(A)第1の実施形態
以下、本発明による紙葉類処理装置を、紙幣結束整理装置に適用した第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置の内部構造を示す概略側面図(一方の側板を取り外して見た側面図)である。
図3は、図2における上部構造を拡大して示す拡大側面図である。図4は、この実施形態の紙幣結束整理装置の外観を示す斜視図である。図5は、図4における操作部7を拡大して示す平面図である。図2〜図5だけでなく後述する各図を含め、同一、対応部分には、同一、対応符号を付して示している。
この実施形態に係る紙幣結束整理装置100の正面上部には、紙幣の投入部1が設けられている。鑑別部2は、装置内に設けられており、投入部1から投入された紙幣の真偽(真券、偽券)、金種、正損(正券、損券)、方向(表裏、天地)等の鑑別や計数を行うと共に、搬送異常の検出を行うものである。鑑別された紙幣を搬送する搬送路3の詳細については、後述する。
表裏反転部4は、鑑別部2の後段に位置するように設けられており、後述する制御部50の制御下で、スイッチバック方式により紙幣の表裏反転を行うものである。
2つのオープンポケット5a、5bは、装置の上面に設けられており、後述する制御部50の制御下で、紙幣(例えば、結束対象外の券種の紙幣)がこのオープンポケット5a、5bへ排出される。オープンポケット5a、5bに集積された紙幣は、オペレータが直接アクセスできるものとなっている。
リジェクトポケット8は、基本的に、鑑別部2でリジェクト紙幣と鑑別された紙幣を集積することに用いられるものである。この実施形態の場合、後述する制御部50の制御下で、リジェクト紙幣のうち、上述したオープンポケット5a、5bや一時集積部61への排出対象外のリジェクト紙幣がリジェクトポケット8に排出される。リジェクトポケット8は、例えば、投入部1の上方に設けられており、このリジェクトポケット8に集積された紙幣にオペレータが直接アクセスできるものとなっている。なお、リジェクトポケット8は、リジェクト紙幣以外の紙幣を集積することに用いるようにしてもよいことは当然である。リジェクトポケット8に排出可能な上限数は、あらかじめ設定された設定枚数(例えば、190枚)に定められている。これは、リジェクトポケット8から排出されたリジェクト紙幣が所定枚数を超えると、リジェクトポケット8から紙幣がこぼれて装置外に落ちる恐れがあるためである。例えば、リジェクトポケット8に集積された紙幣が設定枚数に達したときには、制御部50は紙幣の投入を一時停止させ、リジェクトポケット8から紙幣の除去をオペレータに求めるメッセージを表示させるようにしてもよい。
操作部7は、投入部1の一側(図示のものは右側)に設けられている。この操作部7には、紙幣の計数を指示する計数開始ボタン7a、計数及び結束処理の完了を指示する完了ボタン7b、装置の障害復旧時に装置を再稼働させるためのリセットボタン7cなどが設けられている。
操作表示部13は、装置上面においてオープンポケット5aの後方に位置するように設けられている。操作表示部13は、液晶ディスプレイとその表面に配置されたタッチパネルによって構成されている。オペレータは、この操作表示部13を操作して、モードの指定や、後述する一時集積部61に集積する紙幣の金種等を設定できるようになされている。また、この操作表示部13には、後述する制御部50の制御下で、鑑別部2で鑑別された紙幣の金種、計数結果等が表示される。
この実施形態の場合、集積機構6には、上下方向に1列に5つの紙葉類集積部としての一時集積部61(61a〜61e)が並べられて装置内に設けられている。各一時集積部61a〜61eにはそれぞれ、後述する制御部50の制御下で、予め定められた枚数(例えば100枚)を上限とした指定種類の紙幣が集積できるようになっている。なお、一時集積部の数は5つに限定されるものではない。
移送機構9は、一時集積部61a〜61eの集積紙幣を紙幣結束機構10に移送するものである。紙幣結束機構10は、移送されてきた集積紙幣を紙テープ等の結束材により束ねるものである。移送機構9及び紙幣結束機構10は、両者とも装置内に設けられている。移送機構9及び紙幣結束機構10の詳細については後述する。放出口11は、紙幣結束機構10の結束により形成された紙幣束を放出させる開口である。放出口11の上部の装置正面に設けられた扉12は、開けることで、オペレータが集積機構6にアクセスできるものとなっている。
次に、搬送路3について詳述する。搬送路3は、ローラや搬送ベルトや通過を検知するセンサ、駆動モータ等からなっているが、以下では、紙幣の経路という面から搬送路3を説明する。搬送路3は、図3に示すように、大きくは5つの部分(以下、部分に対しても搬送路と呼ぶこととする)3a〜3eに分かれている。
搬送路3aは、投入部1から鑑別部2を経て分岐点Aに至る部分である。従って、投入された全ての紙幣が、搬送路3a上を搬送される。搬送路3bは、分岐点Aからリジェクトポケット8に至る部分である。従って、鑑別結果が、リジェクトポケット8に集積させるリジェクト紙幣が、搬送路3b上を搬送される。
搬送路3cは、分岐点Aから分岐点Bに至る部分であり、その途中に表裏反転部4が設けられている。搬送路3cは、表裏反転部4を通過しないように紙幣を搬送することもできる。表裏反転部4は溝状のものであり、搬送されてきた紙幣(紙葉類)は、表裏反転部4に一端から挿入され、他端から引き出されることを通じて表裏がスイッチバック方式により反転される。投入された紙幣のうち、リジェクトポケット8に向かった紙幣以外の紙幣が、搬送路3c上を搬送される。搬送路3c上に導入された紙幣のうち、表裏反転が必要と鑑別されたものは、表裏反転部4を経由する。
搬送路3dは、分岐点Bから、最下段の一時集積部61eに至る部分である(図2、図3参照)。鑑別部2によって、集積、結束対象と鑑別された紙幣が、搬送路3d上を搬送され、その紙幣が集積されるべき一時集積部61a〜61eに搬送される。
搬送路3eは、分岐点Bから分岐点Cに至る部分である。そして、搬送路3fは、分岐点Cからオープンポケット5aに至る部分である。また、搬送路3gは、分岐点Cからオープンポケット5bに至る部分である。
なお、搬送路3上の分岐点A、B、Cのそれぞれの近傍には、紙幣の搬送方向を切替える図示しない切替えブレードが設けられ、後述する制御部50の制御下で切り替えられる。
図6は、集積機構6の構成を図2より詳細に示す側面図である。集積機構6には、上述のように、5つの一時集積部61a〜61eが上下方向に並べて配置されている。これらの一時集積部61a〜61eは、同一の構造を有しているので、以下では、一時集積部61aを例にとって詳細を説明する。
搬送路3dにより搬送されてきた紙幣は、一時集積部61aの振り分けゲート27により集積板21に向かって取り込まれ、これにより一時集積部61aに進入した紙幣は羽根車20により後部が叩かれて集積板21の上に集積されるようになされている。以降進入してくる紙幣に関しても、同様の動作で集積板21上に集積した紙幣の上に集積される。
一時集積部61aに進入した紙幣は、一時集積部61aの一側(例えば、図6紙面法線方向の手前側)に設けられた図示しない長手整位手段により、紙幣の長手方向の位置が揃えられ、更に一時集積部61aの後端側に設けられた図示しない短手整位手段により短手方向の位置が揃えられる。上述の長手整位機構は、紙幣を反対側に設置された基準面に押しつけることで整位するものとなっている。また、上述の短手整位機構は、集積された紙幣を進入口側に付勢することにより整位するものとなっている。
集積板21上に紙幣が集積して行き、その集積数(後述するカウンタ51a〜51eの値)が設定枚数を越えると、集積板21は自動的に下降して一時集積部61aの空間を広げ、この動作により皺や折り目等に起因する紙幣の状態によって集積高さが違っても安定して集積が行えるようになっている。集積板21の上方には押さえ板24が対向するように設けられ、この押さえ板24は集積板21上への紙幣の集積中は一時集積部61aの上端に待機しており、順次取り込まれる紙幣の進入の邪魔にならないようになっている。
一時集積部61aの集積板21上に設定枚数の紙幣が集積されると、ゲート振り分け機構27を紙幣を取り込まない姿勢に動作させ、所定枚数目以降の紙幣は、例えば、他の一時集積部61b〜61eのいずれかへ集積するように制御される。
紙幣の進入が停止した一時集積部61aでは集積板21を上昇させ、押さえ板24を下降させることにより紙幣を挟持する。この動作により皺等の紙幣の状態によって集積高さの異なる紙幣の厚みを一定にし、移送機構9への受渡しを容易にするようになっている。集積板21と押さえ板24により挟持された紙幣は、移送機構9の紙幣クランプ部30(図2参照)が短手整位機構23側から一時集積部61aに進入して引き抜かれるようになっている。
移送機構9は、図2に示すように、紙幣クランプ部30、クランプ部移動機構31、上下動機構32を備えている。移送機構9の構成を、動きを通して明らかにする。
一時集積部61aに集積された紙幣を引き抜く場合を例に、移送機構9の一連の動きを説明する。上下動機構32により紙幣クランプ部30をクランプ部移動機構31と共に、一時集積部61aに係るポジションセンサの位置まで上昇させ、ポジションセンサがクランプ部移動機構31を検知した位置で上昇を停止させると同時に、図示しない係止手段によりクランプ部移動機構31を係止し、クランプ部移動機構31を一時集積部61aと対応する位置に固定する。この状態でクランプ移動機構31により紙幣クランプ部30のクランプ爪33a、33bを上下方向に開いて集積紙幣をクランプする準備を行い、更にクランプ移動機構31により紙幣クランプ部30を一時集積部61aの方向に押し出す。押し出された紙幣クランプ機構30のクランプ爪33a、33bは、一時集積部61aの短手整位機構23側に設けられている開口部に挿入され、集積板21と押さえ板24により挟持されている紙幣を上下から挟みつけて把持する。次に、集積板21と押さえ板24を開くことで、両者による紙幣の挟持を解除すると、これにより100枚の紙幣が紙幣クランプ部30に渡されたことになるので、クランプ爪33a、33bで紙幣を把持した紙幣クランプ部30をクランプ部移動機構31により引き戻す。紙幣クランプ部30が元の位置まで引き戻されると、クランプ部移動機構31の係止が解除され、紙幣を把持した紙幣クランプ部30と共にクランプ移動機構31が上下動機構32により移動経路の最下端に位置する紙幣結束機構10まで移動し、紙幣クランプ部30のクランプ爪33a、33bに把持された紙幣が紙幣結束機構10に引き渡される。
紙幣結束機構10は、図7の側面図に示すように、ローラ及びベルト等からなる搬送手段40と、紙テープ等の結束用テープ41と、印刷手段42と、テープ41を供給する供給手段43と、テープ41を所定の長さに切断するカッタ44と、図示しない結束手段を有し、以下のように紙幣を結束する。
搬送手段40が移送機構9の紙幣クランプ部30から結束対象の紙幣を一括して受け取り、結束位置に搬送する。テープ供給手段43は、テープ41を結束手段に供給し、その際、印刷手段42は、制御部50の制御下で、テープ41に結束する紙幣に係る情報等を印刷する。印刷されたテープ41は、所定の長さにカッタ44で切断され、この切断されたテープを結束手段が結束位置に搬送された紙幣に巻き掛けて結束することにより紙幣束を作る。このようにして作られた紙幣束は、更に搬送手段40により搬送され、放出口11に送られる。
投入部1にセットされた紙幣が全て投入され、最後の紙幣に対する処理(計数、集積)が終了したときに、一時集積部61a〜61eに結束されていない紙幣が残っていることが多い。このような残った端数の枚数については、上述した扉12を開けることにより、オペレータが取り出し可能となっている。
次に、この実施形態に係る紙幣結束整理装置100の制御系の構成について図1を用いて説明する。
図1において、制御部50は、当該紙幣結束整理装置100全体の動作制御を行うものである。制御部50には、I/Oインタフェース回路51を介して、投入部1の構成要素(モータ、ソレノイドなどの駆動要素や、センサ要素など;図1では「構成要素」の用語を省略している;以下の説明においても「構成要素」の用語を省略する)、鑑別部2、搬送路3、表裏反転部4、集積機構6、操作部7、移送機構9、紙幣結束機構10、操作表示部13、カウンタ51a〜51eなどが接続されている。
カウンタ51a〜51eはそれぞれ、一時集積部61a〜61eに1対1で対応しており、例えば、対応する一時集積部61a〜61eの所定位置に設けられているセンサが進入紙幣を検知する毎にカウントアップするものである。ここでは、カウンタ51a〜51eとしてハードウェアのカウンタを適用しているが、制御部50がメモリ部51を利用するソフトウェア的なカウンタを適用しても良い。
次に、制御部50の内部構成及び鑑別部2の処理の詳細について説明する。
制御部50は、図1に示すように、制御処理等に必要な各種情報を記憶するための記憶部52有している。制御部50は、例えば、プロセッサとメモリを有するコンピュータ(例えば、マイクロコンピュータ)に、実施形態の紙葉類処理プログラムをインストールすることにより構築することができ、その場合でも機能的には図1のように示すことができる。
図1に示すように、記憶部52は、少なくとも一時集積部設定情報521を記憶している。
次に、一時集積部設定情報521の内容について図8を用いて説明する。
図8に示すように、一時集積部設定情報521は、紙幣の種類(金種及び券種の組みあわせ)及び、投入された紙幣の方向(以下、「紙幣方向」とも呼ぶ)の組合せごとの集積先(一時集積部61a〜61e、オープンポケット5a、5bのいずれか)を示す情報である。図8に示すように、一時集積部設定情報521では、紙幣の種類は、金種及び券種の組み合わせに応じて決定している。
図8に示すように、一時集積部設定情報521では、各集積先は、集積先ごとに付与されたID(以下、「集積先ID」と呼ぶ)により表されている。集積先IDは、一時集積部61a〜61e、及びオープンポケット5a、5bに対して1〜7のIDが付与されている。例えば、一時集積部61aの集積先IDは1、オープンポケット5aの集積先IDは6、オープンポケット5bの集積先IDは7となる。そして、制御部50は、鑑別部2により鑑別(分類)された紙幣について、一時集積部設定情報521に応じた集積先へ集積されるように、搬送路3等を制御する。
図8に示すように、一時集積部設定情報521では、各集積先は、集積先ごとに付与されたID(以下、「集積先ID」と呼ぶ)により表されている。集積先IDは、一時集積部61a〜61e、オープンポケット5a、5bに対して1〜7のIDが付与されている。例えば、一時集積部61aの集積先IDは1、オープンポケット5aの集積先IDは6、オープンポケット5bの集積先IDは7となる。そして、制御部50は、鑑別部2により鑑別(分類)された紙幣について、一時集積部設定情報521に応じた集積先へ集積されるように、搬送路3等を制御する。
図8において、金種とは、紙幣の額面に応じて決まるものとしている。なお、この実施形態では、紙幣結束整理装置100は、中華人民共和国(人民元)の7金種の紙幣(100元紙幣、50元紙幣、20元紙幣、10元紙幣、5元紙幣、2元紙幣、1元紙幣)について処理が可能であるものとする。また、図8において、券種とは、紙幣の属性を示すものとする。具体的には、紙幣の券種は、紙幣の真偽、紙幣の傷みの度合い等の項目に基づいて定められるものとする。この実施形態の鑑別部2では、紙幣の傷みの度合いに応じて、ATM券、流通券、損券の3段階に判別(分類)されるものとする。そして、この実施形態の一時集積部設定情報521では、券種の項目に設定する内容としては、「無し」(紙幣の券種を限定しない)、「ATM券」、「流通券」、「損券」、「ATM+流通」(ATM券及び流通券)、「流通+損」(流通券及び損券)、「真偽RJ」(偽券としてリジェクトすべき紙幣)のいずれかが設定されるものとして説明する。なお、一時集積部設定情報521の券種の項目に設定する情報の種類、数、条件の組み合わせについては上述の例に限定されないものである。
ここで、本明細書における紙幣の方向の定義について図9、図10を用いて説明する。以下では、「紙幣方向」とは、紙幣結束整理装置100で、紙幣が取込(投入)、搬送、集積等される際の方向を指すものとする。以下では、紙幣の方向について図9のように、定義するものとする。図9は、紙幣Mの表面及び裏面の平面について示している。図9(a)は、紙幣Mを表面M1から見た場合の平面図である。また、図9(b)は、紙幣Mを裏面M2から見た場合の平面図である。図9(a)に示すように、以下では、紙幣Mで人物の肖像が描かれている面(図9(a)では肖像を実線で描いている)を「表面」と呼ぶものとする。また、図9(b)に示すように、以下では、紙幣Mで肖像が描かれていない面(図9(b)では表面側の肖像を点線で描いている)を「裏面」と呼ぶものとする。さらに、図9(a)、図9(b)に示すように、以下では、紙幣Mで肖像の頭頂部の方向の端(長手方向の端)を天側と呼び、他方の端を地側と呼ぶものとする。
なお、以下では、紙幣の方向とは、図9に示すように「表裏」と「天地」の組合せにより定まる物として説明するが表裏又は天地のいずれかのみで定まるようにしてもよい。例えば、紙幣方向を表裏のみとした場合には、表裏が一致した紙幣同士は天地が異なっていても同じ方向として取り扱うことになる。
そして、以下では、紙幣方向とは、紙幣が、投入口1で取り込まれる際の方向を基準として説明するものとする。図10は、紙幣Mが、投入口1で取り込まれる際の紙幣方向(紙幣結束整理装置100に取り込まれる際の紙幣方向)について示した説明図である。紙幣結束整理装置100では、紙幣Mの長手方向のいずれかの端を前方とし、さらに、紙幣Mの表面又は裏面のいずれかを上方(上向)にして、取込、搬送、集積等が行われるものとする。図10(a)〜(d)は、それぞれ、投入口1で紙幣Mが取り込まれる際の紙幣方向を示している。図10(a)では、投入口1で紙幣Mが取り込まれる際に上面が表面M1であり、取込まれる方向E1の前方が紙幣Mの天側となっている。また、図10(b)では、投入口1で紙幣Mが取り込まれる際に、上面が表面M1であり、取込まれる方向E1の前方が紙幣Mの地側となっている。さらに、図10(c)では、投入口1で紙幣Mが取り込まれる際に上面が裏面M2であり、取込まれる方向E1の前方が紙幣Mの天側となっている。さらにまた、図10(d)では、投入口1で紙幣Mが取り込まれる際に上面が裏面M2であり、取込まれる方向E1の前方が紙幣Mの地側となっている。なお、以下では、図10(a)〜図10(d)の方向をそれぞれ方向A(表正立)、方向B(表倒立)、方向C(裏正立)、方向D(裏倒立)と呼ぶものとする。
紙幣結束整理装置100では、表裏反転が行われない限り、投入口1における紙幣方向と、一時集積部61における紙幣方向は共通となる。例えば、図11では、紙幣Mが、投入口1で、方向A(表正立)の紙幣方向で投入され、一時集積部61aに集積された状態(ただし、表裏反転部4による表裏反転は行われていない)について示している。図11に示すように、紙幣結束整理装置100では、投入口1から方向A(表正立)で取り込まれた場合、天側の端部(取り込まれる際の前方側の端部)を前方として搬送(搬送方向E2の方向に搬送)され、搬送路3dから一時集積部61aに突入する。また、図11に示すように、紙幣結束整理装置100では、投入口1から方向A(表正立)で取り込まれた場合、表面を上面として、搬送路3dから一時集積部61aに突入して集積される。
以上のように、この実施形態の一時集積部設定情報521では、紙幣方向は、A方向(表正立)、B方向(表倒立)、C方向(裏正立)、又はD方向(裏倒立)の4方向のいずれかで表記(図8参照)されるものとする。
次に、紙幣結束整理装置100が行う紙幣の集積処理及び結束処理について説明する。
制御部50は、オペレータの操作に応じて、一時集積部61に紙幣を集積する際の複数の動作モード(以下、「集積モード」と呼ぶ)を変更可能であるものとする。第1の実施形態では、制御部50は、3つの集積モードに対応しているものとする。
第1の実施形態では、制御部50は、第1の集積モードとして、1つの一時集積部61内で、紙幣方向(表裏及び天地)が完全に同一となるように整列(以下、「4方向整列」と呼ぶ)して集積する動作モード(以下、「4方向整列集積モード」と呼ぶ)に対応しているものとする。また、第1の実施形態では、制御部50は、第2の集積モードとして、1つの一時集積部61内で、1つの紙幣束の枚数(以下、「結束枚数」とも呼び、この実施形態では結束枚数=100枚であるものとする)の紙幣を集積する際に、少なくとも最も下部分に配置(積層)される紙幣(以下、「下部紙幣」と呼ぶ)と、最も上部分に配置(積層)される紙幣(以下、「上部紙幣」と呼ぶ)について紙幣方向が一致するように整列(以下、「簡易整列」と呼ぶ)する動作モード(以下、「簡易整列集積モード」と呼ぶ)に対応しているものとする。第1の実施形態では、制御部50は、第3の集積モードとして、各一時集積部61内に対して、特に紙幣の整列を考慮せずに集積(投入された紙幣方向のまま集積)する整列無集積モードに対応しているものとする。なお、この実施形態では、紙幣結束整理装置100は、上述の3つの動作モードに対応するものとして説明するが、少なくとも、簡易整列集積モードに対応していれば良い。
図12では、一時集積部61に集積(積層)された結束枚数の紙幣(例えば、100枚の紙幣)の整列状態(側面から見た場合の整列状態)について示した説明図である。図12(a)、では、一時集積部61に、4方向整列集積モードで、結束枚数の未結束紙幣束MWが集積された状態(4方向整列された状態)について示している。また、図12(b)、では、一時集積部61に、簡易整列集積モードで、結束枚数の未結束紙幣束MWが集積された状態(簡易整列された状態)について示している。なお図12では、未結束紙幣束MWは、1枚の上部紙幣M−U、1枚の下部紙幣M−D、及び上部紙幣M−Uと下部紙幣M−Dとの間に挟まれた98枚の中間紙幣M−Mにより構成されている。図12では、各集積モードで同じ紙幣方向となることが保証されている紙幣については同一パターンのハッチを付して図示している。
図12(a)に示す未結束紙幣束MWは、4方向整列集積モードで集積されているので、全ての紙幣(上部紙幣M−U、下部紙幣M−D、及び中間紙幣M−M)について同じ紙幣方向となっている。また、図12(b)に示す、未結束紙幣束MWは、簡易整列集積モードで集積されているので、上部紙幣M−Uと下部紙幣M−Dだけが同一の紙幣方向で、他の紙幣(中間紙幣M−M)については紙幣方向が任意(投入されたときの紙幣方向のまま)となっている。
以上のように、紙幣結束整理装置100では、鑑別部2により、各紙幣の方向を認識する紙葉類認識手段が構成されている。また、紙幣結束整理装置100では、集積機構6(一時集積部61a〜61e)により、紙幣を積層して集積する紙葉類集積手段が構成されている。さらに、紙幣結束整理装置100では、搬送路3及び制御部50等により、鑑別部2の認識結果にしたがった一時集積部61への紙幣の集積を行う紙葉類搬送手段が構成されている。さらにまた、紙幣結束整理装置100では、移送機構9及び紙幣結束機構10等により、紙幣を結束して紙幣束を生成する紙葉類結束手段が構成されている。
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の紙幣結束整理装置100の動作(実施形態の紙葉類処理方法)について説明する。
(A−2−1)設定情報の入力処理
図13は、オペレータから一時集積部設定情報521の内容を受け付ける際に、制御部50が行う処理について示したフローチャートである。
まず、オペレータの操作表示部13に対する操作(例えば、メニュー画面等の操作)に応じて、制御部50が、オペレータから一時集積部設定情報521の内容を受けるための設定情報入力画面を操作表示部13に表示したものとする(S101)。
図14は、設定情報入力画面の構成例について示した説明図である。図14に示す設定情報入力画面では、一時集積部61a〜61eに係る設定受付及び設定内容表示のためのフィールドF11、オープンポケット5aに係る設定受付及び設定内容表示のためのフィールドF12、オープンポケット5bに係る設定受付及び設定内容表示のためのフィールドF13、結束対象となる紙幣の金種に係る設定受付及び設定内容表示のためのフィールドF14、結束対象となる紙幣の券種に係る設定受付及び設定内容表示のためのフィールドF15、結束対象となる紙幣の集積モード(紙幣方向の設定)に係る設定受付及び設定内容表示のためのフィールドF16が配置されている。
ここでは、まず、オペレータから、集積モード(紙幣方向に係る設定)を指定するためのフィールドF16のボタンB16が押下され、集積モードが選択されたものとする(S102)。設定情報入力画面において、集積モード(紙幣方向に係る設定)を指定するためのボタンB16が押下されると、制御部50は、オペレータに集積モードを選択させるための集積モード選択画面(図15参照)をポップアップ表示する。図15に示す集積モード選択画面では、4方向整列集積モード、簡易整列集積モード、整列無集積モードのそれぞれに対応するボタンB201〜B203が配置されている。ここでは、オペレータにより、「簡易整列集積モード」を指定するためのボタンB202が押下された後、確認ボタンB204が押下されたものとする。
次に、オペレータから、設定情報入力画面のフィールドF14を構成するボタンB14が押下され、制御部50がポップアップ画面(図示せず)を表示して、結束処理の対象となる紙幣の金種として「50元紙幣」の指定を受付けたものとする(S103)。
次に、オペレータから、設定情報入力画面のフィールドF15を構成するボタンB15が押下され、制御部50が、ポップアップ画面(図示せず)を表示して、結束処理の対象となる紙幣の券種として「ATM券」の指定を受付けたものとする(S104)。
次に、オペレータにより、設定情報入力画面の確認ボタンB17が押下され、制御部50により、一時集積部設定情報521の内容、及び一時集積部61a〜61eに係るフィールドF11の内容が更新される(S105)。
以上のような処理により、紙幣結束整理装置100では、一時集積部設定情報521の登録(更新)を受け付け、その内容は上述の図8のような内容となったものとする。
なお、第1の実施形態では、集積モードとして、4方向整列集積モード又は簡易整列集積モードが選択された場合、制御部50は、集積対象の紙幣の種類(金種及び券種)を1つに限定し、初期設定として当該種類の紙幣を集積するための一時集積部61を紙幣の方向ごとに割当てる。ここでは、4方向整列集積モード又は簡易整列集積モードが選択された場合、制御部50は、初期設定として、図8に示すように、指定された種類の紙幣(50元紙幣、ATM券)について、4つの一時集積部61b〜61e(集積先ID:2〜5)を割当てるものとする。図8では、一時集積部61b〜61e(集積先ID:2〜5)に、それぞれ、D方向(裏倒立)、C方向(裏正立)、B方向(表倒立)及びA方向(表正立)が割当られている。
なお、この実施形態の紙幣結束整理装置100において、一時集積部設定情報521の内容の登録を受け付ける具体的な処理(画面構成等)については限定されないものであり、種々のインタフェースを適用することができる。
(A−2−2)計数及び結束処理
図16は、紙幣結束整理装置100において、簡易整列集積モードで、計数及び結束処理が行われる場合の動作について示したフローチャートである。
操作部7の計数開始ボタン7aがオペレータによって押下されると(S201)、制御部50は、計数及び結束処理を開始し、まず、各部の初期設定を行う(S202)。
制御部50は、初期設定を完了すると、投入口1にセットされた紙幣について、計数及び結束処理の動作を開始する(S203)。なお、紙幣結束整理装置100が計数処理中に、オペレータにより、投入口1に紙幣が追加されることもあり得る。
また、制御部50は、計数処理を開始する際に、図17に示す形式で、計数の状況を表示するための計数状況表示画面を表示する。なお、図17に示す計数状況表示画面は、図8に示す一時集積部設定情報521に従った内容となっている。
計数状況表示画面では、図17に示すようにフィールドF32に、テーブル形式で、一時集積部61ごとに、集積する金種及び紙幣方向(図17の「施封」の項目)、現在集積している紙幣の枚数(図17の「端数枚数」の項目)、及び結束(施封)した紙幣束の数(図17の「把束数」の項目)が表示される。なお、図17の「施封」の項目の1〜5の番号は、集積部IDとなっている。したがって、図17の例では、図8に示す一時集積部設定情報521に従って、一時集積部61a〜61e(一時集積部ID:2〜5)に、それぞれ紙幣方向の異なる50元紙幣が割り当てられていることを示している。
また、計数状況表示画面では、図17に示すようにフィールドF31に、テーブル形式で、オープンポケット5a、5bごとに、現在集積中の券種(図17の「ポケット」の項目)、現在枚数(現在集積されている枚数)と設定枚数(各ポケットに集積する上限の枚数)が入力されている。なお、フィールドF31の「ポケット」の項目において「1」は第1のオープンポケット5a、「2」は第2のオープンポケット5b、「RJ」はリジェクトポケット8をあらわしている。また、第1の実施形態では、図8、図17に示すように、第1のオープンポケット5a、第2のオープンポケット5b、及びリジェクトポケット8に対しては明示的に集積する紙幣の設定がされていないが、制御部50は、4方向整列集積モード又は簡易整列集積モードで結束対象とならない紙幣については、リジェクトポケット8に集積するように制御を行うものとして説明する。さらに、計数状況表示画面では、図17に示すようにフィールドF33に、処理状況に係るメッセージ(例えば、「計数中」や現在の集積モード名称等のメッセージ)が表示される。
次に、制御部50は、搬送路3を制御して投入口1にセットされた紙幣を1枚取り込んで鑑別部2に鑑別処理(分類処理)を実行させる(S204)。
次に、制御部50は、上述のステップS204で鑑別された紙幣について、その結果に基づく処理(集積処理、及び必要に応じて結束処理の制御)を行う(S205)。なお、ここで、紙幣結束整理装置100が行う処理(制御部50の制御処理)は、簡易整列集積モードに応じた動作を行うが、詳細については後述する。
次に、制御部50は、投入部1に投入された紙幣が残っているか否かを確認し(S206)、残っている場合は上述のステップS204の処理から動作し、残っていない場合(投入紙幣が終了している場合)は、計数及び結束処理を停止する(S207)。
次に、上述のステップS205で、制御部50が行う紙幣処理の詳細について、図18のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御部50は、ステップS204の鑑別結果から新たに取り込んだ紙幣が結束対象の紙幣(ここでは、金種:50元紙幣、券種:ATM券)であるか否かを確認する(S301)。
制御部50は、新たに取り込んだ紙幣が結束対象の紙幣でない場合は、当該紙幣をリジェクトポケット8に搬送するように制御して(S309)、処理を終了する。
一方、新たに取り込んだ紙幣が結束対象の紙幣である場合、制御部50は、いずれかの一時集積部61b〜61eで、集積枚数が99枚となっている一時集積部61(あと1枚で結束枚数となる一時集積部61)の有無を確認する(S302)。
上述のステップS302で、該当する一時集積部61があった場合、制御部50は、該当する一時集積部61から、下部紙幣M−Dが新たに取り込んだ紙幣と同じ紙幣と同じ紙幣方向となっている一時集積部61の有無を確認する(S303)。
上述のステップS303で、該当する一時集積部61が検出された場合、制御部50は、集積機構6を制御して、検出した一時集積部61に、新たに取り込んだ紙幣を集積し、さらに、移送機構9及び紙幣結束機構10を制御して、当該一時集積部61に集積された100枚の紙幣を結束する処理を開始させる(S304)。
そして、制御部50は、ステップS304の処理内容の反映、及び、紙幣を移送中の一時集積部61に対応する紙幣方向の紙幣の集積先を別途割当てるように、一時集積部設定情報521及び計数状況表示画面を更新して(S305)、処理を終了する。具体的には、制御部50は、ステップS303で検出した一時集積部61(現在紙幣を移送中の一時集積部61)について、割当を解除するように一時集積部設定情報521を更新(該当する集積先IDの金種、券種及び紙幣方向の情報を削除)し、さらに、解除した金種、券種及び紙幣方向の組合せについて別の一時集積部61を割当てる(削除した金種、券種及び紙幣方向の情報を空いている集積先IDの行にコピー)する処理を行う。
なお、ステップS305の処理中又は処理後であっても、制御部50は、上述のステップS304で開始した紙幣の搬送、移送、結束に係る処理は終了するまで継続する。
一方、上述のステップS302、又は上述のステップS303で、該当する一時集積部61が検出できない場合、制御部50は、集積枚数が1枚〜98枚となっている一時集積部61(紙幣を集積途中の一時集積部61)の有無を確認する(S306)。
上述のステップS306で、該当する一時集積部61が検出された場合、制御部50は、集積機構6を制御して、当該一時集積部61(検出した任意の一時集積部61のうち任意のもの)に、新たに取り込んだ紙幣を集積すると共に、計数状況表示画面を更新(端数枚数のインクリメント)して(S307)、処理を終了する。
一方、上述のステップS306で、該当する一時集積部61が検出されなかった場合、制御部50は、集積機構6を制御して、新たに取り込んだ紙幣を、当該紙幣の紙幣方向に応じた一時集積部61に集積するように集積機構6を制御すると共に、計数状況表示画面を更新(端数枚数のインクリメント)して(S308)、処理を終了する。
次に、紙幣結束整理装置100(制御部50)が、簡易整列集積モードで、上述の図16、図18のフローチャートに従って動作した場合の具体的な動作(計数状況表示画面の遷移)について図19〜図24を用いて説明する。
図19〜図23は、計数状況表示画面の遷移について示した説明図である。また、図24は、一時集積部設定情報521の遷移について示した説明図である。
まず、紙幣結束整理装置100において、計数状況表示画面が図17に示す状態(まだ紙幣が一枚も集積されてない状態)で、紙幣が投入口1に投入され、紙幣の処理(鑑別及び結束の処理)が開始されたものとする。
最初に投入口1で、紙幣方向がA方向(表正立)の1枚の紙幣が取り込まれると、制御部50は、上述のステップS308の処理により、当該紙幣を一時集積部61eに集積し、計数状況表示画面を図19のように更新(集積先ID5に対応する端数枚数をインクリメント)する。
次に、紙幣結束整理装置100において、さらに98枚の紙幣が取り込まれたものとする。この場合、紙幣結束整理装置100は、上述ステップS307処理により、それらの紙幣を紙幣方向に関わらず一時集積部61eに集積し、計数状況表示画面を図20のように更新する(集積先ID5に対応する端数枚数を加算して99とする)。
次に、紙幣結束整理装置100において、紙幣方向がB方向(表倒立)の紙幣が取り込まれると、制御部50は、上述のステップS308の処理により、当該紙幣を、B方向(表倒立)に対応する一時集積部61dに集積し、計数状況表示画面を図21のように更新(集積先ID4に対応する端数枚数をインクリメント)する。
次に、紙幣結束整理装置100において、紙幣方向がA方向(表正立)以外の方向(B方向、C方向、又はD方向のいずれか)の紙幣が9枚取り込まれると、制御部50は、上述のステップS307の処理により、それらの紙幣を、集積途中の一時集積部61dに集積し、計数状況表示画面を図22のように更新(集積先ID4に対応する端数枚数を加算)する。
次に、紙幣結束整理装置100において、紙幣方向がA方向(表正立)の紙幣が1枚取り込まれると、制御部50は、上述のステップS304の処理により、新たに取り込まれた紙幣を、一時集積部61eに集積させ、さらに、当該一時集積部61に集積された100枚の紙幣(簡易整列された紙幣)を結束する処理を開始させる。
さらに、制御部50は、上述のステップS305の処理により、一時集積部設定情報521及び計数状況表示画面に対して、ステップS304の処理結果を反映する処理、及び、紙幣を移送中の一時集積部61eに対応するA方向(表正立)の紙幣の集積先変更を反映する処理を行う。その結果、一時集積部設定情報521は、図24のように更新され、計数状況表示画面は図23のように更新される。具体的には、このとき、制御部50は、図24に示すように、A方向(表正立)に対応する集積先を、一時集積部61e(集積先ID:5)から一時集積部61a(集積先ID:1)に変更する。またこのとき、制御部50は、図23に示すように、計数状況表示画面を、更新後の一時集積部設定情報521に合わせるように更新(A方向(表正立)に対応する集積先を集積先ID1に変更)し、さらに端数枚数を0、把束数をインクリメントして1とする。
以上のような処理により、紙幣結束整理装置100(制御部50)は、簡易整列集積モードでの処理を行う。
次に、紙幣結束整理装置100が、4方向整列集積モードで動作する場合の処理について説明する。上述の通り、集積モード選択画面で、4方向整列集積モードが選択された場合、紙幣結束整理装置100(制御部50)は、4方向整列集積モードで動作する。
以下では、紙幣結束整理装置100(制御部50)が、4方向整列集積モードで動作する場合の動作について、簡易整列集積モードとの差異部分を説明する。
紙幣結束整理装置100(制御部50)が、4方向整列集積モードで、計数及び結束処理を行う場合の全体のフローチャートも、簡易整列集積モードの場合と同様に上述の図16を用いて説明することができる。紙幣結束整理装置100(制御部50)が、4方向整列集積モードで、計数及び結束処理を行う場合、上述のステップS205で、制御部50が行う紙幣処理のみが、簡易整列集積モードと異なっている。
次に、上述のステップS205で、制御部50(4方向整列集積モードで動作中)が行う紙幣処理の詳細について、図25のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、集積モード以外の設定は、上述の簡易整列集積モードの例と同じであるものとして説明する。
まず、制御部50は、ステップS204の鑑別結果から新たに取り込んだ紙幣が結束対象の紙幣(ここでは、金種:50元紙幣、券種:ATM券)であるか否かを確認する(S401)。
制御部50は、新たに取り込んだ紙幣が結束対象の紙幣でない場合は、当該紙幣をリジェクトポケット8に搬送するように制御して(S407)、処理を終了する。
一方、新たに取り込んだ紙幣が結束対象の紙幣である場合、制御部50は、一時集積部設定情報521の内容にしたがって、当該紙幣を紙幣方向に対応する一時集積部61に集積する(S402)。
次に、制御部50は、上述のステップS402の集積処理の結果、集積枚数が100枚(結束枚数)に達した一時集積部61が発生したか否かを確認する(S403)。
上述のステップS403で、集積枚数が100枚(結束枚数)に達した一時集積部61が発生したと確認された場合には、制御部50は、移送機構9及び紙幣結束機構10を制御して、当該一時集積部61に集積された100枚の紙幣を結束する処理を開始させる(S404)。
そして、制御部50は、ステップS404の処理内容の反映、及び、紙幣を移送中の一時集積部61に対応する紙幣方向の紙幣の集積先を別途割当てるように、一時集積部設定情報521及び計数状況表示画面を更新して(S405)、処理を終了する。なお、制御部50が行うステップS404、S405の処理は、簡易整列集積モードの場合(上述のステップS304、S305)と同様であるため、詳しい説明は省略する。
一方、上述のステップS403で、集積枚数が100枚(結束枚数)に達した一時集積部61がないと確認された場合には、制御部50は、計数状況表示画面を更新(端数枚数のインクリメント)して(S406)、処理を終了する。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態の紙幣結束整理装置100では、簡易整列集積モードで動作する場合、簡易整列した紙幣束を生成する。簡易整列した紙幣束は、4方向整列した紙幣束と異なり、上部紙幣M−Uと中間紙幣M−M以外の紙幣の方向は限定しない。したがって、紙幣結束整理装置100では、簡易整列集積モードで動作する場合、投入口1に投入された全ての紙幣処理が終了したときに、4方向整列集積モードで動作する場合と比較して、一時集積部61a〜61eに残っている紙幣の枚数、及び、紙幣が残っている一時集積部61の数を減らすことができる。投入口1に投入された全ての紙幣処理が終了したときに、紙幣結束整理装置100内(一時集積部61a〜61e)に紙幣が残っている場合は、オペレータが手動で取り出して再投入する作業等が必要となるため、残っている紙幣は少ない方が、処理効率が高い。また、簡易整列された紙幣束であっても、外見上は4方向整列された紙幣束と同じである。したがって、紙幣結束整理装置100で結束された紙幣束を整理・管理する際の利便性は、簡易整列された紙幣束であっても、通常損なわれることはない。
また、第1の実施形態の紙幣結束整理装置100では、4方向整列集積モードで動作する場合、少なくとも4つの一時集積部61を必要とするが、簡易整列集積モードで動作する場合には、最低限2つの一時集積部61が確保できれば良い(例えば、3つ目の一時集積部61を必要とする場合には処理を停止する)。紙幣結束整理装置100が、簡易整列集積モードで動作する場合、実際には、1つ目の一時集積部61の集積枚数が99枚となった後、100枚連続して、1つ目の一時集積部61の下部紙幣M−Dと異なる紙幣方向の紙幣が投入されない限り、3つ目の一時集積部61は利用されない。したがって、紙幣結束整理装置100が、簡易整列集積モードで動作する場合、実際に3つ目の一時集積部61が利用される確率は、4方向整列集積モードの場合と比較して非常に低くなる。
さらに、第1の実施形態の紙幣結束整理装置100では、表裏反転部4を利用せずに、簡易整列された紙幣束を生成するため、表裏反転部4の処理に適さない紙幣が投入された場合でも処理が可能となったり、表裏反転処理を行わない分高速な紙幣処理を行うことができる等の効果を奏する。
さらにまた、紙幣結束整理装置100(制御部50)において、簡易整列集積モードで紙幣を集積する場合でも、4方向整列集積モードと同様に、4方向のそれぞれについて一時集積部61を確保する構成とすることにより、簡易整列集積モードと4方向整列集積モードとで共通するプログラム資源をより多くすることができるため、制御プログラム(制御部50)の開発効率を向上させることができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による紙葉類処理装置を、紙幣結束整理装置に適用した第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の紙幣結束整理装置100についても、基本的な構成については、第1の実施形態と同様の図面により示すことができる。以下では、第2の実施形態の紙幣結束整理装置100について、第1の実施形態との差異についてのみ説明する。
第2の実施形態の紙幣結束整理装置100(制御部50)は、集積枚数が99枚となっている一時集積部61(あと1枚で結束枚数となる一時集積部61)が存在する状態で、新たに取り込んだ紙幣の紙幣方向と、当該一時集積部61の下部紙幣M−Dの紙幣方向とが異なる場合に、オペレータに対して当該下部紙幣M−Dと同じ紙幣方向で紙幣の投入を要求するための出力を行う。制御部50が、オペレータの所定の紙幣方向(当該下部紙幣M−Dと同じ紙幣方向)での紙幣投入を促すための出力を行う方式については限定されないものであるが、例えば、計数状況表示画面のフィールドF33にその旨のメッセージ表示を行ったり、その旨を促すポップアップ画面を追加表示するようにしてもよい。例えば、制御部50は、図26に示すように、計数状況表示画面のフィールドF33に、所定の紙幣方向で紙幣を投入することをオペレータに要求するための出力として、「A方向(表正立)で投入口に1枚紙幣を投入してください。」というメッセージを表示するようにしてもよい。また、例えば、制御部50は、図27に示すように、オペレータに所定の紙幣方向で、紙幣を投入することを要求するための出力として、上述のメッセージと共に所定の紙幣方向を示す画面(以下、「紙幣投入要求画面」と呼ぶ)を表示出力(ポップアップ表示)するようにしてもよい。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の紙幣結束整理装置100の動作(実施形態の紙葉類処理方法)について説明する。
第2の実施形態の紙幣結束整理装置100では、上述のステップS205で、制御部50が行う紙幣処理(上述の図18参照)の詳細が第1の実施形態と異なっている。
図28は、第2の実施形態の紙幣結束整理装置100(制御部50)が行う紙幣処理の詳細について示したフローチャートであり、第1の実施形態(上述の図18)と同一ステップの処理については同一のステップ番号(符号)を付している。
図28の示すフローチャートでは、ステップS501が追加されている点で、第1の実施形態(上述の図18)と異なっている。
制御部50は、上述のステップS303で、該当する一時集積部61(あと1枚で結束枚数となる一時集積部61)の下部紙幣M−Dが、新たに取り込んだ紙幣と同じ紙幣方向となっていると確認できない場合は、ステップS501で、オペレータに所定の紙幣方向(該当する一時集積部61の下部紙幣M−Dと同じ紙幣方向)で紙幣を投入することを要求する出力を行う。
なお、上述のステップS303で複数の一時集積部61(あと1枚で結束枚数となる一時集積部61)が検出された場合には、それらの複数の一時集積部61の下部紙幣M−Dの紙幣方向をオペレータに出力(例えば、図26、図27のメッセージ等を併記)するようにしてもよい。また、ステップS501の処理を行う際に、制御部50は、一旦計数処理を停止(新たな紙幣の取込み処理の停止)し、オペレータにより計数開始ボタン7aが再度押下されたときに、上述のステップS204の処理から再開するようにしてもよい。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第2の実施形態では、あと1枚で結束枚数(例えば、100)となる一時集積部61が発生した場合に、オペレータに結束枚数の集積枚数となるために必要な紙幣方向を通知するので、第1の実施形態と比較して、より確実に一時集積部61に簡易整列した結束枚数の紙幣を集積させることができる。
また、第2の実施形態では、紙幣結束整理装置100(制御部50)が、簡易整列集積モードで紙幣を集積する場合、図8に示すように、4方向のそれぞれについて一時集積部61を確保する処理を行っている。しかし、第2の実施形態では、上述のステップS501で紙幣結束整理装置100が処理を停止する場合には、2つ目以降の一時集積部61を必要としないので、少なくとも1つの一時集積部61が確保されていれば簡易整列集積モードでの紙幣集積を行うことができる。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による紙葉類処理装置を、紙幣結束整理装置に適用した第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態の紙幣結束整理装置100についても、基本的な構成については、第1の実施形態と同様の図面により示すことができる。以下では、第3の実施形態の紙幣結束整理装置100について、第1の実施形態との差異についてのみ説明する。
第3の実施形態の制御部50は、紙幣を集積中の一時集積部61(1枚以上99枚未満の紙幣を集積している一時集積部61)に集積された下部紙幣M−Dと紙幣方向が一致する紙幣が取り込まれた場合に、当該紙幣を所定位置に退避しておき、当該一時集積部61に集積された紙幣が99枚になったときに、退避していた紙幣(以下、「退避紙幣」とも呼ぶ)を当該一時集積部61に集積して、簡易整列された紙幣束を生成する。第3の実施形態の紙幣結束整理装置100において、退避紙幣を退避する際の収納部(以下、「退避部」と呼ぶ)を確保する構成については限定されないものであるが、例えば、紙幣結束整理装置100内で空いているスペース(例えば、空き状態の一時集積部61や、表裏反転部4内のスペース)を利用したり、専用の収納スペースを設けるようにしてもよい。
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態の紙幣結束整理装置100の動作(実施形態の紙葉類処理方法)について説明する。
第3の実施形態の紙幣結束整理装置100(制御部50)では、上述のステップS205で、制御部50が行う紙幣処理(上述の図18参照)の詳細が、図29、図30の処理に置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
図29、図30のフローチャートでは、第1の実施形態(上述の図18)と同一ステップの処理については同一のステップ番号(符号)を付している。
図29、図30の示すフローチャートでは、ステップS307が削除され、ステップS601〜S607が挿入されている点で第1の実施形態(上述の図18)と異なっている。
第3の実施形態において、ステップS306で、集積枚数が1枚〜98枚となっている一時集積部61(紙幣を集積途中の一時集積部61)が有ると確認された場合、制御部50は、当該一時集積部61に対応する退避紙幣の有無(当該一時集積部61の下部紙幣M−Dと紙幣方向が一致する退避紙幣が退避部に退避されているか否か)を確認する(S601)。制御部50は、上述のステップS601で、当該一時集積部61に対応する退避紙幣が有ると確認された場合後述するステップS602から動作し、そうでない場合には後述するステップS605から動作する。
ステップS601で当該一時集積部61に対応する退避紙幣が有ると判定された場合、制御部50は、集積機構6を制御して、当該一時集積部61(検出した一時集積部61のうち任意のもの)に、新たに取り込んだ紙幣を集積すると共に、計数状況表示画面の更新(端数枚数のインクリメント)も行う(S602)。
次に、制御部50は、ステップS602で紙幣の搬送先となった一時集積部61に集積された紙幣の枚数が99枚となったか否かを確認する(S603)。当該一時集積部61に集積された紙幣の枚数が99枚となった場合、制御部50は、後述するステップS604から動作し、そうでない場合(99枚に満たなかった場合)には今回の処理を終了する。
上述のステップS603で、当該一時集積部61に集積された紙幣の枚数が99枚になったと確認された場合、制御部50は、搬送路3等を制御して、上述のステップS601で検出した退避紙幣を退避部から搬送路3d上に繰り出させて、上述のステップS602で搬送先となった一時集積部61に集積させる。さらに、制御部50は、移送機構9及び紙幣結束機構10を制御して、当該一時集積部61に集積された100枚の紙幣(簡易整列された紙幣束)を結束する処理を開始させる(S604)。そして、制御部50は、上述のステップS305の処理に移行して、上述のステップ604の処理内容の反映、及び、紙幣を移送中の一時集積部61に対応する紙幣方向の紙幣の集積先を別途割当てるように、一時集積部設定情報521及び計数状況表示画面を更新して、処理を終了する。
一方上述のステップS601で、当該一時集積部61に対応する退避紙幣が無いと判定された場合、制御部50は、新たに取り込まれた紙幣と、いずれかの一時集積部61の下部紙幣M−Dとで、紙幣方向が一致するか否かを判定する(S605)。ステップS602で、最新に取り込まれた紙幣と、いずれかの一時集積部61の下部紙幣M−Dとで、紙幣方向が一致する場合、制御部50は、搬送路3等を制御して、当該紙幣を退避部に収納し(S606)処理を終了する。一方、ステップS605で、最新に取り込まれた紙幣が、いずれの一時集積部61の下部紙幣M−Dとも一致しない場合、制御部50は、上述のステップS306で検出された一時集積部61のうち任意のものに、新たに取り込んだ紙幣を集積すると共に、計数状況表示画面の更新(端数枚数のインクリメント)も行い(S607)、処理を終了する。
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第3の実施形態では、紙幣を集積中の一時集積部61に集積された下部紙幣M−Dと紙幣方向が一致する紙幣が取り込まれた場合に、当該紙幣を退避部に退避し、当該一時集積部61に紙幣が99枚(あと1枚で結束枚数に到達する枚数)集積されたときに退避した紙幣を当該一時集積部61に搬送して積層させている。これにより、第3の実施形態の紙幣結束整理装置100では、第1の実施形態と比較して、より確実に一時集積部61に簡易整列した結束枚数の紙幣を集積させることができる。
(D)第4の実施形態
以下、本発明による紙葉類処理装置を、紙幣結束整理装置に適用した第4の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(D−1)第4の実施形態の構成
第4の実施形態の紙幣結束整理装置100についても、基本的な構成については、第1の実施形態と同様の図面により示すことができる。以下では、第4の実施形態の紙幣結束整理装置100について、第1の実施形態との差異についてのみ説明する。
第4の実施形態の紙幣結束整理装置100(制御部50)は、集積枚数が99枚となっている一時集積部61(あと1枚で結束枚数となる一時集積部61)が有る状態で、当該一時集積部61の下部紙幣M−Dと表裏及び天地で方向が異なっている紙幣(すなわち、表裏を反転させるだけで方向が一致する紙幣)が取り込まれた場合に、当該紙幣を表裏反転部4で反転させてから、当該一時集積部61に集積する。
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第4の実施形態の紙幣結束整理装置100の動作(実施形態の紙葉類処理方法)について説明する。
第4の実施形態の紙幣結束整理装置100では、上述のステップS205で、制御部50が行う紙幣処理(上述の図18参照)の詳細が第1の実施形態と異なっている。
図31は、第4の実施形態の紙幣結束整理装置100(制御部50)が行う紙幣処理の詳細について示したフローチャートであり、第1の実施形態(上述の図18)と同一ステップの処理については同一のステップ番号(符号)を付している。
図31の示すフローチャートでは、ステップS701、S702の処理が追加されている点で、第1の実施形態(上述の図18)と異なっている。
第4の実施形態では、上述のステップS303で、集積枚数が99枚となっている一時集積部61の下部紙幣M−Dと、新たに取り込まれた紙幣とで紙幣方向が異なると判定された場合、制御部50は、最新に取り込まれた紙幣が、当該一時集積部61の下部紙幣M−Dと表裏及び天地で方向が異なっているか否かを判定する(S701)。
そして、最新に取り込まれた紙幣が当該一時集積部61の下部紙幣M−Dと表裏及び天地で方向が異なっている状態の場合には、制御部50は、当該紙幣を表裏反転部4で反転させてから(S702)、上述のステップS304の処理に移行して、当該紙幣の当該一時集積部61への集積等の処理を行う。
一方、上述のステップS701で、当該紙幣が当該一時集積部61の下部紙幣M−Dと表裏又は天地の一方のみが一致している場合には、制御部50は、上述のステップS306から動作する。
(D−3)第4の実施形態の効果
第4の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第4の実施形態の紙幣結束整理装置100(制御部50)では、集積枚数が99枚となっている一時集積部61が有る場合にのみ、表裏反転部4で表裏反転を行うようにしている。これにより、第4の実施形態の紙幣結束整理装置100では、第1の実施形態と比較して、より確実に一時集積部61に簡易整列した結束枚数の紙幣を集積させることができる。また、第4の実施形態の紙幣結束整理装置100では、集積枚数が99枚となっている一時集積部61が有る場合にのみ、表裏反転部4を利用するので、表裏反転部4の利用を必要最低限に抑えることができる。
(E)第5の実施形態
以下、本発明による紙葉類処理装置を、紙幣結束整理装置に適用した第5の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(E−1)第5の実施形態の構成
第5の実施形態の紙幣結束整理装置100についても、基本的な構成については、第2の実施形態と同様の図面により示すことができる。以下では、第5の実施形態の紙幣結束整理装置100について、第2の実施形態との差異についてのみ説明する。
第5の実施形態の制御部50は、オペレータに対して所定の指定方向での紙幣投入要求を行う際に、搬送路3を制御して、新たに取り込んだ紙幣をリジェクトポケット8に排出する点で、第2の実施形態と異なっている。なお、このとき紙幣結束整理装置100が紙幣を排出する排出先(紙葉類排出部)は限定されないものであり、例えば、他のオープンポケットから紙幣を排出するようにしてもよい。
(E−2)第5の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第5の実施形態の紙幣結束整理装置100の動作(実施形態の紙葉類処理方法)について説明する。
図32の示すフローチャートではステップS501の処理と共にステップS801が挿入されている点で第2の実施形態(上述の図28)と異なっている。
第5の実施形態の制御部50は、上述のステップS501の処理(所定の指定方向での紙幣投入要求)と共に、搬送路3を制御して、新たに取り込んだ紙幣をリジェクトポケット8に排出する(S801)。
(E−3)第5の実施形態の効果
第5の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第5の実施形態では、あと1枚で結束枚数(例えば、100)となる一時集積部61が発生した場合に、オペレータに結束枚数の集積枚数となるために必要な紙幣方向を通知すると共に、新たに取り込んだ紙幣をリジェクト(リジェクトポケット8に排出)している。これにより、オペレータに所定方向での紙幣の再投入を要求する際に、オペレータの手元に投入可能な紙幣が無い場合でも、容易にオペレータに投入する紙幣を取得させることができる。例えば、オペレータは手元に投入可能な紙幣が無い場合は、紙幣結束整理装置100内に残っている紙幣を取り出して再投入する必要があるが、新たに取り込んだ紙幣をリジェクトすることにより、オペレータの作業効率を高めることができる。
(F)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(F−1)上記の実施形態では、本発明の紙葉類処理装置を、紙幣結束整理装置に本発明を適用したものを示したが、本発明の紙葉類処理装置が結束対象とする紙葉類は、紙幣に限定されず、小切手、商品券や交通機関のチケット等その他の紙葉類を適用するようにしてもよい。また、上記の実施形態では、本発明の紙葉類処理装置を、紙幣結束整理装置に本発明を適用したものを示したが、紙幣を結束して排出することができるその他の現金処理装置(例えば、現金を管理する現金入出金装置等)にも、本発明の技術思想を適用することができる。
(F−2)上記の各実施形態では、紙幣結束整理装置100(制御部50)が、簡易整列集積モードで紙幣を集積する場合、図8に示すように、4方向のそれぞれについて一時集積部61を確保する処理を行っているが、各補する一時集積部61の数は4つに限定されないものである。上述の通り、簡易整列集積モードでは最低限2つ(第2、第5の実施形態の場合は1つ)の一時集積部61が確保されていれば良い。ただし、紙幣結束整理装置100において、4つ未満の一時集積部61を確保して簡易整列集積モードの集積処理を行う場合には、それぞれの紙幣方向に対して一時集積部61を割当てることができないため、制御部50が、各一時集積部61の下部紙幣M−Dの方向を管理する必要がある。