JP6179415B2 - 土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法 - Google Patents

土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法 Download PDF

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Description

本発明は、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法に関し、特に、土壌中の砒素を無害化して有効に吸着する、特定の細菌及び材料を含む吸着層を設けた土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法に関する。
近年、産業廃棄物の投棄等により、該廃棄物に含有される重金属で土壌が汚染される問題が生じている。また工場跡地における土壌汚染も問題となっている。
特に、農産物を生育する上で、土壌汚染は深刻な問題であり、農産物からの砒素摂取量は、ヒトへの健康影響を検討する上で重要な検討事項になっている。
さらに、世界各地の地下水が汚染され、砒素が検出されており、健康被害が深刻な問題となっている。
またヒトだけでなく、周辺の生態系へ及ぼす影響も無視できるものではなく、社会的な問題として、大きく注目されている。
このような自然由来または人工的な汚染物質は土壌に含まれており、従来より、汚染土壌中の汚染物質を不溶化・固定化処理する方法として、掘削埋め戻し工法と、原位置不溶化工法が一般的に用いられている。
掘削埋め戻し工法は、例えば、汚染土壌を掘削して、地上でこの掘削土に不溶化剤を混ぜ合わせて不溶化処理を行ない、その後、該不溶化処理を適用した掘削土を、掘削した場所に埋め戻す工法である。
また、原位置不溶化工法は、例えば、不溶化剤を供給しながら混練機によって汚染土壌を混練することで、汚染土壌を不溶化処理する工法である。
汚染物質を含む残土を用いた盛土や埋立を行う際に用いられる工法として、(1)汚染土壌の下に遮水構造や集水構造を構築し、集水した水を処理する方法や、(2)汚染物質を吸着する薬剤を汚染土壌の下部に敷設する方法等がある。
汚染土壌を不溶化処理する方法としては、例えば、特開2012−125668号公報(特許文献1)に記載されているように、汚染土壌に液状の不溶化剤を充填して前記汚染土壌を不溶化させる汚染土壌の原位置不溶化方法であって、汚染土壌を囲う遮水壁を地盤内に構築する遮水壁構築工程と、該遮水壁の内側の地盤に液状の不溶化剤を充填して前記汚染土壌を該不溶化剤で飽和させる不溶化剤充填工程とを備えることを特徴とする汚染土壌の原位置不溶化方法が提案されている。
また、特開2011−194372号公報(特許文献2)には、シアンで汚染された土壌を不溶化処理して得られる不溶化処理土壌の管理構造であって、前記不溶化処理土壌とその周辺の土壌との間にアルカリ性材料からなる中和層を設け、更には、前記中和層と前記不溶化処理土壌との間に遮水層を設けたことを特徴とする不溶化処理土壌の管理構造が開示されている。
特開2010−29769号公報(特許文献3)には、汚水地区を取り囲むように不透水層又は難透水層に達する遮水壁を構築して汚染土壌を汚染地区内に封じ込める原位置封じ込め工法において、該遮水壁の内側領域の地下水が通水される地下水浄化手段を設けると共に、該遮水壁の内側領域の地下水位が遮水壁の外側領域の地下水位以下となるように該浄化手段からの浄水を遮水壁の外側領域に流出させることを特徴とする原位置封じ込め工法が開示されている。
汚染土壌中の汚染物質を吸着するための吸着層が設けられる工法(以下、「吸着層工法」と称する)においては、敷土吸着層工法により、例えば盛り土内に重金属含有土壌を封入した場合、敷土吸着層下面から排出される汚染物質の濃度が基準値以下であれば、特に問題はない。
しかし、従来の吸着層工法では、一般には、盛土が崩壊したり亀裂が入った場合や、汚染物質を吸着する吸着層に亀裂等が生じた場合には、重金属含有土壌から汚染物質が基準値を超過した浸透水が浸出して、地下水中に溶出して地下水を汚染する危険性が生じる。
また、吸着層に亀裂が入ると、この亀裂より、重金属含有土壌からのpHが低い水が周知の土壌に浸出し、これにより土壌中に元々存在していた鉛、砒素、カドミウム、六価クロム等の有害な重金属類がイオン化して地下水中に溶出されることも懸念されている。
また、第二溶出量以下の汚染土壌又は不溶化により第二溶出量以下になった汚染土壌に遮水層を設けて汚染物質を浸出を抑制する工法(以下、「遮水工封じ込め工法」と称する)があるが、二重シートが必要である場合等、その敷設に膨大なコストがかかるとともに、排水処理設備も必要となっており、装置が大掛かりとなっていた。
本出願人は、土壌中から重金属等の汚染物質を吸着捕獲する汚染物質の固定化工法として、特願2013−3200号(特許文献4)に、汚染土壌の少なくとも下面に、遮水層を汚染土壌の下面の外周側から内部に下方向に傾斜させて敷設し、傾斜して敷設された該遮水層の最下部の位置であって地下水面より上部に、吸着層を敷設し、前記遮水層及び吸着層の上に、汚染土壌を敷設すること備えることを特徴とする、土壌中の汚染物質固定工法を提案している。
また、特に土壌中に含まれる砒素を、より効率よく吸着除去できる土壌中の汚染物質固定工法が期待されている。
特開2012−125668号公報 特開2011−194372号公報 特開2010−29769号公報 特願2013−3200号
本発明の目的は、上記課題を解決し、大きな装置等を必要とせず、盛土等に亀裂等が入ったとしても、砒素を含む汚染物質が浸出水とともに地下水に溶出することを有効に防止し、特に、汚染物質である砒素を土壌中の還元雰囲気下でも毒性の高い3価の亜ヒ酸となることを抑制して無害化を図るとともに、極めて効率よく集中して汚染物質を吸着捕獲することが可能な、土壌中の砒素を含む汚染物質の簡便な固定工法を提供することである。
本発明は、汚染土壌の下部に設ける遮水層の敷設位置及び吸着層の含有物を工夫することにより、集中的に確実に汚染物質である砒素を無害化して吸着層で捕獲できる工法を見出したものである。
即ち、請求項1記載の発明は、砒素を含む汚染土壌の少なくとも下面に、遮水層を該汚染土壌の下面の外周側から内部に下方向に傾斜させて敷設し、
傾斜して敷設された該遮水層の最下部の位置であって地下水面より上部に、亜ヒ酸酸化細菌、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含む吸着層を敷設し、
前記遮水層及び吸着層の上に、該汚染土壌を敷設し、
前記遮水層及び吸着層の上部に敷設される汚染土壌の上面が、汚染土壌の下部に敷設された遮水層の上端を結ぶ面より狭くなるように敷設することを備えることを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法において、前記吸着層は2層構造であり、上部吸着層には亜ヒ酸酸化細菌を含み、下部吸着層には鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含むことを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の土壌中の砒素固定工法において、前記吸着層は、前記汚染土壌中に含まれる砒素の理論吸着量の1.3〜1.5倍の容量で敷設されることを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法である。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3いずれかの土壌中の汚染物質固定工法において、前記遮水層を前記汚染土壌の側面にさらに敷設することを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法である。
ここで、「汚染土壌」とは、砒素を含む重金属等の汚染物質を不溶化処理した土壌や不溶化処理する前の汚染土壌の双方を含むものであり、例えば、第二溶出量(土壌汚染対策法施工規則(最終改正:平成23年7月8日環境省令第13号)第9条第1項第2及び同規則別表第2))以下の汚染土壌や不溶化処理により第二溶出量以下となった汚染土壌を含むものである。
本発明の土壌中の砒素を含有する汚染物質固定工法の第1の埋め戻し構造の実施形態を説明するための側断面を模式的に示す図である。 本発明の土壌中の砒素を含有する汚染物質固定工法の第2の埋め戻し構造の実施形態を説明するための側断面を模式的に示す図である。 本発明の土壌中の砒素を含有する汚染物質固定工法の盛土構造の実施形態を説明するための側断面を模式的に示す図である。
本発明を以下の好適例により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の土壌中の砒素を含む汚染物質固定工法は、
砒素を含む汚染土壌の少なくとも下面に、遮水層を該汚染土壌の下面の外周側から内部に下方向に傾斜させて敷設し、
傾斜して敷設された該遮水層の最下部の位置であって地下水面より上部に、亜ヒ酸酸化細菌、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含む吸着層を敷設し、
前記遮水層及び吸着層の上に、該汚染土壌を敷設することを備える、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法である。
図1及び図2に基づいて、本発明の土壌中の砒素を含む汚染物質固定工法を説明する。
図1及び図2は、本発明の土壌中の砒素を含む汚染物質固定工法を埋め戻し構造に適用した例を示す。
本発明の一例としての図1において、Gは地盤であり、砒素を含む重金属等の汚染物質が含まれる土壌である汚染土壌1を、陥地に埋め戻す構造のものを示す。
砒素を含む汚染土壌1の底面部5には、遮水層3が、汚染土壌1の底面部5の外周から内側へ、好ましくは中心に向かって下部へ傾斜するように敷設されている。
このように遮水層を敷設することで、砒素を含む汚染物質を含有する水分が、吸着層2へ集中的に効率よく吸着されることができることとなり、周囲の土壌に砒素を含む汚染物質を含有する水が浸出することを抑制する。
また、好ましくは、汚染土壌の上面6は、砒素を含む汚染土壌1の下部に敷設された遮水層3の上端を結ぶ面7よりも狭くなるような構造とする。
このようにすることで、当該汚染土壌1に含まれる砒素等の汚染物質が水に溶解して下降しても、遮水層3の上端を結ぶ面内に、該汚染物質が溶解した浸透水が下降することとなり、外部に漏れることがなくなる。
土壌中に含まれる砒素を含む汚染物質としては、例えば土壌汚染対策法に定める第二種特定有害物質(重金属類)等であり、具体的には、砒素のほか、カドミウム、六価クロム、シアン、水銀、アルキル水銀、セレン、鉛、砒素、フッ素、ホウ素等が例示できる。
本発明の工法に適用する遮水層としては、合成ゴム系、合成樹脂系、アスファルト系、ベントナイト系、清掃対応複合系等の遮水シートや、鋼矢板、ベントナイト等の粘土、コンクリート、水密性アスファルトコンクリート等を使用することができる。これらを単独で又は組み合わせて用いてもよい。
前記汚染土壌の下部に敷設された遮水層3の最下部の位置に、一定の厚みを有する吸着層2を敷設する。
該吸着層は、地下水面よりも上部に位置するように設置する。
該吸着層2には、遮水層3より集められた砒素を含む汚染物質を含有する浸透水分が集められ、集中的に砒素を含む汚染物質が効率よく捕捉されて、周囲の土壌に砒素を含む汚染物質が浸出することや地下水に合流することを防止する。
吸着層に用いる吸着剤としては、汚染土壌に含まれる上記汚染物質を吸着除去できる公知の任意の吸着剤を使用することができ、水を通過させるが、汚染物質を吸着保持することができるものを適用することができる。
適用できる吸着剤としては、例えば、人工ゼオライト、火山灰土、ロックウール、セルロース等の各種多孔質材料や不溶化剤等が例示でき、これらを単独でまたは組み合わせて用いることができる。
本発明においては、吸着層2に、亜ヒ酸酸化細菌及び鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含む。
吸着層2にて、土壌中の砒素、特に亜ヒ酸(AsO 3−)を亜ヒ酸酸化細菌を用いて酸化してヒ酸(AsO 3−)に酸化し、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを混合することで、土壌中の砒素を長期に渡り安定的に不溶化して吸着することができる。
土壌中の砒素は、その形態により毒性が異なるが、特に亜ヒ酸が高い毒性を示すものであり、土壌の酸化還元状態に応じて、その形態は変化するものである。
本発明に用いられる亜ヒ酸酸化細菌としては、有機物を電子供与体とする従属栄養性の細菌もしくは亜ヒ酸を唯一の電子供与体として生育する独立栄養性の細菌などの公知の亜ヒ酸酸化細菌を用いることができ、例えばAgrobacterium,Thermus属細菌、β―proteobacteria等が例示できる。
かかる亜ヒ酸酸化細菌により、土壌中の亜ヒ酸(3価)をヒ酸(5価)に酸化することで、酸化剤等を用いる化学的処理に比べて低コストな処理プロセスが構築でき、また薬剤添加による環境の負荷を低減することができる。
また、亜ヒ酸酸化細菌の吸着剤への含有量としては、細菌種や土壌の状態によって酸化効果が異なるためカラム試験などにより決定する。
本発明においては、亜ヒ酸酸化細菌により土壌中の亜ヒ酸をヒ酸に酸化したのちに、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトにて難溶性の砒素化合物を形成する。
鉄系硫酸塩としては、例えば硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄系硫酸塩を例示することができる。
かかる鉄系硫酸塩を吸着層2に含有することで、鉄系硫酸塩の鉄イオンとヒ酸が反応して、難溶性のヒ酸鉄が生成される。難溶性のヒ酸鉄としては、例えば、FeAsOなどが例示できる。
また焼成ドロマイトも吸着層2に含有されるが、ヒ鉄比(添加する鉄イオン濃度と存在するヒ素濃度の比)が大きいほど最適pH範囲は広くなるため、鉄系硫酸塩と焼成ドロマイトとを同時に含有する。
焼成ドロマイトを用いることで、弱アルカリ雰囲気となり、この環境下において水酸化物の生成、共沈等の上記難溶性塩を生成されて吸着される。また仮に土壌内の還元雰囲気下で砒素が可逆的に3価となり亜ヒ酸が存在しても、該焼成ドロマイトへ物理吸着されて完全に不溶化されて吸着される。
焼成ドロマイトとしては、炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを含有してなるものであれば特に限定されず、天然に産出するドロマイト(白雲石)のほか、水酸化マグネシウムスラリーと石灰乳との混合物を焼成して得られた合成ドロマイト等を用いて焼成することにより得ることができる。
なお、天然に産出するドロマイトは、一般に、CaO/MgOで表わされる複塩のモル比が0.70〜1.63の範囲であり、CaCO3をCaO換算で概ね9〜40質量%、MgCO3をMgO換算で概ね10〜38質量%含有するものである。
ドロマイトを焼成して焼成ドロマイトを得るが、焼成温度としては、例えば、650〜1000℃、好ましくは690〜890℃、さらに好ましくは760〜850℃とすることが望ましく、焼成時間は温度条件によっても変動するが、通常、10〜60分が望ましい。このような焼成条件であると、熱分解反応により、BET比表面積が大きく、また細孔径分布のピーク範囲が10〜20nmの範囲(日本ベル社製、高精度ガス吸着装置「BELSORP−mini」により測定)である焼成ドロマイトが得られ、砒素の吸着率が、より高く好適である。
具体的には、前記のような焼成を行なうことにより、前記鉱物中に含まれる炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部を熱分解してMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)を生成する。
特に、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含む鉱物が軽焼されてなり、且つ前記炭酸マグネシウムが熱分解されることで生成されるMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む焼成ドロマイトを好適に用いることができる。
更に、前記焼成ドロマイトには、酸化カルシウムを実質的に含まないものが、より好ましく用いられる。前記鉱物中のMgCO3の一部は熱分解させるが、CaCO3を実質的には熱分解する温度での焼成ではないため、前記軽焼生成物である焼成ドロマイト中には、実質的にCaOは含まれていない。
また、炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを主成分として含む前記鉱物とは、炭酸マグネシウムを20質量%以上、好ましくは40質量%以上含み、且つ炭酸カルシウムを15質量%以上、好ましくは50質量%以上含む鉱物等が例示できる。
また、焼成ドロマイトは、前記鉱物を軽焼することで質量が減少するが、かかる軽焼による質量減少率は9〜20%、好ましくは10〜17%、より好ましくは16〜17%であるように軽焼することが好ましい。前記軽焼による質量減少率をこのような数値範囲内とすることにより、炭酸マグネシウム等からの脱炭酸反応を適切に生じさせ、前記鉱物中の炭酸マグネシウムの一部を残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を熱分解してMgCxyとし、さらに前記鉱物中の炭酸カルシウム(CaCO3)は実質的には熱分解させないことによって、熱分解によって生じる前記MgCxyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む軽焼生成物である好適な焼成ドロマイトを適切に生成させることができる。
かかる焼成ドロマイトにおける前記MgCxyは、例えば、MgCO3の基本構造が脱炭酸によって変化し基本構造の規則性が崩れた不定形な形で存在していると考えられる。
また、前記軽焼生成物である焼成ドロマイトは、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトルにおいて、前記MgCxyのピークが、MgCO3およびCaCO3の各ピークの中間領域に示されることが好ましい。
また特に、該焼成ドロマイトは、BET比表面積が5m/g以上、好ましくは5〜15m/gであると、良好な物理吸着を呈するため、該BET比表面積を有する焼成ドロマイトを用いることが望ましい。
該鉄系硫酸塩と該焼成ドロマイトの吸着剤層への含有量は、砒素の土壌溶出量基準0.01mg/lを超えている場合、基本的にはトリータビリティー試験などを行い、その汚染程度により混合量を決定するが、合計で汚染土壌1mあたり10〜150kg混合することが望ましい。
また前記鉄系硫酸塩と焼成ドロマイトとの配合割合は、合計量100質量部に対し、鉄系硫酸塩を5〜20質量部とすることが好ましい。
また、吸着層2には亜ヒ酸酸化細菌及び鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを一緒に含むことができるが、好ましくは吸着層2を2層構造とし、上部吸着層には亜ヒ酸酸化細菌を含み、下部吸着層には鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含む構造とすることで、亜ヒ酸酸化細菌により土壌中の亜ヒ酸をヒ酸に酸化したのちに、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトにて難溶性の砒素化合物を形成して吸着されることが、より有効に実施される。
好ましくは、本発明の土壌中の汚染物質固定工法においては、前記吸着層が、汚染土壌中に含まれる汚染物質の理論吸着量の1.3〜1.5倍の容量で敷設される。
このような吸着剤の量を敷設することで、吸着層を交換する必要がなく、十分に汚染土壌中の汚染物質の吸着が行なわれることとなる。
また、吸着層2は、前記吸着剤を一定の透水性を維持する透水係数を備える程度まで締固めて埋設することも可能であり、また吸着層装置として、上記吸着剤が充填されたものを敷設することも可能である。吸着剤を充填した吸着装置を用いる場合には、吸着剤の汚染物質の捕捉能が低下するたびに交換することを容易とすることができる。
また好ましくは、図2に示すように、遮水層を、埋設した汚染土壌1の側面8にさらに敷設する。
このように汚染土壌1の側面にも遮水層3を設けることで、砒素を含む汚染物質が溶解した浸透水が、周囲の土壌中に浸出することを、更に有効に防止することができる。
特に、汚染土壌1の上面には、アスファルトやコンクリート等で形成された覆土層等4を施工することが望ましい。これにより、雨等による水分が、汚染土壌1内に浸入することを抑制することが可能となる。
図3は、本発明の土壌中の汚染物質固定工法を盛土構造に適用したものである。
本発明の一例としての図3において、Gは地盤であり、砒素を含む汚染物質が含まれる土壌である汚染土壌1の盛土構造のものを示す。
汚染土壌1の底面部5には、遮水層3が、砒素を含む汚染土壌1の底面部5の外周から内側へ、好ましくは中心に向かって下部へ傾斜するように敷設されている。
このように遮水層を敷設することで、汚染物質を含む水分が、吸着層2へ集中的に効率よく吸着されることができることとなり、周囲の土壌に汚染物質を含む水が浸出することを抑制する。
また、好ましくは、汚染土壌の上面6は、汚染土壌1の下部に敷設された遮水層3の上端を結ぶ面7よりも、図3の場合には、地盤面Gよりも狭くなるような構造とする。
このようにすることで、汚染土壌1に含まれる砒素を含む汚染物質が水に溶解して下降しても、遮水層3の上端を結ぶ面内に、該汚染物質が溶解した浸透水が下降することとなり、外部に漏れることがなくなる。
土壌中に含まれる汚染物質は、上記図1及び図2で説明したものと同じものであり、また遮水層の材料としても、上記図1及び図2で説明したものと同じ材料を用いることができる。
前記汚染土壌の下部に敷設された遮水層3の最下部の位置に、一定の厚みを有する吸着層2を敷設する。
該吸着層は、地下水面よりも上部に位置するように設置する。
該吸着層2には、遮水層3より集められた汚染物質を含む浸透水分が集められ、集中的に砒素を含む汚染物質が効率よく捕捉されて、周囲の土壌に砒素を含む汚染物質が浸出することや地下水に合流することを防止する。
吸着層に用いる吸着剤としては、上記図1及び図2で説明したものと同じ材料のものを用いることができる。
好ましくは、本発明の土壌中の汚染物質固定工法においては、前記吸着層が汚染土壌中に含まれる砒素を含む汚染物質の理論吸着量の1.3〜1.5倍の容量で敷設される。
このような吸着剤の量を敷設することで、吸着層を交換する必要がなく、十分に汚染土壌中の汚染物質の吸着が行なわれることとなる。
また、吸着層2は、前記吸着剤を締固めて埋設することも可能であり、また吸着層装置として、上記吸着剤が充填されたものを敷設することも可能である。吸着剤を充填した吸着装置を用いる場合には、吸着剤の汚染物質の捕捉能が低下するたびに交換することを容易とすることができる。
また好ましくは、図3に示す、盛土した汚染土壌1の側面8に遮水層又は、アスファルトやコンクリート等で形成された覆土層等を、さらに敷設する。
このように汚染土壌の側面にも遮水層や覆土層等を設けることで、汚染土壌1に雨等の水分が侵入することを有効に防止することができる。
特に、汚染土壌1の上面には、アスファルトやコンクリート等で形成された覆土層4等を施工することが望ましい。これにより、雨等による水分が、汚染土壌1内に浸入することを抑制することが可能となる。
本発明の土壌中の汚染物質固定工法は、該吸着層2で砒素を含む汚染物質、例えば有害な砒素を含む重金属類を集中的に吸着除去できるので、当該汚染物質が地下水に合流することを効率よく防止することができる。
本発明の土壌中の汚染物質固定工法は、埋め戻し構造や盛土構造のどちらにも適用することができ、トンネルやダム等の掘削工事や建設工事等によって大量に発生する砒素を含む汚染土壌の処理技術や、工場等の建築物や家屋等の造成土地からの砒素を含む汚染土壌の処理技術に適用することができる。
1・・・汚染土壌
2・・・吸着層
2−1・・・上部吸着層
2−2・・・下部吸着層
3・・・遮水層
4・・・覆土層
5・・・汚染土壌の底面部
6・・・汚染土壌の上面
7・・・遮水層の上端を結ぶ面
G・・・地盤

Claims (4)

  1. 砒素を含む汚染土壌の少なくとも下面に、遮水層を該汚染土壌の下面の外周側から内部に下方向に傾斜させて敷設し、
    傾斜して敷設された該遮水層の最下部の位置であって地下水面より上部に、亜ヒ酸酸化細菌、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含む吸着層を敷設し、
    前記遮水層及び吸着層の上に、該汚染土壌を敷設し、
    前記遮水層及び吸着層の上部に敷設される汚染土壌の上面が、汚染土壌の下部に敷設された遮水層の上端を結ぶ面より狭くなるように敷設することを備えることを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法。
  2. 請求項1記載の土壌中の砒素固定工法において、前記吸着層は2層構造であり、上部吸着層には亜ヒ酸酸化細菌を含み、下部吸着層には鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含むことを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法
  3. 請求項1又は2記載の土壌中の砒素固定工法において、前記吸着層は、前記汚染土壌中に含まれる砒素の理論吸着量の1.3〜1.5倍の容量で敷設されることを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法。
  4. 請求項1乃至3いずれかの土壌中の汚染物質固定工法において、前記遮水層を前記汚染土壌の側面にさらに敷設することを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法。
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