評価結果を示すグラフである。 実施例5の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態の処理方法を適用した建設発生土の側断面図である。本実施形態の処理方法では、原地盤Yの上に盛土Mを形成する。盛土Mは、例えばトンネルの掘削によって発生した掘削ずり(建設発生土)である。原地盤Yと盛土Mとの間には、pH調整層2Aを形成する。
pH調整層2Aは、pH調整資材1を単一層として敷設して構成されている。pH調整層2Aは、盛土Mの量に応じて、例えば2〜10cmの厚さで敷設される。
ここで、pH調整層2Aを構成するpH調整資材1について詳細に説明する。pH調整資材1は、建設発生土から滲出する酸性又はアルカリ性の水を処理するためのものであって、pH緩衝作用を有する。pH調整資材1は、保水性を有する無機資材に対して、汚染物質を吸着するスラリー状の吸着剤とpH緩衝剤とを、含浸又は吸着させることで担持したものである。
保水性を有する無機資材としては、軽量で吸水性の高い無機資材であればいずれも利用可能である。例えば保水性を有する無機資材としてはバーミキュライト、パーライト等が挙げられる。この無機資材の形態としては粒状であることが好ましいが、粒状以外の形態であってもよい。
汚染物質を吸着する吸着剤は、例えばヒ素、カドミウム、鉛等の重金属等を吸着して捕捉する性質を有する薬剤である。このような性質を有する吸着剤は種々知られている。また、本実施形態においては、スラリー状の吸着剤が用いられており、具体的には、アムロン社製「CAMZ−S」という重金属吸着剤(例えば特開2008−168182号公報を参照)が用いられている。
pH調整資材は、例えば粒状の無機資材とスラリー状の吸着剤とを混合し、吸着剤の重金属吸着成分を無機資材中に添着させ、次いで、これをpH緩衝液と混合し、pH緩衝液中の有効成分(pH緩衝剤)を添着させることにより得られる。ここで、スラリー状の吸着剤とpH緩衝剤との添着順序は、逆にしてもよい。また、予めスラリー状の吸着剤とpH緩衝液とを混合し、この混合物を無機資材に添着させる方法でもよい。
ここで用いるpH緩衝液としては、リン酸緩衝液、炭酸−重炭酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液、酒石酸緩衝液、HEPES緩衝液等が挙げられる。pH緩衝液の採用については、緩衝領域のpHが周辺環境に悪影響を与えないものが好ましい。緩衝領域のpHとしては、5.8〜8.6の範囲が好ましい。
pH調整資材は、無機資材、吸着剤、pH緩衝剤の種類の組み合わせを変更することで平均粒径、かさ密度、透水係数、および有効水分保持量等の性質を調整することが可能である。
pH調整資材は、透水係数が10−6m/s以上であることが好ましく、10−5m/s以上であることがより好ましく、10−4m/s以上であることが更に好ましい。このように、pH調整資材が高い透水性を有することで、建設発生土から滲出する水分がpH調整資材を通過しやすくなる。そのため、滲出水がpH調整資材に効率的に接触しやすくなり、pH調整作用が効率的に奏される。また、建設発生土が重金属のような汚染物質を含んでいる場合は、汚染物質をpH調整資材に吸着させて捕捉することができる。また、pH調整資材が高い透水性を有することで、滲出水がpH調整資材に浸透せずに外部にあふれることを防止できる。そのため、滲出水の流出を好適に防止することができる。これに対し、pH調整資材の透水係数が10−6m/sより小さい場合には、滲出水がpH調整資材を通過しにくくなるため、pH調整作用や汚染物質の捕捉効果が損なわれる傾向がある。
また、pH調整資材は、体積含水率が45%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましい。このように、pH調整資材が高い保水性を有することで、滲出水がpH調整資材の内部に長時間留まることになる。そのため、滲出水とpH調整資材が効率的に接触することができ、pH調整作用が効率的に奏される。そのため、pHが調整されていない滲出水の流出を好適に防止することができる。これに対し、体積含水率が45%より小さい場合には、滲出水とpH調整資材との接触効率が低下するため、pH調整作用や汚染物質の捕捉効果が損なわれる傾向がある。
また、pH調整資材は、例えばオレンジ色等、一般的に黒や茶色系の色彩を有する建設発生土とは異なる色彩であることが好ましい。pH調整資材の色彩は、無機資材又は吸着剤の色彩でもよいし、別途着色してもよい。このように、pH調整資材が建設発生土とは異なる色彩であることで、pH調整資材の敷設状況や、他の土や資材と混合した場合の視認性が向上する。
例えば、pH調整資材の一例として、無機資材としてパーライトを用い、スラリー状の吸着剤として「CAMZ−S」を用い、pH緩衝剤の原料としてリン酸緩衝液を用いて得られるpH調整資材は、以下のような性質を有する。
(1)平均粒径:0.5〜2mm
(2)かさ密度:0.2〜0.5g/cm
(3)透水性:4×10−3m/s
(4)有効水分保持量:78L/m(水分飽和状態で85%の体積含水率)
pH調整資材の使用に際しては、金属カチオンを放出する中和剤と併用することができる。中和剤は、建設発生土からの滲出水が酸性又はアルカリ性であるときにこれを中和する。中和剤としては、滲出水が酸性である場合は水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられ、滲出水がアルカリ性である場合は塩化鉄、硫酸鉄、硫酸アルミニウム等が挙げられる。これにより、pH調整資材の負担を軽減してpH調整資材を延命化することができる。また同時に、中和剤中の金属カチオンがpH調整資材中のpH緩衝剤の流出を防止する効果を奏する。
中和剤は、粉末状であることが好ましい。中和剤は、pH調整資材の使用に際してpH調整資材と混合して用いることができる。
説明は図1に戻り、盛土Mは、トンネル等の土木工事によって生じた掘削ずり等の土砂を盛り上げて形成する。盛土Mからは、元々含まれていた水分や降雨による水が、重力によって下方へ流出する。盛土Mは、掘削対象の元々の性状、又は、掘削時に用いるセメント系材料等の影響により、酸性又はアルカリ性となっている場合がある。また、掘削直後から盛土完了までにかけては中性であったとしても、その後に盛土Mが空気や雨水に晒されるうちに、含有されている硫化物が酸分解反応を起こして酸性化する場合がある。本実施形態ではこのような盛土Mを処理対象とする。
その後、盛土Mの周囲に覆土Sを覆設する。覆土Sは、通常の土のほか、ベントナイト混合土やコンクリートにより構成してもよく、この場合、盛土Mに対する雨水の流入が阻止される。
こうして盛土Mが形成されると、盛土Mからは次第に酸性又はアルカリ性の水が滲出し、原地盤Yに向けて流下する。流下した水分が原地盤Yに到達すると、原地盤Yが滲出水によって酸性又はアルカリ性に変化し、原地盤Yから重金属が溶出しやすい状態となる。また、盛土M中に重金属が含まれている場合は、酸性又はアルカリ性の水の影響で盛土Mから重金属が溶出しやすくなり、重金属を含んだ水が原地盤Yへ流下する。
この点、本実施形態の処理方法では、原地盤Yと盛土Mとの間に、pH調整資材1を単一層として敷設してなるpH調整層2Aを介在させている。このため、滲出水がpH調整層2Aを通過する際にpH緩衝剤の作用を受けてpHが所定の範囲内に調整される。従って、当該滲出水がpH調整層2Aを通過した後は、例えば原地盤Yや地下水のような周辺環境に悪影響を与えない程度のpHとなっている。
ここで、pH調整資材は建設発生土を盛土する場合に原地盤Yに敷設するだけで使用することができるので使用が簡便である。また、pH調整資材が有するpH緩衝剤の緩衝作用によって滲出水のpHを調整できるので、滲出水のpHとpH調整資材との量的関係を厳密に考慮しなくても、緩衝剤としての本来の性質から滲出水のpHが所定の範囲内に収まる。従って、pH調整資材の量的許容度が高いといえる。
また、pH調整資材は吸着剤も含んでいるので、滲出水に重金属のような汚染物質が含まれている場合にこれを吸着して、原地盤Yに重金属を到達させないことができる。
また、pH調整層2Aとして、pH調整資材1とともに中和剤を併用している場合は、滲出水を中和することでpH調整資材の負担が軽くなるとともに、中和剤中の金属カチオンがpH調整資材中のpH緩衝剤(例えばリン酸)の流出を防止することができる。
次に、本発明の第2の実施形態の処理方法について説明する。第2の実施形態の処理方法は、図2に示されているとおり、pH調整層2Aに代えてpH調整シート2Bを用いてpH調整を行う点で、第1の実施形態とは異なっている。第2の実施形態の処理方法では、原地盤Yの上に敷設したpH調整シート2Bの上に盛土Mを形成する。
pH調整シート2Bは、図3(A)に示されているとおり、pH調整資材1を2枚の不織布等のシート(第1シート,第2シート)21A,21Bで挟み込むことにより形成される。すなわち二枚の対向するシート21A,21B間にpH調整資材層(資材層)23が介在した構成となっている。シート21A,21Bは、水を透過するものであれば素材は何ら限定されない。
中和剤を併用する場合は、pH調整資材1と均一に混合した状態でシート21A,21Bで挟み込んでもよく、或いは、図3(B)に示されているとおり、pH調整資材1と混合するのではなく互いに別々の層(pH調整資材層23,中和剤層24)を構成してもよい。この場合、pH調整資材層23が原地盤Y側を、中和剤層24が盛土M側をそれぞれ向くようにpH調整シート2Bを敷設する。
第2の実施形態の処理方法では、pH調整シートの運搬や設置が容易である。
次に、本発明の第3の実施形態の処理方法について説明する。第3の実施形態の処理方法は、図4に示されているとおり、pH調整層2Aの上方に保護層3を設ける点で、第1の実施形態とは異なっている。
保護層3は、pH調整層2Aを保護するためにpH調整層2Aの上方に敷設された土からなるものであり、この土としては、汚染物質を含まない健全土を用いることが好ましい。また、保護層3の厚さは10〜30cm程度であることが好ましい。保護層3は、pH調整層2Aに接触していてもよく、保護層3とpH調整層2Aとの間に他の層を介在させてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、第1の実施形態や第3の実施形態においてpH調整資材と中和剤とを併用する場合、両者の混合物を敷設する代わりに図3(B)に示されたpH調整シート2Cを用いてもよい。また、pH調整シート2B,2Cを用いないまでも、pH調整資材を下層、中和剤を上層とする積層構成をもってpH調整層を形成してもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<pH調整資材の原料>
・無機母材…保水性を有する多孔質無機資材
・吸着剤…「CAMZ−S」(水酸化鉄とゼオライトの混合体;アムロン社製)
・pH緩衝剤…リン酸緩衝液
<pH調整資材の製造と評価>
・実施例1
上記無機母材をスラリー状の「CAMZ−S」に混合し、無機母材の表面に「CAMZ−S」の成分を担持させた。次いで、「CAMZ−S」の成分が表面に担持された無機母材をリン酸緩衝液(濃度7.82%)に混合し、リン酸緩衝液に由来する有効成分を更に担持させた。その後、乾燥させてpH調整資材の粒子を得た。
図5に示されたカラム装置を用いた試験を行い、pH調整資材のpH緩衝能力を評価した。内径30mmのガラス製カラム5に、支持層としてガラスビーズを20mmの高さ(H)となるように充填した(直径5mmのビーズを10mmの高さで、次いで直径3mmのビーズを10mmの高さで充填)。この上に、pH調整資材を20mm(体積としては約14mL)の高さ(H)となるように充填した。この上に、直径0.6mmのガラスビーズを30mmの高さ(H)となるように充填した。
98%硫酸を水で希釈してpHが2.56となるように調整した硫酸水溶液を、カラム5の上部から流した。このとき、流速は0.4mL/分とし、空間速度は1.7時間−1であった。カラム5の下部から流出する液体を流出水捕集ビン6に集め、pHを経時的に測定した。
・実施例2
上記無機母材をリン酸緩衝液(濃度7.82%)に混合し、無機母材の表面にリン酸緩衝液に由来する有効成分を担持させた。次いで、リン酸緩衝液に由来する有効成分が表面に担持された無機母材をスラリー状の「CAMZ−S」に混合し、「CAMZ−S」の成分を更に担持させた。その後乾燥させてpH調整資材の粒子を得た。このpH調整資材を用いて実施例1と同様に、カラム装置を用いた評価を行った。
・比較例1
上記無機母材をスラリー状の「CAMZ−S」に混合し、無機母材の表面に「CAMZ−S」の成分を担持させた。その後乾燥させてpH調整資材の粒子を得た。このpH調整資材を用いて実施例1と同様に、カラム装置を用いた評価を行った。
・比較例2
上記無機母材をリン酸緩衝液(濃度7.82%)に混合し、無機母材の表面にリン酸緩衝液に由来する有効成分を担持させた。その後乾燥させてpH調整資材の粒子を得た。このpH調整資材を用いて実施例1と同様に、カラム装置を用いた評価を行った。
実施例1及び2、並びに、比較例1及び2の評価結果を図6に示した。これらの比較から、無機母材に吸着剤とpH緩衝剤の両方を担持させて製造したpH調整資材(実施例1及び2)が、いずれか一方のみを担持させて製造したpH調整資材(比較例1及び2)と比べて、長期間にわたるpH緩衝能力を有していることが分かる。また、吸着剤を先に担持させた場合(実施例1)が、pH緩衝剤を先に担持させた場合(実施例2)と比べて更にpH緩衝能力が持続していることが分かる。
<中和剤の併用効果>
・実施例3及び4
上記無機母材をスラリー状の「CAMZ−S」に混合し、無機母材の表面に「CAMZ−S」の成分を担持させた。次いで、「CAMZ−S」の成分が表面に担持された無機母材をリン酸緩衝液(濃度1.52%)に混合し、リン酸緩衝液に由来する有効成分を更に担持させた。その後、乾燥させてpH調整資材の粒子を得た。
このpH調整資材をそのまま実施例1と同様にカラム装置を用いた評価に供した(実施例3)。また、このpH調整資材の一部を粉末状の炭酸カルシウムと均一に混合して(重量比=9:0.2)、実施例1と同様にカラム装置を用いた評価に供した(実施例4)。
実施例3及び4の評価結果を図7に示した。これらの比較から、中和剤を併用した場合(実施例4)は、中和剤を併用しなかった場合(実施例3)と比べて更にpH緩衝能力が持続していることが分かる。
<アルカリ性に対する緩衝作用>
・実施例5
カラム5に流す水溶液を炭酸カルシウムを純水に添加したアルカリ性溶液(pH=9.98→8.13(気中の二酸化炭素ガスの溶解による中和反応で自然低下))に変更したこと以外は実施例1〜4と同様にしてpH調整資材の評価を行った。この評価結果を図8に示した。これによれば、実施例1と同様に製造したpH調整資材は、酸性だけでなくアルカリ性の水に対してもpH緩衝作用を有していることが分かる。
本発明は、建設発生土から滲出する酸性又はアルカリ性の水を、周辺環境に影響を与えない程度のpHとなるように処理することができる。
1…pH調整資材、1A…混合土、2A,2D…pH調整層、2B,2C…pH調整シート、21A,21B…シート(第1シート,第2シート)、23…pH調整資材層(資材層)、24…中和剤層(資材層)、3…保護層、5…ガラス製カラム、6…流出水捕集ビン、M…盛土、S…覆土、Y…原地盤。

Claims (10)

  1. 建設発生土から滲出する酸性又はアルカリ性の水を処理するpH調整資材であって、
    無機資材と、汚染物質を吸着する吸着剤と、pH緩衝剤とを有し、
    前記吸着剤及び前記pH緩衝剤は、前記無機資材に担持されている、pH調整資材。
  2. 前記pH緩衝剤は、リン酸緩衝液、炭酸−重炭酸緩衝液又はトリス塩酸緩衝液に由来する成分を含む、請求項1記載のpH調整資材。
  3. 第1シートと、第2シートと、前記第1シート及び前記第2シートによって挟まれた資材層とを備え、
    前記資材層は、請求項1又は2記載のpH調整資材を含む、pH調整シート。
  4. 前記資材層は、金属カチオンを放出する中和剤を更に含み、
    前記中和剤は、前記pH調整資材と混合された状態で前記資材層に含まれている、請求項3記載のpH調整シート。
  5. 前記資材層は、金属カチオンを放出する中和剤を更に含み、
    前記pH調整資材と前記中和剤とは、前記第1シート側から前記第2シート側へ向けてこの順に互いに別々の層を形成している、請求項3記載のpH調整シート。
  6. 前記中和剤は、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、塩化鉄、硫酸鉄、又は、硫酸アルミニウムである、請求項4又は5記載のpH調整シート。
  7. 原地盤の上方に請求項1又は2記載のpH調整資材を敷設し、
    前記pH調整資材の上方に建設発生土を堆積して盛土を形成する、建設発生土の処理方法。
  8. 前記pH調整資材には、金属カチオンを放出する中和剤が混合されている、又は、敷設された前記pH調整資材の上方に、金属カチオンを放出する中和剤が敷設されている、請求項記載の建設発生土の処理方法。
  9. 前記中和剤は、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、塩化鉄、硫酸鉄、又は、硫酸アルミニウムである、請求項8記載の建設発生土の処理方法。
  10. 原地盤の上方に請求項3〜のいずれか一項記載のpH調整シートを、前記第1シートが前記原地盤側に向くように敷設し、
    前記pH調整シートの上方に建設発生土を堆積して盛土を形成する、建設発生土の処理方法。
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