以下、貨幣処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、貨幣処理装置の一例である。図1は、貨幣処理装置としての紙幣処理装置1の外観を示している。図2は、紙幣処理装置1の内部の構成を示している。紙幣処理装置1は、紙幣を識別及び計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣を作成したり(帯封モード)、紙幣を所定枚数毎に区分したり(バッチモード)、紙幣の計数を行ったり(入金モード)する装置である。紙幣処理装置1は、紙幣整理機とも呼ばれる。尚、以下の説明においては、便宜上、図1における紙面左手前を前、紙面右奥を後と呼ぶ場合がある。これに従うと、「前」は、図2における紙面左、「後」は、図2における紙面右である。
(紙幣処理装置の構成)
紙幣処理装置1には、バラ紙幣を集積する第1外部集積部11及び第2外部集積部12と、バラ紙幣が投入される投入部13、リジェクト券を集積するリジェクト部14、帯封された紙幣を出金するための投出部15、及び、後述する端数紙幣を返却する返却部16がそれぞれ設けられている。
投入部13は、筐体10の前面の上部に設けられている。投入部13の前面は筐体10の外部に開口している。操作者は投入部13の内部にバラ紙幣を投入することができる。投入部13は、複数枚の紙幣を、集積した状態で保持することができる。投入部13には、例えば、様々な金種を含む紙幣が投入される。投入部13は、保持している紙幣を、繰り出しローラ131によって一枚一枚、筐体10の内部へ繰り出す。
第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、紙幣処理装置1の筐体10の上部に、前後に並んで設けられている。第1外部集積部11は、第2外部集積部12よりも後側に配設されている。第1外部集積部11及び第2外部集積部12はそれぞれ、紙幣の取出口が筐体10の外部に開口している。第1外部集積部11及び第2外部集積部12はそれぞれ、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
リジェクト部14は 筐体10の前面において、投入部13の下側に設けられている。リジェクト部14の前面は筐体10の外部に開口している。リジェクト部14は、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、リジェクト部14に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
投出部15は、筐体10の前面の下部に開口している。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。投出部15から投出された帯封紙幣は、予め置かれた容器等に入る。
返却部16は、筐体10の上部に設けられている。返却部16は、紙幣が載るトレイ161を有している。トレイ161は、図2に実線及び一点鎖線で示すように、前後方向に移動する。紙幣を載せたトレイ161が、一点鎖線に示すように前進すると、操作者は、トレイ161から紙幣を、手で取り出すことができる。
紙幣処理装置1の上部には、表示部17が設けられている。表示部17は、返却部16の上側に配設されている。表示部17は、タッチパネルからなる。表示部17は、操作者が操作を行うための操作部を兼用する。表示部17は、紙幣処理装置1が処理を行っているときには、紙幣の処理状況等の情報を含んだ処理画面(計数画面)を表示する。表示部17はまた、紙幣の処理に関する複数の項目を、操作者が設定入力するための設定画面を、表示する。
図2に示すように、紙幣処理装置1は、筐体10の内部に、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1~第5集積部51~55、運搬部6、帯封部7、制御部41、及び記憶部42を備えている。
搬送部3は、紙幣の搬送方向の順に、投入部13から、識別部18、第1反転部21、リジェクト部14、第2反転部22、第1~第5集積部51~55、第1外部集積部11及び第2外部集積部12までの間において、バラ紙幣の搬送を行う。搬送部3は、筐体10の内部に配設された搬送路を有している。搬送路は、詳細な図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、搬送される紙幣を検出する通過センサ及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。搬送部3は、所定の間隔を設けて、紙幣を一枚一枚、搬送路に沿って搬送する。
識別部18は、紙幣BNの搬送方向について、投入部13の下流に設けられている。識別部18は、搬送路に沿って搬送される紙幣BNの金種、真偽、表裏、向き、正損、新旧、搬送状態等を識別する。
第1反転部21は、識別部18の識別結果に応じて、紙幣BNの表裏及び天地方向の両方を、選択的に反転するよう構成されている。第1反転部21は、詳細な図示は省略するが、紙幣BNの表裏及び天地方向を反転させるスイッチバック方式の反転パスと、紙幣BNの表裏及び天地方向を反転することなく通過させるバイパスと、紙幣BNを、反転パス又はバイパスに選択的に送る分岐爪と、を有している。
制御部41は、識別部18の識別結果に応じて第1反転部21の分岐爪を動かす。このことによって、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がある紙幣BNは、反転パスを通過し、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がない紙幣BNは、バイパスを通過する。反転パスを通過した紙幣BNは、表裏及び天地方向の向きが反転する。バイパスを通過した紙幣BNは、表裏も天地方向の向きも反転しない。第1反転部21を通過した紙幣BNは、少なくとも表裏が揃っている。
第1反転部21の前側には、リジェクト部14が配設されている。リジェクト部14につながる搬送路141は、紙幣BNの搬送方向について第1反転部21の下流から分岐している。第1反転部21は、紙幣BNを、バイパス又はリジェクト部14に選択的に送る分岐爪を有している。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪を動かす。このことによって、リジェクト券と識別された紙幣BNは、実質的には第1反転部21を通らないで、リジェクト部14に搬送される。
第2反転部22は、紙幣BNの搬送幅方向の向きを、選択的に反転するよう構成されている。第2反転部22は、詳細な図示は省略するが、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転させる反転パスと、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転することなく通過させるバイパスと、紙幣BNを、反転パス又はバイパスに選択的に送る分岐爪と、を有している。反転パスには、紙幣BNを反転する反転機構が配設されている。反転機構224は、例えば紙幣BNの搬送幅方向の向きと表裏との両方を反転するよう構成してもよい。
制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪を動かす。このことによって、左右方向の向きを反転する必要がある紙幣BNは、反転パスを通過し、左右方向の向きを反転する必要がない紙幣BNは、バイパスを通過する。反転パスを通過した紙幣は、紙幣BNの左右方向の向き及び表裏が反転する。バイパスを通過した紙幣は、紙幣BNの左右方向の向きも、表裏も反転しない。反転機構の下流において、反転パスとバイパスとは合流する。この紙幣処理装置1は、反転部として、第1反転部21と第2反転部22との二種類の反転部を備えることにより、第1反転部21及び第2反転部22を通過した紙幣BNの表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることができる。
第1~第5集積部51~55は、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22の後側に配設されている。第1~第5集積部51~55は、上下方向に並んで配設されている。第1~第5集積部51~55は、帯封対象の紙幣BNを、例えば金種毎に集積する。後述するように、操作者は、第1~第5集積部51~55に集積する紙幣の種類を、予め設定することができる。
第2反転部22の下流において紙幣BNを搬送する搬送路は、第1~第5集積部51~55の前側でかつ、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22の後側において、第1~第5集積部51~55に沿うように上下方向に伸びて配設されている。上下方向に伸びる搬送路から分岐した五つの分岐路が、第1~第5集積部51~55のそれぞれに接続されている。紙幣BNは、第1~第5集積部51~55のそれぞれに対し、前側から投入される。投入された紙幣BNは、第1~第5集積部51~55のそれぞれにおいて集積される。
図示は省略するが、各分岐路の分岐箇所には、紙幣BNの搬送方向を切り替える分岐爪が設けられている。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、各分岐爪を動かす。このことによって、紙幣BNは、第1~第5集積部51~55に、選択的に投入される。
上下方向に伸びる搬送路の下流側は、途中で二つに分岐して、第1外部集積部11及び第2外部集積部12のそれぞれに接続されている。第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、第2反転部22の下流につながっている。分岐箇所には、図示は省略するが、分岐爪が配設されている。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪を動かすことにより、紙幣BNは、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に、選択的に投入される。
運搬部6は、上下方向に並んだ第1~第5集積部51~55の後側に配設されている。運搬部6は、紙幣を掴むアーム部61と、アーム部61を上下方向に往復移動させるガイド部62とを備えている。ガイド部62は、上下方向に伸びている。アーム部61は、ガイド部62に沿って上下方向に移動をする。アーム部61は、第1~第5集積部51~55それぞれの高さ位置に位置づけられ、第1~第5集積部51~55に集積されている紙幣を、後方に向かって取り出す。
帯封部7は、第2反転部22の下側に配設されている。帯封部7は、運搬部6の下端部に位置している。運搬部6は、第1~第5集積部51~55から取り出した紙幣BNを、帯封部7に運搬する。帯封部7の構成の詳細な図示は省略するが、帯封部7は、公知の様々な構成を採用することができる。帯封部7は、例えば紙幣BNの束の外周囲に帯封紙を巻き付けることによって帯封を行うようにしてもよい。帯封部7はまた、帯封紙によって形成した輪の中に紙幣BNの束を挿入することによって帯封を行うようにしてもよい。
帯封部7は、帯封紙に情報を印す印字部71を有している。印字部71は、帯封紙に印刷を行う印刷部、及び、帯封紙にスタンプを押す押印部の両方、又は、いずれか一方を含んでいる。印字部71は、帯封をする前、又は、帯封をした後に、帯封紙に情報を印す。印字部71は、帯封を行った日時の情報や、帯封処理を行った操作者を特定する情報等を、帯封紙に印す。また、印字部71は、例えば帯封紙幣を作成した金融機関名の情報、及び、帯封紙幣が損券である旨の情報を、帯封紙に印す。
帯封部7の前側には、ベルト式の第2運搬部72が設けられている。第2運搬部72は、帯封部7が帯封をした帯封紙幣を、前方に向かって投出部15まで搬送する。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。
後述するように紙幣処理装置1が分類処理を行った際、帯封枚数に至らずに第1~第5集積部51~55に紙幣BNが残ってしまう場合がある。運搬部6は、第1~第5集積部51~55に残った端数紙幣を返却部16へ運搬する。
制御部41は、図示は省略するが、第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1~第5集積部51~55、運搬部6、及び、帯封部7が、信号の授受可能に接続されている。記憶部42には、各種の情報やプログラムが記憶されている。制御部41は、前述した第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1~第5集積部51~55、運搬部6、及び、帯封部7に、記憶部42が記憶している各種の情報やプログラムに基づいて制御信号を出力する。このことにより、紙幣処理装置1は、紙幣BNを識別及び計数し、種類別に分類をする処理を行う。
記憶部42は、後述するように、表示部17に表示をする設定画面や、計数画面に関する情報、及び、帯封モード、バッチモード及び入金モードにおいて設定が必要な複数の項目について予め設定をした登録パターンの情報等を記憶している。
(紙幣処理装置の表示部に表示される画面)
前述したように、紙幣処理装置1は、処理モード(運用モード)として、帯封モード、バッチモード及び入金モードの三つのモードを有し、それぞれのモードにおいて紙幣の処理を行う。ここで、各モードにおける紙幣の処理について簡単に説明をする。先ず、帯封モードでは、投入部13に投入された紙幣について、操作者によって指定された紙幣を結束した帯封紙幣を作成する。作成された帯封紙幣は、投出部15から投出される。帯封モードにおいては、指定外の紙幣の一部についても、第1外部集積部11及び/又は第2外部集積部12を利用することによって、分類することができる。帯封対象に指定された紙幣、及び、第1外部集積部11又は第2外部集積部12に集積される紙幣以外の紙幣は、リジェクト部14に集積される。
バッチモードは、投入部13に投入された紙幣について、操作者によって指定された紙幣を、所定枚数に区分する。指定された紙幣は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に交互に集積される。指定外の紙幣は、リジェクト部14に集積される。
入金モードは、投入部13に投入された紙幣の計数を行うが、入金モードにおいては、いずれか一の金種を指定することにより、当該金種の紙幣を、第1外部集積部11に集積することができる。指定外の紙幣は、第2外部集積部12に集積される。
(帯封モードにおける画面構成)
図3は、帯封モードにおいて表示部17に表示される計数画面D1と、設定画面D2とを例示している。前述したように、計数画面D1は、紙幣処理装置1が帯封モードで紙幣の処理を行っているときに表示部17に表示される画面である。計数画面D1は、処理の進捗状況を操作者に提示する。設定画面D2は、帯封モードの実行に際し、操作者が設定すべき項目の設定入力を行うための画面である。
設定画面D2は、帯封モードにおいて操作者が設定しなければならない複数の項目の全てを含んでいる。具体的には、(1)帯封対象の「金種」、(2)帯封対象の「券種」、(3)帯封対象の「刷種」、及び、(4)第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積をする、帯封対象外の紙幣の分類ルール(「スタッカ」)。を含んでいる。
これらの項目のそれぞれについて、設定画面D2は、選択肢を表示している。具体的に、金種の項目には、「万(円札)」「5千(円札)」「2千(円札)」「千(円札)」の四つの選択肢が表示されており、操作者は、これらの選択肢から、帯封対象の金種として、少なくとも一つの金種を選択する。選択をすると、チェックが付される。帯封モードにおいては、複数の金種の選択が可能に構成されている。
また、券種の項目には、「正券」「損券」「正損分類」(正券の帯封券及び損券の帯封紙幣をそれぞれ作成すること)、又は、「正損混合」(正券及び損券が混合されている帯封紙幣を作成すること)の四つの選択肢が表示されている。操作者は、これらの選択肢からいずれか一つの券種を選択する。選択をすると色が変わる。設定画面D2において、券種は、金種とは異なり複数の選択肢を選択することができないよう構成されている。こうすることで、操作者の操作ミスを防止することができる。
また、券種の設定に関連して、設定画面D2には、作成した帯封紙幣の帯に、損券を含むことを示す「損スタンプ」を付けるか否かを設定するチェックボックスが設けられている。操作者がチェックを付すと、帯に損スタンプが付く。ここで、操作者が、券種として「正券」を選択したときには、損券を含む帯封紙幣が作成されないため、「損スタンプ」を付けることがなくなる。設定画面D2においては、図示は省略するが、操作者が、券種として「正券」を選択したときに、損スタンプのチェックボックスが無効になるよう構成されている。このように、設定画面D2においては、複数の項目の内のいずれかの項目を設定したことに伴い、他の項目の選択肢が変更されるよう構成されている。こうすることで、操作者の設定ミスを防止して、操作者は、複数の項目のそれぞれを適切に設定することができる。
また、設定画面D2において刷種の項目には、「現行券」「旧券」「現旧分類」の三つの選択肢が表示されている。操作者は、これらの選択肢から少なくとも一の刷種を選択する。選択をすると、チェックが付される。
また、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積をする紙幣を設定するスタッカの項目には、「正損分類」「正損混合」「現旧分類」の三つの選択肢が表示されている。操作者は、これらの選択肢からいずれか一つを選択する。選択をすると色が変わる。設定画面D2の下部には、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積される紙幣の情報を表示しており、操作者がスタッカの項目の選択を行うことに対応して、この箇所の表示が変更される。図3の例では、第1外部集積部11(ST1)には、帯封対象外の金種かつ、旧券の紙幣が、正損混合で集積され(「混合 旧」)、第2外部集積部12(ST2)には、帯封対象外の金種かつ、現行券の紙幣が、正損混合で集積される(「混合 現」)。
設定画面D2においては複数の項目が表示されているが、操作者が各項目を設定したときには、当該設定画面D2において、設定事項が表示されるよう構成されている(つまり、チェックボックスのチェックの有無や、選択した選択肢の色が変わる)。これにより、操作者は、設定画面D2を見ると、複数の項目の設定事項の組み合わせを確認することができる。設定画面D2は、操作者が設定入力を行う複数の項目が一つの画面に含まれていると同時に、操作者が設定をした複数の項目の設定事項を一つの画面において表示する画面である。この構成により、操作者の設定入力が容易になると共に、操作者の入力ミスも低減する。
帯封モードに係る設定画面D2にはまた、イラスト化した帯封紙幣が表示されている。操作者は、帯封モードであることを認識しやすくなり、操作者の入力ミスを抑制することができる。
設定画面D2において、各項目について設定入力を行った上で、「変更」ボタンを選択すると、各項目について設定事項が反映されると共に、表示部17には、計数画面D1が表示される。計数画面D1に表示される内容は、設定画面D2において設定入力された、複数の項目の設定事項に従い変更される(つまり、帯封対象の金種、券種、刷種の情報、及び、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積される紙幣の情報)。
計数画面D1はまた、カウンターを有しており、紙幣処理装置1が紙幣の処理を実行することに伴い、計数結果に応じて、計数画面D1のカウンターがカウントアップする。
計数画面D1には、その上部中央に、帯封紙幣のイラストと共に、「帯封」の文字を有するボタンが表示されており、操作者に対して、紙幣処理装置1の運用モードが帯封モードであることがわかり易く示されている。また、操作者がこのボタンを選択する操作を行うと、表示部17には、計数画面D1に代わって、設定画面D2が表示される。前述したように、設定画面D2には、複数の項目の設定事項が表示されているため、操作者は、随時、複数の項目の設定事項の組み合わせを確認することができる。また、設定画面D2には、前述した「変更」ボタンとは異なる「戻る」ボタンが設けられている。操作者が「戻る」ボタンを選択操作すると、(各項目の設定入力を行っていたとしても)各項目について設定事項が反映されないで、計数画面D1に移行することができる。設定画面D2に、第二移行ボタンとしての「戻る」ボタンを設けているため、複数の項目について設定入力を行わないで、複数の項目の設定事項の確認だけを行うことができるよう構成されている。操作者の利便性を向上させることができる。
設定画面D2には、その上部に、「帯封」「バッチ」「入金」の三つのタブボタンが設けられている。帯封のタブボタンには帯封紙幣のイラストが、バッチのタブボタンには集積された紙幣に「枚数」の文字が付されたイラストが、入金のタブボタンには集積された紙幣のイラストがそれぞれ描かれており、操作者に対して各モードの機能が認識されやすいように構成されている。
設定画面D2は、帯封モードの設定画面であるため、「帯封」のタブボタンが選択されている(タブの色が変わっている)。操作者が「バッチ」のタブボタンを選択する操作を行うと、紙幣処理装置1は、帯封モードからバッチモードに切り替わる。操作者が「入金」のタブボタンを選択する操作を行うと、紙幣処理装置1は、帯封モードから入金モードに切り替わる。このように、設定画面D2には、紙幣処理装置1の運用モードを切り替える切り替えボタンが表示されている。
(バッチモードにおける画面構成)
図4は、バッチモードにおいて表示部17に表示される計数画面D3と、設定画面D4とを例示している。計数画面D3は、紙幣処理装置1がバッチモードで紙幣の処理を行っているときに表示部17に表示される画面であり、計数画面D3は、処理の進捗状況を操作者に提示する。設定画面D4は、バッチモードの実行に際し、操作者が設定すべき項目の設定入力を行うための画面である。
設定画面D4は、設定画面D2と同様に、前述した「帯封」「バッチ」「入金」の三つのタブボタンを有している。設定画面D4においては、「バッチ」のタブボタンが選択されている。操作者が「帯封」のタブボタンを選択する操作を行うと、紙幣処理装置1は、バッチモードから帯封モードに切り替わり、表示部17には、帯封モードの設定画面D2が表示される。操作者が「入金」のタブボタンを選択する操作を行うと、紙幣処理装置1は、バッチモードから入金モードに切り替わる。このように、設定画面D4にも、紙幣処理装置1の運用モードを切り替える切り替えボタンが表示されている。
設定画面D4は、バッチモードにおいて操作者が設定しなければならない複数の項目の全てを含んでいる。但し、設定画面D4に含まれる複数の項目と、設定画面D2に含まれる複数の項目とは相違する。設定画面D2、D4は、操作者が運用モードの選択操作を行うと、設定画面に含まれる複数の項目を、選択された運用モードに対応する項目に変更して表示することに相当する。
具体的に設定画面D4は、(1)バッチ対象の「金種」、(2)バッチ枚数、(3)バッチ対象の「刷種」、及び、(4)「正券のみ」のチェックボックスを含んでいる。
これらの項目のそれぞれについて、設定画面D4は、選択肢を表示している。具体的に、金種の項目には、「万(円札)」「5千(円札)」「2千(円札)」「千(円札)」「オート」の五つの選択肢が表示されている。このうち「オート」は、投入部13から繰り出された最初の紙幣の金種を、バッチ対象の金種にする設定である。尚、「オート」は、帯封モードにおいては、金種の項目の選択肢に含まれていない。操作者は、これらの選択肢からいずれか一つの金種を選択する。選択をすると色が変わる。バッチモードにおいては、帯封モードとは異なり、一つの金種のみ選択が可能である。
また、設定画面D4において刷種の項目には、「現行券」「旧券」の二つの選択肢が表示されている。操作者は、これらの選択肢から少なくとも一の刷種を選択する。選択をするとチェックが付される。バッチ処理においては、現行券のみのバッチ処理を行うか、旧券のみのバッチ処理を行うか、又は、現行券及び旧券を含むバッチ処理を行うかを選択することなる。「現旧分類」の選択肢がないため、現行券のバッチ処理と、旧券のバッチ処理とを同時に行うことはできない。
設定画面D4において、バッチ枚数は、操作者が具体的な数字を入力することにより設定される。尚、バッチ枚数の選択肢を設けておいて、操作者がそれらの選択肢のなかから所望のバッチ枚数を選択するようにしてもよい。また、「正券のみ」のチェックボックスにチェックを付したときには、正券についてのバッチ処理が行われ、チェックを付さないときには、正券及び損券を混合した状態でバッチ処理が行われる。
設定画面D4には、集積紙幣のイラストが表示されており、操作者は、バッチモードであることを認識しやすくなる。また、バッチ枚数の項目は、イラストに付した矢印に対応付けられていて、操作者は、バッチ枚数が、紙幣の枚数の意味であることを理解しやすくなっている。操作者の入力ミスを抑制することができる。
設定画面D4において、各項目について設定入力を行った上で、「変更」ボタンを選択すると、各項目について設定事項が反映されると共に、表示部17には、バッチモードの計数画面D3が表示される。計数画面D3に表示される内容は、設定画面D4において設定入力された、複数の項目の設定事項に従い変更される(つまり、バッチ対象の金種、券種、刷種の情報、及び、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積される紙幣の情報)。
また、設定画面D4において、「戻る」ボタンを選択すると、各項目について設定事項が反映されずに、表示部17には、バッチモードの計数画面D3が表示される。
計数画面D3は、カウンターを有しており、紙幣処理装置1が紙幣の処理を実行することに伴い、計数結果に応じて、計数画面D3のカウンターがカウントアップする。
計数画面D3には、その上端中央に、集積紙幣のイラストと共に、「バッチ」の文字を有するボタンが表示されており、操作者に対して、紙幣処理装置1の運用モードがバッチモードであることがわかり易く示されている。また、操作者がこのボタンを選択する操作を行うと、表示部17には、計数画面D3に代わって、設定画面D4が表示される。
(入金モードにおける画面構成)
図5は、入金モードにおいて表示部17に表示される計数画面D5と、設定画面D6とを例示している。計数画面D5は、紙幣処理装置1が入金モードで紙幣の処理を行っているときに表示部17に表示される画面であり、設定画面D6は、処理の進捗状況を操作者に提示する。設定画面D6は、入金モードの実行に際し、操作者が設定すべき項目の設定入力を行うための画面である。
設定画面D6は、設定画面D2、D4と同様に、前述した「帯封」「バッチ」「入金」の三つのタブボタンを有している。設定画面D6においては、「入金」のタブボタンが選択されている。設定画面D6において、操作者が「帯封」のタブボタンを選択する操作を行うと、紙幣処理装置1は、入金モードから帯封モードに切り替わり、表示部17には、帯封モードの設定画面D2が表示される。操作者が「バッチ」のタブボタンを選択する操作を行うと、紙幣処理装置1は、入金モードからバッチモードに切り替わる。このように、設定画面D6にも、紙幣処理装置1の運用モードを切り替える切り替えボタンが表示されている。設定画面D2、D4、D6は、操作者が運用モードの選択操作を行うと、設定画面に含まれる複数の項目が、選択された運用モードに対応する項目に変更することに相当する。
設定画面D6は、入金モードにおいて操作者が設定しなければならない複数の項目の全てを含んでいる。但し、設定画面D6に含まれる複数の項目と、設定画面D2及びD4に含まれる複数の項目とは相違する。設定画面D2、D4、D6は、操作者が運用モードの選択操作を行うと、設定画面に含まれる複数の項目を、選択された運用モードに対応する項目に変更して表示することに相当する。
具体的に設定画面D6は、(1)第1外部集積部11に集積する紙幣の「金種」、(2)当該紙幣の「刷種」、及び、(3)「正損分ける」のチェックボックスを含んでいる。
これらの項目のそれぞれについて、設定画面D6は、選択肢を表示している。具体的に、金種の項目には、「万(円札)」「5千(円札)」「2千(円札)」「千(円札)」「混合」の五つの選択肢が表示されている。このうち「混合」は、第1外部集積部11に集積する紙幣の金種を問わない選択肢である。「混合」は、帯封モードにおいても、バッチモードにおいても選択肢に含まれていない。操作者は、これらの選択肢からいずれか一つの選択肢を選択する。選択すると色が変わる。尚、選択されなかった金種の紙幣は、第2外部集積部12に集積される。
また、設定画面D6において刷種の項目には、「現行券」「旧券」「現旧分類」の三つの選択肢が表示されている。操作者は、これらの選択肢から少なくとも一の刷種を選択する。選択するとチェックが付される。尚、「現旧分類」を選択したときには、現行券が第1外部集積部11に集積され、旧券が第2外部集積部12に集積される。
設定画面D6において、「正損分ける」のチェックボックスにチェックを付したときには、第1外部集積部11に正券が集積され、第2外部集積部12に損券が集積される。ここで、設定画面D6において、「現旧分類」を選択したときには、「正損分ける」のチェックボックスが無効になり、「正損分ける」のチェックボックスにチェックを付したときには、「現旧分類」の選択肢が無効になる。
設定画面D6には、設定画面D4とは異なる態様でイラスト化した集積紙幣が表示されている。操作者は、入金モードであることを認識しやすくなり、操作者の入力ミスを抑制することができる。
設定画面D6において、各項目について設定入力を行った上で、「変更」ボタンを選択すると、各項目について設定事項が反映されると共に、表示部17には、入金モードの計数画面D5が表示される。計数画面D5に表示される内容は、設定画面D66において設定入力された、複数の項目の設定事項に従い変更される(つまり、第1外部集積部11に集積する対象の金種(三角の矢印が付与される)、刷種の情報、及び、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積される紙幣の情報)。
また、設定画面D6において、「戻る」ボタンを選択すると、各項目について設定事項が反映されずに、表示部17には、入金モードの計数画面D5が表示される。
計数画面D5は、カウンターを有しており、紙幣処理装置1が紙幣の処理を実行することに伴い、計数結果に応じて、計数画面D5のカウンターがカウントアップする。
計数画面D5には、その上部中央に、集積紙幣のイラストと共に、「入金」の文字を有するボタンが表示されており、操作者に対して、紙幣処理装置1の運用モードが入金モードであることがわかりやすく示されている。また、操作者がこのボタンを選択する操作を行うと、表示部17には、計数画面D5に代わって、設定画面D6が表示される。
(登録パターンによる運用モード)
前述したように、帯封モード、バッチモード、及び、入金モードのそれぞれにおいて、操作者は、複数の項目を設定しなければならない。紙幣処理装置1において処理を行う度に、設定画面D2、D4、及びD6において設定入力を行うことは、煩雑であると共に、設定ミスを招く恐れがある。
そこで、この紙幣処理装置1においては、複数の項目を設定したパターンを、記憶部42に記憶させておくことができる(登録パターン)。この紙幣処理装置1において、登録パターンは、最大10個であるが、登録パターンの最大数は、適宜の数にすればよい。尚、パターンは、帯封モード、バッチモード、及び、入金モードのいずれについても登録をすることが可能である。
具体的には、帯封モード、バッチモード、及び、入金モードのそれぞれの計数画面D1、D3、D5には、「パターン」ボタンが設けられている。操作者が「パターン」ボタンを選択操作することによって、登録パターンによる運用モードに移行をすることができる。図6の画面D7及びD9は、登録パターンによる運用モードにおける計数画面(つまり、第二の処理画面)を例示している。
具体的に、計数画面D7は、第3登録パターンによる運用モード(帯封モード)の計数画面である。計数画面D7の上部には、「3 帯封」のボタンが表示されており、これが、第3登録パターンでかつ、帯封モードであることを示している。尚、計数画面D7の構成は、帯封モードにおける計数画面D1と、実質的に同じである。
計数画面D7において「3 帯封」のボタンを選択操作すると、表示部17には、確認画面D8が表示される。確認画面D8は、当該登録パターンに係る複数の項目の設定事項を表示する。操作者は、確認画面D8において、登録パターンの設定事項を、容易に確認することができる。確認画面D8において「閉じる」ボタンを選択すると、確認画面D8が終了して、表示部17には計数画面D7が表示される。
確認画面D8には、「マニュアル」ボタンが設けられている。操作者が「マニュアル」ボタンを選択操作すると、表示部17には、設定画面D2、D4、又は、D6が表示される。登録パターンにおけるモードが帯封モードであれば設定画面D2が表示され、バッチモードであれば設定画面D4が表示され、入金モードであれば設定画面D6が表示される。これらの設定画面D2、D4、D6において、操作者は、前述したように、複数の項目の設定入力を行うことができる。つまり、操作者は、登録パターンにおいて設定されている複数の項目の事項を変更した上で、紙幣の処理を行うことができる。
計数画面D7にも、「マニュアル」ボタンが設けられている。操作者が「マニュアル」ボタンを選択操作すると、表示部17には、計数画面D1、D3、又は、D5が表示される。登録パターンにおけるモードが帯封モードであれば計数画面D1が表示され、バッチモードであれば計数画面D3が表示され、入金モードであれば計数画面D5が表示される。
計数画面D7にはまた、「3 帯封」のボタンの両側に、矢印(「<」「>」)ボタンが設けられている。操作者がこれらの矢印ボタンを選択操作すると、登録パターンが変更される。操作者は、複数の登録パターンから所望の登録パターンを容易に選択することができる。
例えば計数画面D9は、第1登録パターンによる運用モード(バッチモード)の計数画面である。尚、計数画面D9の構成は、バッチモードにおける計数画面D3と、実質的に同じである。また、計数画面D9において、「1 バッチ」のボタンを選択すると、図示は省略するが、第1登録パターンの確認画面が、表示部17に表示される。また、計数画面D9の「マニュアル」ボタンを選択したときには、計数画面D7と同様に、計数画面D1、D3又はD5が表示部17に表示される(図例の計数画面D9の場合はバッチモードであるため、計数画面D3が表示される)。
(登録パターンの設定)
前述したように、紙幣処理装置1は、複数の登録パターンを設定して、記憶部に記憶することができる。図7は、登録パターンの設定を行うときに表示部17に表示される初期画面D10と、設定画面D11、D12、D13とを例示している。
初期画面D10には、合計10個のボタンが設けられている。各ボタンは、一つの登録パターンに対応している。各ボタンには、01~10のパターン番号と、登録パターンの設定事項を説明する文言とが記載されている。この文言は、操作者によって適宜設定することができる。これにより、操作者は、各登録パターンの設定事項を知ることができる。
各ボタンを選択すると、パターンの設定画面D11、D12、D13が、表示部17に表示される。例えば設定画面D11は、第5登録パターンの設定画面であり、設定画面D12は、第1登録パターンの設定画面であり、設定画面D13は、第2登録パターンの設定画面である。
設定画面D11、D12、D13には、設定画面D2、D4.D6と同様に、複数の項目が含まれている。具体的には、運用モードを設定する選択肢(帯封、バッチ、及び、入金)が表示されている。操作者は先ず、これらの選択肢の中から所望の選択肢を選択する。設定画面D11に示すように、「帯封」を選択したときには、当該設定画面D11には、帯封モードにおいて設定が必要となる複数の項目が表示される。具体的には、「金種」「券種」「刷種」「スタッカ」の項目が、表示されている。各項目について、選択肢が設けられている点も、設定画面D2と同じである。また、各項目において選択をした結果が、チェックが付される、又は、色が変わることによって、当該設定画面D11に表示されている。
設定画面D12は、運用モードについて「バッチ」を選択したときの設定画面を例示しており、当該設定画面D12には、バッチモードにおいて設定が必要となる、「バッチ枚数」、「金種」及び「刷種」の項目が、表示されている。各項目について、選択肢が設けられている点、及び、各項目において選択をした結果が、当該設定画面D12に表示されている点も、設定画面D4と同じである。
設定画面D13は、運用モードについて「入金」を選択したときの設定画面を例示しており、当該設定画面D13には、入金モードにおいて設定が必要となる、「金種」及び「刷種」の項目が、表示されている。各項目について、選択肢が設けられている点、及び、各項目において選択をした結果が、当該設定画面D13に表示されている点も、設定画面D6と同じである。
設定画面D11、D12、D13において、「登録」を選択すると、各項目について設定事項が反映されて、登録パターンが、記憶部42に登録される。表示部17には初期画面D10が表示される。設定画面D11、D12、D13において、「戻る」を選択すると、各項目について設定事項が反映されずに、表示部17には初期画面D10が表示される。
このように、登録パターンの設定画面D11、D12、D13においても、設定入力が必要な複数の項目が一つの画面一つの画面に含まれていると共に、操作者が設定をした複数の項目の設定事項を一つの画面において表示することができる。操作者の設定入力が容易になると共に、操作者の入力ミスも低減する。
また、設定画面D2、D4、D6と、設定画面D11、D12、D13とは、項目を設定することに関して、互いに類似する操作態様を有しているため、操作者の使い勝手を向上させることができる。
尚、設定画面D11、D12、D13の右上には、「削除」ボタンが設けられている。「削除」ボタンを選択操作したときには、当該設定画面D11、D12、D13における設定事項が消去されて当該パターン番号の登録パターンが「未登録」になる。
(正損検知レベルの変更)
紙幣処理装置1における、帯封モード、バッチモード及び入金モードのそれぞれにおいて、紙幣の正損の検知レベルは常に同じではなく、取引先毎に検知レベルを変更することが行われる。
また、損券の判定項目としては、紙幣の厚みに関する「厚損」、紙幣の欠けに関する「欠損」、紙幣の汚れに関する「汚損」の大きく三つがあり、このうち、汚損についてはさらに、「油しみ」「落書き」「しわ」「折れくせ」「テープ」「破れ」の六つの項目に細分される。損券の判定は、これら合計9個の判定項目について行われ、判定項目のそれぞれについて、判定レベルが設定される。正損の検知レベルを変更することは、これら9個の判定項目の判定レベルの組み合わせを変更することに相当する。
紙幣処理装置1は、こうした正損の検知レベルの変更を容易に行うことができるように、正損検知パターンを、予め設定して登録することができるように構成されていると共に、選択した正損検知パターンにおける各判定項目の判定レベルを確認すること、及び、判定レベルを調整すること、をそれぞれ容易に行うことができるよう構成されている。
具体的に各計数画面D1、D3、D5、及び、各設定画面D2、D4、D6の右下には、正損の検知レベルを確認するためのボタンが設けられている(図例では「損検知 3」であり、これは、後述するように、第3の登録パターンであることを示している)。操作者がこのボタンを選択操作したときには、図8の左に示す画面D14が表示される。画面D14は、各計数画面D1、D3、D5、及び、各設定画面D2、D4、D6に対して、正損の検知レベルを示す画面(汚損検知レベル詳細)が、上書きで表示されている。
「汚損検知レベル詳細」には、現在選択されている登録パターンの名称(図8の例では、「*****」で伏せ字にしている)と、当該登録パターンにおいて設定されている複数の判定項目それぞれの判定レベルとが示されている。判定レベルは、この構成例では、1~7の数字と、判定を行わないOFFとによって表される。操作者は、現在設定されている正損の検知レベル(の組み合わせ)を確認することができる。
画面D14においては、各判定項目の判定レベルを変更することが可能に構成されている。具体的には、判定レベルを変更したい判定項目を選択する操作をすると、図8の右に示すように、「+」と「-」とのボタンが表示される。操作者は、「+」を操作することにより判定レベルを上げることができると共に、「-」を操作することにより判定レベルを下げることができる。このように、複数の判定項目のそれぞれについて個別に、判定レベルを変更することができる。
画面D14において、登録パターンの名称(「*****」の両側には、矢印(「<」「>」)ボタンが設けられている。操作者がこれらの矢印ボタンを選択操作すると、正損検知の登録パターンを変更することができる。操作者は、複数の登録パターンから所望の登録パターンを容易に選択することができる。
また、画面D14において、「汚損検知レベル詳細」の余白部分を選択すると、図9の設定画面D16が、表示部17に表示される(図9参照)。この設定画面D16には、前述した「厚損」、「欠損」、及び、「汚損」としての「油しみ」「落書き」「しわ」「折れくせ」「テープ」「破れ」の各項目について、判定レベルを設定するための1~7の数字と、判定を行わない「OFF」のボタンとが表示されている。尚、図9の画面構成例では、汚損の判定項目は、その一部のみが示されているが、当該項目はスクロール表示が可能であり、残りの判定項目はスクロールによって表示される。
操作者は、いずれかのボタンを選択することにより、当該項目についての判定レベルを設定することができる。設定された判定レベルは、色が変わることにより、操作者は、設定した判定レベルを、容易に確認することができる。また、設定画面D16においては、「油しみ」「落書き」「しわ」「折れくせ」「テープ」「破れ」の汚損の各項目については、金種別に、異なる判定レベルを設定することが可能に構成されている。
設定画面D16において「登録」ボタンを選択操作すると、設定した内容が、登録パターンとして、記憶部42に記憶されると共に、表示部17には、画面D14が表示される。また、「戻る」ボタンを選択操作すると、設定した内容が登録されずに、表示部17には、画面D14が表示される。
尚、画面D14において「閉じる」を選択すると、「汚損レベル詳細」が消えて、元の各計数画面D1、D3、D5、及び、各設定画面D2、D4、D6が表示部17に表示される。
また、図9の画面D15は、正損検知レベルの登録パターンを設定するために表示部17に表示される初期画面である。初期画面D15には、合計10個のボタンが設けられている。各ボタンは、一つの登録パターンに対応している。図例では、10個のパターンを登録することができるよう構成されている。登録可能なパターンの数は、適宜の数にすればよい。各ボタンには、01~10のパターン番号と、登録パターンの設定内容を表す文言(図例では、「*****」の伏せ字)とが記載される。文言は、操作者によって適宜設定することができる。
初期画面D15においていずれかのボタンを選択操作すると、表示部17には、当該登録パターンに対応する設定画面D16が表示される。前述したように、設定画面D16において正損の検知レベルを設定した後、「登録」ボタンを選択操作すれば、設定した内容が登録されると共に、表示部17には、初期画面D15が表示される。「戻る」ボタンを選択操作すれば、設定した内容が登録されずに、表示部17には、初期画面D15が表示される。
尚、ここに開示する技術は、図1に示す紙幣処理装置1に適用することに限らず、例えば図10に示すように、複数の紙幣処理装置101、102を含む紙幣処理システムに適用してもよい。紙幣処理システムは、ネットワーク103を介して複数の紙幣処理装置101、102に接続される管理コンピュータ100を備えている。管理コンピュータ100は、例えば汎用のコンピュータとしてもよい。紙幣処理システムに含まれる紙幣処理装置の数には、特に制限はない。
各紙幣処理装置101、102は、管理コンピュータ100からの信号に基づいて、紙幣の処理を実行するよう構成されている。操作者は、管理コンピュータ100において操作を行うことにより、各紙幣処理装置101、102を使って、紙幣の処理を実行することができる。各紙幣処理装置101、102は、表示部17を備えていない。
前述した画面D1~D16は、管理コンピュータ100に表示される。管理コンピュータ100において、複数の紙幣処理装置101、102における処理の設定事項を、一括して設定してもよい。また、複数の紙幣処理装置101、102のそれぞれについて個別に、設定事項を設定してもよい。
尚、ここに開示する技術は、紙幣の処理を行う装置に限らない。例えば硬貨の分別処理を行うような装置に、ここに開示する技術を適用することができる。
また、前述した構成において、正損の検知レベルの設定や、正損の検知レベルを表示する画面の構成は、前述した紙幣処理装置に適用することに限らず、紙幣及び硬貨の入金処理や出金処理を行う出納機、ATM、両替機、及び、自動販売機、レジ釣銭機等の、貨幣の処理を行う各種の装置に広く適用することが可能である。