JP6839175B2 - ノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
ノーテンパー型ハードバターとは、一定温度下での冷却を行うテンパリング操作を必要とせず、単に冷却しただけであってもファットブルームの発生が抑制され、表面にツヤのあるチョコレートが得られるハードバターである。
ラウリン酸型ノーテンパー型ハードバターの長所として、口溶けが良好であるという点、及び固化する際の乾燥が早いという点が挙げられる。一方、加水分解等による風味の劣化が起こりやすく、またカカオ脂との相溶性が極めて低いという課題があった。
この為、最近ではそれぞれのノーテンパー型ハードバターが有する欠点の解消を目的として、非ラウリン酸型、低トランス脂肪酸型のノーテンパー型ハードバターの開発が盛んに行われている。
特許文献3では、ノーテンパー型ハードバター組成物全体中、SSU型及びSUS型トリグリセリドの合計含有量が70〜100重量%且つSSU型トリグリセリド/SUS型トリグリセリド(重量比)が1以上であり、さらに該ハードバター組成物の全脂肪酸組成におけるStとPの合計量が55〜65重量%且つSt/Pが0.9〜4.0であり、加えてSSU型トリグリセリドの70重量%以上が、同一の飽和脂肪酸を2個有する非テンパリング型ハードバター組成物が開示されている。
(1)オレイン酸高含有油脂とパーム極度硬化油を含有する油脂配合物に対してエステル交換反応を行い、下記条件(A)〜(E)を満たす油脂(甲1)を得る工程
(A)構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が2.0〜3.3
(B)構成する脂肪酸組成中のSt/Pの質量比が0.4〜0.8
(C)構成する脂肪酸組成中のM/Poの質量比が10.0〜95.0
(D)構成するトリグリセリド中のSSS含量が35〜50質量%
(E)構成するトリグリセリド中のS2U含量が30〜50質量%
(2)パームステアリン及びヨウ素価が5以下の極度硬化油脂を含有する油脂配合物をランダムエステル交換して下記条件(F)〜(I)を満たす油脂(甲2)を得る工程
(F)構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.0〜4.2
(G)上記Sが実質的にStとPからなり、St/Pの質量比が0.3〜1.4
(H)構成するトリグリセリド中のSSS含量が35〜50質量%
(I)構成するトリグリセリド中のS2U含量が30〜45質量%
但し、
S:炭素数16以上の飽和脂肪酸
U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸
St:ステアリン酸
P:パルミチン酸
M:モノエン脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)
Po:ポリエン脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)
(3)上記油脂(甲1)又は(甲2)から、晶析により油脂(甲1)又は(甲2)の低融点部から成る油脂(乙1)又は(乙2)を得る工程
(4)上記油脂(乙1)又は(乙2)に水蒸気を接触させ脱臭処理を行なうことにより油脂(丙1)または(丙2)を得る工程
尚、本発明において、「非ラウリン」とは、構成脂肪酸組成において炭素数6〜12の脂肪酸含量が5質量%未満、より好ましくは3質量%未満であることをいうものとする。また、本発明において、「低トランス」とは、構成脂肪酸組成においてトランス脂肪酸含量が5質量%未満、より好ましくは3質量%未満であることをいうものとする。
工程(1)では、オレイン酸高含有油脂とパーム極度硬化油を含有する油脂配合物に対してエステル交換反応を行い、下記条件(A)〜(E)を満たす油脂(甲1)を得る。
沃素価が5より大きいパーム極度硬化油を本発明に用いた場合、トランス脂肪酸が5質量%を超えるおそれがある。
上記化学触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記酵素としては、位置選択性のない酵素、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
尚、化学触媒や酵素を添加する前には、油脂配合物中から出来る限り水分を除去しておく必要がある。例えば、化学触媒や酵素を添加するよりも前に、真空下、100〜120℃で15〜60分間程度加熱を行い、油脂配合物中から十分に水分を除去し乾燥させておくことが、効率的かつ十分にエステル交換反応を進行させる観点から好ましい。
≪条件(A)≫
本発明の製造方法においては、油脂(甲1)を構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が2.0〜3.3である必要があり、より好ましくは2.3〜3.2、最も好ましくは2.5〜3.0である。本発明においてS/Uの質量比が2.0未満である場合には、室温下での硬さが不足する。またS/U質量比が3.3よりも大きい場合には、製造効率が著しく低下する。
本発明の製造方法においては、油脂(甲1)を構成する脂肪酸組成中のSt/Pの質量比が0.4〜0.8である必要があり、より好ましくは0.4〜0.7、最も好ましくは0.5〜0.7である。本発明においてSt/Pの質量比が0.4未満である場合、また0.8超である場合は、カカオバターとの相溶性が低下する。
本発明の製造方法においては、油脂(甲1)を構成する脂肪酸組成中のM/Poの質量比が10.0〜95.0である必要があり、より好ましくは15.0〜92.0、最も好ましくは20.0〜92.0である。油脂(甲1)を構成する脂肪酸組成中のM/Poの質量比が10.0未満である場合、固化性が悪化し、べたつきやすくなる上、スナップ性が低下し、風味安定性に欠ける。またM/Poの質量比が95.0より大きい場合、効果が頭打ちである上に、本発明で用いる油脂中に含まれる高不飽和脂肪酸を、水素添加によって減少させなくてはならず、油脂組成物に含まれるトランス脂肪酸が増加する。
本発明において選択される一価不飽和脂肪酸としては、パルミトオレイン酸やオレイン酸、エルカ酸等が挙げられ、また多価不飽和脂肪酸としては、リノール酸やリノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。これらのうち、安価に且つ安定的に条件(C)を満たせる上、室温下で適度なスナップ性を有しつつ口溶け性に優れたノーテンパー型チョコレートが得られやすいことから、一価不飽和脂肪酸としてはオレイン酸が、多価不飽和脂肪酸としてはリノール酸及び/又はリノレン酸を選択することが好ましい。
本発明の製造方法においては、油脂(甲1)を構成するトリグリセリド中のSSS含量が35〜50質量%である必要があり、好ましくは38〜48質量%、より好ましくは40〜45質量%である。構成するトリグリセリド中のSSS含量が35質量%未満である場合、本発明の製造方法で製造されたノーテンパー型ハードバターを用いたノーテンパー型チョコレートが室温で軟らかくなりすぎてしまい、好適なスナップ性が得られない。また構成するトリグリセリド中のSSS含量が50質量%よりも多い場合、濾過効率が低下する。
本発明の製造方法においては、油脂(甲1)を構成するトリグリセリド中のS2U含量が30〜50質量%であることが必要であり、好ましくは35〜45質量%、より好ましくは37〜42質量%である。
ハードバター一般において、S2U型のトリグリセリドは、室温で硬く、口中で速やかに溶けるというチョコレートの性質を発現するために重要なファクターの一つであるが、油脂(甲1)を構成するトリグリセリド中のS2U含量が30質量%未満である場合、得られるノーテンパー型チョコレートが室温下で軟らかくなりすぎてしまう。また、50質量%よりも多い場合には、分別で除去すべきSSSが多くなりすぎ、濾過性が低下する。
工程(2)では、パームステアリン及びヨウ素価が5以下の極度硬化油脂を含有する油脂配合物をランダムエステル交換して下記条件(F)〜(I)を満たす油脂(甲2)を得る。
また、上記パームステアリンは、パームオレインを分別採取する際の副生物に、更に分別及び/又はエステル交換処理を施したものであってもよい。
上記食用の動植物油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びに、これらの油脂に対して水素添加や分別等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上を施した加工油脂が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも特にパーム油を極度硬化させたものを、ヨウ素価が5以下の極度硬化油脂として用いることにより、適当量のジグリセリドを油脂配合物中に含有させることができ、それに伴って結晶性が向上し濾過性が良好な結晶化スラリーを得やすくなるため、好ましい。
また、ヨウ素価が5以下の極度硬化油脂の含有量は、油脂配合物100質量部中、20〜60質量部であることが好ましく、25〜50質量部であることが更に好ましく、30〜45質量部であることが最も好ましい。
上記の好ましい範囲でパームステアリン及び/又はヨウ素価が5以下の極度硬化油脂が油脂配合物中に含有されていない場合、本発明の製造方法で得られたハードバターを用いたチョコレートの室温下での硬さが十分に得られないおそれがある。
本発明の製造方法においては、油脂(甲2)を構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.0〜4.2である必要があり、好ましくは3.0〜3.8、より好ましくは3.1〜3.6である。S/Uの質量比が3.0未満の場合、製造されたハードバターを用いたノーテンパー型チョコレートの製造時に十分な固化性が得られない。またS/Uの質量比が4.2よりも大きい場合には、後述する分別工程の際に行う固液分離が困難になる上、分別軟部油の収率が低下する。
本発明の製造方法においては、油脂(甲2)を構成する脂肪酸組成中のSが実質的にStとPからなり、St/Pの質量比が0.3〜1.4である必要があり、好ましくは0.3〜0.7、より好ましくは0.4〜0.6である。
「実質的にStとPからなる」とは、Stの含有量とPの含有量の和が、構成する脂肪酸組成中のSの含有量の95質量%以上であることを意味する。
St/Pの質量比が0.3未満の場合、十分な固化性が得られない上、得られるノーテンパー型チョコレートのスナップ性が低くなってしまう。また1.4より大きい場合、喫食時の噛み出しが固くなりすぎてしまう上、口溶けが悪化する。
本発明の製造方法においては、油脂(甲2)を構成するトリグリセリド中のSSS含量が35〜50質量%である必要があり、好ましくは38〜48質量%、より好ましくは40〜45質量%である。構成するトリグリセリド中のSSS含量が35質量%未満である場合、製造されたハードバターを用いたノーテンパー型チョコレートが室温で軟らかくなりすぎてしまう。また構成するトリグリセリド中のSSS含量が50質量%よりも多い場合、後述する分別工程において濾過性が低下し、固液分離が難しくなる。
本発明の製造方法においては、油脂(甲2)を構成するトリグリセリド中のS2U含量が30〜45質量%であることが必要であり、好ましくは35〜45質量%、より好ましくは37〜42質量%である。
ハードバター一般において、S2U型のトリグリセリドは、室温で硬く、口中で速やかに溶けるというチョコレートの一般的な性質を発現するために重要なファクターの一つであるが、油脂(甲2)を構成するトリグリセリド中のS2U含量が30質量%未満である場合、得られるノーテンパー型チョコレートが室温下で軟らかくなりすぎてしまう。また、油脂(甲2)を構成するトリグリセリド中のS2U含量が45質量%超である場合には、濾過性が低くなることにより固液分離が難しくなって、分別軟部油の収率が低下してしまう。
精製の方法としては、漂白、脱臭等が適宜選択される。特に油脂(甲1)、油脂(甲2)を得る際にナトリウムメチラート等の化学触媒を使用した場合は、添加したナトリウムメチラート等の化学触媒の失活・除去処理を行うことが、得られるハードバター組成物の品質が安定するため、好ましい。
工程(3)では、口溶けが良好であり、且つスナップ性が良好なハードバター組成物を得るために、工程(1)又は工程(2)で得られた油脂(甲1)又は(甲2)を溶解した後、晶析処理により、油脂(甲1)又は(甲2)の低融点部を分別し、油脂(乙1)又は(乙2)を得る。
上記晶析処理とは、融解状態の油脂を冷却結晶化して、結晶部を析出させ、これを結晶部と液状部に分離することを指す。
固体脂含量(SFC)が上記範囲内である場合、結晶部と液状部とに分離する際の分離効率が良く、逆に上記範囲外であった場合には該分離効率が悪くなる恐れがある。
具体的には、30〜60℃、好ましくは35〜50℃の任意の温度で、定温の状態で、30分〜80時間保持することによって、熟成工程を行なうことができる。尚、熟成工程の回数の上限は、特に制限はないが通常は5回、好ましくは4回である。
圧搾濾過によって分別を行なう場合の圧力は、好ましくは0.2MPa以上、さらに好ましくは0.5〜5MPaである。圧搾時の圧力は圧搾初期から圧搾終期にかけて徐々に上昇させることが好ましく、その圧力の上昇速度は、好ましくは1MPa/分以下、さらに好ましくは0.5MPa/分以下、最も好ましくは0.1MPa/分以下である。加圧速度が1MPa/分より大きいと、得られる油脂(乙1)又は(乙2)の収率が低下するおそれがある。
工程(4)では、上記油脂油脂(乙1)又は(乙2)に水蒸気を接触させ脱臭処理を行うことにより油脂(丙1)又は(丙2)を得る。
工程(3)を経て得られた、油脂(甲1)又は(甲2)の低融点部から成る油脂(乙1)又は(乙2)については、遊離脂肪酸を多く含有するおそれがあるため、これを除去し風味を向上させるために、精製工程を経る必要があり、なかでも特に脱臭を必要とする。
脱臭方法としては、水蒸気との接触による方法、即ち、水蒸気蒸留法を適用する。水蒸気蒸留法は、常法によって行うことができるが、好ましい処理条件としては、例えば、温度が160〜260℃、好ましくは180〜230℃、真空度は8.0×10 2 Pa以下、好ましくは4.0×10 2 Pa以下、時間としては30〜60分という条件が挙げられる。脱臭処理温度が160℃未満では、十分な脱臭効果が得られにくく、260℃超では、脂肪酸の異性化やトリアシルグリセロール間での脂肪酸の交換反応が起こることによる、油脂の組成の変化が起こるおそれがある。
(i)DG(ジアシルグリセロール)含有量が4〜12質量%
(ii)SSS及びS2Uを合計した含有量が60〜80質量%
(iii)SU2及びUUUを合計した含有量が20〜40質量%
(iv)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が95質量%以上であり、且つSt/Pの質量比が0.2〜0.6である
(v)DG(ジアシルグリセロール)含有量が2〜12質量%
(vi)SSS及びS2Uを合計した含有量が60〜80質量%
(vii)SU2及びUUUを合計した含有量が10〜25質量%
(viii)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が95質量%以上であり、且つSt/Pの質量比が0.2〜0.65である
さらに、(ix)構成するトリグリセリド中のS2U中におけるSUSとSSUの質量比(前者/後者)が0.45〜0.55であることが好ましい。
微細藻類油(Solazyme社製、構成脂肪酸中のオレイン酸含量91.4質量%)20質量部、及びパーム油に沃素価が1以下になるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油脂40質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合した後、融解させたパルミチン酸高含有油(IOI社製、構成脂肪酸中のパルミチン酸含量82質量%)を40質量部加え、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃に真空下で30分間加熱した後、液温85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対して0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下、85℃で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した後、白土を加えて漂白し油脂(甲−a)を得た。油脂(甲−a)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中におけるS含量が76.1質量%、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.2、St/Pの質量比が0.46、M/Poの質量比(O/Lの質量比)が20.5、構成するトリグリセリド中のS3含量が46.4質量%、S2U含量が40.6質量%、S2U型トリグリセリド中のSUS/SSUの質量比は0.48であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙-a)を得た。さらに結晶部を3MPaで圧搾し、液状部と結晶部とに分離し、圧搾軟部油(乙−a)を得た。得られた分別軟部油(乙−a)と圧搾軟部油(乙−a)を合わせて、油脂(乙−a)とした。さらに、この油脂(乙−a)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−a)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が7.3質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が67.7質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が25.0質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.2質量%、且つSt/Pの質量比が0.38
上記の油脂(丙−a)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(1)とした。
微細藻類油(Solazyme社製、構成脂肪酸中のオレイン酸含量91.4質量%)25質量部、及びパーム油に沃素価が1以下になるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油脂50質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合した後、融解させたパルミチン酸高含有油(IOI社製、構成脂肪酸中のパルミチン酸含量82質量%)を25質量部加え、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃に真空下で30分間加熱した後、液温85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対して0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下、85℃で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した後、白土を加えて漂白し油脂(甲−b)を得た。油脂(甲−b)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中におけるS含量が73.4質量%、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が2.8、St/Pの質量比が0.66、M/Poの質量比(O/Lの質量比)が32.0、構成するトリグリセリド中のS3含量が41.6質量%、S2U含量が42.4質量%、S2U型トリグリセリド中のSUS/SSUの質量比は0.50であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−b)を得た。さらに結晶部を3MPaで圧搾し、液状部と結晶部とに分離し、圧搾軟部油(乙−b)を得た。得られた分別軟部油(乙−b)と圧搾軟部油(乙−b)を合わせて、油脂(乙−b)とした。さらに、この油脂(乙−b)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−b)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が7.9質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が65.9質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が26.2質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が98.2質量%、且つSt/Pの質量比が0.49
上記の油脂(丙−b)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(2)とした。
ハイオレイックヒマワリ油(構成脂肪酸中のオレイン酸含量86.3質量%)20質量部、及びパーム油に沃素価が1以下になるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油脂50質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合した後、融解させたパルミチン酸高含有油(IOI社製、構成脂肪酸中のパルミチン酸含量82質量%)を30質量部加え、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃に真空下で30分間加熱した後、液温85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対して0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下、85℃で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した後、白土を加えて漂白し油脂(甲−c)を得た。油脂(甲−c)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中におけるS含量が77.3質量%、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.4、St/Pの質量比が0.6、M/Poの質量比(O/Lの質量比)が10.2、構成するトリグリセリド中のS3含量が48.2質量%、S2U含量が39.8質量%、S2U型トリグリセリド中のSUS/SSUの質量比は0.49であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−c)を得た。さらに結晶部を3MPaで圧搾し、液状部と結晶部とに分離し、圧搾軟部油(乙−c)を得た。得られた分別軟部油(乙−c)と圧搾軟部油(乙−c)を合わせて、油脂(乙−c)とした。さらに、この油脂(乙−c)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−c)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が7.3質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が67.0質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が25.7質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が96.9質量%、且つSt/Pの質量比が0.39
上記の油脂(丙−c)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(3)とした。
ハイオレイックヒマワリ油(構成脂肪酸中のオレイン酸含量86.3質量%)25質量部、及びパーム油に沃素価が1以下になるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油脂40質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合した後、融解させたパルミチン酸高含有油(IOI社製、構成脂肪酸中のパルミチン酸含量82質量%)を35質量部加え、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃に真空下で30分間加熱した後、液温85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対して0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下、85℃で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した後、白土を加えて漂白し油脂(甲−d)を得た。油脂(甲−d)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中におけるS含量が72.0質量%、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が2.6、St/Pの質量比が0.5、M/Poの質量比(O/Lの質量比)が10.6、構成するトリグリセリド中のS3含量が39.5質量%、S2U含量が43.0質量%、S2U型トリグリセリド中のSUS/SSUの質量比は0.51であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−d)を得た。さらに結晶部を3MPaで圧搾し、液状部と結晶部とに分離し、圧搾軟部油(乙−d)を得た。得られた分別軟部油(乙−d)と圧搾軟部油(乙−d)を合わせて、油脂(乙−d)とした。さらに、この油脂(乙−d)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−d)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が7.7質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が65.8質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が26.5質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.0質量%、且つSt/Pの質量比が0.41
上記の油脂(丙−d)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(4)とした。
パームステアリン5質量部、パーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油55質量部、及びパーム油40質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分に脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−e)を得た。油脂(甲−e)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.7、St/Pの質量比が0.7、構成するトリグリセリド中のSSS含量が43質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が40質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−e)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−e)を得た。得られた分別軟部油(乙−e)と圧搾軟部油(乙−e)を合わせて油脂(乙−e)とした。さらに、この油脂(乙−e)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−e)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が9.2質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が71.2質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が19.6質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.2質量%、且つSt/Pの質量比が0.61
上記の油脂(丙−e)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(5)とした。
パームステアリン15質量部、パーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油50質量部、及びパーム油35質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−f)を得た。油脂(甲−f)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.5、St/Pの質量比が0.6、構成するトリグリセリド中のSSS含量が43.5質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が39.5質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−f)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−f)を得た。得られた分別軟部油(乙−f)と圧搾軟部油(乙−f)を合わせて油脂(乙−f)とした。さらに、この油脂(乙−f)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−f)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が7.8質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が72.4質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が19.8質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.2質量%、且つSt/Pの質量比が0.55
上記の油脂(丙−f)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(6)とした。
パームステアリン35質量部、パーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油40質量部、及びパーム油25質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−g)を得た。油脂(甲−g)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.3、St/Pの質量比が0.5、構成するトリグリセリド中のSSS含量が44.5質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が38.0質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−g)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−g)を得た。得られた分別軟部油(乙−g)と圧搾軟部油(乙−g)を合わせて油脂(乙−g)とした。さらに、この油脂(乙−g)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−g)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が9.7質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が72.2質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が18.1質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.0質量%、且つSt/Pの質量比が0.44
上記の油脂(丙−g)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(7)とした。
パームステアリン45質量部、パーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油35質量部、及びパーム油20質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−h)を得た。油脂(甲−h)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.4、St/Pの質量比が0.4、構成するトリグリセリド中のSSS含量が42.2質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が40.0質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−h)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−h)を得た。得られた分別軟部油(乙−h)と圧搾軟部油(乙−h)を合わせて油脂(乙−h)とした。さらに、この油脂(乙−h)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−h)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.2質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が71.8質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が20.0質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.1質量%、且つSt/Pの質量比が0.42
上記の油脂(丙−h)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(8)とした。
実施例8で得られた油脂(甲−h)をジャケット付ガラス製晶析槽に投入し、40rpmで撹拌しながら、70℃で加熱され完全に溶解された状態から、途中の熟成工程を経る事なく、42℃まで1.9℃/hで15時間冷却し、結晶化スラリーを得た。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−i)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−i)を得た。得られた分別軟部油(乙−i)と圧搾軟部油(乙−i)を合わせて油脂(乙−i)とした。さらに、この油脂(乙−i)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−i)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.2質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が71.8質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が20.0質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.1質量%、且つSt/Pの質量比が0.42
上記の油脂(丙−i)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(9)とした。
実施例8で得られた油脂(甲−h)をジャケット付ガラス製晶析槽に投入し、40rpmで撹拌しながら、70℃で加熱され完全に溶解された状態から、48℃まで15℃/hで急冷し、48℃、44℃、40℃の各温度でそれぞれ4時間の熟成工程を経て、結晶化スラリーを得た。尚、48℃から44℃への温度移行及び44℃から40℃への温度移行は、1℃/hでの徐冷により行った。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−j)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−j)を得た。得られた分別軟部油(乙−j)と圧搾軟部油(乙−j)を合わせて油脂(乙−j)とした。さらに、この油脂(乙−j)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−j)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.4質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が70.8質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が19.9質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.1質量%、且つSt/Pの質量比が0.42
上記の油脂(丙−j)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(10)とした。
パームステアリン75質量部、パーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油25質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空化で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−k)を得た。油脂(甲−k)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.2、St/Pの質量比が0.3、構成するトリグリセリド中のSSS含量が42.5質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が40.2質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−k)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−k)を得た。得られた分別軟部油(乙−k)と圧搾軟部油(乙−k)を合わせて油脂(乙−k)とした。さらに、この油脂(乙−k)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−k)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.6質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が71.5質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が19.5質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.4質量%、且つSt/Pの質量比が0.28
上記の油脂(丙−k)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(11)とした。
パームステアリン25質量部、大豆油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行った大豆極度硬化油45質量部、及びパーム油30質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−l)を得た。油脂(甲−l)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.4、St/Pの質量比が1.3、構成するトリグリセリド中のSSS含量が47.7質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が40.0質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−l)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−l)を得た。得られた分別軟部油(乙−l)と圧搾軟部油(乙−l)を合わせて油脂(乙−l)とした。さらに、この油脂(乙−l)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−l)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が7.2質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が71.4質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が21.5質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.9質量%、且つSt/Pの質量比が1.09
上記の油脂(丙−l)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(12)とした。
パームステアリン48質量部、パーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油37質量部、及びパーム油15質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−m)を得た。油脂(甲−m)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.4、St/Pの質量比が0.4、構成するトリグリセリド中のSSS含量が48.8質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が39.6質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−m)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−m)を得た。得られた分別軟部油(乙−m)と圧搾軟部油(乙−m)を合わせて油脂(乙−m)とした。さらに、この油脂(乙−m)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−m)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が10.0質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が71.6質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が17.7質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が96.9質量%、且つSt/Pの質量比が0.41
上記の油脂(丙−m)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(13)とした。
パームステアリン27質量部、パーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油48質量部、及びパーム油25質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−n)を得た。油脂(甲−n)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.8、St/Pの質量比が0.6、構成するトリグリセリド中のSSS含量が47.5質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が38.2質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−n)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−n)を得た。得られた分別軟部油(乙−n)と圧搾軟部油(乙−n)を合わせて油脂(乙−n)とした。さらに、この油脂(乙−n)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−n)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.6質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が73.7質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が17.2質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.0質量%、且つSt/Pの質量比が0.54
上記の油脂(丙−n)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(14)とした。
四口フラスコ中で、パームステアリン45質量部、パーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油35質量部、及びパーム油20質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。次いで、この油脂混合物を攪拌しながら温度110℃に昇温し、30分間減圧下で脱水した。温度30℃に冷却し、固定化酵素(Lipozyme RMIM(ノボザイムズジャパン(株)製))を10%添加した後、窒素雰囲気下で温度50℃に昇温し、常圧で24時間エステル交換反応を行った。次いで、固定化酵素を濾別した後、温度80℃で攪拌しながら30分間減圧下で脱水した。次いで、白土を加えて漂白し、油脂(甲−o)を得た。油脂(甲−o)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.4、St/Pの質量比が0.4、構成するトリグリセリド中のSSS含量が44.0質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が39.6質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−o)を得た。さらに分別硬部油を3MPaで圧搾し、圧搾軟部油(乙−o)を得た。得られた分別軟部油(乙−o)と圧搾軟部油(乙−o)を合わせて油脂(乙−o)とした。さらに、この油脂(乙−o)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−o)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.7質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が72.1質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が19.1質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.5質量%、且つSt/Pの質量比が0.42
上記の油脂(丙−o)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(15)とした。
微細藻類油(Solazyme社製、構成脂肪酸中のオレイン酸含量91.4質量%)35質量部、及びパーム油に沃素価が1以下になるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油脂35質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合した後、融解させたパルミチン酸高含有油(IOI社製、構成脂肪酸中のパルミチン酸含量82質量%)を30質量部加え、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃に真空下で30分間加熱した後、液温85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対して0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下、85℃で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した後、白土を加えて漂白し油脂(甲−p)を得た。油脂(甲−p)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中におけるS含量が63.4質量%、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が1.8、St/Pの質量比が0.51、M/Poの質量比(O/Lの質量比)が35.2、構成するトリグリセリド中のS3含量が27.6質量%、S2U含量が44.4質量%、S2U型トリグリセリド中のSUS/SSUの質量比は0.46であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−p)を得た。さらに結晶部を3MPaで圧搾し、液状部と結晶部とに分離し、圧搾軟部油(乙−p)を得た。得られた分別軟部油(乙−p)と圧搾軟部油(乙−p)を合わせて、油脂(乙−p)とした。さらに、この油脂(乙−p)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−p)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.0質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が54.8質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が37.2質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が97.3質量%、且つSt/Pの質量比が0.43
上記の油脂(丙−p)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(16)とした。
ハイオレイックヒマワリ油(構成脂肪酸中のオレイン酸含量86.3質量%)35質量部、及びパーム油に沃素価が1以下になるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油脂45質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合した後、融解させたパルミチン酸高含有油(IOI社製、構成脂肪酸中のパルミチン酸含量82質量%)を20質量部加え、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃に真空下で30分間加熱した後、液温85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対して0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下、85℃で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した後、白土を加えて漂白し油脂(甲−q)を得た。油脂(甲−q)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中におけるS含量が63.9質量%、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が1.79、St/Pの質量比が0.7、M/Poの質量比(O/Lの質量比)が12.1、構成するトリグリセリド中のS3含量が28.2質量%、S2U含量が44.4質量%、S2U型トリグリセリド中のSUS/SSUの質量比は0.47であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別し、分別軟部油(乙−q)を得た。さらに結晶部を3MPaで圧搾し、液状部と結晶部とに分離し、圧搾軟部油(乙−q)を得た。得られた分別軟部油(乙−q)と圧搾軟部油(乙−q)を合わせて、油脂(乙−q)とした。さらに、この油脂(乙−q)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−q)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.1質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が54.2質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が37.7質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が96.9質量%、且つSt/Pの質量比が0.48
上記の油脂(丙−q)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(17)とした。
パーム油60質量部、及びパーム油に沃素価が1以下となるまで水素添加を行ったパーム極度硬化油40質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。この油脂配合物を四口フラスコ内で液温110℃で真空下30分間加熱し十分脱水した。この後、液温を85℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、更に真空下で1時間加熱した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、さらに白土を加えて漂白し、油脂(甲−r)を得た。油脂(甲−r)を常法により分析した結果、構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が2.88、St/Pの質量比が0.6、構成するトリグリセリド中のSSS含量が34.3質量%、構成するトリグリセリド中のS2U含量が39.8質量%であった。
この結晶化スラリーを、メンブレンフィルターを用いて濾過分別して液状部を得た。さらに結晶部を3MPaで圧搾し、液状部と結晶部とに分離し、これらの液状部を合わせて油脂(乙−r)とした。さらに、この油脂(乙−r)に対して減圧下220℃で1時間水蒸気蒸留を行うことにより脱臭処理をして、油脂(丙−r)を得た。
(1)DG(ジアシルグリセロール)含有量が8.0質量%
(2)SSS及びS2Uを合計した含有量が72.6質量%
(3)SU2及びUUUを合計した含有量が19.4質量%
(4)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が99.5質量%、且つSt/Pの質量比が0.48
上記の油脂(丙−r)98質量部にソルビタン脂肪酸エステルを2質量部添加し、均質に溶解混合したものを、非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(18)とした。
上記の非ラウリン、低トランス、ノーテンパー型ハードバター組成物(1)〜(18)を用いて、表1に記載の配合で、下記製造方法によりチョコレート(1)〜(18)をそれぞれ製造した。尚、チョコレートの油分含量は36.5質量%であり、乳脂含量は2.0質量%、カカオ脂含量は8.6質量%、非ラウリン、低トランス及び非テンパー型ハードバター組成物含量は25.9質量%であり、非ラウリン、低トランス及び非テンパー型ハードバター組成物100質量部に対しカカオ脂を32.6質量部含有していた。
得られたチョコレートについて、下記評価基準に従って、口溶け及びチョコレートの風味についての官能評価とスナップ性評価を行ない、その結果について、表2に記載した。
上記ハードバター組成物(1)〜(18)のいずれか、カカオバター及びカカオマスを55℃に加温して溶解し、カカオパウダー、全粉乳、砂糖及びレシチンを添加し練り合わせてペースト状とし、ロール掛けした後、コンチングして、チョコレート生地を得た。このチョコレート生地を型に注入し、5℃で12時間冷却・固化させ、ノーテンパー型チョコレートを製造した。
・官能評価基準(口溶け)
◎+ 極めて良好な口溶けである。
◎ 良好である。
○ 喫食後、やや遅れて口溶けが得られる。
△ 不良である。
× ワキシー感が口中に感ぜられ極めて不良である。
・官能評価基準(風味)
◎+ 極めて良好にチョコレートとしての風味が感じられる。
◎ 良好にチョコレートとしての風味が感じられる。
○ 喫食後、やや遅れて異味が感じられるが、問題なく喫食できる。
△ やや異味が感じられる。
× 強い異味が感じられる。
・スナップ性評価基準
◎+ 爽快なスナップ性を有し、極めて良好である。
◎ 良好である。
○ ややべたつくが、問題なく割ることが出来る。
△ べたつき、不良である。
× べたつく上、割断面がやや伸びる物性を呈し、不良である。
上記非ラウリン、低トランス及び非テンパー型ハードバター組成物(1)〜(18)を用いて、表3に記載の配合で、マーガリン用油脂(1)〜(18)をそれぞれ製造した。マーガリン用油脂(1)〜(18)を使用して、下記の配合・製法でマーガリン(1)〜(18)をそれぞれ製造し、更にマーガリン(1)〜(18)を使用して、下記の配合・製法によりバタークリーム(1)〜(18)をそれぞれ製造した。得られたバタークリームについて、下記評価基準に従って口溶けの官能評価及び耐熱保形性評価を行ない、その結果について、表4に記載した。
マーガリン用油脂(1)〜(18)のいずれか70質量部及び色素液0.1質量部からなる油相と、水29.9質量部からなる水相とを、55℃の温度で混合乳化して油中水型乳化物を得た。この油中水型乳化物を急冷可塑化して油中水型可塑性油脂(マーガリン(1)〜(18))を得た。
上記の通り得られたマーガリン(1)〜(18)を室温で1時間調温した後、100質量部をミキサーボウルに投入し、卓上ミキサーとビーターを使用して低速1分混合した後、最高速で比重が0.45となるまでクリーミングした。ここに、転化糖シロップ(糖の固形分の含有量は70質量%)50質量部を添加し、十分に混合し、油分含量が47質量%、水分含量が44.9質量%、比重が0.6である、バタークリーム(1)〜(18)を得た。
・官能評価基準(口溶け)
◎+ 極めて良好な口溶けである。
◎ 良好である。
○ 喫食後、やや遅れて口溶けが得られる。
△ 不良である。
× ワキシー感が口中に感じられ極めて不良である。
・耐熱保形性評価基準
◎+ 離水がなく、保形性も全く問題ない。
◎ やや離水が見られるが、保形性は全く問題ない。
○ やや離水が見られるが、保形性はほぼ問題ない。
△ 離水があり、保形性もやや悪い。
× 離水が激しく、保形性も悪い
また、結晶化スラリーを得る際に冷却速度を調整しながら、段階的に冷却し、熟成工程を経ることで、結晶化スラリーの粘性が低下し、高効率で分別を行うことができ、さらに分別時の収率が向上することも明らかになった。
Claims (11)
- 下記工程(1)又は(2)を含み、さらに下記工程(3)及び(4)を含む、非ラウリン、低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
(1)オレイン酸高含有油脂とパーム極度硬化油を含有する油脂配合物に対してエステル交換反応を行い、下記条件(A)〜(E)を満たす油脂(甲1)を得る工程
(A)構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が2.0〜3.3
(B)構成する脂肪酸組成中のSt/Pの質量比が0.4〜0.8
(C)構成する脂肪酸組成中のM/Poの質量比が10.0〜95.0
(D)構成するトリグリセリド中のSSS含量が35〜50質量%
(E)構成するトリグリセリド中のS2U含量が30〜50質量%
(2)パームステアリン及びヨウ素価が5以下の極度硬化油脂を含有する油脂配合物をランダムエステル交換して下記条件(F)〜(I)を満たす油脂(甲2)を得る工程
(F)構成する脂肪酸組成中のS/Uの質量比が3.0〜4.2
(G)上記Sが実質的にStとPからなり、St/Pの質量比が0.3〜1.4
(H)構成するトリグリセリド中のSSS含量が35〜50質量%
(I)構成するトリグリセリド中のS2U含量が30〜45質量%
但し、
S:炭素数16以上の飽和脂肪酸
U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸
St:ステアリン酸
P:パルミチン酸
M:モノエン脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)
Po:ポリエン脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)
(3)上記油脂(甲1)又は(甲2)から、晶析により油脂(甲1)又は(甲2)の低融点部から成る油脂(乙1)又は(乙2)を得る工程
(4)上記油脂(乙1)又は(乙2)に水蒸気を接触させ脱臭処理を行なうことにより油脂(丙1)又は(丙2)を得る工程 - 上記油脂(丙1)は、下記条件(i)〜(iv)を全て満たす、請求項1に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
(i)DG(ジアシルグリセロール)含有量が4〜12質量%
(ii)SSS及びS2Uを合計した含有量が60〜80質量%
(iii)SU2及びUUUを合計した含有量が20〜40質量%
(iv)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が95質量%以上であり、且つSt/Pの質量比が0.2〜0.6である - 上記パーム極度硬化油の沃素価が5以下である、請求項1又は2に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
- 上記オレイン酸高含有油脂と上記パーム極度硬化油を含有する上記油脂配合物100質量部中、該オレイン酸高含有油脂の含有量は10〜50質量部であり、該パーム極度硬化油の含有量は30〜60質量部である、請求項1〜3の何れか1項に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
- 上記オレイン酸高含有油脂と上記パーム極度硬化油を含有する上記油脂配合物中に、該オレイン酸高含有油脂及び該パーム極度硬化油を合わせて50質量%以上含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
- 上記油脂(甲1)の晶析においては、結晶化温度での該油脂(甲1)の固体脂含量(SFC)を1〜70%とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
- 上記油脂(丙2)は、下記条件(v)〜(viii)を全て満たす、請求項1に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
(v)DG(ジアシルグリセロール)含有量が2〜12質量%
(vi)SSS及びS2Uを合計した含有量が60〜80質量%
(vii)SU2及びUUUを合計した含有量が10〜25質量%
(viii)構成脂肪酸組成において、SのうちStとPを合計した含有量が95質量%以上であり、且つSt/Pの質量比が0.2〜0.65である - さらに、下記条件(ix)を満たす、請求項7に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
(ix)構成するトリグリセリド中のS2U中におけるSUSとSSUの質量比(前者/後者)が0.45〜0.55である - 上記パームステアリン及び上記ヨウ素価が5以下の極度硬化油脂を含有する上記油脂配合物100質量部中、該パームステアリンの含有量は1〜80質量部であり、該ヨウ素価が5以下の極度硬化油脂の含有量は20〜60質量部である、請求項1、7及び8の何れか1項に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
- 上記パームステアリン及び上記ヨウ素価が5以下の極度硬化油脂を含有する上記油脂配合物中に、該パームステアリン及び該ヨウ素価が5以下の極度硬化油脂を合わせて55〜100質量%含有する、請求項1及び7〜9の何れか1項に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
- 上記油脂(甲2)の晶析においては、結晶化温度での該油脂(甲2)のSFCを10〜70%とする、請求項1及び7〜10の何れか1項に記載の低トランス及びノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法。
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