以下、紙葉類処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、紙葉類処理装置の一例である。図1は、紙葉類処理装置としての紙幣処理装置1の外観を示している。図2は、紙幣処理装置1の内部の構成を示している。紙幣処理装置1は、紙幣を識別及び計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣を作成する装置である。紙幣処理装置1は、紙幣整理機とも呼ばれる。尚、以下の説明においては、便宜上、図1における紙面左手前を前、紙面右奥を後と呼ぶ場合がある。これに従うと、「前」は、図2における紙面左、「後」は、図2における紙面右である。
(紙幣処理装置の構成)
紙幣処理装置1には、帯封対象外の紙幣を集積する第1外部集積部11及び第2外部集積部12と、バラ紙幣が投入される投入部13、リジェクト券を集積するリジェクト部14、帯封された紙幣を出金するための投出部15、及び、後述する端数紙幣を返却する返却部16がそれぞれ設けられている。
投入部13は、筐体10の前面の上部に設けられている。投入部13の前面は筐体10の外部に開口している。操作者は投入部13の内部にバラ紙幣を投入することができる。投入部13は、複数枚の紙幣を、集積した状態で保持することができる。投入部13には、例えば、様々な金種を含む紙幣が投入される。投入部13は、保持している紙幣を、繰り出しローラ131によって一枚一枚、筐体10の内部へ繰り出す。
第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、紙幣処理装置1の筐体10の上部に、前後に並んで設けられている。第1外部集積部11は、第2外部集積部12よりも後側に配設されている。第1外部集積部11及び第2外部集積部12はそれぞれ、紙幣の取出口が筐体10の外部に開口している。第1外部集積部11及び第2外部集積部12はそれぞれ、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
リジェクト部14は 筐体10の前面において、投入部13の下側に設けられている。リジェクト部14の前面は筐体10の外部に開口している。リジェクト部14は、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、リジェクト部14に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
投出部15は、筐体10の前面の下部に開口している。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。投出部15から投出された帯封紙幣は、予め置かれた容器等に入る。
返却部16は、筐体10の上部に設けられている。返却部16は、紙幣が載るトレイ161を有している。トレイ161は、図2に実線及び一点鎖線で示すように、前後方向に移動する。紙幣を載せたトレイ161が、一点鎖線に示すように前進すると、操作者は、トレイ161から紙幣を、手で取り出すことができる。
紙幣処理装置1の上部には、表示部17が設けられている。表示部17は、返却部16の上側に配設されている。表示部17は、タッチパネルからなる。表示部17は、操作者が操作を行うための操作部を兼用する。表示部17は、紙幣処理装置1が行っている紙幣の処理状況等の情報を表示する。操作者が表示部17に表示されている画面に応じて操作を行うことにより、紙幣処理装置1に関する各種の設定を行ったり、紙幣処理装置1に各種の処理を実行させたりすることができる。
図2に示すように、紙幣処理装置1は、筐体10の内部に、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1〜第5集積部51〜55、運搬部6、帯封部7、制御部41、及び記憶部42を備えている。
搬送部3は、紙幣の搬送方向の順に、投入部13から、識別部18、第1反転部21、リジェクト部14、第2反転部22、第1〜第5集積部51〜55、第1外部集積部11及び第2外部集積部12までの間において、バラ紙幣の搬送を行う。搬送部3は、筐体10の内部に配設された搬送路を有している。搬送路は、詳細な図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、搬送される紙幣を検出する通過センサ及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。搬送部3は、所定の間隔を設けて、紙幣を一枚一枚、搬送路に沿って搬送する。搬送部3はまた、図21に示すように、紙幣BNの長手の縁を前にして、紙幣BNを搬送する。
識別部18は、紙幣BNの搬送方向について、投入部13の下流に設けられている。より詳細に、投入部13の後側には、紙幣BNを水平方向に搬送する搬送路が設けられており、識別部18は、当該搬送路に配設されている。識別部18は、筐体10の内部において、投入部13の後側でかつ、第1外部集積部11及び第2外部集積部12の下側に位置している。識別部18は、搬送路に沿って搬送される紙幣BNの金種、真偽、表裏、向き、正損、新旧、搬送状態等を識別する。
ここで、識別部18が識別を行う紙幣BNの方向について説明をする。紙幣BNの方向は、紙幣BNの表裏と向きとの組み合わせによって、A方向、B方向、C方向及びD方向の四つの方向に定まる。紙幣BNの天地方向は、図4に示すように、紙幣BNに描かれた肖像画を基準とした上下の方向である。紙幣BNの左右方向は、天地方向に直交する方向である。図21に示すように、長手の縁を前にして搬送される紙幣BNにおいて、天地方向は、搬送方向に一致する。左右方向は、搬送方向に直交する。尚、以下の説明において、搬送方向に直交する方向を、搬送幅方向と呼ぶ場合がある。
具体的に、A方向は、紙幣BNが表向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が従う方向である。B方向は、紙幣BNが表向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が逆らう方向である。C方向は、紙幣BNが裏向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が逆らう方向である。D方向は、紙幣BNが裏向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が従う方向である。
第1反転部21は、識別部18の識別結果に応じて、紙幣BNの表裏及び天地方向の両方を、選択的に反転するよう構成されている。第1反転部21は、図3に拡大して示すように、紙幣BNの表裏及び天地方向を反転させるスイッチバック方式の反転パス211と、紙幣BNの表裏及び天地方向を反転することなく通過させるバイパス212と、紙幣BNを、反転パス211又はバイパス212に選択的に送る分岐爪213と、を有している。
反転パス211を通過した紙幣は、図21に示す紙幣BNの搬送方向に直交すると共に、紙幣BNの紙面に沿った第1軸回りに回転することになる。第1反転部21は、搬送幅方向の向きを変えずに、紙幣BNの表裏と搬送方向の向き(つまり、天地方向の向き)との両方を反転することができる。
制御部41は、識別部18の識別結果に応じて第1反転部21の分岐爪213を動かす。このことによって、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がある紙幣BNは、反転パス211を通過し、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がない紙幣BNは、バイパス212を通過する。反転パス211を通過した紙幣BNは、表裏及び天地方向の向きが反転する。バイパス212を通過した紙幣BNは、表裏も天地方向の向きも反転しない。第1反転部21を通過した紙幣BNは、少なくとも表裏が揃っている。
第1反転部21は、図2に示すように、識別部18の下側に配設されている。紙幣BNは、第1反転部21を、紙幣処理装置1の後方から前方に向かう略水平方向に通過する。第1反転部21の前側には、リジェクト部14が配設されている。リジェクト部14につながる搬送路141は、紙幣BNの搬送方向について第1反転部21の下流から分岐している。第1反転部21は、図3に示すように、紙幣BNを、バイパス212又はリジェクト部14に選択的に送る分岐爪214を有している。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪214を動かす。このことによって、リジェクト券と識別された紙幣BNは、実質的には第1反転部21を通らないで、リジェクト部14に搬送される。
第2反転部22は、紙幣BNの搬送幅方向の向きを、選択的に反転するよう構成されている。第2反転部22は、図3に拡大して示すように、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転させる反転パス221と、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転することなく通過させるバイパス222と、紙幣BNを、反転パス221又はバイパス222に選択的に送る分岐爪223と、を有している。反転パス221には、紙幣BNを反転する反転機構224が配設されている。反転機構224は、この構成例では、紙幣BNの搬送幅方向の向きと表裏との両方を反転するよう構成されている。つまり、図21に示すように、反転機構224は、紙幣BNの搬送方向に沿って伸びる第2軸回りに、紙幣BNを回転させる方式に構成されている。反転機構224は、紙幣BNの搬送方向に直交する搬送幅方向(つまり、紙幣BNの左右方向)の向きと、紙幣BNの表裏との両方を反転することができる。第2反転部22は、スイッチバック方式の第1反転部21とは機能が相違する。反転機構224の構成の詳細は省略するが、反転機構224は、様々な公知の構成を採用することができる。
制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪223を動かす。このことによって、左右方向の向きを反転する必要がある紙幣BNは、反転パス221を通過し、左右方向の向きを反転する必要がない紙幣BNは、バイパス222を通過する。反転パス221を通過した紙幣は、紙幣BNの左右方向の向き及び表裏が反転する。バイパス222を通過した紙幣は、紙幣BNの左右方向の向きも、表裏も反転しない。反転機構224の下流において、反転パス221とバイパス222とは合流する。この紙幣処理装置1は、反転部として、第1反転部21と第2反転部22との二種類の反転部を備えることにより、第1反転部21及び第2反転部22を通過した紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることができる。
第2反転部22は、第1反転部21及びリジェクト部14の下側に配設されている。従って、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22は、上下方向に並んでいる。紙幣BNは、第2反転部22を、紙幣処理装置1の前方から後方に向かう略水平方向に通過する。紙幣BNは、識別部18から、第1反転部21を通って第2反転部22に至るまでの間において、紙幣処理装置1の前後方向に蛇行するように搬送される。
第2反転部22は、構造が複雑になるため、第1反転部21と比較して、紙幣BNの搬送方向の長さが長くなる。紙幣BNが水平方向に搬送されるように第2反転部22を設けることによって、紙幣処理装置1を高さ方向に小型化することができる。
また、第1反転部21と第2反転部22とのそれぞれにおいて紙幣BNは水平方向に紙幣が搬送されるが、これら第1反転部21及び第2反転部22を上下方向に並べて配設することによって、第1反転部21の前側にリジェクト部14を配置することができる。紙幣処理装置1の内部のスペース効率が向上する結果、紙幣処理装置1の小型化に有利になる。
第2反転部22はまた、ユニット化している。第2反転部22のユニットは、図2に一点鎖線で示すように、紙幣処理装置1の前方に向かって引き出し可能に構成されている。操作者は、手で第2反転部22のユニットを、筐体10の前方に引き出すことができる。第2反転部22において紙幣BNの詰まり等が生じたときに、操作者は、第2反転部22を前方に引き出して、詰まっている紙幣BNを、第2反転部22から容易に取り出すことができる。このときに、紙幣処理装置1は、表示部17に、第2反転部22のユニットの引き出しを操作者に指示する誘導画面を表示する。紙幣処理装置1のメンテナンス性が向上する。
第2反転部22のユニットの引き出しに関し、紙幣処理装置1にロック機構を設けてもよい。第2反転部22において紙幣BNの詰まりが発生し、紙幣処理装置1を停止したときにロックを解除することによって、第2反転部22のユニットを、引き出すことができるようにしてもよい。尚、ロック機構は、機械式のロック機構としてもよいし、ソレノイドを含む電気式のロック機構としてもよい。
前述したように、第2反転部22において、紙幣BNは水平方向に搬送されるよう構成されているため、前方に向かって引き出される第2反転部22のユニットは、上下方向にコンパクトになる。第2反転部22を前方に向かって引き出しやすくなると共に、詰まっている紙幣BNも取り出しやすくなる。このこともまた、紙幣処理装置1のメンテナンス性の向上に有利になる。
第1〜第5集積部51〜55は、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22の後側に配設されている。第1〜第5集積部51〜55は、上下方向に並んで配設されている。第1〜第5集積部51〜55は、帯封対象の紙幣BNを、例えば金種毎に集積する。後述するように、操作者は、第1〜第5集積部51〜55に集積する紙幣の種類を、予め設定することができる。
第2反転部22の下流において紙幣BNを搬送する搬送路は、第1〜第5集積部51〜55の前側でかつ、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22の後側において、第1〜第5集積部51〜55に沿うように上下方向に伸びて配設されている。上下方向に伸びる搬送路から分岐した五つの分岐路が、第1〜第5集積部51〜55のそれぞれに接続されている。紙幣BNは、第1〜第5集積部51〜55のそれぞれに対し、前側から投入される。投入された紙幣BNは、第1〜第5集積部51〜55のそれぞれにおいて集積される。
図示は省略するが、各分岐路の分岐箇所には、紙幣BNの搬送方向を切り替える分岐爪が設けられている。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、各分岐爪を動かす。このことによって、紙幣BNは、第1〜第5集積部51〜55に、選択的に投入される。
上下方向に伸びる搬送路の下流側は、途中で二つに分岐して、第1外部集積部11及び第2外部集積部12のそれぞれに接続されている。第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、第2反転部22の下流につながっている。分岐箇所には、図示は省略するが、分岐爪が配設されている。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪を動かすことにより、紙幣BNは、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に、選択的に投入される。
運搬部6は、上下方向に並んだ第1〜第5集積部51〜55の後側に配設されている。運搬部6は、紙幣を掴むアーム部61と、アーム部61を上下方向に往復移動させるガイド部62とを備えている。ガイド部62は、上下方向に伸びている。アーム部61は、ガイド部62に沿って上下方向に移動をする。アーム部61は、第1〜第5集積部51〜55それぞれの高さ位置に位置づけられ、第1〜第5集積部51〜55に集積されている紙幣を、後方に向かって取り出す。そして、アーム部61は、返却部16あるいは帯封部7の後方へ移動し、掴んでいる紙幣を返却部16あるいは帯封部7へ受け渡す。
帯封部7は、第2反転部22の下側に配設されている。帯封部7は、運搬部6の下端部に位置している。運搬部6は、第1〜第5集積部51〜55から取り出した紙幣BNを、帯封部7に運搬する。帯封部7の構成の詳細な図示は省略するが、帯封部7は、公知の様々な構成を採用することができる。帯封部7は、例えば紙幣BNの束の外周囲に帯封紙を巻き付けることによって帯封を行うようにしてもよい。帯封部7はまた、帯封紙によって形成した輪の中に紙幣BNの束を挿入することによって帯封を行うようにしてもよい。
帯封部7は、帯封紙に情報を印す印字部を有している。印字部は、帯封紙に印刷を行う印刷部71、及び、帯封紙にスタンプを押す押印部73の両方を含んでいる。印刷部71は、帯封をする前に帯封紙に印刷を行う。印刷部71は、帯封紙が巻かれたリールから帯封部7までの間の帯封紙の搬送経路の途中に配設されている。押印部73は、帯封をした後に、帯封紙にスタンプを押す。押印部73は、帯封部7から投出部15までの間の第2運搬部72の途中に配設されている。印刷部71は、帯封を行った日時の情報や、帯封処理を行った操作者を特定する情報等を、帯封紙に印刷する。また、押印部73は、例えば帯封紙幣を作成した金融機関名の情報、及び、帯封紙幣が損券である旨の情報を、帯封紙に印す。さらに詳細は後述するが、印字部は、制御部41からの制御信号に基づいて、帯封した紙幣BNの表裏及び天地方向の向きが揃っているか否かの情報を、帯封紙に印すように構成されている。
帯封部7の前側には、ベルト式の第2運搬部72が設けられている。第2運搬部72は、帯封部7が帯封をした帯封紙幣を、前方に向かって投出部15まで搬送する。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。
後述するように紙幣処理装置1が分類処理を行った際、帯封枚数に至らずに第1〜第5集積部51〜55に紙幣BNが残ってしまう場合がある。運搬部6は、第1〜第5集積部51〜55に残った端数紙幣を返却部16へ運搬する。
制御部41は、図示は省略するが、第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1〜第5集積部51〜55、運搬部6、及び、帯封部7が、信号の授受可能に接続されている。記憶部42には、各種の情報やプログラムが記憶されている。制御部41は、前述した第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1〜第5集積部51〜55、運搬部6、及び、帯封部7に、記憶部42が記憶している各種の情報やプログラムに基づいて制御信号を出力する。このことにより、紙幣処理装置1は、紙幣BNを識別及び計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣を作成する分類処理を行う。
(紙幣処理装置の分類処理)
図5は、紙幣処理装置1における紙幣BNの搬送経路を示している。図6は、紙幣処理装置1が実行する分類処理における分類パターンの一例を示している。操作者は、表示部17に表示される設定画面において操作を行うことにより、所望の分類パターンを設定することができる。
図6の分類パターンにおいて、帯封対象の紙幣は、一万円、五千円、千円、及び二千円の新券かつ正券である。第1集積部51及び第2集積部52は、一万円の新券かつ正券を集積する。第3集積部53は、五千円の新券かつ正券を集積し、第4集積部54は、千円の新券かつ正券を集積し、第5集積部55は、二千円の正券を集積する。
ここで、「新券」とは、現時点で発行されているタイプの紙幣であり、「旧券」とは、現時点で発行されていない古いタイプの紙幣である。また、「正券」とは、破れや汚れが少なくて、市場に流通させても問題のない紙幣であり、「損券」とは、破れや汚れがあって、市場に流通させることが好ましくない紙幣である。
図6の分類パターンにおいて、帯封対象ではない紙幣は、損券や旧券等である。第1外部集積部11又は第2外部集積部12は、損券及び旧券等を集積する。第1外部集積部11又は第2外部集積部12は、全金種を集積する。
以下、図6の分類パターンに従った紙幣の搬送経路について、図5を参照しながら説明をする。
投入部13は、投入された紙幣BNを一枚ずつ繰り出す。搬送部3は、図5に実線の矢印で示すように、投入部13から識別部18へ紙幣BNを搬送する。識別部18は、紙幣BNの識別を行う。
搬送部3は、識別部18を通過した紙幣を、実線の矢印で示すように、第1反転部21に搬送する。リジェクト券以外の紙幣BNは、第1反転部21の反転パス211、又は、バイパス212を通った後、実線の矢印で示すように、第2反転部22に搬送される。第1反転部21における紙幣BNの反転についての詳細は、後述する。一方、リジェクト券は、第1反転部21を実質的にバイパスして、点線の矢印で示すように、リジェクト部14に搬送される。リジェクト券は、リジェクト部14に集積される。
このように、リジェクト部14につながる搬送路141は、第2反転部22よりも上流から分岐していると共に、リジェクト券は、第1反転部21の反転パス211及びバイパス212も通らない。リジェクト券を速やかにリジェクト部14に搬送することができる。また例えば、斜行や重送等の搬送異常紙幣や、折れや破れ等を有する状態の悪い紙幣を含むリジェクト券が、第1反転部21、又は、第2反転部22において詰まってしまうことを、未然に回避することができる。
紙幣BNは、第2反転部22の反転パス221、又は、バイパス222を通る。第2反転部22における紙幣の反転についての詳細も、後述する。第2反転部22を通過した紙幣BNの内、帯封対象の紙幣BNは、実線の矢印で示すように、金種毎に、第1〜第5集積部51〜55に搬送される。ここで、一万円の新券かつ正券は、第1集積部51及び第2集積部52の一方に搬送される。具体的には、帯封枚数(例えば100枚)に至るまでは、二つの集積部51、52の内の一方の集積部に紙幣BNが集積される。一方の集積部に帯封枚数の紙幣BNが集積されると、他方の集積部における紙幣BNの集積が開始する。帯封枚数に至った紙幣は、運搬部6が集積部から取り出して帯封部7へと運搬するが、第1集積部51及び第2集積部52の複数の集積部を用いると、紙幣BNを集積部から取り出している間にも、もう一つの集積部に紙幣を集積することができる。紙幣BNの分類処理を中断することなく、紙幣BNの集積を継続することができるため、処理時間を短縮することができる。
第1〜第5集積部51〜55の内、いずれかの集積部において帯封枚数(通常は、100枚)の紙幣BNが集積されると、運搬部6が、集積部から紙幣BNを取り出すと共に、取り出した紙幣BNを、帯封部7へと運搬する(図5の二点鎖線の矢印参照)。帯封部7は、紙幣BNの帯封を行い、帯封紙幣は、投出部15を通じて、紙幣処理装置1の筐体10から外に投出される。詳細は後述するが、帯封紙幣の帯封紙には、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きが揃っているか否かの情報を含む各種情報が、印刷部71によって印されている。
また、第2反転部22を通過した紙幣BNの内、帯封対象外の紙幣BN(つまり、損券及び旧券等)は、図5に一点鎖線で示すように、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に搬送される。損券及び旧券等は、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に集積される。
投入部13に投入された紙幣BNが全て紙幣処理装置1に取り込まれた後、帯封枚数に至らずに第1〜第5集積部51〜55に残った端数紙幣は、返却部16に返却される。具体的には、図5に破線の矢印で示すように、運搬部6が、端数紙幣を第1〜第5集積部51〜55から取り出すと共に、返却部16のトレイ161に搬送する。端数紙幣を載せたトレイ161が前進することによって、端数紙幣が、自動的に操作者に返却される。端数紙幣を、紙幣処理装置1の外に払い出すことによって、端数紙幣の取り忘れを防止することができる。
次に、図7のフローチャートを参照しながら紙幣処理装置1の分類処理について説明をする。このフローチャートは、制御部41が実行する処理の手順を例示しており、第1反転部21及び第2反転部22による紙幣BNの反転処理を含んでいる。前述したように、この紙幣処理装置1は、帯封対象の紙幣BNについて、表裏を揃えるだけでなく、天地方向の向きも揃えることができる。紙幣処理装置1はまた、この構成例においては、帯封をする紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃える四方向揃えモードと、帯封をする紙幣BNの表裏のみを揃える表裏揃えモードと、帯封をする紙幣BNの表裏及び天地方向の向きのいずれも揃えない非揃えモードと、を切り替えることが可能に構成されている。四方向揃えモードは、第1モードに相当し、表裏揃えモード及び非揃えモードは、第2モードに相当する。
図8は、紙幣BNの分類処理を開始する前に、表示部17に表示される紙幣BNの揃えを設定するための画面D1を例示している。操作者は、図8の画面D1において、「表裏及び天地を揃える」ボタンと、「表裏のみを揃える」ボタンと、「表裏及び天地を揃えない」ボタンとを、任意に選択することができる。「表裏及び天地を揃える」ボタンが選択されると、四方向揃えモードになり、「表裏のみを揃える」ボタンが選択されると、表裏揃えモードになり、「表裏及び天地を揃えない」ボタンが選択されると、非揃えモードになる。
操作者のモードの選択に応じた操作信号に基づいて、記憶部42は、モードを記憶する。制御部41は、記憶部42が記憶する設定情報に基づいて、第1反転部21の分岐爪213、214、及び、第2反転部22の分岐爪223を動かす。詳細は後述するが、紙幣処理装置1は、四方向モードにおいては、第1反転部21及び第2反転部22の両方を用いて、紙幣BNの反転を適宜、行うことにより、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃える。紙幣処理装置1は、表裏揃えモードにおいては、第1反転部21を用いて、紙幣BNの反転を適宜、行う。紙幣処理装置1は、非揃えモードにおいては、第1反転部21及び第2反転部22による紙幣BNの反転を行わない。
紙幣BNの表裏及び/又は天地方向の向きを揃えないと、第1反転部21及び第2反転部22において紙幣BNを反転させるときに紙幣BNに負荷が加わることを回避することができる。紙幣BNが傷んでしまうことを防止することができる。また、第2反転部22によって紙幣BNを反転させると、紙幣BNに比較的大きい負荷が加わる。紙幣BNの表裏のみを揃え、天地方向の向きを揃えないと、第2反転部22において紙幣BNを反転させるときに紙幣BNに負荷が加わることを回避することができる。さらに、紙幣BNの表裏及び/又は天地方向の向きを揃えないときには、紙幣BNの搬送速度を速くすることによって、紙幣処理装置1の処理速度の向上を図ることができる。
図9は、紙幣処理装置1が分類処理を実行しているときに、表示部17に表示する画面D2を例示している。この画面D2には、予め設定をした分類パターンが示されていると共に、処理を行った紙幣BNの枚数、及び、作成をした帯封紙幣の数と、処理済みの紙幣BNの金種別の金額及び合計金額が示されている。また、この画面D2の右上部分には、操作者が選択をしたモードが表示されている。図9の例では、「四方向揃え」モードが選択されていることを示している。こうすることで、操作者は、紙幣処理装置1が分類処理を実行しているときに、どのモードで処理を行っているかを知ることができる。
図7のフローにおいてスタート後のステップS1では、紙幣処理装置1は、投入部13に投入されている紙幣を繰り出す。続くステップS2において、識別部18は、紙幣の識別を行う。ステップS3において、紙幣BNがリジェクト券であるか否かを判定する。リジェクト券でないときには、ステップS4に進む。ステップS4では、識別部18の識別結果と操作者が選択をしたモードとに応じて、第1反転部21及び第2反転部22が反転処理を行う。
図10、図11、及び図12は、ステップS4における反転処理に係るフローである。図10は、四方向揃えモードにおける反転処理のフローであり、図11は、表裏揃えモードにおける反転処理のフローであり、図12は、非揃えモードにおける反転処理のフローである。以下、反転処理の手順を順に説明する。
図10に示すフローは、第1反転部21及び第2反転部22を用いて、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃えるフローである。ステップS3に続くステップは、紙幣BNの方向に応じてステップS41a〜S44aに進む。つまり、紙幣BNがA方向であるときにはステップS41aに進み、紙幣BNがB方向であるときにはステップS42aに進み、紙幣BNがC方向であるときにはステップS43aに進み、紙幣BNがD方向であるときにはステップS44aに進む。
ステップS51a〜S54aは、第1反転部21における反転動作に係る。ステップS41aに続くステップS51aにおいては、紙幣BNを反転させる必要がないため、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる(つまり、紙幣BNは、バイパス212を通過する)。紙幣の方向はA方向のままである。ステップS42aに続くステップS52aにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを反転させる(つまり、紙幣BNは、反転パス211を通過する)。これにより、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方が反転し、紙幣の方向はB方向からD方向になる。ステップS43aに続くステップS53aにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを反転させる。これにより、紙幣BNの方向はC方向からA方向になる。ステップS44aに続くステップS54aにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はD方向のままである。
ステップS61a〜64aは、第2反転部22における反転動作に係る。ステップS51aに続くステップS61aにおいては、紙幣BNを反転させる必要がないため、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる(つまり、紙幣BNは、バイパス222を通過する)。紙幣BNの方向はA方向のままである。ステップS52aに続くステップS62aにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを反転させる(つまり、紙幣BNは、反転パス221を通過する)。これにより、紙幣BNの表裏及び左右方向の向きの両方が反転し、紙幣BNの方向はD方向からA方向になる。ステップS53aに続くステップS63aにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。これにより、紙幣BNの方向はA方向のままになる。ステップS54aに続くステップS64aにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを反転させる。紙幣BNの方向はD方向からA方向になる。
四方向揃えモードにおいては、紙幣BNの方向に応じて、第1反転部21及び第2反転部22において、選択的に、紙幣BNの反転動作を行うことにより、第1反転部21及び第2反転部22を通過した紙幣BNの表裏及び天地方向の向きを全て揃えることができる。
図11に示すフローは、第1反転部21を用いて、紙幣BNの表裏のみを揃えるフローである。ステップS3に続くステップは、紙幣BNの方向に応じてステップS41b〜S44bに進む。つまり、紙幣BNがA方向であるときにはステップS41bに進み、紙幣BNがB方向であるときにはステップS42bに進み、紙幣BNがC方向であるときにはステップS43bに進み、紙幣BNがD方向であるときにはステップS44bに進む。
ステップS51b〜S54bは、第1反転部21における反転動作に係る。ステップS41bに続くステップS51bにおいては、紙幣BNを反転させる必要がないため、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はA方向のままである。ステップS42bに続くステップS52bにおいても、紙幣BNを反転させる必要がないため、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はB方向のままである。ステップS43bに続くステップS53bにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを反転させる。これにより、紙幣BNの方向はC方向からA方向になる。ステップS44bに続くステップS54bにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを反転させる。紙幣BNの方向はD方向からB方向になる。表裏揃えモードにおいて、紙幣BNが第1反転部21を通過すると、全ての紙幣BNの表裏が揃う。
ステップS61b〜64bは、第2反転部22における反転動作に係る。前述したように、表裏揃えモードにおいて、第1反転部21を通過した紙幣BNは表裏が全て揃っているため、第2反転部22は、紙幣BNの反転を行わない。つまり、ステップS51bに続くステップS61bにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はA方向のままである。ステップS52bに続くステップS62bにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はB方向のままである。ステップS53bに続くステップS63bにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。これにより、紙幣BNの方向はA方向のままになる。ステップS54bに続くステップS64bにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はB方向のままになる。
表裏揃えモードにおいては、紙幣BNの方向に応じて、第1反転部21において、選択的に、紙幣BNの反転動作を行う一方で、第2反転部22は紙幣BNの反転を行わない。このことにより、第1反転部21及び第2反転部22を通過した紙幣BNの表裏を全て揃えることができる。第2反転部22は、第1反転部21と比較して、紙幣BNを反転するときに、紙幣BNに加える負荷が大きい。表裏揃えモードにおいて、第2反転部22を用いないことによって、紙幣BNに加わる負荷を小さくしながら、全ての紙幣BNの表裏を揃えることが可能になる。
図12に示すフローは、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きのいずれも揃えないフローである。ステップS3に続くステップは、紙幣BNの方向に応じてステップS41c〜S44cに進む。つまり、紙幣BNがA方向であるときにはステップS41cに進み、紙幣BNがB方向であるときにはステップS42cに進み、紙幣BNがC方向であるときにはステップS43cに進み、紙幣BNがD方向であるときにはステップS44cに進む。
ステップS51c〜S54cは、第1反転部21における反転動作に係る。紙幣BNの表裏及び天地方向の向きを揃えないため、第1反転部21は、紙幣BNの反転を行わない。つまり、ステップS41cに続くステップS51cにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はA方向のままである。ステップS42cに続くステップS52cにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はB方向のままである。ステップS43cに続くステップS53cにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はC方向のままである。ステップS44cに続くステップS54cにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はD方向のままである。
ステップS61c〜64cは、第2反転部22における反転動作に係る。第2反転部22も、第1反転部21と同様に、紙幣BNの反転を行わない。つまり、ステップS51cに続くステップS61cにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はA方向のままである。ステップS52cに続くステップS62cにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はB方向のままである。ステップS53cに続くステップS63cにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。これにより、紙幣BNの方向はC方向のままになる。ステップS54cに続くステップS64cにおいて、第2反転部22は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はD方向のままになる。
非揃えモードにおいて、第1反転部21及び第2反転部22は共に、紙幣BNを反転しない。このことにより、紙幣BNに負荷が加わることが抑制される。また、第1反転部21及び第2反転部22の両方において紙幣BNの反転を行わないことにより、紙幣BNの搬送速度を速くすることも可能になる。搬送速度を速くすると、紙幣BNの分類処理の処理速度が上がる。
図7のフローに戻り、ステップS4の後のステップS5において、制御部41は、識別部18の識別結果に基づいて、第1反転部21及び第2反転部22を通過した紙幣BNが、帯封対象であるか否かを判定する。帯封対象であれば、ステップS6に進み、制御部41は、当該紙幣BNを、金種に対応する第1〜第5集積部51〜55のいずれかに搬送する。一方、当該紙幣BNが帯封対象でなければ(つまり、損券、旧券、又は帯封対象外の金種等であれば)、ステップS7に進み、制御部41は、当該紙幣BNを、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に搬送する。従って、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に集積する紙幣BNは、操作者が選択したモードに応じて、表裏及び/又は天地方向の向きが揃う(但し、非揃えモードが選択された場合は、表裏も天地方向の向きも揃えられない)。
ステップS3においてリジェクト券と識別されたとき、具体的には識別不能券、又は、搬送異常券と識別されたときには、ステップS8に進み、当該紙幣BNをリジェクト部14に搬送する。前述したようにリジェクト券は、実質的には第1反転部21を通らないで、リジェクト部14に搬送される。リジェクト券はまた、第2反転部22も通過しない。従って、リジェクト部14に集積する紙幣BNは、操作者が選択したモードがどのモードであっても、表裏も天地方向の向きも揃わない。
ステップS6の後のステップS9において、制御部41は、第1〜第5集積部51〜55のいずれかに、帯封枚数分の紙幣BNが集積したか否かを判定する。ステップS9の判定がYESであれば、ステップS10に進み、NOであればステップS14へ進む。
ステップS10では、運搬部6は、帯封枚数に至った紙幣BNを、第1〜第5集積部51〜55から帯封部7に運搬し、続くステップS11で、帯封部7は、紙幣BNの帯封を行う。
ステップS12において、印刷部71は、帯封紙に印字を行う。ここで、印刷部71は、選択しているモードに応じて、帯封紙に印字する内容を変える。
図13は、印刷部71が、選択しているモードに応じて、帯封紙に印字する内容を変える例を示している。印刷部71は、前述したように、帯封を行った日時の情報(図13の例では、20170421.133059)や、帯封処理を行った操作者等を特定する情報(12A34)を、帯封紙に印刷する。四方向揃えモードを選択していて、帯封紙幣に含まれる紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方が揃っている場合、図13の上図に例示するように、日時の情報と担当者等を特定する情報との間に、「.」を打つ。表裏揃えモードを選択していて、帯封紙幣に含まれる紙幣BNの表裏のみが揃っている場合、図13の下図に例示するように、「−」を打つ。選択しているモードに応じて、帯封紙に印字する内容を変えることによって、操作者は、帯封紙幣に含まれる紙幣BNの向きを見なくても、帯封紙を見ることだけで、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方が揃っているか、揃っていないかを知ることができる。尚、図示は省略するが、非揃えモードを選択していて、帯封紙幣に含まれる紙幣BNの表裏及び天地方向の向きのいずれも揃っていない場合、日時の情報と担当者等を特定する情報との間に、何も印字しない、としてもよい。尚、図13に示す印字は、一例であり、紙幣の方向の揃え状態を区別するための印字は、様々態様を適宜採用することが可能である。
図13の例とは異なり、図14に例示するように、押印部73が、選択しているモードに応じて、帯封紙に印字する内容を変えてもよい。押印部73は、前述したように、帯封紙幣を作成した金融機関名の情報、及び、帯封紙幣が損券である旨の情報を、帯封紙に印す。四方向揃えモードを選択していて、帯封紙幣に含まれる紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方が揃っている場合、図14の上図に例示するように、金融機関名のスタンプを押す。表裏揃えモードを選択していて、帯封紙幣に含まれる紙幣BNの表裏のみが揃っている場合、図14の下図に例示するように、金融機関名のスタンプを押さない。こうすることでも、操作者は、帯封紙を見ることだけで、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方が揃っているか、揃っていないかを知ることができる。その他の態様として、印字の色を変えたり、印字する位置を変えたりしてもよい。
図7のフローに戻り、ステップS13において、前述の通り、第2運搬部72が帯封紙幣を投出部15へ搬送し、帯封紙幣を投出部15から筐体10の外に投出する。
ステップS14では、次の紙幣BNが、投入部13にあるか否か判定する。次の紙幣BNがあればステップS1に戻り、次の紙幣BNが無ければ、フローを終了する。
以上説明したように、この紙幣処理装置1は、第1反転部21及び第2反転部22を備えているため、帯封する紙幣BNの表裏及び天地方向の向きを揃えることができる。
また、操作者の選択に応じて、帯封する紙幣BNの表裏及び天地方向の向きを揃える四方向揃えモードと、紙幣BNの表裏のみを揃える表裏揃えモードと、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きのいずれも揃えない非揃えモードとを切り替えることができる。操作者のニーズに対応することができる。
ここで、紙幣処理装置1は、例えば第2反転部22(特に、反転機構224)が故障等の理由によって、紙幣BNの反転を行うことができないときには、縮退モードで処理を実行するようにしてもよい。つまり、紙幣処理装置1は、第2反転部22を用いずに、第1反転部21のみを用いて紙幣BNの反転を行うことにより、紙幣BNの表裏のみを揃えながら、紙幣BNの帯封を行うようにしてもよい。例えば図15に示すように、紙幣処理装置1は、縮退モードによる紙幣処理装置1の動作を行うか、又は、分類処理を取り止めるかを、操作者に確認する画面D3を、表示部17に表示してもよい。
こうすることで、第2反転部22が故障等した場合であっても、縮退モードを利用することにより、操作者は、紙幣処理装置1を用いた分類処理を継続して実行することができる。また、操作者は、紙幣処理装置1の分類処理を取り止めることもできる。紙幣処理装置1の利便性が向上する。
尚、第1反転部21(特に、反転パス211)が故障等の理由によって、紙幣BNの反転を行うことができないときにも、縮退モードで処理を実行するようにしてもよい。この場合の縮退モードも、紙幣処理装置1は、第1反転部21を用いずに、第2反転部22のみを用いて紙幣BNの反転を行うことにより、紙幣BNの表裏のみを揃えながら、紙幣BNの帯封を行うようにしてもよい。
尚、縮退モードは、紙幣BNの反転を行わないことによって、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの何れも揃えないで帯封を行うモードとしてもよい。
尚、この紙幣処理装置1は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12につながる搬送路が、第2反転部22の下流に接続しているため、帯封対象の紙幣BNに限らず、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積する紙幣BNについても、表裏及び天地方向の向きを揃えることが可能に構成されている。そのため、操作者は、帯封対象の紙幣BNについて、前述した四方向揃えモード、表裏揃えモード及び非揃えモードの選択を行うと共に、帯封対象外の紙幣BNについても、別途、四方向揃えモード、表裏揃えモード及び非揃えモードの選択を行うことが可能にしてもよい。こうすることで、識別部18の識別結果に基づいて、第1反転部21及び第2反転部22は、帯封対象の紙幣BNの表裏及び/又は天地方向の向きを揃える一方、帯封対象外の紙幣BNの表裏及び/又は天地方向の向きを揃えない、ことも可能になる。
(紙幣処理装置の搬送エラー時の処理)
図2に概略的に示すように、押印部73は、帯封紙幣を搬送する第2運搬部72の途中に配設されている。従来の紙幣処理装置においては、第2搬送部において、帯封紙幣の搬送エラー(例えば斜行等)が発生したときには、押印部が、帯封紙幣に巻かれた帯封紙に正確に押印をすることができないため、帯封紙幣の搬送自体は継続して可能であるものの、帯封紙幣の搬送を第2運搬部の途中で停止し、操作者に対してエラーを報知していた。これは、帯封紙に押印が行われた正常な帯封紙幣と、帯封紙に押印が行われていない異常な帯封紙幣と、を確実に区別するためである。
従来の紙幣処理装置において搬送エラーが発生したときには、操作者は、紙幣処理装置の筐体の内部を開放し、途中で止まっている帯封紙幣を手で取り出した後、取り出した帯封紙幣の帯封を解いて紙幣処理装置に再投入していた。従来の紙幣処理装置は、搬送エラーが発生したときに、操作者が行わなければならない操作が煩雑であった。
これに対し、前記の構成の紙幣処理装置1は、操作者の操作を簡略化するために、第2運搬部72において帯封紙幣の搬送エラーが発生したときに、帯封紙幣の搬送を途中で停止せず、帯封紙幣をそのまま投出部15へ搬送することによって、投出部15を通じて筐体10の外に投出する。こうすることで、操作者は、紙幣処理装置1の筐体10を開放して、第2運搬部72の途中で運搬が停止している帯封紙幣を手で取り出す操作を行わなくて済む。搬送エラーに係る帯封紙幣を、投出部15から投出した後、紙幣処理装置1は停止をする。尚、投出された帯封紙幣には、押印部73による押印は行われてない。
帯封紙に押印が行われた正常な帯封紙幣と、帯封紙に押印が行われていない異常な帯封紙幣とが区別可能となるために、紙幣処理装置1は、停止中、表示部17に、図16に例示するエラー報知画面D4を表示する。エラー報知画面D4には、最後に正常な処理を行った帯封紙幣の、帯封紙に印字された情報(つまり、前述の通り、印刷部71が印刷を行った情報であって、帯封を行った日時の情報や、帯封処理を行った操作者等を特定する情報)が示される。操作者は、投出部15から投出された帯封紙幣の帯封紙の情報を見ることによって、処理が正常に行われた帯封紙幣を知ることができるから、投出部15から投出された帯封紙幣の内、処理が正常に行われた帯封紙幣と、搬送エラーが発生したため、処理が正常に行われていない帯封紙幣とを区別することができる。
操作者は、正常に処理が行われた帯封紙幣はそのままにし、処理が正常に行われていない帯封紙幣について、帯封を解いた後に、紙幣処理装置1の投入部13に再投入する。また、操作者は、エラー報知画面D4における「リセット」ボタンを操作することによって、紙幣処理装置1は、分類処理を再開する。
(紙幣処理装置の別の構成例)
図17は、紙幣処理装置の別の構成例を示している。この紙幣処理装置100は、図2に示す紙幣処理装置1と同様に、紙幣BNを識別及び計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣を作成する装置である。紙幣処理装置100は、第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、投出部15、表示部17、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、制御部41、記憶部42、第1〜第5集積部51〜55、運搬部6、及び、帯封部7を備えている。紙幣処理装置100において、図2に示す紙幣処理装置1と同じ構成要素について同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する場合がある。紙幣処理装置100は、主に、構成要素の配置が、紙幣処理装置1とは相違する。また、紙幣処理装置100は、紙幣処理装置1とは異なり、端数紙幣を返却するための返却部16を備えていない。
第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、紙幣処理装置100の筐体10の上部に前後に並んで設けられている。第1外部集積部11は、第2外部集積部12よりも後側に配設されている。筐体10の上部において、第1外部集積部11よりも前側には、リジェクト部14が配設されている。
識別部18は、筐体10の前面の上部に設けられた投入部13の後側でかつ、第2外部集積部12及びリジェクト部14の下側に配設されている。識別部18は、紙幣BNを上下方向に搬送する搬送路に設けられている。リジェクト部14につながる搬送路141は、紙幣BNの搬送方向について識別部18の下流から分岐している。
第1反転部21は、筐体10の内部において、識別部18の後側でかつ、第1外部集積部11及び第2外部集積部12の下側に配設されている。紙幣BNは、第1反転部21を、上から下に向かう略上下方向に通過する。
第1外部集積部11及び第2外部集積部12につながる搬送路120は、紙幣BNの搬送方向について、第1反転部21の下流から分岐している。
第2反転部22は、識別部18及び第1反転部21の下側に配設されている。紙幣BNは、第2反転部22を、紙幣処理装置100の後方から前方に向かう略水平方向に通過する。第2反転部22もまたユニット化している。図17に一点鎖線で示すように、操作者は手で、第2反転部22のユニットを、筐体10の前方に引き出すことができる。
第1〜第5集積部51〜55は、第2反転部22の下側に配設されている。第1〜第5集積部51〜55は、筐体10内の前部において、上下方向に並んで配設されている。
紙幣BNを搬送する搬送路は、第1〜第5集積部51〜55の前側において、第1〜第5集積部51〜55に沿うように、上下方向に伸びて配設されている。この搬送路は、筐体10の前部に設けた扉101に対して一体に設けられている。図示は省略するが、扉101を開けることによって、第1〜第5集積部51〜55が、筐体10の外に開放される。この紙幣処理装置100において、第1〜第5集積部51〜55に残った端数紙幣は、操作者が手で、第1〜第5集積部51〜55から直接、取り出す。
運搬部6は、第1〜第5集積部51〜55の後側に配設されている。運搬部6は、第1〜第5集積部51〜55から取り出した紙幣BNを、帯封部7に運搬する。
帯封部7は、第1〜第5集積部51〜55の下側に配設されている。帯封部7は、運搬部6によって運搬された紙幣BNを帯封する。生成された帯封紙幣は、第2運搬部72によって運搬されることにより、投出部15から投出される。
この紙幣処理装置100においては、前述の通り、リジェクト部14につながる搬送路141は、第1反転部21よりも上流から分岐している。リジェクト券は、第1反転部21も第2反転部22も通らない。これにより、リジェクト券が、第1反転部21及び第2反転部22において詰まってしまうことを未然に回避することができる。また、リジェクト券を、速やかにリジェクト部14に搬送することができる。
また、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積する紙幣は、第1反転部21を通過する一方、第2反転部22は通過しない。従って、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積する紙幣BNの表裏を揃えることができるものの、表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることはできない。
第1〜第5集積部51〜55に搬送される帯封対象の紙幣BNは、第1反転部21及び第2反転部22の両方を通過する。そのため、紙幣処理装置100は、帯封する紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることができる。
図18は、図17に示す紙幣処理装置100における分類処理のフローチャートを示している。このフローチャートは、制御部41が実行する処理の手順を例示している。尚、紙幣処理装置100においても、前記と同様に、紙幣BNの分類処理を開始する前に、操作者はモードを設定する(図8参照)。
図18のフローにおいてスタート後のステップS21では、紙幣処理装置100は、投入部13に投入されている紙幣BNを繰り出す。続くステップS22において、識別部18は、紙幣BNの識別を行う。ステップS23において、紙幣BNがリジェクト券であるか否かを判定する。リジェクト券でないときにはステップS24に進む。
ステップS24において、制御部41は、帯封対象の紙幣BNであるか否かを判定する。帯封対象の紙幣BNであるときには、ステップS25に進む。ステップS25は、識別部18の識別結果と操作者が選択をしたモードとに応じて、第1反転部21及び第2反転部22が反転処理を行う。ステップS25における処理の手順は、図10、図11、及び、図12と同じであり、その説明は省略する。
帯封対象の紙幣BNは、第1反転部21及び第2反転部22を通過することによって、四方向揃えモードにおいては、表裏及び天地方向の向きが全て揃う。帯封対象の紙幣BNは、表裏揃えモードにおいては、表裏のみが揃う。帯封対象の紙幣BNは、非揃えモードにおいては、表裏及び天地方向の向きが揃わない。
ステップS25の後のステップS27において、制御部41は、紙幣BNを、金種に対応する第1〜第5集積部51〜55のいずれかに搬送する。
ステップS27の後のステップS210において、制御部41は、第1〜第5集積部51〜55のいずれかに、帯封枚数分の紙幣BNが集積したか否かを判定する。ステップS210の判定がYESであれば、ステップS211に進み、NOであればステップS215へ進む。
ステップS211では、運搬部6は、帯封枚数に至った紙幣BNを、第1〜第5集積部51〜55から帯封部7に運搬し、続くステップS212で、帯封部7は、紙幣BNの帯封を行う。
ステップS213において、印刷部71は、帯封紙に印字を行う。印刷部71は、選択しているモードに応じて、帯封紙に印字する内容を変える点は、前記と同じである(図13参照)。印刷部71ではなく、押印部73が、選択しているモードに応じて、帯封紙に押印する内容を変えてもよい(図14参照)。
ステップS214においては、帯封紙幣を、第2運搬部72が投出部15へ搬送し、帯封紙幣を投出部15から筐体10の外に投出する。
ステップS24において、帯封対象の紙幣BNでないときには(つまり、損券、旧券、又は、対象外金種券のときには)、ステップS26に進む。ステップS26においては、識別部18の識別結果と操作者が選択をしたモードとに応じて、第1反転部21が反転処理を行う。前述したように、紙幣処理装置100は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積する紙幣は、第1反転部21のみを通過し、第2反転部22を通過しない。そのため、四方向揃えモードが選択されていても、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることができない。そこで、紙幣処理装置100は、四方向揃えモードが選択されているときには、第1反転部21を用いて紙幣BNの表裏のみを揃える。また、表裏揃えモードが選択されているときにも、第1反転部21を用いて紙幣BNの表裏を揃える。非揃えモードが選択されているときには、第1反転部21を用いた紙幣BNの反転を行わない。
図19は、四方向揃えモード、及び、表裏揃えモードが選択されているときの、ステップS26における処理手順のフローを示している。ステップS24に続くステップは、紙幣BNの方向に応じてステップS261a〜S264aに進む。つまり、紙幣BNがA方向であるときにはステップS261aに進み、紙幣BNがB方向であるときにはステップS262aに進み、紙幣BNがC方向であるときにはステップS263aに進み、紙幣BNがD方向であるときにはステップS264aに進む。
ステップS271a〜S274aは、第1反転部21における反転動作に係る。紙幣BNの表裏を揃えるため、第1反転部21は、紙幣BNの方向に応じて選択的に、紙幣BNの反転を行う。具体的に、ステップS261aに続くステップS271aにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はA方向のままである。ステップS262aに続くステップS272aにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はB方向のままである。ステップS263aに続くステップS273aにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを反転させる。紙幣BNの方向はC方向からA方向になる。ステップS264aに続くステップS274aにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを反転させる。紙幣BNの方向はD方向からB方向になる。
ステップS271a〜S274aの後のステップS28において、制御部41は、紙幣BNを、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に搬送する。第1外部集積部11又は第2外部集積部12に集積される紙幣BNは、表裏が揃っている。
図20は、非揃えモードが選択されているときの、ステップS26における処理手順のフローを示している。ステップS24に続くステップは、紙幣BNの方向に応じてステップS261b〜S264bに進む。つまり、紙幣BNがA方向であるときにはステップS261bに進み、紙幣BNがB方向であるときにはステップS262bに進み、紙幣BNがC方向であるときにはステップS263bに進み、紙幣BNがD方向であるときにはステップS264bに進む。
ステップS271b〜S274bは、第1反転部21における反転動作に係る。紙幣BNの表裏を揃えないため、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。具体的に、ステップS261bに続くステップS271bにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はA方向のままである。ステップS262bに続くステップS272bにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はB方向のままである。ステップS263bに続くステップS273bにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はC方向のままである。ステップS264bに続くステップS274bにおいて、第1反転部21は、紙幣BNを通過させる。紙幣BNの方向はD方向のままである。
ステップS271b〜S274bの後のステップS28において、制御部41は、紙幣BNを、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に搬送する。第1外部集積部11又は第2外部集積部12に集積される紙幣BNは、表裏及び天地方向の向きのいずれも揃っていない。
ステップS23においてリジェクト券と識別されたときには、ステップS29に進み、制御部41は、当該紙幣BNをリジェクト部14に搬送する。前述したように、リジェクト券は、第1反転部21を通過しないと共に、第2反転部22も通過しない。従って、リジェクト部14に集積する紙幣BNは、表裏も天地方向の向きも揃わない。
ステップS215において、制御部41は、次の紙幣BNが、投入部13にあるか否か判定し、次の紙幣BNがあればステップS21に戻り、次の紙幣BNが無ければ、フローを終了する。
以上説明したように、この紙幣処理装置100は、帯封する紙幣BNの表裏及び天地方向の向きを揃えることができる。また、帯封をしない紙幣BNを集積する第1外部集積部11及び第2外部集積部12につながる搬送路120が、第1反転部21と第2反転部22との間から分岐するため、帯封をしない紙幣BNの表裏を(第1反転部21によって)揃えることができる。
また、紙幣処理装置100においても、操作者の選択に応じて、帯封する紙幣BNの表裏及び天地方向の向きを揃える四方向揃えモードと、紙幣BNの表裏のみを揃える表裏揃えモードと、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きのいずれも揃えない非揃えモードとを切り替えることができる。操作者のニーズに対応することができる。そして、選択されたモードに応じて帯封紙に印字する内容を変えることができるため、帯封紙幣内の紙幣の揃い具合を、一目で判断することができる。
尚、図18に示すフローチャートにおいては、帯封対象外の紙幣BNについても、操作者が選択したモードに応じて紙幣BNの表裏を揃えているが、帯封対象外の紙幣BNは、操作者が選択したモードに関わらず、紙幣BNの表裏を揃えない、としてもよい。
(端数紙幣の返却処理)
前述したように、紙幣処理装置100は、返却部16を備えていないため、第1〜第5集積部51〜55に残った端数紙幣は、扉101を開けて、操作者が、手で第1〜第5集積部51〜55から取り出す。
これとは異なり、紙幣処理装置100は、運搬部6を用いて、端数紙幣を、第1〜第5集積部51〜55から帯封部7に搬送し、帯封部7及び第2運搬部72を通じて、投出部15から、筐体10の外に返却するようにしてもよい。尚、この場合、帯封部7は紙幣の帯封を行わない。
第1〜第5集積部51〜55の内、二以上の集積部に端数紙幣が残っている場合、運搬部6は、第1〜第5集積部51〜55の端数紙幣を、順次、帯封部7に搬送し、投出部15から、筐体10の外に、順次、返却するようにすればよい。
また、端数紙幣を、前述の通り、扉101を開けて第1〜第5集積部51〜55から取り出すか、投出部15を通じて返却するか、を操作者が選択可能に構成してもよい。また、紙幣処理装置100が、端数紙幣の返却形態を、自動的に設定するようにしてもよい。例えば、端数紙幣が残っている集積部の数が多いとき(例えば、3以上)には、扉101を開けて第1〜第5集積部51〜55から取り出すようにし、端数紙幣が残っている集積部の数が少ないとき(例えば、1又は2)には、投出部15を通じて返却する、又は、それとは逆に、端数紙幣が残っている集積部の数が多いときには、投出部15を通じて返却するようにし、端数紙幣が残っている集積部の数が少ないときには、扉101を開けて第1〜第5集積部51〜55から取り出す、ようにしてもよい。
尚、前記の紙幣処理装置1及び紙幣処理装置100においては、紙幣BNの搬送方向について、第1反転部21を第2反転部22よりも上流に配置しているが、第1反転部21と第2反転部22との配置を入れ替えることによって、第2反転部22を第1反転部21よりも上流に配置してもよい。
また、前記の紙幣処理装置1及び紙幣処理装置100においては、第2反転部22の反転機構224を、紙幣BNを第2軸(図21参照)回りに回転させることによって、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転するよう構成している。これとは異なり、第2反転部22の反転機構224を、紙幣BNの搬送方向に直交すると共に、紙幣BNの紙面に直交する第3軸(図21参照)回りに、紙幣BNを回転させることによって、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転するよう構成してもよい。この方式の反転機構は、紙幣BNの搬送方向の向きと搬送幅方向の向きとの両方を反転することができる。つまり、紙幣BNの天地方向と左右方向とが反転する。
また、第1反転部21の方式を、第3軸回りに紙幣BNを回転することにより、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転する方式に変更してもよい。
尚、第3軸回りに紙幣BNを回転する方式の反転部は、公知の様々な構成を採用することができる。
紙幣処理装置は、紙幣BNを長手の縁を前にして搬送する、いわゆる短手搬送に構成することに限らず、図22に示すように、紙幣BNを短手の縁を前にして搬送する、いわゆる長手搬送に構成することも可能である。長手搬送において第1反転部21は、紙幣BNの搬送方向に直交すると共に、紙幣BNの紙面に沿った第1軸回りに、紙幣BNを回転させる方式に構成してもよい。この場合、第1反転部21は、紙幣BNの表裏を反転すると共に、紙幣BNの搬送方向の前端と後端とを入れ替えることができる。紙幣BNは、表裏及び左右方向の向きが反転する。
長手搬送において第1反転部21は、図22に示すように、紙幣BNの搬送方向に沿って伸びる第2軸回りに、紙幣BNを回転させる方式に構成してもよい。この場合、第1反転部21は、紙幣BNの表裏及び搬送幅方向の向きを反転することができる。紙幣BNは、表裏及び天地方向の向きが反転する。
長手搬送において第1反転部21は、図22に示すように、紙幣BNの搬送方向に直交すると共に、紙幣BNの紙面に直交する第3軸回りに、紙幣BNを回転させる方式に構成してもよい。この場合、第1反転部21は、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転すると共に、紙幣BNの搬送方向の前端と後端とを入れ替えることができる。紙幣BNは、天地方向の向き及び左右方向の向きが反転する。
長手搬送において第2反転部22も、前記と同様に、紙幣BNを第1軸回りに回転させる方式に構成してもよいし、第2軸回りに回転させる方式に構成してもよいし、第3軸回りに回転させる方式に構成してもよい。但し、第1反転部21と第2反転部22とは、その方式を互いに異ならせる。そうすることによって、長手搬送を行う紙幣処理装置において、帯封する紙幣BNの表裏及び天地方向の向きを全て揃えることができるようになる。
尚、前記の紙幣処理装置1及び紙幣処理装置100は、第1反転部21及び第2反転部22の二種類の反転部を備えることによって、紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃えるよう構成されている。ここに開示する技術は、一種類の反転部を備え、紙幣BNの表裏のみを揃えることが可能に構成された紙幣処理装置において、反転部が紙幣の表裏を揃えて、帯封部が紙幣を帯封する第1モードと、反転部が紙幣の表裏を揃えずに(つまり、紙幣を反転せずに)、帯封部が紙幣を帯封する第2モードとを切り替えるよう構成してもよい。この構成において、反転部は、図21又は図22に示すように、第1軸回りに、紙幣BNを回転させる方式に構成してもよいし、第2軸回りに、紙幣BNを回転させる方式に構成してもよい。
尚、ここに開示する技術は、紙幣の処理を行う装置に限らず、小切手や商品券等の有価媒体を含む紙葉類を処理する装置に、広く適用することが可能である。
また、前述した様々な構成は、適宜、組み合わせることが可能である。