JP6179415B2 - 土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法 - Google Patents
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Description
特に、農産物を生育する上で、土壌汚染は深刻な問題であり、農産物からの砒素摂取量は、ヒトへの健康影響を検討する上で重要な検討事項になっている。
さらに、世界各地の地下水が汚染され、砒素が検出されており、健康被害が深刻な問題となっている。
またヒトだけでなく、周辺の生態系へ及ぼす影響も無視できるものではなく、社会的な問題として、大きく注目されている。
掘削埋め戻し工法は、例えば、汚染土壌を掘削して、地上でこの掘削土に不溶化剤を混ぜ合わせて不溶化処理を行ない、その後、該不溶化処理を適用した掘削土を、掘削した場所に埋め戻す工法である。
また、原位置不溶化工法は、例えば、不溶化剤を供給しながら混練機によって汚染土壌を混練することで、汚染土壌を不溶化処理する工法である。
また、吸着層に亀裂が入ると、この亀裂より、重金属含有土壌からのpHが低い水が周知の土壌に浸出し、これにより土壌中に元々存在していた鉛、砒素、カドミウム、六価クロム等の有害な重金属類がイオン化して地下水中に溶出されることも懸念されている。
傾斜して敷設された該遮水層の最下部の位置であって地下水面より上部に、亜ヒ酸酸化細菌、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含む吸着層を敷設し、
前記遮水層及び吸着層の上に、該汚染土壌を敷設し、
前記遮水層及び吸着層の上部に敷設される汚染土壌の上面が、汚染土壌の下部に敷設された遮水層の上端を結ぶ面より狭くなるように敷設することを備えることを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法である。
本発明の土壌中の砒素を含む汚染物質固定工法は、
砒素を含む汚染土壌の少なくとも下面に、遮水層を該汚染土壌の下面の外周側から内部に下方向に傾斜させて敷設し、
傾斜して敷設された該遮水層の最下部の位置であって地下水面より上部に、亜ヒ酸酸化細菌、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含む吸着層を敷設し、
前記遮水層及び吸着層の上に、該汚染土壌を敷設することを備える、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法である。
図1及び図2は、本発明の土壌中の砒素を含む汚染物質固定工法を埋め戻し構造に適用した例を示す。
本発明の一例としての図1において、Gは地盤であり、砒素を含む重金属等の汚染物質が含まれる土壌である汚染土壌1を、陥地に埋め戻す構造のものを示す。
砒素を含む汚染土壌1の底面部5には、遮水層3が、汚染土壌1の底面部5の外周から内側へ、好ましくは中心に向かって下部へ傾斜するように敷設されている。
このように遮水層を敷設することで、砒素を含む汚染物質を含有する水分が、吸着層2へ集中的に効率よく吸着されることができることとなり、周囲の土壌に砒素を含む汚染物質を含有する水が浸出することを抑制する。
このようにすることで、当該汚染土壌1に含まれる砒素等の汚染物質が水に溶解して下降しても、遮水層3の上端を結ぶ面内に、該汚染物質が溶解した浸透水が下降することとなり、外部に漏れることがなくなる。
該吸着層は、地下水面よりも上部に位置するように設置する。
該吸着層2には、遮水層3より集められた砒素を含む汚染物質を含有する浸透水分が集められ、集中的に砒素を含む汚染物質が効率よく捕捉されて、周囲の土壌に砒素を含む汚染物質が浸出することや地下水に合流することを防止する。
適用できる吸着剤としては、例えば、人工ゼオライト、火山灰土、ロックウール、セルロース等の各種多孔質材料や不溶化剤等が例示でき、これらを単独でまたは組み合わせて用いることができる。
吸着層2にて、土壌中の砒素、特に亜ヒ酸(AsO3 3−)を亜ヒ酸酸化細菌を用いて酸化してヒ酸(AsO4 3−)に酸化し、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを混合することで、土壌中の砒素を長期に渡り安定的に不溶化して吸着することができる。
土壌中の砒素は、その形態により毒性が異なるが、特に亜ヒ酸が高い毒性を示すものであり、土壌の酸化還元状態に応じて、その形態は変化するものである。
かかる亜ヒ酸酸化細菌により、土壌中の亜ヒ酸(3価)をヒ酸(5価)に酸化することで、酸化剤等を用いる化学的処理に比べて低コストな処理プロセスが構築でき、また薬剤添加による環境の負荷を低減することができる。
また、亜ヒ酸酸化細菌の吸着剤への含有量としては、細菌種や土壌の状態によって酸化効果が異なるためカラム試験などにより決定する。
鉄系硫酸塩としては、例えば硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄系硫酸塩を例示することができる。
焼成ドロマイトを用いることで、弱アルカリ雰囲気となり、この環境下において水酸化物の生成、共沈等の上記難溶性塩を生成されて吸着される。また仮に土壌内の還元雰囲気下で砒素が可逆的に3価となり亜ヒ酸が存在しても、該焼成ドロマイトへ物理吸着されて完全に不溶化されて吸着される。
なお、天然に産出するドロマイトは、一般に、CaO/MgOで表わされる複塩のモル比が0.70〜1.63の範囲であり、CaCO3をCaO換算で概ね9〜40質量%、MgCO3をMgO換算で概ね10〜38質量%含有するものである。
ドロマイトを焼成して焼成ドロマイトを得るが、焼成温度としては、例えば、650〜1000℃、好ましくは690〜890℃、さらに好ましくは760〜850℃とすることが望ましく、焼成時間は温度条件によっても変動するが、通常、10〜60分が望ましい。このような焼成条件であると、熱分解反応により、BET比表面積が大きく、また細孔径分布のピーク範囲が10〜20nmの範囲(日本ベル社製、高精度ガス吸着装置「BELSORP−mini」により測定)である焼成ドロマイトが得られ、砒素の吸着率が、より高く好適である。
特に、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含む鉱物が軽焼されてなり、且つ前記炭酸マグネシウムが熱分解されることで生成されるMgCxOy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む焼成ドロマイトを好適に用いることができる。
更に、前記焼成ドロマイトには、酸化カルシウムを実質的に含まないものが、より好ましく用いられる。前記鉱物中のMgCO3の一部は熱分解させるが、CaCO3を実質的には熱分解する温度での焼成ではないため、前記軽焼生成物である焼成ドロマイト中には、実質的にCaOは含まれていない。
また、炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを主成分として含む前記鉱物とは、炭酸マグネシウムを20質量%以上、好ましくは40質量%以上含み、且つ炭酸カルシウムを15質量%以上、好ましくは50質量%以上含む鉱物等が例示できる。
かかる焼成ドロマイトにおける前記MgCxOyは、例えば、MgCO3の基本構造が脱炭酸によって変化し基本構造の規則性が崩れた不定形な形で存在していると考えられる。
また前記鉄系硫酸塩と焼成ドロマイトとの配合割合は、合計量100質量部に対し、鉄系硫酸塩を5〜20質量部とすることが好ましい。
このような吸着剤の量を敷設することで、吸着層を交換する必要がなく、十分に汚染土壌中の汚染物質の吸着が行なわれることとなる。
このように汚染土壌1の側面にも遮水層3を設けることで、砒素を含む汚染物質が溶解した浸透水が、周囲の土壌中に浸出することを、更に有効に防止することができる。
本発明の一例としての図3において、Gは地盤であり、砒素を含む汚染物質が含まれる土壌である汚染土壌1の盛土構造のものを示す。
汚染土壌1の底面部5には、遮水層3が、砒素を含む汚染土壌1の底面部5の外周から内側へ、好ましくは中心に向かって下部へ傾斜するように敷設されている。
このように遮水層を敷設することで、汚染物質を含む水分が、吸着層2へ集中的に効率よく吸着されることができることとなり、周囲の土壌に汚染物質を含む水が浸出することを抑制する。
このようにすることで、汚染土壌1に含まれる砒素を含む汚染物質が水に溶解して下降しても、遮水層3の上端を結ぶ面内に、該汚染物質が溶解した浸透水が下降することとなり、外部に漏れることがなくなる。
該吸着層は、地下水面よりも上部に位置するように設置する。
該吸着層2には、遮水層3より集められた汚染物質を含む浸透水分が集められ、集中的に砒素を含む汚染物質が効率よく捕捉されて、周囲の土壌に砒素を含む汚染物質が浸出することや地下水に合流することを防止する。
吸着層に用いる吸着剤としては、上記図1及び図2で説明したものと同じ材料のものを用いることができる。
このような吸着剤の量を敷設することで、吸着層を交換する必要がなく、十分に汚染土壌中の汚染物質の吸着が行なわれることとなる。
このように汚染土壌の側面にも遮水層や覆土層等を設けることで、汚染土壌1に雨等の水分が侵入することを有効に防止することができる。
2・・・吸着層
2−1・・・上部吸着層
2−2・・・下部吸着層
3・・・遮水層
4・・・覆土層
5・・・汚染土壌の底面部
6・・・汚染土壌の上面
7・・・遮水層の上端を結ぶ面
G・・・地盤
Claims (4)
- 砒素を含む汚染土壌の少なくとも下面に、遮水層を該汚染土壌の下面の外周側から内部に下方向に傾斜させて敷設し、
傾斜して敷設された該遮水層の最下部の位置であって地下水面より上部に、亜ヒ酸酸化細菌、鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含む吸着層を敷設し、
前記遮水層及び吸着層の上に、該汚染土壌を敷設し、
前記遮水層及び吸着層の上部に敷設される汚染土壌の上面が、汚染土壌の下部に敷設された遮水層の上端を結ぶ面より狭くなるように敷設することを備えることを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法。 - 請求項1記載の土壌中の砒素固定工法において、前記吸着層は2層構造であり、上部吸着層には亜ヒ酸酸化細菌を含み、下部吸着層には鉄系硫酸塩及び焼成ドロマイトを含むことを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法
- 請求項1又は2記載の土壌中の砒素固定工法において、前記吸着層は、前記汚染土壌中に含まれる砒素の理論吸着量の1.3〜1.5倍の容量で敷設されることを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法。
- 請求項1乃至3いずれかの土壌中の汚染物質固定工法において、前記遮水層を前記汚染土壌の側面にさらに敷設することを特徴とする、土壌中の砒素を含む汚染物質の固定工法。
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